特許異議申立
2022-701152
水添共重合体組成物、粘接着材組成物及び粘接着フィルム
- 審判番号
- 2022-701152
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-560053
- 登録番号
- 7079859
- 請求日
- 2022年11月21日
- 審決日
- 2023年11月06日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】旭化成株式会社
- 【権利者代理人】稲葉 良幸
- 【権利者代理人】内藤 和彦
- 【権利者代理人】岩崎 正路
- 【権利者代理人】大貫 敏史
- 【権利者代理人】江口 昭彦
- 【異議申立人】八木 峰子
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼澤 英一
- 審判官 藤井 勲
- 審判官 近野 光知
- 分類
- P1651.536-YAA(C08L) / P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L) / P1651.537-YAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第7079859号発明「水添共重合体組成物、粘接着材組成物及び粘接着フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7079859号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。
特許第7079859号の請求項5に係る特許に対する申立てを却下する。
特許第7079859号の請求項1ないし4、6、7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7079859号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、令和1年12月6日を出願日(優先日 平成30年12月7日)として出願人旭化成株式会社により出願されたものであって、令和4年5月25日にその特許権の設定登録がされ、同年6月2日に特許掲載公報が発行された。その後、同年11月21日に、特許異議申立人である八木峰子(以下「申立人」という。)により、「特許第7079859号の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」という趣旨の本件特許異議の申立てがされた(以下、当該申立てを「申立て」という。)。
申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和5年 2月20日付け 取消理由通知
同年 4月11日提出 意見書の提出(特許権者)
同年 5月30日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 7月28日提出 訂正の請求及び意見書の提出(特許権者)
同年 8月 8日付け 訂正請求があった旨の通知(申立人宛て)
なお、申立人に対して、令和5年8月8日付け通知書により、訂正請求があった旨の通知をしたが、申立人からの応答はなかった。
第2 訂正の可否についての判断
1 訂正の内容
以下、令和5年7月28日に提出された訂正請求書により請求された訂正を「本件訂正」という。また、設定登録時の本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を「本件明細書等」という。
本件訂正の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は当審で付与した。)。
・訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における
「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);
を含む、水添共重合体組成物であって、
前記成分(a)が、5万~12万のピークトップ分子量を有し、
前記成分(b)が、前記成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有し、
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mo1%以上が水素添加されており、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であり、
前記水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分であり、
前記水添共重合体組成物のキャピラリー粘度が300~600Pa・sであり、
前記キャピラリー粘度をC[Pa・s]とし、前記MFRをM[g/10分]とした場合、(式1):
C≦-20.8M+754.2 (式1)
の関係を満たす、
前記水添共重合体組成物、及び
粘着付与剤樹脂
を含む、粘接着材組成物。」
との記載を、
「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);
を含む、水添共重合体組成物であって、
前記成分(a)が、5万~12万のピークトップ分子量を有し、
前記成分(b)が、前記成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有し、
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mo1%以上が水素添加されており、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であり、
前記水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分であり、
前記水添共重合体組成物のキャピラリー粘度が300~600Pa・sであり、
前記キャピラリー粘度をC[Pa・s]とし、前記MFRをM[g/10分]とした場合、(式1):
C≦-20.8M+754.2 (式1)
の関係を満たし、
前記成分(a)及び前記成分(b)がそれぞれ以下の式で表される、
成分(a):B2-A1-B1及び/又はB2-Al-B1-X
成分(b):(B2-A1-B1)nX
[式中、
A1は、ビニル芳香族単量単位を主体とする重合体ブロックであり、
B1及びB2は、それぞれ独立して、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
nは、2以上の整数であり、
Xは、カップリング剤の残基である]
前記水添共重合体組成物、及び
粘着付与剤樹脂
を含む、粘接着材組成物。」
に訂正する。
・訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
・訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6における
「請求項5に記載の粘接着材組成物。」
との記載を、
「請求項1に記載の粘接着材組成物。」
に訂正する。
・訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7における
「請求項1~6のいずれかに記載の粘接着材組成物」との記載を、
「請求項1~4及び6のいずれかに記載の粘接着材組成物」
に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無について
・訂正事項1について
訂正事項1は、「成分(a)」及び「成分(b)」について、それぞれ特定の構造を有する化学式で限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更にあたらない。
また、訂正事項1において、「成分(a)」及び「成分(b)」が化学式で特定しているところ、訂正前の請求項5に同様の特定が記載されていたものであるから、新規事項の追加にあたらない。
・訂正事項2について
訂正事項2は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更、新規事項の追加にあたらない。
・訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項2により本件訂正前の請求項6が引用する請求項5が削除されたところ、該請求項5が請求項1~4のいずれかを引用する形式であったことから、本件訂正後の請求項6が請求項1を引用する形式へと訂正されたものであり、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3により訂正される請求項6は、本件訂正前の請求項1を引用する請求項5を、さらに引用する請求項6として記載されていたものであるから、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更、新規事項の追加にあたらない。
・訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項2により本件訂正前の請求項5が削除されたため、請求項7において引用する請求項の中から請求項5を除くものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項7において引用する請求項の中から請求項5を除く訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更、新規事項の追加にあたらない。
4 独立特許要件の規定について
本件においては、本件訂正前の請求項1~7について特許異議の申立てがされているので、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
5 まとめ
よって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる目的に適合し、また、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。
第3 本件訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~7に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいい、これらをまとめて、「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);
を含む、水添共重合体組成物であって、
前記成分(a)が、5万~12万のピークトップ分子量を有し、
前記成分(b)が、前記成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有し、
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mol%以上が水素添加されており、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であり、
前記水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分であり、
前記水添共重合体組成物のキャピラリー粘度が300~600Pa・sであり、
前記キャピラリー粘度をC[Pa・s]とし、前記MFRをM[g/10分]とした場合、(式1):
C≦-20.8M+754.2 (式1)
の関係を満たし、
前記成分(a)及び前記成分(b)がそれぞれ以下の式で表される、
成分(a):B2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-X
成分(b):(B2-Al-Bl)nX
[式中、
A1は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
B1及びB2は、それぞれ独立して、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
nは、2以上の整数であり、
Xは、カップリング剤の残基である]
前記水添共重合体組成物、及び
粘着付与剤樹脂
を含む、粘接着材組成物。
【請求項2】
前記成分(a)/前記成分(b)が質量比率で60/40~10/90である、請求項1に記載の粘接着材組成物。
【請求項3】
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位のビニル化率が40mol%~70mol%である、請求項1又は2に記載の粘接着材組成物。
【請求項4】
前記ビニル化率が40mo1%~61.9mo1%である、請求項3に記載の粘接着材組成物。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記水添共重合体組成物に含まれるB2の含有量が、前記組成物を基準として、3~10質量%である、請求項1に記載の粘接着材組成物。
【請求項7】
請求項1~4及び6のいずれかに記載の粘接着材組成物を含む、粘接着フィルム。」
第4 特許異議申立書の申立理由と当審が通知した取消理由
1 特許異議申立書(以下「申立書」ということがある。)の申立理由
(1)申立理由1(甲第1号証を主引用例とする新規性)
本件訂正前の請求項1~4、7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲第1号証を主引用例とする進歩性)
本件訂正前の請求項1~7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明及び従来技術に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)申立理由3(実施可能要件)
本件訂正前の特許請求の発明1~7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
具体的な理由の概要は以下のとおり。
本件発明1は、水添共重合体組成物が「(式1):C≦-20.8M+754.2の関係を満たす」と規定されているが、本件明細書等にはどのようにすればこの関係を満たす水添共重合体組成物が得られるのか、発明の詳細な説明に具体的に記載されておらず、本件明細書等の段落【0052】には、「上記式(1)を満たすためには特定のポリマー構造を有する必要があり、・・・、これらを兼ね備えていても、従来の一般的な構造のポリマーでは、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できないので、次のような観点で具体的な構造を設計するのが好ましい。」と記載されているが、本件明細書等の実施例に記載された製造例1~54を参酌しても従来の一般的な構造のポリマーが製造されており、どのようにすれば高剪断時と低剪断時の粘度ギャップを実現して、上記一般式(1)の関係を満たす水添共重合体組成物が得られるのか不明である。
(4)申立理由4(サポート要件)
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~7に係る特許は、同各項に記載された特許を受けようとする発明が、記載不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものではなく、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。
具体的な理由の概要は以下のとおり。
本件明細書等の段落【0052】には、「上記式(1)を満たすためには特定のポリマー構造を有する必要があり、・・・、これらを兼ね備えていても、従来の一般的な構造のポリマーでは、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できないので、次のような観点で具体的な構造を設計するのが好ましい。」と記載され、同【0053】~【0056】に課題を解決し得る具体的な設計例1~3が記載されており、本件発明1の発明特定事項のみでは、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できる構造のポリマーが特定されているとはいえない。
2 証拠方法
(1)申立人が、申立書に添付した証拠は、以下のとおりである。
・甲第1号証:国際公開第2007/126081号
・甲第2号証:特開2016-20508号公報
・甲第3号証:特開2014-129479号公報
(以下、甲第1号証~甲第3号証をそれぞれ「甲1」~「甲3」という。)
3 当審が通知した令和5年5月30日付け取消理由(決定の予告)
・取消理由1(実施可能要件)
本件訂正前の特許請求の発明1~4、7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
具体的な理由の概要は以下のとおり。
本件明細書等の段落【0033】には、水添共重合体組成物を構成する成分(a)及び成分(b)として、A1-B1、B2-A1-B1、(A1-B1)nX、(B2-A1-B1)nX等で表されるものが好ましいと記載されている一方で、実施例では、例えば製造例21等で用いられたA1-B1及び(A1-B1)nXの組み合わせである水添共重合体組成物において、式(1)の関係を満たさない場合があるところ、同【0047】、【0050】には、式(1)を構成するMFR、キャピラリー粘度が単量体添加量、重合時間、温度、重合開始剤等の重合条件を調製することで制御できると記載されているものの、どのように調整すればよいのか具体的な指針が示されておらず、当業者に過度の試行錯誤を強いるものである。
第5 当審の判断
1 取消理由1(実施可能要件)について
取消理由1と申立理由3(実施可能要件)とを併せて検討する。
(1)実施可能要件の判断基準
特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明には、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載しなければならない旨規定するところ、発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件に適合するか否かは、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるか否かという観点から判断されるべきであると解される。
以下、この判断基準に則って検討する。
(2)本件明細書等に記載された事項
本件明細書等には、以下の記載がある。
「【0007】
本発明者が検討したところによると、粘着層の厚みムラは、成形加工時の問題としてとらえられるばかりでなく、粘着力、粘着昂進に影響を与える。また、粘着層の厚みムラがあると、フィルムの浮きや糊残りや剥離時のジッピングが起こるため、抑制されることが特に重要である。初期粘着力、粘着昂進の抑制、粘着層の厚みムラの抑制を高度にバランスよく兼ね備えるという点においては、従来の樹脂組成物は依然改善の余地がある。
【0008】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、粘接着材として使用した際、初期粘着力、粘着昂進の抑制、粘着層の厚みムラの抑制のバランスに優れる、水添共重合体組成物、粘接着材組成物及び粘接着フィルムを提供することを目的とする。」
「【0018】
成分(a)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBと、を含む。成分(a)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBの数はそれぞれ、1つでもよいし、複数でもよい。」
「【0022】
成分(b)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBと、を含む。成分(b)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBは、それぞれ、成分(a)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBと、同一であってもよいし、相違していてもよい。成分(b)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBの数はそれぞれ、1つでもよいし、複数でもよい。」
「【0028】
成分(a)のピークトップ分子量は、5万~12万であり、好ましくは6万~11万であり、より好ましくは7万~10万である。成分(a)のピークトップ分子量が5万以上であると、粘着昂進抑制、成型加工性に優れる。成分(a)のピークトップ分子量が12万以下であると、粘着性、成型加工性に優れる。ピークトップ分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(溶媒:テトラヒドロフラン、温度:40℃)で得られるピークのトップに対応する分子量を、標準ポリスチレン検量線から求めることにより決定できる。
【0029】
成分(b)のピークトップ分子量は、成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍であり、好ましくは1.9~3.7倍であり、より好ましくは2.0倍~3.6倍であり、とてもより好ましくは2.1倍~3.5倍である。成分(b)のピークトップ分子量が上記の範囲内であると、成型加工性に優れる。
【0030】
成分(a)/成分(b)は、質量比率で、好ましくは60/40~10/90であり、より好ましくは55/45~20/80であり、更に好ましくは50/50~30/70である。成分(b)の質量比率が40以上であると、粘着力、粘着昂進抑制に優れる。成分(b)の質量比率が90質量以下であると、成型加工性に優れる。
【0031】
成分(a)及び成分(b)を含む水添共重合体組成物を得るための手法は特に限定されない。例えば、成分(a)及び成分(b)をそれぞれ重合及び水素添加し、これらを適当な比率で溶液ブレンドしてもよいし、ドライブレンドしてもよい。生産性の観点からは、成分(a)を重合し、成分(a)の一部をカップリング反応させて、成分(b)を形成して、成分(a)及び成分(b)を含む共重合体組成物を一括で得、これを水素添加することが好ましい。」
「【0033】
成分(a)及び成分(b)は、それぞれ独立して、以下の式で表されることが好ましい。
A1-B1、B2-A1-B1、A1-B1-A2、B2-A1-B1-A2、B2-A1-B1-X、(A1-B1)nX、又は(B2-A1-B1)nX[式中、
A1及びA2は、それぞれ独立して、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
B1及びB2は、それぞれ独立して、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
nは2以上の整数であり、
Xはカップリング剤の残基である。]
【0034】
粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性の観点から、成分(a)及び/又は成分(b)は、カップリング構造を有することが好ましい。後述するキャピラリー粘度とメルトフローレートとの関係式(1)を満たす観点、並びに粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性のバランスを高度に達成することができる観点から、成分(a)はB2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-Xで表される構造を有することが好ましく、成分(b)は(B2-A1-B1)nXで表される構造を有することが好ましい。
【0035】
nは、好ましくは2~4の整数であり、より好ましくは3又は4である。例えば、カップリング剤としてテトラエトキシシランを使用し、パドル翼等の攪拌機条件下、添加時の温度を100℃以下で攪拌時間の調整を行う事でnを3又は4に制御する事が可能である。」
・・・
【0037】
本実施形態の水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、好ましくは6~17質量%であり、より好ましくは8~12質量%である。ビニル芳香族単量体単位の含有量が18質量%以下であれば、粘着性、成型加工性がより良好になる。ビニル芳香族単量体単位の含有量が5質量%以上であれば、粘着昂進を抑制でき、成型加工性も良好になる傾向にある。
・・・
【0039】
水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族化合物の添加量を調整することにより、前記所定の数値範囲に制御することができる。
【0040】
水添共重合体組成物中の全てのビニル芳香族単量体単位の含有量に対する、水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体ブロックの含有量を、「ビニル芳香族単量体ブロック化率」、又は単に「ブロック化率」と呼ぶ。なお、ビニル芳香族単量体ブロックとは、連続する3つ以上のビニル芳香族単量体単位の集合であり、そのシグナルは1H-NMRで検出することができる。本実施形態の水添共重合体組成物のブロック化率は、75質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。ブロック化率が75質量%以上であれば、粘着昂進抑制、成型加工性に優れる傾向にある。ブロック化率は、実施例に記載のとおり、1H-NMRにより測定することができる。
・・・
【0044】
本実施形態の水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合は水素添加されている。水素添加されている共役ジエン単量体単位の二重結合の割合(以下「水添率」)は、81mol%以上であり、好ましくは85mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上である。水添率が81%以上であれば、粘着昂進を抑制でき、成型加工性に優れ、成型時の劣化が抑えられ、ゲルの発生を抑制できる。
【0045】
前記水添率は、例えば、水添時の触媒量、水素フィード量を調整することによって制御することができる。なお、水添速度は、例えば、水添時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等を調整することにより制御することができる。また、前記水添率は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。」
「【0046】
本実施形態の水添共重合体組成物のメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。ISO 1133に準拠)は、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で、4~20g/10分であり、好ましくは5~18g/10分であり、更に好ましくは6~16g/10分である。MFRが20g/10分以下であれば、粘着力と粘着昂進抑制のバランスに優れる。MFRが4g/10分以上であれば、成型加工性に優れる。
【0047】
水添共重合体組成物のMFRは、単量体添加量、重合時間、温度、重合開始剤等の重合条件を調整することにより制御することができ、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0048】
本実施形態の水添共重合体組成物のキャピラリーレオメーター測定粘度(以下、「キャピラリー粘度」ともいう。)は、温度230℃、せん断速度121.6sec-1の条件下で、300~600Pa・sであり、好ましくは350~580Pa・sであり、更に好ましくは370~560Pa・sである。このキャピラリー粘度は、ISO11443に準拠して測定した値であるが、バーグレー補正やラビノビッチ補正をしていない、いわゆる「みかけの粘度」であり、測定装置条件により大きく測定値が変わるため、測定装置の条件を下記の通り指定する。下記数値の精度や下記に指定していない条件に関してはISO11443に準拠する。
・キャピラリーダイ内径:φ1.0mm
・キャピラリーダイ長:10.0mm
・流入角:180°
・ピストン径:φ9.510mm
・炉体経:φ9.55mm
【0049】
前記キャピラリー粘度が600Pa・s以下であれば、成型加工性に優れ、300Pa・s以上であれば、粘着力と粘着昂進抑制のバランスに優れる。
【0050】
水添共重合体組成物のキャピラリー粘度は、単量体添加量、重合時間、温度、重合開始剤等の重合条件を調整することにより制御することができ、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0051】
本実施形態の水添共重合体組成物のキャピラリー粘度(C)及びMFR(M)は、以下の式(1):
C≦-20.8M+754.2 (式1)
の関係を満たす。式(1)は、複数の水添共重合体組成物のキャピラリー粘度及びMFRと成形加工性との関係を詳細に検討した結果として導き出されたものである。MFRとキャピラリー粘度はどちらも粘度の指標であるので、当然に相関があるものの、MFRは低剪断を反映し、キャピラリー粘度は一定の条件に設定(温度230℃、剪断速度121.6sec-1)することで高剪断時の粘度を反映すると考えられる。本発明は、組成物の成型加工時には高せん断が与えられることに着目し、キャピラリー粘度を低くすることで成形加工性厚みムラを抑制しうると考えた。一方、フィルム成形後に使用される環境は、低剪断が与えられる条件に近く、低MFRほど粘着力が高く、粘着昂進も起こりにくいと考えた。式(1)の関係を満たすことは、静的な粘度の指標であるMFRに対し、動的な粘度の指標であるキャピラリー粘度が従来の設計ではなし得ない程度に低いことを意味する。MFRと式(1)の関係を両立することで、低剪断時と高剪時の粘度が上述のように好ましい範囲を満たすため、水添共重合体組成物の成型加工性と粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスに優れる。具体的には、例えば、フィルム押出機を使用した共押出成型において、粘着層に厚みムラが生じにくく、粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスも良好である。
【0052】
上記式(1)を満たすためには特定のポリマー構造を有する必要があり、
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);
を含む、水添共重合体組成物であって、
前記成分(a)が、5万~12万のピークトップ分子量を有し、
前記成分(b)が、前記成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有し、
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mol%以上が水素添加されており、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であるという要件を満たす必要があるが、これらを兼ね備えても、従来の一般的な構造のポリマーでは、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できないので、次のような観点で具体的な構造を設計するのが好ましい。
【0053】
(設計例1)
上記ビニル芳香族単量体量の範囲内で、分子内にビニル芳香族単量体ブロックを複数設け、かつ、ビニル芳香族単量体ブロックを異鎖長化する。
これにより、ビニル芳香族単量体ブロック(大)とビニル芳香族単量体ブロック(小)を同一分子鎖内に形成できる。MFR測定のような低せん断での粘度は、ビニル芳香族単量体ブロック(小)の寄与が大きいために高粘度を維持する。
一方、キャピラリー粘度のような高せん断での粘度は、ビニル芳香族単量体ブロック(小)の影響が相対的に小さくなり低粘度化する。この結果、MFRを維持したまま、キャピラリー粘度のみを低下させることが期待できる。
分子量や水添率などにもよるが、スチレンブロック(大)は、10000~20000程度の分子量であり、かつ、スチレンブロック(小)と比較し、5倍~10倍の分子量を持つ程度に設定するのが好ましい。
【0054】
(設計例2)
異分子間のビニル芳香族単量体ブロックの大きさが異なる2種類以上のポリマーを混ぜる。(同一分子鎖内のビニル芳香族単量体ブロックの大きさは同じ)
設計例1と同様に、大きさの異なるビニル芳香族単量体ブロックの影響で、高剪断時と低剪断時の粘度が異なる効果を期待できる。
【0055】
(設計例3)
キャピラリー粘度のような高せん断条件下では、一旦分子差が乖離(開裂)して、その後元に戻るような特殊な官能基を分子鎖に導入する。これにより、低剪断時の粘度を維持したまま、高剪断時の粘度のみを低下させる効果が期待できる。このような効果を奏し得る官能基の例として、非共有結合性の官能基が挙げられ、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、ウレア基、イミド基、グアニジノ基などが挙げられる。」
「【0057】
〔水添共重合体組成物の製造方法〕
本実施形態の水添共重合体組成物は、例えば、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合を行い、共重合体を得た後、水素化反応を行う
ことにより製造することができる。
【0058】
重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。分子量分布が狭い共重合体を得る観点からは、バッチ重合方法が好ましい。」
「【0085】
〔粘接着材組成物〕
本実施形態の粘接着材組成物は、本実施形態の水添共重合体組成物を含む。
【0086】
本実施形態の粘接着材組成物は粘着付与樹脂を含んでもよい。」
「【実施例】
【0155】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0156】
実施例及び比較例に適用した、物性の測定方法及び評価方法について下記に示す。
【0157】
<ピークトップ分子量>
ピークトップ分子量を、GPC〔装置:ウォーターズ製〕で測定した。
GPC測定では、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、温度を40℃とした。
GPC測定で得られたクロマトグラフにおいて、最も高いピークトップを有するピーク(「第1ピーク」という。)及び次に高いピークトップを有するピーク(「第2ピーク」という。)のピークトップ分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して、求めた。第1ピーク及び第2ピークのうち、より小さいピークトップ分子量を有するものを成分(a)に対応するピークとし、より大きいピークトップ分子量を有するものを成分(b)に対応するピークとした。
【0158】
<成分(a)及び成分(b)の質量比率>
上記GPC測定で得られたクロマトグラフにおける各ピークを、各ピーク間曲線の変曲点で垂直分割した。ピークの総面積に対する、第1ピークの面積の比率、及び第2ピークの面積の比率をそれぞれ求めた。第1ピークの面積比率及び第2ピークの面積比率に基づき、成分(a)及び成分(b)の質量比率を求めた。
【0159】
なお、各ピーク間変曲点は、EcoSEC波形分離ソフトを用いたガウシアン近似によるフィッティング処理により分割された各ピークが交差する点とした。
【0160】
<水添共重合体組成物のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)(スチレン含有量)>
一定量の水添共重合体組成物をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV-2450)にて測定した。ビニル芳香族化合物(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度に基づき、検量線を用いて、水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量(スチレン含有量)を算出した。
【0161】
<水添共重合体組成物のビニル芳香族単量体ブロック化率、ビニル化率、共役ジエン化合物由来の二重結合の水添率>
水添共重合体組成物中のブロック化率、ビニル化率、水添率を、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
なお、測定においては、水添反応後の反応液を、大量のメタノール中に投入させることで、水添共重合体組成物を沈殿させて回収した。次いで、水添共重合体組成物をアセトンで抽出し、抽出液を真空乾燥し、1H-NMR測定のサンプルとして用いた。1H-NMR測定の条件を以下に記す。
【0162】
(測定条件)
測定機器:JNM-LA400(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:CDCl3(重水素化クロロホルム)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:256回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
【0163】
<水添共重合体組成物のMFR(メルトフローレート)>
ISO 1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、水添共重合体組成物のMFR[g/10分]を測定した。
【0164】
<水添共重合体組成物のキャピラリー粘度>
キャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製、商品名:キャピログラフ1D、型式:PM-C)を用いて、温度を230℃、せん断速度を12.2sec-1~12160sec-1の条件で水添共重合体組成物を連続的に測定し、121.6sec-1での値を求めた。なお、単位はPa・sとした。
【0165】
<初期粘着性、粘着昂進性>
粘着強度の測定装置として、万能引張圧縮試験機「テクノグラフTGE-500N:(株)ミネベア製」を用いた。
温度23℃×50%相対湿度中で、下記のとおり作製した粘接着フィルムを25mm幅にしたものをPMMA板(表面の算術平均粗さ:0.1μm)に貼り付け、さらに重さ2kgのゴムロール(直径10cm)を転がして貼り付け、30分間放置し、その後、引き剥がし速度を300mm/分として粘着強度を測定した。
温度23℃×50%相対湿度中で「180度引き剥がし試験」を行い、初期粘着性と粘着昂進性の2種類について評価した。
なお、初期粘着性については初期の粘着強度を測定した。粘着昂進性については、作製した粘接着フィルムを上述した方法で貼り付けた後、ギアーオーブン内で80℃×1時間加熱して粘着を促進させ、30分間測定環境に放置した。その後、上述した方法により粘着強度を測定した。初期粘着性及び粘着昂進性はそれぞれ、下記の基準により評価した。なお、前記「180度引き剥がし試験」は、JIS Z0237の規格に準じて行った。下記表2及び表4において、初期粘着性、粘着昂進性の評価結果を示す。
【0166】
・初期粘着性
○:400g以上/25mmの粘着強度
△:300以上400g未満/25mmの粘着強度
×:0以上300g未満/25mmの粘着強度
・粘着昂進性
○:初期粘着強度に対して1.5倍以内の粘着強度
△:初期粘着強度に対して1.5倍超2.0倍以内の粘着強度
×:初期粘着強度に対して2.0倍超の粘着強度
【0167】
<成型加工性>
粘着層厚みを測定し、成形時の厚みムラを測定した。厚み測定用サンプルは、共押出物[サンプル幅(TD方向)50cm、サンプル長さ(MD方向)2m、基材層厚み50μm、粘着層厚み8μm]から片刃カミソリで切り出した。具体的には、共押出物のTD方向の中央、及び両端から5cmの3箇所を、MD方向に等間隔で6回切り出し、合計で18個のサンプルを作成した。マイクロスコープ「VHX-2000:(株)キーエンス」で、サンプルのMD方向の断面を計測することで、粘着層の厚みを標準偏差で求めた。
○:粘着層厚みの標準偏差が2.0μm以下
△:粘着層厚みの標準偏差が2.0超4.0μm以下
×:粘着層厚みの標準偏差が4.0μm超
【0168】
<初期粘着力の変動係数>
上記<成形加工性>の評価で厚みを測定したサンプルを、温度23℃×50%相対湿度中で、PMMA板(表面の算術平均粗さ:0.1μm)に貼り付け、さらに重さ2kgのゴムロール(直径10cm)を転がして貼り付け、30分間放置し、その後、引き剥がし速度を300mm/分として粘着強度を測定した。粘着強度における標準偏差を求め、変動係数を求めた。
○:粘着強度の変動係数が0.01未満
△:粘着強度の変動係数が0.01以上0.05未満
×:粘着強度の変動係数が0.05以上
【0169】
〔ポリプロピレン樹脂組成物の製造〕
表5に示す配合割合(質量部)に基づき、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX-30αII」、シリンダー口径30mm)によって、設定温度220℃で溶融混練してポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
〈射出成型板〉
射出成形温度220℃、金型温度40℃で成形し、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体(厚み2.0mm)を得た。ポリプロピレン樹脂としては、PM970A(PP/サンアロマー製;MFR=30、ブロックポリプロピレン)、無機充填剤としてP-3(日本タルク製)を使用した。
(ポリプロピレン樹脂組成物の物性評価)
<低温引張伸び(-30℃)>
JIS K6251に準拠し、恒温槽付き引張試験機(ミネベア、Tg-5kN)を用いて、-30℃、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で次のとおり引張試験を実施し、破断伸びを評価した。
3:破断伸びが500%以上
2:破断伸びが300%以上500%未満
1:破断伸びが300%未満
<低温耐衝撃性(-30℃)>
ISO 179-1に準拠して評価した。
3:シャルピー衝撃強度が8kJ/m2以上
2:シャルピー衝撃強度が3kJ/m2以上8kJ/m2未満
1:シャルピー衝撃強度が3kJ/m2未満
<成形収縮性>
ISO 294-4に準拠して評価した。
3:収縮率が0.4%未満
2:収縮率が0.4%以上0.8%未満
1:収縮率が0.8%以上
【0170】
〔水添共重合体組成物の製造〕
(水添触媒の調製)
水添共重合体組成物の水素添加反応に用いた水添触媒を下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を調製した。
【0171】
(ポリマーの製造)
以下に記載するA1、A2、B1、B2は、それぞれ下記の重合体ブロックを示す。
A1、A2:スチレンを主体とする重合体ブロック
B1、B2:ブタジエンを主体とする重合体ブロック
【0172】
〔製造例1〕
<ポリマー1:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器(内容積:100L)を使用して、バッチ重合を以下の方法で行った。
【0173】
(第1ステップ)
シクロヘキサン38L、及びブタジエンモノマー3.0質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度40質量%)を張り込み、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」ともいう。)を、下記n-ブチルリチウム(以下「Bu-Li」ともいう。)1モルに対して、0.8モル添加した。その後、温度40℃に調整した後、本製造例で反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量(以下、全モノマーとする。)100質量部に対して、Bu-Liを0.149質量部添加し、60分間、反応器内温度を45℃調整しながら反応を継続させた。
【0174】
(第2ステップ)
スチレンモノマー10.0質量部を投入し、その後さらに20分間、反応器内温度を50℃に調整しながら反応を継続させた。
【0175】
(第3ステップ)
ブタジエンモノマー87.0質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度40質量%)を投入し、その後さらに40分間、反応器内温度を80℃に調整しながら反応を継続させて、ブタジエン-スチレン-ブタジエン共重合体を得た。
【0176】
(第4ステップ)
カップリング剤のテトラエトキシシランを、Bu-Li1モルに対して、0.2モル添加し、ブタジエン-スチレン-ブタジエン共重合体の一部を架橋させた上、反応停止剤としてエタノールをBu-Li1モルに対して0.3モル添加し、ブタジエン-スチレン-ブタジエン共重合体とその架橋物との混合物(共重合体組成物)を得た。
【0177】
(第5ステップ)
上述のようにして調製した水添触媒を用いて、得られた共重合体組成物を80℃で連続的に水素添加し、水添共重合体組成物を得た。触媒量は100ppm、水添重合器内の水素圧は0.8MPaであった。反応終了後に、水添共重合体組成物100質量部に対して、安定剤(オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
・・・
【0196】
〔製造例20〕
<ポリマー20:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器(内容積:100L)を使用して、バッチ重合を以下の方法で行った。
【0197】
(第1ステップ)
シクロヘキサン38L、及びスチレンモノマー9.0質量部を張り込み、TMEDAを、下記Bu-Li1モルに対して、0.8モル添加した。その後、温度40℃に調整した後、本製造例で反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量(以下、全モノマーとする。)100質量部に対して、Bu-Liを0.149質量部添加し、20分間、反応器内温度を50℃調整しながら反応を継続させた。
【0198】
(第2ステップ)
ブタジエンモノマー91.0質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度40質量%)を投入し、その後さらに20分間、反応器内温度を80℃に調整しながら反応を継続させて、スチレン-ブタジエン共重合体を得た。
【0199】
(第3ステップ)
反応停止剤としてエタノールを、Bu-Li1モルに対して、0.4モル添加し、その後、カップリング剤のテトラエトキシシランを、Bu-Li1モルに対して、0.3モル添加し、スチレン-ブタジエン共重合体の一部を架橋させて、スチレン-ブタジエン共重合体とその架橋物との混合物(共重合体組成物)を得た。
【0200】
(第4ステップ)
上述のようにして調製した水添触媒を用いて、得られた共重合体組成物を80℃で連続的に水素添加し、水添共重合体組成物を得た。触媒量は100ppm、水添重合器内の水素圧は0.8MPaであった。反応終了後に、水添共重合体組成物100質量部に対して、安定剤(オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
【0201】
〔製造例21〕
<ポリマー21:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.174質量部に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0202】
〔製造例22〕
<ポリマー22:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.206質量部に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0203】
〔製造例23〕
<ポリマー23:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.138質量部に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0204】
〔製造例24〕
<ポリマー24:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのスチレンモノマー張り込み量を16質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を84質量部に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0205】
〔製造例25〕
<ポリマー25:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのスチレンモノマー張り込み量を7質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を93質量部に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0206】
〔製造例26〕
<ポリマー26:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量を、Bu-Li1モルに対して、1.5モルに変更し、第2ステップの反応器内温度を45℃に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0207】
〔製造例27〕
<ポリマー27:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量を、Bu-Li1モルに対して、0.5モルに変更し、第2ステップの反応器内温度を45℃に変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
・・・
【0217】
〔製造例32〕
<ポリマー32:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して1.40モルに変更し、Bu-Li添加量を0.131質量部に変更し、スチレンモノマー張り込み量を10質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を90質量部に変更し、反応器内温度を45℃に変更し、第3ステップのエタノールを添加せず、カップリング剤をメチルジクロロシランに変更し、メチルジクロロシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.3モルに変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0218】
〔製造例33〕
<ポリマー33:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して0.45モルに変更し、Bu-Li添加量を0.157質量部に変更し、スチレンモノマー張り込み量を13質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を87質量部に変更し、第3ステップのエタノールを添加せず、カップリング剤をメチルジクロロシランに変更し、メチルジクロロシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.25モルに変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0219】
〔製造例34〕
<ポリマー34:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して0.30モルに変更し、Bu-Li添加量を0.103質量部に変更し、スチレンモノマー張り込み量を16質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を84質量部に変更し、第3ステップのエタノールを添加せず、カップリング剤をエポトートZX-1059(新日鐵住金化学株式会社)に変更し、エポトートZX-1059の添加量をBu-Li1モルに対して0.25モルに変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0220】
〔製造例35〕
<ポリマー35:スチレン-ブタジエンの水添物(A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して1.10モルに変更し、Bu-Li添加量を0.098質量部に変更し、スチレンモノマー張り込み量を15質量部に変更し、第2ステップのブタジエンモノマー投入量を85質量部に変更し、第3ステップのエタノールを添加せず、カップリング剤をエポトートZX-1059(新日鐵住金化学株式会社)に変更し、エポトートZX-1059の添加量をBu-Li1モルに対して0.275モルに変更したこと以外は製造例20と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0221】
〔製造例36〕
<ポリマー36:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第4ステップのテトラエトキシシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.28モルに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0222】
〔製造例37〕
<ポリマー37:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第4ステップのテトラエトキシシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.25モルに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0223】
〔製造例38〕
<ポリマー38:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第4ステップのテトラエトキシシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.14モルに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0224】
〔製造例39〕
<ポリマー39:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第4ステップのテトラエトキシシランの添加量をBu-Li1モルに対して0.16モルに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0225】
〔製造例40〕
<ポリマー40:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.097質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0226】
〔製造例41〕
<ポリマー41:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.107質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0227】
〔製造例42〕
<ポリマー42:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.204質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0228】
〔製造例43〕
<ポリマー43:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.141質量部、第2ステップのスチレンモノマー投入量を17.5質量部、第3ステップのブタジエンモノマー投入量を79.5質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0229】
〔製造例44〕
<ポリマー44:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.144質量部、第2ステップのスチレンモノマー投入量を14.5質量部、第3ステップのブタジエンモノマー投入量を82.5質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0230】
〔製造例45〕
<ポリマー45:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.155質量部、第2ステップのスチレンモノマー投入量を5.5質量部、第3ステップのブタジエンモノマー投入量を91.5質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0231】
〔製造例46〕
<ポリマー46:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのBu-Li添加量を0.153質量部、第2ステップのスチレンモノマー投入量を7.0質量部、第3ステップのブタジエンモノマー投入量を90.0質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0232】
〔製造例47〕
<ポリマー47:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップの反応時間を37分に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0233】
〔製造例48〕
<ポリマー48:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップの反応時間を46.5分に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0234】
〔製造例49〕
<ポリマー49:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのブタジエンモノマー張り込み量を1.5質量部、第3ステップのブタジエンモノマー投入量を89.0質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0235】
〔製造例50〕
<ポリマー50:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して1.5モルに変更し、第3ステップの反応器内温度を45℃に変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0236】
〔製造例51〕
<ポリマー51:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第1ステップのTMEDAの添加量をBu-Li1モルに対して0.59モルに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0237】
〔製造例52〕
<ポリマー52:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第5ステップの水添触媒量を63ppmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0238】
〔製造例53〕
<ポリマー53:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第5ステップの水添触媒量を71ppmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0239】
〔製造例54〕
<ポリマー54:ブタジエン-スチレン-ブタジエンの水添物(B2-A1-B1)>
第5ステップの水添触媒量を78ppmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、水添共重合体組成物を得た。
【0240】
製造例1~19、36~54で得られた水添共重合体組成物に含まれる成分(a)及び成分(b)の構造を表1に示す。また、これらの水添共重合体組成物の物性も表1に示す。
【表1-1】
[図:0001406685000001.jpg]
【表1-2】
[図:0001406685000002.jpg]
【0241】
(製造例1~19、36~54の水添共重合体組成物を用いた粘接着フィルムの特性評価)
粘着層を構成する水添共重合体組成物、及び粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターG150」)(水添共重合体組成物100質量部に対して10質量部)を均一に混合した。粘着層を構成する前記混合物と、基材層を構成するポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名「PC684S」、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7.5g/10分)とを、Tダイ方式共押出法によって両層を一体化して共押出し、基材層厚さ50μm、粘着層厚さ8μmの粘接着フィルムを作製した。
【0242】
製造例1~19、36~54で得られた水添共重合体組成物を含む粘着層を具備する粘接着フィルムを用いて、初期粘着性、粘着昂進性の評価を行った。評価結果を下記表2及に示す。
【表2-1】
[図:0001406685000003.jpg]
【表2-2】
[図:0001406685000004.jpg]
【0243】
表2に示すように、実施例1~7、15~33においては、初期粘着性、粘着昂進性において、優れた性能を発揮した。また、成型加工性が良好で、粘着層の厚みムラが少ないと、同様に粘着力のばらつきが少なく、初期粘着力の変動係数も良好な結果であった。一方、比較例1~12においては、初期粘着性、粘着昂進性、成型加工性において実用上良好な評価が得られなかった。
【0244】
製造例1~7及び20~27、32~35で得られた水添共重合体組成物に含まれる成分(a)及び成分(b)の構造、並びに製造例28~31で得られた水添共重合体の構造を表3に示す。また、これらの水添共重合体組成物又は水添共重合体の物性も表3に示す。
【表3】
[図:0001406685000005.jpg]
【0245】
(製造例1~7、20~35の水添共重合体組成物又は水添共重合体を用いた粘接着フィルムの特性評価)
粘着層を構成する水添共重合体組成物又は水添共重合体、及び粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンPX1150N」)(水添共重合体組成物100質量部に対して10質量部)を均一に混合した。粘着層を構成する前記混合物と、基材層を構成するポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名「PC684S」、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7.5g/10分)とを、Tダイ方式共押出法によって両層を一体化して共押出し、横幅50cm、基材層厚さ50μm、粘着層厚さ8μmの粘接着フィルムを作製した。
【0246】
製造例1~7及び20~35で得られた水添共重合体組成物又は水添共重合体を含む粘着層を具備する粘接着フィルムを用いて、初期粘着性、粘着昂進性、成型加工性の評価を行った。評価結果を下記表4に示す。
【表4】
[図:0001406685000006.jpg]
【0247】
表4に示すように、実施例8~14においては、初期粘着性、粘着昂進性、成型加工性において、優れた性能を発揮した。また、成型加工性が良好であると、同様に粘着力のばらつきが少なく、初期粘着力の変動係数も良好な結果であった。
【0248】
一方、比較例13~28においては初期粘着性、粘着昂進性、成型加工性において実用上良好な評価が得られなかった。以上のことから、特定の構造を持つ水添共重合体組成物において、特にキャピラリー粘度とMFRの関係が特定の範囲内にあることで、成型加工性と粘着性能のバランスが高度に達成されることを確認した。」
(3)判断
ア 本件発明1について
(ア)本件特許の請求項1には、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及びビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b)を含む、水添共重合体組成物であって、前記成分(a)と成分(b)とが特定の関係にあるピークトップ分子量を有し、水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量、ビニル芳香族単量体単位のブロック化率が特定されており、さらに該水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分であり、キャピラリー粘度が300~600Pa・sであって、上記成分(a)及び成分(b)がB2-A1-B1を基本とする三元系由来のものであり、前記キャピラリー粘度をC[Pa・s]とし、前記MFRをM[g/10分]とした場合、C≦-20.8M+754.2 (式1)(当審注:以下、(式1)は省略する。)の関係を満たすことが特定されている。
(イ)ここで、上記(式1)は、MFRとキャピラリー粘度とを用いた関係式で表現されているものであるところ、本件明細書等の段落【0051】によると、式(1)の関係を満たすことは、静的な粘度の指標であるMFRに対し、動的な粘度の指標であるキャピラリー粘度が従来の設計ではなし得ない程度に低いことを意味し、MFRと式(1)の関係を両立することで、低剪断時と高剪時の粘度が上述のように好ましい範囲を満たすため、水添共重合体組成物の成型加工性と粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスに優れることが記載されていることから、成分(a)及び成分(b)を含む水添共重合体組成物において、本件発明1、特に上記(式1)の関係を満たすことを、当業者が実施できる程度に、本件明細書等が明確かつ十分に記載したものであるか否かについて検討する。
(ウ)本件明細書等には、成分(a)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBと、を含み、成分(a)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBの数はそれぞれ、1つでもよいし、複数でもよいこと(【0018】)、成分(b)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBと、を含み、成分(b)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBは、それぞれ、成分(a)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBと、同一であってもよいし、相違していてもよく、成分(b)に含まれる重合体ブロックA及び重合体ブロックBの数はそれぞれ、1つでもよいし、複数でもよいこと(【0022】)、成分(a)及び成分(b)を含む水添共重合体組成物を得るための手法として、例えば、成分(a)及び成分(b)をそれぞれ重合及び水素添加し、これらを適当な比率で溶液ブレンドしてもよいし、ドライブレンドしてもよいが、生産性の観点からは、成分(a)を重合し、成分(a)の一部をカップリング反応させて、成分(b)を形成して、成分(a)及び成分(b)を含む共重合体組成物を一括で得、これを水素添加すること(【0031】)、本実施形態の水添共重合体組成物は、例えば、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合を行い、共重合体を得た後、水素化反応を行うことにより製造すること(【0057】)が記載されている。
これら記載によれば、成分(a)及び成分(b)はともに、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とするブロックとを含む成分であって、水素添加することで得られることが理解できる。
(エ)そして、本件明細書等には、成分(a)のピークトップ分子量は粘着昂進抑制、成型加工性、粘着性から、5万~12万のピークトップ分子量を有すること(【0028】)、成型加工性から、成分(b)のピークトップ分子量が成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍であること(【0029】)、生産性の観点から、成分(a)を重合し、成分(a)の一部をカップリング反応させて、成分(b)を形成し、成分(a)及び成分(b)を含む共重合体組成物を一括で得、これを水素添加すること(【0031】)、粘着昂進抑制、成型加工性から、ビニル芳香族単量体単位の含有量が5~18質量%であること(【0037】)、粘着昂進抑制、成型加工性から、ビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75重量%以上であること(【0040】)、粘着昂進抑制、成型加工性に優れ、成型時の劣化を抑制し、ゲルの発生を抑制することから、共役ジエン単量体単位の水素添加率を81mol%以上とすること(【0044】)が記載されている。
これら記載によれば、成分(a)のピークトップ分子量、及び、成分(a)と成分(b)とのピークトップ分子量の関係は、粘着昂進抑制、成型加工性、粘着性の観点から好適な範囲があるし、ビニル芳香族単量体単位の含有量やそのブロック化率、さらには水素添加率が粘着昂進抑制、成型加工性の観点からも好適な範囲があると理解できる。
(オ)さらに、本件明細書等には、成分(a)及び成分(b)として、A1-B1、B2-A1-B1、A1-B1-A2、B2-A1-B1-A2、B2-A1-B1-X、(A1-B1)nX、又は(B2-A1-B1)nXで表されるものが好ましいこと(【0033】)、粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性の観点から、成分(a)及び/又は成分(b)は、カップリング構造を有すること、キャピラリー粘度とメルトフローレートとの関係式(1)を満たす観点及び粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性のバランスを高度に達成することができる観点から、成分(a)はB2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-Xで表される構造を有することが好ましく、成分(b)は(B2-A1-B1)nXで表される構造を有することが好ましいこと(【0034】)が記載されている。
これらの記載によれば、成分(a)及び成分(b)として、キャピラリー粘度とメルトフローレートとの関係式(1)を満たす観点及び粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性のバランスを高度に達成することができる観点から、成分(a)はB2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-Xで表される構造を有することが好ましく、成分(b)は(B2-A1-B1)nXで表される構造を有することが好ましいと理解できる。
(カ)ついで、実施例の製造例1~7、36~54は、本件発明1の具体例であるところ、上記(ウ)~(オ)に示したように、成分(a)がB2-A1-B1で表される構造を有し、成分(b)が(B2-A1-B1)nXで表される構造を有する水添共重合体組成物であって、成分(a)や成分(b)のピークトップ分子量、水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量及びブロック化率を好適な範囲とすることで、式(1)の関係を満たし、ひいては本件発明に係る発明特定事項を満たすことが示されている。
してみると、上記段落【0034】に好ましいと記載されていた三元系由来の成分(a)及び成分(b)を用い、かつ、好適なピークトップ分子量、水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量及びブロック化率とすることで式(1)の関係を含む本件発明1に係る発明特定事項を満たすことが理解できる。
(キ)以上のことから、本件発明1の成分(a)及び成分(b)は、上記(ウ)に示したとおりの製造方法によって得られたブロックを含む成分であって、上記(エ)に示したようなピークトップ分子量、水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量及びブロック化率とし、かつ、成分(a)がB2-A1-B1、成分(b)が(B2-A1-B1)nXであることで、MFRに対し、キャピラリー粘度が従来の設計ではなし得ない程度に低いこと、すなわち、MFRと式(1)の関係を両立することが本件明細書等に記載されており、当業者が、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に記載されているといえる。
よって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
イ 本件発明2~4、6、7について
本件発明2~4、6、7は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、上記アで述べた理由と同様の理由で、実施可能要件を満たしている。
(4)小括
以上のとおり、本件特許の請求項1~4、6、7に係る特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、取消理由1によっては取り消すことはできない。
2 取消理由通知において採用しなかった申立理由について
(1)申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)
申立理由1及び申立理由2は、甲1を主引例とするものであるから、併せて検討する。
ア 甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明
(ア)甲1に記載された事項
甲1には、以下の記載がある。
「請求の範囲
[1] (イ)成分:下記重合体ブロックA及び下記重合体ブロックBを含み、[A-B]nの構造を有し、その芳香族アルケニル化合物単位の含有率が5質量%以上、30質量%未満の範囲内である共重合体(I')(但し、「A」は重合体ブロックA、「B」は重合体ブロックB、「n」は1~3の整数を示す。)の共役ジエン化合物由来の二重結合が水素添加されている共重合体(I)と、
(ロ)成分:下記重合体ブロックA及び下記重合体ブロックBを含み、少なくとも2つの末端が下記重合体ブロックAであり、中間部分に少なくとも1つの下記重合体プロックBを含み、その芳香族アルケニル化合物単位の含有率が5質量%以上、30質量%未満の範囲内である共重合体(II')の共役ジエン化合物由来の二重結合が水素添加されている共重合体(II)と、からなる共重合体組成物を構成成分として含有する粘着剤組成物であって、
前記(イ)成分と前記(ロ)成分との質量比が90:10~10:90の範囲内であり、
前記共重合体(I')及び前記共重合体(II')に含まれる下記重合体ブロックAの総量と下記重合体ブロックBの総量との質量比が5:95~29:71の範囲内であり、
前記共重合体(I')及び前記共重合体(II')に含まれる共役ジエン化合物由来の二重結合のうち、80%以上が水素添加されている粘着剤組成物。
[重合体ブロックA]:芳香族アルケニル化合物単位の含有率が80質量%以上の重合体ブロック
[重合体ブロックB]:共役ジエン化合物単位の含有率が50質量%以上、共役ジエン化合物由来のビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック
[2] 前記共重合体(I')及び前記共重合体(II')が、その芳香族アルケニル化合物単位の含有率が5質量%以上、25質量%未満の範囲内である共重合体である請求項1に記載の粘着剤組成物。
・・・
[4] 前記共重合体(I')[A-B]の構造を有する共重合体であり、
前記共重合体(II')が{[A-B]x-Y}の構造を有する共重合体であり、
前記(イ)成分と前記(ロ)成分との質量比が50:50~20:80の範囲内である請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
(但し、「x」は2以上の整数、「Y」はカップリング剤残基を示す。なお、「A」ないし「B」は各々が異なる重合体ブロックであってもよいし、同一の重合体ブロックであってもよい。)
・・・
[6] 前記(イ)成分及び前記(ロ)成分に加えて、
更に、(ハ)成分:粘着付与剤を構成成分として含有し、
前記(イ)成分及び前記(ロ)成分の総量100質量部に対して、前記(ハ)成分を2~50質量部の割合で含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
[7] 前記共重合体組成物が、230℃、21.2Nの荷重で測定したMFRの値が1~100g/10分の範囲内であり、粘弾性スペクトルにおける損失正接tanδ(20℃)の値が0.15以下であり、tanδ(80℃)の値が0.10以上であり、かつ、貯蔵弾性率G'(20℃)の値が1.8×106Pa以下である請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
・・・」
「[0001] 本発明は、芳香族アルケニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体を、水素添加してなる水添ブロック共重合体を構成成分とする粘着剤組成物及びその製造方法、並びに粘着体に関するものである。」
「[0007] 本発明は、前記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、浮きや糊残りといった不具合を有効に防止することができる粘着剤組成物及び粘着体を提供するものである。」
「[0020] [1]粘着剤組成物:
本発明の粘着剤組成物は、必須成分として(イ)成分及び(ロ)成分とからなる共重合体組成物を構成成分として含有する組成物である。そして、この(イ)成分と(ロ)成分はいずれも下記重合体ブロックA及び下記重合体ブロックBを構成ブロックとして含むブロック重合体の共役ジエン化合物由来の二重結合が水素添加されている共重合体である。まず、重合体ブロックAと重合体ブロックBについて説明する。
[重合体ブロックA]:芳香族アルケニル化合物単位の含有率が80質量%以上の重合体ブロック
[重合体ブロックB]:共役ジエン化合物単位の含有率が50質量%以上、共役ジエン化合物由来のビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック
[0021] [1-1]重合体ブロックA:
「重合体ブロックA」は、芳香族アルケニル化合物単位の含有率が80質量%以上の重合体ブロックである。
[0022] 「芳香族アルケニル化合物単位」とは、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位である。「芳香族アルケニル化合物」としては、例えば、スチレン、tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン及びビニルピリジン等を挙げることができる。中でも、原料が工業的に入手し易いという理由から、「芳香族アルケニル化合物単位」はスチレン単位であることが好ましい。
[0023] 「重合体ブロックA」は、芳香族アルケニル化合物単位を主たる繰り返し単位として構成されている必要がある。具体的には、芳香族アルケニル化合物単位の含有率が80質量%以上であればよい。芳香族アルケニル化合物単位の含有率を80質量%以上と高くすることにより、粘着剤組成物の熱可塑性を向上させることができ、粘着剤組成物のリサイクルがより容易になるという利点がある。20質量%未満の範囲で含まれていてもよい芳香族アルケニル化合物単位以外の繰り返し単位としては、芳香族アルケニル化合物と共重合可能な化合物に由来する繰り返し単位、例えば、共役ジエン化合物や(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する繰り返し単位を挙げることができる。中でも、1,3-ブタジエン、イソプレンが芳香族アルケニル化合物との共重合性が高いという理由から好ましい。
[0024] [1-2]重合体ブロックB:
「重合体ブロックB」は、共役ジエン化合物単位の含有率が50質量%以上、共役ジエン化合物由来のビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロックである。
[0025] 「重合体ブロックB」を構成する「共役ジエン化合物単位」とは、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位である。「共役ジエン化合物」としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3-へキサジエン、1,3-シクロへキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ミルセン及びクロロプレン等を挙げることができる。中でも、重合反応性が高く、原料が工業的に入手し易いという理由から、「共役ジエン化合物単位」は1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位の群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位であることが好ましい。
[0026] 「重合体ブロックB」は、共役ジエン化合物単位を主たる繰り返し単位として構成されている必要がある。具体的には、共役ジエン化合物単位の含有率が50質量%以上(50~100質量%の範囲内)である必要があり、70~100質量%の範囲内であることが好ましく、90~100質量%の範囲内であることが更に好ましい。共役ジエン化合物単位の含有率を50質量%以上とすることにより、粘着剤組成物の柔軟性が向上するという好ましい効果を発揮させることができる。50質量%未満の範囲で含まれていてもよい共役ジエン化合物単位以外の繰り返し単位としては、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物に由来する繰り返し単位、例えば、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位を挙げることができる。中でも、スチレンが共役ジエン化合物との共重合性が高いという理由から好ましい。
[0027] 「重合体ブロックB」は、ビニル結合の含有率(即ち、1,2-ビニル結合及び3,4-ビニル結合の総含有率。以下、「ビニル含量」と記す。)が50%以上である必要があり、50~90%の範囲内であることが好ましく、60~80%の範囲内であることが更に好ましい。ビニル含量を50%以上とすることにより、タックと接着力のバランスに優れた粘着剤組成物を構成することができるという利点がある。
・・・
[0029] [1-3](イ)成分:
「(イ)成分」は、重合体ブロックA及び重合体ブロックBを含み、[A-B]nの構造を有し、その芳香族アルケニル化合物単位の含有率が5質量%以上、30質量%未満の範囲内である共重合体(I')の共役ジエン化合物由来の二重結合が水素添加されている共重合体(I)である(但し、「A」は重合体ブロックA、「B」は重合体ブロックB、「n」は1~3の整数を示す。)。
・・・
[0034] (イ)成分の分子量については特に制限はないが、重量平均分子量が3万~50万であることが好ましく、8万~30万であることが更に好ましく、10万~20万であることが特に好ましい。重量平均分子量を3万~50万の範囲とすることで、(イ)成分、ひいては(イ)成分と(ロ)成分とからなる共重合体組成物の工業的な生産を容易なものとすることができる。重量平均分子量が3万未満であると、ポリマーを脱溶媒、乾燥させる工程において製造設備等にポリマーが付着してしまい、(イ)成分等の工業的生産が困難となる場合がある。一方、重量平均分子量が50万以上であると、溶剤への溶解性や熱溶融性が悪くなり、粘着体への加工が困難になる場合がある。なお、本明細書にいう「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
[0035] [1-4](ロ)成分:
「(ロ)成分」は、重合体ブロックA及び重合体ブロックBを含み、少なくとも2つの末端が重合体ブロックAであり、中間部分に少なくとも1つの重合体ブロックBを含み、その芳香族アルケニル化合物単位の含有率が5質量%以上、30質量%未満の範囲内である共重合体(II')の共役ジエン化合物由来の二重結合が水素添加されている共重合体(II)である。
・・・
[0038] 「少なくとも2つの末端が重合体ブロックAであり、中間部分に少なくとも1つの重合 体ブロックBを含む重合体」としては、{[A-B]x-Y}の構造を有する重合体も好ましい(但し、「A」は重合体ブロックA、「B」は重合体ブロックB、「x」は2以上の整数、「Y」はカップリング剤残基を示す。なお、「A」ないし「B」は各々が異なる重合体ブロックであってもよいし、同一の重合体ブロックであってもよい。)。
[0039] 前記のような構造を有する重合体は、例えば、[A-B-A]構造の「B」の部分が、[B-Y-B]の構造を有しており、[A-B]の構造を有する重合体をカップリングすることにより得ることができる。従って、(イ)成分と(ロ)成分を1ポットで合成することができる点において好ましい。なお、カップリング方法等の詳細については、製造方法の項で詳細に説明する。
・・・
[0042] (ロ)成分の分子量については特に制限はないが、重量平均分子量が5万~50万であることが好ましく、5万~30万であることが更に好ましい。重量平均分子量を5万~50万の範囲とすることで、(ロ)成分、ひいては(イ)成分と(ロ)成分とからなる共重合体組成物の工業的な生産を容易なものとすることができる。重量平均分子量が3万未満であると、ポリマーを脱溶媒、乾燥させる工程において製造設備等にポリマーが付着してしまい、(ロ)成分等の工業
的生産が困難となる場合がある。一方、重量平均分子量が50万以上であると、溶剤への溶解性や熱溶融性が悪くなり、粘着体への加工が困難になる場合がある。
[0043] [1-5]共重合体組成物:
本発明の粘着剤組成物は、(イ)成分と(ロ)成分とからなる共重合体組成物を構成成分として含有する粘着剤組成物である。この共重合体組成物において、(イ)成分と(ロ)成分との質量比は、90:10~10:90の範囲内であることが必要である。(イ)成分と(ロ)成分との総量100質量部中、(イ)成分を10質量部以上含ませることにより、被着体の表面力も粘着層が浮き上がり、フィルムが剥離してしまう不具合(浮き)を有効に防止することができるという好ましい効果を発揮させることができる。一方、(イ)成分と(ロ)成分との総量100質量部中、(ロ)成分を10質量部以上含ませることにより、被着体の表面からフィルムを剥離させる際に、被着体の表面に粘着剤が残存して被着体の表面を汚染してしまう不具合(糊残り)を有効に防止することができるという好ましい効果を発揮させることができる。
[0044] 粘着層の浮きや糊残りをより確実に防止するという観点から、(イ)成分と(ロ)成分との質量比は50:50~20:80の範囲内であることが好ましい。
・・・
[0047] 本発明の粘着剤組成物は、前記共重合体(I')及び前記共重合体(II')に含まれる共役ジエン化合物由来の二重結合のうち、80%以上が水素添加されているものである。即ち、前記共重合体(I')及び前記共重合体(II')全体の水素添加率が80~100%の範囲内である必要があり、90~100%の範囲内であることが好ましく、95~100%の範囲内であることが更に好ましい。水素添加率は80%以上、特に95%以上とすることにより、耐熱性に優れた粘着剤組成物を構成することができるという利点がある。なお、本明細書において「水素添加率」というときは、四塩化炭素を溶媒として用い、270MHz、1H-NMRから算出した水素添加率を意味するものとする。
[0048] 共重合体組成物の芳香族アルケニル化合物単位の含有率は5質量%以上、25質量%未満の範囲内とすることが好ましく、5~20質量%の範囲内とすることが更に好ましく、7~20質量%の範囲内とすることが特に好ましい。芳香族アルケニル化合物単位の含有率を5質量%以上、25質量%未満の範囲内とすることにより、適度な保持力と被着体表面の凹凸加工面への追随性を兼ね備えた粘着剤組成物を構成することが可能となり、被着体表面の凹凸加工面への追随性も良好となる。
・・・
[0050] 更に、この共重合体組成物は、230℃、21.2Nの荷重で測定したMFR(以下、「MFR230℃、21.2N」と記す。)の値が1~100g/分の範囲内であることが好ましい。MFR230℃、21.2Nの値を上記の範囲内とすることにより、粘着剤組成物の押出成形性、ひいては生産性を大幅に向上させることが可能となる。
[0051] 押出成形性を更に良好なものとするためには、MFR230℃、21.2Nの値を1~50g/分の範囲内とすることが好ましい。・・・
・・・
[0056] [1-6](ハ)成分:
本発明の粘着剤組成物は、(ハ)成分:粘着付与剤を構成成分として含有するものが好ましい。必須成分である(イ)成分及び(ロ)成分に加えて、更に、(ハ)成分を含有せしめることにより、粘着剤組成物の初期粘着力を向上させることが可能となる。
[0057] 粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン-インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂又はこれらの水添物等、一般的に粘着剤に使用されるものを特に制限なく使用できる。これら粘着付与剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・・・」
「[0069] カップリング法は、第1工程:[A-B]の構造を有する共重合体(I'-1)をブロック重合により合成する工程と、第2工程:前記[A-B]の構造を有する共重合体(I'-1)の一部を、カップリング剤Y-Z(但し、「Y」はカップリング剤残基、「Z」は脱離基、「x」は2以上の整数を示す。)
によりカップリングさせ、{[A-B]x-Y}の構造を有する共重合体(II'-1)を合成する工程と、第3工程:前記[A-B]の構造を有する共重合体(I'-1)及び前記{[A-B]x-Y}の構造を有する共重合体(II'-1)に水素添加することにより、前記共重合体(I'-1)及び前記共重合体(II'-1)に含まれる共役ジエン化合物由来の二重結合のうち、80%以上が水素添加されている共重合体組成物を得る工程と、を備える。」
「[0071] [3]粘着体:
本発明の粘着体は、基材と、基材の表面に形成された粘着層と、を備えた粘着体であって、その粘着層が、本発明の粘着剤組成物を含むものである。
[0072] 基材としては、例えば、金属、ガラス等の無機材料;ポリオレフイン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂材料;その他セルロース系材料等の材料からなる基材を挙げることができる。これらの基材は単独で用いてもよいし、2種以上の基材を積層した積層体を用いてもよい。これらの基材の中でも、生産性、ハンドリング性、コスト的な観点からポリオレフイン系樹脂からなる基材が好適に用いられる。基材の厚さは特に限定されないが、粘着層と基材をロール状等のように変形させて取り扱う場合には、1.0mm以下であることが好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。下限は実用的に20μm程度と考えられる。
[0073] 上記粘着体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成膜された合成樹脂製の基材の表面に粘着剤をラミネートし、基材と粘着層とを積層一体化する方法、或いは粘着層を構成する粘着剤組成物と合成樹脂製の基材を構成する樹脂組成物とを共押出することにより、基材と粘着層とを積層一体化する方法等を挙げることができる。
[0074] 粘着剤を合成樹脂製の基材にラミネートする方法としては、例えば、粘着剤溶液を塗工する溶液塗工法、ドライラミネーシヨン法、Tダイを用いた押出コーティング法等を用いることができる。この場合、基材層と粘着剤層との間の接合強度を高めるために、合成樹脂製の基材に予めプライマー塗布等の表面処理を施しておくことが好ましい。また、合成樹脂製基材と粘着剤とを共押出により積層一体化する方法としては、例えば、インフレーション法やTダイ法等、従来公知の方法を用いることができる。これらの方法の中でも、高品質の粘着体を経済的に製造することが可能な、Tダイ法による共押出法が最も好ましい。
[0075] 粘着層の厚さは、特に限定されるものではないが、3~50μmの範囲であることが望ましい。厚さが3μm未満であると、粘着力が不足する場合があり、50μmを超えると、コストが高くなるおそれがある。」
「実施例
[0076] 以下、本発明の粘着剤組成物及び粘着体について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。従って、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。なお、実施例、比較例中の部及び%は、特に断らない限り質量基準である。
[0077]〔1〕(イ)成分、(ロ)成分の合成及び共重合体組成物の評価:
本発明の粘着体を説明するのに先立って、その原料となる(イ)成分、(ロ)成分を合成した。その合成方法を示す。なお、(イ)成分、(ロ)成分ないし共重合体組成物の物性値については以下の方法により測定し、評価した。
[0078](1)(イ)成分と(ロ)成分の分子量及び質量比((イ)/(ロ)質量比):
カップリング法により(イ)成分と(ロ)成分を1ポットで製造し共重合体組成物を得た場合には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、商品名:HLC-8120GPC、東ソー・ファインケム社製)を用いて測定を行い、ポリスチレン換算の分子量を求めた。また、その測定で得られた波形を波形分離することにより、(イ)/(ロ))質量比を算出した。また、ブレンド法により(イ)成分と(ロ)成分の混合物を製造した場合には、そのブレンド比から、(イ)/(ロ)質量比を算出した。
[0079](2)重合体ブロックAと重合体ブロックBの質量比(A/B比):
(イ)成分及び(ロ)成分を構成する共重合体を製造するときの原料の仕込み量から、重合体ブロックAと重合体ブロックBの質量比を算出した。
[0080](3)1,2-ビニル結合及び3,4-ビニル結合の含有率(ビニル含量):
赤外吸収スペクトル法を用い、モレロ法により算出した。
[0081](4)共役ジエン化合物単位の水素添加率(水素添加率):
四塩化炭素を溶媒として用い、270MHz、1H-NMRスペクトルから算出した。
[0082](5)MFR230℃、21.2N(メルトフローレート):
JIS K7210に記載の方法に準拠して、230℃、21.2N荷重の条件で測定した。
[0083](6)tanδ(80℃)、tanδ(20℃)、G'(20℃):
商品名:ARES測定器(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、温度分散範囲-60~100℃、昇温速度5℃/分、歪み0.14%、周波数10Hzの条件下で測定した。
[0084](実施例1)
窒素置換された反応容器に、脱気・脱水されたシクロへキサン500質量部、スチレン10質量部及びテトラヒドロフラン5質量部を仕込み、重合開始温度の40℃にてn-ブチルリチウム0.13質量部を添加して、昇温重合を行った。重合転化率が略100%に達した後、反応液を15℃に冷却し、次いで、1,3-ブタジエン90質量部を加え、更に昇温重合を行った。
[0085] 重合転化率が略100%に達した後、カップリング剤としてメチルジクロロシラン0.07質量部を加え、カップリング反応を行った。カップリング反応が完結した後、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給しながら10分間放置した。一部取り出したポリマーを GPC分析したところ、重量平均分子量は約17万であった。
[0086] その後、反応容器内に、ジエチルアルミニウムクロライド0.03質量部及びビス(シク口ペンタジエニル)チタニウムフルフリルオキシクロライド0.06質量部を加え、撹拌した。水素ガス供給圧0.7MPa-Gauge、反応温度80℃で水素添加反応を開始し、水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻し、反応容器から抜きすことにより、(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物を得た。この共重合体組成物の物性評価結果を表1に示す。
[0087][表1]
[図:0001406685000007.jpg]
・・・
[0110]〔2〕粘着体の物性評価:
(実施例5~8、比較例6~10)
実施例1~4及び比較例1~5の共重合体ないし共重合体組成物を用い、その共重合体組成物100質量部に対して、粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素系樹脂、商品名:アルコンP125、荒川化学工業社製)5質量部、酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1質量部、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン326、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部にトルエンを加えてトルエン溶液とした。その後、予め表面にコロナ放電処理を施した基材(厚さ25μmのPETフィルム)を用意し、その基材のコロナ放電処理を施した表面に、前記トルエン溶液を塗工し、乾燥して厚さ10μmの粘着層を形成した。こうすることにより、基材の表面に、粘着層が形成された粘着体(表面保護フィルム)を得た。この粘着体についてはロール状の巻回体とし、その物性を評価した。・・・」
(イ)甲1に記載された発明
甲1の実施例1における共重合体組成物及びその物性評価結果(表1)と、実施例1における共重合体組成物を用いる実施例5のトルエン溶液に着目すると、甲1には次の発明が記載されていると認める。
「窒素置換された反応容器に、脱気・脱水されたシクロへキサン500質量部、スチレン10質量部及びテトラヒドロフラン5質量部を仕込み、重合開始温度の40℃にてn-ブチルリチウム 0.13質量部を添加して、昇温重合を行い、重合転化率が略100%に達した後、反応液を15℃に冷却し、次いで、1,3-ブタジエン90質量部を加え、更に昇温重合を行い、重合転化率が略100%に達した後、カップリング剤としてメチルジクロロシラン0.07質量部を加え、カップリング反応を行い、カップリング反応が完結した後、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給しながら10分間放置し、一部取り出したポリマーをGPC分析したところ、重量平均分子量は約17万であり、
その後、反応容器内に、ジエチルアルミニウムクロライド0.03質量部及びビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフルフリルオキシクロライド0.06質量部を加え、撹拌し、水素ガス供給圧0.7MPa-Gauge、反応温度80℃で水素添加反応を開始し、水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻し、反応容器から抜きすことにより(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物を得て、
ここで、該共重合体組成物は、(イ)成分と(ロ)成分との質量比が40/60、ブロックBのビニル含有率が65%、スチレンとブタジエンとの質量比が10/90、水素添加率が98%、MFR230℃、21.2Nが7g/分であり、
(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物を用い、その共重合体組成物100質量部に対して、粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素系樹脂、商品名:アルコンP125、荒川化学工業社製)5質量部、酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1質量部、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン326、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部にトルエンを加えたトルエン溶液。」(以下、「甲1発明」という。)
イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
a 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(a)甲1発明は、「n-ブチルリチウム」を重合開始剤として、「スチレン」と「1,3-ブタジエン」をリビング重合するものであって、まず、ポリスチレンのブロックを製造し、続けてブタジエンのブロックを製造することによって、「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック」の構造を有する「ブロック共重合体」(表1の「共重合体(I'):A-B」に相当)を形成し、さらに該「ブロック共重合体」の活性なアニオン性重合末端をカップリング剤とカップリング反応させることで、「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック-カップリング剤-ポリ1,3-ブタジエンブロック-ポリスチレンブロック」の構造を有する「ブロック共重合体」(表1の「共重合体(II'):(A-B)2-Y」に相当)を形成し、その後に水素添加を行って「(イ)成分」、「(ロ)成分」が得られたものである。
ここで、甲1の請求項1によると、「(イ)成分」が重合体ブロックA及び重合体ブロックBを含み、[A-B]nの構造を有するものであること、「(ロ)成分」が重合体ブロックA及び重合体ブロックBを含み、少なくとも2つの末端が重合体ブロックAであり、中間部分に少なくとも1つの重合体ブロックBを含むものであること、重合体ブロックAは、芳香族アルケニル化合物単位の含有率が80質量%以上の重合体ブロックであること、重合体ブロックBは、共役ジエン化合物単位の含有率が50質量%以上、共役ジエン化合物由来のビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロックであることが理解でき、同[0039]において、例えば、[A-B-A]構造の「B」部分が、「B-Y-B」の構造を有しており、[A-B]の構造を有する重合体をカップリングすることにより得ることができることが記載されていることから、水素添加後の「共重合体(I'):A-B」が「(イ)成分」、水素添加後の「共重合体(II'):(A-B)2-Y」が「(ロ)成分」である。
そして、上記「(イ)成分」はカップリング反応に関与していないものであり、上記「(ロ)成分」はカップリング反応に関与した「(イ)成分」を含むものであるから、それらの分子量において差異があることは明らかである(前者の分子量は小さく、後者の分子量は大きい)。
他方、本件発明1では、「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び/ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);/を含む、水添共重合体組成物であって、/前記成分(a)が、5万~12万のピークトップ分子量を有し、/前記成分(b)が、前記成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有し、(当審注:「/」は改行を表す。)」と特定されていることから、上記「成分(a)」よりも上記「成分(b)」の方がピークトップ分子量が大きいものである。
そうすると、甲1発明の「(イ)成分」が、水素添加後の「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック」を有する「ブロック共重合体」であり、「(ロ)成分」が、カップリング反応を経て得られた水素添加後の「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック-ポリスチレンブロック」を有する「ブロック共重合体」であるから、甲1発明の水素添加後の「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック」を有する「ブロック共重合体」である「(イ)成分」、水素添加後の「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック-ポリスチレンブロック」を有する「ブロック共重合体」である「(ロ)成分」は、本件発明1の「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a)」、「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b)」にそれぞれ相当する。
(b)甲1発明の「(イ)成分」、「(ロ)成分」は、それぞれ[A-B]、{(A-B)2-Y}であって、「(イ)成分」が2個の反応部位を有するカップリング剤と反応して、「(ロ)成分」を形成するものであるから、「(イ)成分」と「(ロ)成分」とは、分子量の観点から見て、約2倍であると解される。そうすると、「(ロ)成分」が、「(イ)成分」の分子量の約2倍の分子量を有することと、本件発明1の「成分(b)が、成分(a)のピークトップ分子量の1.8倍~3.8倍のピークトップ分子量を有」することとは、「成分(b)が、成分(a)の分子量の1.8倍~3.8倍の分子量を有」する限りにおいて一致する。
(c)甲1発明の「(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物」の「水素添加率が98%」であることは、「ポリ1,3-ブタジエンブロック」の二重結合が水素添加されることにほかならないから、本件発明1の「水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mol%以上が水素添加されて」いることに相当する。
(d)甲1発明の「(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物」の「スチレンとブタジエンとの質量比(表3における「A/B質量比」)が10/90」であることから、上記「共重合体組成物」に含まれるポリスチレンブロックの質量比が10%であり、上記「共重合体組成物」に含まれるスチレンモノマー単位の含有量に相当するものであるから、本件発明1の「水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%である」ことに相当する。
(e)甲1発明の「(イ)成分」、「(ロ)成分」は、「スチレン」にn-ブチルリチウムを添加して昇温重合を行い、重合転化率が略100%に達した後、「1,3-ブタジエン」を加えてさらに重合するものであることから、「スチレン」の重合により形成された「ポリスチレンブロック」は略100%のスチレンによるものであり、甲1発明の「(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物」は、本件発明1の「水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であ」ることに相当する。
(f)甲1発明の「(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物」の「MFR230℃、21.2Nが7g/分」であることは、本件発明1の「水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分であ」ることに相当する。
(g)甲1発明の「粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素系樹脂、商品名:アルコンP125、荒川化学工業社製)」は、本件発明1の「粘着付与材樹脂」に相当する。
(h)甲1発明の「トルエン溶液」は、(イ)成分と(ロ)成分からなる共重合体組成物と粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素系樹脂、商品名:アルコンP125、荒川化学工業社製)とを含むものであるから、組成物の状態にあるといえ、本件発明1の「粘接着材組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(a);及び
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックと、を含む成分(b);
を含む、水添共重合体組成物であって、
前記成分(b)が、前記成分(a)の分子量の1.8倍~3.8倍の分子量を有し、
前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の81mol%以上が水素添加されており、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が、前記組成物を基準として、5~18質量%であり、
前記水添共重合体組成物に含まれるビニル芳香族単量体単位のブロック化率が75質量%以上であり、
前記水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)が4~20g/10分である、
前記水添共重合体組成物、及び
粘着付与剤樹脂
を含む、粘接着材組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
成分(a)において、本件発明1では、5万~12万のピークトップ分子量を有するのに対し、甲1発明では(イ)成分のピークトップ分子量が不明である点
<相違点2>
成分(a)、成分(b)における分子量について、本件発明1ではピークトップ分子量で規定されているのに対し、甲1発明ではピークトップ分子量で規定されていない点
<相違点3>
水添共重合体組成物のキャピラリー粘度について、本件発明1では、300~600Pa・sであるのに対し、甲1発明ではどの程度であるのか不明である点
<相違点4>
本件発明1では、キャピラリー粘度をC[Pa・s]とし、前記MFRをM[g/10分]とした場合、(式1):
C≦-20.8M+754.2 (式1)
の関係を満たすのに対し、甲1発明ではそのような関係を満たすか不明な点
<相違点5>
成分(a)及び成分(b)に関し、本件発明1では、成分(a):B2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-X
成分(b):(B2-Al-Bl)nX
[式中、
A1は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
B1及びB2は、それぞれ独立して、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、
nは、2以上の整数であり、
Xは、カップリング剤の残基である]であるのに対し、甲1発明では、成分(a)が「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック」の構造を有する「ブロック共重合体」、成分(b)が「ポリスチレンブロック-ポリ1,3-ブタジエンブロック-カップリング剤-ポリ1,3-ブタジエンブロック-ポリスチレンブロック」の構造を有する「ブロック共重合体」である点
b 判断
事案に鑑みて、<相違点4>から検討する。
甲1発明には、(式1)の関係に係る特定がないし、甲1には、キャピラリー粘度はもとより、MFRとキャピラリー粘度との関係について記載されていないから、<相違点4>は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1に記載された発明でない。
ついで、<相違点4>に係る発明特定事項の容易想到性について検討する。
本件明細書等には、(式1)の関係を満たすことは、静性的な粘度の指標であるMFRに対し、動的な粘度の指標であるキャピラリー粘度が従来ではなしえない程度に低いことを意味し、MFRと(式1)の関係を両立することで、低剪断時と高剪断時の粘度が好ましい範囲を満たすため、水添共重合体組成物の成型加工性と粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進性抑制のバランスに優れることが記載されている(【0051】)。
しかしながら、甲1には、(式1)の関係が記載されていないことに加えて、(式1)を構成するキャピラリー粘度についても記載されていないため、キャピラリー粘度が従来ではなしえない程度に低くすることで、MFRとキャピラリー粘度とが一定の関係を示すことを想定していないことから、(式1)の関係を導出することは動機付けられない。
また、甲2、甲3には、甲1と同様に、キャピラリー粘度はもとより、(式1)の関係についても記載されていないため、MFRとキャピラリー粘度との関係についての知見は得られない。
そうすると、<相違点4>に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
してみると、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲1の記載、さらには甲2、甲3の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明2~4、7について
本件発明2~4、7は、本件発明1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、これらの発明も、上記(ア)と同様の理由により、甲1に記載された発明でない。
また、本件発明2~4、7は、本件発明1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、これらの発明も、上記(ア)と同様の理由により、甲1発明と、甲1~甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1~4、7は、甲1発明、すなわち甲1に記載された発明ではない。
そして、本件発明1~4、6、7は、甲1に記載された発明及び甲1の記載、さらには甲2、甲3の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、本件発明1~4、7は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえず、また、本件発明1~4、6、7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1~4、6、7に係る特許は、申立理由1、2によっては取り消すことはできない。
(2)申立理由4(サポート要件)について
ア サポート要件の判断基準
特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。
同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下、この判断基準に則って検討する。
イ 本件明細書等に記載された事項
本件明細書等には、上記1(2)に示したとおりの事項が記載されている。
ウ 本発明が解決しようする課題について
本件明細書等の段落【0008】の記載によると、粘接着材として使用した際、初期粘着力、粘着昂進の抑制、粘着層の厚みムラの抑制のバランスに優れる、水添共重合体組成物、粘接着材組成物及び粘接着フィルムを提供することが本件発明の課題であると認められる。
エ 判断
(ア)本件発明1について
本件明細書等の段落【0034】には、キャピラリー粘度とメルトフローレートとの関係式(1)を満たす観点、並びに粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性のバランスを高度に達成することができる観点から、成分(a)はB2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-Xで表される構造を有することが好ましく、成分(b)は(B2-A1-B1)nXで表される構造を有することが好ましいことが記載されている。
そして、段落【0051】には、MFRは低剪断を反映し、キャピラリー粘度は一定の条件に設定(温度230℃、剪断速度121.6sec-1)することで高剪断時の粘度を反映すること、本発明は、組成物の成型加工時には高剪断が与えられることに着目し、キャピラリー粘度を低くすることで成形加工性や厚みムラを抑制しうること、フィルム成形後に使用される環境は、低剪断が与えられる条件に近く、低MFRほど粘着力が高く、粘着昂進も起こりにくいこと、(式1)の関係を満たすことは、静的な粘度の指標であるMFRに対し、動的な粘度の指標であるキャピラリー粘度が従来の設計ではなし得ない程度に低いことを意味すること、MFRと(式1)の関係を両立することで、低剪断時と高剪時の粘度が上述のように好ましい範囲を満たすため、水添共重合体組成物の成型加工性と粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスに優れること、具体的には、例えば、フィルム押出機を使用した共押出成型において、粘着層に厚みムラが生じにくく、粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスも良好であることが記載されている。
これらの記載によると、キャピラリー粘度とメルトフローレートとの関係(式1)を満たす観点、並びに粘着力、粘着昂進抑制、成型加工性のバランスを高度に達成することができる観点から、成分(a)はB2-A1-B1及び/又はB2-A1-B1-Xで表される構造、成分(b)は成分(a)のカップリング構造である(B2-A1-B1)nXで表される構造を有することが好ましいこと、(式1)の関係を満たすことは、静的な粘度の指標であるMFRに対し、動的な粘度の指標であるキャピラリー粘度が従来の設計ではなし得ない程度に低いことを意味し、MFRと(式1)の関係を両立することで、低剪断時と高剪時の粘度が好ましい範囲を満たすため、水添共重合体組成物の成型加工性と粘接着フィルムの粘着力、粘着昂進抑制のバランスに優れることが理解できる。
そして、本件明細書等の実施例の【表1-1】の製造例1~7及び【表1-2】の製造例36~54では水添共重合体組成物を製造し、それらの評価を【表2-1】の実施例1~7(製造例1~7に対応)及び【表2-2】の実施例15~33(製造例36~54に対応)で行ったところ、初期粘着性、粘着昂進性、加工性、初期粘着力の変動係数がいずれも良好であることが示されている。
これらの実施例は、成分(a)及び成分(b)がB2-A1-B1の三元系に由来するものであって、かつ本件発明1における成分(a)及び成分(b)のピークトップ分子量、共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量及びそのブロック化率を満たし、さらに(式1)の関係を満たす水添共重合体組成物とすることで、粘接着材として使用した際、初期粘着力、粘着昂進の抑制、粘着層の厚みムラの抑制のバランスに優れる、水添共重合体組成物、粘接着材組成物及び粘接着フィルムを提供するという、本件発明の課題を解決することを裏付けている。
してみると、本件発明1に係る発明特定事項を有することで、本件発明の課題を解決しうることが理解できる。
そして、申立人は、申立書において、「本件特許発明1の発明特定事項のみでは、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できる構造のポリマーが特定されているとはいえない」旨意見するが(第31頁第10行~第11行)、本件発明1では、本件訂正により成分(a)及び成分(b)の構造が特定されたことで、高剪断時と低剪断時の粘度のギャップを実現できることが示されている。
してみると、上記意見は妥当でない。
(イ)本件発明2~4、6、7について
本件発明2~4、6、7は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、上記(ア)で本件発明1について述べたのと同じ理由により、本件明細書等に記載したものであり、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載により、当業者が上記の課題を解決できると認識し得る範囲のものと認められる。
(ウ)小括
したがって、本件特許の請求項1~4、6、7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、申立理由4によっては取り消すことはできない。
第6 まとめ
以上のとおり、本件特許に対する訂正は適法であるから、これを認める。
そして、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~4、6、7に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件特許の請求項1~4、6、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項5に係る特許に対する申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701152