特許拒絶査定不服審判
2022-002903
遊技機
- 審判番号
- 2022-002903
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-160019
- 請求日
- 2022年02月28日
- 審決日
- 2023年02月21日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】松浦 弘
- 【請求人代理人】軸見 可奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 審判官 北川 創
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .561-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-160019「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和2年3月5日出願公開、特開2020-31812〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月29日の出願であって、令和3年4月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月18日付け(謄本送達日:同年同月30日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和4年2月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年2月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容について
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年6月21日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機において、
前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となる変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示し、
前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆する変化要因アイコンを表示部に出現させる遊技機。」とあったのを、
「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機において、
前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となり、前記信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示し、
前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。以下、本件補正後の請求項1に係る発明を「本件補正発明」という。
2 本件補正の適否について
(1) 本件補正の目的
ア 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から第2形態へ変化させる変化演出」における「第2形態」について、「遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い」ものであるとの限定を付加し、
同じく、本件補正前の請求項1に記載された「前記演出要素が変化する契機となる変化要因」について、「前記信頼度が結びつけられた」ものであるとの限定を付加し、
本件補正前の請求項1に記載された「前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆する変化要因アイコン」について、「前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」ものであるとの限定を付加するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるといえる。
イ したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。
(2) 新規事項の追加の有無について
本件補正により、請求項1に追加されることとなる「前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる」との事項(以下「変化要因アイコンに係る補正事項」という。単に「上記補正事項」ということもある。)について、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されているか否かを検討する。
ア 当初明細書等の記載事項
変化要因アイコンに係る補正事項に関連して、当初明細書等には以下の記載がある(審判請求人が審判請求書において補正の根拠とする記載もこれに含まれる。なお、下線は合議体が付した。)。
(ア)「【0041】
「変換演出」が開始されると、まず、図8(A)に示すように、左端にあった役物の種13T3が表示画面13Gの中央に配されるとともに、役物の種13T3から変換され得るアイテムのアイコン13S(以下、単に「アイテム13S」という)が並んだ変換候補列13Rと、操作示唆画像13Pと、が表示される。なお、役物の種13T3から変換され得るアイテム13Sとしては、星形のランプ発光アイテム13S31と、ステッキを模した形状のステッキ役物アイテム13S32と、魔女Z1の顔を模した形状の顔役物アイテム13S33と、が設定されている。
【0042】
そして、操作ボタン29が操作されると、役物の種13T3が変換候補列13Rの中の1つのアイテム13Sに変換され(図8(B)参照)、そのアイテム13Sが表示画面13Gの上縁部に配される(図8(C)参照)。図8(B)に示す例では、役物の種13T3が顔役物アイテム13S33に変換されている。その後も、表示画面13Gの下縁部に並んだアイテムの種13Tが左側から順にアイテム13Sに変換されていく。図8(D)には、タイマの種13T1から変換された10秒タイマアイテム13S11が示されている。
【0043】
この「変換演出」において、1つのアイテムの種13Tから2つのアイテム13Sが発生する「増殖演出」が行われることがある。図8(D)~(G)には、1つのその他の種13T4から2つのアイテム13Sが発生する例が示されている。まず、図8(D)に示すように、その他の種13T4が表示画面13Gの中央に配されるとともに、操作示唆画像13Pが表示される。そして、操作ボタン29が操作されると、図8(E)に示すように、「分裂」という文字とともに、2つのその他の種13T4が表示され、1つのその他の種13T4が分裂して2つのその他の種13T4に増殖したことが示唆される。その後、再び操作示唆画像13Pが表示されるとともに、その他の種13T4から変換され得るアイテム13Sが並んだ変換候補列13Rが表示される。なお、その他の種13T4から変換され得るアイテム13Sとしては、刷毛を模した形状の青ペンキアイテム13S41と、刷毛を模した形状で星が描かれた星ペンキアイテム13S42と、丸の中にCの文字が入っているチャンスアイテム13S43と、が設定されている。そして、操作ボタン29が操作されると、図8(G)に示す例では、2つのその他の種13T4が2つの青ペンキアイテム13S41に変換される。なお、チャンスアイテム13S43は、例えば、「CHANCE」という文字が表示される演出を行うものであってもよいし、遊技の進行に応じて、他のアイテムに変換される構成であってもよい。このとき、チャンスアイテム13S43は、その他の種13T4から変換され得るアイテム13Sにのみ変換される構成であってもよいし、役物の種13T3など、異なる種から変換され得るアイテム13Sに変換してもよい。また、チャンスアイテム13S43のアイコンが変化することなく、チャンスアイテム13S43が使用されることで、各アイテム13Sの使用に基づいく演出が実行される構成であってもよい。
【0044】
なお、増殖後の2つのアイテムの種13Tは、同時に変換されてもよいし、順番に変換されてもよい。また、増殖後の2つのアイテムの種13Tは、同じアイテム13Sに変換されてもよいし、異なるアイテム13Sに変換されてもよい。また、図8(D)~(G)に示す例では、操作示唆画像13Pが2回目に表示されるまで、変換候補列13Rが表示されていなかったが、その他の種13T4が表示画面13Gの中央に配されるときから(つまり、図8(D)のときから)変換候補列13Rが表示されていてもよい。
【0045】
その後、さらにボタンの種13T2がBIGボタンアイテム13T22に変換されて、表示画面13Gの上縁部に配される(図8(H)参照)。これにより、全てのアイテムの種13Tがアイテム13Sに変換され、「変換演出」が終了する。また、本実施形態では、このときのアイテム13Sの数が多いほど、当否判定結果が当りになる信頼度が高くなるように設定されている。」
(イ)「【0047】
図5に示すように、「変換演出」が終了すると、アイテムの種13Tから変換されたアイテム13Sが使用される「使用演出」が行われる。以下、図10~12に基づいて、「使用演出」の一例を説明する。
【0048】
まず、表示画面13Gの上縁部に並んだアイテム13S(図8(H))のうち、顔役物アイテム13S33が中央に拡大しながら移動する(図10(A)参照)。すると、上下の可動役物40A,40Bが移動して、表示画面13Gの前方に魔女Z1の顔が出現する「顔役物演出」が行われる(図10(B)参照)。そして、可動役物40A,40Bが上下に分かれて戻り、表示画面13Gが視認可能となると、図10(C)に示すように、表示画面13Gには、「海」という文字が表示されている。このとき、顔役物アイテム13S33は表示されていない。これにより、顔役物アイテム13S33が使用されて「顔役物演出」が行われたと感じさせることができる。なお、図10(C)に示される表示画面13Gでは、背景は黒色で、「海」という文字は白色になっている。その後、10秒タイマアイテム13S11が中央に拡大しながら移動して(図10(D)参照)、10秒のカウントダウンが始まり、右下隅に移動する(図10(E)参照)。
【0049】
次に、青ペンキアイテム13S41が拡大しながら、表示画面13Gの左上隅部に移動する(図10(F)参照)。そして、この青ペンキアイテム13S41が「海」という文字の上を右下に向けて移動するとともに、その後を青いペンキが流れているような映像が表示され(図10(G))、「海」という文字が青に変化する。なお、「海」という文字の形状・大きさは変化していない。このように、本実施形態では、白色の文字が、青ペンキアイテム13S41という変化要因を契機として、青いペンキが文字上を流れるような文字の色が変化することを示唆する映像(画像)が表示されてから、青い文字に変化するという「変化演出」が行われる。
【0050】
その後、図11(A)に示すように、表示画面13Gが、「海」という文字の映像から、島が浮かぶ海の砂浜に登場人物Z2が立っている映像に切り替わる。図11(B)~(D)に示すように、この登場人物Z2は、「あの島まで泳ごう」といい、海を泳ぎ始める。
【0051】
ここで、上述した10秒タイマアイテム13S11のカウントダウンは、「変化演出」の間も継続されており、図11(B)のタイミングで残り時間が0秒になると、10秒タイマアイテム13S11が残りの青ペンキアイテム13S41に衝突し(図11(C)参照)、青ペンキアイテム13S41がより信頼度の高い星ペンキアイテム13S42に変わる(図11(D)参照)。このように、本実施形態では、あるアイテム13Sが他のアイテム13Sに変更される「変更演出」が行われる。しかも、このアイテム13Sの変更は、タイマのカウントダウンが0になったことにより行われる。
【0052】
次に、星ペンキアイテム13S42が、拡大しながら表示画面13Gの左上隅部に移動する(図11(E)参照)。そして、この星ペンキアイテム13S42が海の上を右下に向けて移動するとともに、その後を星柄模様のペンキが流れているような映像が表示され(図11(F)参照)、海が星柄模様に変化する(図11(G)参照)、という一連の流れの変化演出が行われる。なお、本実施形態では、星柄模様が1回出現したときの信頼度が80%、星柄模様が2回出現したときの信頼度が100%(つまり、その後報知される当否判定結果が必ず当りになる)となるように設定されていて、この星柄模様の演出は、遊技者にとってかなり嬉しい演出になっている。
【0053】
さらに登場人物Z2が島へ向かって星柄の海を泳いでいると、図11(H)に示すようにサメZ3が現れる。そこに、図12(A)に示すように魔女Z1が現れた後、すぐにBIGボタンアイテム13T22が中央に大きく表示されるとともに、「PUSH」という文字が表示され、操作ボタン29を操作することが示唆される(図12(B)参照)。」
(ウ)「【図8】
[図:0001396829000001.jpg]
」
(エ)「【図10】
[図:0001396829000002.jpg]
」
(オ)「【図11】
[図:0001396829000003.jpg]
」
イ 判断
(ア)変化要因アイコンに係る補正事項によれば、「変化要因アイコン」は、少なくとも「前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」するものであり、「前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」ものであるところ、この点について、当初明細書等に記載されているといえるか検討する。
(イ)当初明細書等の【0051】の「図11(B)のタイミングで残り時間が0秒になると、10秒タイマアイテム13S11が残りの青ペンキアイテム13S41に衝突し(図11(C)参照)、青ペンキアイテム13S41がより信頼度の高い星ペンキアイテム13S42に変わる(図11(D)参照)。」との記載から、「青ペンキアイテム13S41」は、「より信頼度の高い星ペンキアイテム13S42」に変わり得るものといえるから、「青ペンキアイテム13S41」は、上記補正事項における「前記信頼度が異なる別の前記変化要因(星ペンキアイテム13S42)を意味するものに変化し得る」「変化要因アイコン」に対応するものといえる。
ここで、当初明細書等の【0049】の「青ペンキアイテム13S41が拡大しながら、表示画面13Gの左上隅部に移動する(図10(F)参照)。そして、この青ペンキアイテム13S41が「海」という文字の上を右下に向けて移動するとともに、その後を青いペンキが流れているような映像が表示され(図10(G))、「海」という文字が青に変化する。」との記載、及び、【0052】の「次に、星ペンキアイテム13S42が、拡大しながら表示画面13Gの左上隅部に移動する(図11(E)参照)。そして、この星ペンキアイテム13S42が海の上を右下に向けて移動するとともに、その後を星柄模様のペンキが流れているような映像が表示され(図11(F)参照)、海が星柄模様に変化する(図11(G)参照)」との記載を踏まえると、「「海」という文字が青に変化」した形態及び「海が星柄模様に変化」した形態は、それぞれ、上記補正事項における「前記第1形態」及び「前記第2形態」に対応するものといえる。
しかし、この場合、「青ペンキアイテム13S41」は、「「海」という文字が青に変化」した形態、すなわち、「前記第1形態」への変化の内容を示唆するものといえるが、「海が星柄模様に変化」した形態、すなわち、「前記第2形態」への変化の内容を示唆するものは、「星ペンキアイテム13S42」であって、「青ペンキアイテム13S41」ではないから、「青ペンキアイテム13S41」は、「前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」するものではない。
また、「星ペンキアイテム13S42」を上記補正事項における「前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」する「変化要因アイコン」に対応するものとみたとしても、当初明細書等の図11の(F)から(G)にかけて示されるように、「星ペンキアイテム13S42」は、他のアイコンに変化することなく消滅するので、「前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」ものではない。
そして、当初明細書等におけるその他の記載を精査しても、「前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」するものであり、かつ「前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」「変化要因アイコン」に対応する記載が見当たらない。
したがって、変化要因アイコンに係る補正事項は、当初明細書等に記載されておらず、当初明細書等の記載から自明のものということもできない。
(ウ)以上のとおりであるから、変化要因アイコンに係る補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
ウ 小括
したがって、変化要因アイコンに係る補正事項を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものということができず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
3 独立特許要件について(付加的検討)
上記「2(2)」で検討したとおり、新規事項を追加するものであるから、本件補正は認められないが、本件補正は、上記「2(1)」で検討したとおり、特許請求の範囲を減縮するものといえるので、本件補正発明が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について付加的に検討しておくこととする。
(1)本件補正発明
本件補正発明を記号A~Dを付して再掲すると、次のとおりのものである(記号A~Dは、分説するために合議体が付した。以下、記号Aを付した事項を「特定事項A」などという。)。
「A 遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機において、
B 前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となり、前記信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示し、
C 前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる
D 遊技機。」
(2)進歩性について
ア 引用文献の記載事項、引用発明
(ア)引用文献1の記載事項
原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-164419号公報(平成29年9月21日公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。
a 「【0035】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(盤面、遊技盤)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
b 「【0065】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。また、本実施形態のように遊技板8bが透明樹脂板(例えばアクリル板)である場合、前面側だけでなく遊技板8bの背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性を付加することができる。」
c 「【0433】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
【0434】
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される(図1参照)。各演出図柄は、例えば数字の「1」~「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。ここで、左演出図柄、中演出図柄、及び右演出図柄は、いずれも数字が「9」~「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。」
d 「【0510】
〔リーチ演出及び昇格アイテム取得演出〕
図46~図51は、特別図柄の変動表示中に実行されるリーチ演出及び昇格アイテム取得演出の演出例を部分的に示す連続図である。以下、演出例について説明する。
【0511】
図46中(A):すべての演出図柄が停止表示されている(「7」-「3」-「9」)。また、第4図柄Z1は、非当選の態様(例えば白色表示色)で停止表示されている。背景画像は、女性キャラクターが長椅子に腰掛けている「通常モード」の背景画像となっている。なお、マーカM1,M2、変動前表示領域X1及び変動中表示領域X2については図示を省略している。
【0512】
〔段階進行予告演出(1段階目)〕
図46中(B):変動表示演出の実行中において、女性キャラクターの画像を用いた1段階目の段階進行予告演出が実行される(ステップアップ1;SU1)。この段階進行予告演出は、予め定められた順序にしたがって1段階目から複数段階目(例えば2~5段階目)まで、段階的に態様の変化が進行していく予告演出である(第1予告演出よりも前に実行される第2予告演出)。この段階進行予告演出で用いられる画像は、液晶画面の中央位置に、段階が進行するごとに拡大されて表示される。段階進行予告演出に用いられる画像は、四角形状の外枠の画像と、外枠の内部に配置された女性キャラクターの画像とにより構成されている。このときのステップアップ1の画像SU1の外枠は白色である。
【0513】
〔段階進行予告演出(2段階目)〕
図46中(C):1段階目の段階進行予告演出に続けて、2段階目の段階進行予告演出が実行される(ステップアップ2;SU2)。図示の例では、先に表示されていたステップアップ1の画像SU1に重ねて、ステップアップ2の画像SU2を表示する演出が実行されている。このときのステップアップ2の画像SU2の外枠は白色である。
【0514】
〔段階進行予告演出(3段階目)〕
図47中(D):2段階目の段階進行予告演出に続けて、3段階目の段階進行予告演出が実行される(ステップアップ3;SU3)。図示の例では、先に表示されていたステップアップ2の画像SU2に重ねて、ステップアップ3の画像SU3を表示する演出が実行されている。このときのステップアップ3の画像SU3の外枠は赤色である。ステップアップ3の画像SU3の外枠を赤色にしている理由は、後述する昇格アイテム取得演出にて赤色のハンマーが取得されるからである。
また、ステップアップ3の画像SU3の女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発する演出が実行されている。
【0515】
〔昇格アイテム取得演出〕
図47中(E):ここで、昇格アイテム取得演出が実行される。昇格アイテム取得演出とは、各種予告の実行中に表示された昇格アイテム(ハンマー)を画面の左下に移動させて保持する演出である(第2予告演出の後に実行される第1予告演出)。
【0516】
昇格アイテムは、規定数(例えば3個)まで取得することができ、当選の期待度に応じて色(青色、黄色、緑色、赤色、金色、虹色等)が付与される。図示の例では、赤色の昇格アイテムが表示されている。そして、この赤色の昇格アイテムは、その後の変動中に実行される別の予告演出をチャンスアップさせるアイテムとして使用される。このように、昇格アイテム取得演出(第1予告演出)は、その他の予告演出をチャンスアップさせる可能性のある予告演出である。
【0517】
また、この時点では、画面の左側位置に数字の「1」を表す左演出図柄が停止表示されている。
【0518】
〔リーチ状態の発生〕
図47中(F):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が停止表示される。この時点では、画面の右側位置に数字の「1」を表す右演出図柄が停止表示されている。右演出図柄が停止表示されることにより、画面上に横一線状(1本のライン上)に数字の「1」-「変動中」-「1」のリーチ状態が発生している。そして画面上には、リーチ状態となる1本のラインを強調する画像が合わせて表示される。この後はリーチ演出が実行される。
【0519】
〔リーチ演出の開始〕
図48中(G):リーチ状態は継続しており、これ以降はリーチ演出(スーパーリーチ演出)に発展していく。図示の例では、パンダのキャラクターが車に乗って登場する発展演出が実行されている。なお、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「1」)。
【0520】
図48中(H):そして、車が停止する演出が実行され、その車の中からパンダのキャラクターが降車し、「勝負だ!!」という台詞を発する演出が実行される。
【0521】
図48中(I):これに続けて画面の左側に敵キャラクターとしての「かぼちゃのお化け」の画像が出現し、画面の右側に味方キャラクターとしての「パンダのキャラクター」の画像が出現し、画面の中央に「VS」の文字の画像が出現する演出が行われる。これにより、遊技者に対してこれからリーチ演出が本格的に始まるということを教示することができる。
【0522】
図49中(J):例えば「かぼちゃのお化け」が両腕を上方に持ち上げてパンダのキャラクターを追いかける演出が実行される。そして、パンダのキャラクターが驚いて逃げ出し、画面の右側へ消え去っていく演出が実行される。
【0523】
図49中(K):今度はパンダのキャラクターが必殺の構えを実行し、パンダのキャラクターの体から炎(オーラ)が出現する演出が行われている。
【0524】
図49中(L):そして、「かぼちゃのお化け」がパンチを繰り出し、「パンダのキャラクター」が盾を用いて応戦する演出が行われている。この状態で「パンダのキャラクター」が勝利すれば当りとなる展開である。したがって、この局面はリーチ演出の最終段階であり、遊技としても最も盛り上がる部分である。
【0525】
〔カットイン予告演出〕
図50中(M):そして、リーチ演出の最終段階ではカットイン予告演出が実行されている。ここで、カットイン予告演出とは、カットインの種類(背景色等)により当選期待度を示唆する演出である。図示の例では、画面上を左右にカットした領域の中に女性キャラクター等が表示されており、カットインの背景色は緑色となっている(弱カットイン)。
【0526】
〔昇格アイテム使用演出〕
図50中(N):ここで、昇格アイテム使用演出が実行される。図示の例では、画面の左下に保持されていた昇格アイテムが画面の中央まで移動し、そのアイテムを用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く演出が実行されている。
【0527】
図50中(O):そして、弱カットインの画像が砕けることにより、カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化し、キャラクターの画像も拡大して表示される。これにより、カットイン予告演出は、チャンスアップ状態となっている(強カットイン)。」
e 「【図46】
[図:0001396829000004.jpg]
」
f 「【図47】
[図:0001396829000005.jpg]
」
g 「【図50】
[図:0001396829000006.jpg]
」
(イ)引用文献1の記載より認定できる事項
図47(D)には、図47(E)以降に示された昇格アイテム(ハンマー)と異なる色のハンマーが出現することが記載されており、また、【0514】の「図47中(D)」「ステップアップ3の画像SU3の女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発する演出が実行されている。」の記載、【0515】の「図47中(E):ここで、昇格アイテム取得演出が実行される。昇格アイテム取得演出とは、各種予告の実行中に表示された昇格アイテム(ハンマー)を画面の左下に移動させて保持する演出である」の記載、【0516】の「図示の例では、赤色の昇格アイテムが表示されている。そして、この赤色の昇格アイテムは、その後の変動中に実行される別の予告演出をチャンスアップさせるアイテムとして使用される。」の記載を参照すると、ハンマーの出現時は赤色と異なる色であり、ステップアップ3の画像SU3の表示に続いて昇格アイテム取得演出が実行され、昇格アイテム(ハンマー)が赤色となる点が認定できることから、以下の事項が認定(以下「認定事項A」という。)できる。
「ステップアップ3の画像SU3の女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発する演出が実行され、赤色とは異なるハンマーが出現し、続いて昇格アイテム取得演出が実行され、ハンマーが赤色となり、画面の左下に移動させて保持される点。」
(ウ)引用発明
上記(ア)の記載事項及び上記(イ)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、分説のために合議体が符号ア~コを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「ア 遊技用ユニットとして遊技盤ユニット8を備えたパチンコ機1であって(【0035】)、遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置され、(【0065】)、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示され(【0065】)、
イ パチンコ機1では、演出図柄を用いた変動表示演出が行われ(【0433】)、演出図柄には、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示され、各演出図柄は、数字の「1」~「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっており、左演出図柄、中演出図柄、及び右演出図柄は、いずれも数字が「9」~「1」の降順に並んだ図柄列を構成し、このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示され(【0434】)、
ウ 変動表示演出の実行中において、女性キャラクターの画像を用いた1段階目の段階進行予告演出が実行され、段階進行予告演出に用いられる画像は、四角形状の外枠の画像と、外枠の内部に配置された女性キャラクターの画像とにより構成され、このときのステップアップ1の画像SU1の外枠は白色であり(【0512】)、
エ 1段階目の段階進行予告演出に続けて、2段階目の段階進行予告演出が実行され、先に表示されていたステップアップ1の画像SU1に重ねて、ステップアップ2の画像SU2を表示する演出が実行され、このときのステップアップ2の画像SU2の外枠は白色であり(【0513】)、
オ 2段階目の段階進行予告演出に続けて、3段階目の段階進行予告演出が実行され、先に表示されていたステップアップ2の画像SU2に重ねて、ステップアップ3の画像SU3を表示する演出が実行され、このときのステップアップ3の画像SU3の外枠は赤色であり、ステップアップ3の画像SU3の女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発する演出が実行され(【0514】)、赤色とは異なるハンマーが出現し、続いて昇格アイテム取得演出が実行され、ハンマーが赤色となり、画面の左下に移動させて保持され(認定事項A)、
カ 画面の左側位置に数字の「1」を表す左演出図柄が停止表示され(【0517】)、左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が停止表示され、画面の右側位置に数字の「1」を表す右演出図柄が停止表示され、画面上に横一線状(1本のライン上)に数字の「1」-「変動中」-「1」のリーチ状態が発生し、この後はリーチ演出が実行され(【0518】)、
キ リーチ演出の最終段階では、カットインの種類(背景色等)により当選期待度を示唆する演出であるカットイン予告演出が実行され、画面上を左右にカットした領域の中に女性キャラクター等が表示され、カットインの背景色は緑色となっており(【0525】)、
ク 画面の左下に保持されていた赤色のハンマー(昇格アイテム)が画面の中央まで移動し、そのアイテムを用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く演出が実行され(【0526】)、
ケ 弱カットインの画像が砕けることにより、カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化し、チャンスアップ状態となる(【0527】)、
コ パチンコ機1(【0035】)。」
(エ)引用文献1記載事項
引用文献1の【0516】の記載より、引用文献1には、以下の事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「昇格アイテムは、当選の期待度に応じて色(青色、黄色、緑色、赤色、金色、虹色等)が付与される点。」
イ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(a)特定事項Aについて
引用発明の構成カ及びキにおける「リーチ演出」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出」に相当する。
引用発明の構成キ及びケにおける「リーチ演出の最終段階で」「実行され」る「カットインの種類(背景色等)により当選期待度を示唆する演出であ」り、「カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化し、チャンスアップ状態となる」「カットイン予告演出」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「変化演出」に相当する。
引用発明の構成クにおける「カットインの背景色」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素」に相当する。
引用発明の構成クにおける「緑色」の「背景色」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「第1形態」に相当し、引用発明の構成ケにおける「チャンスアップ状態となる」「赤色」の「背景色」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い第2形態」に相当する。
引用発明の構成アにおける「パチンコ機1」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「遊技機」に相当する。
以上のことから、引用発明における「リーチ演出」において、「リーチ演出の最終段階で」「実行され」る「緑色」の「背景色」から「カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化し、チャンスアップ状態となる」「赤色」の「背景色」「により当選期待度を示唆する演出であるカットイン予告演出が実行され」る「パチンコ機1」は、本件補正発明の特定事項Aにおける「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Aに相当する構成を有する。
(b)特定事項Bについて
引用発明の構成クにおける「女性キャラクターがカットインの画像を叩く」ことは、本件補正発明の特定事項Bにおける「演出要素が変化する契機」に相当する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」の「色」は、本件補正発明の特定事項Bにおける「前記信頼度が結びつけられた変化要因」に相当する。
引用発明の構成クにおける「赤色のハンマー」で「カットインの画像を叩く」ことは、本件補正発明の特定事項Bにおける「信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にする」ことに相当する。
引用発明の構成クにおける「画面の左下に保持されていた赤色のハンマー(昇格アイテム)が画面の中央まで移動」する画像は、本件補正発明の特定事項Bにおける「前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示」することに相当する。
以上のことから、引用発明の構成キ及びクにおける「カットイン予告演出」で「画面の左下に保持されていた赤色のハンマー(昇格アイテム)が画面の中央まで移動し、そのアイテムを用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く演出が実行され」ることは、本件補正発明の特定事項Bにおける「前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となり、前記信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示」することに相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Bに相当する構成を有する。
(c)特定事項Cについて
引用発明の構成オにおける「女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発」し、「赤色とは異なるハンマーが出現」し、「赤色とは異なるハンマー」「が赤色となり、画面の左下に移動させて保持され」る演出は、本件補正発明の特定事項Cにおける「前記特別演出の前に実行される出現演出」に相当する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」の「赤色」は、本件補正発明の特定事項Cにおける「変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」するものに相当する。
引用発明の構成オ及びケにおける「赤色とは異なるハンマー」「が赤色となり、」「赤色のハンマー」「を用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く」「カットイン予告演出」「が実行され」ることと、本件補正発明の特定事項Cにおける「前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」こととは、「前記変化演出が実行されるまでの間に、別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」点で両者は一致する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」は、本件補正発明の特定事項Cにおける「変化要因アイコン」に相当する。
以上のことから、引用発明における「女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発」し、「赤色とは異なるハンマーが出現」し、「赤色とは異なるハンマー」「が赤色となり、画面の左下に移動させて保持され」、「赤色のハンマー」「を用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く」「カットイン予告演出」「が実行され」ることと、本件補正発明の特定事項Cにおける「前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる」こととは、「前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、」「別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる」点で共通する。
(d)特定事項Dについて
引用発明の構成コにおける「パチンコ機1」は、本件補正発明の特定事項Dにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Dに相当する構成を有する。
ウ 一致点及び相違点
上記イ(a)~(d)からみて、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「A 遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が前記第1形態よりも高い第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機において、
B 前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となり、前記信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示し、
C’前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆しかつ、前記変化演出が実行されるまでの間に、別の前記変化要因を意味するものに変化し得る変化要因アイコンを表示部に出現させる
D 遊技機。」
そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点> (特定事項Cに関して)
出現演出において変化し得る変化要因アイコンに関して、本件補正発明では、「変化要因アイコン」が、「前記信頼度が異なる別の前記変化要因を意味するものに変化し得る」のに対して、引用発明では、「ハンマー」が、「赤色とは異なるハンマー」から「赤色とな」るものの、「赤色とは異なる」色と「赤色」について、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が異なるのか不明である点。
エ 相違点についての判断
引用文献1には、引用文献1記載事項として示した「昇格アイテムは、当選の期待度に応じて色(青色、黄色、緑色、赤色、金色、虹色等)が付与される点」が記載されている。
そうすると、引用発明において、昇格アイテムであるハンマーに、引用文献1記載事項と同様に、当選の期待度に応じて色を付与することによって「赤色とは異なる」色と「赤色」とで「遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が異なる」ように構成し、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献1記載事項の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。
オ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人の主張の概要
審判請求人は、審判請求書の「4.本願が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張する。
「本願発明は、遊技者に有利な状況になることに対する信頼度が結びつけられる変化要因を意味する変化要因アイコンが、変化演出が行われるまでの間に信頼度が異なる別の変化要因を意味するものに変化し得る構成になっています。これによれば、変化要因アイコン出現後、変化演出が起こるまでの間も、遊技者に変化要因に対して興味を持たせることができます。
一方で、引用文献1には、「昇格アイテム(本願の変化要因アイコンに相当)」に「当選の期待値に応じて色が付与されている」旨の構成(明細書段落[0515]参照)は開示されていますが、「変化演出が行われるまでの間に信頼度が異なる別の変化要因を意味するものに変化し得る」構成は開示されておりません。
このように、本願発明は、引用文献1に開示も示唆もされていない上記構成により、変化要因に対して遊技者により興味を持たせることができるという顕著な効果を奏するものであり、進歩性を有していると思料致します。」
(イ)審判請求人の主張についての検討
審判請求人が引用文献1に記載されていないと主張する「変化演出が行われるまでの間に信頼度が異なる別の変化要因を意味するものに変化し得る構成」のうち、「変化演出が行われるまでの間に」「別の変化要因を意味するものに変化し得る構成」は、上記イ(c)において検討したように、引用発明が備えるものであり、引用文献1には、「昇格アイテム(本願の変化要因アイコンに相当)」に「当選の期待値に応じて色が付与されている」旨の構成が開示されているから(段落【0516】を参照)、上記エで検討したとおり、審判請求人が引用文献1に記載されていないと主張する構成は、引用発明に引用文献1記載事項を適用することで容易に想到し得る構成であり、審判請求人が主張する「変化要因に対して遊技者により興味を持たせることができるという顕著な効果」も、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて、当業者が予測できる範囲を超えるものとは認められない。
したがって、審判請求書における審判請求人の主張は採用できない。
カ 小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、当業者が、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正の却下の決定のむすび
以上に検討したところによれば、本件補正は、上記2(2)で検討したとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、また、本件補正発明は、上記3で検討したとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年6月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであるところ、分説のための符号を付して再掲すると、次のとおりである。
「A1 遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機において、
B1 前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となる変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示し、
C1 前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆する変化要因アイコンを表示部に出現させる
D 遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
理由2
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1-4
・引用文献1:特開2017-164419号公報
3 引用文献に記載された事項及び引用発明
引用文献1は、上記第2[理由]3(2)における「引用文献1」に相当する。
したがって、引用文献1に記載された事項は、上記第2[理由]3(2)ア(ア)に記載したとおりであり、引用発明は、上記第2[理由]3(2)ア(ウ)に記載したとおりのものである。
4 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
a 特定事項A1について
引用発明の構成カ及びキにおける「リーチ演出」は、本願発明の特定事項A1における「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出」に相当する。
引用発明の構成キ及びケにおける「リーチ演出の最終段階で」「実行され」る「カットインの種類(背景色等)により当選期待度を示唆する演出であ」り、「カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化」する「カットイン予告演出が実行され」ることは、本願発明の特定事項A1における「変化演出」に相当する。
引用発明の構成キにおける「カットインの背景色」は、本願発明の特定事項A1における「表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素」に相当する。
引用発明の構成キにおける「緑色」の「背景色」は、本願発明の特定事項A1における「第1形態」に相当し、引用発明の構成ケにおける「赤色」の「背景色」は、本願発明の特定事項A1における「第2形態」に相当する。
引用発明の構成アにおける「パチンコ機1」は、本願発明の特定事項A1における「遊技機」に相当する。
以上のことから、引用発明における「リーチ演出」において、「リーチ演出の最終段階で」「実行され」る「緑色」の「背景色」から「カットインの種類が変更になり、カットイン画像の背景色が赤色に変化」する「カットイン予告演出が実行され」る「パチンコ機1」は、本願発明の特定事項A1における「遊技の進行状況に応じて実行される特別演出において、表示部の表示を構成する画像又は文字からなる演出要素を第1形態から第2形態へ変化させる変化演出を行う遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項A1に相当する構成を有する。
b 特定事項B1について
引用発明の構成クにおける「女性キャラクターがカットインの画像を叩く」ことは、本願発明の特定事項B1における「演出要素が変化する契機」に相当する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」の「色」は、本願発明の特定事項B1における「変化要因」に相当する。
引用発明の構成クにおける「赤色のハンマー」で「カットインの画像を叩く」ことは、本願発明の特定事項B1における「変化要因を遊技者に視認可能にする」ことに相当する。
引用発明の構成クにおける「画面の左下に保持されていた赤色のハンマー(昇格アイテム)が画面の中央まで移動」する画像は、本願発明の特定事項B1における「前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示」することに相当する。
以上のことから、引用発明の構成キ及びクにおける「カットイン予告演出」で「画面の左下に保持されていた赤色のハンマー(昇格アイテム)が画面の中央まで移動し、そのアイテムを用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く演出が実行され」ることは、本願発明の特定事項B1における「前記変化演出では、前記演出要素が変化する契機となり、前記信頼度が結びつけられた変化要因を遊技者に視認可能にすると共に、前記演出要素を前記第1形態から前記第2形態へ変化させる間に、前記演出要素が変化することを示唆する変化示唆画像を表示」することに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項B1に相当する構成を有する。
c 特定事項C1について
引用発明の構成オにおける「女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発」し、「赤色とは異なるハンマーが出現」し、「赤色とは異なるハンマー」「が赤色となり、画面の左下に移動させて保持され」る演出は、本願発明の特定事項C1における「前記特別演出の前に実行される出現演出」に相当する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」の「赤色」は、本願発明の特定事項C1における「変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆」するものに相当する。
引用発明の構成オにおける「ハンマー」は、本願発明の特定事項C1における「変化要因アイコン」に相当する。
以上のことから、引用発明における「女性キャラクターがハンマーゲットという台詞を発」し、「赤色とは異なるハンマーが出現」し、「赤色とは異なるハンマー」「が赤色となり、画面の左下に移動させて保持され」、「赤色のハンマー」「を用いて女性キャラクターがカットインの画像を叩く」「カットイン予告演出」「が実行され」ることは、本願発明の特定事項C1における「前記特別演出の前に実行される出現演出において、前記変化要因を意味し、かつ、前記第1形態から前記第2形態への変化の内容を示唆する変化要因アイコンを表示部に出現させる」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項C1に相当する構成を有する。
d 特定事項Dについて
引用発明の構成コにおける「パチンコ機1」は、本件補正発明の特定事項Dにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Dに相当する構成を有する。
(2)判断
上記(1)a~dでした対比により、引用発明は、本願発明の構成A1~Dをすべて備えており、本願発明と引用発明との間に相違する点はない。
また、本願発明は、引用発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、特許法第29条第2号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-002903