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特許異議申立

2022-700093

収納庫及び収納具の取付方法

審判番号
2022-700093
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-184043
登録番号
6914792
請求日
2022年02月03日
審決日
2022年09月26日
公報発行日
2022年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】コクヨ株式会社
  • 【権利者代理人】種村 一幸
  • 【権利者代理人】華山 浩伸
  • 【権利者代理人】大久保 雄一
  • 【異議申立人】日置 綾子
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 奈良田 新一
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1651.121-YAA(A47B) / P1651.537-YAA(A47B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6914792号発明「収納庫及び収納具の取付方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6914792号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。 特許第6914792号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6914792号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成29年9月25日に出願されたものであり、令和3年7月16日にその特許権の設定登録がされ、同年8月4日に特許掲載公報が発行された。その後、令和4年2月3日に特許異議申立人 日置 綾子(以下「申立人」という。)より、請求項1~6に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。 その後の経緯は、以下のとおりである。 ・令和4年4月15日付け:取消理由通知 ・令和4年6月20日: 特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 (以下、「本件訂正請求」という。) 本件訂正請求について、申立人に期間を指定して意見を求めたところ、申立人による意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。以下、同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有している、ことを特徴とする」とあるのを、「前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、前記第1挿入部は、前記扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする第1傾斜部を有し、前記第2挿入部は、前記上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする第2傾斜部を有している、ことを特徴とする」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に「前記第1収納具は、前記第1挿入部を前記第1間隙に挿入し、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を前記第2間隙に挿入し、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させる、ことにより前記扉の裏面に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納庫」とあるのを、「前面に開口部を有する収納庫本体と、前記開口部を回動により開閉する扉と、前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、を備え、前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含み、前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、前記第1収納具は、前記第1挿入部を前記第1間隙に挿入し、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を前記第2間隙に挿入し、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させる、ことにより前記扉の裏面に取り付けられる、ことを特徴とする収納庫」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「前記第1収納具は、前記第1収納具及び前記扉とは別体の部材を介在することなく、前記扉に固定されている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の収納庫」とあるのを、「前面に開口部を有する収納庫本体と、前記開口部の左右方向の一端側の回動支点を支点にして前記開口部を回動により開閉する扉と、前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、を備え、前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含み、前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、前記第1収納具は、前記第1収納具及び前記扉とは別体の部材を介在することなく、前記扉に固定されており、前記収納空間の左右方向の中心位置は、前記扉の左右方向の中心位置よりも前記回動支点側に偏倚しており、前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における前記回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている、ことを特徴とする収納庫」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5の何れか1項に記載の収納庫に前記第1収納具を取り付ける方法であって、前記第1挿入部を前記第1間隙に挿入するステップと、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を前記第2間隙に挿入するステップと、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させるステップと、を含むことを特徴とする収納具の取付方法」とあるのを、「前面に開口部を有する収納庫本体と、前記開口部を回動により開閉する扉であって、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部、及び、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙を含む扉とを備える収納庫に、第1挿入部、第2挿入部、第3挿入部、及び上がり止め部を備え、前記扉の裏面に取り付けられて前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具を取り付ける方法であって、前記第1挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙に挿入するステップと、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙に挿入するステップと、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記間隙のうち前記扉の下端部に形成された第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させるステップと、を含むことを特徴とする収納具の取付方法」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について (1)訂正事項1について ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「第1挿入部」について、「前記扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする第1傾斜部」を有すること、及び「第2挿入部」について、「前記上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする第2傾斜部」を有することを、各々限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。 イ 新規事項の有無 願書に添付した明細書の段落【0023】には、「左側挿入部101は、側板120の左端部の上側(上端部)に設けられている。また左側挿入部101の上部には、下方から上方に向かって先細りする勾配101a(傾斜部)が設けられている。」、「右側挿入部102の下側には、上方から下方に向かって先細りする勾配102a(傾斜部)が設けられている。」と記載されている。また、願書に添付した図面の図5にも同様の構成が記載されている。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面(以下、「本件明細書等」といい、本件特許明細書を「本件明細書」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 また、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもないから、同法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定にも適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正目的 訂正事項3は、訂正前の請求項4における「扉」について、「前記開口部の左右方向の一端側の回動支点を支点にして」開閉し、「前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における前記回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられ」ていること、並びに「収納空間」について、「収納空間の左右方向の中心位置は、前記扉の左右方向の中心位置よりも前記回動支点側に偏倚し」ていることを、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1から3の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、上記アのとおり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 新規事項の有無 本件明細書の段落【0015】には、「図1に示す収納庫10では、扉20の右端にヒンジ部(図示せず)が設けられており、扉20は、右側を支点にして回動し、収納庫本体11の開口部を開閉する。」と記載されており、段落【0020】には、「図4(a)は、扉20を裏面側から見たときの扉20の構成を示す平面図であり、・・・また、図4(a)に示すように、扉20の上側には投入部21が形成されており、扉20の中央右側には鍵の機構22を取り付けるための開口部22aが形成されている。」と記載されている。また、段落【0015】の上記記載及び図1(a)が収納装置の正面図であることより、扉20を裏面側から見たときは左側が回動支点側となることを踏まえれば、図3(a)、(b)より、扉20の裏面と小型トレー100との間に形成される収納空間の左右方向の中心位置が扉20の左右方向の中心位置よりも回動支点側に偏倚していること、及び扉20の裏面側から見て、回動支点とは反対側の右側端部に鍵機構22が設けられていることを看取することができる。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項6が請求項1から5の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2~5を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 また、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもないから、同法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定にも適合するものである。 (5)独立特許要件、一群の請求項、及び別の訂正単位とする求めについて ア 独立特許要件について 本件においては、訂正前の請求項1~6について特許異議の申立てがされているから、訂正後の請求項1~6に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 イ 一群の請求項について 訂正事項1~4による訂正は、訂正前の請求項1~6を訂正するものであるところ、訂正前の請求項2~6は、訂正請求の対象である請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前の請求項1~6は一群の請求項であって、訂正事項1~4による訂正は、一群の請求項〔1~6〕について請求されたものである。 ウ 別の訂正単位とする求めについて 上記イのとおり、訂正事項1~4は、一群の請求項〔1~6〕について請求がされたものであるところ、特許権者は、訂正後の請求項6について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 訂正事項1~4に係る訂正は、上記(1)~(4)のとおり、訂正の要件を満たしており、訂正は認められ、また、訂正後の請求項6は、訂正事項4に係る訂正により独立形式の請求項となったので、訂正後の請求項1~5を引用する関係その他経済産業省令で定める一群の請求項となる関係はない。 したがって、訂正後の請求項6は、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とされるものである。 3 本件訂正に対する申立人の主張について 本件訂正請求について、申立人に期間を指定して意見を求めたところ、申立人は本件訂正請求に対する意見書を提出しなかった。 また、本件訂正請求による訂正の適否について、上記2と異なる判断をすべき事情を見いだすことはできない。 4 まとめ 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~5〕、6について訂正を認める。 第3 本件訂正発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、項番号により「本件訂正発明1」等といい、これらを併せて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、 前記第1挿入部は、前記扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする第1傾斜部を有し、 前記第2挿入部は、前記上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする第2傾斜部を有している、 ことを特徴とする収納庫。 【請求項2】 前記第1収納具は、左右方向の位置を規定するための規定部をさらに備え、 前記折り曲げ部は、前記規定部が係合する被係合部をさらに備えている、 ことを特徴とする請求項1に記載の収納庫。 【請求項3】 前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、 前記第1収納具は、 前記第1挿入部を前記第1間隙に挿入し、 挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を前記第2間隙に挿入し、 前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させる、ことにより前記扉の裏面に取り付けられる、 ことを特徴とする収納庫。 【請求項4】 前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部の左右方向の一端側の回動支点を支点にして前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有し、 前記第1収納具は、前記第1収納具及び前記扉とは別体の部材を介在することなく、前記扉に固定されており、 前記収納空間の左右方向の中心位置は、前記扉の左右方向の中心位置よりも前記回動支点側に偏倚しており、 前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における前記回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている、 ことを特徴とする収納庫。 【請求項5】 前記扉の裏面に設けられ、前記収納空間を仕切る第2収納具をさらに備え、 前記第2収納具は、前記第1収納具に着脱自在に取り付けられている、 ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の収納庫。 【請求項6】 前面に開口部を有する収納庫本体と、前記開口部を回動により開閉する扉であって、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部、及び、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙を含む扉とを備える収納庫に、第1挿入部、第2挿入部、第3挿入部、及び上がり止め部を備え、前記扉の裏面に取り付けられて前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具を取り付ける方法であって、 前記第1挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙に挿入するステップと、 挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙に挿入するステップと、 前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記間隙のうち前記扉の下端部に形成された第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させるステップと、 を含むことを特徴とする収納具の取付方法。」 第4 証拠一覧、異議申立理由の概要、取消理由の概要、及び証拠の記載 1 証拠一覧 申立人により、申立書とともに提出された証拠は、以下のとおりである。 ・甲第1号証の1: 株式会社内田洋行、UCHIDA OFFICE CATALOG 2016 vol.66、スクールロッカー、第647頁(2016年1月1日発行) ・甲第1号証の2: 内田洋行のオフィス製品の部品・消耗品販売サイト、スクールロッカーの部品・消耗品一覧、インターネットURL:<https://parts.uchida.co.jp/category/14_131/>のアーカイブをWay Back Machineを用いて検索した2016年6月17日時点のウェブアーカイブ ・甲第2号証: 特開2005-137734号公報(平成17年6月2日公開) ・甲第3号証: 特開2006-271718号公報(平成18年10月12日公開) ・甲第4号証: 特許第5816861号公報(平成27年11月18日発行) ・甲第5号証: 特許第6010924号公報(平成28年10月19日発行) ・甲第6号証: 特許第6071442号公報(平成29年2月1日発行) ・甲第7号証: 特許第4435697号公報(平成22年3月24日発行) ・甲第8号証: 特開2017-48629号公報(平成29年3月9日公開) ・甲第9号証: 特開2017-48638号公報(平成29年3月9日公開) ・甲第10号証: 実公平6-9271号公報(平成6年3月9日公告) 2 異議申立理由、及び取消理由の要旨 (1)申立人による異議申立理由 申立人による異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 ア 本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許の出願前に公開された甲第1号証の1に記載された発明、甲第1号証の2に記載された発明、及び甲第2号証ないし甲第10号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 イ 本件特許の請求項1~6に係る発明の発明特定事項である「上がり止め部」は、その技術的意味が明確ではないため、請求項1~6に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)令和4年4月15日付けの取消理由 当審が令和4年4月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア 本件特許の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に公開された甲第1号証の1に記載された発明、甲第1号証の2に記載された発明、甲第6号証に記載の技術的事項、及び、甲第5~7号証及び甲第9号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 証拠に記載された事項 (1)甲第1号証の1について ア 甲1の1の記載 甲第1号証の1(以下「甲1の1」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 (ア)第647頁には、商品名「スクールロッカー」として以下の写真が掲載されている。 「 [図:0001392045000001.jpg] 」 (イ)同頁には、「スクールロッカー」の仕様として以下の記載がある。 「 [図:0001392045000002.jpg] 」 (ウ)同頁には、上記(ア)の「スクールロッカー」のうち、最も右上の収納庫の拡大写真が以下のとおり記載されている。 「 [図:0001392045000003.jpg] 」 上記(ア)~(ウ)より、以下の点が認められる。 a 「6列2段に収納庫が設けられたスクールロッカーであり、その幅は1755mmである」点。 b 「各収納庫は、前面に開口部を有する収納庫本体と、開口部を回動により開閉する扉と、扉の裏面に設けられ、扉の裏面との間に収納空間を形成する小物入れと、を備える」点。 c 「扉は、裏面の左側周縁部において間隙を有し、小物入れは、当該間隙に左側端部が挿入されて取り付けられている」点。 d 「扉は開口部の右側の回動支点を支点にして開口部を回動により開閉する」点。 e 「開口部の左側であって扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている」点。 イ 甲1の1発明 上記アによれば、甲1の1には以下の発明(以下「甲1の1発明」という。)が記載されているといえる。 「6列2段に収納庫が設けられたスクールロッカーであり、その幅は1755mmであり、 各収納庫は、前面に開口部を有する収納庫本体と、開口部を回動により開閉する扉と、扉の裏面に設けられ、扉の裏面との間に収納空間を形成する小物入れと、を備え、 扉は、裏面の左側周縁部において間隙を有し、小物入れは、当該間隙に左側端部が挿入されて取り付けられており、 扉は開口部の右側の回動支点を支点にして開口部を回動により開閉し、 開口部の左側であって扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている、 スクールロッカー。」 ウ 甲1の1方法発明 また、甲1の1の「スクールロッカー」の「各収納庫」には「小物入れ」が「取り付けられ」るから、「小物入れ」が「取り付けられ」る点に着目して以下の方法発明(以下「甲1の1方法発明」という。)が記載されているといえる。 「甲1の1発明のスクールロッカーの各収納庫に、小物入れを取り付ける方法。」 (2)甲第1号証の2について ア 甲1の2の記載 甲第1号証の2(以下「甲1の2」という。)には、以下の記載がある。 (ア)商品名「スクールロッカー / 小物入れ」として以下の写真が掲載されている。 「 [図:0001392045000004.jpg] 」 上記(ア)の写真及び「スクールロッカー / 小物入れ」という商品名より、以下の点が認められる。 a 「小物入れを構成する板材の左側、右側、下側それぞれには、板片が設けられている」点。 b 「幅が282mmである」点。 c 「スクールロッカーに取り付けられる小物入れ」である点。 d 「左右の板片の形状が略矩形である」点。 イ 甲1の2発明 上記アによれば、甲1の2には以下の発明(以下「甲1の2発明」という。)が記載されているといえる。 「小物入れを構成する板材の左側、右側、下側それぞれには、板片が設けられており、 左右の板片の形状が略矩形であり、 幅が282mmである、 スクールロッカーに取り付けられる小物入れ。」 (3)甲第2号証について ア 甲2の記載 甲第2号証(以下「甲2」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0028】 ・・・また、本体部2の内部には、図2~図4に示すように、衣類や荷物などを収納可能な主収納部5と、郵便物や請求書などの書類等10(以下、「書類10」ともいう)を収納可能な副収納部6とが形成されている。また、本体部2の主収納部5には、ハンガーを吊り下げるためのパイプ(図示せず)や、荷物を載置するための棚(図示せず)などが配設されている。なお、副収納部6については後述する。 ・・・ 【0031】 ・・・また、一例として、仕切り板62には、左側板22と接する部分に複数の固定用爪(図示せず)が形成されており、この各固定用爪と対応する位置の左側板22には、この各固定用爪に嵌合する孔(図示せず)が複数形成されている。さらに、仕切り板62には、底板61と接する部分に固定用爪(図示せず)が複数形成されており、この固定用爪と対応する位置の底板61には、固定用爪(図示せず)に嵌合する孔が複数形成されている。したがって、仕切り板62の各固定用爪と、左側板22および底板61の各孔とを嵌め合わせることにより、この仕切り板62が本体部2に着脱可能に固定される。」 (イ)図3は以下のものである。 「【図3】 [図:0001392045000005.jpg] 」 (4)甲第3号証について ア 甲3の記載 甲第3号証(以下「甲3」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0043】 ・・・また、ユニット部用取付部として、ユニット部の所定箇所に設けた係合爪が係合可能な係合爪受け部を採用してもよい。」 (イ)図3は以下のものである。 「【図3】 [図:0001392045000006.jpg] 」 (5)甲第4号証について ア 甲4の記載 甲第4号証(以下「甲4」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0025】 一方、押当て部材7は、樹脂一体成型されたもので、折曲部32~34の長手方向に沿って所定位置すなわち切欠窓3dが設けられた部位に位置決め状態で取り付けられる。 ・・・ 【0034】 この場合、押当て部材7の裏面材4側に止着孔75aを設けるとともに、折曲部32~34の所定位置に切欠窓3dを形成して、この切欠窓3dを設けた位置において押当て部材7を折曲部32~34に係合させるとともに、裏面材4の対応位置にねじVの挿通孔4gを設けているので、裏面材4の挿通孔4gに対して押当て部材7の止着孔75aの位置決めを簡単、適切に行うことができる。 ・・・ 【0040】 例えば、上記実施形態では折曲部のうちの3辺に押当て部材を係合させたが、シート材を適切に押さえ付けることができれば、対向2辺でもよく、或いは必要に応じて4辺に係合させても構わない。」 (イ)図2は以下のものである。 「【図2】 [図:0001392045000007.jpg] 」 (ウ)図5は以下のものである。 「【図5】 [図:0001392045000008.jpg] 」 (6)甲第5号証について ア 甲5の記載 甲第5号証(以下「甲5」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0020】 第2の扉3は、図1~図6及び図8に示すように、例えば、収納庫本体1の右の側板12に蝶番31を介して開閉可能に取り付けられたもので、面板32と、この面板32の縁部35に設けられた補強枠34とを備えたもので、板金素材により一体に形成されている。補強枠34は、上下の横枠部341、342と、これら横枠部341、342の端部に連続する縦枠部343とを備えたものであり、上下の横枠部341、342に後述するラッチ機構4のラッチ爪保持体42、43及びラッチ爪44、45が設けられている。 【0021】 詳述すれば、下の横枠部342は、図1~図6及び図8に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分342aと、この外壁部分342aの先端縁から上方に起立する背面壁部分342bと、この背面壁部分342bの上縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分342cとを備えている。この下の横枠部342の所定箇所には、切欠部分342dが形成されており、この切欠部分342dに前記ラッチ爪保持体43が装着されている。この切欠部分342dは、前記内壁部分342cと、前記背面壁部分342bの一部とを切除することにより形成されたもので、この切欠部分342dの両側には、前記ラッチ爪保持体43を固定するための取付孔342eが形成されている。 【0022】 上の横枠部341は、図2及び図4に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分341aと、この外壁部分341aの先端縁から下方に垂下する背面壁部分341bと、この背面壁部分341bの下縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分341cとを備えている。この上の横枠部341の所定箇所には、切欠部分341dが形成されており、この切欠部分341dに前記ラッチ爪保持体42が装着されている。この切欠部分341dは、前記内壁部分341cと、前記背面壁部分341bの一部とを切除することにより形成されたもので、この切欠部分341dの両側には、前記ラッチ爪保持体42を固定するための図示しない取付孔が形成されている。 【0023】 前記縦枠部343は、図2~図6及び図8に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分343aと、この外壁部分343aの先端縁から内側方に延出する背面壁部分343bと、この背面壁部分343bの内方端縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分343cとを備えている。前記面板32には、ラッチ機構4に関連した操作用窓部33が設けられている。 ・・・ 【0025】 ・・・しかして、このラッチ爪保持体43は、前記横枠部342に着脱可能に取り付けられている。具体的には、これらの係合爪431を内方に押し込んだ上でラッチ爪保持体43を内方に牽引することにより横枠部342からラッチ爪保持体43を取り外すことができるようになっている。 ・・・ 【0027】 下の位置決め突起6は、図2~図8に示すように、前記補強枠34を利用して前記扉3に取り付けられたもので、扉3が閉じられた状態において前記収納庫本体1の開口部18の内縁182に係わり合う突起本体61と、この突起本体61を保持するベース62と、このベース62の下端側に設けられた横枠係合部63と、前記ベース62の一側端側に設けられた縦枠係合部64とを備えたもので、合成樹脂等により一体に形成されている。・・・横枠係合部63は、前記横枠部342にスライド可能に係合する形状をなしている。すなわち、横枠係合部63は、面板32と横枠部342の背面壁部分342bとの間に位置し得る寸法のもので、前記ベース62との境界部分に前記横枠部342の内壁部分342cがスライド可能に係合し得る溝67を備えている。縦枠係合部64は、前記横枠係合部63に隣接して設けられ前記縦枠部343に係合して前記位置決め突起6のスライド移動を禁止する形状をなしている。すなわち、縦枠係合部64は、面板32と縦枠部343の背面壁部分343bとの間に位置し得る寸法のもので、その背面に前記縦枠部343の内壁部分343cに一時的な弾性変形により係合する係合爪68が設けられている。」 (イ)図4は以下のものである。 「【図4】 [図:0001392045000009.jpg] 」 (ウ)図7は以下のものである。 「【図7】 [図:0001392045000010.jpg] 」 (エ)図8は以下のものである。 「【図8】 [図:0001392045000011.jpg] 」 (7)甲第6号証について ア 甲6の記載 甲第6号証(以下「甲6」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0049】 まず、図4のように各部材が分離した状態より、図5に示すように、引き戸2に対して、スライダ受け5を取り付ける。引き戸2の前板81と後板83の間にスライダ受け5を挿入して、引き戸2の上板82の下面とスライダ受けの上面53とが近接又は当接する位置にする。この際、弾性片54の爪部54aは、上方がテーパ状に形成されていることから、後板83の内面に倣って内側に押し込まれ、挿入に当たって障害となることはない。適切な位置まで挿入がなされると、爪部54aは開口83aより飛び出して引っ掛かるようにして係合し、上下方向の位置決めがなされる。また、同時に、引き戸2の切欠き83bに突出部51aが嵌め込まれることで、左右方向への位置決めもなされる。さらには、引き戸2の前板81と後板83の間隔は、スライダ受け5の前後方向の厚みと略等しくしていることから、スライダ受け5は前後方向にしっかりと位置決めがなされる。 ・・・ 【0071】 また、後面71の上縁より少し下がった部分であり、左右に離間した位置に一対の弾性片75,75を形成し、各弾性片75,75には後方に向けて突出する爪部75a,75aをそれぞれ設けている。弾性片75は、周囲をU字状に開口されることで、上部を基端として下方に向けて延在する片持ち状となっている。そのため、上部を起点にして先端を前後方向に弾性変位可能であり、これに伴って爪部75aを内部方向に引き込むことが可能となっている。 ・・・ 【0083】 開口84aはローラユニット4のホルダ7と略同一の形状となっており、内部で適切にホルダ7の位置及び方向を規制することが可能となっている。組立においては、弾性片75の爪部75aは、上方がテーパ状に形成されていることから、開口84aより後板85の内面に倣って内側に押し込まれ、挿入に当たって障害となることはない。適切な位置まで挿入がなされると、爪部75aは後板85の上縁85bより飛び出して引っ掛かるようにして係合し、上下方向の位置決めがなされる。」 (イ)図4は以下のものである。 「【図4】 [図:0001392045000012.jpg] 」 (ウ)図5は以下のものである。 「【図5】 [図:0001392045000013.jpg] 」 (エ)図10は以下のものである。 「【図10】 [図:0001392045000014.jpg] 」 (8)甲第7号証について ア 甲7の記載 甲第7号証(以下「甲7」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0016】 扉の掛け止め装置10は、各扉2の自由端縁2Fの内側の略U字形の取付壁2W(図4参照)に取付けられるケース12と、このケース12に配置されたフック部材14と、同様にケース12内に配置され把手3の変位によってフック部材14を変位するように操作するフック部材操作手段16とから成っている。 ・・・ 【0031】 この掛け止め装置10は、図1、図4に示すように、扉2の取付壁2Wに組み込んで取付けられ、その後、回転筒24に把手3によって回転される回転軸18を貫通させる。また、ケース12は、その後壁12RWに弾性爪12C’を有し、この弾性爪12C’は、扉2の取付壁2Wの係止孔2WHに係入してケース12を取付壁2Wに固定する。なお、図4において、符号2Nは、ケース12の切欠き窓12Wに相応して設けられてフック部材14が突出する切欠き窓である。」 (イ)図4は以下のものである。 「【図4】 [図:0001392045000015.jpg] 」 (9)甲第8号証について ア 甲8の記載 甲第8号証(以下「甲8」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0021】 ・・・前記ラッチ駆動機構19は、扉2の遊端側に沿って配置するシャフト20と、該シャフト20の中間位置にシャフト20に対して回転不能に外嵌した連動部材21と、前記ラッチ5を回動可能に支持して前記扉2の遊端側コーナー部に取付けるラッチ受け部材22とからなり、前記シャフト20の端部は前記ラッチ5の軸部に供回り回転不能に嵌挿している。・・・また、前記ラッチ受け部材22は、正面視略L字形の部材であり、前記扉2のコーナー部を挟んで両辺部に嵌合し、地震によって前記筐体1に揺れ、変形が生じて前記ラッチ5に大きな力が加わっても、前記扉2の縁部、特に上下縁部の変形を抑制するようになっている。」 (イ)図5は以下のものである。 「【図5】 [図:0001392045000016.jpg] 」 (ウ)図7は以下のものである。 「【図7】 [図:0001392045000017.jpg] 」 (10)甲第9号証について ア 甲9の記載 甲第9号証(以下「甲9」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0021】 本発明は、筐体1の前面開口部に開閉可能に設ける扉の遊端側の上下部に、筐体1の上下框部7,8に係脱するラッチ4,4を設け、引手3とシャフト5で連動させてラッチ4を回動してなる扉におけるラッチシャフトの軸受装置であって、前記シャフト5を扉2の背面側の縁部に沿って回転可能に支持する軸受部材6は、扉2の上又は下縁部9に係合する水平部11と、扉2の側縁部10に係合する垂直部12を有する略L字状であり、扉2の側縁部10に軸受部材6の垂直部12を噛合させて上下方向の変位を規制してなることを特徴としている。 【0022】 更に詳しくは、前記扉2は、表面板13の周囲を背面側に折曲して縁板14を形成するとともに、縁板14の後縁を直角に折曲して補強板15を形成し、更に少なくとも側部の補強板15の内縁を表面板13に向かって折曲して折曲板16を形成した構造である。本実施形態では、全周に折曲板16を形成して、扉2の剛性を高めている。そして、前記軸受部材6の水平部11に対応する位置の上又は下縁部9の折曲板16は切欠するとともに、更に前記ラッチ4の可動範囲を確保するために上又は下縁部9の補強板15の一部に切欠部17を形成している。 【0023】 前記軸受部材6は、図4~図8に示すように、合成樹脂製の一体成形物であり、前十tのように水平部11と垂直部12を有し、前記扉2のコーナー部に係合のみで取付けることができるようになっている。前記扉2の側縁部10の折曲板16の上下に二つの係合凹部18,18を形成し、前記折曲板16の下縁も係合縁19となっている。前記軸受部材6の垂直部12に前記折曲板16を受け入れる凹段部20を形成し、該凹段部20に前記係合凹部18,18に係合する係合凸部21,21を形成するとともに、前記凹段部20の下端に前記係合縁19と下縁部9の縁板14との間に係合する突起22を形成している。尚、前記係合凹部18は少なくとも1つあれば良く、前記突起22も省略できる。ここで、前記係合凸部21,21と突起22の上面は、先端に向けて下降した傾斜部23となっており、前記軸受部材6を左右方向、若しくは斜め上方からコーナー部にスライドさせて、前記係合凸部21,21と突起22をそれぞれ前記係合凹部18,18と係合縁19に係合できるように構成している。 ・・・ 【0024】 前記軸受部材6の水平部11と垂直部12は、それぞれ下縁部9と側縁部10の縁板14に接合する位置まで係合するが、抜け止め構造として、先ず前記扉2の下縁部9の補強板15に係合穴24を形成するとともに、前記水平部11の先端部に前記係合穴24に係合する弾性爪25を突設している。更に、前記軸受部材6の垂直部12の凹段部20内で、前記係合凸部21,21の間及び前記突起22と下側の係合凸部21の間に、前記係合凹部18,18内の折曲板16の端縁に係止する係止爪26,26を形成している。」 (イ)図3は以下のものである。 「【図3】 [図:0001392045000018.jpg] 」 (ウ)図4は以下のものである。 「【図4】 [図:0001392045000019.jpg] 」 (エ)図5は以下のものである。 「【図5】 [図:0001392045000020.jpg] 」 (11)甲第10号証について ア 甲10の記載 甲第10号証(以下「甲10」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「[実施例] ・・・ また、保持管8には、第4図示の如くシリンダー錠11の係止部11aが嵌入する長溝8bを設けてある。 12aは引手カバー12に設けたストッパーであり、ラッチレバー6の回動片6bの押込みを解除したとき、スプリング10の弾発力により保持管8が復帰して連係片9’をストッパ12aに係止させることにより、保持管8の復帰角度を規制し、常に回動片6aを連係片9に係合可能とすることができる。 次にラッチ部材4は、第6図及び第7図に示すように、基板15と、一定の高さの区画壁16,16…によって構成されたラッチ受具14の中央凹処17内に収容され、該ラッチ部材4の基部4aの角形透孔18に、前記作動杆3の端部を貫通し固定してある。 19及び20は、ラッチ受具14を扉体1に固定するための連結部である。」(第2頁第3欄第23行~第4欄第14行) (イ)第6図は以下のものである。 「【第6図】 [図:0001392045000021.jpg] 」 (ウ)第7図は以下のものである。 「【第7図】 [図:0001392045000022.jpg] 」 第5 当審の判断 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められたので、以下では、本件訂正発明について、判断する。 1 先の取消理由通知に記載した取消理由(進歩性)について (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1の1発明とを対比する。 (ア)甲1の1発明の「スクールロッカー」の各「収納庫」が有する、「前面に開口部を有する収納庫本体」、「開口部を回動により開閉する扉」、「扉の裏面に設けられ、扉の裏面との間に収納空間を形成する小物入れ」は、それぞれ、本件訂正発明1の「前面に開口部を有する収納庫本体」、「前記開口部を回動により開閉する扉」、「前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具」に相当する。 (イ)甲1の1発明の「扉は、裏面の左側周縁部において間隙を有」する点と、本件訂正発明1の「前記扉は、周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部と、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙とを有し、前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙と、前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と、を含」む点とは、「前記扉は、周縁部において間隙を有し、前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙を含」む点で共通する。 (ウ)甲1の1発明の「小物入れは、当該間隙に左側端部が挿入されて取り付けられ」ている点と、本件訂正発明1の「前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部と、前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部と、を有している」点とは、「前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部、を有している」点で共通する。 (エ)甲1の1発明の「スクールロッカー」の各「収納庫」は、本件訂正発明1の「収納庫」に相当する。 (オ)以上を総合すると、本件訂正発明1と甲1の1発明とは、 「前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において間隙を有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部、を有している、 収納庫。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1-1)本件訂正発明1において、扉は、「周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部」を有し、間隙は、「前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成され」、「前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と」を含み、第1収納具は、「前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部」を有するのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 (相違点1-2)本件訂正発明1において、第1挿入部は、「前記扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする第1傾斜部」を有し、第2挿入部は、「前記上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする第2傾斜部」を有しているのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点1-2から、判断する。 甲1の1発明において、「小物入れ」の左右の「端部」の形状は明らかでない。「小物入れ」の左右の「端部」の形状が、仮に甲1の2発明の「小物入れ」の「板片」のごとく「略矩形」だとしても、左側の「端部」が「扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする」形状であり、右側の「端部」が「上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする」形状である相違点1-2に係る構成とは異なるものである。また、甲1の1発明において、「小物入れ」の左側の「端部」の形状を「扉の上下方向に対応する下方から上方に向かって先細りする」形状として「第1傾斜部」を「有」するものとし、右側の「端部」の形状を「上下方向に対応する上方から下方に向かって先細りする」形状として「第2傾斜部」を「有」するものとすることについては、動機付けがない。 そして、本件訂正発明1は、上記相違点1-2に係る構成を採用することにより、特許権者が令和4年6月20日付け意見書の5(4)において主張するように、扉の裏面において、第1収納具を回転させながら取り付ける際に、扉の端部に接触させることなく、スムーズに回転させることができるという所定の効果を奏するものと認められるから、甲1の1発明において上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、単なる設計事項とはいえない。 甲2~甲10には、上記第4の3(3)~(11)に摘記した事項が記載されているが、扉に取り付ける小物入れの左右の端部の形状を上下逆方向に先細りとし、以て取り付けの際にスムーズな回転を可能とする構造は、記載も示唆もされていない。 したがって、甲1の1発明において、上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲1の2及び甲2~甲10に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったということはできない。 そして、上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の構成は想到容易でないから、相違点1-1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1の1発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)イにおける判断と同様の理由で、甲1の1発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件訂正発明3について ア 対比 本件訂正発明3と甲1の1発明とを対比する。 (ア)上記(1)ア(ア)~(エ)における本件訂正発明1と甲1の1発明との対比の内容は、本件訂正発明3と甲1の1発明との対比においても同様である。 (イ)そうすると、本件訂正発明3と甲1の1発明とは、 「前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において間隙を有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部、を有している、 収納庫。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点3-1)本件訂正発明3において、扉は、「周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部」を有し、間隙は、「前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成され」、「前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と」を含み、第1収納具は、「前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部」を有するのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 (相違点3-2)本件訂正発明3において、第1収納具は、「前記第1挿入部を前記第1間隙に挿入し、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を前記第2間隙に挿入し、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させる、ことにより前記扉の裏面に取り付けられる」のに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点3-2から、判断する。 甲1の1発明において、「小物入れ」がどのように扉の裏面に取り付けられるかは明らかでないが、相違点3-2のような取り付けられ方は甲1の1に記載も示唆もされておらず、動機付けもない。 次に、甲1の1発明の「スクールロッカー」に甲1の2発明の「小物入れ」を適用した場合について検討する。甲1の1発明の6列並んだスクールロッカーの幅は「1755mm」であり、1列分の幅はおよそその6分の1の約293mmとなるところ、甲1の2発明の「小物入れ」の幅は「282mm」であって「端部」が「略矩形」の「板片」であるから、「小物入れ」の幅は上下にわたって「282mm」とスクールロッカー1列分の幅とほぼ同程度のサイズとなるが、左下から右上にわたる斜めの長さは当然に「282mm」よりもはるかに長くなる。そうすると、「小物入れ」を扉の裏面にて回転させることは、「小物入れ」が回転途中で扉の端部に接触してしまうため、幾何学的にみて不可能である。よって、甲1の1発明に甲1の2発明を適用したとしても、相違点3-2に係る本件訂正発明3の構成となるものではない。 甲2~甲10には、上記第4の3(3)~(11)に摘記した事項が記載されているが、いずれも甲1の1発明の「小物入れ」の取り付け方について、相違点3-2のようにすることを、示唆するものではない。 したがって、甲1の1発明において、上記相違点3-2に係る本件訂正発明3の構成に至ることは、甲1の2及び甲2~甲10に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったということはできない。 そして、上記相違点3-2に係る本件訂正発明3の構成は想到容易でないから、相違点3-1について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、甲1の1発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件訂正発明4について ア 対比 本件訂正発明4と甲1の1発明とを対比する。 (ア)上記(1)ア(ア)~(エ)における本件訂正発明1と甲1の1発明との対比の内容は、本件訂正発明4と甲1の1発明との対比においても同様である。 (イ)甲1の1発明の「開口部の右側の回動支点を支点にして開口部を回動により開閉」する「扉」は、本件訂正発明4の「前記開口部の左右方向の一端側の回動支点を支点にして前記開口部を回動により開閉する扉」に相当し、甲1の1発明の「開口部の左側であって扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている」ことは、本件訂正発明4の「前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている」ことに相当する。 (ウ)そうすると、本件訂正発明4と甲1の1発明とは、 「前面に開口部を有する収納庫本体と、 前記開口部の左右方向の一端側の回動支点を支点にして前記開口部を回動により開閉する扉と、 前記扉の裏面に設けられ、前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具と、 を備え、 前記扉は、周縁部において間隙を有し、 前記間隙は、前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙、を含み、 前記第1収納具は、前記第1間隙に挿入される第1挿入部、を有し、 前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている、 収納庫。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点4-1)本件訂正発明4において、扉は、「周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部」を有し、間隙は、「前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成され」、「前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙と、前記扉の下端部に形成された第3間隙と」を含み、第1収納具は、「前記第2間隙に挿入される第2挿入部と、前記第3間隙に挿入される第3挿入部と、上がり止め部」を有するのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 (相違点4-2)本件訂正発明4において、第1収納具は、「前記第1収納具及び前記扉とは別体の部材を介在することなく、前記扉に固定されて」いるのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 (相違点4-3)本件訂正発明4において、「収納空間の左右方向の中心位置は、前記扉の左右方向の中心位置よりも前記回動支点側に偏倚して」いるのに対し、甲1の1発明においてはそのようなものであるか、明らかでない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点4-3から、判断する。 甲1の1において、「収納空間の左右方向の中心位置は、前記扉の左右方向の中心位置よりも前記回動支点側に偏倚して」いることは記載も示唆もされておらず、甲1の1発明に当該構成を採用する動機付けはない。 そして、本件訂正発明4は、上記相違点4-3に係る構成を採用することにより、特許権者が令和4年6月20日付け意見書の5(5)において主張するように、「前記開口部の左右方向の他端側であって前記扉における回動支点とは反対側に、鍵機構が設けられている」場合であっても、鍵機構の下方の収納空間は形成されないか又は小さい範囲となり、鍵機構が邪魔して収納物の出し入れがし難くなるという問題が生じ難くなり、回動支点から鍵機構までの間に形成される収納空間を利用し易くなるという所定の効果を奏するものと認められるから、甲1の1発明において上記相違点4-3に係る本件訂正発明4の構成とすることは、単なる設計事項とはいえない。 甲1の2及び甲2~甲10には、上記第4の3(2)~(11)に摘記した事項が記載されているが、いずれも甲1の1発明の「収納空間」を、「回動支点側に偏倚」することを、示唆するものではない。 したがって、甲1の1発明において、上記相違点4-3に係る本件訂正発明4の構成に至ることは、甲1の2及び甲2~甲10に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったということはできない。 そして、上記相違点4-3に係る本件訂正発明4の構成は想到容易でないから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明4は、甲1の1発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件訂正発明5について 本件訂正発明5は、本件訂正発明1ないし4の何れかを引用し、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)イ、上記(2)、上記(3)イ、又は上記(4)イにおける判断と同様の理由で、甲1の1発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件訂正発明6について ア 対比 本件訂正発明6と甲1の1方法発明とを対比する。 (ア)甲1の1方法発明の「スクールロッカー」の各「収納庫」が有する、「前面に開口部を有する収納庫本体」、「開口部を回動により開閉する扉」、「扉の裏面に設けられ、扉の裏面との間に収納空間を形成する小物入れ」は、それぞれ、本件訂正発明6の「前面に開口部を有する収納庫本体」、「前記開口部を回動により開閉する扉」、「前記扉の裏面に取り付けられて前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具」に相当する。 (イ)甲1の1方法発明の「扉は、裏面の左側周縁部において間隙を有」する点と、本件訂正発明6の「周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部、及び、前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成された間隙を含む扉」とは、「周縁部において間隙を含む扉」の点で共通する。 (ウ)甲1の1方法発明の「小物入れ」が、「扉」の「裏面の左側周縁部」における「間隙」に「挿入され」る「左側端部」を有する点と、本件訂正発明6の「第1収納具」が「第1挿入部、第2挿入部、第3挿入部、及び上がり止め部を備え」る点とは、「第1収納具」が「第1挿入部を備え」る点で共通する。 (エ)甲1の1方法発明の「スクールロッカー」の各「収納庫」は、本件訂正発明6の「収納庫」に相当し、甲1の1方法発明の「収納庫に、小物入れを取り付ける方法」は、本件訂正発明6の「収納庫」に「第1収納具を取り付ける方法」に相当する。 (オ)以上を総合すると、本件訂正発明6と甲1の1方法発明とは、 「前面に開口部を有する収納庫本体と、前記開口部を回動により開閉する扉であって、周縁部において間隙を含む扉とを備える収納庫に、第1挿入部を備え、前記扉の裏面に取り付けられて前記扉の裏面との間に収納空間を形成する第1収納具を取り付ける方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点6-1)本件訂正発明6において、扉は、「周縁部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ部」を有し、間隙は、「前記折り曲げ部と前記扉の裏面との間に形成され」、「前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙」と「前記扉の下端部に形成された第3間隙」を含み、第1収納具は、「第2挿入部、第3挿入部、及び上がり止め部」を備えるのに対し、甲1の1方法発明における収納庫及び小物入れがそのようなものであるか、明らかでない点。 (相違点6-2)本件訂正発明6において、収納具の取付方法が「前記第1挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の一方側端部に形成された第1間隙に挿入するステップと、挿入した前記第1挿入部を支点にして前記第1収納具を回転させることにより前記第2挿入部を、前記間隙のうち前記扉の左右方向の他方側端部に形成された第2間隙に挿入するステップと、前記第1挿入部及び前記第2挿入部が前記第1間隙及び前記第2間隙に挿入された状態で前記第1収納具を下方に移動して、前記第3挿入部を前記間隙のうち前記扉の下端部に形成された第3間隙に挿入するとともに、前記上がり止め部を前記折り曲げ部に係合させるステップと、を含む」のに対し、甲1の1方法発明がそのようなものであるか、明らかでない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点6-2から、判断する。 相違点6-2の内容は実質的に相違点3-2の内容と同じである。そうすると、相違点3-2に対して判断したのと同じ理由で、甲1の1方法発明において、相違点6-2に係る本件訂正発明6の構成に至ることは、甲1の2及び甲2~甲10に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったということはできない。 そして、上記相違点6-2に係る本件訂正発明6の構成は想到容易でないから、相違点6-1について検討するまでもなく、本件訂正発明6は、甲1の1方法発明、甲1の2発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 先の取消理由通知に採用しなかった異議申立理由(明確性)について (1)申立人の主張 申立人は特許異議申立書において、「上がり止め部」について、その機能、構造及び他の構成要件との結合等が何ら規定されておらず、「上がり止め部」がどの構成要件と結合し、どの構成要件の上がり止めとして機能するのかを理解することができないから、「上がり止め部」の技術的意味が明確ではない旨主張する。 (2)明確性要件に違反するか否かの判断 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から、判断されるべきものである。 上記の観点に基づいて、以下、判断する。 本件訂正発明1における「上がり止め部」は、「第1収納具」が有するものであり、「第1収納具」は「扉の下端部に形成された第3間隙」に「挿入される第3挿入部」を有するものである。そして、「第1収納具」は「第3挿入部」及び「第3間隙」を介して「扉の下端部」に挿入されるものである。そうすると、「上がり止め部」は、「扉の下端部」に挿入された「第1収納具」が、上方に移動して挿入された扉から外れるのを防ぐ機能を有することが、当業者であれば理解できるものであるから、具体的な構成要素間の結合関係を特定せずともその技術的意味は明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどの不明確さがあるとは認められない。 よって、申立人の主張は採用できない。 本件訂正発明1にさらに構成を付加した本件訂正発明2、及び本件訂正発明3~6についても、同様である。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明1~6は、明確性要件に違反するものではなく、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしている。 第6 むすび 以上のとおり、本件訂正発明1~6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件訂正発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700093

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    共通の審決分類: 121・A47B、537・A47B
  • 2021-700648異議申立 / 2021-10-21 / 維持フラップ天板付き家具
    共通の審決分類: 121・A47B、537・A47B

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