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特許拒絶査定不服審判

2023-006243

エラストマーおよびそれを用いたウェアラブルデバイス

審判番号
2023-006243
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-191239外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年04月17日
審決日
2024年11月25日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (C08G) / P18 .121-Z (C08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-191239「エラストマーおよびそれを用いたウェアラブルデバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月16日出願公開、特開2020- 59794〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年10月9日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 令和4年 7月14日付け:拒絶理由通知 同年 9月 9日 :意見書及び手続補正書の提出 令和5年 1月10日付け:拒絶査定 同年 4月17日 :審判請求書及び手続補正書の提出 同年 8月 8日 :上申書の提出 ここで、令和5年4月17日に提出された手続補正書による補正を以下「本件補正」という。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年4月17日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、本件補正前の 「 身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイス用のエラストマーであって、 シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物であるシリコーンゴムで構成されており、 前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、前記シリカ粒子(C)及び前記シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下であり、 前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、60重量部以下であり、 前記シランカップリング剤(D)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、5重量部以上100重量部以下であり、 下記の伸長操作に従って当該エラストマーを50%伸長した状態で、硬度計を用いて、25℃、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの、50%伸張時の当該エラストマーにおけるデュロメータ硬さA50が、20以上80以下である、エラストマー。 (伸長操作) (1)当該エラストマーから、所定厚みの短冊試験片を作成する。 (2)延伸機のチャック間に前記短冊試験片の両端を設置する。 (3)前記短冊試験片が緩んだ状態からピンと張った状態に変化した時のチャック間距離を初期値D0とする。 (4)初期値D0に対して所定%のチャック間距離を広げて、前記短冊試験片を所定%伸長させた状態で1分間保持する。」 から、本件補正後の 「 身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板用のエラストマーであって、 シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物であるシリコーンゴムで構成されており、 前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、前記シリカ粒子(C)及び前記シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下であり、 前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、60重量部以下であり、 前記シランカップリング剤(D)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、5重量部以上100重量部以下であり、 下記の伸長操作に従って当該エラストマーを50%伸長した状態で、硬度計を用いて、25℃、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの、50%伸張時の当該エラストマーにおけるデュロメータ硬さA50が、20以上80以下であり、 25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの、100%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM100とし、200%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM200としたとき、((M200-M100)/M100)×100が、10%以上110%以下である、 エラストマー。 (伸長操作) (1)当該エラストマーから、所定厚みの短冊試験片を作成する。 (2)延伸機のチャック間に前記短冊試験片の両端を設置する。 (3)前記短冊試験片が緩んだ状態からピンと張った状態に変化した時のチャック間距離を初期値D0とする。 (4)初期値D0に対して所定%のチャック間距離を広げて、前記短冊試験片を所定%伸長させた状態で1分間保持する。」 とする補正を含むものである(当審において補正された箇所に下線を付与した。)。 ここで、本件補正による請求項1についての補正を「本件補正事項」といい、本件補正後の請求項1に係る発明を以下「本件補正発明」という。 2 本件補正の適否 (1)補正の目的について 本件補正事項は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、同条第5項の規定に基づいて補正の目的について検討する。 本件補正事項は、(イ)補正前の「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイス用」という事項を、ウェアラブルデバイスにおけるエラストマーが使用される箇所を限定するために「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板用」という事項に減縮するとともに、(ロ)補正前の「エラストマー。」という事項を、エラストマーが有する特性を限定するために「25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの、100%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM100とし、200%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM200としたとき、((M200-M100)/M100)×100が、10%以上110%以下である、エラストマー。」という事項に減縮するものである。 また、本件補正事項による補正前の請求項1に係る発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。 (2)独立特許要件について ア はじめに 本件補正事項は、前記(1)で検討したとおり特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。そこで、同条第6項において準用する同法126条第7項の規定に基づいて本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 イ 本件補正発明 本件補正発明は前記1に記載したとおりのものである。 ここで、本願明細書には、実施例1-5においてビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対しシランカップリング剤(D)としてヘキサメチルジシラザン9.5-10.0重量部及びジビニルテトラメチルジシラザン0.5-1.0重量部を使用したこと(【0149】、【0159】)、実施例においてビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)、水(F)及びシリカ粒子(C)などからシリコーンゴム系硬化性組成物を得る工程の一部として減圧雰囲気下160~180℃の条件で2時間混練し副生成物たるアンモニアを除去すること(【0154】)、が記載されている。 したがって、本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴム系硬化性組成物を得る工程においてシランカップリング剤(D)であるヘキサメチルジシラザン及びジビニルテトラメチルジシラザンはその多くが加水分解されていると解されるから、本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴム系硬化性組成物中のシランカップリング剤(D)の含有量は5重量部に満たないと推認される。 そうすると、本件補正発明における「前記シランカップリング剤(D)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、5重量部以上100重量部以下」という事項は、本件補正発明における「シリコーンゴム系硬化性組成物」におけるシランカップリング剤(D)の含有量を特定する事項ではなく、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の仕込み量100重量部に対するシランカップリング剤(D)の仕込み量を特定する事項であると解するのが相当である。 そして、この事項と同様の体裁で併記されている、本件補正発明における「前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、前記シリカ粒子(C)及び前記シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下」という事項も、本件補正発明における「シリコーンゴム系硬化性組成物」におけるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量を特定する事項ではなく、また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)、水(F)及びシリカ粒子(C)の混練物100重量部に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の仕込み量(【0130】、【0154】)を特定する事項でもなく、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)及びシランカップリング剤(D)の仕込み量の合計100重量部に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の仕込み量を特定する事項であると解するのが相当である。 さらに、「前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、60重量部以下」という事項も同様である。 ウ 引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された特開2018-90774号公報(以下「引用文献」という。)は、本願の出願前である平成30年6月14日に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである。そして、引用文献には次のとおりの記載がある。 摘記a 「【0015】 本実施形態の樹脂製可動部材は、電子機器用途の一例として、例えば、人間の身体等に着用可能なウェアラブルデバイスに用いられる、伸縮性を有する配線あるいは配線基板;光ファイバー、フラットケーブル、配線構造体、ケーブルガイド等のケーブル;タッチパネル、力覚センサー、MEMS、座席センサー等のセンサー;等の一部を構成することができる。」 摘記b 「【0024】 本実施形態の樹脂製可動部材の、JISK6253(1997)に準拠して規定されるデュロメータ硬さAの上限値としては、例えば、50以下あり、好ましくは48以下であり、より好ましくは40以下であり、さらに好ましくは30以下である。これにより、樹脂製可動部材の柔軟性を向上させることができ、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。これにより、各種の機器や器具の操作性を良好なものとすることができる。樹脂製可動部材のデュロメータ硬さAの下限値としては、特に限定されないが、例えば、1以上でもよく、5以上でもよく、10以上でもよい。これにより、樹脂製可動部材の機械的強度を高めることができる。」 摘記c 「【0031】 以下、本実施形態の樹脂製可動部材の一例として、上記シリコーンゴムとして、シリコーンゴム系硬化性組成物を用いた場合について説明する。樹脂製可動部材は、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されていてもよい。」 摘記d 「【0032】 本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。 【0033】 上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。」 摘記e 「【0051】 さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。」 摘記f 「【0057】 <<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>> 本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。」 摘記g 「【0088】 <<シリカ粒子(C)>> 本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含むことができる。」 摘記h 「【0092】 <<シランカップリング剤(D)>> 本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。」 摘記i 「【0095】 シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。」 摘記j 「【0102】 <<白金または白金化合物(E)>> 本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。」 摘記k 「【0105】 <<水(F)>> また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。 【0106】 水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。」 摘記l 「【0114】 <シリコーンゴムの製造方法> 次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。 本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。 以下、詳述する。 【0115】 まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。 【0116】 [1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。 … 【0119】 さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。」 摘記m 「【0138】 以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。 【0139】 表1に示す実施例および比較例で用いた原料成分を以下に示す。 (ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)) … 低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b):合成スキーム2により合成した末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR1(末端)のみがビニル基である構造) 高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a):合成スキーム3により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR1およびR2がビニル基である構造) 【0140】 (オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)) オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B):モメンティブ社製、「TC-25D」 (シリカ粒子(C)) シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m2/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」 (シランカップリング剤(D)) シランカップリング剤(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelst社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」 シランカップリング剤(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelst社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」 (白金または白金化合物(E)) 白金または白金化合物(E):白金化合物、モメンティブ社製、「TC-25A」」 摘記n 「【0143】 [合成スキーム2:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b)の合成] …下記式(7)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b)を得た。(Mn=2,2×105、Mw=4,8×105)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。 【0144】 【化6】 [図:0001418632000001.jpg] 」 摘記o 「【0145】 [合成スキーム3:高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a)の合成] …下記式にしたがって、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a)を合成した。(Mn=2,3×105、Mw=5,0×105)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。 【化7】 [図:0001418632000002.jpg] 」 摘記p 「【0146】 (シリコーンゴム系硬化性組成物の調製) 実施例および比較例において、次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。まず、表1に示す割合で、95%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)およびシランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。 ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り5%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。 続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。」 摘記q 「【0148】 【表1】 [図:0001418632000003.jpg] 」 摘記r 「【0149】 (シリコーンゴムの作製) 得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、150℃、10MPaで20分間プレスし、厚さ1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、シート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られたシート状シリコーンゴムに対して、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。」 摘記s 「【0150】 (引張応力) 得られた厚さ1mmのシート状シリコーンゴムを用いて、JISK6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片の、室温25℃での、50%伸張時における引張応力M50、100%伸張時における引張応力M100、および600%伸張時における引張応力M600を測定した。単位はMPaである。」 摘記t 「【0154】 (硬度:デュロメータ硬さA) 得られた厚さ1mmのシート状シリコーンゴムを6枚積層し、6mmの試験片を作製した。得られた試験片に対して、JISK6253(1997)に準拠してタイプAデュロメータ硬さを測定した。」 摘記u 「【0155】 (ウエアラブル基板) 各実施例および各比較例で得られたシリコーンゴム系硬化性組成を用いて、170℃で5分、200℃で4時間の条件で硬化し、厚み:0.5mm×長さ:50mm×幅:20mmを有する板状部材(ウエアラブル基板)を作成した。得られた板状部材を指に張り付けて屈曲・伸び試験および耐久試験を行った。具体的には、板状部材を指に張り付けた状態で、指を曲げる試験を実施し、曲げ開始から曲げ終わりまでの指の曲げやすさや曲げ角度によって、板状部材の変形容易性を判断した。指を曲げる試験中、指を曲げる時に負荷を感じない板状部材を◎、指を曲げる時にわずかに負荷を感じる板状部材を○、指を曲げる時に負荷を感じる板状部材を×とした。また、上記指を曲げる試験を繰り返し50回行い、破損の有無によって、板上部材の耐久性を判断した。試験後に外観異常がなかった板状部材を○、試験後に亀裂や破損があるものを×とした。」 エ 引用文献に記載された発明 引用文献には、実施例3-5及び16として、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化してなる板状シリコーンゴムからなるウエアラブル基板が記載されている(摘記b、c、p、q及びu)。 また、引用文献には、実施例3-5及び16に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の原料成分の重量の割合が引用文献の表1のとおりであることが記載されている(摘記d-k、p及びq)。 ここで、シランカップリング剤(D-1)及びシランカップリング剤(D-2)はヘキサメチルジシラザン及びジビニルテトラメチルジシラザンであり(摘記m)、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)、水(F)及びシリカ粒子(C)から混練物を得る工程において副生成物たるアンモニアを除去する(摘記p)ことから、前記イで述べたのと同様に、ヘキサメチルジシラザン及びジビニルテトラメチルジシラザンの加水分解生成物のひとつであるアンモニアは混練物から十分除去されていると解される。しかし、前記表1のとおり実施例3-5及び16に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の製造に使用されているシランカップリング剤(D-1)及びシランカップリング剤(D-2)は多くはないから、生成し、除去されたアンモニアも多くはないと解される。 また、混練物を得る工程に減圧雰囲気下160~180℃の条件下で2時間混練するステップが含まれている(摘記p)ことから、このステップにおいて水(F)はほとんど除去されていると解される。したがって、混練物中の水(F)の量は無視することができる。 そうすると、前記表1に記載された白金または白金化合物(E)及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の重量部は「混練物100重量部に対する重量部」(摘記q)すなわち混練物100重量部に対する仕込み量であるところ、この仕込み量は「A1-1b、A1-2a、C、D-1及びD-2の仕込み量の合計100重量部」に対する仕込み量と実質的に同じであるといえる。 さらに、引用文献には、実施例3-5及び16に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の原料成分であるビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)及び(A1-2a)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D-1)及び(D-2)、白金または白金化合物(E)並びにオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)(摘記q)が、それぞれ以下のとおりのものであることが記載されている(摘記m-o)。 <ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)> その構造が [図:0001418632000004.jpg] であり、数平均分子量が2.2×105、重量平均分子量が4.8×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.04モル%である、ビニル基含有オルガノポリシロキサン <ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)> その構造が [図:0001418632000005.jpg] であり、数平均分子量が2.3×105、重量平均分子量が5.0×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.93モル%である、ビニル基含有オルガノポリシロキサン <シリカ粒子(C)> 粒径7nm、比表面積300m2/gである日本アエロジル社製、「AEROSIL300」 <シランカップリング剤(D-1)> ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)であるGelst社製「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」 <シランカップリング剤(D-2)> ジビニルテトラメチルジシラザンであるGelst社製「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」 <白金または白金化合物(E)> モメンティブ社製「TC-25A」 <オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)> モメンティブ社製「TC-25D」 したがって、引用文献には、実施例3に係る板状シリコーンゴムとして、 「ウエアラブル基板用の、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化してなる板状シリコーンゴムであって、シリコーンゴム系硬化性組成物が、 その構造が [図:0001418632000006.jpg] であり、数平均分子量が2.2×105、重量平均分子量が4.8×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.04モル%である、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)80重量部、 その構造が [図:0001418632000007.jpg] であり、数平均分子量が2.3×105、重量平均分子量が5.0×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.93モル%である、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)20重量部、 粒径7nm、比表面積300m2/gである日本アエロジル社製、「AEROSIL300」であるシリカ粒子(C)25重量部、 ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)であるGelst社製「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」であるシランカップリング剤(D-1)10重量部、 ジビニルテトラメチルジシラザンであるGelst社製「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」であるシランカップリング剤(D-2)0.5重量部、 水(F)5.25重量部、 モメンティブ社製「TC-25A」である白金または白金化合物(E)0.5重量部、 モメンティブ社製「TC-25D」であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)1.89重量部、 からなる、板状シリコーンゴム」 (以下「引用発明3」という。)が記載されているといえる。 また、同様に、引用文献には、実施例4に係る板状シリコーンゴム、実施例5に係る板状シリコーンゴム及び実施例16に係る板状シリコーンゴムとして、引用発明3において、引用発明3の原料成分の重量の割合を引用文献の表1(摘記q)における実施例4、5又は16の列に記載された数値に変更したもの(以下それぞれ「引用発明4」、「引用発明5」及び「引用発明16」という。)が記載されているといえる。 オ 引用文献に記載された発明と本件補正発明との対比 (ア)引用発明3と本件補正発明との対比 引用発明3と本件補正発明とを対比すると、まず、引用発明3における「ウエアラブル基板用の、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化してなる板状シリコーンゴムであって」は、本件補正発明における「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板用のエラストマーであって、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物であるシリコーンゴムで構成されており」に対応し、このうち引用発明3における「シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化してなる板状シリコーンゴム」は本件補正発明における「エラストマーであって、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物であるシリコーンゴムで構成されており」に相当する。 また、引用発明3における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)」及び「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)」は、いずれも本件補正発明における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)」に相当する。また、引用発明3における「オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)」は、本件補正発明における「オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)」に相当する。また、引用発明3における「シリカ粒子(C)」は、本件補正発明における「シリカ粒子(C)」に相当する。さらに、引用発明3における「シランカップリング剤(D-1)」及び「シランカップリング剤(D-2)」は、いずれも本件補正発明における「シランカップリング剤(D)」に相当する。 そして、これらのことから、引用発明3における、「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)80重量部、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)20重量部、シリカ粒子(C)25重量部、シランカップリング剤(D-1)10重量部、シランカップリング剤(D-2)0.5重量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)1.89重量部、からなる」は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D-1)、シランカップリング剤(D-2)の合計135.5重量部とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)1.89重量部からなるということであるといえる。そして、このことはこれらの合計100重量部とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B) (1.89/135.5)×100=約1.39 重量部からなるということである。したがって、このことは本件補正発明における「前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、前記シリカ粒子(C)及び前記シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下」に相当する。 同様に、引用発明3における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)80重量部、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)20重量部、シリカ粒子(C)25重量部、からなる」は、本件補正発明における「前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、60重量部以下」に相当する。 さらに、引用発明3における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)80重量部、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)20重量部、シランカップリング剤(D-1)10重量部、シランカップリング剤(D-2)0.5重量部、からなる」は、本件補正発明における「前記シランカップリング剤(D)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、5重量部以上100重量部以下」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明3とは、 「 エラストマーであって、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物であるシリコーンゴムで構成されており、 前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、前記シリカ粒子(C)及び前記シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下であり、 前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、60重量部以下であり、 前記シランカップリング剤(D)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の100重量部に対し、5重量部以上100重量部以下である、 エラストマー。」 という点で一致し、 (相違点1)エラストマーの用途が、本件補正発明は「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板用」であるのに対し、引用発明3は「ウエアラブル基板用」である点 (相違点2)エラストマーの「(1)当該エラストマーから、所定厚みの短冊試験片を作成する、(2)延伸機のチャック間に前記短冊試験片の両端を設置する、(3)前記短冊試験片が緩んだ状態からピンと張った状態に変化した時のチャック間距離を初期値D0とする、(4)初期値D0に対して所定%のチャック間距離を広げて、前記短冊試験片を所定%伸長させた状態で1分間保持する、という伸長操作に従って当該エラストマーを50%伸長した状態で、硬度計を用いて、25℃、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの、50%伸張時の当該エラストマーにおけるデュロメータ硬さA50」(以下「本件伸張時硬度」という。)が、本件補正発明は「20以上80以下」であるのに対し、引用発明3は不明である点 (相違点3)エラストマーの「25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの、100%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM100とし、200%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM200としたとき、((M200-M100)/M100)×100」(以下「本件応力特性」という。)が、本件補正発明は「10%以上110%以下」であるのに対し、引用発明3は不明である点 で一応相違する。 (イ)本件補正発明と引用発明4、5及び16との対比 本件補正発明と引用発明4、5及び16とは、前記(ア)で述べたのと同様の理由により、前記(ア)で認定した相違点1-3で一応相違し、その余の点で一致する。 カ 検討 (ア)引用発明3について a 相違点1について (a)相違点1についての判断 引用文献には、ウエアラブル基板を指に張り付けた状態で指を曲げる屈曲・伸び試験を実施し、曲げ開始から曲げ終わりまでの指の曲げやすさや曲げ角度によって、板状部材の変形容易性を判断したことが記載されている(摘記u)。そして、引用文献には、実施例3に係るウエアラブル基板はこの試験において「◎」という評価を得たこと、すなわち指を曲げる試験中、指を曲げる時に負荷を感じないものであったことも記載されている(摘記q、u)。このことは、引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムが指を屈曲することで形成された凹面又は凸面に追従した状態で装着されているということであるといえる。したがって、引用文献には引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムが「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着される」という事項を充足することが記載されているといえる。 また、引用文献には、引用文献に記載された樹脂製可動部材が、人間の身体等に着用可能なウェアラブルデバイスに用いられる伸縮性を有する配線あるいは配線基板の一部を構成することができることが記載されている(摘記a)。このことは、引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムが、人間の身体等に着用可能なウェアラブルデバイスに用いられる伸縮性を有する配線あるいは配線基板の一部を構成するということであるといえる。したがって、引用文献には引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムを「ウェアラブルデバイスに用いられる伸縮性を有する配線または伸縮性を有する基板用」とすることが記載されているといえる。 以上から、引用文献には引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムが「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板用」という事項を充足することが記載されているといえる。 よって、相違点1は本件補正発明と引用発明3との実質的な相違点ではない。 また、仮にそうでなくとも引用発明3に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムを身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 (b)請求人の主張について 請求人は、審判請求書において「引例1(審決注:引用文献である。)…において…「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイス」に用いるという装着対象先(相違点1)について記載されておらず、さらに…「ウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板」という凹凸面に追従するウェアラブルデバイス中の部品(相違点2)についても記載されておりません」ということを前提として、「引例1…および出願当時の技術常識を参酌したとしても、当業者が、引例1…に記載の発明に対して、「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板」という用途を適用することは、容易なことではない」と主張し、上申書においても同様に主張する。 しかし、請求人が相違点1として主張する「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイス」という事項は、前記(a)で述べたところから、また、令和4年7月14日付け拒絶理由通知において「引用文献1には…板状部材(ウエアラブル基板)を製造したことが記載されている([0138]-[0158]、実施例1-17…)」と引用文献1の【0148】、【0155】を含めて指摘されているとおり、引用文献に記載されているといえる(摘記q、u)。 また、請求人が相違点2として主張する「ウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板」という事項も、前記(a)で述べたところから、また、前記拒絶理由通知において「引用文献1には…樹脂製可動部材を、ウェアラブルデバイス等に用いられる伸縮性を有する配線あるいは配線基板等に使用できることが記載されている(…[0015])」と引用文献1の【0015】を含めて指摘されているとおり、引用文献に記載されているといえる(摘記a)。また、仮にそうでなくとも当該事項は引用文献に示唆されているといえる。 したがって、請求人の前記主張はその前提において当を得たものではないといわざるをえない。また、仮にそうでなくとも採用することができない。 b 相違点2について (a)引用発明3の原料成分と本願明細書に記載された実施例の原料成分との異同 引用発明3における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-1b)」は、その構造が [図:0001418632000008.jpg] であり、数平均分子量が2.2×105、重量平均分子量が4.8×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.04モル%であって(摘記m及びn)、これらは本願明細書に記載された実施例における低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)のそれと一致する(【0146】、【0151】、【0152】)。したがって、両者は同一の物質であると認められる。 また、引用発明3における「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A1-2a)」は、その構造が [図:0001418632000009.jpg] であり、数平均分子量が2.3×105、重量平均分子量が5.0×105、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量が0.93モル%であって(摘記m及びo)、これらは本願明細書に記載された実施例における高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)のそれと一致する(【0146】、【0153】)。したがって、両者は同一の物質であると認められる。 また、引用発明3におけるシリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D-1)、シランカップリング剤(D-2)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)及び白金または白金化合物(E)は、それぞれ、粒径7nm、比表面積300m2/gである日本アエロジル社製、「AEROSIL300」、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)であるGelst社製「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」、ジビニルテトラメチルジシラザンであるGelst社製「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」、モメンティブ社製「TC-25D」及びモメンティブ社製「TC-25A」であって(摘記m)、これらは本願明細書に記載された実施例におけるシリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D-1)、シランカップリング剤(D-2)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)及び白金または白金化合物(E)と一致する(【0147】-【0150】)。したがって、これらはそれぞれ同一の物質であると認められる。 (b)引用発明3の原料成分の重量と本願明細書に記載された実施例の原料成分の重量との異同 前記(a)を踏まえて引用発明3の原料成分の重量の割合(摘記q)と本願明細書に記載された実施例1及び2の原料成分の重量の割合(【0154】、【0155】、【0159】)とを比較すると、引用発明3に係るシリコーンゴムと本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムとは、オルガノハイドロジェンポリシロキサン以外の同一の原料成分の重量の割合が同一であり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量の割合は、本願明細書に記載された実施例1が1.81であり、引用発明3が1.89であり、本願明細書に記載された実施例2が3.77であるといえる。 (c)引用発明3に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程と本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程との異同 引用発明3に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程は、(イ)ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の95%、シランカップリング剤(D)および水(F)を混合・混練し、(ロ)シリカ粒子(C)を加えて、窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混混練し、(ハ)減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練し、(ニ)冷却し、(ホ)残り5%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、(へ)20分間混練し、(ト)得られた混練物にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)及び白金または白金化合物(E)を加えてロールで混練する、というものである(摘記l及びm)。 これに対し、本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程は、(イ)ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の全量、シランカップリング剤(D)および水(F)を混合・混練し、(ロ)シリカ粒子(C)を加えて、窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練し、(ハ)減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練し、(ニ)冷却し、(へ)20分間混練し、(ト)得られた混練物にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)及び白金または白金化合物(E)を加えてロールで混練する、というものである(【0154】-【0158】)。 したがって、両者は、前者はビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の95%をはじめに添加し5%を後から添加するのに対し、後者はビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)をはじめに全量添加するという点で相違し、その余の点で一致する。 (d)引用発明3に係るシリコーンゴムの調製工程と本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴムの調製工程との異同 引用発明3に係るシリコーンゴムの調製工程は、(イ)シリコーンゴム系硬化性組成物を、150℃、10MPaで20分間プレスして1次硬化し、(ロ)200℃で4時間加熱して2次硬化する、というものである(摘記r)。 これに対し、本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴムの調製工程は、(イ)シリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで10分間プレスして1次硬化し、(ロ)200℃で4時間加熱して2次硬化する、というものである(【0160】)。 したがって、両者は、前者は1次硬化の温度及び時間が150℃及び20分間であるのに対し、後者は温度及び時間が170℃及び10分間である点で相違し、その余の点で一致する。 (e)検討 (c)で確認したシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程の相違は、最終的に得られるシリコーンゴムの本件伸張時硬度に大きな影響を及ぼさないと解される。なぜならば、理論的には、はじめに添加するビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の量を控えた方が混練のエネルギーがビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)に分散せずシリカ粒子(C)及びシランカップリング剤(D)によく伝わり、両者が接触する頻度が増え、その分両者の反応がすみやかに進行すると解されるが、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の量のたった5%の相違が合計3時間20分の混練に有意な影響を与えるとは解しがたいからである。 なお、引用文献には後からビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を添加することで成分のなじみを向上させることができる旨が記載されているが(摘記l)、その裏付けがないからこの記載は上述の判断に影響しない。 また、(d)で確認したシリコーンゴムの調製工程の相違も、得られるシリコーンゴムの本件伸張時硬度に大きな影響を及ぼさないと解される。そもそも1次硬化は所望の形状を維持するようにするためのものに過ぎない上、温度については本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴムの調製工程の方が高い一方で時間については引用発明3に係るシリコーンゴムの調製工程の方が長いことから、両者の1次硬化の程度はそれほど異ならないと解され、さらに、両者で同一である2次硬化の温度、時間が1次硬化のそれよりも十分高く長いからである。 そうすると、引用発明3に係るシリコーンゴムと本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムとは、(イ)原料成分は同一であり、(ロ)原料成分の重量の割合はオルガノハイドロジェンポリシロキサン(TC-25D)を除いて同一であり、(ハ)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(TC-25D)の重量の割合は 本願明細書に記載された実施例1<引用発明3<本願明細書に記載された実施例2 という関係にあり、(ニ)シリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程の相違及びシリコーンゴムの調製工程の相違は得られるシリコーンゴムの本件伸張時硬度に大きな影響を及ぼさないと解される、ということになる。 したがって、引用発明3に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度は本願明細書に記載された実施例1のそれと実施例2のそれとの間の値又はそれに近い値であると推認することができる。 そして、当該推認事項と、本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度がそれぞれ47.0及び58.7である(【0168】)こととを考慮すると、引用発明3に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度は47.0-58.7の範囲内の値であるといえる。仮にそうでなくとも20以上80以下であるという事項を充足すると解するのが相当である。 なお、引用発明3に係るシリコーンゴムの未伸張時硬度が26.2である(摘記q)のに対し、本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムの未伸張時硬度はそれぞれ38.6及び49.8である(【0168】)点で相違する。しかし、これは硬度の測定に用いた試験片が前者は厚さ1mmのシート状物を6枚積層したものである(摘記t)のに対し、後者は厚さ2mmのシート状物である(【0163】)ことの影響が大きいと解されるから(JIS K 6253-3:2023の7.2の注記1には、「薄い試験片の測定は、試験片を置いた台の硬さの影響を受け、高い値を示すことがある」と記載されている。)、未伸長時硬度の相違は上述の判断に影響しない。 (f)相違点2についてのまとめ よって、相違点2は本件補正発明と引用発明3との実質的な相違点ではない。 c 相違点3について bで述べたのと同様の理由により、引用発明3に係るシリコーンゴムの本件応力特性は本願明細書に記載された実施例1のそれと実施例2のそれとの間の値又はそれに近い値であると推認することができる。 そして、当該推認事項と、本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムの本件応力特性がそれぞれ85%及び90%である(【0169】)こととを考慮すると、引用発明3に係るシリコーンゴムの本件応力特性は85%-90%の範囲内の値であるといえる。仮にそうでなくとも10%以上110%以下であるという事項を充足すると解するのが相当である。 なお、引用発明3に係るシリコーンゴムのM100が0.5である(摘記q)のに対し、本願明細書に記載された実施例1及び2に係るシリコーンゴムのM100はそれぞれ1.0及び2.2である(【0169】)点で相違する。しかし、これはM100の測定に用いた試験片が前者は1mmのシート状物である(摘記s)のに対し、後者は厚さ2mmのシート状物である(【0173】)ことの影響が大きいと解されるから、M100の相違は上述の判断に影響しない。 よって、相違点3は本件補正発明と引用発明3との実質的な相違点ではない。 d 引用発明3についてのまとめ 以上のとおり、相違点1-3はいずれも本件補正発明と引用発明3との実質的な相違点ではない。したがって、引用発明3は本件補正発明を特定する事項をすべて充足する。 よって、本件補正発明は引用文献に引用発明3として記載された発明である。 また、仮に相違点1が実質的な相違点であっても、本件補正発明は当業者が引用発明3に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (イ)引用発明4及び5について 前記(ア)a―cで述べたのと同様の理由により、相違点1-3は本件補正発明と引用発明4又は5との実質的な相違点ではなく、仮に相違点1が実質的な相違点であっても、引用発明4又は5に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムを身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、前記(ア)dで述べたのと同様に、本件補正発明は引用文献に引用発明4又は5として記載された発明であり、仮に相違点1が実質的な相違点であっても、本件補正発明は当業者が引用発明4又は5に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (ウ)引用発明16について a 相違点1について 引用文献には実施例16に係るウエアラブル基板が屈曲・伸び試験において「○」という評価を得たことが記載されているから(摘記q、u)、前記(ア)aで述べたのと同様の理由により、相違点1は本件補正発明と引用発明16との実質的な相違点ではなく、仮に相違点1が実質的な相違点であっても、引用発明16に係るウエアラブル基板用の板状シリコーンゴムを身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイスの伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 b 相違点2について 引用発明16の原料成分と引用発明3の原料成分とが同一であること(摘記q)及び前記(ア)b(a)で確認した引用発明3の原料成分と本願明細書に記載された実施例の原料成分とが同一であること、すなわち引用発明16の原料成分と本願明細書に記載された実施例の原料成分とが同一であることを踏まえて引用発明16の原料成分の重量の割合(摘記q)と本願明細書に記載された実施例4の原料成分の重量の割合(【0154】、【0157】、【0159】)とを比較すると、引用発明16に係るシリコーンゴムと本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムとは同一の原料成分の重量の割合が同一であるといえる。 また、引用発明16に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程と本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程との異同及び引用発明3に係るシリコーンゴムの調製工程と本願明細書に記載された実施例に係るシリコーンゴムの調製工程との異同は、前記(ア)b(c)及び(d)で確認したとおりである。 そうすると、引用発明16に係るシリコーンゴムと本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムとは、(イ)原料成分は同一であり、(ロ)原料成分の重量の割合も同一であり、(ハ)前記(ア)b(e)で述べたのと同様の理由によりシリコーンゴム系硬化性組成物の調製工程の相違及びシリコーンゴムの調製工程の相違はシリコーンゴムの本件伸張時硬度に大きな影響を及ぼさないと解される、ということになる。したがって、引用発明16に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度は本願明細書に記載された実施例4のそれと同じ値又はそれに近い値であると推認することができる。 そして、当該推認事項と、本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度が69.7である(【0168】)こととを考慮すると、引用発明16に係るシリコーンゴムの本件伸張時硬度は69.7であるといえる。仮にそうでなくとも20以上80以下であるという事項を充足すると解するのが相当である。 なお、引用発明16に係るシリコーンゴムの未伸張時硬度が57.6である(摘記q)のに対し、本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムの未伸張時硬度は64.0である(【0168】)点で相違する。しかし、前記(ア)b(e)で述べたのと同様の理由により、未伸長時硬度の相違は上述の判断に影響しない。 よって、相違点2は本件補正発明と引用発明16との実質的な相違点ではない。 c 相違点3について bで述べたのと同様の理由により、引用発明16に係るシリコーンゴムの本件応力特性は本願明細書に記載された実施例4のそれと同じ値又はそれに近い値であると推認することができる。 そして、当該推認事項と、本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムの本件応力特性が55%であること(【0169】)とを考慮すると、引用発明16に係るシリコーンゴムの本件応力特性は55%であるといえる。仮にそうでなくとも10%以上110%以下であるという事項を充足すると解するのが相当である。 なお、引用発明16に係るシリコーンゴムのM100が1.6である(摘記q)のに対し、本願明細書に記載された実施例4に係るシリコーンゴムのM100は2.9である(【0169】)点で相違する。しかし、前記(ア)cで述べたのと同様の理由により、M100の相違は上述の判断に影響しない。 よって、相違点3は本件補正発明と引用発明16との実質的な相違点ではない。 d 引用発明16についてのまとめ 以上のとおり、相違点1-3はいずれも本件補正発明と引用発明16との実質的な相違点ではない。したがって、引用発明16は本件補正発明を特定する事項をすべて充足する。 よって、本件補正発明は引用文献に引用発明16として記載された発明である。 また、仮に相違点1が実質的な相違点であっても、本件補正発明は当業者が引用発明16に基づいて容易に発明をすることができたものである。 キ 独立特許要件についてのまとめ よって、本件補正発明は、引用文献に記載された引用発明3-5又は16であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、仮にそうでなくとも本件補正発明は、当業者が引用文献に記載された引用発明3-5又は16に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (3)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。したがって、本件補正事項を含むものである本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正である令和5年4月17日にされた手続補正は前記第2[補正の却下の決定の結論]のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は令和4年9月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、第2[理由]1で認定したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、「本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない」という理由及び「本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」という理由を含むものである。 引用文献1:特開2018-90774号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1は前記第2[理由]2(2)ウで提示した引用文献であり、その記載事項は前記第2[理由]2(2)ウの摘記a-uのとおりである。 4 対比・判断 前記第2[理由]2(1)で確認した本件補正事項の内容からみて、本願発明は、前記第2[理由]2(2)で検討した本件補正発明から、「身体または衣服の凹凸面に追従した状態で装着されるウェアラブルデバイス用のエラストマー」に係る、ウェアラブルデバイスにおけるエラストマーが使用される箇所を限定するための「の伸縮性電極、伸縮性配線、または伸縮性基板」という限定事項及び「エラストマー。」に係る、エラストマーが有する特性を限定するための「25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの、100%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM100とし、200%伸張時の当該エラストマーにおける引張応力をM200としたとき、((M200-M100)/M100)×100が、10%以上110%以下である、」という限定事項を削除したものであるといえる。 そして、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらにこれらの限定事項を付加することで本願発明を減縮したものである本件補正発明は、前記第2[理由]2(2)カで述べたとおり、引用文献に記載された発明であり、仮にそうでなくとも当業者が引用文献に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明も引用文献1に記載された発明であり、仮にそうでなくとも当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。また、仮にそうでなくとも同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-006243

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