特許異議申立
2022-701156
地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法
- 審判番号
- 2022-701156
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-162959
- 登録番号
- 7073567
- 請求日
- 2022年11月22日
- 審決日
- 2024年05月21日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】第一工業製薬株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人蔦田特許事務所
- 【異議申立人】大橋 宏基
- 【異議申立人】高橋 良和
- 審判長/審判官
- 審判長 関根 裕
- 審判官 瀬下 浩一
- 審判官 菊地 則義
- 分類
- P1651.113-YAA(C09K) / P1651.121-YAA(C09K) / P1651.537-YAA(C09K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7073567号発明「地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7073567号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第7073567号の請求項2、8に係る特許を維持する。
特許第7073567の請求項1、3~7についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許に係る出願は、令和3年10月1日の出願であって、令和4年5月13日に特許権の設定登録がされ、同年同月23日に特許掲載公報が発行され、その後、同年11月22日に異議申立人 大橋 宏基及び高橋 良和(以下「異議申立人ら」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、当審は、令和5年3月2日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年4月21日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、特許権者から訂正請求があったことを、同年5月9日付けで異議申立人らに通知し、異議申立人らは、同年6月13日に意見書を提出し、当審は、同年8月31日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、同年10月17日に特許権者との面接を行い、特許権者は、取消理由通知(決定の予告)の指定期間内である同年10月23日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったこと及び意見書が提出されたことを、同年11月8日付けで異議申立人らに通知し、異議申立人らは、同年12月13日に意見書を提出し、当審は、令和6年1月24日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年3月25日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その内容を「本件訂正」という。)を行ったものである。
なお、本件訂正は、請求項2及び請求項2を引用する請求項8については令和5年10月23日の訂正請求と同じ訂正を行い、請求項1及び3~7を削除し、請求項8が引用する請求項から請求項1及び3~7を削除するものであり、実質的に、令和5年10月23日の訂正請求により訂正された特許請求の範囲において、特許異議申立人らが令和5年12月13日の意見書において依然として取消理由が解消されていないとする請求項1及び3~7を削除したものといえることから、特許法第120条の5第5項に定める「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別な事項があるとき」に該当し、特許異議申立人らに対し、当該訂正についての意見を求めなかった。
また、本件訂正請求がされたことにより、令和5年4月21日及び令和5年10月23日にされた訂正の請求は取り下げられたものとみなされる。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項1~8からなる。訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含む、請求項1に記載の地山固結剤。」と記載されているのを、「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、イソシアネートを含む(B)成分と、を備え、前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み、前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含み、前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み、前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または前記他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含み、前記水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%である、地山固結剤。」に訂正する。(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1項に記載の地山固結剤を」と記載されているのを、「請求項2に記載の地山固結剤を」に訂正する。
2 訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明
(1)訂正事項1、3~7
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであり、訂正事項3は、請求項3を削除するというものであり、訂正事項4は、請求項4を削除するというものであり、訂正事項5は、請求項5を削除するというものであり、訂正事項6は、請求項6を削除するというものであり、訂正事項7は、請求項7を削除するというものであるから、当該訂正事項1~7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであり、訂正事項3は、請求項3を削除するというものであり、訂正事項4は、請求項4を削除するというものであり、訂正事項5は、請求項5を削除するというものであり、訂正事項6は、請求項6を削除するというものであり、訂正事項7は、請求項7を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであり、訂正事項3は、請求項3を削除するというものであり、訂正事項4は、請求項4を削除するというものであり、訂正事項5は、請求項5を削除するというものであり、訂正事項6は、請求項6を削除するというものであり、訂正事項7は、請求項7を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものであるといえる。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~8について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1、訂正前の請求項3に係る訂正事項3、訂正前の請求項4に係る訂正事項4、訂正前の請求項5に係る訂正事項5、訂正前の請求項6に係る訂正事項6及び訂正前の請求項7に係る訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、第1に、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。そのため、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項2は、第2に、次の点を目的とする。
(i) 訂正事項2のうち「前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み」との訂正は、訂正前の請求項2に係る発明における(A)成分に含まれる構成成分を追加することにより、特許請求の範囲の減縮しようとするものである。
(ii) 訂正事項2のうち「前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み」との訂正は、上記(i)により限定した他のポリオールをより具体的に特定し、更に限定するものである。
(iii) 訂正事項2のうち「前記水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%である」との訂正は、訂正前の請求項2における水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量を具体的に特定するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮も目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記アの理由から明らかなように、訂正事項2の(i)は「(A)成分」を概念的により下位の「他のポリオールをさらに含」む(A)成分にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。また、訂正事項2の(ii)は「他のポリオール」を概念的により下位の「脂肪族ポリオールを含む」ものにするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。また、訂正事項2の(iii)は「水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量」を具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、これらの訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項2の(i)及び(ii)は、本件特許明細書の段落【0019】における「(他のポリオール)(A)成分には、活性水素化合物として、芳香族ポリオール(a1)以外のポリオールが含まれてもよい。このような他のポリオールとして、本実施形態では、薬液の粘度を低減できることから、脂肪族ポリオール(a2)を用いることが好ましい。」との記載に基づくものである。
訂正事項2の(iii)は、本件特許明細書の段落【0032】における「水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールの量は、特に限定しないが、(A)成分全量に対して、1~30質量%でもよく、3~25質量%でもよく、5~20質量%でもよい。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものであるといえる。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~8について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項2及び8に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1及び3~7で請求項1及び3~7が削除されてこれらの請求項を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。また、訂正事項8は、引用する請求項の数を減少させるものなので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、引用する請求項の数を減少するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項8は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項8は、引用する請求項の数を減少するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の請求項1~8について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項8に係る訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)一群の請求項について
訂正前の請求項1~8について、請求項2~8はいずれも請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。よって、本件訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項1~8についてされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~8に係る発明は、令和6年3月25日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明8」、まとめて「本件特許発明」ともいう。)である。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、
イソシアネートを含む(B)成分と、
を備え、
前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み、
前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含み、
前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み、
前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または前記他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含み、前記水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%である、地山固結剤。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、
前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、
前記ボルトの開口部より、請求項2に記載の地山固結剤を、岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程
を含む、地山の固結方法。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 令和5年3月2日付けで通知した取消理由及び同年8月31日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次の理由1及び理由2である。
理由1(進歩性)本件特許の請求項1~8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(下記の甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証~甲第3号証に記載された事項)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:特開2004-346297号公報
甲第2号証:特開2011-21053号公報
甲第3号証:特開2007-238667号公報
甲第4号証:特開2019-172777号公報
理由2(サポート要件)本件特許の請求項1~8に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
記
本件特許発明1が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することにあると認められる。
ここで、本件特許発明1は(A)成分として「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の3成分のみを含むものを包含する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の表1には、(A)成分として、脂肪族ポリオール(a2-1)及び/又は脂肪族ポリオール(a2-2)と、脂肪族ポリオール(a2-3)、脂肪族ポリオール(a2-4)、又は脂肪族ポリオール(a2-5)の何れかと、を必須の成分として含む実施例のみが記載され、その記載から、(A)成分として「脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の4成分を含むものが前記課題を解決できることは理解できるが、(A)成分として「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の3成分のみを含むものが前記課題を解決できることは記載されていない。
そして、本件特許明細書の他の記載をみても、(A)成分として「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の3成分のみを含むものが前記課題を解決できることのメカニズムは記載されておらず、(A)成分として「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の3成分のみを含むものが前記課題を解決できるという出願時の技術常識もない。
したがって、(A)成分が4成分を含む前記実施例に記載された内容を、(A)成分が3成分のみを含む態様が包含される本件特許発明1の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(A)成分が4成分を含むことを特定していない本件特許発明2~8についても同様である。
2 令和6年1月24日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次の理由1である。
理由1(進歩性)本件特許の請求項1、3~8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(下記の甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された事項)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:特開2004-346297号公報
甲第4号証:特開2019-172777号公報
第5 前記第4における理由1(進歩性)について
1 甲号証及び参考文献について
甲第1号証~甲第4号証は前記第4(1)理由1のとおり。
参考文献1:「製品安全データシート(MSDS),製品名;TEDA-L33,作成日;2007年10月14日
参考文献2:特開2016-41822号公報
参考文献3:「EXCENOL,旭硝子(AGC)社による商品名;エクセノールの製品カタログ,2014年11月1日,URL;https://www.age-chemicals.com/file.jsp?id=jp/ja/products/pdf/EXCENOL_POLYOLS_Ol.pdf
2 甲号証及び参考文献の記載について
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)
1a「【請求項1】
活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に不飽和二重結合と活性水素含有基を有する化合物(a)、ポリオール(b)、ならびに1級および/または2級アミン(c)を含有し、(A)中の(c)の量が0.1~5質量%であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」
1b「【0006】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、成形性が良好なポリウレタンフォームが得られる。また、セル状態が良好であり、寸法安定性に優れ、機械的強度が高いフォームが得られる。さらに、本発明に用いる活性水素成分を使用すると、従来の活性水素成分よりも低粘度であることから、フォーム成形時の作業性に優れる。」
1c「【0042】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において比とあるのは質量比を示す。
【0043】
実施例及び比較例に使用した原料の組成、記号等は次のとおりである。
(1)活性水素成分(b1)
b11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール
b12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール
b13:トリエタノールアミンにPOを付加させた水酸基価360のポリオール
(2)活性水素成分(b2)
b21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール
b22:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約7モルをブロック付加させた水酸基価400のポリオール。
(3)活性水素成分(b3)
b31:グリセリンにPOを付加させた水酸基価400のポリオール
b32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール
b33:ショ糖にPOを付加させた水酸基価420のポリオール
b34:ビスフェノールAにPOを付加させた水酸基価280のポリオール
(4)活性水素成分(b4)
b41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)。
(5)活性水素成分(c)
c1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)
c2:3,5-ジエチル-2,4-および3,5-ジエチル-2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)
c3:4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)
【0044】
(6)有機ポリイソシアネート(B)
MDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕
(7)触媒
f1:「U-cat〔登録商標〕430A」アミン触媒〔サンアプロ(株)製〕
f2:ジアミノビシクロオクタン〔「Dabco33LV」三共エアプロダクト(株)製〕
f3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕
f4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕
(8)整泡剤
g1:「F-388」ポリエーテルシロキサン重合体〔信越シリコーン(株)製〕
g2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
(9)難燃剤
h:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)
(10)ラジカル重合開始剤
i:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)
(11)発泡剤
j1:HCFC-141b
j2:HFC-245fa
j3:HFC-365mfc
j4:シクロペンタン
【0045】
製造例1(ポリオールのジアリル化物の製造例)
ペンタエリスリトール1モルにPOを2モル付加した化合物252部(1モル)に、NaOH80部(2モル)を触媒として、アリルクロライド153部(2モル)を反応させ、ペンタエリスリトールのジアリル化合物(a11)を得た。
【0046】
製造例2(アリルアルコールのPO付加物の製造例)
アリルアルコール58部(1モル)に水酸化カリウム0.56部(0.001モル)を触媒として、PO116部(2モル)を反応させ、リン酸にて中和し、アリルアルコールのPO付加物(a12)を得た。
【0047】
製造例3(ポリオールのモノアクリレートの製造例)
アクリル酸72部(1モル)に硫酸0.3部(0.003モル)を触媒として、ジエチレングリコール106部(1モル)を反応させ、水酸化カリウム0.34部(0.006モル)にて中和し、安定剤としてヒドロキノン0.16部(0.1%)を加えて、ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)を得た。
【0048】
製造例4(ポリオールのトリアクリレートの製造例)
アクリル酸216部(3モル)に硫酸0.9部(0.009モル)を触媒として、ペンタエリスリトール1モルにPOを4モルを付加させたポリオール(水酸基価610)368部(1モル)を反応させ、水酸化カリウム1.01部(0.018モル)にて中和し、安定剤としてヒドロキノン0.53部(0.1%)を加えて、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)を得た。
【0049】
製造例5(ポリオールのジアクリレートの製造例)
アクリル酸288部(2モル)に硫酸1.2部(0.012モル)を触媒として、ソルビトール180部(1モル)を反応させ、水酸化カリウム1.35部(0.024モル)にて中和し、安定剤としてヒドロキノン0.60部(0.1%)を加えて、ソルビトールジアクリレート(a15)を得た。
【0050】
輸送機用パネル状断熱材用フォームの製造<実施例1~12及び比較例1~12>
製造例1~5で得られた化合物(a11~a15)および上記の原料を使用し、表1および2に記載の原料配合比で、以下に示す発泡処方によりポリウレタンフォームを製造した。得られたフォームの物性評価を表1および2に示す。
【0051】
土木建築用断熱材用フォームの製造<実施例13~24及び比較例13~24>
製造例1~5で得られた化合物(a11~a15)および上記の原料を使用し、表3~5に記載の原料配合比で、以下に示す発泡処方によりポリウレタンフォームを製造した。得られたフォームの物性評価を表3~5に示す。
【0052】
<輸送機用パネル状断熱材用フォームの発泡方法>
〔1〕活性水素成分と有機ポリイソシアネートとをそれぞれ20±2℃に温度調整する。
〔2〕活性水素成分、整泡剤、水、触媒等の添加剤の順で容量500ミリリットルのプラスチック製ビーカーに入れて、室温(20±2℃)で撹拌混合し、直ちに表に記載のNCO INDEXとなる量の有機ポリイソシアネートを加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、攪拌条件:5000rpm×7秒〕を用いて、攪拌して発泡を行った。
〔3〕攪拌停止後、40℃に温調された400×400×50mmのアルミ製モールドに混合液を注入し(パック率:110%)、10分後脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0053】
<土木建築用断熱材用フォームの発泡処方>
〔1〕活性水素成分と有機ポリイソシアネートとをそれぞれ20±2℃に温度調整する。
〔2〕活性水素成分、整泡剤、水、触媒等の添加剤の順で容量500ミリリットルのプラスチック製ビーカーに入れて、室温(25±2℃)で撹拌混合し、直ちに表に記載のNCO INDEXとなる量の有機ポリイソシアネートを加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、攪拌条件:5000rpm×7秒〕を用いて、攪拌して発泡を行った。
〔3〕攪拌停止後、予め400×400mmのクラフト紙を上下面に貼り付けた、60℃に温調した450×400×50mmのアルミ製モールド(下面は450mm側が解放状態、混合液注入後すぐに450×400mmの上面モールドを上下面の間隔が50mmとなるように配置する。)に混合液を注入し、5分後脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0054】
表1~4におけるフォーム物性の評価方法は以下のとおりである。
硬質ポリウレタンフォームの試験は、通常の硬質ポリウレタンフォームの試験法に準じて実施した。寸法安定性の評価は、100mm×100mm×50mmのフォームを切り出し、成形1日後(常温放置)と、低温(-20℃)および湿熱(70℃、湿度95%)の各条件にて放置2日後に、各辺の寸法を測定して体積を求め、成形1日後からの体積変化率を求めた。圧縮強度はJIS A 9514(1979年版)の圧縮強さの試験法に基づいて、発泡方向に平行と垂直の2方向を測定した。成形性は得られたフォームのセル状態によって、下記の基準で判定した。
成形性 ○:液着地点、セル状態良好
△:液着地点、セル荒れあり
×:成型品全体セル荒れあり
・・・
【0057】
【表3】
[図:0001413284000001.jpg]
・・・
【0059】
本発明の製法で得られた硬質ポリウレタンフォームは、強度が高く、断熱性が良く、難燃性が良く、特に寸法安定性に優れているため、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として広く利用できる。」
(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)
2a「【請求項1】
ポリオール化合物及び触媒を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させると共に、水を用いて発泡せしめて得られるポリウレタンフォームの製造に使用される発泡性組成物であって、
前記ポリオール化合物として、ノボラック型フェノール樹脂にアルキレンオキサイドを付加させて得られるフェノール樹脂系ポリオールを含み、更に、前記触媒として、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及びジエチレントリアミンを含んでいることを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物。」
2b「【0002】
従来より、ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性や接着性を利用して、主に、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている。かかるポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール成分に発泡剤、必要に応じて、触媒や整泡剤、難燃剤等の各種助剤を配合したポリオール配合液(プレミックス液)からなるポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを、混合装置により連続的又は断続的に混合してポリウレタンフォーム用発泡性組成物とし、これを、スラブ発泡法、注入発泡法、スプレー発泡法、ラミネート連続発泡法等により発泡、硬化させることにより、製造されている。」
2c「【0056】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下に示す「%」及び「部」は、何れも質量基準である。
【0057】
先ず、ノボラック型フェノール樹脂を調製し、そしてその得られたノボラック型フェノール樹脂に所定のアルキレンオキサイドを付加させて、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを準備した。なお、得られたフェノール樹脂系ポリオールの粘度及び水酸基価は、以下の測定手法で測定した。
【0058】
(1)粘度(mPa・s)は、B型粘度計を用いて、JIS K 7117-1に準じて測定した。
(2)水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K 1557-1に準じて測定した。
【0059】
<ノボラック型フェノール樹脂の調製>
撹拌装置を備えた反応容器内に、フェノール9400部、92%パラホルムアルデヒド1630部、酸触媒としてシュウ酸19部を仕込んだ後、撹拌混合しながら、100℃の温度で、5時間、反応させた。その後、減圧下で水分を溜去することにより、目的とするノボラック型フェノール樹脂を得た。なお、この得られたノボラック型フェノール樹脂の遊離フェノール含有量は、30質量%であった。
【0060】
<フェノール樹脂系ポリオールの調製>
撹拌装置を備えた耐圧反応容器内に、上記ノボラック型フェノール樹脂の4000部を、アルカリ触媒としての水酸化カリウムの200部と共に、仕込んだ後、撹拌混合しながら、加圧条件下、150℃の温度で、エチレンオキサイドを3400部加えて、ノボラック型フェノール樹脂に付加させた。その後、水酸化カリウム(触媒)を酢酸で中和して、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを得た。この得られたフェノール樹脂系ポリオールについて、その水酸基価及び25℃における粘度を測定したところ、それぞれ、300mgKOH/g及び2500Pa・s/25℃であった。
【0061】
(実施例1~5及び比較例1~3)
先ず、ポリオール化合物として、上記で準備したフェノール樹脂系ポリオールを用い、更に、市販のトリレンジアミン系ポリオール(商品名:サンニックスHM-551、三洋化成工業株式会社製、水酸基価:400mgKOH/g)を用い、そして、触媒として、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A)、ジエチレントリアミン(触媒B)、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール(触媒C)を用い、また、樹脂化触媒(商品名:カオライザーNo.31、花王株式会社製)を用いると共に、整泡剤として、シリコーン系整泡剤(商品名:SH-193、東レ・ダウコーニング社製)を用い、更に、難燃剤(トリスクロロプロピルフォスフェート)、有機珪素化合物(商品名:SH-200 0.6cst、東レ・ダウコーニング社製)、起泡剤(リシノール酸カリウム)及び水を用いて、下記表1に示される配合割合において、それぞれの成分を混合せしめて、各種のポリオール配合液を調製した。
【0062】
【表1】
[図:0001413284000002.jpg]
【0063】
次いで、かかる得られたポリオール配合液の各々と、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:ルプラネートM-11S、BASF INOAC ポリウレタン社製))とを用い、ハンド発泡法に従い、それぞれ、10℃に温度調整した後、体積比が、ポリオール化合物/ポリイソシアネート化合物=100/100となるように、紙コップ(容量:500mL)内に秤取した後、ホモディスパー(商品名:プライミクス株式会社製)で高速撹拌混合して、発泡、硬化せしめることにより、ポリウレタンフォームを作製した。そして、その際の発泡性組成物の反応性であるクリームタイム(C.T)、ゲルタイム(G.T)を測定した。また、かかる得られたポリウレタンフォームについて、その密度を測定した。
【0064】
ここで、C.Tとは、ポリイソシアネートとポリオール組成物の混合開始から発泡が始まるまでの時間、G.Tとは、前記成分の混合開始からフォームの表面が糸引き可能な粘着性を示すまでの時間を示すものである。
【0065】
そして、かかる反応発泡の結果と密度測定結果とを、下記表2に示すが、そこで、比較例3の実験においては、泡立つ前に固まるために発泡不良となり、目的とする発泡体を得ることが出来なかった。
【0066】
また、上記で得られたポリオール配合液の各々と、上記したクルードMDIとを用い、それぞれ、マシン発泡法にて発泡、硬化せしめた。即ち、現場スプレー発泡機(商品名:FF-1600、ガスマー社製)を用いて、それらポリオール配合液とクルードMDIとを体積比1:1で混合攪拌せしめて、発泡原液とし、これを、雰囲気温度:-5℃、-10℃又は-15℃の条件下において、被着体であるコンクリート板の表面に吹き付けて、発泡、硬化させることにより、実施例1~5及び比較例1~2に係る各種の硬質ポリウレタンフォームを作製した。なお、比較例3のポリオール配合液を用いたポリウレタンフォームの作製例においては、泡立つ前に固まったために、発泡が不良となり、目的とするポリウレタンフォームを得ることが出来なかった。
【0067】
そして、かくして得られた各種のポリウレタンフォームを用いて、その熱伝導率及び寸法安定性の測定を行ない、その得られた結果を、それぞれのポリウレタンフォームの製造時における発泡性や接着性の評価結果と共に、下記表2に示した。
【0068】
なお、かかる特性評価に際して、「密度」の測定は、見掛け全体密度として、JIS K 7222に準拠して行なった。また、「-15℃雰囲気下での発泡性」については、-15℃の雰囲気下にて、被着体であるコンクリート板の表面に吹き付けて発泡させた際、その吹付け施工を行なうのに問題がない発泡性を○、発泡が遅く施工に難があるものを△、液ダレが発生して施工不可能となるものを×として、評価した。
【0069】
また、フォームの接着性(剥離性)の評価に係る「-5℃雰囲気下での接着性」、「-10℃雰囲気下での接着性」、「-15℃雰囲気下での接着性」については、それぞれの温度下において、発泡原液の吹付けから3分経過後に、コンクリート板からはみ出したフォーム端部を、コンクリート板に沿ってカッターナイフで切断し、コンクリート板とフォームとの接着面付近を目視で観察して、フォームの剥離の有無を確認した。なお、評価結果における○は、コンクリート板からのフォームの剥離が認められず、接着性に問題がないことを示し、また、×は、コンクリート板からのフォームの剥離が認められ、接着性に難点があることを、意味している。
【0070】
さらに、「熱伝導率(W/m・K)」の測定は、得られたポリウレタンフォームについて、熱伝導率測定装置(MADDERLAKE SCIENTIFIC GROUP COMPANY製、アナコンTCA POINT2)を用いて、JIS A 1412-2付属書A(規定)における平板比較法のA6.測定方法に準拠して行なった。また、「寸法安定性」は、得られたポリウレタンフォームを150mm×150mm×30mmの形状に切り出し、50℃の雰囲気下で、24時間静置し、その厚みの変化を測定して、寸法変化率[=(切り出し後の寸法-静置後の寸法)×100/切り出し後の寸法]を求め、評価した。その評価結果は、寸法変化率が1%未満の場合を○、1~3%の場合を△、3%を超えるものを×とした。
【0071】
【表2】
[図:0001413284000003.jpg]
【0072】
かかる表1及び表2の結果から明らかなように、本発明に従う実施例1~5における発泡操作では、C.T及びG.Tが共に改善されて、発泡性や接着性が向上せしめられ得ることが認められ、またそれら実施例1~5において得られたポリウレタンフォームにあっては、何れも、発泡剤源として水を用いているにも拘わらず、換言すれば発泡剤として二酸化炭素を用いているにも拘わらず、優れた熱伝導率及び寸法安定性を有するものであると共に、低温下での発泡性や接着性においても、著しく優れたものであった。特に、ポリオール化合物として、フェノール樹脂系ポリオールと芳香族ジアミン系ポリオールを併用した場合(実施例4)や、更に、有機珪素化合物を含有せしめた場合(実施例5)においては、その改善効果が極めて顕著となっていることを、認めることが出来る。
【0073】
これに対して、比較例1,2の発泡操作では、C.T又はG.Tが充分ではないことが認められ、また、触媒として、従来のN,N-ジメチルアミノエトキシエタノールを用いてなる比較例1の場合にあっては、-5℃の雰囲気下での接着性は一応満足するものであったが、より一層低温下での接着性や発泡性が悪く、且つ熱伝導率も充分ではなく、寸法安定性にも劣っているのである。また、触媒として、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルのみを用いた場合にあっても、-10℃や-15℃の雰囲気下での接着性が悪く、また、寸法安定性も悪いことに加えて、熱伝導率も充分でないことが認められる。更に、触媒として、ジエチレントリアミンのみを用いた比較例3の場合においては、発泡不良となって、目的とするポリウレタンフォームを得ることが出来ないのである。」
(3)甲第3号証(以下、「甲3」という。)
3a「【請求項1】
式(I):
(CH3)2NCH2CH2ACH2CHROH (I)
(式中、Aは酸素原子、-OCH2CH2O-基、-N(CH3)-基、-OCH2CH2N(CH3)-基又は-N(CH3)CH2CH2N(CH3)-基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
で表されるアミン化合物及び式(II):
(CH3)2N(CH2)mB(CH2)nNH2 (II)
(式中、Bは酸素原子又は単結合を示し、但し、Bが酸素原子のとき、m及びnはそれぞれ独立して2~6の整数を示し、Bが単結合のときm及びnはm+n=2~8を満足する整数を示す)
で表されるアミン化合物を含有するポリウレタン製造用触媒を用いて、水酸基価が200~500mgKOH/gのポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、ポリオール成分100重量部に対して4重量部以上の水の存在下で反応させる、密度が8~35kg/m3の硬質ポリウレタンフォームの製造法。」
3b「【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの製造法に関する。更に詳しくは、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得る硬質ポリウレタンフォームの製造法、並びに該硬質ポリウレタンフォームからなる断熱材に関する。
・・・
【0006】
特に、近年、地球環境保護の観点から発泡剤の全てが実質的に水であっても、更なる軽量化や廃棄物量の低減化を図るために、ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。このようなポリウレタンフォームを製造するには、発泡剤としての水の含有量を増やす必要があり、その結果、フライアビリティ性が増し、被着体とポリウレタンフォームとの接着性が益々低下するばかりか、低密度化によるポリウレタンフォーム自体の強度低下からポリウレタンフォームの寸法安定性が悪化するという問題点がある。また、ポリウレタンフォームの発泡・硬化過程で、泡化と樹脂化反応のバランスが悪化してセル強度が低くなり、製造したポリウレタンフォームにボイドが発生したり、セルが合一して乱れたりして、均質なポリウレタンフォームを得ることができない。
・・・
【0007】
本発明は、発泡剤として水を多量に使用した場合であっても、寸法安定性及び接着性に優れ、ボイドの発生及びセルの乱れが少ない硬質ポリウレタンフォームの製造法を提供することを課題とする。また、本発明は、該硬質ポリウレタンフォームからなる断熱材を提供することを課題とする。」
3c「【0057】
実施例1~5及び比較例1~3
ポリオール成分として、ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部、シュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部を用いた。なお、上記ポリオール成分の水酸基価をJIS K1557に基づいて求めた結果、414mgKOH/gであった。
【0058】
前記ポリオール成分100重量部、整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、発泡剤として水8重量部、表1に示す量のポリウレタン製造用触媒をラボミキサーで混合し、ポリオール混合物を得た。
【0059】
次に、ポリオール混合物と、ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を理論上のイソシアネートインデックスが105となるように20℃でラボミキサーを用いて混合、攪拌し、得られた混合物を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造し、以下の特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0060】
なお、各実施例及び各比較例で使用した原料は、以下のとおりである。
ポリウレタン製造用触媒
・KL-26:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.26〕
・KL-28:N-(2-ジメチルアミノエチル)-N-メチルエタノールアミン〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.28〕
・DMAPA:3-ジメチルアミノプロピルアミン
・DMAHA:6-ジメチルアミノヘキシルアミン
・DMAEPA:3-(2-ジメチルアミノエトキシ)プロピルアミン
・KL-31:33%トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.31〕
【0061】
〔反応性〕
300mL容のポリカップ〔(株)テラオカ製、商品名:デスカップ〕内で、ポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合、攪拌して得られた混合物40gのフリー発泡におけるクリームタイム(以下、CTという)、ゲルタイム(以下、GTという)及びライズタイム(以下、RTという)に到達するまでの時間を測定した。
【0062】
〔密度〕
ポリオール混合物とポリイソシアネート成分の混合、攪拌によって得られた混合物200gを成形型〔内寸:150mm×150mm×300mm(高さ)〕内に注入し、硬質ポリウレタンフォームのフリーフォームを成形した。
【0063】
上記の硬質ポリウレタンフォームのフリーフォームを1時間放置した後、そのコア部分から、100mm×100mm×100mmの大きさの試験片を切り出した。該試験片の重量を測定し、式:
〔密度(kg/m3)〕=〔試験片の重量(kg)〕÷〔試験片の体積(m3)〕
に基づいて密度を求めた。
【0064】
〔独立気泡率〕
ASTM D 2856に規定の方法に基づいて独立気泡率を調べた。
【0065】
〔寸法安定性〕
密度の測定において得られた試験片を-5℃の恒温室内に入れ、24時間放置した後、試験片の発泡方向に平行な側面であって、その側面の中央で、発泡方向に対して垂直方向に引かれる辺の長さを、各側面についてノギスで測定し、式:
〔寸法安定性(%)〕
=〔放置前の寸法(mm)-放置後の寸法(mm)〕÷〔放置前の寸法(mm)〕×100
により、寸法安定性を求めた。なお、各実施例及び各比較例について、それぞれ2個の試験片について試験を実施し、試験片2個(試験片1個に対して4辺測定)から得られる8つの測定値の平均を算出し、以下の評価基準に従って寸法安定性を評価した。
【0066】
〔寸法安定性の評価基準〕
〇:3%未満
△:3%以上、10%未満
×:10%以上
【0067】
〔接着性〕
5℃に調温したフッ素樹脂製シート〔中興化成工業(株)製、チューコーフロー粘着テープ(登録商標)ASF-110〕を貼り付けたアルミニウム板からなるモールド〔内寸:200mm×200mm×50mm(高さ)〕で硬質ポリウレタンフォームを成形し、フリー発泡の状態で10分間経過後にモールドからフォームを脱型した。
【0068】
接着性の評価をモールド表面へのフォーム付着率で定義した。即ち、高付着率では、フォームとモールドとの界面よりフォーム強度が低く、フォーム表面近傍での破壊が発生し接着性不良となる。また、低付着率では、フォーム強度が高く、フォーム表面近傍での破壊がないので接着性が良好となる。式:
〔フォーム付着率(%)〕=〔フォームの付着面積(mm2)〕÷〔40000(mm2)〕×100
に従ってフォーム付着率を求め、以下の評価基準に従って接着性を評価した。
【0069】
〔接着性の評価基準〕
○:フォーム付着率が30%未満
△:フォーム付着率が30%以上、70%未満
×:フォーム付着率が70%以上
【0070】
〔フォーム内部の状態〕
密度の測定と同様の方法で得た硬質ポリウレタンフォームのフリーフォームを24時間放置した後、発泡方向に沿って中央部で切断し、その切断面を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0071】
〔フォーム内部の状態の評価基準〕
◎:フォーム内部が極めて良好でセルサイズが均一である
○:フォーム内部が良好でフォーム中央部のセルに若干の乱れがある
×:フォーム中央部にセル粗れが発生、又は小さいボイドが発生
【0072】
【表1】
[図:0001413284000004.jpg]
【0073】
以上の結果から、各実施例によれば、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤として水を多量に使用した場合であっても、式(I)で表されるアミン化合物及び式(II)で表されるアミン化合物を含むポリウレタン製造用触媒を用いることで、寸法安定性及び接着性に優れ、フォーム内部の状態が良好な硬質ポリウレタンフォームが得られることがわかる。さらにまた、反応性が高いため、迅速に該硬質ポリウレタンフォームが得られることがわかる。」
(4)甲第4号証(以下、「甲4」という。)
4a「【請求項1】
アミン化合物およびポリオールを含有する(A)成分とイソシアネート化合物を含有する(B)成分とから構成される土質の安定強化止水用注入薬液組成物であって、
前記(A)成分における前記アミン化合物として、少なくとも(A1)芳香族アミン化合物が用いられ、
前記(A)成分における前記ポリオールとして、少なくとも(A2)アミンポリオールおよび(A3)ポリエーテルポリオールが用いられることを特徴とする、
土質の安定強化止水用注入薬液組成物。
・・・
【請求項8】
土質の安定強化止水用注入薬液組成物を構成する、アミン化合物およびポリオールを含有する(A)成分とイソシアネート化合物を含有する(B)成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂組成物であって、
前記(A)成分における前記アミン化合物として、少なくとも(A1)芳香族アミン化合物が用いられ、
前記(A)成分における前記ポリオールとして、少なくとも(A2)アミンポリオールおよび(A3)ポリエーテルポリオールが用いられることを特徴とする、
ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項9】
岩盤または地盤に所定間隔で複数個の孔を形成する工程、
前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、
前記ボルトの開口部より、請求項1から6のいずれか1項に記載の土質の安定強化止水用注入薬液組成物、もしくは、請求項7に記載のポリオール含有組成物を前記(A)成分として用いる土質の安定強化止水用注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入し、発泡硬化させる工程、
を含むことを特徴とする、
土質の安定強化止水工法。」
4b「【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、周辺に存在する水による発泡倍率または透水率への影響を有効に抑制することができる、ウレタン系の土質の安定強化止水用注入薬液組成物と、これを用いた安定強化止水工法を提供することを目的とする。」
4c「【0029】
(A3)ポリエーテルポリオールは、少なくとも1種の水酸基含有化合物あるいは活性水素含有化合物に、少なくとも1種のアルキレンオキシドを付加したものであればよい。
【0030】
水酸基含有化合物としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール等のモノオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のポリオール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ソルビトール、蔗糖等の糖
類;等を挙げることができるが、特に限定されない。また、アルキレンオキシドとしては、前述したエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等を挙げることができるが、特に限定されない。
【0055】
難燃剤は、通常は、予め(B)成分に添加しておけばよいが、難燃剤の種類によっては(B)成分ではなく(A)成分に添加すればよい。例えば、含リンポリオールといった含ハロゲン含リン化合物等は、分子中に水酸基またはアミノ基等を含有するので、(B)成分に添加するとイソシアネート化合物と反応してしまうため、このような場合には(B)成分ではなく(A)成分に添加すればよい。また、難燃剤の添加量(使用量または配合量)は特に限定されず、薬液組成物の取扱性または硬化物の物性を損なわない程度の量(例えば公知の添加量の範囲内)であればよい。
・・・
【0058】
本開示に係る薬液組成物においては、(A)成分および(B)成分の粘度は特に限定されないが、地盤または岩盤に注入する際の作業性の観点からこれら各成分の粘度を所定の範囲内に設定してもよい。(A)成分および(B)成分の粘度としては、25℃において、650mPa・s以下であることが好ましく、600mPa・s以下であることがより好ましく、450mPa・s以下であることがさらに好ましい。なお、粘度の測定方法は、後述する実施例で説明するように、JIS K-7117-1に準じた方法であればよい。」
4d「【0079】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例における諸物性の測定または評価は次に示すようにして行った。
【0080】
(測定または評価方法)
[(A)成分および(B)成分の粘度]
各実施例または比較例に係る薬液組成物を構成する(A)成分および(B)成分の粘度[mPa・s]は、JIS K-7117-1に準じ、BL型粘度計(東機産業(株)製)にて、25℃の条件で測定した。
【0081】
[水接触無しの場合における硬化時の物性の測定または評価]
各実施例または比較例に係る薬液組成物を構成する(A)成分および(B)成分を所定の混合比(質量比、表3~表7参照)で合計50mLとなるように計量し、これらを20℃に調整した上で、φ50×100mmのサミットモールドに投入し、攪拌機により1000rpmで10秒間攪拌して混合液を調製した。その後、発泡硬化性として、攪拌開始からの発泡開始時間:CT[秒(s)]、ゲル化時間(樹脂化時間):GT[秒]、および発泡終了時間:RT[秒]を測定するとともに、混合液の体積V0(50mL)に対する発泡終了後の硬化物の体積V1の比率(V1/V0)を発泡倍率[倍]として算出した。
【0082】
[水接触有りの場合における硬化時の物性の測定または評価]
各実施例または比較例に係る薬液組成物を構成する(A)成分および(B)成分を所定の混合比(質量比、表3~表7参照)で合計50mLとなるように計量し、これらを20℃に調整した上で、φ50×100mmのサミットモールドに投入し、攪拌機により1000rpmで10秒間攪拌して混合液を調製した。この攪拌混合時に、応用物性として、(A)成分および(B)成分の混合性を目視により確認して評価した。攪拌後の混合液において(A)成分および(B)成分が十分均一に混合されている場合を「○」、(A)成分および(B)成分がほぼ均一に混合されている場合を「△」、(A)成分および(B)成分が均一に混合されていない場合を「×」として評価した。
【0083】
攪拌混合を開始してから30秒後に、混合液の上面から10cmの高さから5秒間かけてサミットモールドの縁に沿わせるように水を50mL投入した。この水の投入に伴って、応用物性として、耐水拡散性を目視により確認して評価した。投入した水が硬化物の上側に位置していれば、水による影響を受けないとして「○」と評価した。また、投入した水が硬化物の上側に位置するものの、水の投入により硬化物の表面に凹み等の変形が生じていれば、水による影響をやや受けるとして「△」と評価した。また、投入した水が硬化物の下側に位置していれば、水の影響を受けるとして「×」と評価した。
【0084】
また、攪拌混合後に、発泡硬化性として、水接触無しの場合と同様に、攪拌開始からのCT[秒]、GT[秒]、およびRT[秒]を測定するとともに、発泡倍率[倍]を算出した。
【0085】
[透水量の測定]
前述した水接触無しまたは水接触有りのそれぞれの条件で得られた硬化物から、φ50×20mmのサンプルを切り出し、内径44mm、高さ300mmの円筒の一方の端部に、当該端部の開口を封止するようにサンプルを貼り付けた。サンプルを貼り付けた端部を下側にして円筒を立設し、他方の端部(上端)の開口から円筒内に水を注入した。水の注入量は、円筒の下端から高さ250mmに達するまでとした。その後、1時間静置した後、円筒内における水位の変化(低下量)を確認し、1時間当たりの透水量[mL/h]を算出した。また、水接触無しの透水量T1mL/hに対する水接触有りの透水量T2mL/hの比率(T2/T1、水接触時比率)が3未満であれば「◎」、3~4の範囲内であれば「○」、4~5の範囲内であれば「△」、5を超えていれば「×」として評価した。
【0086】
((A)成分および(B)成分の原料)
各実施例または各比較例における薬液組成物では、(A)成分が含有する(A1)芳香族アミン化合物として表1に示す3種類の化合物のいずれかを用い、(A2)アミンポリオールとして表1に示す3種類の化合物のいずれかを用い、(A3)ポリエーテルポリオールとして表1に示す6種類の化合物を適宜組み合わせて用いた。比較例4では、(A1)芳香族アミン化合物に代えて表1に示す比較アミン化合物(A0)を用いた。また、(A)成分が含有する硬化触媒および整泡剤として、それぞれ表1に示す製品を用いた。
【0087】
【表1】
[図:0001413284000005.jpg]
【0088】
(B)成分が含有するイソシアネート化合物としては、表2に示す2種類の化合物のいずれか用いた。また、(B)成分が含有する難燃剤として表2に示す化合物を用いた。
【0089】
【表2】
[図:0001413284000006.jpg]
【0090】
なお、後述する各実施例または各比較例においては、(A)成分および(B)成分の調製(製造)に際しての各成分の組成を表3~表7にまとめているが、これら表においては、(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオール、およびイソシアネート化合物の具体的な種類は、表1または表2に示す略号で記載している。
【0091】
(実施例1)
(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオールとして表3に示す種類(略号)のものを用いるとともに、これら化合物、発泡剤としての水、硬化触媒、および整泡剤を表3に示す配合量で配合して混合することにより、実施例1に係る薬液組成物を構成する(A)成分(ポリオール含有組成物)を調製(製造)した。また、イソシアネート化合物として表3に示す種類のものを用いるとともに、このイソシアネート化合物と難燃剤とを表3に示す配合量で配合することにより、実施例1に係る薬液組成物を構成する(B)成分(イソシアネート含有組成物)を調製(製造)した。これにより、実施例1に係る薬液組成物を得た。なお、(A)成分および(B)成分のそれぞれ粘度を表3に示す。
【0092】
得られた(A)成分および(B)成分を表3に示す混合比(質量比)で混合した。このときのイソシアネートインデックスを表3に示す。そして、前述した測定または評価方法で説明したように(A)成分および(B)成分の混合液を発泡硬化させ、その発泡硬化性と、応用物性である透水量、耐水撹拌性、および混合性とを測定または評価した。その結果を表3に示す。
【0093】
なお、表3並びに表4~表7においては、発泡硬化性の指標であるCT,GT,RTおよび発泡倍率、並びに、応用物性の透水量については、それぞれ、水接触無しおよび水接触有りの結果を「水接触有りの結果/水接触無しの結果」という形式(すなわち水接触時比率)で併記している。
【0094】
(実施例2~5)
表3に示す種類の(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオール、水、硬化触媒、および整泡剤を表3に示す配合量で配合するとともに、表3に示す種類のイソシアネート化合物および難燃剤を表3に示す配合量で配合することにより、実施例2~5に係る薬液組成物を製造した。表3には、それぞれの薬液組成物における(A)成分の粘度および(B)成分の粘度を示す。
【0095】
そして、実施例1と同様にして、表3に示す混合比(およびこのときのイソシアネートインデックス)となるように、(A)成分および(B)成分を混合してその混合液を発泡硬化させ、実施例2~5に係る薬液組成物の発泡硬化性およびその応用物性を測定または評価した。その結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
[図:0001413284000007.jpg]
【0097】
(実施例6~10)
表4に示す種類の(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオール、水、硬化触媒、および整泡剤を表4に示す配合量で配合するとともに、表4に示す種類のイソシアネート化合物および難燃剤を表4に示す配合量で配合することにより、実施例6~10に係る薬液組成物を製造した。表4には、それぞれの薬液組成物における(A)成分の粘度および(B)成分の粘度を示す。
【0098】
そして、実施例1と同様にして、表4に示す混合比(およびこのときのイソシアネートインデックス)となるように、(A)成分および(B)成分を混合してその混合液を発泡硬化させ、実施例6~10に係る薬液組成物の発泡硬化性およびその応用物性を測定または評価した。その結果を表4に示す。
【0099】
【表4】
[図:0001413284000008.jpg]
【0100】
(実施例11~15)
表5に示す種類の(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオール、水、硬化触媒、および整泡剤を表5に示す配合量で配合するとともに、表5に示す種類のイソシアネート化合物および難燃剤を表5に示す配合量で配合することにより、実施例11~15に係る薬液組成物を製造した。表5には、それぞれの薬液組成物における(A)成分の粘度および(B)成分の粘度を示す。
【0101】
そして、実施例1と同様にして、表5に示す混合比(およびこのときのイソシアネートインデックス)となるように、(A)成分および(B)成分を混合してその混合液を発泡硬化させ、実施例11~15に係る薬液組成物の発泡硬化性およびその応用物性を測定または評価した。その結果を表5に示す。
【0102】
【表5】
[図:0001413284000009.jpg]
【0103】
(実施例16~19)
表6に示す種類の(A1)芳香族アミン化合物、(A2)アミンポリオール、(A3)ポリエーテルポリオール、水、硬化触媒、および整泡剤を表6に示す配合量で配合するとともに、表6に示す種類のイソシアネート化合物および難燃剤を表6に示す配合量で配合することにより、実施例16~19に係る薬液組成物を製造した。表6には、それぞれの薬液組成物における(A)成分の粘度および(B)成分の粘度を示す。
【0104】
そして、実施例1と同様にして、表6に示す混合比(およびこのときのイソシアネートインデックス)となるように、(A)成分および(B)成分を混合してその混合液を発泡硬化させ、実施例16~19に係る薬液組成物の発泡硬化性およびその応用物性を測定または評価した。その結果を表6に示す。
【0105】
【表6】
[図:0001413284000010.jpg]
」
(5)甲第5号証(以下、「甲5」という。)
5a「【請求項1】 (A) ポリオールおよび/または有機ポリアミン化合物、(B) 有機ポリイソシアネート化合物、ならびに(C) 前記(A) 成分と(B) 成分との合計量100 重量部に対して5重量部以上の水からなる土質などの安定化用注入薬液組成物。
【請求項2】 岩盤ないし地盤に所定の間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボルトの開口部から請求項1記載の安定化用注入薬液組成物を岩盤ないし地盤に注入し、固結させることを特徴とする岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。」
5b「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水、シールド掘削工事などでの地山とコンクリートセグメントの間の空隙などの充填、土砂・岩石、レンガ、石炭などの空洞の封止、さらにコンクリートなどの人工構造物のクラック、空隙などの安定強化止水工法およびそれに用いる安定化用注入薬液組成物に関する。」
5c「【0011】また、本発明の安定化用注入薬液組成物を用いたばあいには、尿素結合を主体とした硬質発泡ポリウレタンの固結体が形成されるので、固結強度が大きく、空隙シール効果、安定強化結果など効果にすぐれ、岩盤ないし地盤や人工構造物の安定強化、空隙シールおよび止水を効果的に行なうことができる。」
(6)甲第6号証(以下、「甲6」という。)
6a「2特許請求の範囲
1 岩盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボルトの開口部より、(A)水酸基数2個以上、水酸基当量120以下のポリオールおよび(または)アミノ基1個以上、アミン当量20~500の有機ポリアミン化合物を必須成分とし、要すればこれに水、発泡剤、整泡剤、触媒、無機充填剤、改質剤、有機希釈剤、安定剤などを配合してなる液状成分と、(B)イソシアネート基を2個以上有する有機ポリイソシアネートを必須成分とし、要すればこれに希釈剤、無機充填剤などを配合してなる液状成分とを注入することからなる岩盤安定化工法であって、前記(A)成分と(B)成分を混合し、NCO基1当量に対する水酸基当量とアミン当量の合計当量の比率が0.5/1~10/1の範囲で混合注入することを特徴とする岩盤固結安定化工法。
2 (A)成分または(B)成分中に添加型または反応型各種難燃剤を配合し、難燃性の無発泡ないし発泡状硬質ポリウレタン固結体を形成する請求項1記載の工法。」
6b「3発明の詳細な説明
[産業上の利用分野]
本発明は破砕帯を有する岩盤や地盤の固結安定化、さらにはコンクリートなどの人工構築物のクラック、空隙なとの充填シール工法に関する。」
(7)参考文献1
11a「
[図:0001413284000011.jpg]
・・・
[図:0001413284000012.jpg]
[図:0001413284000013.jpg]
」
(8)参考文献2
12a「【0063】
<使用原料>
(ポリエーテルポリオール(a1))
ポリオール(a1-1):グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合した平均水酸基価480mgKOH/gのポリエーテルポリオール(商品名:DKポリオールG480、第一工業製薬(株)製)
・・・」
(9)参考文献3
13a「
[図:0001413284000014.jpg]
」
3 甲4に記載された発明
甲4の【表3】の実施例1に着目して、同【0086】~【0093】を合わせみれば、甲4には実施例1として「(A1)芳香族アミン化合物としてA11:ジエチルトルエンジアミン、(A2)アミンポリオールとしてA21:アニリン3プロピレンオキシド、(A3)ポリエーテルポリオールとしてA31:DKポリオール480[第一工業製薬(株)]、A32:エクセノール420[旭硝子(株)]及びA35:エクセノール5030[旭硝子(株)]、水、硬化触媒としてTEDA-L33[東ソー(株)]及び製泡剤としてSZ-1718(東レ・ダウコーニング(株)からなり、粘度が161mPa・sである(A)成分、並びに、イソシアネート化合物としてB1:ミリオネートMR-200[東ソー(株)]及び難燃剤としてTMCPP[大八化学工業(株)]からなる(B)成分からなる土質の安定強化止水用注入薬液組成物。」の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているといえる(摘記4a、4d参照)。
4 対比・判断
(1)本件特許発明2
ア 甲4発明との対比
甲4発明の「(A1)芳香族アミン化合物としてA11:ジエチルトルエンジアミン」は本件特許発明1の「第一級アミン」に相当し、甲4発明の「(A2)アミンポリオールとしてA21:アニリン3プロピレンオキシド」は本件特許発明1の「芳香族ポリオール」及び「芳香族ポリエーテルポリオール」に相当し、甲4発明の「ポリエーテルポリオールとしてA31:DKポリオール480[第一工業製薬(株)]、A32:エクセノール420[旭硝子(株)]及びA35:エクセノール5030[旭硝子(株)]」は、それぞれ、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合した平均水酸基価480mgKOH/gのポリエーテルポリオール(摘記12a参照)、水酸基価281mgKOH/gの脂肪族ポリオール(本件特許明細書【0073】参照)、グリセリンを開始剤とする水酸基価33mgKOH/gのポリオールであるから(摘記13a参照)、いずれも、本件特許発明1の「水酸基価が700mgKOH/g未満の脂肪族ポリオール」に相当し、甲4発明の「硬化触媒としてTEDA-L33[東ソー(株)]」は、ジプロピレングリコールを含み(摘記11a参照)、ジプロピレングリコールは水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールであり(本件特許明細書【0030】参照。)、本件特許発明1の「水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオール」に相当するから、甲4発明の「(A1)芳香族アミン化合物としてA11:ジエチルトルエンジアミン、(A2)アミンポリオールとしてA21:アニリン3プロピレンオキシド、ポリエーテルポリオールとしてDKポリオールs480[第1工業製薬(株)]、(A3)ポリエーテルポリオールとしてA31:DKポリオール480[第一工業製薬(株)]、A32:エクセノール420[旭硝子(株)]、A35:エクセノール5030[旭硝子(株)]、水、硬化触媒としてTEDA-L33[東ソー(株)]及び製泡剤としてSZ-1718(東レ・ダウコーニング(株)からなる(A)成分」は、本件特許発明2の「芳香族ポリオール、第一級アミン」、「を含む(A)成分」、「前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み、
前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含み、
前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み、
前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または前記他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含み」に相当する。
甲4発明の「イソシアネート化合物としてB1:ミリオネートMR-200[東ソー(株)]」は本件特許発明2の「イソシアネート」に相当するから、甲4発明の「イソシアネート化合物としてB1:ミリオネートMR-200[東ソー(株)]及び難燃剤としてTMCPP[大八化学工業(株)]からなる(B)成分」は本件特許発明2の「イソシアネートを含む(B)成分」に相当する。
甲4発明の「土質の安定強化止水用注入薬液組成物」は本件特許発明2の「地山固結剤」に相当する。
そうすると、本件特許発明2と甲4発明は、「芳香族ポリオール、第一級アミンを含む(A)成分と、
イソシアネートを含む(B)成分と、
を備え、
難燃剤を含み、
前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み、
前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含み、
前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み、
前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または前記他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含む、地山固結剤。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4-1>
難燃剤が、本件特許発明1では(A)成分に含まれるのに対し、甲4発明では(B)成分に含まれる点。
<相違点4-2>
水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が、本件特許発明1では(A)成分全量に対して3~25質量%であるのに対し、甲4発明における硬化触媒としてのTEDA-L33[東ソー(株)]中のプロピレングリコールの含有量は66.5~66.7%であるから(摘記11a参照)、1.3質量%(2×66.5~66.7/100)である点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、まず、<相違点4-2>から検討する。
甲4には甲4発明の土質の安定強化止水用注入薬液組成物硬化触媒の量を増やすことについて記載も示唆もないから、甲4発明の土質の安定強化止水用注入薬液組成物硬化触媒の量を増やし、酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量を(A)成分全量に対して3~25質量%とする動機付けがあるとはいえない。
そして、甲1~甲3、甲5及び甲6にも、甲4発明の土質の安定強化止水用注入薬液組成物硬化触媒の量を増やし、酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量を(A)成分全量に対して3~25質量%とすることについて記載も示唆もない。
ウ 本件特許発明の効果について
本件特許発明2は、本件特許発明2の発明特定事項を備えることにより、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという効果を奏するものであり、そのような効果を奏することが示されていない甲4発明、並びに、甲1~甲3、甲5及び甲6の記載から、当業者が予測できない顕著なものであるといえる。
エ 小括
したがって、本件特許発明2は、<相違点4-1>について検討するまでもなく、甲4に記載された発明、並びに、甲2、甲3、甲5及び甲6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。
(2)本件特許発明8
本件特許発明8は、本件特許発明2を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲4発明との<相違点4-2>と同じの相違点を有するものであり、本件特許発明8は、甲4に記載された発明、並びに、甲1~甲3、甲5及び甲6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。
第6 前記第4における理由2(サポート要件)について
1 判断
本件特許発明2が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することにあると認められる。
ここで、本件特許明細書の発明の詳細な説明の表1には、(A)成分として、脂肪族ポリオール(a2-1)及び/又は脂肪族ポリオール(a2-2)と、脂肪族ポリオール(a2-3)、脂肪族ポリオール(a2-4)、又は脂肪族ポリオール(a2-5)の何れかと、を必須の成分として含む実施例のみが記載され、その記載から、(A)成分として「脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の4成分を含むものが前記課題を解決できることは理解でき、一方、本件訂正により、本件特許発明2は脂肪族ポリオールを含むものとなったので、請求項2の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているといえる。
本件特許発明8についても同様である。
2 異議申立人らの主張及び当審の判断について
異議申立人らは、令和5年12月13日提出の意見書において「本件訂正発明1は、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールを含むことが限定されています。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の表1(段落[0084])には、実施例1~7,9,10に、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールを、(A)成分全量に対して3~25質量%含む実施例のみが記載されています。当該記載から、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が、(A)成分全量に対して3~25質量%含む場合に前記課題を解決できることは理解できます。
なお、本件訂正発明2では、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が、(A)成分全体に対して3~25質量と特定されており、本件訂正発明2は、前記課題を解決できることが理解できます。
しかしながら、本件訂正発明1では、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が特定されておらず、また、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールが(A)成分中の量に係わらず前記課題を解決できるという出願時の技術常識もありません。
したがって、『水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が、(A)成分全量に対して3~25質董%』の範囲で前記実施例に記載された内容を、そうした水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が特定されない本件訂正発明1の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていません。
(A)成分全最に対する水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの最を特定していない本件特許発明3~8についても同様です。」と主張する。
しかしながら、本件訂正により本件特許発明1、3~7は削除され、本件特許発明8は本件特許発明2のみを引用するものとなった。
よって、異議申立人らの前記主張は採用できない。
第7 取消理由と特許異議申立理由の整理
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由を把握するために、特許異議申立人らの主張するすべての特許異議申立理由を列挙すると以下のとおりである。
(1)理由1(新規性)本件特許の請求項1~4、6、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~4、6、7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)理由2(進歩性)本件特許の請求項1~8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)理由3(サポート要件)本件特許の請求項1~8に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
ア 請求項1に記載の(A)成分について
本件特許発明の請求項1に記載の「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分」について、本件明細書の発明の詳細な説明では、実施例1-10の全てにおいて、脂肪族ポリオール(a2-1)及び/又は脂肪族ポリオール(a2-2)と、脂肪族ポリオール(a2-3)、脂肪族ポリオール(a2-4)、又は脂肪族ポリオール(a2-5)の何れかと、を必須の成分として含む実施例のみが記載されている(表1を参照)。
つまり、本件明細書の発明の詳細な説明には、(A)成分について、「脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の4成分を含む実施例のみしか記載されておらず、「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤」の3成分のみを含む実施例について、効果が全く確認されていない。
したがって、(A)成分が4成分を含む態様しか効果が確認されていない実施例の内容を、(A)成分が3成分のみを含む態様が包含される本件特許発明の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
イ 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルポリオールについて
請求項1に記載の「芳香族ポリエーテルポリオール」について、本件明細書の発明の詳細な説明には、芳香族ポリオール(a1-1);アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール芳香族ポリオール(a1-2);アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール芳香族ポリオール(a1-3);ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオールの3点を用いた実施例のみが記載されている。
つまり、芳香族ポリエーテルポリオールについて、開始剤はアニリン又はビスフェノールAの2点のみ、エポキシドに至ってはプロピレンオキサイドの1点のみを用いた実施例のみしか記載されておらず、例えば、開始剤にトルエンジアミンを用いた実施例、エポキシドにエチレンオキサイドを用いた実施例などについて、効果が全く確認されていない。
したがって、芳香族ポリエーテルポリオールについて、効果が全く確認されていない実施例の内容を、本件特許発明の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(4)理由4(明確性要件)本件特許の請求項1~8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、本件特許の請求項1~8に係る発明は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。
本件特許発明において、請求項1には、(A)成分に関し、『芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む』と記載されている。当該記載からは、(A)成分が、芳香族ポリオール、第一級アミンおよび難燃剤の3成分のみを含む態様であっても、「硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することができる」(段落[0007])という効果が得られると把握される。
しかしながら、本件明細書の発明の詳細な説明では、実施例1-10の全てにおいて、芳香族ポリオール、第一級アミンおよび難燃剤の3成分に加え、さらに、脂肪族ポリオール(a2-1)及び/又は脂肪族ポリオール(a2-2)と、脂肪族ポリオール(a2-3)、脂肪族ポリオール(a2-4)、又は脂肪族ポリオール(a2-5)の何れかと、を含むものについて、効果を確認している(表1を参照)。
つまり、(A)成分が、脂肪族ポリオールを含まない態様、例えば、芳香族ポリオール、第一級アミンおよび難燃剤の3成分のみを含む態様については、効果が全く確認されておらず、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からは、脂肪族ポリオールが必須の成分であると把握される。
以上のように、本件特許発明は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からは脂肪族ポリオールが必須の成分であると把握されるにも係わらず、請求項1には脂肪族ポリオールが発明特定事項として記載されてない。
よって、請求項1の記載は、発明特定事項が不足していることが明らかであり、一の請求項から発明が明確に把握されることが必要であるという特許請求の範囲の機能を担保している。
2 取消理由通知において採用した特許異議申立理由
取消理由通知において採用した特許異議申立理由は、前記1(2)理由2(進歩性)のうち甲第4号証を主引用発明とするもの、前記1(3)理由3(サポート要件)のうちアである。
3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、前記1(1)理由1(新規性)、前記1(2)理由2(進歩性)のうち甲第1号証~甲第3号証を主引用発明とするもの、及び、前記1(3)理由3(サポート要件)のうちイ及び前記1(4)である。
以下、第8~第10において、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について判断し、第11及び12において、特許異議申立人らが意見書において追加した主張について判断する。
第8 前記第7 1(1)理由1(新規性)及び(2)理由2(進歩性)について
1 甲号証について
甲第1号証~甲第6号証及び参考文献1~3は前記第4 理由1の甲第1号証~甲第6号証及び参考文献1~3と同じ。
2 甲号証の記載について
甲第1号証~甲第6号証及び参考文献1~3に記載された事項は前記第4 理由1 2(1)~(9)のとおり。
3 甲号証に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
ア 甲1発明1
甲1には、化合物(a11~a15)を使用し、実施例13~17及び20~24の原料配合比で、活性水素成分、整泡剤、水、触媒等の添加剤の順で混合し、有機ポリイソシアネートを加え、攪拌して発泡を行い、硬質ポリウレタンフォームを得たことが、記載されているから(摘記1b参照)、実施例13として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj1:HCFC-141bを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
イ 甲1発明2
実施例14として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj2:HFC-245faを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
ウ 甲1発明3
実施例15として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj3:HFC-365mfcを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
エ 甲1発明4
実施例16として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj4:シクロペンタンを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
オ 甲1発明5
実施例17として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj2:HFC-245fa及びj3:HFC-365mfcを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
カ 甲1発明6
実施例18として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc2:3,5-ジエチル-2,4-および3,5-ジエチル-2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)、((7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj1:HCFC-141bを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
キ 甲1発明7
実施例19として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ソルビトールジアクリレート(a15)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc3:4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj1:HCFC-141bを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
ク 甲1発明8
実施例20として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj1:HCFC-141bを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
ケ 甲1発明9
実施例21として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj2:HFC-245faを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
コ 甲1発明10
実施例22として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj3:HFC-365mfcを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
サ 甲1発明11
実施例23として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、(7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj4:シクロペンタンを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
シ 甲1発明12
実施例24として「ジエチレングリコールモノアクリレート(a13)、ペンタエリスリトールPO4モル付加物トリアクリレート(a14)、(1)活性水素成分(b1)としてb11:エチレンジアミンにPOを付加させた水酸基価750のポリオール及びb12:エチレンジアミンにEO1モル、PO約3モルをブロック付加させた水酸基価810のポリオール、(2)活性水素成分(b2)としてb21:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)1モルにEO2モル、PO約4モルをブロック付加させた水酸基価500のポリオール、(3)活性水素成分(b3)としてb32:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール、(4)活性水素成分(b4)としてb41:グリセリンのPO付加物(水酸基価670)、ビスフェノールAのPO3モル付加物、およびグリセリンのEO・POランダム付加後EOブロック付加物〔EO単位の含有量25%(うち内部EO単位5%)、水酸基価28〕の7:2:1の比の混合物中で、スチレン/アクリロニトリル(比:20/80)を重合させた、水酸基価400の重合体ポリオール(重合体含量20%)、(5)活性水素成分(c)としてc1:2,4-および2,6-トリレンジアミン(2,4-/2,6-比:80/20)(TDA)、((7)触媒としてf3:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン〔「U-cat〔登録商標〕1000」サンアプロ(株)製〕及びf4:ペンタメチルジエチレントリアミン〔「Polycat〔登録商標〕-5」〔サンアプロ(株)製〕、(8)整泡剤としてg2:「SH-193」ポリエーテルシロキサン重合体〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、(9)難燃剤としてh:「TMCPP」有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)、(10)ラジカル重合開始剤としてi:t-ブチルハイドロパーオキサイド(「パーブチルH-69」日本油脂社製)、水、並びに、(11)発泡剤としてj2:HFC-245fa及びj3:HFC-365mfcを混合したもの、並びに、(6)有機ポリイソシアネート(B)としてMDI:粗製MDI〔「MR-200」日本ポリウレタン工業(株)製〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
(2)甲2に記載された発明
ア 甲2発明1
甲2には、表1のポリオール配合液の各々と、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:ルプラネートM-11S、BASF INOAC ポリウレタン社製))とを用い、ポリウレタンフォームを作製したことが、記載されているから(摘記2c参照)、実施例4として「フェノール樹脂系ポリオール、トリレンジアミン系ポリオール(商品名:サンニックスHM-551、三洋化成工業株式会社製、水酸基価:400mgKOH/g)、触媒としてビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A)及びジエチレントリアミン(触媒B)、樹脂化触媒(商品名:カオライザーNo.31、花王株式会社製)、整泡剤としてシリコーン系整泡剤(商品名:SH-193、東レ・ダウコーニング社製)、難燃剤(トリスクロロプロピルフォスフェート)、起泡剤(リシノール酸カリウム)及び水からなるポリオール配合液、及び、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:ルプラネートM-11S、BASF INOAC ポリウレタン社製)を備える、ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
イ 甲2発明2
実施例5として「フェノール樹脂系ポリオール、トリレンジアミン系ポリオール(商品名:サンニックスHM-551、三洋化成工業株式会社製、水酸基価:400mgKOH/g)、触媒としてビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A)及びジエチレントリアミン(触媒B)、樹脂化触媒(商品名:カオライザーNo.31、花王株式会社製)、整泡剤としてシリコーン系整泡剤(商品名:SH-193、東レ・ダウコーニング社製)、難燃剤(トリスクロロプロピルフォスフェート)、有機珪素化合物(商品名:SH-200 0.6cst、東レ・ダウコーニング社製)、起泡剤(リシノール酸カリウム)及び水からなるポリオール配合液、及び、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:ルプラネートM-11S、BASF INOAC ポリウレタン社製)を備える、ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
(3)甲3に記載された発明
ア 甲3発明1
甲3には、ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕、シュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕からなるポリオール成分、整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕、難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕、発泡剤として水、表1に示す量のポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕から製造された硬質ポリウレタンフォームが、記載されているから(摘記3b参照)、実施例1として「ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部及びシュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部からなるポリオール成分100重量部、
整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、
難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、
発泡剤として水8重量部、
KL-26:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.26〕2重量部及びDMAPA:3-ジメチルアミノプロピルアミン2重量部からなるポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、
ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
イ 甲3発明2
実施例2として「ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部及びシュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部からなるポリオール成分100重量部、
整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、
難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、
発泡剤として水8重量部、
KL-26:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.26〕3重量部及びDMAPA:3-ジメチルアミノプロピルアミン1重量部からなるポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、
ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
イ 甲3発明3
実施例3として「ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部及びシュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部からなるポリオール成分100重量部、
整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、
難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、
発泡剤として水8重量部、
KL-28:N-(2-ジメチルアミノエチル)-N-メチルエタノールアミン〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.28〕2重量部及びDMAPA:3-ジメチルアミノプロピルアミン2重量部からなるポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、
ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
ウ 甲3発明4
実施例4として「ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部及びシュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部からなるポリオール成分100重量部、
整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、
難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、
発泡剤として水8重量部、
KL-26:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.26〕3重量部及びDMAHA:6-ジメチルアミノヘキシルアミン1重量部からなるポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、
ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
エ 甲3発明5
実施例5として「ポリエーテル系ポリオールであるグリセリン系ポリオキシプロピレントリオール〔水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010〕20重量部、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:768mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:アクトコールAE-300〕20重量部、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕30重量部及びシュークロース系ポリエーテルポリオール〔水酸基価:380mgKOH/g、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:ポリオール1703〕30重量部からなるポリオール成分100重量部、
整泡剤〔シリコーン系整泡剤、東レダウシリコーン(株)製、品番:SF2938F〕2重量部、
難燃剤〔トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、品番:TMCPP〕20重量部、
発泡剤として水8重量部、
KL-26:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.26〕2重量部及びDMAEPA:3-(2-ジメチルアミノエトキシ)プロピルアミン2重量部からなるポリウレタン製造用触媒から得られたポリオール混合物と、
ポリイソシアネート成分〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕を備える、硬質ポリウレタンフォームの原料。」の発明が記載されているといえる。
4 対比・判断
(1)甲1発明1~12を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明2
(ア)甲1発明1~12との対比
本件特許発明2と甲1発明1~12を対比すると、甲1発明1~12の「硬質ポリウレタンフォームの原料」は本件特許発明1の「地山固結剤」と「剤」の限りにおいて一致するから、両者は少なくとも次の相違点1において相違する。。
<相違点1>
剤が、本件特許発明2では地山固結剤であるのに対し、甲1発明1~12はそのような特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点1>について検討すると、剤が地山固結剤である点は、実質的な相違点である。
そして、甲1には甲1発明1~12の硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として広く利用できるものであることが、記載されているが(摘記1c参照)、甲1発明1~12の硬質ポリウレタンフォームを地山固結剤とすることについて記載も示唆もない。
ここで、甲4には、土質の安定強化止水用注入薬液組成物を構成する、アミン化合物およびポリオールを含有する(A)成分とイソシアネート化合物を含有する(B)成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂組成物が、記載されており(摘記4a参照)、甲5には、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水、シールド掘削工事などでの地山とコンクリートセグメントの間の空隙などの充填、土砂・岩石、レンガ、石炭などの空洞の封止、さらにコンクリートなどの人工構造物のクラック、空隙などの安定強化止水工法およびそれに用い、硬質発泡ポリウレタンの固結体が形成される、ポリオール及び有機ポリイソシアネート化合物を含む土質などの安定化用注入薬液組成物が、記載されており(摘記5a、5b、5c参照)、甲6には、破砕帯を有する岩盤や地盤の固結安定化に用い、発泡状硬質ポリウレタン固結体を形成する、ポリオールと有機ポリイソシアネートを含む液状成分が、記載されており(摘記6a、6b参照)、甲4~甲6には、ポリオール及び有機ポリイソシアネートを含む組成物が、硬質ポリウレタンフォームを形成し、地山固結剤として用いられることが、記載されているといえる。
しかし、甲4~甲6には、甲1発明1~12のような冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できることについて、記載も示唆もなく、甲2及び甲3にも、甲1発明1~12のような冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できることについて、記載も示唆もなく、また、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できるという出願時の技術常識もない。
そうすると、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として利用される甲1発明1~12の硬質ポリウレタンフォームを甲4~甲6に記載されるような全く技術分野の異なる地山固結剤として利用しようとする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)本件特許発明2の効果について
硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという本件特許発明2の地山固結剤としての効果は、甲1発明1~12の冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームから予測ができない顕著なものであるといえるし、甲4~甲6にも、甲4~甲6に記載の地山固結剤が、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという効果を奏することは、記載されていないし、甲2及び甲3にもそのような効果は記載されていないから、本件特許発明2の前記効果は甲2~甲6の記載から予測ができない顕著なものであるといえる。
(エ)小括
したがって、本件特許発明2は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明及び甲2~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明2を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明2と甲1発明1~甲1発明12との<相違点1>と同じの相違点を有するものであるから、本件特許発明8は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明及び甲2~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(2)甲2発明を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明2
(ア)甲2発明1及び2との対比
本件特許発明2と甲2発明1及び2を対比すると、甲2発明1及び2の「ポリウレタンフォームの原料」は本件特許発明2の「地山固結剤」と「剤」の限りにおいて一致するから、両者は少なくとも次の相違点2において相違する。
<相違点2>
剤が、本件特許発明2では地山固結剤であるのに対し、甲2発明1及び2はそのような特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点2>について検討すると、剤が地山固結剤である点は、実質的な相違点である。
そして、甲2には甲2発明1及び2の硬質ポリウレタンフォームは、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されていることが、記載されているが(摘記2b参照)、甲2発明1及び2の硬質ポリウレタンフォームを地山固結剤とすることについて記載も示唆もない。
ここで、甲4には、土質の安定強化止水用注入薬液組成物を構成する、アミン化合物およびポリオールを含有する(A)成分とイソシアネート化合物を含有する(B)成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂組成物が、記載されており(摘記4a参照)、甲5には、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水、シールド掘削工事などでの地山とコンクリートセグメントの間の空隙などの充填、土砂・岩石、レンガ、石炭などの空洞の封止、さらにコンクリートなどの人工構造物のクラック、空隙などの安定強化止水工法およびそれに用い、硬質発泡ポリウレタンの固結体が形成される、ポリオール及び有機ポリイソシアネート化合物を含む土質などの安定化用注入薬液組成物が、記載されており(摘記5a、5b、5c参照)、甲6には、破砕帯を有する岩盤や地盤の固結安定化に用い、発泡状硬質ポリウレタン固結体を形成する、ポリオールと有機ポリイソシアネートを含む液状成分が、記載されており(摘記6a、6b参照)、甲4~甲6には、ポリオール及び有機ポリイソシアネートを含む組成物が、硬質ポリウレタンフォームを形成し、地山固結剤として用いられることが、記載されているといえる。
しかし、甲4~甲6には、甲2発明1及び2のような、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている硬質ポリウタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できることについて、記載も示唆もなく、甲2及び甲3にも、甲2発明1及び2のような、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている硬質ポリウタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できることについて、記載も示唆もなく、また、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている硬質ポリウタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できるという出願時の技術常識もない。
そうすると、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている甲2発明1及び2の硬質ポリウレタンフォームを甲4~甲6に記載されるような全く技術分野の異なる地山固結剤として利用しようとする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)本件特許発明2の効果について
硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという本件特許発明2の地山固結剤としての効果は、甲2発明1及び2の断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている硬質ポリウレタンフォームから予測ができない顕著なものであるといえるし、甲4~甲6にも、甲4~甲6に記載の地山固結剤が、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという効果を奏することは、記載されていないし、甲1及び甲3にもそのような効果は記載されていないから、本件特許発明2の前記効果は甲1及び甲3~甲6の記載から予測ができない顕著なものであるといえる。
(エ)小括
したがって、本件特許発明2は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明2を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明2と甲2発明1及び2の<相違点2>と同じ相違点を有するものであるから、本件特許発明8は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
(3)甲3発明を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明2
(ア)甲3発明1~5との対比
本件特許発明2と甲3発明1~5を対比すると、甲3発明1~5の「硬質ポリウレタンフォームの原料」は、本件特許発明2の「地山固結剤」と「剤」の限りにおいて一致するから、両者は少なくとも次の相違点3において相違する。
<相違点3>
剤が、本件特許発明1では地山固結剤であるのに対し、甲3発明1~5はそのような特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点3>について検討すると剤が地山固結剤である点は、実質的な相違点である。
そして、甲3には、甲3発明1~4の硬質ポリウレタンフォームは、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得ることが、記載されておいるが(摘記3b参照)、甲3発明1~4の硬質ポリウレタンフォームを地山固結剤とすることについて記載も示唆もない。
ここで、甲4には、土質の安定強化止水用注入薬液組成物を構成する、アミン化合物およびポリオールを含有する(A)成分とイソシアネート化合物を含有する(B)成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂組成物が、記載されており(摘記4a参照)、甲5には、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水、シールド掘削工事などでの地山とコンクリートセグメントの間の空隙などの充填、土砂・岩石、レンガ、石炭などの空洞の封止、さらにコンクリートなどの人工構造物のクラック、空隙などの安定強化止水工法およびそれに用い、硬質発泡ポリウレタンの固結体が形成される、ポリオール及び有機ポリイソシアネート化合物を含む土質などの安定化用注入薬液組成物が、記載されており(摘記5a、5b、5c参照)、甲6には、破砕帯を有する岩盤や地盤の固結安定化に用い、発泡状硬質ポリウレタン固結体を形成する、ポリオールと有機ポリイソシアネートを含む液状成分が、記載されており(摘記6a、6b参照)、甲4~甲6には、ポリオール及び有機ポリイソシアネートを含む組成物が、硬質ポリウレタンフォームを形成し、地山固結剤として用いられることが、記載されているといえる。
しかし、甲4~甲6には、甲3発明1~4のような、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得る硬質ポリウタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できることについて、記載も示唆もなく、甲1及び甲2にも、甲3発明1~4のような、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得ることについて、記載も示唆もなく、また、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得る硬質ポリウタンフォームを全く技術分野の異なる地山固結剤として利用できるという出願時の技術常識もない。
そうすると、建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得る甲3発明1~4の硬質ポリウレタンフォームを甲4~甲6に記載されるような全く技術分野の異なる地山固結剤として利用しようとする動機付けがあるとはいえない。
(ウ)本件特許発明2の効果について
硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという本件特許発明2の地山固結剤としての効果は、甲3発明1~4の建材、冷凍倉庫、浴槽、配管等の断熱材、戸建住宅、マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用し得る硬質ポリウレタンフォームから予測ができない顕著なものであるといえるし、甲4~甲6にも、甲4~甲6に記載の地山固結剤が、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有するという効果を奏することは、記載されていないし、甲2及び甲3にもそのような効果は記載されていないから、本件特許発明2の前記効果は甲1、甲2及び甲4~甲6の記載から予測ができない顕著なものであるといえる。
(エ)小括
したがって、本件特許発明2は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明及び甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
イ 本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明2を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明2と甲3発明1~甲3発明5との<相違点3>と同じ相違点を有するものであるから、本件特許発明8は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものでもない。
第9 前記第7 1(3)理由3(サポート要件)のうちイについて
本件特許発明2が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することにあると認められる。
ここで、本件特許発明2の「芳香族ポリエーテルポリオール」について、本件明細書の発明の詳細な説明には、芳香族ポリエーテルポリオール(a1-1);アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール(a1-2);アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール(a1-3);ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオールの3点を用いた実施例が前記課題を解決することができることが記載されており、それ以外の芳香族ポリエーテルポリオールも、芳香族とアルキレンオキサイドからなる点で、前記実施例のものと共通するから、地山固結剤において前記実施例に含まれるものと同様の作用を有すると推認でき、他の芳香族ポリエーテルポリオールを含む地山固結剤も前記課題を解決できるといえる。
また、他の芳香族ポリエーテルポリオールを含む地山固結剤が前記課題を解決することができないという技術常識もなく、特許異議申立人らは、前記課題を解決できないことについて、なんら具体的な立証や証拠を示していない。
したがって、芳香族ポリエーテルポリオールについて、実施例の内容を、本件特許発明2の範囲まで拡張乃至一般化できるといえる。
本件特許発明8についても同様である。
第10 前記第7 1(4)理由4(明確性要件)について
(A)成分に関し、本件特許発明2は、「芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む」、「前記(A)成分が他のポリオールをさらに含み」及び「前記他のポリオールが脂肪族ポリオールを含み」と特定されており、何ら不明確な点はない。
また、本件特許発明2及び本件特許発明2を引用する本件特許発明8も明確である。
第11 令和5年6月13日提出の意見書による主張について
1 申立人らの主張
水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールについて
本件訂正発明2は、『前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または他のポリオールとして、水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールを含む』とあり、以下に記載するケース1~ケース3の3つの態様を包含する。
ケース1:(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールのみを含む。
ケース2:(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールおよび他のポリオールを含む。
ケース3:(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の他のポリオールのみを含む。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の表1には、(A)成分に含まれる水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールとして、脂肪族ポリオール(a2-3)、脂肪族ポリオール(a2-4)、又は脂肪族ポリオール(a2-5)の何れかを必須の成分として含む実施例のみが記載され、その記載からケース3の『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールのみを含む』ものが前記課題を解決できることは理解できる。
しかしながら、ケース1の『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールのみを含む』ものと、ケース2の『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールおよび脂肪族ポリオールを含む』ものとが前記課題を解決できることは記載されていない。
そして、本件特許発明の他の記載をみても、ケース1の『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールのみを含む』ものと、ケース2の『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールおよび脂肪族ポリオールを含む』ものが、前記課題を解決できることのメカニズムは記載されておらず、前記課題を解決できるという出願時の技術常識もない。
したがって、『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の他のポリオールのみを含む』前記実施例に記載された内容を、『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールのみを含む』及び『(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の芳香族ポリオールおよび他のポリオールを含む』の態様が包含される本件訂正発明2の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項2の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(A)成分が、水酸基価700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールのみ、を含むことを特定していない本件特許発明3~8についても同様である。
したがって、本件訂正特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
2 当審の判断
前記ケース1及びケース2においてもケース3と同様に水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールを含んでおり、本件訂正により水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%であると特定され、実施例の記載から、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%であるものは前記課題を解決できると理解できるから、前記ケース1及びケース2であっても、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%であれば、ケース3と同様に前記課題を解決できると推認できる。
また、特許異議申立人らは、前記ケース1及びケース2において、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールの量が前記(A)成分全量に対して3~25質量%であっても、前記課題を解決できないことについて、なんら具体的な立証や証拠を示していない。
したがって、本件特許発明2及び8は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであるとはいえない。
第12 令和5年12月13日提出の意見書による主張について
1 申立人らの主張
本件訂正発明1が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することにあると認められる。
・・・
本件訂正発明1は、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールを含むことが限定されています。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の表1(段落[0084])には、実施例1~7,9,10に、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールを、(A)成分全量に対して3~25質量%含む実施例のみが記載されている。当該記載から、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの最が、(A)成分全量に対して3~25質量%含む場合に前記課題を解決できることは理解できる。
なお、本件訂正発明2では、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの董が、(A)成分全址に対して3~25質量%と特定されており、本件訂正発明2は、前記課題を解決できることが理解できる。
しかしながら、本件訂正発明1では、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの蓋が特定されておらず、また、水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールが(A)成分中の量に係わらず前記課題を解決できるという出願時の技術常識もない。
したがって、『水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が、(A)成分全量に対して3~25質量%』の範囲で前記実施例に記載された内容を、そうした水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの量が特定されない本件訂正発明1の範囲まで拡張乃至一般化できるとはいえず、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(A)成分全最に対する水酸基価が700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオールの最を特定していない本件特許発明3~8についても同様である。
したがって、本件訂正特許1は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 当審の判断
本件訂正により本件特許発明1、3~7は削除され、本件特許発明8は本件特許発明2のみを引用するものとなったため、前記1の理由はない。
第13 むすび
以上のとおりであるから、令和5年3月2日付けの取消理由通知、同年8月31日付けの取消理由通知、令和6年1月24日付けの取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2及び8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2及び8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件訂正前の請求項1、3~7は本件訂正により削除されたため、請求項1、3~7についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701156