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特許異議申立

2022-701170

接着テープ、物品、モーター及び物品の製造方法

審判番号
2022-701170
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-074676外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7077735
請求日
2022年11月25日
審決日
2024年03月27日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(C09J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第113条、特許法第29条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7077735号発明「接着テープ、物品、モーター及び物品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許7077735号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5~8〕について訂正することを認める。
特許第7077735号の請求項2~4、6~8に係る特許を維持する。
特許第7077735号の請求項1、5に係る特許異議の申立てを却下する。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

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特許第7077735号の請求項1~8の発明に係る特許についての出願は、平成30年4月9日を出願日とするものであって、令和4年5月23日に特許権の設定登録がなされ(請求項の数8)、同年同月31日にその特許掲載公報が発行された。

その後、令和4年11月25日に特許異議申立人である渡辺 陽子(以下、「申立人」ともいう。)によって、請求項1~8(全請求項)に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。

その後、当審は、令和5年3月30日付けで取消理由を通知し(発送は同年4月3日)、この取消理由通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年6月2日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)を行った。

また、当審は、同年7月11日付けで申立人に訂正請求があった旨を通知し(発送は同年同月14日)、この通知に対し、申立人は、その指定期間内である同年8月8日に意見書を提出した。

第2 本件訂正請求について

1 請求の趣旨

本件訂正の請求の趣旨は、「特許第7077735号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものである。

2 本件訂正

(1)本件訂正は、次の訂正事項1~8からなるものである。下線は、訂正箇所を示す。

ア 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に「前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ]×100が150%以上である請求項1に記載の接着方法。」と記載されているのを、「被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とを、接着テープで接着する接着方法であって、

前記接着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上100μm以下であり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)を有し、

前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上であり、

前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる工程1]、及び少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有することを特徴とする接着方法。」に訂正する(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する)。

ウ 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3に「前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×103~5.0×l07Paの範囲である請求項1又は2に記載の接着方法。」と記載されているのを、「前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×103~5.0×107Paの範囲である請求項2に記載の接着方法。」に訂正する(訂正前の請求項3を引用する請求項4も同様に訂正する)。

エ 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項4に「前記膨張性接着剤層(A)の厚さが1μm以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の接着方法。」と記載されているのを、「前記膨張性接着剤層(A)の厚さが1μm以上である請求項2又は3に記載の接着方法。」に訂正する。

オ 訂正事項5

特許請求の範囲の請求項5を削除する。

カ 訂正事項6

特許請求の範囲の請求項6に「前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上である請求項5に記載の物品の製造方法。」と記載されているのを、「被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とが、接着テープで接着された物品の製造方法であって、

前記接着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上100μm以下であり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)を有し、

前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上であり、

前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる工程[1]、及び、少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有することを特徴とする物品の製造方法。」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7及び8も同様に訂正する)。

キ 訂正事項7

特許請求の範囲の請求項7に「前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×103~5.0×l07Paの範囲である請求項5又は6に記載の物品の製造方法。」と記載されているのを、「前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×l03~5.0×l07Paの範囲である請求項6に記載の物品の製造方法。」に訂正する(訂正前の請求項7を引用する請求項8も同様とする)。

ク 訂正事項8

特許請求の範囲の請求項8に「前記膨張性接着剤層(A)の厚さが1μm以上である請求項5~7のいずれか1項に記載の物品の製造方法。」と記載されているのを、「前記膨張性接着剤層(A)の厚さがlμm以上である請求項6又は7に記載の物品の製造方法。」に訂正する。

(2)一群の請求項について

訂正前の請求項1~4について、請求項2~4はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項5~8について、請求項6~8はそれぞれ請求項5を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項5によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。

したがって、訂正前の請求項1~4、5~8にそれぞれ対応する本件訂正後の請求項1~4及び請求項5~8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

3 訂正要件についての判断

(1)訂正事項1、5について

ア 訂正の目的について

訂正事項1、5は、それぞれ請求項1、5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

上記アのとおり、1、5は、それぞれ請求項1、5を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的について

訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正(以下、「訂正事項2-1」ともいう。)、訂正前の請求項1の「前記粘着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、・・・」との記載における「前記粘着テープ」を「前記接着テープ」に改める訂正(以下、「訂正事項2-2」ともいう。)、訂正前の請求項1の「前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する部位(c1-2)または前記被着体(C2)とを接着させる工程[2]」との記載における「前記被着体(C1)を構成する部位(c1-2)」及び「前記被着体(C2)」をそれぞれ「前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)」及び「他の被着体(C2)」に改める訂正(以下、「訂正事項2-3」ともいう。)、及び、訂正前の請求項1の「直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上l00μmであり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)」との記載における「厚さが1μm以上l00μmであり」を「厚さが1μm以上l00μm以下であり」に改める訂正(以下、「訂正事項2-4」ともいう。)、からなるものである。

また、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、訂正事項2-2、2-3は、いずれも、それより前にある記載と表記が異なってしまっていた記載を統一し正しい表記に改めるものであるから特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。また、訂正事項2-4は、本件特許の明細書(以下、「本件特許明細書」ともいう。)の段落【0036】に「前記感圧接着剤層(B)としては、厚さが1μm以上100μm以下のものを使用する」との記載があることから、「厚さが1μm以上l00μmであり」が「厚さが1μm以上l00μm以下であり」の誤記であることは明らかなので、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

訂正事項2-1は、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであって、実質的な内容の変更を伴うものではない。また、訂正事項2-2、2-3における特許請求の範囲中の誤記の訂正も、その表記の誤りを訂正することのみを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正事項2-4も、「厚さ」の範囲がなんら変更されないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アのとおり、訂正事項2は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3、4について

ア 訂正の目的について

訂正事項3は、訂正前の請求項3がそれよりも前の請求項を引用する記載を含むものであるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、その引用する請求項から請求項1を削除するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

また、訂正事項4は、訂正前の請求項4がそれよりも前の請求項を引用する記載を含むものであるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、その引用する請求項から請求項1を削除するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

上記アのとおり、訂正事項3、4は、いずれもその引用する請求項から請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アのとおり、訂正事項3、4は、いずれもその引用する請求項から請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項6について

ア 訂正の目的、新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項5の記載を引用する記載であるところ、訂正事項5で請求項5が削除されて請求項5を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正(以下、「訂正事項6-1」ともいう。)、訂正前の請求項5の「前記粘着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、・・・」との記載における「前記粘着テープ」を「前記接着テープ」に改める訂正(以下、「訂正事項6-2」ともいう。)、訂正前の請求項5の「前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する部位(c1-2)または前記被着体(C2)とを接着させる工程[2]」との記載における「前記被着体(C1)を構成する部位(c1-2)」及び「前記被着体(C2)」をそれぞれ「前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)」及び「他の被着体(C2)」に改める訂正(以下、「訂正事項6-3」ともいう。)、及び、訂正前の請求項5の「直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上l00μmであり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)」との記載における「厚さが1μm以上l00μmであり」を「厚さが1μm以上l00μm以下であり」に改める訂正(以下、「訂正事項6-4」ともいう。)、からなるものである。

訂正事項6-1~6-4は、それぞれ、訂正事項2-1~2-4と実質的に同じ訂正であるから、上記(2)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項7、8について

ア 訂正の目的について

訂正事項7は、訂正前の請求項7がそれよりも前の請求項を引用する記載を含むものであるところ、訂正事項5で請求項5が削除されて請求項5を引用できなくなったことに伴い、その引用する請求項から請求項5を削除するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

また、訂正事項8は、訂正前の請求項8がそれよりも前の請求項を引用する記載を含むものであるところ、訂正事項5で請求項5が削除されて請求項5を引用できなくなったことに伴い、その引用する請求項から請求項5を削除するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

上記アのとおり、訂正事項7、8は、いずれもその引用する請求項から請求項5を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アのとおり、訂正事項7、8は、いずれもその引用する請求項から請求項5を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

(6)独立特許要件について

本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~8に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。

(7)本件訂正の適否についての小括

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1、2、4号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。

したがって、本件特許の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5~8〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおり、本件訂正請求は認められたので、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その特許の特許請求の範囲の請求項1~8に記載された以下のとおりのものである(請求項1~8に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明8」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。

「【請求項1】(削除)
【請求項2】
被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とを、接着テープで接着する接着方法であって、
前記接着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上100μm以下であり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)を有し、
続きを表示(全20行)
前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上であり、
前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる工程[1]、及び、少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有することを特徴とする接着方法。
【請求項3】
前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×l03~5.0×l07Paの範囲である請求項2に記載の接着方法。
【請求項4】
前記膨張性接着剤層(A)の厚さが1μm以上である請求項2又は3に記載の接着方法。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とが、接着テープで接着された物品の製造方法であって、
前記接着テープは、熱硬化性樹脂を含有する膨張性接着剤層(A)の片面に、直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上100μm以下であり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)を有し、
前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上であり、
前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる工程[1]、及び、少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープを構成する前記膨張した膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有することを特徴とする物品の製造方法。
【請求項7】
前記感圧接着剤層(B)のlHz,23℃での動的粘弾性スペクトルで測定されるせん断貯蔵弾性率G23が1.0×l03~5.0×l07Paの範囲である請求項6に記載の物品の製造方法。
【請求項8】
前記膨張性接着剤層(A)の厚さが1μm以上である請求項6又は7に記載の物品の製造方法。」

第4 特許異議の申立ての概要

申立人は、下記2の証拠方法(以下、甲第1号証を「甲1」などという。)により、下記1を申立ての理由とする特許異議の申立てをしている。

1 申立ての理由

本件発明1~8は、甲1に記載された発明に基づいて、又は甲1に記載された発明と甲2の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

よって、本件特許の請求項1~8に係る特許は、特許法第113条2号に該当する。

2 証拠方法

甲1:特開2011-225668号公報
甲2:特開2016-196568号公報
甲3:特開2018-24784号公報

第5 証拠の記載事項

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1 甲1の記載事項

甲1には、次の記載がある。

「【請求項7】
刺激の付与により膨張することにより部材間の隙間を埋める膨張性樹脂組成物からなる膨張層を有し、かつ部材と部材とを接着する膨張性接着テープ。
【請求項8】
前記膨張層が、膨張後の形状を固定しかつ部材と部材とを接着する請求項7に記載の膨張性接着テープ。
続きを表示(全16行)
【請求項9】
粘着力が、2~20N/25mmである請求項7または8に記載の膨張性接着テープ。
【請求項10】
前記膨張性樹脂組成物が、接着性樹脂100重量部と、刺激により気体を発生する膨張剤5~50重量部とを含有する膨張性接着剤からなる請求項7~9のいずれか1項に記載の膨張性接着テープ。
【請求項11】
前記膨張性接着剤の膨張前の架橋度が50%以下である、請求項10に記載の膨張性接着テープ。
【請求項12】
前記膨張層からなり、粘接着層を有しない、請求項7~11のいずれか1項に記載の膨張性接着テープ。
【請求項13】
前記膨張層の少なくとも片面に積層された粘接着層をさらに備える、請求項7~9のいずれか1項に記載の膨張性接着テープ。
【請求項14】
前記膨張層の少なくとも片面に積層された基材層をさらに備える、請求項7~13のいずれか1項に記載の膨張性接着テープ。」
「【0008】
本発明の目的は、接着対象となる部材の形状に応じて形状を正確に整える必要がなく、使用時には高精度の位置決めの必要がなく、接着性と膨張性を併せ持つ膨張性接着剤および膨張性接着テープを提供することである。」
「【発明の効果】
【0028】
本発明に係る膨張性接着剤及び膨張性接着テープは、膨張することにより部材間の隙間を埋め、部材と部材を接着する機能を有する。膨張により体積変化を引き起こすものであるため、適用される部材間の隙間の寸法に応じて、正確に膨張性接着剤及び膨張性接着テープの形状を整える必要がない。加えて、部材間に適用するに際し、膨張性接着剤及び膨張性接着テープを高精度に位置決めする必要もない。さらに、様々な部材間の隙間に応じて多種多様な形状及び寸法の膨張性接着剤や膨張性接着テープを用意する必要もない。
【0029】
よって、本発明の膨張性接着剤及び膨張性接着テープを用いることにより、例えば携帯用画像装置の画像表示パネルと保護用透明板との間の空隙などの様々な部材間の隙間に容易に適用することができ、刺激を付与して膨張させるだけで、部材間の隙間を確実にシールすることができる。」
「【0032】
本発明に係る膨張性接着剤及び膨張性接着テープは、刺激の付与により膨張し、部材間の隙間を埋め、かつ部材と部材とを接着する。本発明の膨張性接着テープは、刺激の付与により膨張する膨張層を有する。この膨張層は、本発明の膨張性接着剤により構成されてもよく、他の膨張性樹脂組成物により形成されてもよい。もっとも、好ましくは、膨張層は、本発明の膨張性接着剤からなる。以下においては、先ず、本発明の膨張性接着剤を説明し、次に本発明の膨張性接着テープの詳細を説明する。
【0033】
(膨張性接着剤)
本発明に係る膨張性接着剤は、刺激の付与により膨張することにより部材間の隙間を埋め、かつ部材と部材とを接着するものである。上記膨張性接着剤としては、刺激の付与により膨張し、かつ上記刺激と同種またと別種の刺激を加えることにより、接着性を発現する適宜の接着剤を用いることができる。好ましくは、刺激の付与により膨張し、膨張後の形状が固定化され、上記刺激と同種または別種の刺激を加えることにより接着性を発現する膨張性接着剤が望ましい。この場合には、膨張後の形状が固定化されるので、部材間の隙間をより確実にシールすることができる。
【0034】
上記膨張性接着剤は、接着性を発現する成分としての接着性樹脂と、膨張剤とを含む。また、好ましくは、膨張後の形状を固定化するために、接着性樹脂及び膨張剤に加えて、硬化剤を含むことが望ましい。
【0035】
1)接着性樹脂
上記接着性樹脂としては、公知の接着剤構成用樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリルニトリル系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。」
「【0108】
(膨張性接着テープ)
膨張性接着テープの詳細を説明する。
【0109】
続きを表示(全45行)
本発明に係る膨張性接着テープは、刺激の付与により膨張し、部材間の隙間を埋める膨張性樹脂組成物からなる膨張層を有し、かつ部材と部材とを接着するものである。好ましくは、刺激の付与により膨張し、該刺激と同種または異種の刺激により膨張後の形状を固定化し部材間の隙間を埋める膨張性樹脂組成物からなる膨張層を有する。ここで、上記膨張層を構成している膨張性樹脂組成物としては、前述した本発明の膨張性接着剤を好適に用いることができる。もっとも、膨張層は、本発明の膨張性接着剤からなるものに限定されるものではない。
【0110】
すなわち、上記本発明の膨張性接着剤以外の膨張性樹脂組成物を用いてもよい。このような本発明の膨張性接着剤以外の膨張性樹脂組成物としては、樹脂と、刺激の付与により気体を発生する膨張剤とを含む組成物が挙げられる。好ましくは、さらに、膨張性樹脂組成物は、上記刺激と同種または異種の刺激により膨張後の形状を固定化する硬化剤を含む。このような硬化剤としては、前述した様々なイオン重合触媒を好適に用いることができる。
【0111】
また、上記膨張性接着剤以外の膨張性樹脂組成物に用いられる樹脂としては、膨張性テープの形態を保持し得る適宜の樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、上述したウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂に限らず、オレフィン系樹脂などの様々な樹脂を用いることができる。
【0112】
また、複数種の樹脂をブレンドしてなる樹脂成分を用いてもよい。
【0113】
上記刺激の付与により気体を発生する膨張剤については、前述した膨張性接着剤の説明において例示した膨張剤を同様に用いることができる。
【0114】
本発明に係る膨張性接着テープは、上記膨張層の少なくとも片面に粘接着層がさらに積層されていてもよい。このような粘接着層としては、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤またはアクリル系粘接着剤などを挙げることができる。
【0115】
上記粘接着層が膨張層の少なくとも片面に設けられている場合、粘接着層により部材と部材とを接着する機能が得られる。従って、膨張層は、膨張性機能、好ましくは膨張性機能と膨張後の形状固定化機能を重視して構成することができる。よって、様々な材料から膨張層を膨張層に最適なように構成することができる。
【0116】
本発明に係る膨張性接着テープにおける粘着力は、2~20N/25mmの範囲にあることが好ましい。接着強度が好ましい範囲にある場合、部材と部材とをより一層確実に接着することができ、かつ部材間の隙間を確実にシールすることができる。また、本発明に係る膨張性接着テープにおいて、膨張層が膨張性接着剤からなる場合には、接着性樹脂100重量部に対して刺激により気体を発生する膨張剤を、5~50重量部含有する組成が前述した理由により好ましい。この場合、膨張性接着剤の膨張前の架橋度は、50%以下であることが好ましい。架橋度すなわち前述したゲル分率が50%以下の場合、膨張剤の分解による膨張が無理なく進行する。従って、膨張性をさらに高めることができる。
【0117】
本発明に係る膨張性接着テープでは、上記膨張層の少なくとも片面に基材層が積層されていてもよい。基材層を構成する材料については、ポリオレフィンやポリエステルなどの様々な形成に優れた樹脂材料を用いることができる。基材層が備えられている場合、使用前の保形性が高められるので、取り扱いを容易とすることができる。なお、基材層は、部材と部材の隙間に適用するに際し、除去されることが望ましい。もっとも、用途によっては、部材と部材との隙間を埋める際に、部材層が膨張層に積層されたまま該隙間に適用されてもよい。
【0118】
(接着方法)
次に、本発明に係る膨張性接着剤または膨張性接着テープを用いた部材の接着方法について説明する。
【0119】
まず、被接着部材の片面または両面に膨張性接着剤を塗布する。膨張性接着テープの場合も、被接着部材の片面または両面に膨張性接着テープを貼付する。
【0120】
次に、膨張性接着剤または膨張性接着テープに刺激を付与し、膨張、及び接着させる。好ましくは、刺激の付与により、膨張後の形状を固定化し、接着させる。
【0121】
刺激としては、前述したようにUVなどの光または熱が挙げられる。刺激の付与は、被接着部材と共に加熱を行う、被接着部材間の隙間にUVを照射及び/または加熱することにより行われ得る。被接着部材がUVを透過する場合は、被接着部材を通してUVを照射してもよい。
【0122】
次に、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態の膨張性接着剤及び膨張性接着テープの使用方法を具体的に説明する。
【0123】
図1(a)及び(b)は、携帯電話機のケースにディスプレイパネルを固定する用途に用いる例を説明するための各断面図である。携帯電話機のケース1に、ディスプレイパネル2が配置される。この状態において、ディスプレイパネル2の外側面2aとケース1の
内壁1aとの間に隙間Aが存在する。この隙間Aに、隙間Aの厚みよりも薄い本発明の一実施形態としての膨張性接着テープ3を配置する。膨張性接着テープ3の厚みが、上記隙間の厚みすなわちディスプレイパネル2の外側面2aと、ケース1の内壁1aとの間の距離よりも小さいため、膨張性接着テープ3を隙間Aに容易に配置することができる。従って、膨張性接着テープ3の適用に際し、高精度の位置決めを必要としない。
【0124】
次に、膨張性接着テープ3に光または熱などの刺激を付与する、その結果、膨張性接着テープ3が膨張する。従って、図1(b)に示すように、膨張後の膨張性接着テープ3Aは、隙間Aを埋め、さらにディスプレイパネル2の外側面2aと、ケース1の内壁1aとを接着する。よって、ディスプレイパネル2の外側面2aとケース1の内壁1aとの間を確実にシールすることができる。
【0125】
上記膨張性接着テープ及び膨張性接着剤は、膨張後に内部に気泡を有する。従って、弾力性に優れており、ディスプレイパネル2を外部からの衝撃から確実に保護することができる。
【0126】
この場合、好ましくは、膨張後の膨張性接着テープ3Aが、弾力性を有する場合、衝撃等に対し、ディスプレイパネル2をより一層確実に保護することができる。よって、好ましくは、膨張層が膨張後に弾力性を有することが望ましい。よって、膨張層を、本発明の膨張性接着剤で構成した場合には、硬化物の弾力性に優れている接着成分として、前述した(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が好適に用いられる。また、シリコーン系樹脂などの硬化物に弾力性に優れた他の接着成分を用いてもよい。
【0127】
なお、図1(a),(b)では、膨張性接着テープ3につき説明したが、膨張性接着テープ3に代えて、膨張性接着剤を用いてもよい。その場合には、膨張性接着剤が保形性を有しない場合には、ディスプレイパネル2の外側面2aに膨張性接着剤を塗布する方法、ケース1の内壁1aに膨張性接着剤を塗布する方法、あるいはこれらの双方に膨張性接着剤を塗布する方法などを用いることができる。
【0128】
図2は、本発明の他の実施形態としての膨張性接着テープの構造を示す断面図である。本実施形態の膨張性接着テープ11は、膨張層12を有する。膨張層12の両面に、粘着剤層13,14が積層されている。すなわち、粘着剤層13-膨張層12-粘着剤層14からなる3層構造の積層体である。このように、本発明の膨張性接着テープは、膨張層の両面に粘着剤層が積層された構造であってもよい。この場合、両側の粘着剤層13,14により、適用される部材に対しての粘接着力を発現することができる。また、粘着剤層13,14の外側には、離型フィルム15,16が積層されている。離型フィルム15,16は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの適宜の合成樹脂フィルムにより構成することができる。離型フィルム15,16は、使用に先立ち除去される。」
「【0130】
(実施例1)
下記のとおり、粘着剤層-膨張層-粘着剤層の三層構造の膨張性接着テープを作成し、評価した。
【0131】
続きを表示(全35行)
膨張層を形成するための材料としては、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸2-エチルヘキシル96.7重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.3重量部、重量平均分子量:60万)100重量部と、膨張剤としての2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)20重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)2重量部を、酢酸エチル280重量部とを混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意した。
【0132】
離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが50μmの膨張層を形成した。
【0133】
粘着剤層を形成するために、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸ブチル51.9重量部/アクリル酸2-エチルヘキシル30重量部/アクリル酸エチル15重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.1重量部、平均重量分子量:80万)100重量部と、粘着付与剤としての重合ロジンエステル樹脂(水酸基価:46、軟化点:152℃、荒川化学社製)15重量部、水添ロジンエステル樹脂(水酸基価:40、軟化点:125℃、荒川化学社製)10重量部、テルペンフェノール樹脂(軟化点:150℃、ヤスハラケミカル社製10重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)1重量部を、酢酸エチル315重量部に混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意した。離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記粘着剤層形成用アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが30μmの粘着剤層を形成した。
【0134】
上記のようにして形成した膨張層上に、粘着剤層を積層し、次に膨張層の背面に積層されている上記PETフィルムを剥離した後、膨張層の露出した面にさらに上記粘着剤層を積層した。このようにして、粘着剤層-膨張層-粘着剤層の三層構造を有する膨張性接着テープを作製した。
【0135】
この膨張性接着テープに、超高圧水銀灯を用い、照度が100mW/cm2となるようにして、照射時間を変更し、照射光量を、900、3000、または6000mJ/cm2となるように紫外線を照射した。各光量を照射した場合の膨張性接着テープの厚みを求めた。結果を図3に示す。
【0136】
図3から明らかなように、光量が増加するにつれて、テープの厚みが増大し、膨張性に優れていることがわかる。
【0137】
また、上記膨張性接着テープについて、以下の要領で1)粘着力評価、2)ゲル分率の測定、3)膨張層の25℃におけるtanδ、4)衝撃吸収性評価及び5)シール性評価を行った。
【0138】
1)粘着力評価
粘着力評価は、上記のようにして得られた膨張性接着テープを、40℃で1日間養生後に、被着体としてのSUS板に膨張性接着テープのSUS板とは反対側の面上で2kgのゴムローラーを一往復させることにより貼り合わせた。貼り合わせ後、23℃で20分後の180°ピール力を剥離速度は300mm/分の条件で測定した。この180°ピール力を、粘着力とした。
【0139】
2)ゲル分率の測定
ゲル分率は、上記のようにして得られた膨張層を、40℃で1日間養生後に、50mm×100mmの平面長方形状に切り出して試験片を作製する。この試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。次に、乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出する。
【0140】
ゲル分率(重量%)=100×W2/W1
(W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0141】
3)膨張層の25℃におけるtanδの測定
上記のようにして得られた膨張層を、40℃で1日間養生後に、粘弾性スペクトロメーター(アイティ計測制御社製、品番DVA-200)を用いて、周波数10Hzにて温度分散測定を行い、25℃でのTanδを測定した。
【0142】
4)衝撃吸収性評価
衝撃吸収性評価は、振り子型試験機を用いて衝撃力を測定した。振り子型試験機は、直径19mm、重量0.27Nの鋼球からなる衝撃子に長さ350mmの支持棒を設けてなるものを用いた。上記のように得られた膨張性接着テープを40℃で1日間養生後に、20mm×20mmの形状に切り出しし、アルミニウム板に貼り合わせた。貼り合わされた膨張性接着テープ上に鋼球を衝突させた際の衝撃力を力センサーで感知して、Multi-Purpose FTT Analayzer(小野測器社製)にて測定した。
【0143】
5)シール性評価
シール性評価は、SUS板からなる一対の部材間の隙間200μmに上記のようにして得られた膨張性接着テープの一方を貼り合わせ、超高圧水銀灯(照度100mW/cm2)を用いて、照射光量5000mJ/cm2紫外線を照射した。照射してから1時間後に、上記一対の部材間の隙間のシール具合を目視観察した。」
「【0155】
【表1】
[図:0001411253000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001411253000002.jpg]
」

2 甲2の記載事項

甲2には、次の記載がある。

「【請求項1】
ゴム系ブロック共重合体(a1)と熱膨張性微小球(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、23℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が10N/20mm以上であり、かつ、120°におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が2N/20mm以下であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着剤層(A)に含まれる粘着成分の1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23が1.0×103~5.0×107Paの範囲であり、1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120が1.0×102~5.0×106Paの範囲である請求項1に記載の粘着テープ。」
「【0023】
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層(A)は、いわゆる感圧接着性等の粘着性能に寄与するゴム系ブロック共重合体(a)や必要に応じて使用可能な粘着付与樹脂等の粘着成分、及び、前記粘着成分以外の熱膨張性微小球(a2)等の添加剤を含有するものを使用することができる。」
「【0126】
【表2】
[図:0001411253000003.jpg]
」

第6 当審合議体の判断

1 令和5年3月30日付けで通知した取消理由について

当審が令和5年3月30日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

(進歩性)本件発明1~8は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

2 甲1に記載された発明について

甲1の実施例1(【0130】~【0136】、【0138】及び【0155】の【表1】)の熱膨張性テープに着目し、その使用方法(【0122】~【0124】)からすると、甲1には次の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されていると認められる。

<甲1発明A>

「膨張層を形成するための材料としては、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸2-エチルヘキシル96.7重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.3重量部、重量平均分子量:60万)100重量部と、膨張剤としての2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)20重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)2重量部を、酢酸エチル280重量部とを混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意し、離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが50μmの膨張層を形成し、
粘着剤層を形成するために、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸ブチル51.9重量部/アクリル酸2-エチルヘキシル30重量部/アクリル酸エチル15重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.1重量部、平均重量分子量:80万)100重量部と、粘着付与剤としての重合ロジンエステル樹脂(水酸基価:46、軟化点:152℃、荒川化学社製)15重量部、水添ロジンエステル樹脂(水酸基価:40、軟化点:125℃、荒川化学社製)10重量部、テルペンフェノール樹脂(軟化点:150℃、ヤスハラケミカル社製10重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)1重量部を、酢酸エチル315重量部に混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意し、離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記粘着剤層形成用アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが30μmの粘着剤層を形成し、
上記のようにして形成した膨張層上に、粘着剤層を積層し、次に膨張層の背面に積層されている上記PETフィルムを剥離した後、膨張層の露出した面にさらに上記粘着剤層を積層し、粘着剤層-膨張層-粘着剤層の三層構造を有する膨張性接着テープを作製し、
この膨張性接着テープは紫外線を照射して膨張させるものであり、
上記のようにして得られた膨張性接着テープを、40℃で1日間養生後に、被着体としてのSUS板に膨張性接着テープのSUS板とは反対側の面上で2kgのゴムローラーを一往復させることにより貼り合わせた後、23℃で20分後の180°ピール力を剥離速度は300mm/分の条件で測定した180°ピール力を、粘着力とした粘着力評価が15N/25mmであり、
携帯電話機のケース1に、ディスプレイパネル2が配置される状態において、ディスプレイパネル2の外側面2aとケース1の内壁1aとの間に存在する隙間Aに、隙間Aの厚みよりも薄い膨張性接着テープ3を配置し、
次に、膨張性接着テープ3に紫外線の刺激を付与した結果、膨張性接着テープ3が膨張して隙間Aを埋め、さらにディスプレイパネル2の外側面2aと、ケース1の内壁1aとを接着する方法。」

また、甲1発明Aにおいて、「携帯電話機」に着目すれば、甲1には次の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されていると認められる。

<甲1発明B>

「膨張層を形成するための材料としては、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸2-エチルヘキシル96.7重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.3重量部、重量平均分子量:60万)100重量部と、膨張剤としての2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)20重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)2重量部を、酢酸エチル280重量部とを混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意し、離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが50μmの膨張層を形成し、
粘着剤層を形成するために、アクリル系ポリマー(共重合比率:アクリル酸ブチル51.9重量部/アクリル酸2-エチルヘキシル30重量部/アクリル酸エチル15重量部/アクリル酸3重量部/アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.1重量部、平均重量分子量:80万)100重量部と、粘着付与剤としての重合ロジンエステル樹脂(水酸基価:46、軟化点:152℃、荒川化学社製)15重量部、水添ロジンエステル樹脂(水酸基価:40、軟化点:125℃、荒川化学社製)10重量部、テルペンフェノール樹脂(軟化点:150℃、ヤスハラケミカル社製10重量部と、架橋剤としてのイソシアネート系架橋剤(コロネートL45、日本ポリウレタン社製)1重量部を、酢酸エチル315重量部に混合溶解してなるアクリル系ポリマー溶液を用意し、離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)上に、上記粘着剤層形成用アクリル系ポリマー溶液を塗布し、110℃で5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが30μmの粘着剤層を形成し、
上記のようにして形成した膨張層上に、粘着剤層を積層し、次に膨張層の背面に積層されている上記PETフィルムを剥離した後、膨張層の露出した面にさらに上記粘着剤層を積層し、粘着剤層-膨張層-粘着剤層の三層構造を有する膨張性接着テープを作製し、
この膨張性接着テープは紫外線を照射して膨張させるものであり、
上記のようにして得られた膨張性接着テープを、40℃で1日間養生後に、被着体としてのSUS板に膨張性接着テープのSUS板とは反対側の面上で2kgのゴムローラーを一往復させることにより貼り合わせた後、23℃で20分後の180°ピール力を剥離速度は300mm/分の条件で測定した180°ピール力を、粘着力とした粘着力評価が15N/25mmであり、
携帯電話機のケース1に、ディスプレイパネル2が配置される状態において、ディスプレイパネル2の外側面2aとケース1の内壁1aとの間に存在する隙間Aに、隙間Aの厚みよりも薄い膨張性接着テープ3を配置し、
次に、膨張性接着テープ3に紫外線の刺激を付与した結果、膨張性接着テープ3が膨張して隙間Aを埋め、さらにディスプレイパネル2の外側面2aと、ケース1の内壁1aとを接着する携帯電話機の製造方法。」

3 本件発明2について

(1)対比

ア 本件発明2と甲1発明Aとを対比する。

イ 甲1発明Aの「膨張層」は、甲1の【0032】~【0034】に記載のように、接着性樹脂を含む膨張性接着剤により構成されるものであるから、本件発明1の「膨張性接着剤層(A)」に相当する。

ウ 甲1発明Aの「粘着剤層」は、甲1の【0138】に記載のように、粘着力評価のために「2Kgのゴムローラーを一往復させることにより貼り合わせた」ものであるし、本件明細書の【0041】において例示されるアクリル系樹脂であることから、本件発明1の「感圧接着剤層(B)」に相当する。

エ 甲1発明Aの「膨張性接着テープ」は、「粘着剤層-膨張層-粘着剤層の三層構造を有する」ものであるから、本件発明1の「膨張性接着剤層(A)」に、「直接又は他の層を介して」、「感圧接着剤層(B)を有」する「接着テープ」に相当する。

オ 甲1発明Aの「粘着剤層」の厚みは「30μm」であるから、本件発明1の「厚さが1μm以上100μmであ」る「感圧接着剤層(B)」を充足する。

カ 甲1A発明の粘着力は、「40℃で1日間養生後に、被着体としてのSUS板に膨張性接着テープのSUS板とは反対側の面上で2kgのゴムローラーを一往復させることにより貼り合わせた後、23℃で20分後の180°ピール力を剥離速度は300mm/分の条件で測定した180°ピール力」として「15N/25mm」であるところ、当該測定の方法は、本件明細書の【0080】~【0081】に記載された測定方法と同様であり、テープ幅25mmの方がテープ幅20mmよりも粘着力は大きな値になるとしても、甲1A発明における「15N/25mm」の粘着力は、本件発明1における「常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上」を充足すると推認できる。

キ 甲1発明Aの「携帯電話機のケース1」の「内壁1a」及び「ディスプレイパネル2」は、それぞれ本件発明1の「被着体(C1)を構成する部位(c1-1)」及び「他の被着体(C2)」に相当するから、甲1発明Aの「携帯電話機のケース1に、ディスプレイパネル2が配置される状態において、ディスプレイパネル2の外側面2aとケース1の内壁1aとの間に存在する隙間Aに、隙間Aの厚みよりも薄い膨張性接着テープ3を配置し、

次に、膨張性接着テープ3に光または熱などの刺激を付与した結果、膨張性接着テープ3が膨張して隙間Aを埋め、さらにディスプレイパネル2の外側面2aと、ケース1の内壁1aとを接着する方法」は、本件発明1の「被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とを、接着テープで接着する接着方法」及び「少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープ」「と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有する」「接着方法」に相当する。

ク してみると、本件発明1と甲1発明Aとは、以下の一致点及び相違点を有している。

<一致点>

被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とを、接着テープで接着する接着方法であって、

前記接着テープは、膨張性接着剤層(A)に、直接又は他の層を介して、厚さが1μm以上100μmであり、常温(23℃)における180度引き剥がし接着力が1N/20mm以上である感圧接着剤層(B)を有し、

少なくとも前記膨張性接着剤層(A)を刺激し膨張させることによって、前記接着テープと、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる工程[2]を有する接着方法。」

<相違点1>

膨張性接着剤層(A)について、本件発明2は、加熱により膨張する「熱硬化性樹脂を含有する」ものであるのに対し、甲1発明Aは、紫外線により膨張する「アクリル系ポリマー」を含有するものである点。

<相違点2>

膨張性接着剤層(A)について、本件発明2は、その片面のみに感圧接着剤層(B)を有しており、片面は感圧接着剤層(B)により、また、片面の反対の面(以下「他面」という。)は膨張性接着剤を刺激し膨張させることにより「膨張性接着剤層(A)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる」ものであるのに対し、甲1発明Aは、両面に感圧接着剤層(B)を有する三層構造であって、両面とも感圧接着剤層(B)により「前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または前記他の被着体(C2)とを接着させる」ものである点。

<相違点3>

本件発明2は、「前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる工程[1]」を有するのに対し、甲1発明Aは、その特定がされていない点。

<相違点4>

本件発明2は、「前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の膨張性接着剤層(A1)の厚さ/加熱前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上である」のに対し、甲1発明Aは、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての判断

ア 事案に鑑み、相違点1及び2をまとめて検討する。

イ まず、相違点1における甲1発明における「アクリル系ポリマー」すなわち熱可塑性樹脂とは異なり、本件発明2の「熱硬化性樹脂」は、本件特許明細書の段落【0020】に記載されているように「前記熱硬化性材料の硬化温度は後述する膨張剤の膨張温度以上であることが好ましい。」と記載されているように、材料選択の条件が厳しくなることから、熱硬化性樹脂を選択すること自体が容易とはいえない。

ウ さらに、相違点2に係る本件発明2の構成によって、加熱により硬化した熱硬化樹脂を含む加熱後の膨張性接着剤層が対象物と直接接着することになるが、このようなことは、甲1~3に記載も示唆もされていない。なお、甲1の実施例5においては、膨張性接着剤層が対象物と直接接着しているが、加熱により硬化した熱硬化樹脂を含む加熱後の膨張性接着剤層ではない。

エ 上記イ~ウのとおりであるから、相違点3、4について検討するまでもなく、当業者であれば、甲1発明Aにおいて、相違点1~4に係る構成を全て備えるものとすることを容易になし得たとは認められない。

(3)効果について

本件発明2は、相違点1~4に係る構成も備えていることによって、「膨張する前であっても、常温(23℃)における部材への初期接着力(仮固定性)を示すため、隙間に挿入した後、直ちに接着テープを部材へ貼付できるため、接着位置ズレが生じにくくなる。また、膨張した後であっても優れた接着強度を維持できることから、2以上の被着体の固定に使用できることはもとより、一方の被着体が有する空隙内に他方の被着体を固定する用途、被着体が有する空隙内を前記接着テープで充填する用途等で好適に使用することができる。」(本件特許明細書の段落【0007】)という効果を奏するものである。

(4)申立人の主張について

ア 申立人は、令和5年8月8日提出の意見書において、甲1の段落【0119】、【0120】には、膨張性接着テープによる接着方法について、被接着部材の片面または両面に膨張性接着テープを貼付し、次に、膨張性接着テープに刺激を付与し、膨張、及び、接着させることが記載されており、また、甲1の段落【0115】には、粘接着層が膨張層の少なくとも片面に設けられている場合、粘接着層により部材と部材とを接着する機能が得られると記載されているから、甲1発明Aの膨張性接着テープを粘着剤層-膨張層の二層構造に変更した場合においても、「前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる」という構成は、十分に想起されるものである(上記意見書の8頁10~9頁9行)と主張している。

イ この主張は、相違点2に係る変更をした場合には、「前記接着テープを構成する前記感圧接着剤層(B)と、被着体(C1)を構成する部位(c1-1)とを予め接着させる」という構成(以下、「相違点3に係る変更」ともいう。)は容易に想到し得るというものであると解されるが、上記(2)のとおり、仮に相違点2に係る変更が容易になし得るものだとしても、相違点1、2に係る変更を同時に行うことについては当業者といえども容易にはなし得ないと認められるのであるから、この主張は、上記(2)の判断を左右する内容を含んでいない。

(5)小括

したがって、本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められない。

4 本件発明3、4について

本件発明3、4は、本件発明2を直接又は間接的に引用しさらに限定した発明に該当する。

また、上記3(5)のとおり、本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明3、4も本件発明2と同様の理由により甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

5 本件発明6について

本件発明6は、本件発明2の「被着一体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とを、接着テープで接着する接着方法」を「被着体(C1)を構成する部位(c1-1)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1-2)または他の被着体(C2)とが、接着テープで接着された物品の製造方法」の形式で記載した発明に該当する。

そうすると、本件発明6と甲1発明Bの一致点、相違点は、実質的に本件発明2と甲1発明Aの一致点相違点と一致する。

また、上記3(5)のとおり、本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明3、4も本件発明2と同様の理由により甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

6 本件発明7、8について

本件発明7、8は、本件発明6を直接又は間接的に引用しさらに限定した発明に該当する。

また、上記5のとおり、本件発明6は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明7、8も本件発明6と同様の理由により甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないものである。

第7 取消理由通知で採用しなかった特許異議の申立理由について

特許異議の申立理由の概要は、上記第4のとおりであり、取消理由通知で通知した取消理由は、上記第6の1のとおりであるから、取消理由通知で採用しなかった特許異議の申立理由はない。

第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2~4、6~8に係る特許を取り消すことはできない。

さらに、本件請求項1、5に係る特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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2022-701170

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