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特許異議申立

2022-701148

スピナーベイト

審判番号
2022-701148
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-090895
登録番号
7082779
請求日
2022年11月18日
審決日
2023年02月02日
公報発行日
2023年03月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】Bottomup株式会社
  • 【権利者代理人】木戸 基文
  • 【異議申立人】上田 精一
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 澤田 真治
  • 審判官 北川 創
分類
P1651.121-Y (A01K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7082779号発明「スピナーベイト」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7082779号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 特許第7082779号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成29年4月29日に出願され、令和4年6月1日に特許権の設定登録がされ、令和4年6月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1及び2に係る特許に対し、令和4年11月18日に特許異議申立人上田精一(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1及び2の特許に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 くの字の釣り針の軸部を有するスピナーベイトにおいて、 前記釣り針の軸部の内角側に、水流受け部材が、水流受け部材に形成された一対の孔を、釣り針の軸部の上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、隙間を有して、ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、挿着されていることを特徴とするスピナーベイト。 【請求項2】 前記水流受け部材が、ルアーの進行方向に向かって凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のスピナーベイト。」 第3 特許異議申立理由及び証拠 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立て理由を主張するとともに、証拠方法として以下に示す各甲号証を提出している。 本件発明1は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証記載の発明(以下「甲1発明」という。)、甲第2号証記載の発明(以下「甲2発明」という。)及び甲第3号証記載の発明(以下「甲3発明」という。)に基づいて、また、本件発明2は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明、甲第3号証記載の発明及び甲第4号証記載の発明(以下「甲4発明」という。)に基づいて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当するから、取り消されるべきものである旨主張し、その理由として概ね以下のとおり主張している。 [証拠方法] 甲第1号証: 実願昭62-159045号(実開平1-63373号)のマイクロフィルム(以下「甲1」という。) (申立書の「実用新案出願公開平1-63373号マイクロフィル」は「実願昭62-159045号(実開平1-63373号)のマイクロフィルム」の誤記と認める。) 甲第2号証:特開平8-103193号公報(以下「甲2」という。) 甲第3号証:特開2012-80826号公報(以下「甲3」という。) 甲第4号証:米国特許出願公開第2014/0115948号明細書(以下「甲4」という。) (申立書の「米国特許第2014-0115948号公報」は「米国特許出願公開第2014/0115948号明細書」の誤記と認める。) 2 具体的理由 (1)本件発明1、2の分説について 「【請求項1】 A くの字の釣り針の軸部を有するスピナーベイトにおいて、 B 前記釣り針の軸部の内角側に、 C 水流受け部材が、 D 水流受け部材に形成された一対の孔を、 E 釣り針の軸部の上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、隙間を有して、 F ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、 G 挿着されていることを特徴とする H スピナーベイト。 【請求項2】 I 前記水流受け部材が、 J ルアーの進行方向に向かって凹状に湾曲していることを特徴とする K 請求項1に記載のスピナーベイト。」(申立書3頁36行~4頁4行)(以下、各発明特定事項を「A」等という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明との相違点 [相違点1](C及びD関連) 「水流受け部材」について、本件発明1には「水流受け部材5が板状のものが開示されている」(【0047】)が、甲1発明は「上端側を縦断面L字型に折り曲げしてシャンク挿入面を形成したクリップ5」である点。 [相違点2](F関連) 本件発明1は、「ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、」水流受け部材が挿着されているが、甲1発明の「上端側を縦断面L字形に折り曲げしてシャンク挿入面を形成したリップ5」は固着されている点。 (申立書9頁12行~18行、30行~33行) イ 相違点について検討 (ア)相違点1について 甲2発明は、甲1発明を従来技術として、略板状の潜行案内部材7を採用している。したがって、甲1発明の「上端側を縦断面L字形に折り曲げしてシャンク挿入面を形成したリップ5」を甲2発明の「略板状の潜行案内部材7」に置き換えるのは容易に想到し得るものである。 (申立書9頁15行~28行) (イ)相違点2について 甲第3号証には、「ハードルアーで構成される釣用ブレード付きルアーであって、前記ルアーの先端部に金属線環状体を遊動状態で繋ぎ、前記金属線環状体を構成する金属線の太さより大きい孔をあけたブレードに前記金属線を入れて前記ブレードを前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付けたことを特徴とする釣用ブレード付きルアー。」(請求項1)が記載されており、ブレード7として、「ブレードは厚さが0.1~1mm、面積が100~900mm2の範囲の金属製板であることが好ましい。前記の範囲であれば、ルアー本体の直進泳動を妨げかつルアーに不規則で変幻自在な動きを与えるのにより効果的である。」(【0016】)と記載されている。 そして、「本発明の釣用ブレード付きルアーは、ルアーの先端部に金属線環状体を遊動状態で繋ぎ、金属線環状体を構成する金属線の太さより大きい孔をあけたブレードに金属線を入れてブレードを前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付けたことにより、水流の抵抗を受けると、ブレードが前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動する。これにより、ルアーに不規則で変幻自在な動きを与える。ルアーはあたかも小魚が泳ぐような挙動をし、いわゆるルアーにアクションをさせることができ、例えば蛇行、千鳥、エスケープ・アクションしたり、急な方向転換をしたり、予測できないタイミングで変化する釣りの対象とする魚を誘うような動作をする。具体的には、進行方向に向かって左右上下など様々な方向に不規則で大きな変化をした泳ぎをする。よって、小型魚~中型魚の一般魚にも好適であり、ブラックバス等の大型魚を釣るのにとくに好適なルアーを提供できる。」(【0010】)と記載され、「本発明のルアーは、ハードルアーと呼ばれるルアーであればどのようなものにも適用できる。例えばスプーン、スピナー、プラグ、ジグ等であり、プラグとしては、ペンシルベイト、スウィッシャー、ポッパー、ノイジー、ミノー、クランクベイト、メタルジグ等に適用できる。ルアーの材料は、樹脂製、金属製、木材製等いかなるものであってもよい。」(【0033】)と記載されていることから、甲1発明のスピナーベイトに、甲3発明の金属製板を採用して、本件発明1の「ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、挿着され」るようにすることは、容易になし得ることである。 (申立書9頁34行~10頁20行) (3)本件発明2について ア 本件発明2と甲1発明との相違点 [相違点3](J関連) 「水流受け部材」について、本件発明2は、「ルアーの進行方向に向かって凹状に湾曲している」であるが、甲1発明では明らかではない点。 (申立書10頁23行~25行) イ 相違点について検討 (ア)相違点3について 水流受け部材として、甲第4号証に記載の「the quadratic surface 19 has a concave side 25a and convex side 25b. The convex side 25b faces or is nearest to the eye 17, and the concave side 25a is not facing or furthest to the eye 17 relative to the convex side 25b.(二次曲面19は、凹面25a及び凸面25bを有する。凸面25bは、アイ17に面するか、又はアイ17に最も近く、凹面25aは、凸面25bと比べてアイ17に面さず、又はアイ17から最も遠くに位置する。)」を採用して、本件発明2の 「ルアーの進行方向に向かって凹状に湾曲している」に想到することは容易である。 (申立書10頁26行~11頁19行) 第4 各甲号証の記載 1 甲1 (1)甲1の記載 本件特許出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審判合議体が付した。以下同様。) ア「ハリスを結着する環形のアイを中心に斜め上方向に向かっては下向きシャフトを、斜め下方向に向かっては上向きシャフトをアイを中心に略L字形に形成したスピナーベイトにおいて、下半分を略舌片状に成形して沈降面を形成し、上端側を縦断面L字形に折曲げしてシャンク挿入面を形成したリップの前記シャンク挿入面の背面側より折曲げした内側に向かって、前記L字形に形成したシャンクの先端部を挿入突出せしめて固着し、前記下向きシャフトと略平行に斜め下向き方向に前記リップの沈降面を設けたことを特徴とするリップ付スピナーベイト。」(実用新案登録請求の範囲) イ「以下本考案の実施例を示す図面について説明すると、1は先端(第1図において右端)にハリスTを結び付ける環形のアイ(Eye)2を形成し、アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したスピナーベイトのシャンクである。5は下半分を略舌片状に成形して沈降面6を形成し、上端側を縦断面L字形に折曲げしてシャンク挿入面7を形成したリップ(潜行板)で、シャンク挿入面7の背面側より前記折曲げした内側に向かってシャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で前記下向きシャフト3と略平行な斜め下向き位置に前記沈降面6を設けて固着する。8、8は下向きシャフト3の後端側に適宜、吊着したブレードである。9は上向きシャフト4の後端側に固着したヘッドである。10はヘッド9の後側位置に多数細い細帯形に止着したスカートである。11は基部を前記ヘッド9に固着し、スカート10の内側に先端部を位置せしめたフックである。」(明細書3頁3行~4頁2行) ウ「本考案を実施し、ポイントに投射した場合、着水後はリップ5の沈降面6が斜め下方に向けて設けられているため第4図Aに示す如く斜め下方向に向かって略一直線に沈降し、・・・」(明細書4頁4行~7行) エ「 [図:0001395266000001.jpg] 」 オ「 [図:0001395266000002.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 上記(1)によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(当審にて、本件発明1の分説した発明特定事項A等に概ね対応させて、記号a等を付した。)。 (甲1発明) 「a、b 先端にハリスTを結び付ける環形のアイ2を形成し、アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したシャンク1を備え、上向きシャフト4の後端側に固着したヘッド9と、基部を前記ヘッド9に固着し、スカート10の内側に先端部を位置せしめたフック11とを備えたスピナーベイトにおいて、 c、d 下半分を略舌片状に成形して沈降面6を形成し、上端側を縦断面L字形に折曲げしてシャンク挿入面7を形成したリップ(潜行板)5は、シャンク挿入面7の背面側より折曲げした内側に向かってシャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で下向きシャフト3と略平行な斜め下向き位置に前記沈降面6を設けて固着しており、ポイントに投射した場合、着水後はリップ5の沈降面6が斜め下方に向けて設けられているため斜め下方向に向かって略一直線に沈降する h スピナーベイト。」 2 甲2 (1)甲2の記載 本件特許出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には、以下の事項が記載されている。 ア「【0010】 図において、1は金属線材等で略L字形に形成されたシャンクで、そのL字形シャンク1のアッパーアーム1aとロアアーム1bとの間の角部には、ハリスTを連結する略環状のアイ1cが形成されている。そのアイ1cと反対側のアッパーアーム1aの自由端部にはスイベル2を介してブレード3が取付けられ、ロアアーム1bの自由端部にはヘッド4を介してフック5が設けられている。6はスカートである。 【0011】 そして本発明は上記L字形シャンク1の角部、すなわちアッパーアーム1aとロアアーム1bとで形成されるコーナー部の内側に潜行案内部材7を設けたもので、その潜行案内部材7の形状や取付け手段は適宜であるが、本実施例においては透明のプラスチック板等でほぼ木の葉状に形成し、その長手方向両端部に形成した小孔7a・7bにそれぞれアッパーアーム1aとロアアーム1bを挿通してシャンク1に取付け支持させた構成である。 【0012】 なお、この場合、上記両アーム1a・1bの上記小孔7a・7bとの挿通部は、図のように適宜屈曲させることによって、各アーム1a・1bに対する潜行案内部材7のずれを防ぐようにするとよく、又この場合、ロアアーム1bの小孔7bとの挿通部は、図のようにアッパーアーム1a側に屈曲させることによって、潜行案内部材7がロアアーム1bよりもスピナーベイトの進行方向前側、すなわちアッパーアーム1aと反対側に突出しないようにするとよい。 【0013】 上記の構成において、所望のポイントにスピナーベイトを投下し、ハリスTを介して図中矢示A方向にシャンク1を移動させると、潜行案内部材7は図1のように斜め下向きに傾斜した状態で図で右方に移動し、その潜行案内部材7の面に沿う水の流れによってシャンク1に図中矢示B方向の潜行力が生じてスピナーベイト全体が漸次沈降し、所望の深さまで迅速に潜行させることができる。又その際、潜行案内部材7はL字形シャンク1の角部内方に設けられているので、潜行案内部材に岩や水草等が引っ掛って根掛かりを起こしたり、潜行案内部材が左右にふらつくことがなく安定性よく潜行させることができる。」 イ「【図1】 [図:0001395266000003.jpg] 」 (2)甲2に記載された技術事項 上記(1)によれば、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 (甲2技術事項) 「金属線材等で略L字形に形成されたシャンク1であり、そのL字形シャンク1のアッパーアーム1aとロアアーム1bとの間の角部には、ハリスTを連結する略環状のアイ1cが形成されており、ロアアーム1bの自由端部にはヘッド4を介してフック5が設けられ(【0010】)、上記L字形シャンク1の角部、すなわちアッパーアーム1aとロアアーム1bとで形成されるコーナー部の内側に潜行案内部材7を設け、その長手方向両端部に形成した小孔7a・7bにそれぞれアッパーアーム1aとロアアーム1bを挿通してシャンク1に取付け支持させた構成であって(【0011】)、上記両アーム1a・1bの上記小孔7a・7bとの挿通部は、適宜屈曲させることによって、各アーム1a・1bに対する潜行案内部材7のずれを防ぐようにするとよく(【0012】)、潜行案内部材が左右にふらつくことがなく安定性よく潜行させることができる(【0013】)スピナーベイト(【0012】)。」 3 甲3 (1)甲3の記載 本件特許出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3には、以下の事項が記載されている。 ア「【0013】 ルアーの先端部にはブレードが取り付けられている。ブレードはルアー本体の直進泳動を妨げる方向に配置するが、ブレードはルアー本体の先端部に金属線環状体を遊動状態で繋ぎ、金属線環状体を構成する金属線の太さより大きい孔をあけたブレードに金属線を入れてブレードを前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付けていることにより、水中ではブレードが前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動する。これにより、ルアーに不規則で変幻自在な動きを与える。」 イ「【0020】 まず、ブレード7はボディ1の先端部のスプリットリング9に金属線環状体8により取り付ける。この実施例においては、ブレード7に孔7a,7bをあけておき、ここに金属線を通しかつスプリットリング9にも通してループ状の環とし、環のいずれかの部分で環を閉じる、8bは環を閉じた部分である。これにより、ブレードとラインの動きを抑制する。8aはラインをつなぐ部分である。 ウ「【図1】 [図:0001395266000004.jpg] 」 (2)甲3に記載された技術事項 上記(1)によれば、甲3には、次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 (甲3技術事項) 「先端部にはブレードが取り付けられ、ブレードはルアー本体の直進泳動を妨げる方向に配置し、ブレードはルアー本体の先端部に金属線環状体を遊動状態で繋ぎ、金属線環状体を構成する金属線の太さより大きい孔7a,7bをあけてブレードに金属線を入れてブレードを前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付け、水中ではブレードが前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動し、ルアーに不規則で変幻自在な動きを与えるルアー。」 4 甲4 (1)甲4の記載 本件特許出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4には、以下の事項が記載されている。なお、各記載事項の末尾に仮訳を付した。 ア「[0029]The rig 11 includes a quadratic surface 19 having first and second ports (21a, 21b) disposed centrally on the quadratic surface 19 and extending through the surface 19. The rig 11 further includes a leader 23 passing first through the first port 21a of the quadratic surface 19, through the eye 17 of the fly or lure, then through the second port 21b forming a loop 27. ・・・」(当審仮訳:釣具11は、二次曲面19上の中央に配置され、二次曲面19を貫通する第1および第2ポート(21a, 21b)を有した二次曲面19を備える。釣具11は、まず二次曲面19の第1のポート21aを通り、フライまたはルアーのアイ17を通って、次に、第2のポート21Bを通ってループ27を形成するリーダー23をさらに備える。・・・) イ「[0031]・・・In another embodiment of the present invention, the quadratic surface 19 has a concave side 25a and convex side 25b. The convex side 25b faces or is nearest to the eye 17, and the concave side 25a is not facing or furthest to the eye 17 relative to the convex side 25b.」(当審仮訳:・・・本発明の別の実施形態では、二次曲面19は、凹面側25aと凸面側25bとを有する。凸面側25bは、アイ17に面するか、最も近く位置し、凹面側25aは、アイ17に面しないか、凸面側25bに比べて最も遠くに位置する。) ウ「[0043]・・・The force of the water passing over the quadratic surface 19 causes the surface 19 to rock from side to side and the fly or lure 13 to oscillate between a first direction and a second direction to facilitate attracting fish to the fishing rig 11.」(当審仮訳:・・・二次曲面19上を通過する水の力によって二次曲面19は左右に揺れ、フライまたはルアー13は魚を釣具11におびき寄せやすくするために第1の方向と第2の方向に揺れる。) エ「 [図:0001395266000005.jpg] 」 上記(1)によれば、甲4には、次の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 (甲4技術事項) 「貫通する第1および第2ポート(21a, 21b)を有した二次曲面19を備え、第1のポート21aを通り、アイ17を通って、次に、第2のポート21Bを通ってループ27を形成するリーダー23をさらに備え、二次曲面19は、凹面側25aと凸面側25bとを有し、凸面側25bは、アイ17に面し、凹面側25aは、アイ17に面しないで、二次曲面19上を通過する水の力によって二次曲面19は左右に揺れ、フライまたはルアー13は魚を釣具11におびき寄せやすくするために第1の方向と第2の方向で揺れる釣具11。」 第5 当審の判断 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 発明特定事項Aについて 甲1発明の「略L字形」、「フック11」、「シャンク1」、「スピナーベイト」は、それぞれ本件発明1の「くの字」、「釣り針」、「軸部」、「スピナーベイト」に相当する。 ここで、甲1発明では、「シャンク1」の「上向きシャフト4の後端側」は「ヘッド9」に「固着」されており、「フック11」の「基部」は「ヘッド9」に「固着」されているものの、「フック11」と「シャンク1」の関係については明らかでない。 よって、本件発明1の「くの字の釣り針の軸部を有するスピナーベイト」と甲1発明の「先端にハリスTを結び付ける環形のアイ2を形成し、アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したシャンク1を備え、上向きシャフト4の後端側に固着したヘッド9と、基部を前記ヘッド9に固着し、スカート10の内側に先端部を位置せしめたフック11とを備えたスピナーベイト」とは、「釣り針とくの字の軸部を有するスピナーベイト」である点で共通する。 イ 発明特定事項B、C及びGについて 甲1発明の「アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したシャンク1」の下向きシャフト3と上向きシャフト4の間の角のうち鋭角側は、本件発明1の「軸部の内角側」に相当する。 また、甲1発明の「リップ(潜行板)5」、「挿入突出した状態で」「固着」することは、それぞれ本件発明1の「水流受け部材」、「挿着されていること」に相当する。 よって、本件発明1の「前記釣り針の軸部の内角側に、水流受け部材が、」「挿着されていること」と甲1発明の「先端にハリスTを結び付ける環形のアイ2を形成し、アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したシャンク1を備え、」「リップ(潜行板)5は、シャンク挿入面7の背面側より折曲げした内側に向かってシャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で」「固着」することとは、「前記軸部の内角側に、水流受け部材が、」「挿着されていること」で共通する。 ウ 発明特定事項Dについて 甲1発明では、「リップ(潜行板)5は、」「シャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で」「固着して」いることから、シャンク1の先端側を挿通する一対の孔を有することは明らかである。 よって、甲1発明は本件発明1の発明特定事項Dに相当する事項を有する。 エ 発明特定事項E及びGについて 甲1発明の「下向きシャフト3」、「上向きシャフト4」は、それぞれ本件発明1の「上側の軸部」、「下側の軸部」に相当する。 また、甲1発明では、「リップ(潜行板)5は、」「アイ2を中心として斜め上方向には下向きシャフト3を、斜め下方向には上向きシャフト4を略L字形に形成したシャンク1」「の先端側を三角形に挿入突出した状態で」「固着して」いる。 よって、本件発明1の「釣り針の軸部の上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、隙間を有して、」「挿着されていること」と、甲1発明の「下半分を略舌片状に成形して沈降面6を形成し、上端側を縦断面L字形に折曲げしてシャンク挿入面7を形成したリップ(潜行板)5は、シャンク挿入面7の背面側より折曲げした内側に向かってシャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で」「固着」することとは、「上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、」「挿着されていること」で共通する。 オ 発明特定事項Hについて 甲1発明の「スピナーベイト」は、本件発明1の「スピナーベイト」に相当する。 以上のことをふまえると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「A’釣り針とくの字の軸部を有するスピナーベイトにおいて、 B’前記軸部の内角側に、 C 水流受け部材が、 D 水流受け部材に形成された一対の孔の、 E’上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、 G 挿着されている H スピナーベイト。」 <相違点1> 「軸部」に関して、 本件発明1では、「釣り針の軸部」であるのに対して、 甲1発明では、「シャンク1」(軸部)と「フック11」(釣り針)とは、ともに「ヘッド9」に固着されているものの、シャンク1とフック11との関係が明らかではない点。 <相違点2> 本件発明1では、「水流受け部材が、水流受け部材に形成された一対の孔を、釣り針の軸部の上側の軸部と下側の軸部のそれぞれ直線的な部分に、隙間を有して、ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、挿着」されているのに対して、 甲1発明では、「リップ(潜行板)5は、シャンク挿入面7の背面側より折曲げした内側に向かってシャンク1の先端側を三角形に挿入突出した状態で下向きシャフト3と略平行な斜め下向き位置に前記沈降面6を設けて固着」されており、隙間を有して、ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に挿着されているものではない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点2について、まず検討をする。 甲2技術事項の「アッパーアーム1a」、「ロアアーム1b」、「フック5」、「潜行案内部材7」、「小孔7a・7b」、「挿通」して「取付け支持させ」ること、「スピナーベイト」は、それぞれ本件発明1の「上側の軸部」、「下側の軸部」、「釣り針」、「水流受け部材」、「一対の孔」、「挿着されていること」、「スピナーベイト」に相当する。 しかしながら、甲2技術事項では、潜行案内部材7(水流受け部材)は、「左右にふらつくことがなく安定性よく潜行させる」ための部材であって、直線的な部分に挿着されるものでもないため、ルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、一対の孔に隙間を有して挿着することは記載も示唆もされていない。 よって、甲2技術事項は相違点2を開示するものではない。 また、甲3技術事項の「ブレード」、「孔7a,7b」は、それぞれ本件発明1の「水流受け部材」、「一対の孔」に相当する。 そして、甲3技術事項の「ブレード」は「前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付け、水中ではブレードが前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動し、ルアーに不規則で変幻自在な動きを与える」ための部材である。 しかしながら、甲1発明のリップ(潜行板)5は、シャンク1に固着させることで、ポイントに投射した場合、着水後はリップ5の沈降面6が斜め下方に向けて設けられることにより斜め下方向に向かって略一直線に沈降させるという機能を実現させるものである。 そうすると、甲3技術事項の遊動可能なブレードを甲1発明のリップ(潜行板)5として採用する動機付けはなく、また、甲1発明のリップ(潜行板)5を遊動可能とすると、着水後に斜め下方向に向かって略一直線に沈降しなくなるため、甲1発明の目的に反するものとなり、さらに、甲1発明の目的に沿って機能しなくなるため、甲3技術事項を甲1発明に適用する阻害要因があるといえる。 さらに、甲4技術事項について検討すると、甲4技術事項も、貫通する第1および第2ポート(21a, 21b)を有した二次曲面19(本件発明1の「水流受け部材」に相当)が二次曲面19上を通過する水の力によって左右に揺れるものであるから、甲3技術事項と同様に、甲4技術事項を甲1発明に適用する阻害要因があるといえる。 したがって、甲1発明に甲2技術事項、甲3技術事項、甲4技術事項を適用して、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (3)申立人の主張 申立人は相違点2について、「甲3発明には、「ハードルアーで構成される釣用ブレード付きルアーであって、前記ルアーの先端部に金属線環状体を遊動状態で繋ぎ、前記金属線環状体を構成する金属線の太さより大きい孔をあけたブレードに前記金属線を入れて前記ブレードを前後方向及びルアーの進行方向に対して任意の角度に遊動可能に取り付けたことを特徴とする釣用ブレード付きルアー。」(請求項1)が開示されており、・・・「本発明のルアーは、ハードルアーと呼ばれるルアーであればどのようなものにも適用できる。例えばスプーン、スピナー、プラグ、ジグ等であり、プラグとしては、ペンシルベイト、スウィッシャー、ポッパー、ノイジー、ミノー、クランクベイト、メタルジグ等に適用できる。ルアーの材料は、樹脂製、金属製、木材製等いかなるものであってもよい。」([0033]段)と記載されていることから、スピナーベイトの甲1発明に、甲3発明の金属製板を採用して、本件特許1の「Fルアーの進行方向に向かって左右に揺れ動き可能に、」水流受け部材が挿着されている構成とすることは、容易に想到し得るものである。」(上記第3の2(2)イ(イ))と主張している。 しかしながら、上記(2)で説示したとおり、甲3技術事項の遊動可能なブレードを甲1発明のリップ(潜行板)5として採用する動機付けはなく、また、甲1発明のリップ(潜行板)5を遊動可能とすると、着水後に斜め下方向に向かって略一直線に沈降しなくなるため、甲1発明の目的に反するものとなり、さらに、甲1発明が目的に沿って機能しなくなるため、甲3技術事項を甲1発明に適用する阻害要因があるといえ、上記申立人の主張を採用することができない。 (4)小括 よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2技術事項、甲3技術事項及び甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記1で検討した理由と同じ理由により、本件発明2は、甲1発明、甲2技術事項、甲3技術事項及び甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、甲1発明、甲2技術事項、甲3技術事項及び甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701148

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