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特許拒絶査定不服審判

2024-004697

表面処理剤

審判番号
2024-004697
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-071436
請求日
2024年03月18日
審決日
2026年06月22日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ダイキン工業株式会社
  • 【請求人代理人】川本 真由美
  • 【請求人代理人】式見 真行
審判長/審判官
  • 審判長 岩田 行剛
  • 審判官 松本 直子
  • 審判官 越本 秀幸
分類
P18 .121-WZ (C08G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023- 71436「表面処理剤」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年11月 9日出願公開、特開2023-163157〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和5年4月25日(優先権主張 令和4年4月27日)の出願(特願2023-71436)であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 7月 4日付け:拒絶理由通知書 同年 9月13日 :意見書及び手続補正書の提出 同年12月12日付け:拒絶査定 令和6年 3月18日 :審判請求書及び手続補正書の提出 令和7年 9月 2日付け:拒絶理由通知書 同年11月 7日 :意見書及び手続補正書の提出 令和8年 2月24日付け:拒絶理由通知書 同年 5月 1日 :意見書及び手続補正書の提出 2 本願発明 本願の請求項1~22に係る発明は、令和8年5月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 成分(B):式(B2): 【化1】 [図:0001438657000001.jpg] [式中: RFB2は、-Rf2p-RF-Oq-であり、 RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、 Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり、 pは、0又は1であり、 qは、それぞれ独立して、0又は1であり、 XBは、 それぞれ独立して、単結合、又は、-(R67)b1-(R68)b2-であり、 R67は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、 R68は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、NR69、CONR69、NR69CO、又はC6-12アリーレン基であり、 R69は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、 b1は、0~6の整数で有り、 b2は、0~6の整数で有り、 b1及びb2の合計は、1以上であり、 b1又はb2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、 RBは、それぞれ独立して、オキシアルキレン含有基である。] で表され、及び RFは、それぞれ独立して、下記式(f2)又は(f6): -(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f2) [式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、 e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、 c、d、e及びfの和は、20~200の整数であり、 c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、 -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f6) [式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e及びfの和は、10以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。] で表される基であり、 前記オキシアルキレン含有基は、それぞれ独立して、下記式: -R61-(OR63)b3-R62、又は -XE(-R61-(OR63)b3-R62)r2 [式中: R61は、それぞれ独立して、単結合、又はC1-6アルキレン基であり、 R62は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、 R63は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、 b3は、それぞれ独立して、1~6の整数であり、 XEは、炭素数1~20の3~6価の炭化水素基であり、 r2は、2~6の整数であり、XEの価数より1小さい。] で表される基である、フルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物。」 3 拒絶の理由 令和8年2月24日付けで当審において通知した拒絶の理由の要旨は、次のとおりである。 この出願の請求項1~22に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献Aに記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・引用文献A:国際公開第2021/060199号 なお、本願発明は、上記拒絶理由を通知した際の請求項1に係る発明の「成分(B):式(B1)又は(B2)・・・である、フルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物」のうち、「式(B2)」の化合物に特定されたものである。 4 引用文献Aの記載事項 引用文献A(国際公開日:2021年4月1日)には、以下の事項が記載されている。 (1)まず、引用文献Aには、含フッ素エーテル組成物及びそれに含まれる化合物に関し、以下の記載がある(下線は当審合議体において付した。以下同様。)。 「[請求項1] ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖と、加水分解性基および/または水酸基がケイ素原子に結合した基(Y)とを有する化合物(A)と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(ただし、オキシアルキレン基が2つ以上連続した構造を含まない。)とポリオキシアルキレン鎖(ただし、アルキレン基の炭素数は2以上である。)とが連結基を介して結合した部分構造を有し、前記基(Y)を有しない化合物(B)と、を含むことを特徴とする含フッ素エーテル組成物。 [請求項2] 前記化合物(B)が、前記部分構造が前記連結基を1つ有し、前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖および前記ポリオキシアルキレン鎖が該連結基で結合された構造である化合物(B1)、前記部分構造が前記ポリオキシアルキレン鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ前記連結基を介して前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖が結合された構造である化合物(B2)、または、前記部分構造が前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ前記連結基を介して前記ポリオキシアルキレン鎖が結合された構造である化合物(B3)である、請求項1に記載の含フッ素エーテル組成物。」 「[請求項5] ・・・含フッ素エーテル組成物と、液状媒体とを含むことを特徴とするコーティング液。」 「[請求項6] ・・・含フッ素エーテル組成物から形成された表面層を基材の表面に有することを特徴とする物品。」 「[請求項10] ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(ただし、オキシアルキレン基が2つ以上連続した構造を含まない。)と、ポリオキシアルキレン鎖(ただし、アルキレン基の炭素数は2以上である。)が連結基を介して結合した部分構造を有し、加水分解性基および/または水酸基がケイ素原子に結合した基(Y)を有しないことを特徴とする化合物。」 「[請求項11] 前記部分構造が、前記連結基を1つ有し、前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖および前記ポリオキシアルキレン鎖が該連結基で結合された構造、前記ポリオキシアルキレン鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ前記連結基を介して前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖が結合された構造、または前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ前記連結基を介して前記ポリオキシアルキレン鎖が結合された構造である、請求項10に記載の化合物。」 「[請求項12] 前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖はポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖であり、前記連結基が、-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-CH2-O-、-O-CH2-、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する(ただし、-CH2-O-または-O-CH2-を有する場合には、炭素数1~6のアルキレン基および炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基のいずれも有しない)2価の有機基である、請求項10または11に記載の化合物。」 「[0008] 本発明は、基材の表面に優れた撥水撥油性を付与できるとともに、撥水撥油性の摩耗耐久性に優れた表面層を形成できる含フッ素エーテル組成物および該含フッ素エーテル組成物を含むコーティング液の提供を目的とする。・・・」 「[0022] 本組成物は化合物(A)を含有することで硬化して硬化物となる。本組成物を用いて基材の表面に形成される表面層は本組成物の硬化物からなる。本組成物の硬化は、化合物(A)の基(Y)の反応により行われる。具体的には、化合物(A)の基(Y)がケイ素原子に結合する加水分解性基を有する場合、該加水分解性基が加水分解してシラノール基(Si-OH)を形成し、該シラノール基が分子間で縮合反応してSi-O-Si結合により硬化する。化合物(A)の基(Y)がケイ素原子に結合する水酸基を有する、すなわちシラノール基を有する場合、該シラノール基が分子間で縮合反応してSi-O-Si結合により硬化する。また、このような硬化に際して、例えば、基材がガラス基材のように表面にシラノール基を有する場合には該シラノール基と、化合物(A)が有する、または、化合物(A)から生成したシラノール基が反応してSi-O-Si結合が形成される。これにより、得られる表面層は基材に密着される。 [0023] 化合物(A)が有するポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)は、硬化後は典型的には表面層中の大気側に存在して表面層に撥水撥油性を与える、と考えられる。 [0024] 一方、化合物(B)は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)を有することで、化合物(A)との相溶性を有し、親水性基であるポリオキシアルキレン鎖(b)を有することで、本組成物に親水性を付与できる。親水性を有する本組成物は、水分を含みやすくなり、化合物(A)における基(Y)による硬化反応を促進する。また、本組成物をガラス基材のように表面にシラノール基を有する基材上に塗布すると、基材表面が水分を含みやすくなる。その水分が、化合物(A)が有する、または、化合物(A)から生成したシラノール基と基板上のシラノール基との結合反応を促進する。このようにして、本組成物から得られる表面層は、硬化が充分になされ、さらに基材に強固に接着(化学結合)した層であり、摩耗耐久性に優れる。」 「[0026] (化合物(A)) 化合物(A)はポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)と基(Y)とを有する。化合物(A)においてポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)と基(Y)は通常、連結基(以下、「連結基(a)」とも記す。)を介して結合される。基(Y)はケイ素原子が連結基(a)と結合する。 [0027] 化合物(A)において、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)の2つの末端は、片方がフルオロアルキル基と結合していて、もう片方が連結基(a)を介して基(Y)に連結しているか、2つとも、それぞれ連結基(a)を介して基(Y)に連結している。撥水撥油性により優れる点から、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)の片方の末端はフルオロアルキル基と結合することが好ましい。」 「[0047] 化合物(A)は、化合物(1)であることが好ましい。化合物(1)において、(OX1)m1が化合物(A)のポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)に相当し、-Si(R1)n1L13-n1が基(Y)に相当し、Z1およびQ1が連結基(a)に相当する。 [A1-(OX1)m1-]j1Z1[-Si(R1)n1L13-n1]g1 (1) ただし、式(1)中、 A1は、ペルフルオロアルキル基または-Q1[-Si(R1)n1L13-n1]k1であり、 X1は、1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基であり、 m1は、2~200の整数であり、 j1、g1、k1はそれぞれ、1以上の整数であり、 Z1は、(j1+g1)価の連結基であり、 R1は、独立して1価の炭化水素基であり、 L1は、独立して加水分解性基または水酸基であり、 n1は、独立して0~2の整数であり、 Q1は、(k1+1)価の連結基である。・・・ [0050] (OX1)m1は、(OX1)で表される単位(以下、「単位(1)」とも記す。)がm1個結合してなる。 X1は、1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基である。フルオロアルキレン基の炭素数は1~6が好ましい。 フルオロアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から、直鎖状が好ましい。・・・」 「[0130] (化合物(B)) 化合物(B)は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)とポリオキシアルキレン鎖(b)とが連結基(以下、「連結基(b)」とも記す。)を介して結合した部分構造を有し、基(Y)を有しない化合物である。なお、化合物(B)は文献未記載の新規な化合物である。・・・ [0135] 化合物(B)は直線的な構造(B)を有することが好ましい。直線的な構造(B)の場合、連結基(b)の数は1~5が好ましく、1または2がより好ましい。化合物(B)は構造(B)を少なくとも1つ有すればよく、複数有してもよい。化合物(B)は構造(B)を1つ有することが好ましい。構造(B)が有するポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)とポリオキシアルキレン鎖(b)の数は、特に制限されず、例えば、それぞれ1~4個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。 [0136] 構造(B)としては、次の構造(B1)~(B3)が好ましい。構造(B1)は、連結基(b)を1つ有し、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)およびポリオキシアルキレン鎖(b)が該連結基(b)で結合された構造である。構造(B2)は、ポリオキシアルキレン鎖(b)を1つ有し、その両端にそれぞれ連結基(b)を介してポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)が結合された構造である。構造(B3)は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)を1つ有し、その両端にそれぞれ連結基(b)を介してポリオキシアルキレン鎖(b)が結合された構造である。 [0137] 化合物(B)としては、部分構造が構造(B1)である化合物(B1)、部分構造が構造(B2)である化合物(B2)、部分構造が構造(B3)である化合物(B3)が好ましい。化合物(B1)は構造(B1)を複数有してもよいが、構造(B1)の数は1が好ましい。化合物(B2)のおける構造(B2)、化合物(B3)における構造(B3)も同様である。 [0138] ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)は、化合物(A)が有するポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)と好ましい態様も含めて同様にできる。ただし、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)では、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(a)が含んでもよい、オキシアルキレン基が2つ以上連続した構造を含まない。ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)は、具体的には、上に説明した(OX1)m1と同様にできる。ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)におけるオキシフルオロアルキレン基はオキシペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン鎖(b)は、後述する化合物(2)中の(R50O)m3と好ましい態様も含めて同様にできる。・・・ [0143] 連結基(b)が、2価の連結基の場合、例えば、-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-CH2-O-、-O-CH2-、炭素数1~6のアルキレン、炭素数1~6のフルオロアルキレンからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する(ただし、-CH2-O-または-O-CH2-を有する場合には、炭素数1~6のアルキレン基および炭素数1~6のフルオロアルキレン基のいずれも有しない。)連結基が挙げられる。 [0144] ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)がポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(b)の場合、上記炭素数1~6のフルオロアルキレンは、例えば、炭素数1~6のペルフルオロアルキレンである。連結基(b)の具体例については、以下の化合物(B)の具体的な化合物とともに説明する。 [0145] 化合物(B)は、化合物(2)であることが好ましい。化合物(2)において、(OX2)m2、(X4O)m5がポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)に相当し、(R50O)m3、(R60O)m4がポリオキシアルキレン鎖(b)に相当し、Z2、Q2およびQ4が連結基(b)に相当する。式(2)において、Rf1、Rf2およびR61、R51が末端基であり、Rf1、Rf2およびR61、R51を除いた部分が構造(B)に相当する。 [0146] [A2-(OX2)m2-]j2Z2[-(R50O)m3-A3]g2 (2) ただし、式(2)中、 A2は、Rf1または-Q2[-(R60O)m4-R61]k2であり、 A3は、R51または-Q4[-(X4O)m5-Rf2]k3であり、 X2、X4は、それぞれ1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基であり、 R50、R60は、それぞれ炭素数2以上のアルキレン基であり、 Rf1、Rf2は、それぞれペルフルオロアルキル基であり R51、R61は、それぞれ1価の炭化水素基であり、 m2、m3、m4、m5は、それぞれ2~200の整数であり、 j2、g2、k2、k3は、それぞれ1以上の整数であり、 Z2は、(j2+g2)価の連結基であり、 Q2は、(k2+1)価の連結基であり、 Q4は、(k3+1)価の連結基である。 [0147] 化合物(2)において、A2がRf1でありA3がR51である化合物は化合物(B1)に相当し、末端基であるRf1およびR51を除いた部分が構造(B1)に相当する。化合物(2)において、A2がRf1でありA3が-Q4[-(X4O)m5-Rf2]k3である化合物は化合物(B2)に相当し、末端基であるRf1およびRf2を除いた部分が構造(B2)に相当する。化合物(2)において、A2が-Q2[-(R60O)m4-R61]k2でありA3がR51である化合物は化合物(B3)に相当し、末端基であるR51およびR61を除いた部分が構造(B3)に相当する。 [0148] 化合物(2)において、A2が、ペルフルオロアルキル基Rf1である場合の[A2-(OX2)m2-]j2および[-(X4O)m5-Rf2]k3は、化合物(1)において、A1が、ペルフルオロアルキル基である場合の[A1-(OX1)m1-]j1と、好ましい態様も含めて同様にできる。 [0149] (R50O)m3は、(R50O)で表される単位(以下、「単位(2)」とも記す。)がm3個結合してなる。R50は、炭素数2以上のアルキレン基である。アルキレン基の炭素数は2~6が好ましく、2または3がより好ましく、ポリオキシアルキレン鎖の親水性がより優れる点から2が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から、直鎖状が好ましい。 [0150] (R50O)m3に含まれる単位(2)の繰り返し数m3は2~200の整数であり、2~100が好ましく、2~50がより好ましく、2~10が特に好ましい。 [0151] (R50O)m3は、2種以上の単位(2)を含んでいてもよい。2種以上の単位(2)としては、例えば、炭素数の異なる2種以上の単位(2)、炭素数が同じであっても側鎖の有無や側鎖の種類が異なる2種以上の単位(2)が挙げられる。2種以上の単位(2)のそれぞれの繰り返し数は同一であっても異なっていてもよい。2種以上の単位(1)のそれぞれの繰り返し数の合計をm3とする。なお、2種以上の単位(2)の結合順序は限定されず、ランダム、交互、ブロックに配置されてもよい。 [0152] R51、R61はそれぞれ1価の炭化水素基であり、1価の飽和炭化水素基が好ましい。R51、R61の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が特に好ましい。・・・ [0157] Z2が2価の連結基の場合、アルキレン基(好ましくは、炭素数1~20のもの)、アルケニレン基、アルキニレン基(いずれも好ましくは、炭素数2~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-N(Rd)-、-C(O)-、-Si(Ra)2-および、これらを2種以上組み合わせた基と、が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)、または、フェニル基である。Rdは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)である。 [0158] ただし、Z2の右側末端は炭素原子以外の原子である。上記の2種以上を組み合わせた基において、アルキレン基と-O-の組み合わせを含む場合のアルキレン基は、-CH2-である。すなわち、-CH2O-または-OCH2-である。また、これらにさらにアルキレン基が直接結合することはない。それ以外の場合、アルキレン基の炭素数は1~6がより好ましく、2~6が好ましく、2または3がより好ましく、2が特に好ましい。 [0159] 2価のZ2としては、例えば、-C(O)O-、-C(O)N(Rd) -、-CH2O-、-OCH2-C(O)O-、アルキレン基-C(O)O-、アルキレン基-Si(Ra)2-フェニレン基-Si(Ra)2-が挙げられる。・・・ [0162] Q2は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)の末端の酸素原子とポリオキシアルキレン鎖(b)の末端の炭素原子に結合する連結基である。 [0163] Q2が2価の連結基の場合、アルキレン基、フルオロアルキレン基(いずれも好ましくは、炭素数1~20のもの)、アルケニレン基、アルキニレン基(いずれも好ましくは、炭素数2~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-N(Rd)-、-C(O)-、-Si(Ra)2-および、これらを2種以上組み合わせた基と、が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)、または、フェニル基である。Rdは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)である。」 「[0175] 化合物(2)としては、連結基(b)であるZ2、Q2およびQ4が2価の連結基であることが好ましい。さらに、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)とポリオキシアルキレン鎖(b)の合計数が2または3であることが好ましい。このような、化合物(2)として、以下の化合物(21)~(23)が挙げられる。化合物(21)は化合物(B1)に相当し、化合物(22)は化合物(B2)に相当し、化合物(23)は化合物(B3)に相当する。 [0176] Rf1-(OX2)m2-Z2-(R50O)m3-R51 (21) Rf1-(OX2)m2-Z2-(R50O)m3-Q4-(X4O)m5-Rf2 (22) R61-(OR60)m4-Q2-(OX2)m2-Z2-(R50O)m3 -R51 (23) ただし、式(21)~(23)中、連結基である、Z2、Q2およびQ4が2価の連結基である以外、全ての符号は、式(2)におけるのと同様の意味であり、好ましい態様についても上記のとおりである。また、Z2、Q2およびQ4が2価の連結基である場合の態様も上記と同様にできる。」 「[0199] 化合物(21-a3)として、例えば、化合物(21-a31)を用いた場合、得られる化合物(21-4)は、以下の式に示される化合物(21-41)である。 CF3(CF2)2-(OCF2)x3(OCF2CF2)x4-1-OCH2-C(O)O-(R50O)m3-R51 (21-41)」 「[0201] (本組成物) 本組成物は、化合物(A)と化合物(B)とを混合することで製造できる。本組成物が含有する化合物(A)の100質量部に対する化合物(B)の含有割合は、1~30質量部が好ましい。本組成物においては、化合物(A)と化合物(B)とを上記割合で含有することで、主として化合物(A)の硬化により得られる表面層における撥水撥油性の維持と化合物(B)による摩耗耐久性の付与がバランス良く達成できる。化合物(A)の100質量部に対する化合物(B)の含有割合は、5~27質量部がより好ましく、10~25質量部が特に好ましい。」 「[0206][コーティング液] 本発明のコーティング液(以下、「本コーティング液」とも記す。)は、本組成物と液状媒体とを含む。本コーティング液は、液状であればよく、溶液であっても分散液であってもよい。」 「[0217][物品] 本発明の物品(以下、「本物品」とも記す。)は、本組成物から形成された表面層を基材の表面に有する。・・・ [0219] 基材としては、撥水撥油性の付与が求められている基材が挙げられる。基材の材料としては、金属、樹脂、ガラス、サファイア、セラミック、石、これらの複合材料が挙げられる。・・・」 「[0226] 本物品が基材上に有する表面層は、優れた撥水撥油性を有するとともに、該撥水撥油性は摩耗耐久性に優れ、長期使用においても撥水撥油性が低下しにくい特性を有する。」 「[0287] 本組成物は、撥水撥油性の付与が求められている各種の用途に用いることができる。例えば、輸送機器用物品、精密機器用物品、光学機器用物品、建築用物品または電子機器用物品に用いることが好ましい。」 (2)そして、引用文献Aの[0228]~[0238]には、化合物(A)の具体例として、以下の化合物(A-1)~(A-4)が、製造工程及びNMRスペクトルと共に記載されている。 「[0231] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x5OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 (A-1) 単位数x5の平均値:13、Mn:5,040。」 「[0233] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x6OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)NHCH2CH2CH2-Si(OCH3)3 (A-2) 単位数x6の平均値:13、Mn:4,858。」 「[0236] CF3-(OCF2CF2)20(OCF2)16OCF2-CH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3 (A-3) Mn:4,100。」 「[0238] CF3-(OCF2)x7(OCF2CF2)x8OCF2-C(OH)[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 (A-4) x7:x8=47:53、x7+x8≒43」 (3)また、引用文献Aの[0239]~[0262]には、化合物(B)の具体例として、以下の化合物(B-1)~(B-6)が、製造工程及びNMRスペクトルと共に記載されている。 「[0242] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x10-OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)O-(CH2CH2O)4-CH3 (B-1) 単位数x10の平均値:12、Mn:4,907。」 「[0247] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x11-OCF2CF2OCF2CF2CF2-CH2O-(CH2CH2O)4-CH3 (B-2) 単位数x11の平均値:13、Mn:4,901。」 「[0250] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x10-OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)NH-(CH2CH2O)4-CH3 (B-3) 単位数x10の平均値:12、Mn:4,909」 「[0253] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x10-OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)O-(CH2CH2O)10-CH3 (B-4) 単位数x10の平均値:12、Mn:5,171」 「[0256] CF3-(OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2)x10-OCF2CF2OCF2CF2CF2-C(O)O-(CH2CH2CH2O)3-CH3 (B-5) 単位数x10の平均値:12、Mn:4,905。」 「[0261] CF3(CF2)2-(OCF2CF2)2(OCF2)x12(OCF2CF2)x14-OCF2-C(O)O-(CH2CH2O)4-CH3 (B-6) 単位数x12の平均値:21、単位数x14の平均値:20、Mn:4,407。」 (4)さらに、引用文献Aの[0268]~[0286]には、含フッ素エーテル組成物の製造例及びその評価について、以下の記載がある。 「[0268][例11~27] 上記で得られた化合物(A-1)~(A-4)、化合物(B-1)~(B-6)、化合物Cf-1~Cf-2を表1に示す組み合わせ、割合で混合して例11~27の含フッ素エーテル組成物を製造した。例11~23が実施例であり、例24~27が比較例である。例11で得た含フッ素エーテル組成物を以下「組成物(11)」と表記する。他の例により得られた含フッ素エーテル組成物も同様に表記する。 [0269] [表1] [図:0001438657000002.jpg] [0270][例31] 真空蒸着装置内に、基材(無アルカリガラス(イーグルXG:製品名、コーニング社製、50mm×50mm、厚さ0.5mm))を配置し、真空蒸着装置内を5×10-3Pa以下の圧力になるまで排気した。基材の一方の主面に対向するように距離1000mmの位置に組成物(11)を収容した蒸着用容器を抵抗加熱によって300℃に加熱し、組成物(11)を真空蒸着させて厚さ10nmの表面層を形成した。なお、組成物(11)の温度は、300℃であった。その後、得られた表面層付き基材を、温度200℃で30分間加熱(後処理)した。 [0271][例32~47] 組成物(11)の代わりに組成物(12)~(27)を用いた以外は例31と同様にして、表面層付き基材を得た。表面層の厚さはいずれも10nmとした。 [0272][例48] 組成物(11)と液状媒体としてのC4F9OC2H5(ノベック-7200:製品名、3M社製)とを混合して、コーティング液のうちの組成物(11)の含有量が0.1質量%であるコーティング液(1)を調製した。基材としては例31と同様の基材を準備した。 [0273] 基材の一方の主面にノードソン社製スプレーを用いて、コーティング液(1)を塗付量6.0g/秒でスプレーコートした後、基材上に形成されたコーティング液(1)の塗膜を120℃で10分間乾燥させ、表面層付き基材を得た。表面層の厚さは10nmであった。 [0274][例49~51] 組成物(11)の代わりに、それぞれ組成物(24)、(26)、(27)を用いた以外は例48と同様にして表面層付き基材を得た。表面層の厚さは、いずれも10nmであった。 [0275][例52] 組成物(11)を製造後、25℃、55%RHで180日間保存した。保存後の組成物(11)を用いて、例31と同様の方法で表面層付き基材を得た。表面層の厚さは、10nmであった。なお、上記例31~51において、各組成物は製造直後(製造後、48時間以内)のものを使用した。 [0276] 上記において、例31~43、例48および例52が実施例であり、例44~47および例49~51が比較例である。 [0277][評価] 上記例31~52で得た表面層付き基材の表面層について、以下の方法で、初期の水接触角、摩耗耐久試験後の水接触角を測定し評価した。なお、以下の評価において表面層の表面は、いずれも、表面層の空気側の表面である。結果を、各例における表面層付き基材の製造方法とともに表2に示す。 [0278](水接触角測定方法) 表面層の表面に置いた、約2μLの蒸留水を、接触角測定装置DM-500(協和界面科学社製)を用いて測定した。表面層の表面における異なる5箇所で測定を行い、その平均値を算出した。接触角の算出には2θ法を用いた。 [0279]<初期水接触角> 表面層の表面について、初期の水接触角を上記測定方法で測定した。 [0280]<摩耗耐久試験後水接触角> (1)スチールウールによる摩耗耐久試験 表面層の表面について、JIS L0849:2013(ISO 105-X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(大栄精機社製)を用い、スチールウールボンスター(番手:♯0000、寸法:5mm×10mm×10mm)を荷重:9.8N、頻度:60Hzで10,000回往復させる摩耗耐久試験を行った。摩耗耐久試験後の表面層の表面について、水接触角を上記測定方法で測定した。 [0281](2)消しゴムによる摩耗耐久試験 表面層の表面について、JIS L0849:2013(ISO 105-X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(大栄精機社製)を用い、消しゴムRubber Eraser(Minoan社製、接触面積6mmφ)を荷重:9.8N、頻度:60Hzで10,000回往復させる摩耗耐久試験を行った。摩耗耐久試験後の表面層の表面について、水接触角を上記測定方法で測定した。 [0282](摩耗耐久性評価) 上記(1)および(2)について、それぞれ摩耗耐久試験前後における水接触角の変化量を算出した。摩耗耐久試験前後における水接触角の変化量(以下、「Δθ」)は、初期水接触角-摩耗耐久試験後水接触角で求められる。変化量の大きさに応じて、以下の基準で評価した。結果を初期水接触角とともに表2に示す。 [0283]◎(優);Δθ<20° 〇(良);20°≦Δθ<30° △(可);30°≦Δθ<40° ×(不可);40°≦Δθ [0284] 初期の水接触角は110°以上が好ましい。摩耗耐久試験前後の水接触角は、70°以上であれば摩耗耐久性が認められる。80°以上が好ましく、90°以上が特に好ましい。 [0285] [表2] [図:0001438657000003.jpg] [0286] 表2から、実施例である例31~43、例48および例52で得た表面層付き基材の表面層については、優れた撥水性を有し、該撥水性は摩耗耐久性に優れることがわかる。また、実施例のうち例52は、化合物(B)における連結基(b)がエステル結合(-C(O)O-)を有することからこれを含有する例11の組成物(11)が貯蔵安定性にも優れることを示している。」 5 引用発明 上記4の記載事項によれば、引用文献Aには、「基材の表面に優れた撥水撥油性を付与できるとともに、撥水撥油性の摩耗耐久性に優れた表面層を形成できる含フッ素エーテル組成物および該含フッ素エーテル組成物を含むコーティング液の提供を目的」([0008])として、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖と、加水分解性基および/または水酸基がケイ素原子に結合した基(Y)とを有する化合物(A)と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(ただし、オキシアルキレン基が2つ以上連続した構造を含まない。)とポリオキシアルキレン鎖(ただし、アルキレン基の炭素数は2以上である。)とが連結基を介して結合した部分構造を有し、前記基(Y)を有しない化合物(B)と、を含むことを特徴とする含フッ素エーテル組成物。」(請求項1)及び当該組成物に用いられる「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(ただし、オキシアルキレン基が2つ以上連続した構造を含まない。)と、ポリオキシアルキレン鎖(ただし、アルキレン基の炭素数は2以上である。)が連結基を介して結合した部分構造を有し、加水分解性基および/または水酸基がケイ素原子に結合した基(Y)を有しないことを特徴とする化合物。」(請求項10)、すなわち「化合物(B)」が記載されており、その「化合物(B)」の具体例である「化合物(B-6)」(上記4(3))に着目すると、引用文献Aには、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「以下の構造を有する化合物(B-6)。 CF3(CF2)2-(OCF2CF2)2(OCF2)x12(OCF2CF2)x14-OCF2-C(O)O-(CH2CH2O)4-CH3 (B-6) 単位数x12の平均値:21、単位数x14の平均値:20、Mn:4,407。」 6 本願発明の進歩性についての検討 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「化合物(B-6)」は、その構造「CF3(CF2)2-(OCF2CF2)2(OCF2)x12(OCF2CF2)x14-OCF2-C(O)O-(CH2CH2O)4-CH3」(単位数x12の平均値:21、単位数x14の平均値:20)からみて、本願発明の「フルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物」に対応し、本願発明の「式(B2)」との相当関係は以下のとおりとなる。 引用発明の「(OCF2CF2)2(OCF2)x12(OCF2CF2)x14-OCF2」(単位数x12の平均値:21、単位数x14の平均値:20)は、「(OCF2CF2)」単位を22、「(OCF2)」単位を22(両単位の和が44)有するポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖であるから、本願発明の式「(f2)」(c及びdが0、e及びfが22、c~fの和が44)又は式「(f6)」(a~dが0、e及びfが22、a~fの和が44)である「2価のフルオロポリエーテル基」の「RF」に相当する。 そうすると、引用発明の「-(OCF2CF2)2(OCF2)x12(OCF2CF2)x14-OCF2-」は、本願発明の「RFB2は、-Rf2p-RF-Oq-」(p及びqは0)に相当する。 次に、本願発明の「XB」は「単結合、又は2価の基」(本願明細書【0305】)に包含されるものであるところ、引用発明の「C(O)O」は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)とポリオキシアルキレン鎖(b)とを結合する連結基(引用文献Aの請求項10、12)であって、2価の基であるといえるから、本願発明の「XB」とは、「2価の基」である限りにおいて一致する。 そして、引用発明の「(CH2CH2O)4-CH3」は、「CH2CH2-(OCH2CH2)3-OCH3」とも表記できるところ、「CH2CH2」が、本願発明の「C2アルキレン基」である「R61」に相当し、「-OCH3」が、本願発明の「C1アルコキシ基」である「R62」に相当し、「(OCH2CH2)3」が、「C2アルキレン基」である「R63」を有する「OR63」(b3は3)に相当することから、本願発明の「-R61-(OR63)b3-R62」である「RBは・・・オキシアルキレン含有基」に相当する。 以上のとおり、本願発明と引用発明とは、 「下記式 -RFB2-XB-RB [式中: RFB2は、-Rf2p-RF-Oq-であり、 RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、 Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり、 pは、0又は1であり、 qは、それぞれ独立して、0又は1であり、 XBは、2価の基であり、 RBは、それぞれ独立して、オキシアルキレン含有基である。] で表され、及び RFは、それぞれ独立して、下記式(f2)又は(f6): -(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f2) [式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、 e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、 c、d、e及びfの和は、20~200の整数であり、 c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、 -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f6) [式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e及びfの和は、10以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。] で表される基であり、 前記オキシアルキレン含有基は、それぞれ独立して、下記式: -R61-(OR63)b3-R62、又は -XE(-R61-(OR63)b3-R62)r2 [式中: R61は、それぞれ独立して、単結合、又はC1-6アルキレン基であり、 R62は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、 R63は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、 b3は、それぞれ独立して、1~6の整数であり、 XEは、炭素数1~20の3~6価の炭化水素基であり、 r2は、2~6の整数であり、XEの価数より1小さい。] で表される基を有する、フルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物。」 である点において一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 「2価の基」であるXBについて、本願発明においては、 「XBは、 それぞれ独立して、単結合、又は、-(R67)b1-(R68)b2-であり、 R67は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、 R68は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、NR69、CONR69、NR69CO、又はC6-12アリーレン基であり、 R69は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、 b1は、0~6の整数で有り、 b2は、0~6の整数で有り、 b1及びb2の合計は、1以上であり、 b1又はb2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、」と特定されているのに対し、引用発明においては、「C(O)O」である点 <相違点2> 「式 -RFB2-XB-RB」の「RFB2」の左側に結合する基が、本願発明においては、「RB-XB」であり、すなわち、「オキシアルキレン含有基」である「RB」基が、連結基XBを介して両末端に結合した構造(以下「両末端型構造」ともいう。)であるのに対し、引用発明においては、「CF3(CF2)2」であり、「オキシアルキレン含有基」である「RB」基が片末端にのみ結合した構造(以下「片末端型構造」ともいう。)である点 (2)相違点についての判断 ア 相違点1について 引用文献Aには、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)とポリオキシアルキレン鎖(b)とが連結基(以下、「連結基(b)」とも記す。)を介して結合した部分構造」を有する「化合物(B)」([0130])の連結基(b)について、「連結基(b)が、2価の連結基の場合、例えば、-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-CH2-O-、-O-CH2-、炭素数1~6のアルキレン、炭素数1~6のフルオロアルキレンからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する」([0143])と記載されており、また、[0145]及び[0146]に記載の化合物(B)の一般式である化合物(2)における連結基Z2、Q2について、「Z2が2価の連結基の場合、アルキレン基(好ましくは、炭素数1~20のもの)、アルケニレン基、アルキニレン基(いずれも好ましくは、炭素数2~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-N(Rd)-、-C(O)-、-Si(Ra)2-および、これらを2種以上組み合わせた基と、が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)、または、フェニル基である。Rdは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)である。」([0157])、「2価のZ2としては、例えば、-C(O)O-、-C(O)N(Rd)-、-CH2O-、-OCH2-C(O)O-、アルキレン基-C(O)O-、アルキレン基-Si(Ra)2-フェニレン基-Si(Ra)2-が挙げられる。」([0159])、「Q2が2価の連結基の場合、アルキレン基、フルオロアルキレン基(いずれも好ましくは、炭素数1~20のもの)、アルケニレン基、アルキニレン基(いずれも好ましくは、炭素数2~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-N(Rd)-、-C(O)-、-Si(Ra)2-および、これらを2種以上組み合わせた基と、が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)、または、フェニル基である。Rdは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10のもの)である。」([0163])と記載されている。 すなわち、連結基(b)として、アルキレン基(好ましくは、炭素数1~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、-O-、-S-、-N(Rd)-、-C(O)-等及びこれらを2種以上組み合わせた基が挙げられ、具体的に、「-C(O)O-」と並列して、「-C(O)N(Rd)-、-CH2O-」が示されており、化合物(B)の具体例(上記4(3))である化合物(B-2)及び化合物(B-3)における連結基としても、「-CH2O-」、「-C(O)NH-」が例示されている。 ここで、「-CH2O-」は、本願発明の「-(R67)b1-(R68)b2-」において、「R67」がC1アルキレン基、「R68」が酸素原子、b1及びb2が1であるものに相当し、「-C(O)NH-」は、「-(R67)b1-(R68)b2-」において、「R68」が「CONR69」、「R69」が水素原子、b1が0、b2が1であるものに相当する。 そうすると、引用発明において、連結基「C(O)O」を、引用文献Aの記載に基づいて、具体的に開示された「-CH2O-」又は「-C(O)NH-」に置換することや、アルキレン基(好ましくは、炭素数1~20のもの)、2価の芳香族炭化水素基(炭素数5~20のものが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。)、-O-、-S-、-N(Rd)-、-C(O)-等及びこれらを2種以上組み合わせた基に置換することにより、相違点1に係る「XB」を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 相違点2について 引用文献Aの請求項2及び11並びに[0135]~[0137]には、化合物(B)の部分構造が、引用発明の化合物(B-6)のように、連結基を1つ有し、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖及びポリオキシアルキレン鎖が該連結基で結合された構造である「化合物(B1)」の他、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ連結基を介してポリオキシアルキレン鎖が結合された構造である「化合物(B3)」であってもよいことが記載されている。 また、引用文献Aの[0175]~[0176]にも、化合物(B1)に該当する下式の「化合物(21)」と、化合物(B3)に該当する下式の「化合物(23)」が記載されている。 「Rf1-(OX2)m2-Z2-(R50O)m3-R51 (21)」 「R61-(OR60)m4-Q2-(OX2)m2-Z2-(R50O)m3-R51 (23)」 ここで、[0145]及び[0176]によれば、「(OX2)m2」は、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)」に相当し、「(R50O)m3」及び「(R60O)m4」は、「ポリオキシアルキレン鎖(b)」に相当し、Z2及びQ2は2価の連結基(b)に相当する。 つまり、引用文献Aには、化合物(B)として、片末端型構造の化合物(B1)又は化合物(21)と、両末端型構造の化合物(B3)又は化合物(23)が並列して記載されており、後者は、本願発明の式(B2)に相当する化合物を包含するものである。 そうすると、引用文献Aの実施例において、片末端型構造の化合物(B1)又は化合物(21)に相当する化合物(B-1)~(B-6)のみが具体的に製造され、その摩耗耐久性が評価されていたとしても、当業者であれば、これらの化合物(B1)又は化合物(21)と同様に、化合物(B)として記載ないし示唆されている、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖及びポリオキシアルキレン鎖を有する両末端型構造の化合物(B3)又は化合物(23)を製造し、摩耗耐久性を評価することを、容易に想起できたものといえる。 したがって、引用発明において、引用文献Aの記載に基づいて、連結基を1つ有し、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖及びポリオキシアルキレン鎖が該連結基で結合された構造、すなわち片末端型構造に代えて、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を1つ有し、その両端にそれぞれ連結基を介してポリオキシアルキレン鎖が結合された構造、すなわち両末端型構造を有する化合物(B3)又は化合物(23)を得ること、その際、もう一つのポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖としては、引用発明における「(CH2CH2O)4-CH3」と同じものを採用し、もう一つの連結基としても、相違点1で検討したものと同じものを採用することにより、相違点2に係る両末端型構造とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (3)本願発明の効果について ア 本願明細書の記載によれば、本願発明は、「より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を与えることができる表面処理剤を提供することができる。」(【0007】)という効果を奏するものである。 そして、本願明細書の実施例1~3(【0406】~【0415】)には、成分Aとして化合物(a1)又は(a2)(【0399】~【0402】)、成分Bとして、以下の構造式を有する「化合物(b)」 「 [図:0001438657000004.jpg] 」(m=23.1、n=39.4、数平均分子量=5620)(【0403】~【0404】)を用い、成分A及び成分Bの混合物を希釈して表面処理剤を調製し、該表面処理剤を化学強化ガラス上に真空蒸着して、表面処理層を形成したことが記載されている。 さらに、表面処理層について、消しゴム(ER)摩擦耐久性試験を行い、水の静的接触角が100度未満になった時点で試験を中止し、最後に接触角が100度を超えた時の往復回数を測定したところ、実施例1及び2の表面処理剤から得られた表面処理層では6300回であったのに対し、成分Bを含有しない比較例1から得られた表面処理層では2500回であったことが記載され、また、表面処理層について、スチールウール(SW)摩擦耐久性試験を行い、上記と同様に最後に接触角が100度を超えた時の往復回数を測定したところ、実施例3の表面処理剤から得られた表面処理層では15000回であったのに対し、成分Bを含有しない比較例2から得られた表面処理層では8000回であったことが記載されている。 つまり、実施例には、成分Aに、成分Bとして、本願発明に包含される化合物の1つである化合物(b)を添加することにより、化合物(b)を添加しない場合に比べて、「より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を与えることができる」という効果を奏することが確認されている。 イ 一方、引用文献Aにも、「基材の表面に優れた撥水撥油性を付与できるとともに、撥水撥油性の摩耗耐久性に優れた表面層を形成できる含フッ素エーテル組成物および該含フッ素エーテル組成物を含むコーティング液」の提供を目的とし([0008])、化合物(A)に化合物(B)を配合することで、「表面層は、硬化が充分になされ、さらに基材に強固に接着(化学結合)した層であり、摩耗耐久性に優れる」([0024])こと、「主として化合物(A)の硬化により得られる表面層における撥水撥油性の維持と化合物(B)による摩耗耐久性の付与がバランス良く達成できる」([0201])ことが記載されているから、化合物(B)は、化合物(A)に添加することにより、表面層に摩耗耐久性を付与する成分である。 さらに、引用文献Aには、「化合物(B)は、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)を有することで、化合物(A)との相溶性を有し、親水性基であるポリオキシアルキレン鎖(b)を有することで、本組成物に親水性を付与できる。親水性を有する本組成物は、水分を含みやすくなり、化合物(A)における基(Y)による硬化反応を促進する。また、本組成物をガラス基材のように表面にシラノール基を有する基材上に塗布すると、基材表面が水分を含みやすくなる。その水分が、化合物(A)が有する、または、化合物(A)から生成したシラノール基と基板上のシラノール基との結合反応を促進する。このようにして、本組成物から得られる表面層は、硬化が充分になされ、さらに基材に強固に接着(化学結合)した層であり、摩耗耐久性に優れる。」([0024])と記載されており、化合物(B)の機能について、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)」が化合物(A)との相溶性を有すること、親水性基である「ポリオキシアルキレン鎖(b)」が組成物に親水性を付与でき、化合物(A)の硬化反応を促進すること、それにより、優れた摩耗耐久性をもたらすことが示されている。 そして、引用文献Aの例11~23には、引用文献Aの請求項1に記載の化合物(A)に包含される化合物(A-1)~(A-4)から選ばれる化合物(A)と、化合物(B-1)~(B-6)から選ばれる化合物(B)を混合して含フッ素エーテル組成物(11)~(23)を製造したこと、例31~43には、該組成物(11)~(23)を基材(無アルカリガラス)に真空蒸着させて表面層を形成し、この表面層付き基材について、スチールウールによる摩耗耐久試験及び消しゴムによる摩耗耐久試験を行い、それぞれ10,000回往復させ、摩耗耐久試験前後の表面状態を水接触角によって測定したところ、例31~43のほとんど(例37、43以外)がいずれの摩耗耐久試験においても、「◎」(初期水接触角(113°)との差がΔθ<20°)という結果を示し、他方、化合物(B)を含まず、化合物(A)のみを用いた例24、25から形成された例44、45の表面層付き基材については、「×」(初期水接触角(113°)との差が40°≧Δθ)であったことが示されている。 例えば、例(36)においては、引用発明の化合物(B-6)を含む組成物(16)を用いているが、いずれの摩耗耐久性試験においても、「◎」(初期水接触角(113°)との差がΔθ<20°)という結果が得られている。 そうすると、引用文献Aにおける摩耗耐久試験の結果から、化合物(A)に化合物(B)を添加することにより、スチールウールによる摩耗耐久試験及び消しゴムによる摩耗耐久試験において、それぞれ10,000回往復させたときの水接触角が93°を超える(100°を超えている可能性もある)という効果が得られることが理解できるから、引用発明の化合物(B-6)を含む引用文献Aに記載の化合物(B)について具体的に開示される効果は、本願明細書の実施例1~3における「化合物(b)」を用いた結果と遜色ないものであり、ひいては本願発明の効果と遜色ないものといえる。 そして、引用発明の化合物(B-6)による効果は、上記のとおり、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)」の化合物(A)との相溶性と、「ポリオキシアルキレン鎖(b)」の親水性によるものといえるから、連結基(b)を変更したものや、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)の両端にそれぞれ連結基(b)を介してポリオキシアルキレン鎖(b)が結合された構造を有するものについても、化合物(A)との相溶性や親水性を発現する主要な構造が変わるものではなく、同程度の摩耗耐久性の効果を有することを当業者は予測できるものといえる。 ウ また、本願明細書においては、「フルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物」として、片末端型構造の式(B1)と両末端型構造の(B2)とを特に区別なく開示しており(【0299】~【0347】)、「オキシアルキレン含有基」である「RB」の作用や、その個数の違いについても特に言及されていない。そして、本願明細書の実施例において製造された唯一の成分Bである化合物(b)は、両末端型構造を有するものではあるものの、摩擦耐久性の評価の比較対象は、化合物(b)を含まない比較例1及び2のみであるから、成分Bのうち、特に化合物(b)を含む両末端型構造の「式(B2)」を選択したことによる有利な効果が示されていたとはいえない。 しかも、本願発明の「オキシアルキレン含有基」である「RB」については、一般式「-R61-(OR63)b3-R62」に、「OCH3」(R61が単結合、R62が水素原子、R63がC1-6アルキレン基、b3が1)のような、親水性の程度の異なる様々なものを包含し得るところ、本願明細書には、「-R61-(OR63)b3-R62」という構造を有することの作用機序についても、何ら説明されていないから、特定の「化合物(b)」の試験結果をもって、両末端型構造を有するものでありさえすれば、「-R61-(OR63)b3-R62」の種類によらず、本願発明全体にわたって、引用文献Aの記載から当業者が予測し得るところを超えて、顕著な効果を奏すると認めることもできない。 エ したがって、本願発明の上記アの効果は、引用文献Aの記載からみて、当業者の予測を超える格別顕著なものとはいえない。 (4)小括 以上によれば、本願発明は、引用文献Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1)請求人は、令和8年5月1日提出の意見書([3]の(1)及び(2))において、概略以下の主張をしている。 ア 相違点について 引用文献Aには、両末端型構造に対応する「化合物(23)」又は「構造(B3)」は、段落[0175]~[0176]に一般式として記載されているにすぎず、実施例の化合物(B-1)~化合物(B-6)の6種は、すべて式(21)に相当する片末端型の構造を有するものであって、両末端型構造を有する化合物(B)については、引用文献Aにおいて一切合成されておらず、評価もされていない。さらに、本願発明で規定している2価のフルオロポリエーテル基又はXBは、引用文献Aに記載の化合物の2価のフルオロポリエーテル基又はXBと異なる。 このように、本願の両末端型構造と2価のフルオロポリエーテル基又はXBに対応する化合物が、引用文献Aに一般式として記載されているとしても、実際に片末端型構造と同様の効果を奏することが開示されていない以上、引用文献Aが当業者に両末端型構造を実際に選択しようとすることを示唆ないし動機付けることを意味しない。 したがって、引用文献Aに基づいて、両末端型構造だけでなく、2価のフルオロポリエーテル基又はXBを本願発明で規定している化合物(B2)を想到することは困難である。 イ 本願発明の効果について 本願発明、具体的には、両末端に結合したオキシアルキレン基、及び特定のフルオロポリエーテル基の繰り返し単位と繰り返し長さを有するフルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物(以後、成分(B)とも称する。)を含む表面処理層は、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を与えることができ、実際に、本願明細書の表2に示す「消しゴム(ER)摩擦耐久性試験」では、成分(B)を含む表面処理剤は、成分(B)を含まない表面処理剤に比べて、約2.5倍の耐久性の向上を奏し、表3に示す「スチールウール(SW)摩擦耐久性評価」では、成分(B)を含む表面処理剤は、成分(B)を含まない表面処理剤に比べて、約2倍の耐久性の向上を奏し、また、成分(B)を含む表面処理剤のスチールウール摩擦耐久性は15000回を示しており、顕著に高い摩擦耐久性を示している。 一方、両末端型構造を有する化合物(B)については、引用文献Aにおいて一切合成されておらず、評価もされていない。引用文献Aにおける片末端型構造で摩擦耐久性が向上するという開示、及び両末端型構造の一般式としての開示があるからといって、実際に高い摩擦耐久性を奏する表面処理層の提供が可能な本願のフルオロポリエーテル基含有ポリオキシアルキレン化合物が、当業者によって容易に想到できるとは限らない。 (2)検討 ア 相違点について 上記6(2)ア及びイにおいて述べたように、引用発明において、引用文献Aの記載に基づいて、連結基を変更し、化合物(B3)又は化合物(23)のような両末端型構造を採用することは、十分に動機づけられるものといえる。 イ 本願発明の効果について 上記6(3)において述べたように、引用発明の化合物(B-6)を含む引用文献Aに記載の化合物(B)について具体的に開示される効果は、本願発明の効果と遜色ないものといえ、また、片末端型構造を有する引用発明の化合物(B-6)による効果は、「ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)」の化合物(A)との相溶性と、「ポリオキシアルキレン鎖(b)」の親水性によるものといえるから、連結基(b)を変更したものや、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖(b)の両端にそれぞれ連結基(b)を介してポリオキシアルキレン鎖(b)が結合された構造を有するものについても、化合物(A)との相溶性や親水性を発現する主要な構造が変わるものではなく、同程度の効果を有することを当業者は予測できるものである。 さらに、本願明細書及び実施例の記載を参照しても、上記(3)ウにおいて述べたとおり、成分Bのうち、特に化合物(b)を含む両末端型構造の「式(B2)」を選択したことによる有利な効果が示されていたとはいえない。 以上のとおりであるから、請求人の上記主張はいずれも採用できない。 8 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004697

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