特許異議申立
2021-700689
繊維柔軟剤組成物
- 審判番号
- 2021-700689
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-554281
- 登録番号
- 6817067
- 請求日
- 2021年07月16日
- 審決日
- 2022年09月06日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
- 【権利者代理人】阿部 達彦
- 【権利者代理人】渡部 崇
- 【権利者代理人】塩尻 一尋
- 【異議申立人】田中 和幸
- 審判長/審判官
- 審判長 山崎 勝司
- 審判官 井上 茂夫
- 審判官 杉江 渉
- 分類
- P1651.536-Y (D06M) / P1651.537-Y (D06M) / P1651.121-Y (D06M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6817067号発明「繊維柔軟剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6817067号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6817067号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成27年2月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成26年2月25日、同年2月25日、同年4月30日、同年4月30日、同年8月8日、同年8月8日、同年8月8日、同年8月8日、平成27年2月23日、同年2月23日 韓国)を国際出願日とする出願であって、令和2年12月28日に特許権の設定登録(特許掲載公報令和3年1月20日発行)がされ、その後、その特許について、令和3年7月16日に特許異議申立人田中和幸(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、令和3年12月15日付けで取消理由が通知され、令和4年4月14日に特許権者から意見書の提出がされた。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」等という。また、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸及び乳酸よりなるグループから選択される1つ以上を含む有機酸と、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、メチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースのポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアガム、カラギナン、ペクチン及びアクリル系ポリマーよりなるグループから選択される1つ以上を含む増粘用ポリマーとを含み、陽イオン界面活性剤を含まず、
前記有機酸が、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%で含まれ、
増粘用ポリマーが、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%で含まれる、
回転型粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPsである繊維柔軟剤組成物。
【請求項2】
花発酵酢をさらに含む、請求項1に記載の繊維柔軟剤組成物。
【請求項3】
花発酵酢は、桃の花、杏の花、アカシアの花、カモミールの花、ジャスミンの花及び蓮の花よりなるグループから選択された1つ以上の花びらを水洗及び乾燥し、酢及び糖水と混合し、3日~7日間発酵させて得たものである、請求項2に記載の繊維柔軟剤組成物。
【請求項4】
花発酵酢は、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.001~10重量%で含まれる、請求項2に記載の繊維柔軟剤組成物。
【請求項5】
酢をさらに含む、請求項1に記載の繊維柔軟剤組成物。
【請求項6】
酢は、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.1~10重量%で含まれる、請求項5に記載の繊維柔軟剤組成物。」
第3 特許異議の申立てについての判断
1.取消理由の概要
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、以下の(1)の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
本件特許は、特許請求の範囲の記載が、以下の(2)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(1)実施可能要件に係る取消理由
本件発明は、「陽イオン界面活性剤を含ま」ない「繊維柔軟剤組成物」に係る発明であるところ、本件特許の発明の詳細な説明には、当該組成物が含むとされている成分のうち、繊維柔軟剤として作用・機能する成分に係る記載がなく、「繊維柔軟剤」として作用・機能する「組成物」を当業者が製造・使用できる程度に明確かつ十分な記載があると認められない。
(2)サポート要件に係る取消理由
本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、繊維柔軟剤としての作用が見込める成分の記載がなされておらず、繊維柔軟剤組成物を提供するという課題を解決できるとは理解できない。
請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし6も同様である。
2.取消理由についての判断
(1)本件特許の発明の詳細な説明の記載
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維柔軟剤組成物に関する。」
イ「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の繊維柔軟剤組成物に柔軟成分として含まれた陽イオン界面活性剤を使用せず、有機酸を添加し、且つ、増粘用ポリマーを使用して有機酸の溶解性を向上させ、衣類内に残存する洗剤不溶性成分である炭酸カルシウムの溶解及び除去効果に優れた繊維柔軟剤組成物を提供することを目的とする。」
ウ「【発明の効果】
【0011】
本発明による繊維柔軟剤組成物は、有機酸を使用し、且つ、増粘用ポリマーを付加して短い洗い/すすぎ時間に有機酸の溶解性を向上させて、衣類内に残存する洗剤不溶性成分である炭酸カルシウムの溶解及び除去に非常に効果的である。」
エ「【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、有機酸と増粘用ポリマーを含み、回転用粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPsである繊維柔軟剤組成物(以下、第1繊維柔軟剤組成物という)に関する。
【0014】
粘度が高ければ、洗濯水に有機酸の拡散(溶解)が遅くなって、充分に有機酸の効力を発揮できないため、本発明の繊維柔軟剤組成物は、有機酸に増粘用ポリマーを付加して、短い洗い/すすぎ時間に有機酸の溶解性を向上させたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明において有機酸は、洗剤残渣、具体的に炭酸カルシウム除去役目を行う。また、前記有機酸は、柔軟剤本然の(布を柔らかくし、触感を良好にする)役目を行う。」
オ「【0016】
前記有機酸は、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸または乳酸等を1つ以上使用できるが、特にこれに制限されるものではない。好ましくは、有機酸は、クエン酸であることができる。前記クエン酸は、原材料費のコストが低いため、繊維柔軟剤組成物の生産コストを節減できる。
【0017】
前記有機酸の含量は、特に制限されず、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%、さらに具体的に、10~25重量%、より具体的に、15~20重量%で含まれることができる。前記範囲内で優れた炭酸カルシウム除去効果を示すことができる。有機酸の含量が30重量%を超過する場合でも、優れた炭酸カルシウム除去効果を示すが、有機酸の含量が高くなるほど、すすぎ水のpHが低くなるので、30重量%以下で使用することが良い。」
カ「【0018】
本発明の繊維柔軟剤組成物は、有機酸の溶解性を向上させることができるように粘度を調節できる増粘用ポリマーを含む。本発明において、前記増粘用ポリマーとして、カルシウム-カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース/ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カーボポール934(carbopol 934)、カーボポール941(carbopol 941)、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアガム、カラギナン、ペクチン、アクリル系ポリマー等を使用できる。好ましくは、アクリル酸ポリマー類及びアクリルコポリマー、アクリル化シリコン系よりなる群から選択された1つ以上のアクリル系ポリマーが良い。
【0019】
前記増粘用ポリマーの含量は、特に制限されず、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%、より具体的に、0.05~1重量%で含まれることができる。前記範囲内で有機酸の溶解性が向上し、炭酸カルシウム除去効果に優れている。」
キ「【0020】
また、前記増粘用ポリマーは、本発明の繊維柔軟剤組成物の粘度を制御する要因になり、より具体的に、回転型粘度計で25℃、60rpmで測定する場合、粘度は、1~250cPsであることができる。前記粘度が250cPsを超過した場合、洗い/すすぎ水内で有機酸の拡散溶解性が劣り、衣類内に残存する炭酸カルシウムの除去が容易でないことがある。
【0021】
本発明による組成物は、有機酸と増粘用ポリマーを使用することによって、陽イオン界面活性剤を含まなくても、洗剤残渣の除去効果に優れ、繊維柔軟剤として容易に使用できる。
【0022】
一具体例において、本発明による繊維柔軟剤組成物を洗い/すすぎ水に提供する場合、衣類に残存する炭酸カルシウムを完全に除去した。」
ク「【実施例】
【0049】
実施例1~6及び比較例1~2
下記表1の組成及び含量を有する繊維柔軟剤組成物を製造した。
【0050】
まず、精製水に増粘用ポリマーを入れ、完全溶解時まで撹拌した後、これにクエン酸、花発酵酢及び酢を入れた後、30分間撹拌し、これにエタノール、香料、添加剤をあらかじめ溶解した溶液を投入し、30分撹拌して製造した。
【0051】
前記添加剤として香可溶化剤(5重量%)と消泡剤(0.05重量%)の混合を使用し、増粘用ポリマーとしては、アクリルコポリマー(BASF社のRheovis FRC)を使用し、有機酸としてクエン酸を使用した。
【0052】
酢は、醸造酢(天然食品)を使用した。
【0053】
花発酵酢は、ジャスミンの花びらを水洗し、乾燥した後、花びら1重量部に対して酢15重量部及び糖水15重量部を前記乾燥した花びらと混合し、約7日間自然発酵過程を経て得たもの使用した。
【0054】
洗濯衣類としてKS K 0905に規定された白色標準綿布(10×10cm)3枚を使用し、使用された洗濯洗剤は、LG生活健康テックを使用した。
【0055】
【表1】
[図:0001389380000001.jpg]
【0056】
実験例1:洗濯後に衣類内に残存する炭酸カルシウムの濃度測定
前記製造された実施例及び比較例の繊維柔軟剤組成物を使用して洗濯後に衣類内に残存する炭酸カルシウムの濃度を測定した。
【0057】
洗濯実験条件は、韓国環境産業技術院の環境標識認証基準のうちEL306(繊維柔軟剤)内の試験方法に準じ、最後のすすぎ時に組成物の使用量は、0.67mL/Lであった。
【0058】
洗濯後に衣類内の炭酸カルシウム残留量に対する分析方法は、前記洗濯試験条件で進行された試験布を0.5g分取して、塩酸/フッ酸/硝酸/ホウ酸の混合液で酸処理した後、24時間抽出し、ICP(高周波誘導結合プラズマ)を利用して分析した。
【0059】
前記衣類内の残存炭酸カルシウム濃度測定結果を下記表2に示した。
【0060】
また、組成物の粘度は、Brookfield回転型粘度計で25℃、60rpmで測定した。
【0061】
【表2】
[図:0001389380000002.jpg]
【0062】
表2に示されたように、増粘用ポリマー使用含量によって粘度が約250cPsを超過する場合、洗い/すすぎ水内で有効成分の拡散溶解性が劣り、衣類内の残存炭酸カルシウムの除去が容易でないことが分かった。」
(2)実施可能要件に係る取消理由について
ア 本件特許の発明の詳細な説明に、「繊維柔軟剤」として作用・機能する「組成物」を当業者が製造・使用できる程度に明確かつ十分な記載がないとする取消理由に対し、特許権者は、本件発明の「繊維柔軟剤組成物」の「柔軟効果」について、クエン酸による繊維柔軟効果は、布中に含まれる洗剤成分(特に炭酸ナトリウム)を除去することによって得られ、陽イオン界面活性剤とは、繊維柔軟メカニズムの違いにより、それぞれの成分を柔軟剤として使用した際の仕上がりの風合いは異なり、陽イオン界面活性剤がふんわりとした仕上がりなのに対し、クエン酸を使用した場合は滑らかな仕上がりであって、いずれの成分も「繊維柔軟剤」として使用されるものである旨主張する。(令和4年4月14日の意見書4頁13~22行)
イ この点、本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明の「繊維柔軟剤組成物」について、「本発明による繊維柔軟剤組成物は、有機酸を使用し、且つ、増粘用ポリマーを付加して短い洗い/すすぎ時間に有機酸の溶解性を向上させて、衣類内に残存する洗剤不溶性成分である炭酸カルシウムの溶解及び除去に非常に効果的である。」(【0011】)と記載されている。
ここで、「炭酸カルシウム」は、甲第6号証(“「やさしいタオル」のおすすめ洗濯方法”、[online]、2008年12月18日(掲載日)、ほぼ日刊イトイ新聞-やさしいタオル、2/5~3/5頁、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://www.1101.com/store/towel/2009/topics/2008-12-18.html>)に、「日本は基本的に軟水ですが、ヨーロッパの硬水ほどではないとはいえ、CaやMgを含んでいます。硬水中のカルシウム、マグネシウムは洗濯中に、水に溶けない、かたい物質(炭酸カルシウムなど)に変化してしまい、洗濯物に付着します。タオルがゴワゴワする原因は洗濯を繰り返すことによりこの物質が蓄積されてしまうことにあります。」と記載されるように、繊維が「ゴワゴワ」する原因となるものである。
ウ 本件発明の「繊維柔軟剤組成物」は、このような「炭酸カルシウム」を、増粘用ポリマーにより溶解性を向上させた有機酸により除去するものであり、繊維が「ゴワゴワ」する原因となるものを除去することで、繊維を柔軟にするものと理解できる。
そして、有機酸をクエン酸、増粘用ポリマーをアクリルコポリマーとし、粘度が5~200cPsである実施例1~6の繊維柔軟剤組成物により繊維を処理すると、衣類内に残存する炭酸カルシウム含量が0ppmであることが確認されている。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明の記載により、繊維を柔軟にする組成物を生産できること、実際に衣類に使用して「炭酸カルシウム」を除去できることが理解できるから、当業者は本件発明を実施することができるものといえる。
エ そして、本件発明は、炭酸カルシウムを除去することにより繊維を柔軟にするものであって、従来の、カチオン性界面活性剤のカチオン部分がマイナスに帯電している繊維表面に吸着して繊維の表面に膜を形成し、繊維と繊維の摩擦抵抗を弱めて滑りを良くし、手触りを柔らかくするという、繊維を柔軟にする機序とは別異のものであり、本件発明が、このような従来の機序に基づく成分が含まれていないことをもって、実施可能要件を満たさないとすることはできない。
オ よって、本件発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものといえるから、実施可能要件に係る取消理由には、理由がない。
(3)サポート要件に係る取消理由について
ア 本件発明には、繊維柔軟剤としての作用が見込める成分の記載がなされておらず、繊維柔軟剤組成物を提供するという課題を解決できるとは理解できないとする取消理由に対し、特許権者は、上記(2)アで述べたように、本件発明の「繊維柔軟剤組成物」の「柔軟効果」は、陽イオン界面活性剤と異なり、滑らかな仕上がりであって、その効果はクエン酸により得られるものである旨主張する。(令和4年4月14日の意見書4頁13~22行)
イ そこで、本件特許の発明の詳細な説明を参照すると、本件発明の解決しようとする課題は、「従来の繊維柔軟剤組成物に柔軟成分として含まれた陽イオン界面活性剤を使用せず、有機酸を添加し、且つ、増粘用ポリマーを使用して有機酸の溶解性を向上させ、衣類内に残存する洗剤不溶性成分である炭酸カルシウムの溶解及び除去効果に優れた繊維柔軟剤組成物を提供すること」(【0007】)である。
ウ その解決手段について、本件特許の発明の詳細な説明には、「有機酸は、洗剤残渣、具体的に炭酸カルシウム除去役目を行う。」(【0015】)と、増粘用ポリマーについては、「粘度が高ければ、洗濯水に有機酸の拡散(溶解)が遅くなって、充分に有機酸の効力を発揮できないため、本発明の繊維柔軟剤組成物は、有機酸に増粘用ポリマーを付加して、短い洗い/すすぎ時間に有機酸の溶解性を向上させたものである」(【0014】)と記載されている。
有機酸の例と含量については、「クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸または乳酸等を1つ以上使用できる」(【0016】)こと、「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%」含み、「前記範囲内で優れた炭酸カルシウム除去効果を示すことができる。有機酸の含量が30重量%を超過する場合でも、優れた炭酸カルシウム除去効果を示すが、有機酸の含量が高くなるほど、すすぎ水のpHが低くなるので、30重量%以下で使用することが良い。」(【0017】)と記載されている。
また、増粘用ポリマーの例と含量について、「カルシウム-カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース/ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カーボポール934(carbopol 934)、カーボポール941(carbopol 941)、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアガム、カラギナン、ペクチン、アクリル系ポリマー等を使用できる」(【0018】)こと、「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%、より具体的に、0.05~1重量%で含まれることができる。前記範囲内で有機酸の溶解性が向上し、炭酸カルシウム除去効果に優れている。」(【0019】)と記載されている。
さらに、繊維柔軟剤組成物の粘度について、「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定する場合、粘度は、1~250cPsであることができる。前記粘度が250cPsを超過した場合、洗い/すすぎ水内で有機酸の拡散溶解性が劣り、衣類内に残存する炭酸カルシウムの除去が容易でないことがある。」(【0020】)と記載されている。
エ これらの記載からすれば、本件発明は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものではない。
そして、本件発明は、炭酸カルシウムを除去することにより繊維を柔軟にするものであって、従来の、カチオン性界面活性剤のカチオン部分がマイナスに帯電している繊維表面に吸着して繊維の表面に膜を形成し、繊維と繊維の摩擦抵抗を弱めて滑りを良くし、手触りを柔らかくするという、繊維を柔軟にする機序とは別異のものであり、本件発明が、このような従来の機序に基づく成分が含まれていないことをもって、サポート要件を満たさないとすることはできない。
オ よって、本件発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものといえるから、サポート要件に係る取消理由には、理由がない。
3.取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由の概要
ア 明確性要件
(ア)本件発明1では、有機酸を5重量%以上含むため、組成物におけるpHは低く、上記のようなアニオン性アクリル系ポリマーを「アクリル系ポリマー」として使用した場合は、極端に粘度が低くなり、本件発明1で規定する「増粘用ポリマーが、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%で含まれる」ときに、「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPsである繊維柔軟剤組成物」を得ることは不可能である。
加えて、本件明細書では、Rheovis FRCを用いた実施例のみしか記載されていないため、上記のようなアニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合の繊維柔軟剤組成物における粘度と本件発明1との効果の関係が理解できない。
以上より、本件発明1で規定する「アクリル系ポリマー」が含む化合物の範囲が不明確である。(申立書6~8頁)
(イ)本件発明5及び6において、酢を含む繊維柔軟剤組成物における有機酸は、本件発明1で規定する有機酸に由来するものであるのか、本件発明5及び6で規定する酢に由来する有機酸であるのかが区別できない。(申立書8~9頁)
(ウ)本件発明2及び3において、花発酵酢を含む繊維柔軟剤組成物における有機酸の濃度をどのように特定すべきか技術的に不明確である。(申立書9頁)
イ 実施可能要件
(ア)本件発明1において、Rheovis FRC以外の増粘用ポリマーを用いた場合に所望の効果を奏すると本件明細書に十分な説明がなく、本件特許の優先日当時の技術常識を考慮しても、Rheovis FRC以外の増粘用ポリマーを用いた場合に所望の効果を奏するとは認められない。(申立書11~14頁)
(イ)増粘用ポリマーとして、アニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合に、本件発明1の繊維柔軟剤組成物が、所定の粘度を有するかどうかを、本件特許の発明の詳細な説明では何ら記載されておらず、当業者はアニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合に、本件発明1の繊維柔軟剤組成物をどのように調製するのかを理解することができない。(申立書14~15頁)
(ウ)本件特許の発明の詳細な説明が、実施例で示されている以外の繊維柔軟剤組成物について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとは言えない。(申立書15~16頁)
ウ サポート要件
増粘用ポリマーとして、Rheovis FRCを用いた実施例の記載のみから、他の増粘用ポリマーを含む繊維柔軟剤組成物に関し、所定の粘度に調整した結果、有機酸の拡散を阻害することなく、衣類内の炭酸カルシウムを溶解することを当業者は認識することはできず、本件特許の優先日当時の技術常識に照らしても、本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。(申立書17~19頁)
エ 甲第12号証を主引用例とする進歩性
本件発明1、5、6は、甲第12号証に記載された発明並びに甲第1号証、甲第4号証、甲第13号証~甲第15号証(以下、それぞれ「甲1」のようにいう。)に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(申立書21~28頁)
甲1:“Ciba RHEOVIS Rheology Modifiers”、[online]、2011年10月9日(アップロード日)、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://www.slideserve.com/salena/ciba-rheovis-rheology-modifiers>
甲4:“お酢を柔軟剤に使ってらっしゃる方いらっしゃいますか?”、[online]、2013年6月21日、発言小町、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://komachi.yomiuri.co.jp/topics/id/600797/all/>
甲12:“日常の愛用品*パックスナチュロン”、[online]、2012年7月24日、OL主婦の小さな幸せ、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://blog.goo.ne.jp/win022403/e/ebf27e73247b2eb0f76e451414613133>
甲13:“手作り柔軟剤”、[online]、2012年11月18日、OL主婦の小さな幸せ、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://blog.goo.ne.jp/win022403/e/505524ae42f434898645830bea16c812>
甲14:“あさイチ(NHK) 肌に優しい手続き柔軟剤の作り方☆お肌の弱い方やアトピーにお悩みの方に”、[online]、2012年5月15日、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:https://ameblo.jp/sugartv/entry-11251094318.html>
甲15:“柔軟剤をクエン酸に替えてみた”、[online]、2012年4月11日、生活で変わること、[2021年7月12日検索]、インターネット<URL:http://natunaldokawaru.blog97.fc2.com/blog-entry-382.html>
(2)明確性要件に係る申立理由について
ア 上記(1)ア(ア)の申立理由について
(ア)本件発明1の「アクリル系ポリマー」については、一般に、「アクリル系ポリマー」はアクリル酸やアクリル酸エステル等のアクリル系モノマーを構成成分として含むものであると当業者であれば理解できる。そして、本件明細書の段落【0024】に「前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸ポリマー、アクリルコポリマー及びアクリル化シリコンよりなる群から選択された1つ以上あることができるが、これに制限されない」と例示されており、上記理解と整合している。これらのことからみて、「アクリル系ポリマー」の記載自体は明確である。
(イ)申立人は、「アクリル系ポリマー」がアニオン性アクリル系ポリマーである場合、本件発明1の繊維柔軟剤組成物が有機酸を含むことによる低pHでの使用は、所望の粘度が得られない旨主張するが、本件発明1は、そのような「アクリル系ポリマー」を含む繊維柔軟剤組成物のうち、「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPsである」ものに特定され、「有機酸」を含む比較的低いpHにおいても「1~250cPs」の粘度のものを意図していると解することができ、当該粘度の範囲外のものは、本件発明1の範囲外(対象外)であると理解できるから、この主張を採用することはできない。
(ウ)また、本件明細書でRheovis FRCを用いた実施例のみしか記載されておらず、アニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合の繊維柔軟剤組成物における粘度と本件発明1との効果の関係が理解できない旨主張するが、上記(ア)で述べたように、本件発明1の「アクリル系ポリマー」は明確であり、申立人のいう「アニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合の繊維柔軟剤組成物における粘度と本件発明1との効果の関係」と、本件発明1の明確性の要件とは関連がないため、この主張を採用することはできない。
(エ)よって、申立人の上記(1)ア(ア)の主張は採用できない。
イ 上記(1)ア(イ)の申立理由について
本件発明5、6には、繊維柔軟剤組成物が「酢をさらに含」むこと、その含有率が「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.1~10重量%で含まれる」ことが特定される。
酢は、水にクエン酸や酢酸等の有機酸を含んだものであることは技術常識であり、本件発明5、6の「酢」に含まれる有機酸が、本件発明1の「有機酸」に含まれることは明らかである。その量も、本件発明1の「有機酸は、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%」の内に含まれることは明らかであり、本件発明5、6の記載は明確である。
そして、酢の大部分は水であり、酢に由来する有機酸の量は、繊維柔軟剤組成物からみて微量であり、繊維柔軟剤組成物に酢を大量に配合することは想定され得ないから、仮に、本件発明5~6に規定される「酢」を本件発明6に規定される「0.1~10重量%」程度配合しても、本件発明1の「有機酸」の含有量である「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%」に大きな影響を与えることはないといえる。
よって、申立人の上記(1)ア(イ)の主張は採用できない。
ウ 上記(1)ア(ウ)の申立理由について
本件発明2~4には、繊維柔軟剤組成物が「花発酵酢をさらに含」むこと、「花発酵酢」は、花びらを「酢及び糖水と混合し、3日~7日間発酵させて得たもの」であること、その含有率が「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.001~10重量%で含まれる」ことが特定される。
花発酵酢は、桃の花等の花びらを、酢及び糖水に混合し発酵させたものであるところ、酢が水にクエン酸や酢酸等の有機酸を含んだものであることは上記イのとおりであり、本件発明2~4の「花発酵酢」の酢に含まれる有機酸が、本件発明1の「有機酸」に含まれることは明らかである。その量も、本件発明1の「有機酸は、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~20重量%」の内に含まれることは明らかであり、本件発明2~4の記載は明確である。
そして、酢の大部分は水であり、花発酵酢に由来する有機酸の量は、繊維柔軟剤組成物からみて微量であり、繊維柔軟剤組成物に花発酵酢を大量に配合することは想定され得ないから、仮に、本件発明2~4に規定される「花発酵酢」を本件発明4に規定する「0.001~10重量%」程度配合しても、本件発明1の「有機酸」の含有量である「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%」に大きな影響を与えることはないといえる。
よって、申立人の上記(1)ア(ウ)の主張は採用できない。
(3)実施可能要件に係る申立理由について
ア 本件特許の発明の詳細な説明には、増粘用ポリマーについて、「粘度が高ければ、洗濯水に有機酸の拡散(溶解)が遅くなって、充分に有機酸の効力を発揮できないため、本発明の繊維柔軟剤組成物は、有機酸に増粘用ポリマーを付加して、短い洗い/すすぎ時間に有機酸の溶解性を向上させたものである」(【0014】)、「本発明の繊維柔軟剤組成物は、有機酸の溶解性を向上させることができるように粘度を調節できる増粘用ポリマーを含む」(【0018】)と記載されており、その具体例として、「カルシウム-カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース/ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カーボポール934(carbopol 934)、カーボポール941(carbopol 941)、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアガム、カラギナン、ペクチン、アクリル系ポリマー等を使用できる。好ましくは、アクリル酸ポリマー類及びアクリルコポリマー、アクリル化シリコン系よりなる群から選択された1つ以上のアクリル系ポリマーが良い。」(【0018】)と記載されている。
また、増粘用ポリマーの含量については、「特に制限されず、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%、より具体的に、0.05~1重量%で含まれることができる。前記範囲内で有機酸の溶解性が向上し、炭酸カルシウム除去効果に優れている。」(【0019】)と、粘度については、「また、前記増粘用ポリマーは、本発明の繊維柔軟剤組成物の粘度を制御する要因になり、より具体的に、回転型粘度計で25℃、60rpmで測定する場合、粘度は、1~250cPsであることができる。前記粘度が250cPsを超過した場合、洗い/すすぎ水内で有機酸の拡散溶解性が劣り、衣類内に残存する炭酸カルシウムの除去が容易でないことがある。」(【0020】)と記載されている。
さらに、実施例1~6及び比較例1、2により、増粘用ポリマーとしてアクリルコポリマー(BASF社のRheovis FRC)を使用し、有機酸としてクエン酸を使用した場合について、衣類内に残存する炭酸カルシウム含量を測定して、効果を確認している。
以上を踏まえると、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1の「繊維柔軟剤組成物」について、当業者が製造できるように、明確かつ十分に記載されているといえる。
イ 申立人は、実施例のRheovis FRC以外の増粘用ポリマーを用いた場合に所望の効果を奏するとは認められない旨(上記(1)イ(ア))、増粘用ポリマーとして、アニオン性アクリル系ポリマーを用いた場合に、繊維柔軟剤組成物をどのように調製するのかを理解することができない旨(上記(1)イ(イ))、それぞれ主張する。
しかし、本件明細書の段落【0018】の記載からみて、「増粘用ポリマー」は「有機酸の溶解性を向上させることができるように粘度を調整できる」ための成分であり、段落【0020】の記載からみて「繊維柔軟剤組成物」の「粘度」を「1~250cPs」に調整できるものであればよいと解されるから、「粘度」の調整ができるものであれば、実施例のRheovis FRC以外の増粘用ポリマーであっても同様に利用できると解することができる。
そして、当業者は、発明の詳細な説明を参照して、増粘用ポリマーについて、具体例としてあげられているポリマーの中から、「有機酸の溶解性を向上させることができるように粘度を調節できる」ものであり、その粘度が「1~250cPs」となるものを選択すればよいことが理解できるから、実施例のRheovis FRC以外の増粘用ポリマーを用いる場合や、アニオン性アクリル系ポリマーを用いる場合であっても、粘度が「1~250cPs」となるものを選択すればよく、繊維柔軟剤組成物を製造することができ、実施することができる。
ウ さらに申立人は、実施例で示されている以外の繊維柔軟剤組成物について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとは言えない(上記(1)イ(ウ))とも主張する。
しかし、本件特許の発明の詳細な説明には、有機酸と増粘用ポリマーの具体例について記載され、粘度の測定方法についても「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定する場合」と記載されているから、当業者であれば、有機酸と増粘用ポリマーを、所定の粘度になるように選択して、本件発明の繊維柔軟剤組成物を製造することができ、実施することができる。
エ よって、申立人の上記(1)イ(ア)~(ウ)の主張は採用できない。
(4)サポート要件に係る申立理由について
上述のように、本件発明の解決しようとする課題は、「従来の繊維柔軟剤組成物に柔軟成分として含まれた陽イオン界面活性剤を使用せず、有機酸を添加し、且つ、増粘用ポリマーを使用して有機酸の溶解性を向上させ、衣類内に残存する洗剤不溶性成分である炭酸カルシウムの溶解及び除去効果に優れた繊維柔軟剤組成物を提供すること」(【0007】)であるところ、本件発明は、炭酸カルシウムを除去することにより繊維を柔軟にするものであって、サポート要件を満たすものである。
申立人は、増粘用ポリマーとして、Rheovis FRCを用いた実施例の記載のみから、他の増粘用ポリマーを含む繊維柔軟剤組成物に関し、所定の粘度に調整した結果、有機酸の拡散を阻害することなく、衣類内の炭酸カルシウムを溶解することを当業者は認識することはできず、本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張する。
しかし、当業者であれば、Rheovis FRC以外の増粘用ポリマーであっても、繊維柔軟剤組成物の粘度が「1~250cPs」となるものであればよいことが理解できるから、増粘用ポリマーが実施例のRheovis FRCに限られるものではない。また、申立人は、所定の粘度に調整しても、所望の効果を得られない具体的な例を示していない。
よって、申立人の上記(1)ウの主張は採用できない。
(5)甲12を主引用例とする進歩性に係る申立理由について
ア 甲12に記載された発明
甲12には、次の発明(以下「甲12発明」という。)が記載されている。
「水、クエン酸、天然ガム、エチルアルコール、ヒノキチオール、香料、クエン酸Naを含み、これにクエン酸を大さじ1杯ほどプラスした、柔軟剤」
イ 対比
本件発明1と甲12発明を対比すると、本件発明1と甲12発明とは、「クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸及び乳酸よりなるグループから選択される1つ以上を含む有機酸を含み、陽イオン界面活性剤を含まない、柔軟剤組成物」で一致し、以下の点で相違する。
《相違点1》
本件発明1は、「有機酸が、繊維柔軟剤組成物100重量%に対して5~30重量%で含まれ」るのに対し、甲12発明は、有機酸の含有率について特定されていない点。
《相違点2》
本件発明1は、「カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、メチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースのポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアガム、カラギナン、ペクチン及びアクリル系ポリマーよりなるグループから選択される1つ以上を含む増粘用ポリマー」を、「繊維柔軟剤組成物100重量%に対して0.01~1.2重量%で含」むのに対し、甲12発明は、天然ガムを含むものの、その含有率は特定されていない点。
《相違点3》
本件発明1の「繊維柔軟剤組成物」は、「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPs」であるのに対し、甲12発明の柔軟剤の粘度は特定されていない点。
ウ 判断
甲16(特開昭63-14667号公報(2頁左上欄8~13行))には、甲12発明の天然ガムが、本件発明1の「カラギナン」、「キサンタンガム」、「ペクチン」に相当するものであることが、甲1(スライド7/48、28/48、33/48)には、カチオン性アクリル系ポリマーが、布地リンスコンディショナーで0.15~0.3%で使用され、酸に対して相溶性があることが、甲4には、酢を柔軟剤の代わりに使用すること、酢は消臭効果があること、酢を従来の柔軟剤と共に使用することが、甲13~15には、クエン酸を柔軟剤100重量%に対して、20重量%程度の濃度に調整することが、それぞれ記載されている。
しかし、甲12発明において、相違点1に係る有機酸の含有率について甲13~15に示すクエン酸の濃度、相違点2に係る増粘用ポリマーの含有率について甲1に示す含有率を、それぞれ採用する動機付けはない。また、いずれの文献にも、相違点3に係る有機酸と増粘用ポリマーを含む組成物の粘度を、「回転型粘度計で25℃、60rpmで測定された粘度が1~250cPs」とすることは記載されていない。
よって、本件発明1は、甲12発明並びに甲1、甲4、甲13~甲15に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明5、6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明5、6も、甲12発明並びに甲1、甲4、甲13~甲15に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ よって、申立人の上記(1)エの主張は採用できない。
第4 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1~6に係る特許については、取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
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2021-700689