商標拒絶査定不服審判
2023-000394
ザブーケ、ブーケ
- 審判番号
- 2023-000394
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-014362
- 請求日
- 2023年01月11日
- 審決日
- 2024年04月11日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .261-Z (W03052131) / T18 .262-Z (W03052131) / T18 .263-Z (W03052131)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 14362拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年2月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 6月20日付け:拒絶理由通知書
令和4年 7月27日 :意見書の提出
令和4年10月 5日付け:拒絶査定
令和5年 1月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「The Bouquet」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第5類、第21類及び第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
本願の指定商品は、当審における上記1の手続補正書により、別掲1のとおり補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(6)のとおりであり、そのうち(1)ないし(4)の商標権は現に有効に存続しているものである。
なお、以下の(5)及び(6)の商標権は、それらに係る閉鎖商標登録原簿の記載によれば、いずれも分割(後期分)登録料不納により、存続期間の満了前5年の日(令和4年12月1日)に遡って消滅したものとみなされ、その商標権の登録の抹消が令和5年8月2日にされているものである。
(1)登録第947610号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ブーケ」の片仮名及び「BOUQUET」の欧文字を二段に横書きしてなるもの
指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和43年 9月30日
設定登録日:昭和47年 1月29日
書換登録日:平成15年12月24日
(2)登録第1671532号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ブーケ」の片仮名を横書きしてなるもの
指定商品:第30類及び第31類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和56年 2月 9日
設定登録日:昭和59年 3月22日
書換登録日:平成18年 2月15日
(3)登録第2462559号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「ブーケ」の片仮名を横書きしてなるもの
指定商品:第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成24年10月23日に存続期間の更新登録がされた商品)
登録出願日:平成 元年10月 3日
設定登録日:平成 4年10月30日
書換登録日:平成14年10月30日
(4)登録第5050450号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成: ブーケ (標準文字)
指定商品:第9類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成29年5月30日に存続期間の更新登録がされた商品)
登録出願日:平成18年11月 1日
設定登録日:平成19年 5月25日
(5)登録第5999875号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第3類に属する閉鎖商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成29年 4月12日
設定登録日:平成29年12月 1日
(6)登録第5999876号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第3類に属する閉鎖商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成29年 4月12日
設定登録日:平成29年12月 1日
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標と引用商標1及び引用商標4について
本願の指定商品は、別掲1のとおり補正された結果、引用商標1及び引用商標4の指定商品と同一又は類似の商品は全て削除された。その結果、本願の指定商品は、引用商標1及び引用商標4の指定商品と類似しない商品になった。
したがって、本願商標は、引用商標1及び引用商標4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。
イ 本願商標と引用商標2について
(ア)本願商標について
本願商標は、「The Bouquet」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「The」の文字は、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である英語の定冠詞であり、また、同構成中の「Bouquet」の文字は、「花束。」(出典:同上)を意味するフランス語である。
ここで、本願の指定商品のうち、引用商標2の指定商品と同一又は類似と考えられる商品(以下「抵触商品」という。)は、本願の指定商品中「ドライフラワー」であって、また、本願商標構成中の「Bouquet」の文字は、上述のとおり、「花束」を意味する語であるところ、職権による調査によれば、抵触商品を取り扱う分野において、「ドライフラワーの花束(束にしたドライフラワー)」が取り扱われており、それが「ドライフラワーブーケ」などと称されている実情があることからすると(参考:「有限会社秀花園」のウェブサイト https://www.shu-kaen.com/flower/index/18)、本願商標の構成中「Bouquet」の文字は、抵触商品との関係において、商品の品質等を表示する語として使用、理解されているものといえることから、原審が述べるように、本願商標構成中の「The」の文字について、その自他商品の識別標識としての機能が弱いものであるとしても、同構成中の「Bouquet」の文字も、抵触商品との関係においては、当該機能が強いとはいえないものである。
また、本願商標構成中の「The」の文字と「Bouquet」の文字とは、その間に1字文のスペースがあるものの、外観上、一体的に看取され得るものといえ、それらの構成文字より生じる「ザブーケ」の称呼は、4音と短く、容易に一連に称呼し得るものである。
そうすると、かかる構成においては、本願商標に接する取引者、需要者は、「The Bouquet」の文字を一体不可分のものと認識、理解するとみるのが相当であって、他に構成中の「Bouquet」の文字のみが、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
したがって、本願商標よりは、少なくともその指定商品中の抵触商品との関係においては、その全体の構成文字に相応した「ザブーケ」の称呼のみが生じ、また、「花束」ほどの観念が生じるといえる。
(イ)引用商標2について
引用商標2は、「ブーケ」の片仮名を横書きしてなるものであり、これは「花束。」を意味するフランス語である「Bouquet」の読みを片仮名で表したといえるものであるから、これよりは「ブーケ」の称呼が生じ、また、「花束」ほどの観念が生じるといえる。
(ウ)本願商標と引用商標2の類否について
本願商標と引用商標2を比較するに、外観においては、文字種や文字数などが異なり、明確に区別することができるものである。
そして、称呼においては、本願商標より生じる「ザブーケ」の称呼と引用商標2より生じる「ブーケ」の称呼とでは、3音ないし4音という短い音構成にあって、語頭の「ザ」の音の有無が全体の称呼に与える影響は小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても聞き誤るおそれはないから、称呼上、明確に聴別できるものである。
また、観念においては、「花束」で同一である。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、観念が同一であるとしても、外観において明確に区別でき、称呼においても明確に聴別できるものであって、本願商標及び引用商標2の指定商品において、取引者、需要者が、専ら商標の観念のみによって商品を識別し、商品の出所を判別するような実情があるものとは認められず、また、観念による識別性が、外観及び称呼による識別性を上回るとはいえないことから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
ウ 本願商標と引用商標3について
(ア)本願商標について
本願商標の構成態様、及び、その構成中の各文字の意味等は上記イ(ア)のとおりであるところ、その構成中の「The」の文字は、「強いて訳さないでよい場合が多い」(「新英和中辞典第7版」株式会社研究社)とされているように、これを省略して表記ないし称呼することもあり、出所識別標識として特段の印象や記憶に残るものではない。
そうすると、本願商標の構成態様においては、「Bouquet」の文字部分が、取引者及び需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え得るといえるものであり、これを要部として分離、抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することが許されるというべきである。
してみれば、本願商標からは、その構成中の「Bouquet」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応した「ブーケ」の称呼が生じるものといえ、また、「花束」ほどの観念を生じるといえる。
(イ)引用商標3について
引用商標3は、「ブーケ」の片仮名を横書きしてなるものであり、これは「花束。」を意味するフランス語である「Bouquet」の読みを片仮名で表したといえるものであるから、これよりは「ブーケ」の称呼が生じ、また、「花束」ほどの観念が生じるといえる。
(ウ)本願商標と引用商標3の類否について
本願商標と引用商標3を比較するに、外観においては、全体としては相違するものであって、また、本願要部と引用商標3との比較においても、文字種や文字数などを異にするものではあるが、いずれも標準文字又は一般的な書体で表されているものである上、一般に、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することは広く行われているところ、本願要部を構成する「Bouquet」の文字は、引用商標の「ブーケ」の文字を欧文字で表記したものと理解し得ることからすると、その文字を置き換えたものとして取引者、需要者に認識され得るといえるものであるから、これらの文字種などの相違が、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。
そして、称呼においては、「ブーケ」を共通にし、また、観念においては、「花束」で同一である。
そうすると、本願商標と引用商標3とは、全体の外観においては相違があるものの、本願要部と引用商標3の対比においては外観に顕著な差異があるとはいえないものであり、また、称呼を共通にし、観念を同一にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標3は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
(エ)本願商標と引用商標3の指定商品の類否について
本願商標の指定商品中、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤」及び第5類「薬剤,医療用試験紙」は、引用商標3の指定商品中、第5類「薬剤」と同一又は類似する商品である。
エ 本願商標と引用商標5及び引用商標6について
上記3のとおり、引用商標5及び引用商標6の商標権は、それらに係る閉鎖商標登録原簿の記載によれば、いずれも分割(後期分)登録料不納により、存続期間の満了前5年の日(令和4年12月1日)に遡って消滅したものとみなされ、その商標権の登録の抹消が令和5年8月2日にされているものである。
したがって、本願商標は、引用商標5及び引用商標6との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標1、引用商標4、引用商標5及び引用商標6との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなっている。
また、本願商標は、引用商標2とは非類似の商標であるから、その指定商品が同一又は類似するものであるとしても、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
しかしながら、本願商標は、引用商標3と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標3の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願の指定商品中、引用商標3の指定商品と抵触しているものには、芳香剤、消臭剤などが含まれるのであって、それら芳香製品の分野では、香りの名称中に「ブーケ」又は「bouquet」との語を含む製品が多数、取引されていることからすると、本願商標中の「Bouquet」の語は、それら商品の香り等を認識させる語といえることから、自他商品の識別機能を有しないか、その機能が極めて弱いものといえる旨主張する。
しかしながら、「Bouquet(ブーケ)」の文字が「花のにおいを含んだ香り」(出典:「コンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂)を意味する語としても使用されるものであり、本願の指定商品中、引用商標3の指定商品と同一又は類似する商品に、請求人が述べるような、香りをその商品の特徴等とするものが一部含まれているとしても、香りがその商品の特徴等として一般に理解、認識されているとは考え難い商品(例えば、「医療用試験紙」や、「薬剤」に含まれる「アレルギー用薬剤」「抗生物質製剤」など)も多数含まれており、また、請求人の主張を裏付ける証拠も何ら提出されていないことからすれば、本願の指定商品中、引用商標3の指定商品と同一又は類似する商品すべてとの関係において、本願商標の構成中「Bouquet」の文字が、自他商品の識別機能を有しないとか、当該機能が極めて弱いものとはいえない。
イ 請求人は、「BOUQUET(bouquet)」の文字や「THE(The)」の文字を構成中に有する商標に係る、過去の登録例や審決例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる登録例や審決例と本件とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該登録例や審決例によって、直ちに本願商標に係る判断が左右されるものではない。
そして、本願商標と引用商標3とが類似の商標であることは、上記(1)ウ(ウ)のとおりである。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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