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特許異議申立

2022-701157

折返し光共振器

審判番号
2022-701157
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-235277
登録番号
7076914
請求日
2022年11月22日
審決日
2023年07月06日
公報発行日
2023年10月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】住友重機械工業株式会社
  • 【権利者代理人】来山 幹雄
  • 【異議申立人】佐々木 敬
審判長/審判官
  • 審判長 山村 浩
  • 審判官 金高 敏康
  • 審判官 松川 直樹
分類
P1651.536-YAA(H01S) / P1651.537-YAA(H01S) / P1651.121-YAA(H01S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7076914号発明「折返し光共振器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7076914号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7076914号の請求項1、2及び4に係る特許を維持する。 特許第7076914号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7076914号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る出願は、平成30年12月17日に出願され、令和4年5月20日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月30日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年11月22日 :特許異議申立人佐々木 敬(以下「申立 人」という。)による請求項1~4に係 る特許に対する特許異議の申立て 令和5年 1月31日付け:取消理由通知書 令和5年 4月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 令和5年 5月16日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年4月3日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、次のとおりである(下線部が訂正箇所である)。 なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~4〕について請求されている。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「を有する折返し光共振器。」とあるのを、「を有し、前記フロントミラーと前記折返しミラーとの間にビームウエストが形成され、前記リアミラーの2枚の反射面のなす角度が90°より大きい折返し光共振器。」に訂正する。 (特許請求の範囲の請求項1の記載を直接的にまたは間接的に引用する請求項2及び4においても同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「請求項3に記載」とあるのを、「請求項1または2に記載」と訂正する。 2 訂正要件の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に対して、次の内容からなるものである。 (ア)本件訂正前の請求項1における「折返し光共振器」について、「前記フロントミラーと前記折返しミラーとの間にビームウエストが形成され」るものに限定すること。(訂正事項1-1) (イ)本件訂正前の請求項1における「リアミラー」について、「2枚の反射面のなす角度が90°より大きい」ものに限定すること。(訂正事項1-2) (ウ)上記(ア)及び(イ)から、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 訂正事項1-1について、本件特許の願書に添付した特許登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の段落【0022】には「フロントミラー25Fと折返しミラー25Mとの間にビームウエスト30が形成される」ことが記載されている。 訂正事項1-2について、訂正前の請求項1に追加される事項は、訂正前の請求項1を引用する請求項3に記載された事項である。 よって、訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の存否 上記ア及びイにも照らせば、訂正事項1は、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除するものである。 そうすると、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らせば、訂正事項2は、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項3の記載を引用する記載であったものを、訂正事項1-2により当該請求項3の特定事項が引用先の独立項に係る訂正後の請求項1に記載されたとともに、訂正事項2により当該請求項3の記載が削除されたことに伴って、このような引用ができなくなったことをも踏まえて、当該請求項3の記載を引用せずに、当該請求項3が引用していた訂正前の請求項1または2(当該請求項2は従属項である。)を引用するようにした訂正である。 そうすると、訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 上記アによれば、訂正事項3は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らせば、訂正事項3は、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。 3 訂正の適否についての判断の小括 以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たす。なお、訂正後の請求項1~4は、特許異議の申立てがなされた請求項であるから、当該各請求項についての訂正には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正後の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明4」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、次のとおりのものである。 【本件訂正発明1】 凹面鏡で構成されたフロントミラーと、 相互に交差する位置関係にある平面状の2つの反射領域を持つリアミラーと、 前記フロントミラーと前記リアミラーとの間の光軸上に配置され、凹面鏡で構成された折返しミラーと を有し、 前記フロントミラーと前記折返しミラーとの間にビームウエストが形成され、 前記リアミラーの2枚の反射面のなす角度が90°より大きい折返し光共振器。 【本件訂正発明2】 前記フロントミラーと前記リアミラーとの間に閉じ込められた光の、前記折返しミラーへの入射角が45°より小さい請求項1に記載の折返し光共振器。 【本件訂正発明3】 (削除) 【本件訂正発明4】 さらに、前記リアミラーの前記2つの反射領域のなす角度を微調整する微調整機構を有し、 前記微調整機構は、 作用点の変位量が力点の変位量より小さく、作用点の変位によって前記リアミラーの前記2つ反射領域のなす角度が変化するように構成された梃子と、 前記梃子の力点に力を加えて作用点を変位させた状態で前記2つの反射領域のなす角度を固定する固定具と を含む請求項1または2に記載の折返し光共振器。 第4 取消理由の概要及び申立人が提出した証拠 1 取消理由の概要 取消理由通知書により特許権者に通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。 (1)(サポート要件違反)本件特許の登録時の請求項1~4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、当該各請求項に記載された発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2)(実施可能要件違反)本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許の登録時の請求項1~4に記載された発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、当該各請求項に記載された発明についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3)(進歩性欠如)本件特許の登録時の請求項1及び2に係る発明は、出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1号証及び甲第3~6号証から認定される周知技術に基づいて、又は、甲第2号証に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)なお、取消理由で採用しなかった特許異議申立理由はない。 2 申立人が提出した証拠 申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。以下、「甲第1号証」~「甲第6号証」を「甲1」~「甲6」という。 甲1:特開2011-66300号公報 甲2:特開昭63-237588号公報 甲3:特許第55220198号公報 甲4:特開平4-44372号公報 甲5:特開平4-44373号公報 甲6:国際公開第2018/110176号 第5 当審の判断 1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について (1)取消理由通知書は、登録時の請求項1~4に記載された発明は、当業者にとって、折返しミラーやリアミラーの位置におけるビーム径が小さくなるため、それらのミラーでの損傷が生じやすくなる課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえないことから、登録時の請求項1~4に記載された発明がサポート要件を満たしていない旨説示した。 そこで検討すると、本件訂正後の本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件訂正明細書等」という。)には、凹面鏡で構成された折返しミラー25Mがレーザビームの光軸に対して斜めに配置されていることに起因して、ビームウエストの近傍におけるビーム断面が楕円になるという課題(【0030】)が記載されており、この課題を「リアミラーの2枚の反射面のなす角度が90°より大きい」という構成(【0037】)により解決できることが記載されている。そして、本件訂正発明には、本件訂正により、当該構成が記載されることとなった。 よって、本件訂正発明は、本件訂正明細書等の発明の詳細な説明に記載したものである。 (2)これに対し、申立人は、本件訂正発明の課題が、「折返しミラーやリアミラーの位置におけるビーム断面が大きく」すること(【0007】)であるとした上で、本件訂正発明には、当該課題に対する解決手段として「凹面鏡で構成された折返しミラー」及び「フロントミラーと折返しミラーとの間にビームウエストが形成」されることが特定されているが、前記解決手段だけでは上記課題を解決できることを当業者が認識できるとはいえずサポート要件違反である旨、主張している。 しかし、上記(1)で説示したとおり、本件訂正発明の解決しようとする課題は「ビームウエストの近傍におけるビーム断面を真円に近づけること」であるともいえるから、これをもって、本件訂正発明に係る記載は、サポート要件を満たしているといえる。 よって、申立人による主張は採用できない。 (3)したがって、本件訂正発明に係る記載はサポート要件を満たしており、上記取消理由は解消した。 2 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について 取消理由通知書は、登録時の請求項1~4に記載された発明がサポート要件を満たしていないことに起因して、本件特許明細書等の記載は、そのようなサポートされていない発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない旨説示した。 上記1で説示したとおり、本件訂正発明に係る記載は、サポート要件を満たしていることから、本件訂正明細書等の発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を満たすといえるのであり、よって、この取消理由は解消した。 3 特許法第29条第2項(進歩性欠如)について 取消理由通知書は、登録時の請求項1及び2に係る発明が進歩性欠如である旨説示する一方で、同じく請求項3及び4に係る発明をその理由の対象外としたところ、本件訂正により、本件訂正発明1は、登録時の請求項3に係る発明の特定事項である「リアミラーの2枚の反射面のなす角度が90°より大きい」との特定事項を備えるものとなった。 そして、甲1~甲6には、上記特定事項に関する記載や示唆を見いだせないことから、本件訂正発明は、甲1~甲6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、この取消理由は解消した。 第6 むすび 以上によれば、本件訂正発明1、2及び4に係る特許は、取消理由通知書に係る取消理由(特許異議申立理由)によって取り消すことはできない。そして、他に当該各発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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