特許異議申立
2022-701302
コーヒーマシン用タブレット洗浄剤及びコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法
- 審判番号
- 2022-701302
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-087281
- 登録番号
- 7095864
- 請求日
- 2022年12月26日
- 審決日
- 2024年04月30日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社ニイタカ
- 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
- 【異議申立人】田中 和幸
- 審判長/審判官
- 審判長 菊地 則義
- 審判官 関根 裕
- 審判官 門前 浩一
- 分類
- P1651.121-ZAA(C11D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7095864号発明「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤及びコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7095864号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、9について訂正することを認める。
特許第7095864号の請求項1~6、9に係る特許を取り消す。
特許第7095864号の請求項7、8に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7095864号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成30年4月27日に出願され、令和4年6月27日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年7月5日に特許掲載公報が発行されたものであって、その後の特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年12月26日 特許異議申立人 田中 和幸(以下「申立人」
という。)による全請求項に係る特許に対する
特許異議の申立て
令和5年 4月11日付け 取消理由通知書
同年 6月 9日 意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年 6月15日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 7月20日 意見書(申立人)
同年10月31日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年12月26日 意見書及び訂正請求書(特許権者)
令和6年 1月16日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 2月15日 意見書(申立人)
なお、令和5年6月9日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月26日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の訂正事項1~4のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であることを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。」と記載されているのを、
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、前記(D)酸素系漂白剤が、アルカリ金属過炭酸塩であり、コーヒーマシン用タブレット洗浄剤100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上であることを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~8の記載も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9において、
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法。」と記載されているのを、
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、前記(D)酸素系漂白剤が、アルカリ金属過炭酸塩であり、粉末状の洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法。」に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~9において、請求項2~8は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであるので、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、請求項9は訂正事項4によって記載が訂正されるものである。よって、本件訂正は、請求項1~8について特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされ、また、請求項9について請求項ごとにされた訂正である。
3 訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項1及び4
ア 訂正の目的
訂正事項1及び4は、いずれも訂正前の請求項1及び9に記載された「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤」が、「(D)酸素系漂白剤」を含むこと、「(A)アルカリ剤」が「炭酸塩」を含むこと、「(D)酸素系漂白剤」が「アルカリ金属過炭酸塩」であること、及び「洗浄剤/洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上である」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか
前記アのとおり、訂正事項1及び4は、訂正前の請求項1及び9に記載された「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤」を限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか
訂正事項1及び4は、訂正前の請求項1及び9に記載された「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤」について、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件明細書等」ともいう。)の【0022】の「本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤において、(A)アルカリ剤の種類は特に限定されないが、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又はケイ酸塩であることが好ましい。」との記載に基いて、「(A)アルカリ剤」が「炭酸塩」を含むことを特定し、同【0038】の「本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤は、さらに(D)酸素系漂白剤を含むことが好ましい。(D)酸素系漂白剤を(A)アルカリ剤及び(B)キレート剤と併用することにより、コーヒー汚れに対する洗浄性を向上させることができる。(D)酸素系漂白剤としては、アルカリ金属炭酸塩の過酸化水素付加物(アルカリ金属過炭酸塩ともいう)、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属過ホウ酸塩が挙げられ、これらの中ではアルカリ金属過炭酸塩が好ましい。」との記載に基いて、「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤」が、「(D)酸素系漂白剤」を含むこと、及び当該「(D)酸素系漂白剤」が「アルカリ金属過炭酸塩」であることを特定し、同【0052】~【0061】に記載された実施例(特に【0060】の【表1】参照。)において、「洗浄剤組成物100重量%中」の「(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量」が「20重量%以上」であり、かつ「(B)キレート剤の含有量」(当審注:キレート剤は、コハク酸を含む。)が「20重量%以上」である実施例5~9の評価が高いことに基いて、「洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上である」ことを特定するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(2)訂正事項2及び3
訂正事項2及び3は、訂正前の請求項7及び8を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第第5項の規定にも適合するものである。
4 独立特許要件についての判断
本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~9に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。
5 小括
以上のとおりであるから、本件明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、9について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明(以下項番順に「本件訂正発明1」等という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、
前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、
前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、
前記(D)酸素系漂白剤が、アルカリ金属過炭酸塩であり、
コーヒーマシン用タブレット洗浄剤100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上であることを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項2】
前記(C)滑沢剤の水に対する50℃での溶解度が1g/100g以上である請求項1に記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項3】
前記(C)滑沢剤の含有量は、0.5~20重量%である請求項1又は2に記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項4】
前記(A)アルカリ剤は、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又はケイ酸塩である請求項1~3のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項5】
前記(A)アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~4のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項6】
前記(B)キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤及び多価カルボン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~5のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】
(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、前記(D)酸素系漂白剤が、アルカリ金属過炭酸塩であり、粉末状の洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法。」
第4 取消理由の概要並びに甲号証及び参考文献
1 令和5年4月11日付けの取消理由通知書で通知した取消理由
本件特許の請求項1~9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記3(1)の甲1又は甲3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 令和5年10月31日付けの取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由
本件訂正後の請求項1~6、9に係る特許は、前記1に示した取消理由が解消していない。
3 甲号証及び参考文献
(1)特許異議申立書とともに申立人が提出した甲第1号証~甲第9号証(以下、番号に応じて「甲1」等という。)は、次のとおりのものである。
甲1:特開2000-204395号公報
甲2:特開2006-342256号公報
甲3:特開2017-222768号公報
甲4:裙本康幸、外3名、「水溶性滑沢剤ラウリル硫酸ナトリウムの打錠特性に対する湿度の影響」、粉体工学会誌、2002年、39巻2号、90~95頁
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj1978/39/2/39_2_90/_pdf/-char/ja)
甲5:特開平10-204500号公報
甲6:特表2005-537237号公報
甲7:特表2018-507954号公報
甲8:特開平9-188616号公報
甲9:特表2006-523221号公報
(2)令和5年7月20日の意見書とともに申立人が提出した参考文献1~7(以下、番号に応じて「参1-1」等という。)は、次のとおりのものである。
参1-1:奥山春彦 外1名編集、「洗剤・洗浄の事典」、株式会社朝倉書店、1990年11月25日初版第1刷発行、87~88頁
参1-2:皆川基 外2名編集、「洗剤・洗浄 百科事典」、株式会社朝倉書店、2011年3月10日第2刷発行、501頁
参1-3:国立保健医療科学院、「No.1575コーヒーの異味による苦情(神奈川県)」、公開日:2016年06月09日
(URL:https://www.niph.go.jp/h-crisis/archives/84247/)
参1-4:下田通商株式会社、「<<新製品情報>>シーバイエス 業務用コーヒーマシン用洗浄剤「コーヒークリーン」新発売」、2013年3月25日
(URL:https://www.shimoda-kaemon.co.jp/news/n20130325b.html)
参1-5:特開昭62-180799号公報
参1-6:化学工業日報社発行、「2011年版 15911の化学商品」、日経印刷、2011年1月25日発行、1918頁
参1-7:化学工業日報社発行、「2011年版 15911の化学商品」、日経印刷、2011年1月25日発行、87~88頁
(3)令和6年2月15日の意見書とともに申立人が提出した参考文献1~7(以下、番号に応じて「参2-1」等という。)は、次のとおりのものである。
参2-1:参1-1と同じ
参2-2:参1-2と同じ
参2-3:参1-3と同じ
参2-4:辻薦、「食品工場における洗浄と殺菌」、株式会社建帛社、昭和59年4月5日初版発行
参2-5:日本化学会近畿支部、小・中・高生の化学のページ 小学生からの質問、「Q94★コーヒーと紅茶と日本茶とウーロン茶で茶渋のつき方の実験をしました。どうしてコーヒー、紅茶、ウーロン茶、日本茶の順番になったのですか。」、((AK)2006/08/03)
(URL:http://kinki.chemistry.or.jp/pre/esa-94.html)
参2-6:ねとらぼアンサー、「漂白剤要らず、オフィスでできる茶渋落としの方法」、2016年03月17日06時00分公開
(URL:https://nlab.itmedia.co.jp/hc/articles/1603/17/news031.html)
参2-7:特表2016-536426号公報
第5 当審の判断
1 概要
本件訂正後の請求項1~6、9に係る特許は、前記第4の1に示した取消理由のうち、甲1を主引例とした取消理由により取り消されるべきものである。
後記2に摘記する甲1~甲3、参1-1は、いずれも本件特許の出願前に頒布されたか、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである。
2 甲号証の記載
(1)甲1には、次の記載がある。
「【0007】即ち、本発明は、下記の漂白洗浄組成物、漂白洗浄剤成形物および茶渋分解用洗浄組成物に係るものである。
1.(a)ペルオキソ酸塩を25重量%以上、(b)界面活性剤を0.2~2重量%および(c)軟水化剤を3~25重量%を含み、1重量%水溶液とした際にpHが8~12であることを特徴とする漂白洗浄組成物。
2.(a)ペルオキソ酸塩が過ホウ酸、過炭酸、モノ過硫酸およびペルオキソ二硫酸のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも一種であり、(b)界面活性剤が陰イオン界面活性剤であり、(c)軟水化剤がポリリン酸のナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸およびそのアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも一種である上記1に記載の漂白洗浄組成物。
3.さらに、(d)酵素成分を含むことを特徴とする上記1~2のいずれかに記載の漂白洗浄組成物。
4.(a)ペルオキソ酸塩、(b)界面活性剤、(c)軟水化剤、(e)バインダー、(f)有機酸および(g)炭酸塩を含む漂白洗浄剤成形物。
5.(a)ペルオキソ酸塩を25重量%以上、(b)界面活性剤を0.2~2重量%および(c)軟水化剤を3~25重量%を含み、1重量%水溶液とした際にpHが9.5~11であることを特徴とする茶渋分解用洗浄組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における漂白洗浄組成物は、(a)ペルオキソ酸塩を25重量%以上、(b)界面活性剤を0.2~2重量%および(c)軟水化剤を3~25重量%を含み、1重量%水溶液とした際にpHが8~12であることを特徴とする漂白洗浄組成物である。
(a)ペルオキソ酸塩
本発明において用いるペルオキソ酸塩は、ペルオキソ酸の塩であれば特に制限されない。例えば、過ホウ酸、過炭酸、モノ過硫酸、ペルオキソ二硫酸などのアルカリ金属塩などが挙げられる。これらの中では、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、モノ過硫酸ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムなどペルオキソ酸のナトリウム塩またはカリウム塩が好ましく、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、モノ過硫酸ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウムがより好ましい。本発明の漂白洗浄組成物は、これらのペルオキソ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
(b)界面活性剤
本発明において用いる界面活性剤は、当該分野で通常用いられる界面活性剤であれば特に制限されない。例えば、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルまたはケルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付加体、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシドなどの非イオン界面活性剤、アミンオキサイド、スルホベタイン、カルボベタインなどの両性界面活性剤、第4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤などが挙げられる。これらの中では、炭素数10~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10~20のアルキルまたはアルケニル硫酸塩、炭素数10~20のアルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩類などが好ましく、炭素数10~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10~20のアルキル硫酸塩がより好ましい。炭素数10~20のアルキルベンゼンスルホン酸塩や炭素数10~20のアルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤に使用する塩は、特に制限されないが、ナトリウム塩が好ましい。本発明の漂白洗浄組成物は、これらの界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
(c)軟水化剤
本発明において用いる軟水化剤は、当該分野で通常用いられる軟水化剤であれば特に制限されない。例えば、ポリリン酸の塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)エチレンジアミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸又はこれらの塩などが挙げられる。これらの中では、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのポリリン酸のナトリウム塩、DTPA、EDTA又はそのアルカリ金属塩などが好ましく、トリポリリン酸ナトリウムおよびEDTA又はそのアルカリ金属塩(例えば、4ナトリウム塩、2ナトリウム塩、4カリウム塩、2カリウム塩など)がより好ましい。本発明の漂白洗浄組成物は、これらの軟水化剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。」
「【0021】本発明の漂白洗浄組成物は、汚れの原因である垢、皮脂、茶渋、微生物由来のスラッジなどの幅広い汚れを、効果的に分解、除去できる。特に茶渋を分解、除去する際には、1重量%水溶液とした際にpHが9.5~11程度である漂白洗浄組成物が好ましい。また、塩素系漂白剤のように、酸と反応して塩素を発生することもないので、漂白洗浄を行う物品毎に漂白成分を処方する必要もない。」
「【0024】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するために種々の実験を行った。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】本発明における洗浄漂白組成物の洗浄力の評価を、以下の表1に示す成分(実施例1~3、比較例1~2)について以下の方法により行った。散剤は、ホソカワミクロン(株)社製のナウタミキサを用いて、25℃において、25分間混合したものを用いた。錠剤は、二重円錐型混合機を用いて、25℃において、15分間混合し、得られた混合物を、打錠機((株)マシーナ社製DC-WD40)を用いて、圧力1000kgf/cm2、90~100錠/時間の速さで成形物とした。
【0026】
【表1】
[図:0001414143000001.jpg]
【0027】茶渋汚れについては、ステンレスボトルに茶またはコーヒーを入れ、一晩放置後、内容物を廃棄し乾燥し、この操作を10回繰り返したボトルを均等に切断したものを用いた。
【0028】電気シェーバーの替え刃の汚れについては、2週間使用したものを用いた。
【0029】義歯の汚れは、白色アクリル板の表面を削り、日本茶およびたばこの抽出液と塩化第二鉄の混液に浸漬、乾燥させ、この操作を10回繰り返した義歯を用いた。
【0030】排水パイプの汚れについては、一般家庭用洗面台の使用済みステンレスパイプ(60日間使用、内径40mm)を均等に切断したものを用いた。
【0031】表1に示した各組成物において、上記検体をそれぞれ浸漬し、洗浄効果を比較した(表2)。
【0032】
【表2】
[図:0001414143000002.jpg]
」
(2)甲2には、次の記載がある。
「【請求項1】
以下の(A)~(C)成分、
(A)酸素系漂白剤、
(B)キレート剤、
(C)有機酸
を含有することを特徴とする飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、
(D)滑沢剤
(E)結合剤および/または崩壊剤
を含有することを特徴とする請求項1記載の飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物。」
「【0001】
本発明は、飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物、飲料ディスペンサ用洗浄剤タブレット、飲料ディスペンサ洗浄方法に関する。特に、コーヒーマシン用の洗浄剤組成物、飲料ディスペンサ用洗浄剤タブレット、飲料ディスペンサ洗浄方法に関するものである。」
「【0005】
従って、本発明の目的は、飲料ディスペンサ、特にコーヒーマシンの洗浄に使用した場合に、優れた性能を発揮する飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物、飲料ディスペンサ用洗浄剤タブレット、飲料ディスペンサ洗浄方法を提供することにある。」
「【0023】
まず本発明の好ましい配合成分である(D)成分について説明する。
本発明の(D)成分は滑沢剤である。滑沢剤は、錠剤化等する場合などに、型等に付着しないようにする働きがある。滑沢剤の例としては、ステアリン酸(ステアリン酸は上記(C)成分には含めない)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、パルミトステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、キャノラール油、硬化ヒマシ油等の硬化植物油、鉱物油、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ポリエチレングリコール、流動シリコン、ポリビニルアルコール、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。滑沢剤は、単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(D)成分を配合する場合の好ましい配合量は、本発明の飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物中、0.5~20重量%であり、錠剤硬度(溶解性能)及び洗浄剤組成物の成形性の点から、1~15重量%がより好ましく、2~10重量%が最も好ましい。2重量%より少ないと洗浄剤組成物の成形性の点で好ましくなく、10重量%を超えると錠剤硬度(溶解性能)点で好ましくない。」
「【0034】
本発明の飲料ディスペンサ用洗浄剤タブレットは、上記の本発明の飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物を、タブレット(錠剤)形状に成形したものである。タブレット(錠剤)型にすることにより、使用時に計量等の手間をかけることなく、粉末の飛散などにより、手や衣服に洗浄剤が付着することもなく、容易に洗浄剤を使用することができる。タブレット(錠剤)型にすることにより、特にセミオートもしくはフルオート型のコーヒーマシンのような、洗浄工程を一連のプログラミング制御により行なう飲料ディスペンサ用(特にコーヒーマシン)の洗浄に好ましい。
【0035】
タブレット(錠剤)の大きさは特に限定されないが、1回の洗浄時に、飲料ディスペンサ(特にコーヒーマシン)に、1錠投入すれば、洗浄できる大きさが簡便に使用できるため好ましい。
また、タブレット(錠剤)の重量は、0.5~5gが好ましく、1~3gがより好ましい。」
(3)甲3には、次の記載がある。
「【請求項1】
アルカリ剤(A)、キレート剤(B)及び酸素系漂白剤(C)を含むコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物であって、
前記アルカリ剤(A)はアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩であり、
前記酸素系漂白剤(C)1重量部に対して、前記アルカリ剤(A)が0.6~10.0重量部配合されていることを特徴とするコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物。」
「【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、コーヒー汚れに対して優れた洗浄性能を示すコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物を提供することである。」
「【0035】
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物は、固体状の洗浄剤組成物であり、その形態は粉末、顆粒、錠剤のいずれかであることが好ましい。
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の形態が粉末又は顆粒であると速やかに水に溶解させることができるため、洗浄作業が容易となる。
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の形態が錠剤であると、毎回決まった分量を使用することが容易となり計量の手間を省くことができ、特にコーヒーマシンの定期洗浄に適している。
【0036】
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物を製造する方法について説明する。
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物を製造する際には、原料となるアルカリ剤(A)、キレート剤(B)、酸素系漂白剤(C)及び添加剤を所望の比率で混合すればよい。混合には、リボンミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサー等が好適に用いられる。
このとき、混合物を打錠機で打錠することにより、コーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の形態を錠剤としてもよい。
【0037】
本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の形態が錠剤(タブレットともいう)の場合には、上記添加剤として、ポリエチレングリコール又は上記ノニオン界面活性剤、及び、芒硝を含むことが好ましい。
芒硝を含むことで錠剤の大きさを調整することができ、取り扱い性に優れた錠剤を得ることができる。ポリエチレングリコール又は上記ノニオン界面活性剤を含むことで、錠剤の成形性が向上する。さらに、洗浄剤組成物に適度な硬度を付与することができ、錠剤の保存・輸送中の欠けなどの防止や、溶解速度の調整が可能となる。」
「【0040】
本発明のコーヒー汚れ洗浄方法において対象となる被洗浄物は、コーヒー汚れが付着するものであれば特に限定されず、例えば、コーヒーカップ等の飲料容器、コーヒーポット等の飲料保管容器、サイフォン、ドリッパー等の手動式コーヒー抽出器及びその部品、コーヒーマシンのコーヒーライン及びその部品、コーヒー豆の焙煎機(コーヒーロースター)及びその部品等が挙げられる。
上記コーヒーマシンの種類は特に限定されず、例えばドリップ式、エスプレッソ式等のように、コーヒー豆又はコーヒー粉をマシンに投入するものであってもよく、予め一定量のコーヒー粉が充填された容器をコーヒー液の抽出毎に交換するカプセル式やカフェポッド式であってもよい。また上記コーヒーマシンは半自動式であっても全自動式であってもよく、コーヒー液を含む飲料(カプチーノ、カフェラテ、カフェオレ等)を供するためのコーヒーマシンであってもよい。」
「【0041】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例において、特に断らない限り「部」は「重量部」を「%」は「重量%」をそれぞれ意味する。
【0042】
(コーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の調製)
表1に示す処方に従い、アルカリ剤(A)、キレート剤(B)、酸素系漂白剤(C)及び添加剤を混合して、実施例1~9及び比較例1~4に係る固体洗浄剤組成物を得た。なお、酸素系漂白剤(C)1重量部に対するアルカリ剤(A)の配合量を[(A)/(C)]で示す。
なお、添加剤としてポリエチレングリコール(PEG)[三洋化成工業(株)製PEG6000-P(数平均分子量8300)]及びノニオン界面活性剤[(株)ADEKA製 プルロニックL-31]を用いた。
【0043】
(コーヒー汚れ洗浄性試験)
煮沸したインスタントコーヒー液にプラスチック板を浸漬させ、一晩自然冷却させた。
その後、プラスチック板を取り出し、乾燥させることでコーヒー汚れの付着した試験板を作製した。
続いて、水道水100重量部に対して実施例1~9及び比較例1~4に係る固体洗浄剤組成物をそれぞれ0.5重量部混合した洗浄液中に、上記試験板を70℃で3分間浸漬し、その後流水ですすいだ。すすぎ後の試験板の表面を目視で観察し、残存する汚れの程度を以下の基準で判定した。結果を表1に示す。
◎:汚れ落ちが非常によく、汚れが全く確認できない。
○:汚れ落ちがよく、汚れがほとんど確認できない。
△:汚れ落ちが悪く、汚れが確認できる。
×:汚れ落ちが非常に悪く、明らかに汚れが確認できる。
【0044】
【表1】
[図:0001414143000003.jpg]
【0045】
(紅茶汚れ洗浄性試験)
煮沸した紅茶液に、上記(コーヒー汚れ洗浄性試験)で用いたものと同種のプラスチック板を含浸させ、一晩自然冷却させた。その後、プラスチック板を取り出し、乾燥させることで、紅茶汚れの付着した試験板を作製した。
続いて、水道水100重量部に対して実施例1~9及び比較例1~4に係る固体洗浄剤組成物をそれぞれ1.0重量部混合した洗浄液中に、上記試験板を70℃で30分間浸漬し、その後流水ですすいだ。すすぎ後の試験板の表面を目視で観察し、残存する汚れの程度を(コーヒー汚れ洗浄性試験)と同様の基準で判定した。結果を表1に示す。
【0046】
表1の結果より、本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物は、コーヒー汚れに対して優れた洗浄性能を示すことがわかった。」
(4)参1-1
87頁15行~88頁3行「
[図:0001414143000004.jpg]
[図:0001414143000005.jpg]
」
3 甲1に記載された発明
ア 甲1(前記2(1)参照。)の【0026】の【表1】には、「本発明における洗浄漂白組成物」の「実施例3」として、(a)過ホウ酸ナトリウム:50重量%、(b)ラウリル硫酸ナトリウム:1重量%、(c)ポリリン酸ナトリウム:15重量%及びEDTA:1.5重量%、(d)タンパク質分解酵素:0.5重量%、(e)PEG6000:3重量%、(f)アジピン酸:9重量%、並びに(g)炭酸ナトリウム:20重量%からなり、pHが10.06である錠剤、が記載されている。
イ 同【0027】、【0031】及び【0032】の【表2】には、前記アの「実施例3」の「洗浄漂白組成物」の「錠剤」が、「ステンレスボトルに茶またはコーヒーを入れ、一晩放置後、内容物を廃棄し乾燥し、この操作を10回繰り返したボトルを均等に切断した」「茶渋汚れ」に対して、「洗浄効果を比較した」結果、「有効」であったことが記載されている。
ウ そうすると、甲1には、次の発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲1A発明)
「(a)過ホウ酸ナトリウム:50重量%、(b)ラウリル硫酸ナトリウム:1重量%、(c)ポリリン酸ナトリウム:15重量%及びEDTA:1.5重量%、(d)タンパク質分解酵素:0.5重量%、(e)PEG6000:3重量%、(f)アジピン酸:9重量%、並びに(g)炭酸ナトリウム:20重量%からなり、pHが10.06である、茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効である洗浄漂白組成物の錠剤」
ウ 甲1の【0025】には、「錠剤は、二重円錐型混合機を用いて、25℃において、15分間混合し、得られた混合物を、打錠機((株)マシーナ社製DC-WD40)を用いて、圧力1000kgf/cm2、90~100錠/時間の速さで成形物とした」と記載されているから、甲1には、錠剤の製造方法について、次の発明(以下「甲1B発明」という。)も記載されているものと認められる。
(甲1B発明)
「(a)過ホウ酸ナトリウム:50重量%、(b)ラウリル硫酸ナトリウム:1重量%、(c)ポリリン酸ナトリウム:15重量%及びEDTA:1.5重量%、(d)タンパク質分解酵素:0.5重量%、(e)PEG6000:3重量%、(f)アジピン酸:9重量%、並びに(g)炭酸ナトリウム:20重量%からなり、pHが10.06である、茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効である洗浄漂白組成物を、打錠機で打錠して製造する錠剤の製造方法」
4 本件訂正発明1
(1)対比
本件訂正発明1と甲1A発明を対比すると、甲1A発明の「(g)炭酸ナトリウム」は、本件訂正発明1の「(A)アルカリ剤」及び「炭酸塩」に相当する。
甲1A発明の「(c)ポリリン酸ナトリウム」「及びEDTA」並びに「(f)アジピン酸」は、本件訂正発明1の「(B)キレート剤」に相当する。
甲1A発明の「(e)PEG6000」は、本件訂正発明1の「(C)滑沢剤」に相当する。
甲1A発明の「(a)過ホウ酸ナトリウム」は、本件訂正発明1の「(D)酸素系漂白剤」に相当する。
甲1A発明の「(b)ラウリル硫酸ナトリウム」は、アルキル硫酸ナトリウムの一種であるから、本件訂正発明1の「ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤」に相当する。そして、甲1A発明の「(b)ラウリル硫酸ナトリウム」は、滑沢剤との明示はないものの、本件訂正発明1の「(C)滑沢剤」として列挙されたうちの「アルキル硫酸ナトリウム」に該当するものであって、「(C)滑沢剤」としての機能を発揮するものと考えられるから、前記「(e)PEG6000」とともに、本件訂正発明1の「(C)滑沢剤」にも相当するものといえる。
また、甲1A発明の「(g)炭酸ナトリウム:20重量%」は、本件訂正発明1の「タブレット洗浄剤100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上」を充足する。同様に、甲1A発明の「(c)ポリリン酸ナトリウム:15重量%及びEDTA:1.5重量%」並びに「(f)アジピン酸:9重量%」は、本件訂正発明1の「(B)キレート剤」に該当する成分であって、合計が25.5重量%であるから、本件訂正発明1の「タブレット洗浄剤100重量%中、」「前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上」を充足する。
甲1A発明の「洗浄漂白組成物の錠剤」と、本件訂正発明1の「コーヒーマシン用タブレット洗浄剤」とは、ともに「タブレット洗浄剤」である点で共通する。
してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、
前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、
前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、
タブレット洗浄剤100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上であるタブレット洗浄剤。」
<相違点1>
タブレット洗浄剤が、本件訂正発明1は「コーヒーマシン用」のものであるのに対し、甲1A発明は「茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効」なものであるが、コーヒーマシン用との特定はなされていないものである点。
<相違点2>
酸素系漂白剤が、本件訂正発明1は「アルカリ金属過炭酸塩」であるのに対し、甲1A発明は「過ホウ酸ナトリウム」である点。
(2)判断
まず、相違点1について検討する。洗浄剤組成物のコーヒーマシンでの使用に関し、甲2(前記2(2)参照。)の【請求項1】を引用する【請求項2】には、「(A)酸素系漂白剤、(B)キレート剤、(C)有機酸、」「(D)滑沢剤(E)結合剤および/または崩壊剤を含有する」「飲料ディスペンサ用洗浄剤組成物」が記載され、同【0034】には、このような洗浄剤組成物は、「タブレット(錠剤)型にすることにより、使用時に計量等の手間をかけることなく、粉末の飛散などにより、手や衣服に洗浄剤が付着することもなく、容易に洗浄剤を使用することができ」、「タブレット(錠剤)型にすることにより、特にセミオートもしくはフルオート型のコーヒーマシンのような、洗浄工程を一連のプログラミング制御により行なう飲料ディスペンサ用(特にコーヒーマシン)の洗浄に好ましい」と記載されている。
また、甲3(前記2(3)参照。)の【請求項1】には、「アルカリ剤(A)、キレート剤(B)及び酸素系漂白剤(C)を含むコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物」である「コーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物」が記載され、同【0035】には、「本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物の形態が錠剤であると、毎回決まった分量を使用することが容易となり計量の手間を省くことができ、特にコーヒーマシンの定期洗浄に適している」ことが記載されている。
そして、甲1A発明の「洗浄漂白組成物の錠剤」が、「茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効」なものであることを考慮すれば、甲1A発明の「茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効である洗浄漂白組成物の錠剤」を、コーヒーマシン用に用いることは、当業者が容易になし得たことである。
次に、相違点2について検討する。甲1(前記2(1)参照。)の【0008】には、酸素系漂白剤に対応する「ペルオキソ酸塩」について、「本発明において用いるペルオキソ酸塩は、ペルオキソ酸の塩であれば特に制限されない。例えば、過ホウ酸、過炭酸、モノ過硫酸、ペルオキソ二硫酸などのアルカリ金属塩などが挙げられる。これらの中では、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、モノ過硫酸ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムなどペルオキソ酸のナトリウム塩またはカリウム塩が好ましく、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、モノ過硫酸ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウムがより好ましい。」と記載されている。
また、甲3(前記2(3)参照。)の【0029】には、「本発明のコーヒー汚れ用固体洗浄剤組成物を構成する酸素系漂白剤(C)の種類は特に限定されないが、アルカリ金属炭酸塩の過酸化水素付加物(アルカリ金属過炭酸塩ともいう)、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属過ホウ酸塩が挙げられ、これらの中ではアルカリ金属過炭酸塩が好ましい。」ことが記載されている。
さらに、参1-1(前記2(4)参照。)の88頁の表4.22には、「過炭酸ナトリウムと下方酸ナトリウムの漂白力の比較」として、汚染布の種類がコーヒーの場合には、40℃、60℃、80℃のいずれの温度でも、過炭酸ナトリウムの方が過ホウ酸ナトリウムよりも漂白力が高いことが示されている。
そうすると、コーヒーに対する漂白力は、過ホウ酸ナトリウムよりも過炭酸ナトリウムの方が好ましいことは、本件特許の出願前に知られていたといえるから、甲1A発明において、過ホウ酸ナトリウムに代えて過炭酸ナトリウムを採用することや、過ホウ酸ナトリウムに加えて過炭酸ナトリウムを追加することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、それらの効果については、甲1A発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項からみて、顕著なものとはいえない。
(3)小括
したがって、本件訂正発明1は、甲1A発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)特許権者の主張
特許権者は、令和5年6月9日の意見書及び同年12月26日の意見書において、酸素系漂白剤としてアルカリ金属過ホウ酸塩を用いた以外は実施例4と同様の組成の「比較実験例3」の評価結果を示すとともに、「甲1の【0008】を見ても、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムは同レベルで並列的に記載されるものに過ぎず、甲1~甲3には、(A)成分~(C)成分を上記の特定配合条件としたうえで(D)成分がアルカリ金属過炭酸塩であることでコーヒーマシンを洗浄する際の洗浄性が特異的に優れるという構成と効果との関連性、その効果・・・を、甲1~甲3を参照した当業者が予測できたものでありません。」等と主張する。
しかしながら、前記(2)で検討したとおり、甲3及び参1-1には、コーヒーに対する漂白力は、過ホウ酸ナトリウムよりも過炭酸ナトリウムの方が好ましいことが記載されているのであるから、前記したような効果は、甲3や参1-1に触れた当業者であれば、想定し得る範囲の事項といえる。
したがって、特許権者の主張は採用できない。
5 本件訂正発明2
甲1A発明の滑沢剤に該当する成分である「(b)ラウリル硫酸ナトリウム」は、例えば、甲7(前記2(2)参照。)の【0071】に「ラウリル硫酸ナトリウムの溶解度は10mlの水に対して約1gである」と記載されるように、水溶性が良好であるから、50℃での溶解度が1g/100g以上といえる。
また、甲1A発明の滑沢剤に該当する成分である「(e)PEG6000」の溶解度は、メルク社のホームページの記載によれば「550g/l」であるから、50℃での溶解度が1g/100g以上といえる。
以上をまとめると、甲1A発明の滑沢剤に該当する成分の50℃での水への溶解度は1g/l00g以上であるから、本件訂正発明2は、甲1A発明並びに甲1~甲3、甲7及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 本件訂正発明3
甲1A発明の滑沢剤に該当する成分は、「(b)ラウリル硫酸ナトリウム:1重量%」及び「(e)PEG6000:3重量%」であるから、本件発明3の「0.5~20重量%」を充足する。
したがって、本件訂正発明3は、甲1A発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本件訂正発明4、5
甲1A発明の「(g)炭酸ナトリウム」は、本件訂正発明4の「アルカリ金属の」「炭酸塩」に該当し、本件訂正発明5の「炭酸ナトリウム」に該当する。
したがって、本件発明4及び5は、甲1A発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 本件訂正発明6
甲1A発明の「EDTA」は、エチレンジアミンテトラアセテートの略称であって、2つのアミノ基と4つのカルボキシ基を備えるものであるから、本件訂正発明6の「アミノカルボン酸系キレート剤」に該当する。
また、甲1A発明の「(f)アジピン酸」は、2つのカルボキシ基を備えるものであるから、本件訂正発明6の「多価カルボン酸系キレート剤」に該当する。
したがって、本件訂正発明6は、甲1A発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 本件訂正発明9
本件訂正発明9と甲1B発明を対比すると、前記4(1)で検討したとおり、甲1B発明の「(g)炭酸ナトリウム:20重量%」は、本件訂正発明9の「粉末状の洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上」を充足する。また、甲1B発明の「(c)ポリリン酸ナトリウム:15重量%」、「EDTA:1.5重量%」及び「(f)アジピン酸:9重量%」は、本件訂正発明9の「(B)キレート剤」に該当する成分であって、合計が25.5重量%であるから、本件訂正発明9の「粉末状の洗浄剤組成物100重量%中、」「前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上」を充足する。
そして、甲1B発明の「茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効である洗浄漂白組成物を、打錠機で打錠して製造する錠剤の製造方法」において、打錠前の「洗浄漂白組成物」は、粉末状と考えられるから、甲1B発明の「茶またはコーヒーの茶渋汚れに対して有効である洗浄漂白組成物を、打錠機で打錠して製造する錠剤の製造方法」と、本件訂正発明9の「粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法」とは、「粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠するタブレット洗浄剤の製造方法」である点で共通する。
また、その他の点について、前記4(1)と同様の対比を行うと、両者は次の点で一致し、前記4(1)の相違点1及び相違点2において相違する。
<一致点>
「(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、及び、(D)酸素系漂白剤を含み、前記(A)アルカリ剤が、炭酸塩を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であり、粉末状の洗浄剤組成物100重量%中、前記(A)アルカリ剤における炭酸塩の含有量は、20重量%以上であり、前記(B)キレート剤の含有量は、20重量%以上である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠するタブレット洗浄剤の製造方法。」
そこで、前記相違点1及び相違点2について検討すると、前記4(2)で検討したとおり、甲1B発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項から当業者が容易に想到し得たことであって、その効果についてみても、甲1B発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項からみて、顕著なものとはいえない。
したがって、本件訂正発明9は、甲1B発明並びに甲1~甲3及び参1-1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正後の請求項1~6、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件訂正により請求項7、8は削除されたため、請求項7、8についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701302