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特許拒絶査定不服審判

2023-018117

遊技機

審判番号
2023-018117
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-008979
請求日
2023年10月26日
審決日
2024年06月18日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ネット株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 長井 真一
  • 審判官 小林 俊久
  • 審判官 澤田 真治
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .561-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第159条、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-8979「遊技機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和5年1月24日に出願した特許出願(特願2023-8979)であって、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 3月 2日付け:拒絶理由通知書 同月 7日 :意見書、手続補正書の提出(同日に提出さ れたもののうち先に提出されたもの。) 同日 :意見書、手続補正書の提出(同日に提出さ れたもののうち後に提出されたもの。以下 この補正書を「手続補正書」という。) 5月10日付け:拒絶理由通知書(最後) 同月24日 :意見書、手続補正書の提出 7月19日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同月26日 :原査定の謄本の送達 10月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年10月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年10月26日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載 令和5年10月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の令和5年3月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載(下記(2)参照)を、以下のとおりに補正するものである(下線は、補正箇所を明示するために当審合議体が付した。また、符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 「【請求項1】 A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 遊技に必要とする遊技媒体を投入する投入手段と、 役の抽選を行う役抽選手段と、 複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記役の抽選結果に応じて図柄を表示する制御手段と、 前記役の抽選で当選した役が入賞すると、入賞した役に応じた遊技媒体を払い出す払出手段と、 B 初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数を記憶する記憶手段と、 払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、前記初期媒体数から増減する遊技媒体の差数をカウントする差数カウンタと、 C 放出抽選を行う放出抽選手段と、 前記停止スイッチの操作態様が報知されるアシスト遊技を実行するアシスト遊技実行手段と、 D 前記差数を前記初期媒体数にリセットするリセット手段と、 を具備し、 E 前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、 前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、 F 前記遊技には、前記停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、該指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでおり、 G 前記放出抽選で当選した場合において、 前記アシスト遊技実行手段は、前記差数が許容最大数を超えるまで、前記アシスト遊技を実行可能とする一方、前記差数が前記許容最大数を超えた場合には、前記アシスト遊技を終了して、前記通常区間の遊技に移行させ、 H 前記リセット手段は、前記差数が前記許容最大数を超えることによって、前記アシスト遊技が終了して、前記通常区間の遊技に移行した場合、前記有利区間の遊技を開始したことを契機に、前記差数を前記初期媒体数にリセットし、 I 前記差数カウンタは、前記差数が負の値になる場合、該差数の値を0にすること、 J を特徴とする遊技機。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の令和5年3月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 遊技に必要とする遊技媒体を投入する投入手段と、 役の抽選を行う役抽選手段と、 複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記役の抽選結果に応じて図柄を表示する制御手段と、 前記役の抽選で当選した役が入賞すると、入賞した役に応じた遊技媒体を払い出す払出手段と、 B 初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数を記憶する記憶手段と、 払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、前記初期媒体数から増減する遊技媒体の差数をカウントする差数カウンタと、 C 放出抽選を行う放出抽選手段と、 前記停止スイッチの操作態様が報知されるアシスト遊技を実行するアシスト遊技実行手段と、 D 前記差数を前記初期媒体数にリセットするリセット手段と、 を具備し、 F 前記遊技には、前記停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、該指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでおり、 G 前記放出抽選で当選した場合において、 前記アシスト遊技実行手段は、前記差数が許容最大数を超えるまで、前記アシスト遊技を実行可能とする一方、前記差数が前記許容最大数を超えた場合には、前記アシスト遊技を終了して、前記通常区間の遊技に移行させ、 H’ 前記リセット手段は、前記差数が前記許容最大数を超えることによって、前記アシスト遊技が終了して、前記通常区間の遊技に移行した場合、前記有利区間の遊技をしたことを契機に、前記差数を前記初期媒体数にリセットし、 I 前記差数カウンタは、前記差数が負の値になる場合、該差数の値を0にすること、 J を特徴とする遊技機。」 2 補正の適否 (1) 補正の目的 本件補正は、請求項1について、補正前に同請求項に記載の「差数カウンタ」による「差数」の「カウント」を、「2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)」で行うことを特定することで、差数をカウントする際の態様について限定を加えるとともに、補正前に同請求項に記載の「初期媒体数」について、「10進数で60000から63135以下の何れかの値」であることを特定することで、初期媒体数が取り得る範囲について限定を加え、さらに、「差数」を「初期媒体数にリセット」する「契機」について、「有利区間の遊技をしたこと」と特定していたものを、「開始」を追加して「有利区間の遊技を開始したこと」と特定するものである。 そうすると、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、補正前に同請求項に記載の発明特定事項に限定を加えるものであり、また、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (2) 新規事項の追加の有無について 本件補正により、請求項1に特定事項Eとして追加されることとなる、「前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、」との事項、及び特定事項Hとして追加されることとなる、「有利区間の遊技を開始したこと」における「開始」の事項が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されたものであるか、以下で検討する。 ア 当初明細書等の記載事項 当初明細書等における、「差数カウンタ」の「差数」及び「初期媒体数」に関連する記載は、以下のとおりである(審判請求人(以下「請求人」という。)が審判請求書において本件補正の根拠とする記載もこれに含まれる。)。なお、下線は当審合議体が付した。 「【0666】 本願出願人は、AT遊技やART遊技などのアシスト遊技(有利区間の遊技)で、払い出したメダル数(遊技媒体の数)と、投入したメダル数(遊技媒体の数)に基づいて、増減する遊技媒体の差枚数を効率よくカウントする、2バイトで構成される差枚数カウンタを新たに考案した(専用のバッファで2byteの差数カウンタである)。 【0667】 主制御部100が実行する遊技には、3つの停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、この指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでいる。他の遊技には、ビッグボーナス遊技、レギュラーボーナス遊技、シングルボーナス遊技等があるが、この遊技を有利区間の遊技とすることもできる。 【0668】 差枚数カウンタは、2byteの専用バッファで00000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値で差枚数をカウントする(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値を取る。)。この差枚数カウンタは、有利区間の遊技における差枚数をカウントするものであり、メダルの投入で遊技媒体が減ることによって、差枚数が負の値になる場合には、この差枚数の値を0にセットする。具体的には、差枚数が0~2枚の時に、メダルの投入で遊技媒体が3枚減ることによって、本来なら差枚数が-3枚~-1枚となるが、その場合には、この差枚数の値を0にセット(設定)するのである。 【0669】 ROM101の所定領域に、差枚数カウンタの初期値(初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数)と、差枚数カウンタの最大値(許容最大数)とを記憶している。差枚数カウンタの最大値は、10進数で65520(65535-15枚)を採用している。また、差枚数カウンタの初期値は、10進数で63120(65520-2400枚)を採用している。2400枚は、増加許容値であり、それを超えると有利区間は終了するからである。すなわち、差枚数カウンタ値は、65535を超えることがないので、差枚数カウンタの最大値(許容最大数)を10進数で65520としたのである。 【0670】 主制御部100は、設定値が打ち直された場合には差枚数を0にセットする。そして、主制御部100は、有利区間の遊技を開始したことを契機に、まず差枚数を初期値の63120枚にセットする。差枚数カウンタは、払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、増減する遊技媒体の差枚数をカウントする。つまり、主制御部100は、差枚数カウンタの値に、払い出し数を加算し、投入数を減算するのである。 【0671】 主制御部100は、有利区間の遊技において、差枚数が許容最大数の65520枚を超えたことを契機に、有利区間の遊技を終了して、有利区間の初期化処理(リセット)を実行する。そして、主制御部100は、有利区間の遊技を再び開始したことを契機にして、差枚数カウンタの値に、初期値の63120枚にリセットする(又は、セットする)。換言すると、主制御部100は、有利区間の遊技の開始を契機にして、差枚数カウンタの値に、初期値の63120枚にリセットする(又は、セットする)。」 イ 判断 (ア) まず、本件補正により、請求項1に追加される事項(特定事項E)のうち、「前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり」の部分について検討する。 当初明細書等における「初期媒体数」に関連する記載としては、「・・・差枚数カウンタの初期値(初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数)・・・」(【0669】)、「また、差枚数カウンタの初期値は、10進数で63120(65520-2400枚)を採用している。」(【0669】)、「そして、主制御部100は、有利区間の遊技を開始したことを契機に、まず差枚数を初期値の63120枚にセットする。」(【0670】)、「そして、主制御部100は、有利区間の遊技を再び開始したことを契機にして、差枚数カウンタの値に、初期値の63120枚にリセットする(又は、セットする)。換言すると、主制御部100は、有利区間の遊技の開始を契機にして、差枚数カウンタの値に、初期値の63120枚にリセットする(又は、セットする)。」(【0671】)等が挙げられるところ、これらの記載に基づくと、「初期媒体数」としての「初期値」を、「63120」とされる特定の値とすることは、当初明細書等に記載されているといえる。 (イ) しかしながら、「初期媒体数」としての「初期値」について、「63120」とされる特定の値とすることを超えて、「10進数で60000から63135以下の何れかの値」という下限を「60000」とし、上限を「63135」とする所定の範囲とすることは、当初明細書等に記載されているとはいえない。 すなわち、当初明細書等には、そもそも「60000」や「63135」という数値自体の記載がなく、上記所定の範囲とすることの技術的意義について何ら説明がされていないのに加え、本件補正により請求項1に追加される、「2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウント」する「差数カウンタ」において、上記所定の範囲にわたる数値を初期値として設定するための技術的手段について記載も示唆もされておらず、自明のこととも認められない。 そうすると、当初明細書等には、「初期媒体数」としての「初期値」について、下限を「60000」とし、上限を「63135」とする所定の範囲とすることは記載されていないといわざるを得ず、本件補正により、請求項1に追加されることとなる「前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、」との事項、及び「有利区間の遊技を開始したこと」における「開始」の事項のうち、少なくとも「前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、」については、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。 ウ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書の「b.補正の根拠の明示」において、本件補正の根拠につき、請求項1の全補正事項は、出願当初の明細書第0669段落~第0671段落の記載に基づくものであるという旨主張するが、前記イで検討したとおり、請求人が補正の根拠とする【0669】~【0671】の記載を含めて、当初明細書等には、「前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、」について記載も示唆もされておらず、また、このことは当初明細書等の記載から自明であるともいえない。 したがって、審判請求書における請求人の主張は採用できない。 エ まとめ したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件についての検討 本件補正は、上記2(2)で検討したとおり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであるが、上記2(1)で検討したように、本件補正により特許請求の範囲でした補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当するから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について付加的に検討する。 (1) 本件補正発明の認定 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献について 原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-217001号公報(令和1年12月26日出願公開。以下「引用文献」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 ア 記載事項 (ア) 「【0008】 本明細書において、用語の意味は、以下の通りである。 「ベット」とは、遊技を行うためにメダル(遊技媒体)を賭けることをいう。メダルをベットするには、メダル投入口47から実際のメダルを手入れ投入するか、又はクレジット(貯留)されているメダルをベットするためにベットスイッチ40を操作する。 一方、「クレジット(「貯留」ともいう。)」とは、上記「ベット」とは異なり、スロットマシン10内部にメダルを貯留することをいう。本明細書では、「クレジット」というときは、「ベット」を含まない意味で使用する。 さらに、「投入」とは、メダルをベット又はクレジットすることをいう。 また、「規定数」とは、当該遊技で遊技を開始(実行)可能なベット数をいう。たとえば、規定数「2」又は「3」である遊技では、ベット数「2」又は「3」のいずれかで遊技を開始可能であり、ベット数「1」で遊技を行うことはできない。 なお、説明の便宜上、「規定数」を「ベット数」と称する場合もある。 一方、「ベット数」というときは、「規定数」以外を指す場合もある。たとえば規定数「2」又は「3」の遊技において、1枚のメダルが投入された時点(遊技開始前)では、ベット数は「1」(その時点でベットされている数)である。 【0009】 「手入れ」とは、遊技者が、メダル投入口47(後述)からメダルを投入することをいう。 「手入れベット」とは、遊技者が、メダル投入口47からメダルを手入れすることにより、メダルをベットすることをいう。 「手入れクレジット」とは、遊技者が、メダル投入口47からメダルを手入れすることにより、メダルをクレジットすること(クレジットを加算する)ことをいう。 「ベットメダル」とは、ベットされているメダルをいう。 「貯留メダル」とは、クレジット(貯留)されているメダルをいう。 【0010】 「貯留ベット」とは、遊技者がベットスイッチ40(後述)を操作することにより、当該遊技でベット可能な範囲内において、クレジットされているメダルの一部又は全部を、遊技を行うためにベットすることをいう。 「自動ベット」とは、リプレイが入賞したときに、スロットマシン10の制御処理により、前回遊技でベットされていた数のメダルを自動でベットすることをいう。 ここで、小役に対応する図柄組合せが停止表示(有効ラインに停止したことを意味する。以下同じ。)したことを「小役の入賞」と称する。一方、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(以下、単に「規則」という。)」では、リプレイに対応する図柄組合せが停止表示したときは、再遊技に係る条件装置の作動であって「入賞」ではないと解釈されている。しかし、本願(本明細書等)では、リプレイについても役の1つとして扱い(再遊技役)、リプレイに対応する図柄組合せが停止表示したことを「リプレイの入賞」と称する場合がある。 「精算」とは、ベットメダル及び/又は貯留メダルを遊技者に対して払い出すことをいう。本実施形態では、精算スイッチ43(後述)が操作されたときに精算処理を実行する。 (中略) 【0015】 本明細書において、数字の末尾(特に、8ビット)に「(B)」を付した数値は、2進数を意味する。同様に、数字の末尾に「(H)」を付した数値は、16進数を意味する。具体的には、たとえば10進数で「16」を示す数値は、2進数では「00010000(B)」と表記し、16進数では「10(H)」と表記する。また、10進数を意味する数値については、必要に応じて「16(D)」と表記する。 ただし、2進数、10進数、及び16進数のいずれであるかが明確であるときは、それぞれ「(B)」、「(D)」、「(H)」の末尾記号を省略する場合がある。 【0016】 ストップスイッチ42の「操作態様」とは、ストップスイッチ42の押し順、及び/又は操作タイミング(対象図柄が有効ラインに停止するためのストップスイッチの押すタイミング)を意味する。 また、ストップスイッチ42の「有利な操作態様」とは、ストップスイッチ42の操作態様によって遊技結果(有効ラインに停止する図柄組合せ)に有利/不利が生じる遊技において、払出しを有する若しくは払出し数の多い図柄組合せが停止する操作態様、有利なRTに移行(昇格)する図柄組合せが停止する操作態様、又は不利なRTに移行(転落)しない図柄組合せが停止する操作態様をいう。「有利な操作態様」は、正解操作態様、正解押し順とも称される。 (中略) 【0018】 「指示機能」とは、ストップスイッチ42の操作態様を遊技者に指示する機能を意味する。指示機能は、原則として、ストップスイッチ42の有利な操作態様を遊技者に指示する機能である。 いいかえれば、「指示機能」は、入賞を容易にする装置を指す。 なお、「指示」内容を見えるように示すことが「表示」であり、指示内容を遊技者に知らせることが「報知」である。よって、「指示機能」は、「表示機能」でもあり、「報知機能」でもある。 (中略) 【0020】 4枚役を入賞させるための押し順は、10枚役を入賞させない押し順であるから、最も有利となる操作態様ではない。しかし、ベット数「3」に対して払出し数「4」となり、当該遊技の差枚数は「+1」となるから、差枚数を増加させる操作態様であり、必ずしも不利な操作態様とはいえない。 同様に、3枚役を入賞させるための押し順は、10枚役を入賞させない押し順であるから、最も有利な操作態様ではない。しかし、ベット数「3」に対して払出し数「3」となり、差枚数を現状維持する(差枚数を減少させない)操作態様であるから、必ずしも不利な操作態様とはいえない。 (中略) 【0024】 「遊技区間」には、「通常区間(非有利区間)」と「有利区間」とを備える。なお、5.9号機では「待機区間」(有利区間抽選に当選したが、未だ有利区間に移行していない遊技区間)を設けていたが、現時点での6号機規則では、「待機区間」等は設けられていない。ただし、これに限らず、通常区間及び有利区間以外の遊技区間を設けてもよい。 「通常区間」とは、指示機能に係る信号、具体的には後述する押し順指示番号や入賞及びリプレイ条件装置番号(正解押し順を判別可能な情報)を周辺基板(たとえば、サブ制御基板80)に送信することを禁止する遊技区間であり、かつ、指示機能に係る性能に一切影響を及ぼさない(指示機能に係る処理を実行しない)遊技区間を指す。換言すれば、通常区間は、操作態様を報知できない遊技区間である。ただし、役の抽選に加え、有利区間に移行するか否かの決定(抽選等)を行うことができる。 【0025】 通常区間では、指示機能を作動させてはならないため、メイン制御基板60と電気的に接続された所定の表示装置(LED等)での押し順指示情報の表示を行うことができないし、指示機能に係る信号を周辺基板に送信しないので、サブ制御基板80に電気的に接続された画像表示装置23による有利な操作態様の表示(報知)を行うこともできない。 【0026】 一方、「有利区間」とは、指示機能に係る性能を有する(指示機能を作動させてよい)遊技区間であり、具体的には、指示機能を作動させる場合には、メイン制御基板60において指示内容(ストップスイッチ42の操作態様)が識別できるように押し順指示情報を表示する場合に限り、指示機能に係る信号をサブ制御基板80に送信することができる遊技区間を指す。換言すれば、有利区間は、指示機能の作動ができる(指示機能を作動させてもよい)遊技区間、すなわちストップスイッチ42の操作態様の表示ができる(表示してもよい)遊技区間である。 ただし、サブ制御基板80は、メイン制御基板60が行う指示内容や、受信した指示機能に係る信号に反する演出を出力することはできない。 【0027】 また、有利区間は、ストップスイッチ42の操作態様によって遊技結果に有利/不利が生じる遊技であっても、指示機能を作動させなくても差し支えない。 一方、有利区間中は、ストップスイッチ42の操作態様によって遊技結果に有利/不利が生じる遊技では、常に指示機能を作動させてストップスイッチ42の操作態様を表示してもよい。 AT(報知遊技状態)は、ストップスイッチ42の操作態様によって遊技結果に有利/不利が生じる遊技において、ストップスイッチ42の操作態様を報知する遊技状態である。したがって、ATは、常に有利区間中であり、非有利区間中にATが実行されることはない。 (中略) 【0033】 ここで、有利区間の「所定の終了条件」とは、後述する差数カウンタ値が「2400(D)」を超えたこと、又は後述する有利区間クリアカウンタ(有利区間中の遊技回数)が「1500(D)」に到達したことが挙げられる。これらのいずれかの条件を満たしたときは、有利区間の終了条件を満たすと判断し、次回遊技から通常区間(非有利区間)に移行する。この場合、最終遊技がATであっても、有利区間の終了と同時にATも終了する。 (中略) 【0037】 「有利区間に係る処理」とは、たとえば以下の処理が挙げられる。 1)有利区間の(移行)抽選 2)有利区間クリアカウンタの更新(減算、クリア) 3)差数カウンタの更新(演算、クリア) 4)有利区間種別フラグの更新 5)有利区間表示LED77の制御(有利区間表示LEDフラグの更新) (中略) 【0039】 そして、現時点における規則では、有利区間に係る処理、及び指示機能に係る処理は、いずれも、以下を除き、一の遊技状態(RT)において、一の規定数で実行可能と定められている。そこで、本実施形態では、規定数「3」では有利区間に係る処理及び指示機能に係る処理を実行可能とし、規定数「2」では有利区間に係る処理及び指示機能に係る処理を実行不可能とした。 ただし、有利区間中においては、有利区間クリアカウンタの更新、及び差数カウンタの更新は、いずれの規定数であっても、実行する必要がある。 (中略) 【0041】 さらにまた、有利区間移行抽選(有利区間に係る処理)を実行した結果、有利区間移行抽選に当選したときは、次回遊技から有利区間となる。したがって、有利区間移行抽選(有利区間に係る処理)を実行し、有利区間に当選した遊技で、正解押し順の報知(指示機能に係る処理)を実行することはできない。 ただし、有利区間移行抽選(有利区間に係る処理)とAT抽選(指示機能に係る処理)とを一遊技で行うことは差し支えない。さらに、たとえば、特定の役抽選結果となったときは、(抽選を実行することなく)有利区間かつATに決定してもよい。」 (イ) 「【0055】 以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。 図1は、本実施形態における遊技機の一例であるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。本実施形態は、第1実施形態~第5実施形態からなる。そして、図1は、第1実施形態~第5実施形態に共通するブロック図である。 スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。 メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(図1で図示したもののみを備える意味ではない)。メイン制御基板50の外観や、メイン制御基板50が基板ケース56に収納されていることについては、第2実施形態(図9及び図10)で説明する。 (中略) 【0057】 RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体である。 ROM54は、遊技の進行に必要なプログラムや各種データ(たとえば、データテーブル)等を記憶しておく記憶媒体である。 メインCPU55は、メイン制御基板50上に設けられたCPU(演算機能を備えるIC)を指し、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、具体的には、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行する。 (中略) 【0063】 また、図1に示すように、メイン制御基板50には、遊技者が操作する操作スイッチとして、ベットスイッチ40(40a又は40b)、スタートスイッチ41、(左、中、右)ストップスイッチ42、及び精算スイッチ43が電気的に接続されている。 ここで、「操作スイッチ(又は、単に、「スイッチ」)」とは、遊技者(操作者)による操作体の操作に基づいて(外部からの力を受け)、電気信号のオン/オフを切り替える装置(電気回路及び/又は電気部品を含む)を指し、遊技者が操作する操作体の形状を限定するものではない。 (中略) 【0068】 ベットスイッチ40は、貯留されたメダルを今回遊技のためにベットするときに遊技者に操作される操作スイッチである。本実施形態では、1枚のメダルを投入するための1ベットスイッチ40aと、3枚(最大数、規定数)のメダルを投入するための3ベットスイッチ40bとを備える。 なお、これに限らず、2枚ベット用のベットスイッチを設けてもよい。 (中略) 【0070】 また、スタートスイッチ41は、(左、中、右のすべての)リール31を始動させるときに遊技者に操作される操作スイッチである。 さらにまた、ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者に操作される操作スイッチである。 さらに、精算スイッチ43は、スロットマシン10内部にベット及び/又は貯留(クレジット)されたメダルを払い戻す(ペイアウトする)ときに遊技者に操作される操作スイッチである。 (中略) 【0075】 図1において、メイン制御基板50には、図柄表示装置のモータ(本実施形態ではステッピングモータ)32等が電気的に接続されている。 図柄表示装置は、図柄を表示する(本実施形態では3つの)リール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32と、リール31の位置を検出するためのリールセンサ33とを含む。 【0076】 モータ32は、リール31を回転させるための駆動手段となるものであり、各リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段65によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。 【0077】 リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。 また、各リール31には、1個(2個以上であってもよい)のインデックスが設けられている。インデックスは、リール31のたとえば周側面に凸状に設けられており、リール31が所定位置を通過したか否かや、1回転したか否か等を検出するときに用いられる。そして、各インデックスは、リールセンサ33により検知される。リールセンサ33の信号は、メイン制御基板50に電気的に接続されている。そして、インデックスがリールセンサ33を検知する(切る)と、その入力信号がメイン制御基板50に入力され、そのリール31が所定位置を通過したことが検知される。 (中略) 【0082】 遊技者は、遊技を開始するときは、ベットスイッチ40の操作により予めクレジットされたメダルを投入するか(貯留ベット)、又はメダル投入口47からメダルを手入れ投入する(手入れベット)。当該遊技の規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、役抽選手段61による抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示される。 【0083】 そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(たとえば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、役抽選手段61の抽選結果(内部抽せん手段により決定した結果)に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。 【0084】 そして、すべてのリール31の停止時における図柄組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示する。さらに、いずれかの役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。 【0085】 次に、メイン制御基板50の具体的構成について説明する。 図1に示すように、メイン制御基板50のメインCPU55は、以下の役抽選手段61等を備える。本実施形態における以下の各手段は例示であり、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。 (ウ) 「【0505】 図35は、RWM53に記憶されるデータのアドレス、ラベル名、バイト数、並びに名称及び内容を示す図である。 なお、図35に示すデータは、第11実施形態の説明で用いるためのものであり、RWM53に記憶されるデータは、これらに限られるものではない。 (中略) 【0528】 アドレス「F065(H)」は、差数カウンタ(_SC_24HGAME )の記憶領域である。差数カウンタは、有利区間中における差枚数の累積値に対応する値を記憶するカウンタであり、「MYカウンタ」とも称される。 差数カウンタは、単に、差枚数の累積値そのものを記憶するのではなく、差枚数の累積値に「対応する値」を記憶する。たとえば、差枚数がマイナスに相当する値となったときは、その値を「0(H)」に補正する。したがって、「差枚数の累積値≠差数カウンタ値」である。 差数カウンタは、有利区間中の差枚数の累積値に対応する値が「2400(D)」を超えたか否かを判断するためのインクリメントカウンタである。このため、差数カウンタは、2バイトの記憶領域から構成される。 【0529】 差数カウンタは、少なくとも有利区間中の差枚数の累積値をカウントすれば足り、非有利区間(通常区間)中のカウントはしなくてもよい。 ここで、有利区間であることを条件に差数カウンタ値を更新するときは、毎遊技、当該遊技が有利区間であるか否かを判断する処理が必要となる。このため、本実施形態では、非有利区間(通常区間)中も含めて差数カウンタ値の更新を実行する。このようにすれば、毎遊技、当該遊技が有利区間であるか否かを判断することなく差数カウンタ値を更新できるので、処理を簡素化することができる。 【0530】 さらに、今回遊技で差枚数がマイナスとなり、差枚数の累積値に対応する値が繰り下がりのデータとなったときでも、差数カウンタ値を更新する。ただし、その演算の結果、差数カウンタが繰り下がりデータであるときは、差数カウンタ値を「0」にする補正を行う。 【0531】 具体例を挙げると(1遊技目開始時の差数カウンタ値を「0(H)」とする)、 1遊技目:ベット数「3」、払出し数「0」のとき、演算後の差数カウンタは「FFFD(H)」、補正後の差数カウンタ「0(H)」 2遊技目:ベット数「3」、払出し数「9」、演算後の差数カウンタ「0006(H)」(補正なし) 3遊技目:ベット数「3」、払出し数「0」、演算後の差数カウンタ「0003(H)」(補正なし) 4遊技目:ベット数「3」、払出し数「1」、演算後の差数カウンタ「0001(H)」(補正なし) 5遊技目:ベット数「3」、払出し数「0」、演算後の差数カウンタ「FFFE(H)」、補正後の差数カウンタ「0(H)」 のように更新される。 なお、前回遊技の差数カウンタが「0(H)」であり、今回遊技の差数カウンタが「0(H)」であっても、当該遊技の差数を反映した差数カウンタ値を改めて算出した結果であるので、このような場合も差数カウンタの「更新」に相当する。 【0532】 以上のように、演算後の差数カウンタ値が桁下がりを生じた値であるときは、差数カウンタ値を「0」に補正する(初期値「0」をセットする)。なお、桁下がりが生じたか否かの判断方法については後述する。 このような差数カウンタ値の更新により、たとえばベット数に対して払出し数が多いとき、すなわち差枚数の増加中であるときは、差数カウンタ値は遊技の進行とともにその値が増加する。これに対し、払出し数がベット数を下回るとき、たとえば通常区間中の遊技では、差数カウンタ値は、小役の入賞に基づく払出しがあったときはその払出し数だけ増えるものの、その後、払出し数がベット数を下回れば、やがて「0」となる。 【0533】 図36は、差数カウンタ値の概念を説明する図(スランプグラフ)であり、(a)は例1を示し、(b)は例2を示す。図36中、横軸は遊技回数であり、縦軸は差数である。 例1では、最初に、遊技の進行とともに差数がマイナス方向に進んだが、途中から、たとえばATが開始されたことに伴い、差数が上昇に転じた例を示している。そして、差数カウンタは、遊技の進行過程において差数が最低値となった時点を「0」としてカウントされるので、図中、矢印で示す範囲が差数の増加量として差数カウンタによってカウントされる。上述したように、本実施形態では、差数カウンタ値が「2400(D)」を超えたときに有利区間を終了する(次回遊技は、通常区間の遊技となるように制御する)。 【0534】 なお、差数カウンタが「2400(D)」を超えたときに有利区間の終了条件を満たすので、たとえば今回遊技の終了時に差数カウンタがちょうど「2400(D)」であるときは、今回遊技では、有利区間の終了条件を満たさない。 そして、次回遊技において、遊技機での最大の差枚数を獲得すると仮定すると、ベット数「1」、払出し数「15」の場合であるので、当該次回遊技での差枚数は「+14」となり、当該次回遊技終了時における差数カウンタ値は「2414(D)」となる。差数カウンタが「2414(D)」であるときは、有利区間の終了条件を満たすと判断される。 したがって、差数カウンタの取り得る最大値は、「2414(D)」である。 【0535】 なお、差数カウンタが「2400(D)」を超えたか否かの判断は、RWM53に記憶された差数カウンタ値を読み込んで判断することのみに限らず、更新等のためにレジスタに一時記憶している差数カウンタ値を判断することも含まれる(以下同じ)。 また、レジスタに一時記憶している差数カウンタ値に基づいて「2400(D)」を超えたか否かの判断をした場合において、「2400(D)」を超えていないと判断したときは、レジスタの差数カウンタ値をRWM53に記憶(保存)する。これに対し、「2400(D)」を超えていると判断したときは、その差数カウンタ値をRWM53に記憶せず、かつ、RWM53に記憶された差数カウンタ値をクリアするように制御することも可能である。 【0536】 また、例2は、例1と同様に、遊技の進行とともに差数がマイナス方向に進んだが、途中から、たとえばATが開始されたことに伴い、差数が上昇に転じた例を示している。例2では、差数カウンタが「2400(D)」を超えたときも、差数の累積値はプラスとなっていないが、このような場合であっても有利区間を終了することとなる。すなわち、それまでの遊技の進行に伴う差数の累積値とは無関係に、差数が最低値となった時点から数えて、差数カウンタ値が「2400(D)」を超えれば、有利区間を終了する(次回遊技は、通常区間の遊技となるように制御する)。 (中略) 【0538】 これに対し、差数カウンタをクリアする処理が、有利区間中特有の処理であれば、通常区間中に差数カウンタが「2400(D)」を超えても差数カウンタはクリアされない。 なお、有利区間を開始するとき(有利区間の1遊技目)は、差数カウンタをクリアする(初期値「0」をセットする。後述する図45のステップS354。)。したがって、有利区間の開始前の差数カウンタがいくつであっても問題はない。 そして、 1)有利区間中に差数カウンタが「2400(D)」を超えたとき、 2)有利区間の遊技回数が1500遊技に到達したとき、 は、有利区間の終了条件を満たす。 有利区間の終了条件を満たすときは、差数カウンタをクリア(初期化)する。有利区間の終了時に差数カウンタをクリアするのは、有利区間を終了して通常区間に移行するときに、有利区間に関するデータ(値)を通常区間に持ち越さないようにするためである。差数カウンタのクリアは、後述する図51中、ステップS435で実行される。」 (エ) 「【0664】 これに対し、上限値を超えていると判断したとき(キャリーフラグが「0」のとき)は、ステップS435に進む。なお、差数カウンタが上限値を超えているときは、有利区間の終了条件を満たすこととなる。 ステップS435では、RWM53において、有利区間に関する記憶領域を初期化(有利区間に関するデータをクリア)する。有利区間に関するデータとしては、有利区間クリアカウンタ、有利区間種別フラグ、差数カウンタ、有利区間表示LEDフラグ、ATフラグ、AT遊技回数カウンタ等が挙げられる。さらには、メイン遊技状態の情報が挙げられる。なお、有利区間に関する情報には、RT状態番号、LED表示カウンタ等は含まれない。具体的には、図35中、「F000(H)」~「F052(H)」は、含まれない。」 (オ) 【図1】 「 [図:0001413180000001.jpg] 」 (カ) 【図35】 「 [図:0001413180000002.jpg] 」 (キ) 【図36】 「 [図:0001413180000003.jpg] 」 イ 引用発明 上記アの記載事項から、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 なお、符号a等は本件補正発明の分説に概ね対応させて当審合議体で付した(分説された引用発明の構成を、符号に基づき以下「a」等という。)。 (引用発明) 「a 制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備え、メイン制御基板50は、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備え(【0055】)、RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データを記憶可能な記憶媒体であり、ROM54は、遊技の進行に必要なプログラムや各種データを記憶しておく記憶媒体であり、メインCPU55は、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行し(【0057】)、 図柄表示装置は、図柄を表示するリール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32とを含み、リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄を印刷したリールテープを貼付しており、左リール31、中リール31、右リール31からなり、モータ32は、メイン制御基板50に電気的に接続された、リール31を回転させるための駆動手段であって、各リール31の回転中心部に連結され(【0075】~【0077】)、 メイン制御基板50には、遊技者が操作する操作スイッチとして、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、(左、中、右)ストップスイッチ42が電気的に接続されており(【0063】)、ベットスイッチ40は、貯留されたメダルを今回遊技のためにベットするときに遊技者に操作される操作スイッチであり(【0068】)、スタートスイッチ41は、リール31を始動させるときに遊技者に操作される操作スイッチであり、ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者に操作される操作スイッチであり(【0070】)、 遊技者は、遊技を開始するときは、ベットスイッチ40の操作により予めクレジットされたメダルを投入するか(貯留ベット)、又はメダル投入口47からメダルを手入れ投入し(手入れベット)、当該遊技の規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50のリール制御手段65がこの信号を受信すると、役抽選手段61による抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御し、リール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示され(【0082】)、ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50のリール制御手段65がこの信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、メインCPU55が備える役抽選手段61の抽選結果に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行い(【0083】、【0085】)、すべてのリール31の停止時における図柄組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示し、いずれかの役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止したとき入賞した役に対応するメダルの払出しが行われる(【0084】)スロットマシン10であって(【0055】)、 cfg 「遊技区間」には、「通常区間」と「有利区間」とを備え、「通常区間」は、ストップスイッチ42の操作態様を遊技者に指示する機能である指示機能に係る処理を実行しない遊技区間であって、ストップスイッチ42の押し順等の操作態様を報知できない遊技区間であり(【0016】、【0018】、【0024】)、「有利区間」は、指示機能の作動ができる遊技区間であって、ストップスイッチ42の操作態様の表示ができる遊技区間であり(【0026】)、通常区間では、有利区間に移行するか否かの決定(抽選等)を行うことができ(【0024】)、遊技状態(RT)において実行可能な有利区間に係る処理としての有利区間移行抽選を実行した結果、有利区間移行抽選に当選したときは、次回遊技から有利区間となり(【0039】、【0041】)、 bdehi メイン制御基板50のRWM53における(【0055】、【0505】)差数カウンタは、2バイトの記憶領域から構成され、有利区間中における、ベット数と払出し数の差枚数の累積値に対応する値を記憶するカウンタであり(【0020】、【0528】)、 数字の末尾に(H)を付した数値は16進数を意味し、10進数を意味する数値については、必要に応じて(D)を表記することとして(【0015】)、差数カウンタ値が「2400(D)」を超えたときは、有利区間の終了条件を満たすと判断し、次回遊技から通常区間に移行し(【0033】)、 有利区間を開始するときは、差数カウンタをクリアして、初期値「0」をセットし、有利区間中に差数カウンタが「2400(D)」を超えて、有利区間の終了条件を満たすときは、差数カウンタをクリアし(【0538】)、差数カウンタは、差枚数がマイナスに相当する値となったときは、その値を「0(H)」に補正する(【0528】) j スロットマシン10(【0055】)。」 (3) 対比・判断 ア 本件補正発明と引用発明の対比 (ア) 特定事項Aについて 引用発明のaにおける「外周面には複数種類の図柄を印刷したリールテープを貼付し」た「左リール31、中リール31、右リール31からな」る「リール31」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴」に相当する。 次に、引用発明のaにおける、「メダル」、「遊技を開始するとき」の「ベットスイッチ40の操作により予めクレジットされたメダルを投入する」こと又は「メダル投入口47からメダルを手入れ投入」すること、「ベットスイッチ40」又は「メダル投入口47」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Aにおける、「遊技媒体」、「遊技に必要とする遊技媒体を投入する」こと、「投入手段」に相当する。 次に、引用発明のaにおける「役の抽選」「を実行」する「メインCPU55」を「備え」た「メイン制御基板50」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「役の抽選を行う役抽選手段」に相当する機能を有するものである。 次に、引用発明のaでは、「モータ32」は、「各リール31の回転中心部に連結され」て「各リール31をそれぞれ駆動する」ものであり、「スタートスイッチ41」は、「リール31を始動させるときに遊技者に操作される操作スイッチ」であり、「ストップスイッチ42」は、「3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者に操作される操作スイッチ」であることを踏まえると、引用発明のaにおいて、「スタートスイッチ41が操作され」た「ときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50のリール制御手段65がこの信号を受信する」と行われる、「すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御」することは、本件補正発明の特定事項Aにおける、「複数の回胴を回転させ」ることに相当し、また、引用発明のaにおいて、「ストップスイッチ42が操作され」る「ときに発生する信号」を「メイン制御基板50のリール制御手段65が」「受信する」と行われる、「そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、」「そのモータ32に係るリール31の停止制御を行」うことは、本件補正発明の特定事項Aにおける、「各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ」ることに相当し、さらに、引用発明のaにおいて、「メインCPU55が備える役抽選手段61の抽選結果に対応するように」、「リール31の停止制御」(回胴の停止)を行い、「すべてのリール31の停止時における図柄組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示」することは、本件補正発明の特定事項Aにおける、「役の抽選結果に応じて図柄を表示する」ことに相当するとともに、上記した、「リール31を回転させるように制御」(回胴の回転)し、「リール31の停止制御を行」って「今回遊技の遊技結果を表示」(回胴の停止、図柄の表示)する等の「リール31の駆動制御」「を実行」する「メインCPU55」を「備え」た「メイン制御基板50」は、本件補正発明の特定事項Aの「制御手段」に相当する機能を有するものである。 次に、引用発明のaにおける、「いずれかの役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止した」こと、「入賞した役に対応する」「メダル」(遊技媒体)「の払出しが行われる」ことは、それぞれ、本件補正発明の特定事項Aにおける、「役の抽選で当選した役が入賞する」こと、「入賞した役に応じた遊技媒体を払い出す」ことに相当するとともに、「入賞時の払出し」「を実行」する「メインCPU55」を「備え」た「メイン制御基板50」は、本件補正発明の特定事項Aの「払出手段」に相当する機能を有するものである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項A(「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、遊技に必要とする遊技媒体を投入する投入手段と、役の抽選を行う役抽選手段と、複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記役の抽選結果に応じて図柄を表示する制御手段と、前記役の抽選で当選した役が入賞すると、入賞した役に応じた遊技媒体を払い出す払出手段と、」「を具備し、」)を備えている。 (イ) 特定事項Fについて 引用発明のcfgにおける、「ストップスイッチ42」(停止スイッチ)「の操作態様を遊技者に指示する機能である指示機能に係る処理を実行しない遊技区間」としての「通常区間」、「指示機能の作動ができる遊技区間」としての「有利区間」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Fにおける、「停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間」、「指示機能が発動可能な有利区間」に相当し、上記「通常区間」と上記「有利区間」のそれぞれにおいて「遊技」が行われることは明らかである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項F(「前記遊技には、前記停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、該指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでおり、」)を備えている。 (ウ) 特定事項Bについて 引用発明のbdehiにおける、「ベット数」、「払出し数」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Bにおける、「投入した遊技媒体の数」、「払い出した遊技媒体の数」に相当し、これを踏まえると、引用発明のbdehiにおける、「ベット数と払出し数の差枚数の累積値に対応する値」、「ベット数と払出し数の差枚数の累積値に対応する値を記憶するカウンタ」としての「差数カウンタ」、「有利区間を開始するとき」に「セット」される「差数カウンタ」の値としての「初期値」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Bにおける、「払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、初期媒体数から増減する遊技媒体の差数」、「払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、初期媒体数から増減する遊技媒体の差数をカウントする差数カウンタ」、「初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数」に相当し、また、引用発明の上記「初期値」(初期媒体数)については、「有利区間を開始するとき」に「セット」されるために、これを記憶する手段を要することが当然であるから、引用発明の「スロットマシン10」が、本件補正発明の特定事項Bの「記憶手段」に相当する手段を備えることは明らかである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項B(「初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数を記憶する記憶手段と、払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、前記初期媒体数から増減する遊技媒体の差数をカウントする差数カウンタと、」「を具備し、」)を備えている。 (エ) 特定事項Eについて 引用発明のbdehiにおける「差数カウンタ」は「2バイトの記憶領域から構成され」るものであるところ、当該「差数カウンタ」が、本件補正発明の特定事項Eと同様に、「2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で差数をカウント」することは、技術常識を踏まえて明らかである。 また、引用発明のbdehiにおける「初期値」が本件補正発明の「初期媒体数」に相当することは上記(ウ)で述べたとおりであり、「初期値」としての「0」は、本件補正発明の「10進数で60000から63135以下の何れかの値」と、「特定の値」である点で共通する。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項Eと、「差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で差数をカウントし、初期媒体数は特定の値である」点で共通する。 (オ) 特定事項C、特定事項Gについて 引用発明のcfgの「有利区間」は、「指示機能の作動ができる遊技区間であって、ストップスイッチ42の操作態様の表示ができる遊技区間」であり、引用発明の「ストップスイッチ42」が本件補正発明の「停止スイッチ」に相当することは上記(ア)で述べたとおりであるから、引用発明の上記「有利区間」において「操作態様の表示」がなされる「遊技」は、本件補正発明の特定事項Cにおける「停止スイッチの操作態様が報知されるアシスト遊技」に相当し、当該遊技を行うために、引用発明の「スロットマシン10」が、本件補正発明の特定事項Cの「アシスト遊技実行手段」に相当する手段を備えることは明らかである。 そして、引用発明のcfgでは、「遊技状態(RT)において」「有利区間移行抽選を実行した結果、」「当選したとき」に「次回遊技から有利区間とな」るとされるところ、上記「有利区間」が、「役に対応するメダルの払出し」(引用発明のa)に関して「有利」な「区間」であることは技術常識であるから、引用発明の上記「有利区間移行抽選」は、本件補正発明の特定事項Cの「放出抽選」に相当し、当該抽選を行うために、引用発明の「スロットマシン10」が、本件補正発明の特定事項Cの「放出抽選実行手段」に相当する手段を備えることは明らかである。 次に、引用発明は、上記したように、「有利区間移行抽選」(放出抽選)に「当選」して移行した「有利区間」において、「操作態様の表示」がなされる「遊技」(アシスト遊技)を行うことができるものであるところ、さらに、引用発明のbdehiでは、「差数カウンタ値が「2400(D)」を超えたときは、有利区間の終了条件を満たすと判断し、次回遊技から通常区間に移行」するとされている。ここで、「差数カウンタ値」としての「2400(D)」が本件補正発明の特定事項Hの「許容最大数」に相当することも踏まえると、引用発明において、「有利区間」に「操作態様の表示」がなされる「遊技」(アシスト遊技)を行い、「差数カウンタ値が「2400(D)」を超えたときは、有利区間の終了条件を満たすと判断」し、「次回遊技から通常区間に移行」することは、本件補正発明の特定事項Cの「差数が許容最大数を超えるまで、アシスト遊技を実行可能とする一方、差数が許容最大数を超えた場合には、アシスト遊技を終了して、通常区間の遊技に移行させ」ることに相当する。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項C(「放出抽選を行う放出抽選手段と、前記停止スイッチの操作態様が報知されるアシスト遊技を実行するアシスト遊技実行手段と、」「を具備し、」)、及び特定事項G(「前記放出抽選で当選した場合において、前記アシスト遊技実行手段は、前記差数が許容最大数を超えるまで、前記アシスト遊技を実行可能とする一方、前記差数が前記許容最大数を超えた場合には、前記アシスト遊技を終了して、前記通常区間の遊技に移行させ、」)を備えている。 (カ) 特定事項D、特定事項Hについて 上記(オ)で検討したように、引用発明は、本件補正発明の特定事項Hの「差数が許容最大数を超えることによって、アシスト遊技が終了して、通常区間の遊技に移行」する構成を備えている。 そして、引用発明のbdehiにおける、「有利区間を開始するときは、差数カウンタをクリアして、初期値「0」をセット」することは、上記(ウ)における検討(初期媒体数)も踏まえると、本件補正発明の特定事項Hにおける、「有利区間の遊技を開始したことを契機に、差数を初期媒体数にリセット」することに相当し、そのために、引用発明の「スロットマシン10」が、本件補正発明の特定事項Dの「差数を初期媒体数にリセットするリセット手段」に相当する手段を備えることは明らかである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項D(「前記差数を前記初期媒体数にリセットするリセット手段と、」)、及び特定事項H(「前記リセット手段は、前記差数が前記許容最大数を超えることによって、前記アシスト遊技が終了して、前記通常区間の遊技に移行した場合、前記有利区間の遊技を開始したことを契機に、前記差数を前記初期媒体数にリセットし、」)を備えている。 (キ) 特定事項Iについて 引用発明のbdehiにおいて、「差数カウンタは、差枚数がマイナスに相当する値となったときは、その値を「0(H)」に補正する」ことは、本件補正発明の特定事項Iにおいて、「差数カウンタは、差数が負の値になる場合、該差数の値を0にすること」に相当する。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の特定事項I(「前記差数カウンタは、前記差数が負の値になる場合、該差数の値を0にすること、」)を備えている。 (ク) 特定事項Jについて 引用発明のjの「スロットマシン10」は、本件補正発明の特定事項Jの「遊技機」に相当する。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成J(「遊技機。」)を備えている。 イ 本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点 上記アにおける検討を踏まえると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 遊技に必要とする遊技媒体を投入する投入手段と、 役の抽選を行う役抽選手段と、 複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記役の抽選結果に応じて図柄を表示する制御手段と、 前記役の抽選で当選した役が入賞すると、入賞した役に応じた遊技媒体を払い出す払出手段と、 B 初期状態における遊技媒体の数である初期媒体数を記憶する記憶手段と、 払い出した遊技媒体の数と、投入した遊技媒体の数に基づいて、前記初期媒体数から増減する遊技媒体の差数をカウントする差数カウンタと、 C 放出抽選を行う放出抽選手段と、 前記停止スイッチの操作態様が報知されるアシスト遊技を実行するアシスト遊技実行手段と、 D 前記差数を前記初期媒体数にリセットするリセット手段と、 を具備し、 E’ 前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、 前記初期媒体数は、特定の値であり、 F 前記遊技には、前記停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、該指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでおり、 G 前記放出抽選で当選した場合において、 前記アシスト遊技実行手段は、前記差数が許容最大数を超えるまで、前記アシスト遊技を実行可能とする一方、前記差数が前記許容最大数を超えた場合には、前記アシスト遊技を終了して、前記通常区間の遊技に移行させ、 H 前記リセット手段は、前記差数が前記許容最大数を超えることによって、前記アシスト遊技が終了して、前記通常区間の遊技に移行した場合、前記有利区間の遊技を開始したことを契機に、前記差数を前記初期媒体数にリセットし、 I 前記差数カウンタは、前記差数が負の値になる場合、該差数の値を0にする J 遊技機。」 <相違点>(特定事項Eについて) 本件補正発明における「初期媒体数」としての特定の値は、「10進数で60000から63135以下の何れかの値」であるのに対し、引用発明における「初期値」(初期媒体数)としての特定の値は「0」である点。 (4) 当審合議体の判断 上記相違点について検討する。 引用発明における差数カウンタにおいて、「初期値」をいかなる値とするかは、当該差数カウンタにより必要な範囲の差数をカウントすることのできる値の中から当業者が適宜選択しうることと認められるから、引用発明の差数カウンタにおいて採用する「初期値」(初期媒体数)を、本件補正発明のように「10進数で60000から63135以下の何れかの値」とし、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、初期値をかかる範囲内の値から選択することにより、かかる範囲内の値から選択しない場合と比べて格別優れた効果が得られるものとも認められない以上、当業者が容易に想到し得たことである。 (5) 請求人の主張について 請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」において、以下のとおり主張する。 「d.請求項1に係る発明と引用例との対比 請求項1に係る発明は、上記の通りで御座いますが、特に「前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、 前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、 前記遊技には、前記停止スイッチの操作態様を指示する指示機能が発動しない通常区間の遊技と、該指示機能が発動可能な有利区間の遊技とを含んでおり、 前記放出抽選で当選した場合において、 前記アシスト遊技実行手段は、前記差数が許容最大数を超えるまで、前記アシスト遊技を実行可能とする一方、前記差数が前記許容最大数を超えた場合には、前記アシスト遊技を終了して、前記通常区間の遊技に移行させ、 前記リセット手段は、前記差数が前記許容最大数を超えることによって、前記アシスト遊技が終了して、前記通常区間の遊技に移行した場合、前記有利区間の遊技を開始したことを契機に、前記差数を前記初期媒体数にリセットし、 前記差数カウンタは、前記差数が負の値になる場合、該差数の値を0にすること、」に特徴付けられるもので御座います。 ところで、本願発明と引用文献等とは一見すると類似しているとは思いますが、上記特徴的構成について具体的に記載乃至示唆しておらず、当業者と雖も容易に創作できるものでは御座いません。 従いまして、本願発明の進歩性は肯定されるべきものと思料致します。」 しかし、上記(3)ア(エ)で述べたように、引用発明における「差数カウンタ」は「2バイトの記憶領域から構成され」るものであり、当該「差数カウンタ」が、本件補正発明と同様に、「2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で差数をカウント」することは、技術常識を踏まえて明らかであり、また、引用発明における「初期値」(初期媒体数)を、本件補正発明の「10進数で60000から63135以下の何れかの値」とすることが当業者であれば容易に想到し得たものであることは、上記(4)で述べたとおりである。 これらにより、審判請求書における請求人の主張を採用することはできない。 (6) まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであり、仮にそうでないとしても特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年3月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は前記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含んでいる。 「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 ●理由1(新規性)について ・請求項1 ・引用文献等1 <引用文献等一覧> 1.特開2019-217001号公報」 3 引用文献について (1) 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項は、前記第2[理由]3(2)アに示したとおりである。 (2) 引用発明 前記第2[理由]3(2)アに示した記載事項から認定される引用発明は、前記第2[理由]3(2)イに示したとおりである。 4 対比 本願発明は、前記第2[理由]3で独立特許要件を付加的に検討した本件補正発明において、「差数カウンタ」による「差数」の「カウント」については、「2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)」で行うことを特定することで、差数をカウントする際の態様についてした特定を削除し、「初期媒体数」については、「10進数で60000から63135以下の何れかの値」であることを特定することで、初期媒体数が取り得る数値範囲についてした限定を削除することで、本件補正発明の発明特定事項(特定事項A~特定事項J)から、「前記差数カウンタは、2バイトのバッファで0000000000000000~1111111111111111の2進数の何れかの値(10進数に換算すると、0から65535以下の何れかの値)で前記差数をカウントし、前記初期媒体数は、10進数で60000から63135以下の何れかの値であり、」(特定事項E)を削除し、さらに、「差数」を「初期媒体数にリセット」する「契機」について、「有利区間の遊技を開始したこと」とした特定(特定事項H)から、「開始」の限定を削除して上位概念化したものである。 そして、引用発明が、本件補正発明の発明特定事項(特定事項A~特定事項J)のうち特定事項Eを除く構成を備えることは、同じく前記第2[理由]3(3)で述べたとおりである。 そうすると、本願発明と引用発明とは相違するところがなく、本願発明は引用文献に記載された発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、他の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-018117

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