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特許拒絶査定不服審判

2023-000606

ポリカーボネートの製造方法

審判番号
2023-000606
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-542689外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年01月13日
審決日
2025年03月13日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2022-542689「ポリカーボネートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月 6日国際公開、WO2022/210353〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、2022年(令和4年)3月25日(優先権主張 2021年(令和3年)3月30日)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 7月12日提出 手続補正書 同年 8月 8日付け 拒絶理由通知 同年 9月29日提出 意見書 同年10月14日付け 拒絶査定 令和5年 1月13日提出 拒絶査定不服審判の請求書及び手続補正書 同年 2月15日付け 前置報告 令和6年 9月 2日付け 拒絶理由通知 同年11月 5日提出 意見書及び手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。) 第2 本件補正について 本件補正は、本件補正前の請求項1において、「得られるポリカーボネートのメルトボリュームフローレート(MVR)が、230℃において20cm3/10min以下である」ことを、さらに特定するものである。 そして、本件補正に関して、本願明細書の段落【0138】には、「本実施形態のポリカーボネートにおけるメルトボリュームフローレート(MVR)は、230℃において、好ましくは40cm3/10min以下であり、より好ましくは30cm3/10min以下であり、さらに好ましくは20cm3/10min以下であり、特に好ましくは10cm3/10min以下である。」ことが記載されており、本件補正に係る特定は、本願明細書に記載されていた事項の範囲内のものである。 してみると、本件補正は、新規事項の追加に該当しない。 したがって、適法な補正である。 第3 本願に記載された発明 請求項1~10に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマーを原料としてガイドの外部表面に沿って流下させて溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する工程を含み、 前記ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、 【化1】 [図:0001421686000001.jpg] (式中、R1、R2、R3、R4は、各々独立に水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、環構成炭素数5~10のシクロアルキル基、環構成炭素数5~10の炭素環式芳香族基、又は炭素数6~10の炭素環式アラルキル基を表す。また、R1、R2、R3、R4において、一つ以上の水素原子がハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、又はニトロ基によって置換されたものであってもよい。) 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の、ジヒドロキシ化合物の総量に対する質量比率が、0.5以上0.98以下であり、かつ、 前記溶融重縮合法における反応温度が170~220℃であり、 得られるポリカーボネートのメルトボリュームフローレート(MVR)が、230℃において20cm3/10min以下である、ポリカーボネートの製造方法。」(当審注:以下、「式(1)で表されるジヒドロキシ化合物」の化学式は省略する。) 第4 拒絶の理由 令和6年9月2日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりのものである。 ●理由1(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・・・ 2 引用文献3を主引例とする理由 ・請求項 1~10 ・引用文献等 3、1、4~7 3 引用文献7を主引例とする理由 ・請求項 1、3~8、10 ・引用文献等 7、1、3~6 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2004/111106号(令和4年10月14日付け拒絶査定の引用文献1) 3.国際公開第99/65970号(令和4年10月14日付け拒絶査定の引用文献3) 4.国際公開第2006/067994号(令和4年10月14日付け拒絶査定の引用文献4) 5.国際公開第99/36457号(新たに引用された引用文献) 6.特開平8-225643号公報(新たに引用された引用文献) 7.特表2011-500912号(新たに引用された引用文献) 8.鈴木賢、第1回 グリーンイノベーション戦略推進会議 カーボンリサイクルを実現する 旭化成のCO2ケミストリーのご紹介、2020年7月7日、インターネット<https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/001_06_02.pdf>(新たに引用された刊行物) 以下、引用文献1等を「引1」等という。 第5 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定 1 引3に記載された事項及び引3に記載された発明 (1)引3に記載された事項 引3には、次の事項が記載されている。 ア 「1.(A)溶融重縮合プレポリマーに不活性ガスを吸収させて不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得るための不活性ガス吸収装置、 (B)該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合させるための重合装置、及び (C)該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を該不活性ガス吸収装置(A)から該重合装置(B)へ移送するための配管であって、これを通過する該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)の流量を調節するための調節手段を有する配管 を包含し、該不活性ガス吸収装置(A)及び該重合装置(B)は、該配管(C)を介して、この順序で配設・結合されてなる重縮合ポリマーを製造するためのシステムであって、 該吸収装置(A)は、溶融重縮合プレポリマー供給口、不活性ガス供給口、溶融重縮合プレポリマーに不活性ガスを吸収させて不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得るための不活性ガス吸収ゾーン、及び不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)排出口を有する吸収装置ケ一シングを包含し、 該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)は、該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)排出口を経て該吸収装置(A)から抜き出され、該配管(C)を経て該重合装置(B)に移送されるように構成されており、 該重合装置(B)は、不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)供給口、不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)供給口と連通する不活性ガス吸収溶融プレポリマー供給ゾーン、及び該不活性ガス吸収溶融プレポリマー供給ゾーンの次に位置する重合反応ゾーンを有する重合装置ケーシング、ならびに重合反応ゾーンに関連して設けられた真空装置 を包含し、 該重合装置ケーシングは、該重合反応ゾーンの次に位置する重縮合ポリマー排出装置を介して設けられた重縮合ポリマー排出口を有し、 該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)がその該供給口から該不活性ガス吸収溶融ポリマー供給ゾーンを経て該真空装置によって減圧した重合反応ゾーンに入り、次いで重合することにより重縮合ポリマーを得、得られた重縮合ポリマーがその該排出装置により該排出口を経て該重合装置(B)から抜き出されるように構成されている ことを特徴とする重縮合ポリマーを製造するためのシステム。 2.該重合装置(B)の該重合反応ゾーンが、その中に固定され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドを有するガイド接触落下重合反応ゾーンであり、該ガイド接触落下重合反応ゾーンは該溶融プレポリマー供給ゾーンと少なくとも1つの孔を有する溶融プレポリマー分配板によって仕切られており、該分配板の該孔を介して該不活性ガス吸収溶融プレポリマー供給ゾーンが該ガイド接触落下重合反応ゾーンに連通し、上記ガイドは該分配板の該孔に対応して配設されており、 該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)が該ガイドに接触しながら落下して重合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 3.該ガイドがワイヤーであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。 ・・・ 7.該重縮合ポリマーが脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリアミドからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のシステム。 8.重縮合ポリマーを製造する方法であって、 (1)溶融重縮合プレポリマーを不活性ガス吸収ゾーン内で不活性ガスで処理することによって、不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得、 (2)該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合反応ゾーンに移送し、 (3)該重合反応ゾーン内で該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を30~4,000Paの圧力下で重合に付し、所定の重合度にまで該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合させることを包含することを特徴とする方法。 9.該重合反応ゾーンが、その中に固定され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドを有するガイド接触落下重合反応ゾーンであり、該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を該ガイドに接触させながら落下させて重合することを特徴とする請求項8に記載の方法。 10.該ガイドがワイヤーであることを特徴とする請求項9に記載の方法。 ・・・ 16.該重縮合ポリマーが脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリアミドからなる群から選ばれることを特徴とする請求項8~15のいずれかに記載の方法。」(請求の範囲) イ 「本発明は、重縮合ポリマーを製造するためのシステムに関する。・・・また、本発明は、溶融重縮合プレポリマーを不活性ガス吸収ゾーン内で不活性ガスで処理して不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得、次いで該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合反応ゾーンに移送し、該重合反応ゾーン内で該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を特定の減圧下で重合させることを特徴とする重縮合プレポリマーの製造方法に関する。本発明のシステム又は方法を用いると、大量の不活性ガスを使用することなく、高い重合速度で、着色がない高品質の重縮合ポリマーを製造することができる。」(第1頁第4行~第2頁第1行) ウ 「ポリエステル、ポリアミド及びポリカーボネート等の重縮合ポリマーを製造する方法としては、界面重縮合法等の溶媒を用いる方法と、溶媒を使用しない溶融法が知られている。一般に、溶媒を用いる方法は、ポリマーから溶媒を除去するのに多大な労力を要し、且つ、ポリマー中に微量残存する溶媒がポリマーの物性に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。 一方、溶融法の場合、この方法による重縮合反応が平衡反応であるため、通常、重縮合反応で生成する副生物を重合反応系外に抜き出して平衡を生成系側にずらすことによって、重縮合ポリマーを製造できることが知られている。例えば、ポリエチレンテレフタレー卜の製造では水やエチレングリコールを、へキサメチレンアジパミド(6,6ナイロン)の製造では水を如何に効率良く抜き出すかが、溶融法で重縮合ポリマーを製造する際の重要な技術的ポイントとなる。 溶融法で重縮合ポリマーを製造するための装置及び製造方法については種々知られている。例えば、・・・、回転軸を備えた横型攪拌槽が開示されている。・・・、上記の回転軸を備えた横型攪拌槽を用いて、重縮合反応で生成する副生物を重合反応系外に抜き出しやすくするために、回転攪拌によってポリマーの表面更新をはかっている。重縮合ポリマーを製造する際には、重縮合反応で生成する副生物を系外に出すために、一般に高真空下で重合が行われているが、上記のような横型攪拌槽のように重合器本体に回転攪拌軸を設けた装置は一般に重合器本体と回転攪拌軸とのシール部から空気漏れが起こりやすいという欠点があり、更に、回転によるシェアー発熱等によりポリマーの品質を悪化させる点でも好ましくない。 回転攪拌軸を設けずに、プレポリマーを落下させながら重合させるタイプの重合器も知られている。例えば、・・・、実質的に垂直方向に延びる多孔質物体であって、上部から下部に至るに従って空隙率が大きくなる多孔質物体を内部に有する反応容器、反応容器の上方に配設された供給反応液の分配装置、反応容器と関連して設けられた反応液から発生する気体の排出設備、反応容器の下方に配設された生成したポリマーの取り出し装置を包含する装置が開示されている。また・・・、中空体内に、垂直方向に配設した多数の線状ガイド、各線状ガイドの上部に高粘度のプレポリマーを供給するためのノズル、および各線状ガイドの下部にポリマーの取り出し機構を設けてなる装置が開示されている。さらに、・・・、加熱された反応容器内に、スリット状の口金から極限粘度0.1以上の初期縮合物を押しだし、該スリット状の口金より別々に垂らした少なくとも2本のワイヤー間に上記初期縮合物を薄膜状に保持し、下方に向けて連続して移動させることを特徴とする連続重縮合方法が開示されている。これらに開示されている装置は、落下させる際にプレポリマーの表面積を大きくすることによって、重縮合反応で生成する副生物を重合反応系外に抜き出しやすくすることをはかっているが、表面更新性は必ずしも良好でなく、重合速度は十分でない。・・・ 一方、溶融法による重縮合ポリマーの製造において、不活性ガス存在下で重合を実施することによって、副生物を重合系から抜き出す方法も広く知られている。例えば、・・・、オリゴカーボネート溶融物をオリゴカーボネート1kg当たり1m3以上の不活性ガスと共に常圧または加圧下で加熱管を通過させて芳香族ポリカーボネートを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、重縮合反応で副生するフェノールの分圧を大量の不活性ガスを用いて下げることによってポリカーボネートを製造するので、使用した不活性ガスを繰り返し重合に使用する場合、不活性ガス中のフェノールを分離するための大きな分離設備が必要となり、工業的に不利である。・・・不活性ガス流通下でポリエステルを製造する方法が開示されているが、不活性ガス中のエチレングリコールを分離する設備が必要となる点で、・・・問題を有している。 本発明者らは、日本国特開平8-325373号において、不活性ガス流通下でプレポリマーをガイドに沿わせて落下させながら重合させる際に、不活性ガス中に含まれる芳香族モノヒドロキシ化合物の不活性ガスに対する分圧比の範囲を特定し、不活性ガスの回収設備が過大にならない方法を提案した。しかし、この方法では、充分に重合速度を高めることは難しい。 上記のような不活性ガスを用いて重縮合反応で生成する副生物を効率的に抜き出して重縮合ポリマーを製造しようとする方法は、従来、いずれも重合器内に不活性ガスを連続的に供給し、重合器内の副生物の分圧を下げることによって重合を進行させる重合装置を用いたものであり、重合速度を効果的に高めるためには大量の不活性ガスを使用する必要があった。」(第2頁第3行~第6頁第7行) エ 「本発明者らは、重縮合ポリマーを製造するに際し、従来の不活性ガスを溶融重合法に用いる方法に伴なう上記した種々の問題を解決するため鋭意検討を進めた。その結果、驚くベきことに、溶融法により重縮合ポリマーを製造する際、(A)溶融重縮合プレポリマーに不活性ガスを吸収させることにより不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得るための不活性ガス吸収装置、(B)該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を減圧下で重合させるための重合装置、及び(C)該不活性ガス吸収装置(A)から該重合装置(B)へ移送するための配管を包含し、該不活性ガス吸収装置(A)及び該重合装置(B)は、該配管(C)を介して、この順序で配設・結合されてなる重縮合ポリマーを製造するためのシステムを用いると、大量の不活性ガスを使用することなく、高い重合速度で重縮合ポリマーを製造できることを見いだした。この知見に基づき、本発明を完成させるに至った。 従って、本発明の1つの目的は、溶媒と製品を分離する問題のない溶融法により重縮合ポリマーを製造する際、大量の不活性ガスを使用することなく、高い重合速度で、着色がない高品質の重縮合ポリマーを製造することができる工業的に極めて有利な装置を提供することである。 本発明の他の1つの目的は、上記の装置を用いて、不活性ガスを大量に使用することなく、高い重合速度で、着色がない高品質の重縮合ポリマーを製造できる工業的に有利な方法を提供することにある。」(第6頁第9行~第7頁第10行) オ 「本発明においては、従来の方法で用いる不活性ガスの量と比べて、不活性ガス吸収装置によって溶融重縮合プレポリマー中に吸収される不活性ガスの量は極めて少ないので、副生物の分圧低下効果によって重合速度を高める効果はほとんど期待できず、不活性ガスの役割は従来技術における不活性ガスの役割からは説明できない。しかし、本発明者らの研究によれば、驚くべきことに、不活性ガス吸収装置で不活性ガスを吸収させた溶融重縮合プレポリマーを重合させると、該不活性ガス吸収溶融プレポリマーの重合装置内での継続的な発泡現象が激しく起こり、該溶融プレポリマーの表面更新状態が極めて良くなることが観察されており、この溶融ポリマーの内部及び表面状態の変化が重合速度を高める原因になっているものと推定される。」(第15頁第18行~第16頁第7行) カ 「重縮合ポリマーの具体例としては、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド及び脂肪族ポリカーボネート等の脂肪族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマー、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリアミド及び脂肪族芳香族ポリカーボネート等の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマー、及び芳香族ポリエステル、及び芳香族ポリアミド等の芳香族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマーが挙げられる。上記の重縮合ポリマーはホモポリマーであっても良いし、コポリマーであっても良い。また、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合等の異なる結合がランダム又はブロック状に存在するコポリマーであっても良い。このようなコポリマーの具体例としては、ポリエステルカーボネート及びポリエステルアミドが挙げられる。 本発明において溶融重縮合プレポリマーとは、目的とする重合度を有する重縮合ポリマーより重合度の低い重合途中の溶融物を意味しており、もちろんオリゴマーであっても良い。 上記の溶融重縮合プレポリマーは公知の方法で製造することができる。例えば、・・・、ポリカーボネートのプレポリマーはカルボニル基の両側にアリーロキシ基やアルコキシ基を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物との重縮合によって製造される。具体的には、・・・また、脂肪族ポリカーボネートは1,6-へキサンジオールのような炭素数2~30の脂肪族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマーとジフェニルカーボネートのようなカルボニル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーとの重縮合により製造され、脂肪族芳香族ポリカーボネートは1,6-へキサンジオールのような炭素数2~30の脂肪族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマー及びビスフェノールAのような炭素数6~30の芳香族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマーとジフェニルカーボネートのようなカルボニル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーとの重縮合により製造される。」(第16頁第13行~第19頁第10行) キ 「溶融重縮合プレボリマーの溶融粘度は0.001Pa・s以上が好ましく、0.01Pa・s以上がより好ましく、また、5,000Pa・s以下が好ましく、2,000Pa・s以下がより好ましい。本発明において溶融粘度とは、重合温度条件でせん断速度1の時の溶融粘度を意味する。溶融重縮合プレポリマーの溶融粘度が0.001Pa・s未満の溶融重縮合プレボリマ一は、ガイドに沿わせて重合反応ゾーン内を落下させて重合させるタイプの重合装置を用いた際に落下時間が短くなり、重合度を充分に高めることが困難になる場合がある。 また、本発明のシステムを用いて製造した重縮合ポリマーを溶融重縮合プレボリマーとして用いて更に分子量の向上した重縮合ポリマーを得ることも可能である。・・・ 本発明において不活性ガスとは、上記溶融重縮合プレポリマーと化学反応を起こさず、不活性ガス吸収条件及び重合条件下で安定なガスの総称である。不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や、プレポリマーが溶融状態を保つ温度でガス状である有機化合物、例えば炭素数1~8の低級炭化水素ガス等が挙げられる。特に好ましいのは窒素である。」(第20頁第4行~第21頁第1行) ク 「重合工程で用いる特に好ましい重合器は、ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器(例えば、米国特許第5,589,564号を参照)である。即ち、該重合装置(B)の該重合反応ゾーンが、その中に固定され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドを有するガイド接触落下重合反応ゾーンであり、該ガイド接触落下重合反応ゾーンは該不活性ガス吸収溶融プレポリマー供給ゾーンと少なくとも1つの孔を有する不活性ガス吸収溶融プレポリマー分配板によって仕切られており、該分配板の該孔を介して該不活性ガス吸収溶融プレポリマー供給ゾーンが該ガイド接触落下重合反応ゾーンに連通し、上記ガイドは該分配板の該孔に対応して配設されており、該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)が該ガイドに接触しながら落下して重合するように構成されていることが好ましい。ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器では、上記不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合させる場合にプレポリマー(α)は常時激しい発泡状態となっており、表面の攪拌状態が極めて良くなる現象が特に顕著に発現することが明らかとなった。」(第22頁第18行~第23頁第13行) ケ 「また、重合温度は、通常100~350℃の範囲であり、重合器11はジャケット27、28、29によって加熱することができる。」(第32頁第6行~第8行) コ 「実施例1 図1(a)に示すような、不活性ガス吸収装置1、重合装置11、及び配管9からなるシステムを用いて、脂肪族芳香族ポリエステルを製造した。不活性ガス吸収装置1において、吸収装置ケーシング1a内の分配板4には、径1.5mm、長さ3cmの孔が10個開けられている。不活性ガス吸収ゾーン5の内径は0.2m、高さは4mである。重合装置11において、重合装置ケーシング11a内の溶融プレポリマー供給ゾーン12の容量は、0.00035m3である。ガイド接触落下重合反応ゾーン16の内径は0.3mである。重合反応ゾーン16内には、線径3mmのSUS304製ワイヤから作製された幅21.3cm、高さ8m、ピッチ3cmの金網状のガイド14が4枚、それぞれ分配板13に固定金具17によって[図1(c)参照]固定されて設置されている。4枚のガイド14は、互いに平行に設置されており、各ガイドの間隔は4cmである。ガイド14の上端は、分配板13から3cm下に位置しており、ガイド14の下端は、重合反応ゾーンの直胴部とコーン部の境界に位置している。分配板13の孔は、各ガイドの上部に7cmの等間隔で3個、計12個開けられており[図1(b)参照]、孔の径は1.5mm、孔の長さは3cmである。 エチレングリコールとテレフタル酸から製造され、触媒として三酸化アンチモンを200ppm含有し、280℃での溶融粘度が0.5Pa・sである脂肪族芳香族ポリエステルの溶融プレポリマーを、40kg/hrの流量で供給口2から不活性ガス吸収装置1に供給した。不活性ガス吸収ゾーン5には、不活性ガス供給口6から窒素が供給されており、不活性ガス吸収ゾーン5の圧力は圧力コントロールバルブ7によって150,000Paにコントロールされている。供給する溶融プレポリマーの温度は280℃であり、不活性ガス吸収装置1はジャケット24、25によって280℃に加熱されている。溶融プレポリマーへの窒素の吸収量は、溶融プレポリマーに対する窒素の重量濃度で50ppm(窒素吸収速度:1.6Nl/hr)(Nlは標準温度・圧力条件下で測定したlである)であった。不活性ガス供給ゾーン5のボトムの溶融プレポリマーの液面を一定にするように、移送ポンプ8によって溶融プレポリマーを重合装置11に供給した。配管9はジャケット26によって280℃に加熱されている。ガイド接触落下重合反応ゾーンの圧力は、真空装置18によって200Paにコントロールされている。また、重合装置11はジャケット27、28、29によって280℃に加熱されている。ガイド14に沿わせて落下させながら重合させた脂肪族芳香族ポリエステルは、重合反応ゾーン16のボトムにおける液面が一定となるように排出ポンプ22で抜き出した。なお、液面はガイド14の下端より下に位置している。排出口23より抜き出された脂肪族芳香族ポリエステルの280℃での溶融粘度は320Pa・sであった。 ・・・ 実施例7 エチレンカーボネートと1,4-ブタンジオールから製造され(1,4-ブタンジオールとエチレンカーボートのモル比は、1:1.13)、触媒として酢酸鉛を10ppm含有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した数平均分子量が400の脂肪族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを不活性ガス吸収装置1に供給し、不活性ガス吸収装置1に供給する溶融プレポリマーの温度及びジャケット24、25、26、27、28、29の温度を145℃に変え、そして重合圧力を250Paに変える以外は、実施例1と同様の方法で脂肪族ポリカーボネートを製造した。排出口23より抜き出された脂肪族ポリカーボネートのGPCで測定した数平均分子量は2,020であった。 実施例8 エチレンカーボネートと1,5-ペンタンジオール及び1,6-へキサンジオールから製造され(1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、及びエチレンカーボネートのモル比は、1:1:2.2)、触媒として酢酸鉛を10ppm含有し、GPCで測定した数平均分子量が400の脂肪族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを不活性ガス吸収装置1に供給し、不活性ガス吸収装置1に供給する溶融プレポリマーの温度及びジャケット24、25、26、27、28、29の温度を160℃に変え、そして重合圧力を250Paに変える以外は、実施例1と同様の方法で脂肪族ポリカーボネートを製造した。排出ロ23より抜き出された脂肪族ポリカーボネートのGPCで測定した数平均分子量は2,210であった。」(第37頁第8行~第44頁第4行) (2)引3に記載された発明 引3において、請求項8、請求項9及び請求項10を引用する請求項16に着目すると、以下の発明が記載されている。 「重縮合ポリマーを製造する方法であって、 (1)溶融重縮合プレポリマーを不活性ガス吸収ゾーン内で不活性ガスで処理することによって、不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を得、 (2)該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合反応ゾーンに移送し、 (3)該重合反応ゾーン内で該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を30~4,000Paの圧力下で重合に付し、所定の重合度にまで該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を重合させ、 該重合反応ゾーンが、その中に固定され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドを有するガイド接触落下重合反応ゾーンであり、該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を該ガイドに接触させながら落下させて重合するものであり、 さらに該ガイドがワイヤーであり、 該重縮合ポリマーが脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリアミドからなる群から選ばれることを特徴とする方法。」(以下、「引3発明」という。) 2 引1に記載された事項 引1には、以下の記載がある。 ア 「1.下記式(1) [図:0001421686000002.jpg] で表される糖質から製造可能なエーテルジオール残基、および下記式(2) -O-(CmH2m)-O- (2) (ただしmは2~12の整数) で表されるジオール残基を含んでなるポリカーボネートであって、当該エーテルジオール残基が全ジオール残基中、65~98重量%を占め、かつガラス転移温度が90℃以上であるポリカーボネート。 2.式(2)で表されるジオールの残基がエチレンジオール残基、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、および1,6-へキサンジオール残基なる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート。 ・・・ 4.該エーテルジオール残基として、イソソルビド残基を含んでなる、請求項1に記載のポリカーボネート。 5.該イソソルビド残基が、全ジオール残基中、65~98重量%を占める、請求項4に記載のポリカーボネート。 6.下記式(3) [図:0001421686000003.jpg] で表されるエーテルジオール、下記式(4) HO-(CmH2m)-OH (4) (ただしmは2~12の整数) で表されるジオール、および炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造する請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。 7.重合触媒の存在下、上記式(3)で表されるエーテルジオール、上記式(4)で表されるジオール、および炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、ついで、減圧下、180℃以上280℃以下の温度で加熱しながら溶融重縮合させる、請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。 ・・・ 10.該当炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用する、請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。」(請求の範囲) イ 「本発明の目的は、再生可能資源から誘導されうる部分を含有し、かつ優れた耐熱性および成形性を有する新規なポリカーボネートを提供することにある。本発明の他の目的は、コスト面で優れ、より簡単に該ポリカーボネートを製造できるプロセスを提供することにある。」(第3頁最終行~第4頁第3行) ウ 「すなわち本発明のポリカーボネートは、式(8) [図:0001421686000004.jpg] の繰り返し単位部分と式(9) [図:0001421686000005.jpg] (ただしmは2~12の整数) の繰り返し単位部分とを有する。 エーテルジオール残基の含有量がこの範囲よりも少なくなると、得られる樹脂のガラス転移温度が下がり、また重合度も上がりにくくなって、もろいポリマーになる。エーテルジオールの含有量がこの範囲よりも多くなると、ガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなり、成型加工が困難になる。」(第5頁第8行~第17行) エ 「本発明のポリカーボネートにおいて、上記式(2)で表されるジオール残基がエチレングリコール残基、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、および1,6-へキサンジオール残基なる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 またエーテルジオール残基および上記式(2)で表されるジオール残基に加えて他のジオール残基を含むことも好ましい。その他のジオールとしてはシクロへキサンジオール、シクロへキサンジメタノールなど脂環式アルキレンジオール類、ジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオール、ビスフェノール類などを挙げることができる。その場合、上記式(2)のグリコール残基の100重量部に対し、その他のジオール残基は合計で50重量部以下とすることが好ましい。」(第5頁第18行~第6頁第6行) オ 「エーテルジオールとしては、具体的には上記式(5)、(6)および(7)で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。」(第7頁第4行~第5行) カ 「本発明のポリカーボネートの製造方法に用いる炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、・・・等が挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。」(第7頁第20行~第24行) キ 「本発明の製造方法では、好ましくは重合触媒の存在下、原料であるジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、減圧下で280℃以下の温度で加熱しながら撹拌して、生成するフェノールを留出させる。」(第7頁第25行~第27行) ク 「本発明の製造方法において、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃以上280℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは230℃から260℃の範囲である。」(第8頁第9行~第12行) ケ 「実施例 以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。 なお、実施例中の各評価は次のようにして求めた。物性についてはまとめて表1に示す。 (1)ガラス転移温度の測定: ガラス転移温度(Tg)の測定は、Dupont社製910示差走査熱量計を用い、窒素ガス気流下、毎分20℃の速度で昇温して行った。 (2)還元粘度の測定: フェノール/テトラクロロエタン(体積比50/50)の混合溶媒10mlに対してポリカーボネート120mgを溶解して得た溶液の30℃における粘度をウベローデ粘度計で測定した。単位はdl(リットル)/gである。 (3)成形性の評価 日精樹脂工業製小型射出成形機PS-20を用いて吐出温度240℃、金型温度80℃で成型し、成形性を確認した。引っ張り試験をASTM D-683に準拠して行い、曲げ試験はASTM D-790に準拠して行った。 (4)生分解性の評価 市販の腐葉土(サンヨーバーク(有)製樹皮堆肥)200gに、溜池の水1リットルを用いて加え、30分以上約30℃の湯浴中で曝気した。これをろ紙でろ過した液に、最適化試験培養用A液(リン酸二水素カリウム37.5g、リン酸水素二ナトリウム72.9g、塩化アンモニウム2.0gを1リットルのイオン交換水に溶解させたもの)を100ミリリットル加え、全量を2リットルとして調整し、コンポスト条件と近い50℃の恒温槽内に設置し、圧空を通気量200ミリリット/minで流通させた。3-4日おきに培養液の半分を新規に調製したものと交換した。 ポリマーをジクロロメタンに溶解して得た溶液をガラス基板上にキャストして得られた厚み約20μmのフィルムを約200mg切り出した上、市販の不織布製袋に入れ、上記の容器中に投入し、3ヵ月後に取り出し、重量減少率を調べ、生分解性を評価した。 実施例1 イソソルビド29.23重量部とエチレングリコール1.51重量部とジフェニルカーボネート49.48重量部とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを2×10-3重量部(ジオール成分1モルに対して1×10-4モル)、および2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を30×10-4重量部(ジオール成分1モルに対して0.5×10-6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。 撹拌下、反応槽内を13.3×10-3MPaに減圧し、生成するフェノールを留去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10-3MPaで25分間反応させ、さらに、215℃に昇温して10分間反応させた。 ついで、徐々に減圧し、2.67×10-3MPaで10分間、1.33×10-3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10-5MPaに到達したら、徐々に250℃まで昇温し、最終的に250℃、6.66×10-5MPaで1時間反応せしめた。 還元粘度が0.353dl/gで、ガラス転移温度が157.4℃のポリマーが得られた。 実施例2~5 表1中記載量のイソソルビド、エチレングリコール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表1中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例6~8 表1中記載量のイソソルビド、1,3-プロパンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。 実施例1と同様に重合させて、ポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例6で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。 実施例6で得られたポリマーからフィルムを得て生分解性を評価したところ重量減少率は15.9%であった。 実施例9~10 表1中記載量のイソソルビド、1,4-ブタンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例10で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。 実施例11~12 表1中記載量のイソソルビド、1,5-ペンタンジオール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例13~16 表2中記載量のイソソルビド、1,6-へキサンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例15で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。 実施例11で得られたポリマーからフィルムを得て生分解性を評価したところ重量減少率は15.6%であった。 実施例17~21 表2中記載量のイソソルビド、1,6-へキサンジオール、1,3-プロパンジオール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例17で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。 実施例22 イソソルビド23.38重量部と1,6-へキサンジオール2.36重量部、1,4-ブタンジオール1.80重量部、およびジフェニルカーボネート42.84重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 実施例23 イソソルビド24.84重量部、1,4-ブタンジオール1.80重量部、エチレングリコール1.24重量部、およびジフェニルカーボネート44.99重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 比較例1~4 表2中に記載のイソソルビドと各種ジフェニルカーボネート44.1重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。 実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。 [図:0001421686000006.jpg] [図:0001421686000007.jpg] [図:0001421686000008.jpg] 」(第9頁第19行~第17頁) 3 引4に記載された事項 引4には、以下の記載がある。 ア 「[1] 液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置であって、該蒸発装置が、 (1)該液体受給口、多孔板を通して蒸発ゾーンの該ガイドに該液体を供給するための液体供給ゾーン、該多孔板と側面ケーシングと底部ケーシングとに囲まれた空間に該多孔板から下方に延びる複数の該ガイドが設けられた蒸発ゾーン、該蒸発ゾーンに設けられた蒸発物抜出し口、底部ケーシングの最下部に設けられた液体排出口を有するものであって、 (2)該液体供給ゾーンにおいて、該液体受給口から多孔板に供給される液体の流れが主として多孔板の周辺部から中央部の方向に流す機能を有する流路制御部品が該液体供給ゾーンに設置されており、 (3)該蒸発ゾーンの側面ケーシングの水平面における内部断面積A(m2)が、式(1)を満足するものであって、 0.7 ≦ A ≦ 300 式(1) (4)該A(m2)と、液体排出口の水平面における内部断面積B(m2)との比が、式(2)を満足するものであって、 20 ≦ A/B ≦ 1000 式(2) (5)該蒸発ゾーンの底部を構成する底部ケーシングが、上部の側面ケーシングに対してその内部において、角度C度で接続されており、該角度C度が式(3)を満足するものであって、 110 ≦ C ≦ 165 式(3) (6)該ガイドの長さh(cm)が、式(4)を満足するものであって、 150 ≦ h ≦ 5000 式(4) (7)複数の該ガイド全体の外部総表面積S(m2)が式(5)を満足するものであって、 2 ≦ S ≦ 50000 式(5) (8)該多孔板1m2あたりの平均孔数N(個/m2)が式(6)を満足するものであって、 50 ≦ N ≦ 3000 式(6) (9)該孔の上部面積を含む該多孔板の上部面積T(m2)と、該孔の有効断面積の合計Q(m2)との比が、式(7)を満足する、 50 ≦ T/Q ≦ 3000 式(7) ことを特徴とする工業的連続蒸発装置。 ・・・ [10] 該液体が縮合系ポリマーを製造するためのモノマー及び2種以上のモノマー混合物、及び/または該縮合系ポリマーのプレポリマー、及び/または該縮合系ポリマーの溶融液であって、該低沸点物質が重縮合反応で生成する副生物質及び/またはオリゴマーであり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該縮合系ポリマーのプレポリマー及び/または該ポリマーの重合度を向上させるための縮合系ポリマー用重合装置であることを特徴とする請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の工業的連続蒸発装置。 [11] 該縮合系ポリマーがポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類であることを特徴とする請求項10記載の工業的連続蒸発装置。」(請求の範囲) イ 「[0007] 本発明が解決しようとする課題は、液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置において、蒸発処理された該液体が1時間あたり1トン以上であるような工業的規模で長期間安定的に実施できる装置を具体的に開示することであり、さらには、該液体の一部の長期滞留による変性に起因する問題の無い工業的連続蒸発装置を具体的に開示することである。」 ウ 「[0008] 本発明者等は、先に提案した溶融プレポリマーをワイヤーなどのガイドに沿わせて落下させながら重合させるガイド接触流下式重合器を種々の用途に用いる検討を重ねた結果、上記の課題を解決できる下記に示す特徴をもつ特定の構造を有する工業的連続蒸発装置を見出し、本発明に到達した。」 エ 「[0009] 本発明の工業的連続蒸発装置は、大量の液体を効率的に、長時間安定的に、蒸発濃縮させることができる装置であって、1時間あたり1トン以上の濃縮液を製造でき、しかも液体の変性が長時間において起こらない蒸発濃縮装置である。特に粘度が比較的高い液体の蒸発・濃縮において優れた効果を発揮する装置である。このような比較的高い粘度を有する液体を蒸発濃縮させるこれまでの装置では、液の一部が長時間加熱されたままで滞留する場所があり、そのことによって滞留した液が、着色、ゲル化、架橋化、超高分子量化、固化、焼け、炭化等の変性が起こり、それらの変生物が徐々にまたは集中的に濃縮液に混入することによって、濃縮液の色や物性を悪化させていることがわかった。本発明はこのような欠点のない連続蒸発装置であって、特に縮合系ポリマーの重合装置、熱可塑性ポリマーの精製装置、熱可塑性ポリマー溶液からの該ポリマーの分離回収およびまたは精製装置として優れた効果を発揮するものである。すなわち、熱変性物の生成に起因する着色や異物の混入のない高性能・高純度ポリマーを長時間、安定的に、1時間あたり1トン以上の高生産性で製造できる装置である。さらに本発明の連続蒸発装置が重合器の場合、分子量のバラツキを非常に少なくすることができる。」 オ 「[0031] 本発明の蒸発装置が、速い蒸発速度や速い重合速度で、着色が無く機械的物性に優れた高品質・高性能の濃縮液体やポリマーを、工業的規模で長期間安定的(ポリマー製造の場合分子量のバラツキ等が無く)に製造できる正確な理由は明らかではないが、以下のことが考えられる。すなわち、本発明の蒸発装置においては、原料の液体は液体受給口1から、液体供給ゾーン3および多孔板2を経由して、ガイド4に導かれ、ガイド4に沿って流下しながら濃縮されるか、あるいは重合度が上昇していく。この場合、液体や溶融プレポリマーはガイドに沿って流下しながら効果的な内部攪拌と表面更新が行われ、低沸点物質の抜出しが効果的に行われるため、速い速度で濃縮や重合が進行する。濃縮や重合の進行とともにその粘度が高くなってくるために、ガイド4に対する粘着力が増大し、ガイド4に粘着する液体や溶融物の量はガイド4の下部に行くに従って増えてくる。このことは、液体や溶融プレポリマーのガイド上での滞留時間、すなわち蒸発時間や重合反応時間が増えることを意味している。しかも、ガイド4に支えられながら自重で流下している液体や溶融プレポリマーは、重量当たりの表面積が非常に広く、その表面更新が効率的に行われているので、これまでの蒸発装置や機械的攪拌式重合器ではどうしても不可能であった高粘度領域での蒸発濃縮や重合後半の高分子量化が容易に達成できるのである。これが本発明の蒸発装置の持つ、優れた特徴の1つである。」 カ 「[0046] 本発明の蒸発装置は液体の単なる濃縮のための装置として用いられるだけでなく、縮合系ポリマー用重合装置や、モノマーやオリゴマーや副生物などの低沸点物質を含む熱可塑性ポリマーの精製装置や、熱可塑性ポリマー溶液からの該ポリマーの分離回収装置など、粘度の比較的高い液体を対象とする蒸発装置として用いることが特に好ましい。 [0047] 従って、該液体が縮合系ポリマーを製造するためのモノマー及び2種以上のモノマー混合物、及び/または該縮合系ポリマーのプレポリマー、及び/または該縮合系ポリマーの溶融液であって、該低沸点物質が重縮合反応で生成する副生物質及び/またはオリゴマーであり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該縮合系ポリマーのプレポリマー及び/または該ポリマーの重合度を向上させるための縮合系ポリマー用重合装置として本発明の工業的蒸発装置を使用することは好ましい。このような縮合系ポリマーとしては、・・・;脂肪族ポリカーボネートや芳香族ポリカーボネート及び種々のコポリカーボネート、等のポリカーボネート類;ポリエステルポリカーボネート類などが好ましい。本発明の蒸発装置を用いることによって、着色やゲル状物質や固形異物がなく、分子量のバラツキのない、高純度、高性能の縮合系ポリマーを長時間安定的に製造できる。」 キ 「[0050] 本発明の工業的蒸発装置は、比較的粘度の高い液体から低沸点物質を蒸発除去するのに特に適している。例えば、本発明の工業的蒸発装置を縮合系ポリマーの重合器として用いた場合、これまでの重合器では液の一部が長時間加熱されたままで滞留する場所があり、そのことによって滞留した液が、着色、ゲル化、架橋化、超高分子量化、固化、焼け、炭化等の変性が起こり、それらの変生物が徐々にまたは集中的にポリマーに混入する欠点が避けられなかったが、このような欠点がないだけでなく、従来の重合器にはない優れた効果を有している。 [0051] 即ち、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合の反応の温度は、通常200~350℃の範囲が必要とされ、特に重合の後半ではその粘度が急激に高くなり、その超高粘度物質から平衡反応で生成してくる芳香族モノヒドロキシ化合物を抜き出さねばならないため、これまでの重合器、例えば、横型2軸撹拌式超高粘度ポリマー用リアクターを用いても、300℃以上の高温で、しかも133Pa以下の高真空下で長時間反応させなければならない上に、しかもシート用などの高分子量体は製造困難であった。 [0052] しかしながら、本発明の重合器では内部攪拌を伴う効率的な表面更新が行われているので、比較的低温で重合反応を進行させることができる。したがって、好ましい反応温度は、100~290℃であり、さらに好ましいのは、150~270℃である。従来の機械的攪拌式重合器の場合よりも低温で十分に重合を進めることができるのが、本発明の重合器の特徴であり、このことも、着色や物性低下のない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造することができるひとつの原因となっている。さらにこれまでの重合器では、高真空下での撹拌機のシール部からの空気等の漏れこみ、異物混入などが起こる欠点があったが、本発明の重合器は機械的攪拌がなく、攪拌機のシール部もないので空気等の漏れこみや異物混入は非常に少ないため、高純度・高性能の芳香族ポリカーボネートを製造することができる原因となっている。」 ク 「[0057] なお、本発明の工業的蒸発装置を用いて、縮合系ポリマーを製造する場合、重合反応の進行にともなって、平衡反応によって副生する低沸点物質を反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを重合器に導入して、これらの低沸点物質をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。 あるいはこれらを併用した方法も好ましく用いられるが、これらの場合も重合器に大量の不活性ガスを導入する必要はなく、内部を不活性ガス雰囲気に保持する程度でもよい。」 ケ 「[0065][参考例1] 実施例1の工業的蒸発装置を縮合系ポリマーの重合器として用い、芳香族ポリカーボネートが製造された。ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)とから製造された260℃に保たれた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは4,000)が、供給ポンプによって供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。該溶融プレポリマーは多孔板2の周辺部から中央部に向かって流れながら多孔板の孔から、蒸発ゾーン5(重合反応ゾーン)に連続的に供給された、溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。重合反応ゾーンは蒸発物抜出し口6を通して80Paに保持されている。ガイド4の下部から重合器の底部11に入ってきた生成芳香族ポリカーボネートは、該底部での量が一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から5.5トン/hrの流量で連続的に抜き出された。 運転を開始してから50時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは10,500であり、良好なカラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb*値3.2)であった。また、引張伸度は98%であった。運転開始から、60時間後、100時間後、500時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後、4,000時間後、5,000時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、10,500、10,550、10,500、10,550、10,500、10,500、10,550、10,500であり、安定であり、カラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb*値)も全く同じ3.2であった。長期滞留に基づく着色物や異物などの不純物の混入は全く検出されなかった。 このようにして製造された芳香族ポリカーボネートは、触媒として用いられたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の含有量はこれらの金属元素に換算して、0.04~0.05ppmであった。」 4 引5に記載された事項 引5には、以下の記載がある。 ア 「1.芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの溶融混合物、及び芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることを包含するプロセスによって得られる溶融プレポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合原料を、原料供給口に連通する原料供給ゾーンとその下部に位置し且つ該原料供給ゾーンに連通するガイド接触落下重合反応ゾーンを含む重合器中の該ガイド接触落下重合反応ゾーン中に保持され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドに接触させながら落下させて該重合原料の重合を行い、該ガイド接触落下重合反応ゾーンの底部でポリマーを得ることを包含する芳香族ポリカーボネートの製造方法において、ガイドとして有孔面状ガイドを使用し、該有孔面状ガイドは、その実質的に厚み方向に延びる複数の貫通孔を有していて該面状ガイドの両面に開口部が形成されている、ことを特徴とする方法。」(請求の範囲) イ 「従来、芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造するための重合器としては、種々の重合器が知られている。撹拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる方法は、一般に広く知られている。しかしながら、竪型の撹拌槽型重合器は小スケールでは容積効率が高く、シンプルであるという利点を有し、効率的に重合を進められるものの、工業的規模では、上述したように重合の進行と共に副生するフェノールを効率的に系外に抜き出す事が困難となり重合速度が極めて低くなるという問題を有している。」(第3頁第5行~第13行) ウ 「しかしながら、これらの重合器では、表面更新性を高めるために、スクリューや攪拌軸等の回転攪拌動力を必要とするが、芳香族ポリカーボネートは特に分子量が高くなるに伴い粘度が著しく高くなるため、非常に大きな動力が必要となる。しかも、粘度が高い場合には、大きな動力を用いるとポリマーが大きなシェアーを受けるため分子鎖の切断が生じ、結果として分子量上昇速度は遅くなり、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造することはできない。また、大きなシェアーを受ける為にポリマーの着色が起こる等、ポリマー品質にも重大な悪影響を及ぼしていた。さらに、工業的規模で実施する場合、攪拌軸の強度や動力の制限から装置の大きさが制限され、芳香族ポリカーボネートの生産量を容易に高められないという問題点も有していた。」(第5頁第2行~第14行) エ 「従って、本発明の1つの目的は、従来法に付随する上記の問題点を解決し、着色や異物の生成を生じることなしに、所望の一定の分子量を有する芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で安定的に製造できる、工業的に好ましい製造方法を提供する。」(第8頁第16行~第20行) オ 「従来、フェノール等を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しようとする場合、前述した横型重合器の如く回転攪拌により表面更新性を高める試みがなされてきた。しかしながら、驚くべき事に本発明の方法によると、必ずしも回転攪拌が必要でなく、高い重合速度で高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できる事も明らかになった。さらにガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法において、本発明の方法によれば、ガイドがワイヤや、開口部のない平板等である場合に比べて重合速度が高く、かつ一定の分子量のポリマーを安定に製造できることも明らかとなった。このことも本発明の大きな特徴である。」(第15頁第5行~第15行) 5 引6に記載された事項 引6には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 末端ヒドロキシル基と末端アリールカーボネート基のモル比が50:50から100:0である芳香族ポリカーボネートプレポリマーを、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合させる事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造法。」 イ 「【0003】一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法が公知である。溶融重縮合法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、重合が進行すると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくなるという本質的な問題があった。 【0004】従来、芳香族ポリカーボネートを製造するため、溶融重縮合法の重合器としては、種々の重合器が知られている。撹拌機を備えた槽型の重合器を用いる方法は一般に広く知られている。しかしながら、撹拌槽型の重合器は容積効率が高く、シンプルであるという利点を有するが、小スケールでは効率的に重合を進めることができるものの、工業的規模では、上述したように重合の進行と共に副生するフェノールを効率的に系外に抜き出す事が困難となり、重合度を上げにくくなるという問題を有している。 【0005】すなわち、大スケールの撹拌槽型の重合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態となる。この場合、重合度を高めていくために真空度を高めていっても、撹拌槽の下部は差圧により実質上高い圧力で重合される事になり、フェノール等は効率的に抜けにくくなるのである。 【0006】この問題を解決するため、高粘度状態のポリマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々なされている。・・・撹拌槽型も含め、これらの重合器が共通して有する欠点は、重合器本体に回転駆動部分があり、高真空下で重合が実施される場合には、この駆動部分を完全にシールする事ができないため微量の酸素の漏れ込みを防止できず、製品の着色が避けられない事であった。酸素の漏れ込みを防ぐ為にシール液を使用する場合には、シール液の混入が避けられず、やはり製品品質の低下は避けられなかった。また、運転当初のシール性が高い場合でも、長時間運転を続ける間にシール性は低下するなど、メンテナンス上の問題も深刻であった。」 ウ 「【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融重縮合法により多くの末端ヒドロキシル基を有する芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、高真空下でのシール性に優れ、かつメンテナンスも容易な装置で、長期間安定に、着色の少ない高品質な芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造する方法を提供する事を目的とする。」 エ 「【0014】・・・従って、芳香族ポリカーボネートの反応は、ポリエステルやポリアミドの反応よりはるかに効率的に副生成分を系外に抜き出す必要があり、溶融粘度が高い芳香族ポリカーボネートではこのことは極めて困難である。」 オ 「【0017】また、本発明の、多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法は、必ずしも重合器の気相部に回転駆動部を持つ必要がなく、高真空下でのシール性に優れており、メンテナンスも容易であり、しかも無色透明の高品質な芳香族ポリカーボネートを製造できることが明らかになった。すなわち、本発明の製造方法を用いる事によって、従来芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合を行う際に生じた、先に述べた如き問題点は全て解決できるのである。 【0018】更に、従来の溶融重縮合法による芳香族ポリカーボネートの製造法では、前述したように末端ヒドロキシル基の割合が高い芳香族ポリカーボネートを着色させずに製造することができなかったのであるが、驚くべき事に本発明の製造法によれば、従来の方法に比べて、極端に漏れ込む酸素の量を制限することができるため、末端ヒドロキシル基の割合を高くしても着色させずに芳香族ポリカーボネートを製造することができる。この理由は明らかではないが、本発明の場合酸素の漏れ込みを極めて少なくできること、撹拌等によるシェアーがかからないことなどが要因として推定できる。」 6 引7に記載された事項及び引7に記載された発明 (1)引7に記載された事項 引7には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 イソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートポリマーを作製する方法であって、一般式(2a):【化1】 [図:0001421686000009.jpg] のイソソルビドを含むジヒドロキシ化合物と 活性化カーボネートとを、 水酸化物イオンを与えることのできるナトリウム塩から本質的になる触媒の存在下で溶融反応させるステップを含み、該ポリカーボネートポリマーは、イソソルビドカーボネート単位を50mol%以上含み、該ポリカーボネートポリマーは、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーで決定した場合、約40,000g/mol以上のMwを有する方法。 ・・・ 【請求項3】 前記イソソルビドが、次式: 【化3】 [図:0001421686000010.jpg] である、または前記式の少なくとも1種を含む組合せである、請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 前記活性化カーボネートが、式(16): 【化4】 [図:0001421686000011.jpg] を有し、式中、Arは置換C6~30芳香族基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。 ・・・ 【請求項9】 前記ジヒドロキシ化合物が、イソソルビドと同一ではないジヒドロキシ化合物を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項10】 イソソルビドと同一ではない前記ジヒドロキシ化合物が、ジヒドロキシ芳香族化合物である、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記ジヒドロキシ芳香族化合物が、一般式(4): 【化6】 [図:0001421686000012.jpg] のビスフェノール化合物を含み、式中、Ra及びRbは、各々独立にハロゲンまたはC1~12アルキルであり、p及びqは、各々独立に0~4であり、Xaは、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または式(5a)もしくは(5b)の基: 【化7】 [図:0001421686000013.jpg] の1つを表し、式中、Rc及びRdは、各々独立に水素、C1~12アルキル、C1~12シクロアルキル、C7~12アリールアルキル、C1~12ヘテロアルキルまたは環式C7~12ヘテロアリールアルキルであり、Reは、2価のC1~12炭化水素基である、請求項10に記載の方法。 」 イ 「【0002】 脂肪族ジオール、特にイソソルビド(即ち、2,6-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン-4,8-ジオール及び異性体)のポリカーボネートホモポリマー及びコポリマーは、このような脂肪族ジオールが、現在最も多用されているビスフェノールモノマーに対するような石油供給原料ではなく、再生可能資源、即ち糖類から生成できるので、化学産業にとって大変関心が高い。 【0003】 しかし、イソソルビドを組み入れたホモまたはコポリカーボネートは、実用的に重要な性質を有するのに十分に高い分子量をもつ必要がある。イソソルビドからポリカーボネートを生成する試みは、これまでに幾つかあったが、こうした試みは、それぞれ困難に会ったため、現在このようなポリカーボネートは、商業的に生産されていない。例えば、ポリカーボネートを調製する主要な方法では、一般に、塩化メチレン/水中でホスゲン及びアルカリを用いた界面重合を使用する。この方法では、アルカリ水溶液中の1種または複数のジオール(例えば、ビスフェノール)を、塩化メチレンまたは他の適切なハロゲン化溶媒中で撹拌しながら十二分に混合し、ホスゲンを導入することにより、高分子量のポリカーボネートに変換することができる。しかし、この方法は、イソソルビドから誘導されるホモポリカーボネートの調製には不適切であり、その理由は、イソソルビドの水中溶解度が高過ぎるため、界面への移動を妨げ、しかも、その酸性度が低過ぎるために、界面ホスゲン化に適したpH範囲で十分な速度で進行できないためである。」 ウ 「【0028】 本明細書で使用する場合の「ポリカーボネート」には、ホモポリカーボネートと、カーボネート中に異なるR1部分を含むコポリマー(本明細書では「コポリカーボネート」と称する)とが含まれる。特定の一実施形態では、ポリカーボネートは、ビスフェノールAに由来する単位を含む線状のホモポリマーまたはコポリマーであり、式(3)におけるA1及びA2の各々がp-フェニレンであり、Y1がイソプロピリデンである。より具体的には、ポリカーボネート中のR1基の少なくとも60%、特に少なくとも80%は、ビスフェノールAに由来する。 ・・・ 【0030】 脂肪族ジオール系ポリカーボネート中に存在する各種類のカーボネート単位の相対量は、そのコポリマーの所望の性質に依存すると見込まれ、本明細書に示す指針を用いて、過剰な実験をするまでもなく当業者によって容易に確認できる。一般に、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を1~100mol%、特定すれば10~100mol%、より一層特定すれば15~100mol%含むことになろう。一実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、脂肪族ジオール系ポリカーボネート中のカーボネート単位の総数に対して、脂肪族ジオール系カーボネート単位を50mol%超、特定すれば60mol%超、より特定すれば70mol%超含む。ある実施形態では、脂肪族ジオール系カーボネート単位は、式(2)の脂肪族ジオールに由来する。脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、追加のカーボネート単位を0~50mol%、特定すれば0~40mol%、より一層特定すれば0~30mol%更に含むことができる。ある実施形態では、追加のカーボネート単位の各々は、式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する。特定の実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、式(2)の脂肪族ジオールに由来するカーボネート単位から本質的になるホモポリマーである。別の特定の実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を60~99mol%、特定すれば65~95mol%、より特定すれば70~90mol%含むコポリマーである。ある実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位と、式(2)のカーボネート単位とは異なる式(1)の追加のカーボネート単位とを含む、式(9): 【化13】 [図:0001421686000014.jpg] のコポリマーであり、式中、R1は上記の通りであり、カーボネート単位x対yのモルパーセント比は、50:50から100:0、特定すれば60:40から100:0、より特定すれば70:30から100:0である。」 エ 「【0049】 本明細書に開示する脂肪族ジオール系ポリカーボネートを含めたポリカーボネートは、約1,000超の重量平均分子量(Mw)をもつことができる。ある実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、約100,000g/mol以下のMwをもつことができる。ある実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、約40,000g/mol以上、特定すれば約42,000g/mol以上、より特定すれば約45,000g/mol以上、更により特定すれば約50,000g/mol超のMwをもつ。・・・ある実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネート(ホモまたはコポリマー)は、約17,000g/mol以上、特定すれば約18,000g/mol以上、より特定すれば約19,000g/mol以上、更により特定すれば約20,000g/mol超の数平均分子量(Mn)をもつ。・・・ 【0050】 本明細書に開示する脂肪族ジオール系ポリカーボネートを含めたポリカーボネートは、ASTM D1238-04に従って5kgの荷重下で250℃で測定した場合、約0.5~約80、より特定すれば約2~約40cm3/10分の溶融体積比(MVR)をもつことができる。 【0051】 脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、更に、実質的に透明になるように製造することができる。この場合、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って3.2mmプラークを用いて測定した場合に、55%以上、特定すれば60%以上、より特定すれば70%以上、更により特定すれば80%以上、更により特定すれば90%以上の透明度を有することができる。その代替またはそれに加え、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って3.2mm厚のプラークを用いて測定した場合に、15%以下、特定すれば10%以下、更により特定すれば5%以下のヘイズを有することができる。特定の実施形態では、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って3.2mm厚のプラークを用いて測定した場合に、約5%未満、より特定すれば4%以下、更により特定すれば3%以下のヘイズを有する、イソソルビド系ポリカーボネートのホモまたはコポリマーである。」 オ 「【0053】 しかし、本明細書で開示されるように、脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、溶融重合プロセスにより調製するのが望ましい。一般に溶融重合プロセスでは、ポリカーボネートは、ジヒドロキシ反応剤(複数可)と、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートエステルとを、エステル交換触媒の存在下で溶融状態で共反応させることにより調製される。この反応は、1つまたは複数の完全混合型(continuously stirred)反応器(CSTR)、管型(plug flow)反応器、ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器、自然流下(free fall)重合器、ワイパー混合式薄膜(wiped film)重合器、BANBURY(登録商標)ミキサー、単軸もしくは二軸押出機、または前出機器の組合せなどの典型的な重合装置中で実施してもよい。揮発性1価フェノールは、蒸留により溶融反応剤から除去し、ポリマーは、溶融残渣として単離される。」 カ 「【0065】 活性化芳香族ポリカーボネートを用いる重合反応用の反応剤は、固体形態または溶融形態のいずれかで反応器中に投入することができる。反応剤の反応器への初期投入及び重合の反応性条件下におけるこれらの物質の後続混合は、窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気中で行い得る。」 キ 「【0069】 カーボネート源としてBMSCまたはDPCを用いる溶融ルートにより作製される、イソソルビドと、例えばビスフェノールA(BPA)などの芳香族ジオールとのコポリカーボネート、または例示的な実施形態ではドデカン二酸(DDDA)などのジカルボン酸とのコポリカーボネートであって、イソソルビド-二酸エステル基及びイソソルビド系カーボネート基を含むコポリマー、ならびにイソソルビドのホモポリカーボネートを含む、イソソルビドの脂肪族ジオール系ポリカーボネートは、250℃を超える高温に曝されると、変色する恐れがある。ポリカーボネート中の残存触媒が、この変色の潜在的な一因となり得る。着色体形成の加速におけるポリカーボネート中の残存触媒の作用を阻止するために、計算量のリン酸またはn-ブチルトシレートで、残存触媒を失活させることもできる。失活したポリカーボネートは、250℃を超える高温に加熱した際に、変色に対する耐性を高める。失活剤の種類、添加方式、及び触媒投入量に対する各失活剤の投入量が、最適な結果を実現するために肝要である。リン性酸を、重合中の反応器に初期に添加したNaOH触媒量の50倍(モル換算)で使用したとき、最良の結果が得られることが判明した。 【0070】 脂肪族ジオール系ポリカーボネート、特にイソソルビド系ポリカーボネートは、イソソルビドの量が共重合性ジオールの総モル数の比率(%)として低い場合、上記に定義したような相対的に高い分子量で調製することができる。しかし、イソソルビド系カーボネート単位が高比率(50mol%超)では、高Mwのイソソルビド系ポリカーボネートを調製できないことは以前に判明していた。本明細書に開示するように、従来技術の問題、即ち高分子量のイソソルビドホモポリカーボネートを作製するという問題は、本発明者らにより解決された。活性化及び非活性化双方の溶融重合プロセスによる、十分に高い分子量のイソソルビドホモポリカーボネートは、本明細書に開示する触媒系を用いて調製することができる。α触媒から本質的になる触媒系により、イソソルビドのホモ及びコポリカーボネートの合成は、ポリスチレン標準に対して40,000g/molを超える分子量まで可能になる。この触媒系は、活性化カーボネート(例えば、BMSC)及び非活性化カーボネート(例えば、DPC)の双方を用いる溶融重合プロセス、特に活性化(BMSC)プロセスに適用できる。」 (2)引7に記載された発明 引7において、請求項1、請求項3及び請求項4を引用する請求項9に着目すると、以下の発明が記載されている。 「イソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートポリマーを作製する方法であって、 一般式(2a):【化1】 [図:0001421686000015.jpg] のイソソルビドを含むジヒドロキシ化合物と 活性化カーボネートとを、 水酸化物イオンを与えることのできるナトリウム塩から本質的になる触媒の存在下で溶融反応させるステップを含み、該ポリカーボネートポリマーは、イソソルビドカーボネート単位を50mol%以上含み、該ポリカーボネートポリマーは、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーで決定した場合、約40,000g/mol以上のMwを有し、 前記イソソルビドが、次式: 【化3】 [図:0001421686000016.jpg] である、または前記式の少なくとも1種を含む組合せであり、 前記活性化カーボネートが、式(16): 【化4】 [図:0001421686000017.jpg] を有し、式中、Arは置換C6~30芳香族基であり、 前記ジヒドロキシ化合物が、イソソルビドと同一ではないジヒドロキシ化合物を更に含む、方法。」(以下、「引7発明」という。) 以下、上記一般式(2a)、上記式(2b)~(2d)、上記式(16)の化学式は省略する。 第6 当審の判断 1 引3を主引例とする理由(進歩性)について (1)対比 ア 引3(上記第5 1(1)ウ、エ、カ参照。)には、溶融法による重縮合ポリマーの製造であること、従来の溶融重合法に用いる方法を解決すること、重縮合ポリマーの具体例である脂肪族ポリカーボネートのカーボネート源が、ジフェニルカーボネートのようなカルボニル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーであることが記載されているので、引3発明において、「溶融重縮合プレポリマー」を経て「重縮合ポリマー」である「脂肪族ポリカーボネート」を製造することと、本願発明の「ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマーを原料として」「溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する工程を含」む「ポリカーボネートの製造方法」とは、「プレポリマーを原料として」「溶融重縮合法によりポリカーボネート製造する工程を含」む「ポリカーボネートの製造方法」である限りにおいて一致する。 イ 引3発明の「重合反応ゾーンが、その中に固定され且つ下方に延びる少なくとも1つのガイドを有するガイド接触落下重合反応ゾーンであり、該不活性ガス吸収溶融プレポリマー(α)を該ガイドに接触させながら落下させて重合する」ことは、本願発明の「ガイドの外部表面に沿って流下させて」溶融重縮合することに相当する。 以上から、本願発明と引3発明とは、 「プレポリマーを原料としてガイドの外部表面に沿って流下させて溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する工程を含む、ポリカーボネートの製造方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3’> 溶融重縮合法により製造されるポリカーボネートの原料に関して、本願発明では「ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマー」であり、「前記ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の、ジヒドロキシ化合物の総量に対する質量比率が、0.5以上0.98以下であ」るのに対し、引3発明では「重縮合ポリマー」を形成するための「溶融重縮合プレポリマー」であり、「式(1)で表されるジヒドロキシ化合物」を含むか不明であって、上記質量比率が特定されていない点 <相違点5> 本願発明では「前記溶融重縮合法における反応温度が170~220℃である」のに対し、引3発明では当該反応温度が特定されていない点 <相違点6> 本願発明では、「得られるポリカーボネートのメルトボリュームフローレート(MVR)が、230℃において20cm3/10min以下である」のに対し、引3発明では当該MVRが特定されていない点 (2)検討 ア 相違点3’について 引3(上記第5 1(1)ア、カ、キ参照。)には、重縮合ポリマーの具体例として脂肪族ポリカーボネートが挙げられること、重縮合ポリマーが脂肪族ポリカーボネートであるとき、その溶融重縮合プレポリマーは、1,6-ヘキサンジオールのような炭素数2~30の脂肪族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマーと、ジフェニルカーボネートのようなカルボニル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーとの重縮合により製造されるものであること、製造した重縮合ポリマーを溶融重縮合プレポリマーとして用いて更に分子量の向上した重縮合ポリマーを得ることが記載されている。 これらの記載によると、引3発明における「重縮合ポリマー」が「脂肪族ポリカーボネート」である場合、ジヒドロキシ化合物及びジアリール化合物、又はこれらのプレポリマーを原料にすることが理解できる。 そうすると、引3発明における「脂肪族ポリカーボネート」の原料に関して、「式(1)で表されるジヒドロキシ化合物」を含む以外は、本願発明1と実質的に相違しない。 ここで、地球温暖化を防止することは、本願優先日時において周知の課題であり、当該課題を解決するために、再生可能資源由来のイソソルビドを使用することは、引1(上記第5 2ア参照。)、引7(上記第5 6(1)ア参照。)に見られるように、周知の技術事項である。 そして、引1(上記第5 2ア、イ参照。)には、イソソルビドをジヒドロキシ化合物の総質量の0.5~0.98の質量比率で用いることが記載されている。 してみると、引3発明において、溶融重縮合法により製造されるポリカーボネートの原料として、ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマーを採用するに際し、地球温暖化防止の観点から、再生可能資源由来のイソソルビドを採用し、その質量比率について、引1の上記数値に基づいて、相違点3’のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点5について (ア)引3(上記第5 1(1)ケ、コ、キ参照。)には、重合温度が通常100~350℃の範囲であること、実施例7では、エチレンカーボネートと1,4-ブタンジオールを原料として145℃の重合温度、250Paの重合圧力で脂肪族ポリカーボネートを製造し、実施例8では、エチレンカーボネートと1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料として160℃の重合温度、250Paの重合圧力で脂肪族ポリカーボネートを製造したことが記載されている一方で、溶融重縮合プレポリマーの溶融粘度が0.001Pa・s以上、5,000Pa・s以下が好ましいことが記載されている。 これらの記載によると、重縮合ポリマーの原料の組合せに対応して、溶融重縮合プレポリマーの重合度に影響を与える落下時間等を考慮した粘度となるように、重縮合ポリマーごとに重合温度を決定するものと解される。 ここで、イソソルビドを原料とするポリカーボネートについて、引7(上記第5 6(1)キ参照。)には、カーボネート源としてBMSC(ビス(メチルサリチル)カーボネート)又はDPC(ジフェニルカーボネート)を用いる溶融ルートにより作成される、イソソルビドと、例えばビスフェノールA(BPA)等の芳香族ジオールとのコポリカーボネートやイソソルビドのホモポリカーボネートを含む、イソソルビドの脂肪族ジオール系ポリカーボネートが、250℃を超える高温にさらされると、変色するおそれがあることが記載されている。 そして、引1(上記第5 2オ、ク参照。)には、イソソルビドに代表されるエーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進めるためには重合温度は180~280℃であることが好ましいことが記載されている。 さらに、引4(上記第5 3ア、キ参照。)には、ガイドの外部表面に沿って流下させる重合反応ゾーンを有する重合装置を用いることで、内部撹拌に伴う効率的な表面更新が行われているので、比較的低温で重合反応を進行させることができること、好ましい反応温度が100~290℃、更に好ましくは150~270℃であること、従来の機械的撹拌式重合器の場合よりも低温で十分に重合を進めることができ、着色や物性低下のない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できることが記載されている。 これらの記載によると、イソソルビドを原料とするポリカーボネートが250℃を超える高温では変色するおそれがあり、できるだけ低温で重合すべきであるが、重合反応を進めるために重合温度は180~280℃であることが好ましいこと、ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いると、機械的撹拌式重合器よりも低温で重合反応を進行できることが理解できる。 してみると、引3発明において、イソソルビドを原料とするポリカーボネートが変色しないように、250℃以下の温度で重合することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に、温度を最適化して、170~220℃の範囲内の温度を適用するのは、当業者が適宜なし得た設計事項である。 (イ)そして、引3発明において、イソソルビドとジフェニルカーボネートを用いてポリカーボネートを製造する際には、副生物であるフェノールを除去しながら行うところ(上記第5 2キ、同4イ、同5イ、同6(1)オ)、該フェノールの沸点は約182℃であるから、重合温度の上限値は、常圧であれば、この温度より高めの重合温度であったとしても250℃を超えない程度である、170~220℃の範囲内の温度とすること、また、品質の低下を抑制するために、製造されるポリカーボネートに対して不必要な熱履歴を加えない温度であって、かつ、副生物を除去可能な温度にしようとすれば、重合器内を減圧状態にすることで、副生物の沸点よりも低い温度でありながら、副生物を除去して、重合反応を進めることができるから、重合温度の下限値は、副生物の沸点よりも低い重合温度に設定することも可能である。 してみると、副生成物であるフェノールの除去の程度を見て、フェノールの沸点である約182℃の近傍で、重合温度の温度幅に多少の余裕をもたせること、及び該重合温度の上限値、下限値は、重合器内の圧力を考慮しながら、当業者が適宜最適化して、170~220℃の範囲内の温度を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 相違点6について イソソルビドを原料とするポリカーボネートが、三菱ケミカル株式会社より「新規バイオエンプラDURABIOTM」として上市されており、そのウェブページ(https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/pc/product/1200363_9344.html)によると、「物性表」において、一般グレード品であるD7340R射出、D6350R射出、D5360R射出、D5380R-3押出のMVR(ISO1133、230℃、2.16kg荷重)が4~10cm3/10minであること、「関連ニュースリリース」において、2014年に自動車の内装樹脂カラーパネルに採用され、それ以降自動車やスマートフォンなどに採用されてきていること、また同ウェブページにリンクされたウェブページ(https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/ams/tech/1202608_7380.html)によると、「植物由来原料イソソルバイド(当審注:イソソルビドのこと。)を用いた透明バイオエンプラDURABIOTM概要【Automotive Materials 第34号特集1】」と題し、そのなかの、「2.植物由来原料イソソルバイドを用いたバイオエンプラDURABIOTM」には、イソソルバイドのホモ重合体である樹脂は脆く成形し難い材料であるため、通常は他のジオール成分の共重合による改質が行われていること、イソソルバイドを用いたバイオエンプラ(商標名:DURABIOTM(デュラビオTM)はイソソルバイドと脂環式ジオールの共重合体であること、「3.DURABIOTMの製造方法」には、DURABIOTM(デュラビオTM)の重合は、原料であるイソソルバイドと共重合成分である脂環式ジオール、及びジフェニルカーボネートを溶融混合させた後、前記触媒の存在下で、副生するフェノールを減圧下で系外に除くことにより進行し、重合初期では比較的低温、低真空でオリゴマー化を進め、重合後期では比較的高温、高真空で系内のフェノール濃度を下げ、平衡を重合側にずらしながら高分子量化を進めることが記載されている。 これらの記載によると、本願優先日前に、イソソルビドと脂環式ジオールの共重合体であるポリカーボネートであって、製造方法として溶融重縮合法(当審注:ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置ではない。)で行い、そのMVRが230℃(しかも、本願発明よりも大きい荷重)で4~10cm3/10minであることが理解できる。 そうすると、イソソルビドを主原料とするポリカーボネートのMVRが、230℃において20cm3/10min以下であることは、本願優先日時には周知の技術事項であったといえる。 したがって、引3発明並びに引1、引3~引7に記載された事項及び周知技術に接した当業者が、相違点6のように構成することは、適宜なし得たことである。 エ 本願発明の効果について 本願明細書の段落[0007]には、本願発明の発明特定事項を有することで、イソソルビド骨格を有する化合物を用いながら、「低粘度」であり、「ヘイズ」が低く、更には「色相」が良好である、ポリカーボネートを提供することが可能となると記載されている。 以下、本願発明の効果が当業者に予測可能であるか否か検討する。 (ア)「低粘度」について まず、上記効果における「低粘度」であることについて、何が「低粘度」であるのかを確認する。 本願明細書を参酌すると、実施例では「粘度」の実測値が記載されていないものの、イソソルビド骨格を有する化合物を用いるポリカーボネートの製造方法では、撹拌槽式重合装置が用いられているところ、イソソルビド骨格を有する化合物を溶解させると、溶融粘度が高く得られる高いシェアを掛けて混練するため、ポリカーボネートの粘度が上昇する、ヘイズが低下する、又は色相が悪化するという課題を有していたと記載されている([0004])。 この記載によると、上記「低粘度」とは、イソソルビド骨格を有する化合物を溶解させて重合を開始して得られる溶融プレポリマーやその後のポリカーボネートの「溶融粘度」が高くないという意味であると解することができ、この意味であるとして本願発明の効果について検討する。 引1(上記第5 2ア、ウ参照。)には、機械的撹拌式重合器により、エーテルジオール(イソソルビド)と脂肪族ジオールとを溶融重縮合反応させてポリカーボネートを製造するものであり、エーテルジオール残基(イソソルビドを有する構成単位)を全ジオール残基中、65~98重量%を占めるものであるところ、エーテルジオールの含有量がこの範囲よりも多くなると、ガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなることが記載されている。 この記載によると、エーテルジオール残基(イソソルビドを有する構成単位)の含有量が100重量%に近づくと、溶融粘度が高くなるため、エーテルジオール残基(イソソルビドを有する構成単位)の含有量の上限が98重量%であることが理解できる。 そうすると、上記アにおける相違点3’の検討で示したように、引3発明において、引1の記載事項に基づいて、イソソルビドを有する構成単位の含有量を65~98重量%にすることで、溶融粘度が高くなりすぎず、「低粘度」であるといえるから、本願発明の効果、つまり、溶融粘度が高くなりすぎず、「低粘度」であることを当業者が予測可能なものである。 (イ)「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であることについて ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いた引3(上記第5 1(1)イ参照。)、引4(上記第5 3キ参照。)、引5(上記第5 4エ参照。)、引6(上記第5 5オ参照。)には、着色がなく、高品質なポリカーボネートが製造できることが記載されている。 そうすると、引3発明は、ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いるものであるから、「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であるといえ、本願発明も同様のガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いているから、引3~6と同様に、「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であることは、当業者には予測可能なものである。 (ウ)小括 してみると、引3をはじめとして、引1、引4~引7から、イソソルビドを原料として用いながら、低粘度であり、ヘイズが低く、更には色相が良好である、ポリカーボネートの提供という効果を当業者が予測しうるものである。 したがって、本願発明の効果は、格別顕著なものであるとはいえない。 オ 審判請求人の令和6年9月2日提出の意見書について 審判請求人は、意見書第4頁~第5頁において、(ア)引3には本願発明の課題(低MVRであり、且つ、ヘイズが低く、更には色相が良好である、ポリカーボネートの製造方法の提供)が記載されていないこと、(イ)相違点3-1~3-4を挙げて、本願発明は、引3及びその他の文献から容易に想到し得たものでないことを意見する。 (ア)について 引3(上記第5 1(1)エ参照。)には、本発明の目的として溶媒と製品を分離する問題のない溶融法により重縮合ポリマーを製造する際、高い重合速度で、着色がない高品質の重縮合ポリマーを製造できる工業的に有利な方法を提供することが記載され、同3(上記第5 1(1)イ参照。)には、溶融法による重縮合反応が平衡反応であるため、通常、重縮合反応で生成する副生物を重合反応系外に抜き出して平衡を生成系側にずらすことで重縮合ポリマーを製造できることが記載されている。 この記載によると、着色がない高品質の重縮合ポリマーを製造することを目的としていることから、ヘイズが低く、更に色相が良好であるポリカーボネートの製造方法の提供を意図していると認められる。 そして、溶融法による重縮合反応が平衡反応であるため、重縮合反応で生成する副生物を重合反応系外に抜き出して平衡を生成系側にずらすことで重縮合ポリマーを製造するものであることから、副生物を重合反応系外に抜き出せば抜き出すほど、炭素数2~30の脂肪族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマーとカルボニル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーとの重縮合、該重縮合により製造される溶融重縮合プレポリマー、及びこれらが更に重縮合して、より高分子量化するといえるから、重縮合ポリマーの製造にあたって副生物の除去を効率よく行う引3発明は、低MVRであるポリカーボネートの提供を意図していると理解できる。 してみると、引3には、本願発明の課題について明示的な記載はないものの、示唆されているといえる。 (イ)について 上記相違点3-1及び同3-2、同3-3、同3-4は、上記(1)の相違点3’、同5、同6にそれぞれ対応するものであり、上記ア~ウに示したように、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、審判請求人は、本願発明の発明特定事項を有することで、異質の効果を有するものである旨意見するが、上記エに示したように、当業者が予測可能なものである。 以上から、出願人の意見は採用できない。 (3)まとめ 以上から、本願発明は、引3発明並びに引3、引1、引4、引7に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 2 引7を主引例とする理由(進歩性)について (1)対比 本願発明と引7発明とを対比する。 ア 引7発明の「一般式(2a)のイソソルビドを含むジヒドロキシ化合物」は、本願発明の「ジヒドロキシ化合物」であって、「式(1)で表されるジヒドロキシ化合物」に相当する。 イ 引7発明の「活性化カーボネート」が式(16)で表される化合物であるから、本願発明の「ジアリールカーボネート化合物」に相当する。 ウ 引7発明の「一般式(2a)のイソソルビドを含むジヒドロキシ化合物」と「活性化カーボネート」とを溶融反応させるステップを含む「イソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートポリマーを作成する方法」は、本願発明の「ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマーを原料として」「溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する工程を含」む「ポリカーボネートの製造方法」に相当する。 以上から、本願発明と引7発明とは、 「ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物、又はこれらのプレポリマーを原料として溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する工程を含み、 前記ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含む、ポリカーボネートの製造方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点7> 溶融重縮合法によりポリカーボネートを製造する際に、本願発明では、「ガイドの外部表面に沿って流下させて」ポリカーボネートを製造するのに対し、引7発明では、そのような特定を有しない点 <相違点8> 本願発明では、「前記溶融重縮合法における反応温度が170~220℃である」のに対し、引7発明では当該反応温度が特定されていない点 <相違点9> 本願発明では、「得られるポリカーボネートのメルトボリュームフローレート(MVR)が、230℃において20cm3/10min以下である」のに対し、引7発明では当該MVRが特定されていない点 <相違点10> 本願発明が「前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の、ジヒドロキシ化合物の総量に対する質量比率が、0.5以上0.98以下であ」るのに対し、引7発明が「該ポリカーボネートポリマーは、イソソルビドカーボネート単位を50mol%以上含」む点 (2)検討 ア 相違点7について (ア)引7(上記第5 6(1)ア、オ参照。)には、イソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートを作成する際に、ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器を使用できることが記載されており、上記ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器は、本願発明の「ガイドの外部表面に沿って流下させて」重合する装置に相当するから、該ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 また、引7発明において、上記ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器を使用することを妨げる特段の事情があるとはいえない。 (イ)そして、本願優先日時において、撹拌槽式重合装置を用いた溶融重縮合法には、重合の進行とともに、製造されるポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノールが効率的に除去できず、重合度を上げにくいこと、上記撹拌槽式重合装置が駆動部にシール部を有するため、酸素の漏れ込みを防止できずにポリマーの着色を防止できないといった欠点を有するものであったところ、ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いることで、上述の欠点を解消することが従来からよく知られていたことである(例えば、引3の上記第5 1(1)ウ、エ、コ等、引4の上記第5 3ア、オ~キ等、引5の上記第5 4ア~オ等、引6の第5 5ア~オ等参照のこと。)。 そうすると、引7発明において、イソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートを製造する際に、上述の欠点を避けるべく、ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器、すなわち「ガイドの外部表面に沿って流下させて」重合する装置を選択することは、当業者には自然なことである。 してみると、相違点7のように構成することは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点8について (ア)引7(上記第5 6(1)キ参照。)には、カーボネート源としてBMSC(ビス(メチルサリチル)カーボネート)又はDPC(ジフェニルカーボネート)を用いる溶融ルートにより作成される、イソソルビドと、例えばビスフェノールA(BPA)等の芳香族ジオールとのコポリカーボネートやイソソルビドのホモポリカーボネートを含む、イソソルビドの脂肪族ジオール系ポリカーボネートが、250℃を超える高温にさらされると、変色するおそれがあることが記載されている。 そして、引1(上記第5 2オ、ク参照。)には、イソソルビドに代表されるエーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進めるためには重合温度は180~280℃であることが好ましいことが記載されている。 さらに、引4(上記第5 3キ参照。)には、ガイドの外部表面に沿って流下させる重合反応ゾーンを有する重合装置を用いることで、内部撹拌に伴う効率的な表面更新が行われているので、比較的低温で重合反応を進行させることができること、好ましい反応温度が100~290℃、更に好ましくは150~270℃であること、従来の機械的撹拌式重合器の場合よりも低温で十分に重合を進めることができ、着色や物性低下のない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できることが記載されている。 これらの記載によると、イソソルビドを原料とするポリカーボネートが250℃を超える高温では変色するおそれがあり、できるだけ低温で重合すべきであるが、重合反応を進めるために重合温度は180~280℃であることが好ましいこと、ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いると、機械的撹拌式重合器よりも低温で重合反応を進行できることが理解できる。 してみると、引7発明において、イソソルビドを原料とするポリカーボネートが変色しないように、250℃以下の温度で重合することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に、温度を最適化して、170~220℃の範囲内の反応温度を適用するのは、当業者が適宜なし得た設計事項である。 (イ)そして、引7発明において、イソソルビドとジフェニルカーボネート(DPC)を用いてポリカーボネートを製造する際には、副生物であるフェノールを除去しながら行うところ(上記第5 2キ、同4イ、同5イ、同6(1)オ参照。)、該フェノールの沸点は約182℃であるから、重合温度の上限値は、常圧であれば、この温度より高めの重合温度であったとしても250℃を超えない程度である、170~220℃の範囲内の温度とすること、また、品質の低下を抑制するために、製造されるポリカーボネートに対して不必要な熱履歴を加えない温度であって、かつ、副生物を除去可能な温度にしようとすれば、減圧状態にすることを採用して、副生物の沸点よりも低い温度でありながら、副生物を除去して、重合反応を進めることができるから、重合温度の下限値は、副生物の沸点よりも低い重合温度に設定することも可能である。 このことは、イソソルビドとビス(メチルサリチル)カーボネート(BMSC)を用いてポリカーボネートを製造する場合であっても同様であり、副生物であるサリチル酸メチルを除去しながら行うものであるところ、該サリチル酸メチルの沸点は約222℃とフェノールの沸点よりも高く、副生物の除去に高温を要するものであるが、重合温度の上限値は、常圧であれば、上述のとおり250℃を超えない程度とし、下限値は、ポリカーボネートの品質を低下させないように、上述のとおり、減圧状態を採用して、副生物の沸点以下としうるものである。 してみると、副生成物であるフェノール或いはサリチル酸メチルの除去の程度を見て、フェノールの沸点である約182℃の近傍で、或いはサリチル酸メチルの沸点である約222℃の近傍で、重合温度に多少の余裕をもたせるように重合器内の圧力を考慮しながら、当業者が該重合温度の上限値、下限値を適宜最適化して、170~220℃の範囲内の温度を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 相違点9について (ア)引7(上記第5 6(1)ウ参照。)には、脂肪族ジオール系ポリカーボネート(ホモまたはコポリマー)は約17,000g/mol以上で、更により特定すれば20,000g/mol超の数平均分子量(Mn)をもつことが記載されている。 ここで、本願明細書の実施例(表1-1、表1-2、表2)によれば、本願発明の具体例である実施例2~8、10~12では、ポリカーボネートのMnが17300~21500くらいで、その際の「MVR[cm3/10min]@230℃」が8.3~10.3となっている。 そして、MnとMVRとの間において、Mnの値が大きくなると、MVRも大きくなるというような相関関係にあることは、本願優先日時には周知の技術事項である。 そうすると、引7のポリカーボネートのMnと本願発明のポリカーボネートのそれとは重複しているから、引7の230℃におけるMVRは、本願発明のそれと同程度であるということができる。 (イ)そして、引7発明であるイソソルビドカーボネート単位を含むポリカーボネートポリマーは、約40,000g/mol以上のMwを有するものであるし、引7(上記第5 6(1)ウ参照。)には、イソソルビドを原料とする脂肪族ジオール系ポリカーボネートを含むポリカーボネートは、ASTM D1238-04に従って5kgの荷重下、250℃で測定した場合、約0.5~約80cm3/10分、又は約2~約40cm3/10分の溶融体積比(MVR)を持つことが記載されており、これは高分子量のポリカーボネートポリマーであるといえる。 一方、「MVR」の測定について、本願明細書の段落[0148]には、「十分乾燥させたポリカーボネートのペレットをメルトフロー試験装置(Mflow ツビックローエル(Zwick Roell)社製)を用いて、270℃・1.2kg荷重の条件、又は、230℃・1.2kg荷重の条件でメルトボリュームレート(MVR)を測定した。(単位:cm3/10min)(ISO1133規格)。」と記載されており、本願発明の230℃におけるMVRは、1.2kg荷重で測定されたものと認められる。 そうすると、本願発明におけるMVR(ISO1133、230℃、1.2kg荷重)と、引7におけるMVR(ASTM D1238、250℃、5kg荷重)とは、それらの測定方法及び測定条件に相違があるものの、 MVRの測定温度と荷重が小さくなるにつれて、MVRも小さくなることは技術常識であるから、引7の上記0.5~80cm3/10分又は2~40cm3/10分であるMVRは、230℃、1.2kgで測定する場合、大幅に小さくなり、おおよそ20cm3/10分以下になるものと解される。 してみると、引7には、イソソルビドを原料とするポリカーボネートにおいて、「230℃において20cm3/10min以下」のMVRであることが記載されているといえるから、実質的な相違点ではないか、引7に記載された事項に基づいて、「230℃において20cm3/10min以下」のMVRとすることは、当業者が適宜最適化し得たことである。 (ウ)さらに、上記1(2)ウに示したように、イソソルビドを原料とするポリカーボネートが、三菱ケミカル株式会社より「新規バイオエンプラDURABIOTM」として上市されており、イソソルビドを主原料とするポリカーボネートのMVR(230℃、1.2kg荷重)が、20cm3/10min以下であることは、本願優先日時には周知の技術事項であったといえる。 してみると、引7発明のMVRは、本願発明の「230℃において20cm3/10min以下」と同程度であるか、引7発明において、本願発明の「230℃において20cm3/10min以下」とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 以上から、引7発明並びに引1、引4、引7に記載された事項及び周知技術に接した当業者が、相違点9のように構成することは、容易になし得たことである。 エ 相違点10について 引7発明では、ポリカーボネートポリマーが、イソソルビドカーボネート単位を50mol%以上含むことが特定されている。 ここで、イソソルビドカーボネート単位は、イソソルビドとカーボネート源とが1:1で反応した単位のことであるから、ポリカーボネートポリマーが、イソソルビドカーボネート単位を50mol%以上含むことは、ジヒドロキシ成分としてイソソルビドが50モル%以上含むことを意味している。 そして、引7発明では、イソソルビドと同一でないジヒドロキシ芳香族化合物をさらに含むものであって、引7(上記第5 6(1)ア参照。)には、そのようなジヒドロキシ芳香族化合物として、一般式(4)のビスフェノール化合物(当審注:一般式(4)は省略する。)であること、同7(上記第5 6(1)ウ参照。)には、コポリカーボネートのコモノマーとしてビスフェノールAを用いることが記載されている。 そこで、ジヒドロキシ芳香族化合物が、イソソルビドとビスフェノールAであるものとして以下検討する。 (ア)ジヒドロキシ化合物のモル百分率(モル%)は、イソソルビドとビスフェノールAのモル数から計算でき、モル数は各成分の使用量と分子量とから計算でき、各々の分子量は、イソソルビドが約146、ビスフェノールAが約228である。 そして、引7発明では、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位(当審注:上記「イソソルビドカーボネート単位」のことである。)を50mol%含むコポリマーであった場合には、イソソルビドの使用量は約73(ビスフェノールAに由来するカーボネート単位の使用量は約114)であるから、脂肪族ジオール系カーボネート単位が約39質量%含むものである(計算は、39=73×100/(73+114))。 そうすると、引7発明において、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を50mol%以上含むコポリマーであるということは、質量百分率でいえば、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を約39重量%以上含むコポリマーであるといえ、ジヒドロキシ化合物の総量に対して50質量%以上、すなわち質量比率で0.5以上であることと相当程度重複するものといえる。 (イ)また、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドとビスフェノールAを用いるところ、引7(上記第5 6(1)ウ参照。)には、脂肪族ジオール系ポリカーボネートが、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を60~99mol%含むコポリマーであることが記載されている。 上記式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位を60~99mol%含むコポリマーは、ビスフェノールAに由来するカーボネート単位を40~1mol%含有するものであり、上述のイソソルビド及びビスフェノールAのそれぞれの分子量を用いて計算した、脂肪族ジオール系カーボネート単位の質量比率は、約0.49~0.98となり、本願発明における「質量比率で0.5以上0.98以下であ」ることと、ほとんど重複している。 以上から、引7発明において、式(2)の脂肪族ジオール系カーボネート単位(イソソルビドカーボネート単位)の質量比率を、0.5以上0.98以下とすることは、引7に記載された事項に基づいて適宜なし得たことである。 オ 本願発明の効果について 本願明細書の段落[0007]には、本願発明の発明特定事項を有することで、イソソルビド骨格を有する化合物を用いながら、「低粘度」であり、「ヘイズ」が低く、更には「色相」が良好である、ポリカーボネートを提供すること可能になると記載されている。 以下、本願発明の効果が当業者に予測可能であるか否か検討する。 (ア)「低粘度」について 上記1(2)エに示したように、イソソルビド骨格を有する化合物を溶解させて重合を開始して得られる溶融プレポリマーやその後のポリカーボネートの「溶融粘度」が高くないという意味であると解することができ、この意味であるとして本願発明の効果について検討すると、上記上記1(2)エに示したのと同様に、引7発明において、引1の記載事項に基づいて、イソソルビドを有する構成単位の含有量を65~98重量%とすることにより、溶融粘度が高くなりすぎない「低粘度」のものといえるから、本願発明の効果、つまり、溶融粘度が高くなりすぎず、「低粘度」であることを当業者が予測可能なものである。 (イ)「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であることについて 上記上記1(2)エに示したのと同様に、引7発明は、ワイヤー接触流下重合器(ガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置)を用いるものであるから、引3~6と同様に「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であるといえ、同様のガイド接触落下重合反応ゾーンを有する重合装置を用いている本願発明も、「ヘイズ」が低く、「色相」が良好であることは、当業者には予測可能なものである。 (ウ)小括 してみると、引7をはじめとして、引1、引3~引6から、イソソルビドを原料として用いながら、低粘度であり、ヘイズが低く、更には色相が良好である、ポリカーボネートの提供という効果を当業者が予測しうるものである。 したがって、本願発明の効果は、格別顕著なものとはいえない。 カ 審判請求人の令和6年9月2日提出の意見書について 審判請求人は、意見書第5頁~第7頁において、(ア)引7には本願発明の課題(低MVRであり、且つ、ヘイズが低く、更には色相が良好である、ポリカーボネートの製造方法の提供)が記載されていないこと、(イ)相違点7-1~7-4を挙げて、本願発明は、引7及びその他の文献から容易に想到し得たものでないことを意見する。 (ア)について 引7(上記第5 1(6)ウ参照。)には、脂肪族ジオール(含イソソルビド)系ポリカーボネートが約40,000g/mol以上のMwをもつこと、ASTM D1238-04に従って5kgの荷重下で250℃で測定した場合、約0.5~約80cm3/10分の溶融体積比(MVR)をもつこと、更に実質的に透明になるように製造できることが記載されている。 この記載によると、脂肪族ジオール(含イソソルビド)系ポリカーボネートのMw及びMVRの値から見て、高分子量であること及び低MVRであることを意図しており、また実質的に透明であるということはヘイズが小さく、色相が良好であることを意図しているといえる。 してみると、引7には、本願発明の課題について明示的な記載はないものの、示唆されているといえる。 (イ)について 上記相違点7-1、同7-2、同7-3、同7-4は、上記(1)ア~エの相違点7、同10、同8、同9にそれぞれ対応するものであり、上記ア~エに示したように、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、審判請求人は、本願発明の発明特定事項を有することで、異質の効果を有するものである旨意見するが、上記オに示したように、当業者が予測可能なものである。 よって、出願人の意見は採用できない。 (3)まとめ 以上から、本願発明は、引7に記載された発明並びに引1、引3~7に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-000606

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