特許異議申立
2022-701120
多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルム
- 審判番号
- 2022-701120
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-517213
- 登録番号
- 7076057
- 請求日
- 2022年11月15日
- 審決日
- 2023年10月23日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ユポ・コーポレーション
- 【権利者代理人】高岡 亮一
- 【権利者代理人】小田 直
- 【権利者代理人】高橋 香元
- 【権利者代理人】小森 幸子
- 【権利者代理人】山下 武志
- 【権利者代理人】芝田 美香
- 【権利者代理人】岩堀 明代
- 【権利者代理人】高木 貴子
- 【異議申立人】加藤 真弥
- 【異議申立人】渡辺 陽子
- 審判長/審判官
- 審判長 加藤 友也
- 審判官 磯貝 香苗
- 審判官 淺野 美奈
- 分類
- P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号特許法113条4号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第4号、特許法第113条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7076057号発明「多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7076057号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし16〕について訂正することを認める。
特許第7076057号の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許を維持する。
特許第7076057号の請求項5、13及び15についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7076057号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、
2021年(令和 3年) 5月28日 (優先権主張 令和 2年 5月29日)を国際出願日とする出願であって、
令和 4年 5月18日にその特許権の設定登録(請求項の数 16)がされ、
令和 4年 5月26日に特許掲載公報が発行され、その後、当該特許に対し、
令和 4年11月15日に加藤真弥(以下、「特許異議申立人1」という。)が全ての請求項に係る特許に対して特許異議申立てを行い、
令和 4年11月16日に渡辺陽子(以下、「特許異議申立人2」という。)が全ての請求項に係る特許に対して特許異議申立てを行い、
令和 5年 3月23日付けで取消理由が通知され、
令和 5年 5月23日に特許権者(株式会社ユポ・コーポレーション)により訂正請求がなされるとともに意見書が提出され、
令和 5年 7月26日に特許権者により手続補正書が提出され、
令和 5年 8月24日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づき特許異議申立人1及び2に対し訂正請求があった旨の通知がなされ、
令和 5年 9月 6日に特許異議申立人2より意見書が提出されたが、特許異議申立人1からは、応答がなかったものである。
第2 本件訂正について
1 訂正の内容
令和 5年 5月23日にされた訂正請求における訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂を含み、」とあるのを、
「前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、」に訂正する。
併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし4、6ないし12、14及び16も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含む、」とあるのを、
「前記ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、
前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、
前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ、
前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5である」に訂正する。
併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし4、6ないし12、14及び16も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に、
「請求項5」とあるのを、
「請求項1」に訂正する。
併せて、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項7、9ないし12、14及び16も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に、
「請求項1~8」とあるのを、
「請求項1~4、6~8」に訂正する。
併せて、請求項9を直接又は間接的に引用する請求項10、14及び16も同様に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11に、
「請求項1~8」とあるのを、
「請求項1~4、6~8」に訂正する。
併せて、請求項11を直接又は間接的に引用する請求項12、14及び16も同様に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項14に、
「請求項1~13」とあるのを、
「請求項1~4、6~12」に訂正する。
併せて、請求項14を引用する請求項16も同様に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項15を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項16に、
「請求項1~15」とあるのを、
「請求項1~4、6~12、14」に訂正する。
(11)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし16について、訂正前の請求項2ないし16はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び2によって訂正される請求項1に連動して訂正される。
したがって、訂正前の請求項1ないし16に対応する訂正後の請求項1ないし16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1ないし2に係る請求項1の訂正について
訂正事項1に係る請求項1の訂正は、請求項1におけるポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含むと特定し、訂正事項2に係る請求項1の訂正は、請求項1における多孔質延伸フィルムの空孔率を5~35%とし、折曲回復率を60~82%とし、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の質量比を65:35~95:5に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1項に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、本件特許明細書の請求項5「前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂をさらに含む」との記載、及び、本件特許明細書の【0063】「本発明の多孔質延伸フィルムを構成する樹脂成分として、ポリプロピレン樹脂にポリエチレン樹脂を併用することが可能である」との記載からみて、訂正事項2に係る請求項1の訂正は、本件特許明細書の【0195】【表3】の空孔率の数値、本件特許明細書の【0110】の「<折曲回復率>多孔質延伸フィルムの折曲回復率は、50~99%の範囲内であることが好ましく、60~82%の範囲内であることがより好ましい。」との記載及び【0195】【表3】の折曲回復率の数値、本件特許明細書の【0078】の「<<ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の量比>>多孔質延伸フィルムを構成する樹脂成分におけるポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の質量比(植物由来及び石油由来のポリプロピレン樹脂の総量:植物由来及び石油由来のポリエチレン樹脂の総量)は、空孔の形成性の観点から、1:99~99:1であることが好ましく、10:90~97:3であることがより好ましく、65:35~95:5であることがさらに好ましい。」との記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1ないし2に係る請求項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項3、7、9に係る請求項5、13、15の訂正について
訂正事項3に係る請求項5の訂正、訂正事項7に係る請求項13の訂正、訂正事項9に係る請求項15の訂正は、請求項5、13、15の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項3に係る請求項5の訂正、訂正事項7に係る請求項13の訂正、訂正事項9に係る請求項15の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項4に係る請求項6の訂正について
訂正事項4に係る請求項6の訂正は、訂正前の請求項6が請求項5を引用していたところ、訂正事項1により訂正前請求項5の内容が訂正後請求項1に組み込まれ、かつ、訂正事項3により請求項5が削除されたことに伴い、引用先請求項を請求項5から請求項1に訂正したものである。
したがって、訂正事項4に係る請求項6の訂正は、引用請求項が請求項5から請求項1に訂正され、かつ、訂正事項1に係る請求項1の訂正に係るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1項に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項4に係る請求項6の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項5、6、8、10に係る請求項9、11、14、16の訂正について
訂正事項5、6、8、10に係る請求項9、11、14、16の訂正は、引用請求項の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項5、6、8、10に係る請求項9、11、14、16の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし16に対してされているから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による特許請求の範囲の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし16〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし16に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明16」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、
前記ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、
前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、
前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ
前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5である
ことを特徴とする多孔質延伸フィルム。
【請求項2】
前記ポリプロピレン樹脂が、前記植物由来のポリプロピレン樹脂と石油由来のポリプロピレン樹脂とを含み、
前記植物由来のポリプロピレン樹脂と前記石油由来のポリプロピレン樹脂の質量比が、1:99~99:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項3】
前記無機フィラーが、炭酸カルシウムの微細粉末を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項4】
前記多孔質延伸フィルムにおける前記無機フィラーの含有率が、3~70質量%である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記ポリエチレン樹脂が、植物由来のポリエチレン樹脂を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項7】
前記ポリエチレン樹脂が、前記植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂とを含み、
前記植物由来のポリエチレン樹脂と前記石油由来のポリエチレン樹脂の質量比が、1:99~99:1である、
ことを特徴とする請求項6に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項8】
前記ポリオレフィン樹脂が、前記植物由来のポリプロピレン樹脂5~90質量部、石油由来のポリプロピレン樹脂40~90質量部、植物由来のポリエチレン樹脂0~20質量部及び石油由来のポリエチレン樹脂0~20質量部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項9】
前記多孔質延伸フィルムが、Tダイによりシート状に押出成形され、次いで1軸方向に延伸された延伸フィルムである
ことを特徴とする請求項1~4、6~8のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項10】
前記多孔質延伸フィルムにおける延伸倍率が、1.1~10倍である、
ことを特徴とする請求項9に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項11】
前記多孔質延伸フィルムが、Tダイによりシート状に押出成形され、次いで2軸方向に延伸された延伸フィルムである、
ことを特徴とする請求項1~4、6~8のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項12】
前記多孔質延伸フィルムにおける面積延伸倍率が、1.5~75倍である、
ことを特徴とする請求項11に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
前記多孔質延伸フィルムにおける植物由来の前記ポリオレフィン樹脂の含有率から算出されるバイオマス度が、1~97%である、
ことを特徴とする請求項1~4、6~12のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
請求項1~4、6~12、14のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルムと、前記多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の表面上に積層された印刷性向上層と、を有する、
ことを特徴とする印刷用フィルム。
第4 特許異議申立書に記載した異議申立理由の概要
1 特許異議申立人1の特許異議申立理由について
特許異議申立人1が提出した特許異議申立書において主張する特許異議申立理由の要旨は下記(1)ないし(3)であり、証拠方向は下記(4)のとおりである。
(1)申立理由1-1(甲第1-1号証に基づく新規性)
本件特許の請求項1、3、4、11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1-1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、4、11に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)申立理由1-2(甲第1-2号証及び甲第1-1号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1-2号証、甲第1-1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし16に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立理由1-3(サポート要件)
本件特許の請求項1ないし16に係る特許は、下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
その具体的理由は次のとおりである。
本件特許発明においては、折り曲げに対する回復力が高い樹脂フィルムを製造開発するにあたり、樹脂フィルムの製造過程における二酸化炭素ガスの排出量を減らすために、使用する樹脂フィルムの原料、製造過程、又はフィルム構造等の改良を図ることを発明の課題として挙げている(明細書段落【0002】~【0008】参照。)。
当該発明の課題に対し、本件特許発明は、少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムにおいて、本件特許発明1で特定するポリプロピレン樹脂が植物由来のポリプロピレン樹脂を含むことで、前記課題が解決されるとしている。
ここで、発明の詳細な説明では、実施例1~5、8、10において、植物油を原料として製造されたプロピレン単独重合体として、「HC101BF」又は「HE125MO」が使用されている(明細書段落【0134】【0135】【0138】【0139】【0142】【0143】【0150】【0151】【0154】【0155】【0165】【0178】【0181】参照。)。
しかしながら、「HC101BF」は、例えば甲第1-3号証の段落【0149】に記載されているように、従来から一般的に使用されている石油由来のポリプロピレン樹脂であり、植物由来のポリプロピレン樹脂ではない。
同様に、「HE125MO」は、例えば甲第1-4号証の段落【0071】、甲第1-5号証の段落【0124】【0147】【0149】、甲第1-6号証の段落【0141】【0145】、甲第1-7号証の段落【0068】【0069】に記載されているように、従来から一般的に使用されている石油由来のポリプロピレン樹脂であり、植物由来のポリプロピレン樹脂ではない。
プロプロピレン樹脂が実際に植物由来であるか否かを確かめるためには、例えば本件特許明細書の段落【0061】【0072】【0109】にも記載されるように、放射性炭素(14C)測定を要する。
しかしながら、実施例1~5、8、10に使用される「HC101BF」、「HE125MO」について、放射性炭素(14C)測定の結果は開示されていない。
「HC101BF」、「HE125MO」は上記のように従来から一般的に使用されている石油由来のポリプロピレン樹脂であるから、放射性炭素(14C)測定の結果が開示されていないのであれば、両者が植物由来のポリプロピレン樹脂であると認めることはできない。
そうすると、実施例1~5、8、10の延伸フィルムは植物由来のポリプロピレン樹脂を含まないものといえるから、本件特許発明1は前記課題を解決できない態様を含んでいる。
本件特許発明1は前記課題を解決する手段(ポリプロピレン樹脂が植物由来のポリプロピレン樹脂を含むこと)が反映されているということはできないから、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。
したがって、本件特許発明1及び本件特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件特許発明2ないし16は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求しようとするものである。
(4)証拠方法
甲第1-1号証:特許第6661155号
甲第1-2号証:国際公開第2019/208692号
甲第1-3号証:特表2014-520016号公報
甲第1-4号証:特表2020-516568号公報
甲第1-5号証:特表2008-518044号公報
甲第1-6号証:特表2007-532750号公報
甲第1-7号証:特表2006-524284号公報
証拠の表記は特許異議申立書1の記載におおむね従った。以下、順に「甲1-1」のようにいう。
2 特許異議申立人2の特許異議申立理由について
特許異議申立人2が提出した特許異議申立書において主張する特許異議申立理由の要旨は下記(1)、証拠方向は下記(2)のとおりである。
(1)申立理由2-1(甲第2-1号証及び甲第2-2号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2-1号証、甲第2-2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし16に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)証拠方法
甲第2-1号証:再表2019/208692号公報
甲第2-2号証:特開2017-186443号公報
甲第2-3号証:PCT/JP2021/020494に対する国際調査機関の見解書
参考資料1:国際公開第2019/022008号
参考資料2:特開2019-171759号公報
参考資料1及び2は、令和 5年 9月 6日に提出された意見書に添付されたものである。
証拠の表記は特許異議申立書2及び令和 5年 9月 6日に提出された意見書の記載におおむね従った。
以下、順に「甲2-1」のようにいう。
第5 取消理由通知に記載した取消理由の概要
当審が令和5年 3月23日付けで特許権者に通知した取消理由通知における取消理由の概要は次のとおりである。
1 取消理由1(甲1-1に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1、3ないし6、11、15に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1-1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1-1に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3ないし6、11、15に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 取消理由2(甲1-2に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1-2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし16に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第6 令和 5年 3月23日付けで特許権者に通知した取消理由についての判断
当審は以下に述べるように、令和 5年 3月23日付けで特許権者に通知した取消理由1及び2は、いずれにも理由がないと判断する。
1 取消理由1(甲1-1に基づく新規性・進歩性)について
(1)甲1-1の記載事項等
ア 甲1-1の記載事項
甲1-1には、「樹脂組成物及び成形品」について次の事項が記載されている。
「【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末とを50:50~10:90の質量比で含み、
前記無機物質粉末が、炭酸カルシウムを含み、
前記炭酸カルシウムが、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が0.5μm以上2.0μm未満である第1の炭酸カルシウムと、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が2.0μm以上9.0μm未満である第2の炭酸カルシウムとを含み、
前記第1の炭酸カルシウムと前記第2の炭酸カルシウムとの質量比が、90:10~98:2であり、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂を含み、
前記第1の炭酸カルシウム及び前記第2の炭酸カルシウムが、いずれも表面処理されている重質炭酸カルシウムである、
樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機物質粉末との質量比が、40:60~10:90である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂が、植物由来である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の樹脂組成物からなる成形品。」
「【請求項6】
印刷用シートである、請求項4に記載の成形品。」
「【0008】
(1) ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末とを50:50~10:90の質量比で含み、
前記無機物質粉末が、炭酸カルシウムを含み、
前記炭酸カルシウムが、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が0.5μm以上2.0μm未満である第1の炭酸カルシウムと、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が2.0μm以上9.0μm未満である第2の炭酸カルシウムとを含み、
前記第1の炭酸カルシウムと前記第2の炭酸カルシウムとの質量比が、90:10~98:2である、樹脂組成物。
【0009】
(2) 前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機物質粉末との質量比が、40:60~10:90である、(1)に記載の樹脂組成物。
【0010】
(3) 前記ポリオレフィン系樹脂が、植物由来である、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
【0011】
(4) 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン樹脂及び/又はポリエチレン樹脂を含む、(1)から(3)の何れかに記載の樹脂組成物。
【0012】
(5) 前記炭酸カルシウムが、表面処理されている重質炭酸カルシウムである、(1)から(4)の何れかに記載の樹脂組成物。
【0013】
(6) (1)から(5)の何れかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
【0014】
(7) 包装袋である、(6)に記載の成形品。
【0015】
(8) 印刷用シートである、(6)に記載の成形品。」
「【0044】
ポリオレフィン系樹脂は、植物由来のものであってもよい。例えば、バイオマス原料由来のモノマーをポリオレフィン系樹脂として用いることができる。」
「【0061】
成形品の成形法は、成形品の種類等に応じて適宜選択できる。例えば、成形品がシートである場合、樹脂組成物を構成する材料を混練する工程と、混練物をシート状に成形する工程とを連続的に行う方法等が挙げられる。かかる方法においては、例えば、Tダイ方式の二軸押出成形機等を使用できる。得られたシートは、必要に応じて、延伸(例えば、縦及び/又は横延伸)してもよい。」
「【0065】
印刷用シートとしては、本発明の樹脂組成物から得られたシート(例えば、膜厚70μm以上100μm以下のもの)をそのまま、又は適宜表面を加工したものが好ましい。」
「【実施例】
【0066】
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0067】
<成形体の製造>
以下の方法に基づき、樹脂組成物から成形体を製造した。樹脂組成物の組成を表1~4の「樹脂組成物の組成」の項に示す。
【0068】
(ポリオレフィン系樹脂の準備)
ポリオレフィン系樹脂として、以下の何れかを用いた。
ポリオレフィン系樹脂-1:ブラスケム社製 植物由来 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
ポリオレフィン系樹脂-2:植物由来・ポリプロピレン(PP)
【0069】
(無機物質粉末の準備)
無機物質粉末として、炭酸カルシウム粉末を用いた。該炭酸カルシウム粉末は、平均粒子径の異なる、以下から選択される2種の炭酸カルシウムを表1~4の「炭酸カルシウムの比率」の項に示す質量比で含む。
[第1の炭酸カルシウム]
第1の炭酸カルシウム-A:丸尾カルシウム株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が0.5μmであるもの
第1の炭酸カルシウム-B:丸尾カルシウム株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が1.5μmであるもの
[第2の炭酸カルシウム]
第2の炭酸カルシウム-a:備北粉化工業株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が2.3μmであるもの
第2の炭酸カルシウム-b:備北粉化工業株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が8.5μmであるもの
[第3の炭酸カルシウム]
第3の炭酸カルシウム-ア:丸尾カルシウム株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が0.2μmであるもの
第3の炭酸カルシウム-イ:備北粉化工業株式会社製 JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が15μmであるもの
【0070】
なお、上記炭酸カルシウムは、何れも、表面処理されている重質炭酸カルシウムに相当する。炭酸カルシウムの平均粒子径は、島津製作所社製の比表面積測定装置SS-100型を用い、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した。
【0071】
(樹脂組成物の製造)
ポリオレフィン系樹脂、第1の炭酸カルシウム、及び第2の炭酸カルシウムを、同方向二軸押出機で、230℃の条件にて混練し、樹脂組成物を得た。
【0072】
(樹脂組成物の成形)
インフレーション成形機を用いて、上記樹脂組成物を成形し、平均厚さが50μmである成形体(プラスチックシート)を得た。
【0073】
<成形体の評価>
上記「(樹脂組成物の成形)」の項で得られた成形体(プラスチックシート)について以下の評価を行った。
【0074】
(成形体の印刷性)
常法に従い、成形体表面にグラビア印刷を行い、以下の基準で成形体の印刷性を評価した。その結果を表1~4の「印刷性」の項に示す。
○:欠け、こすれ、及びかすれ等が認められず、鮮明な印刷である
×:欠け、こすれ、及びかすれ等が認められ、不鮮明な印刷である
【0075】
(成形体のブロッキング)
JIS K7125により、成形体表面の静摩擦係数を測定し、以下の基準で評価した。その結果を表1~4の「ブロッキング」の項に示す。表静摩擦係数が低いほど、重ね合わされた成形品同士が密着しにくくなり、成形体同士のブロッキングが生じにくいことを意味する。
○:静摩擦係数が0.5以下である(ブロッキングが生じにくい)
×:静摩擦係数が0.5より大である(ブロッキングが生じやすい)」
「【0078】
【表3】
[図:0001406682000001.jpg]
【0079】
【表4】
[図:0001406682000002.jpg]
【0080】
上記の結果の通り、第1の炭酸カルシウム及び第2の炭酸カルシウムを、本発明において規定される量で含む樹脂組成物から得られた成形体は、印刷性が良好であり、かつ、ブロッキングが抑制されていた。このような効果は、本発明における要件を満たさない樹脂組成物から得られた成形体においては認められなかった。」
イ 甲1-1に記載された発明
上記アより、甲1-1の【請求項1】~【請求項3】、【請求項6】、【0008】~【0015】、【0061】を中心に整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1-1発明>
「前記無機物質粉末が、炭酸カルシウムを含み、前記炭酸カルシウムが、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が0.5μm以上2.0μm未満である第1の炭酸カルシウムと、JIS M-8511による空気透過法により測定した平均粒子径が2.0μm以上9.0μm未満である第2の炭酸カルシウムとを含み、前記第1の炭酸カルシウムと前記第2の炭酸カルシウムとの質量比が、90:10~98:2であり、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂を含み、前記第1の炭酸カルシウム及び前記第2の炭酸カルシウムが、いずれも表面処理されている重質炭酸カルシウムであり、前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機物質粉末との質量比が、40:60~10:90であり、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、前記ポリオレフィン系樹脂が植物由来である樹脂組成物をTダイ方式の二軸延伸押出成形機を使用して製造した印刷用シート。」
また、上記アより、甲1-1の実施例3-1~実施例3-3を中心に整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1-1実施例発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1-1実施例発明>
「植物由来・ポリプロピレン(PP)と炭酸カルシウム粉末を40:60の質量比で含む樹脂組成物を二軸押出機で230℃の条件にて混練し、インフレ-ション成形機を用いて成形した平均厚さ50μmのプラスチックシート。」
(2)対比・判断
ア 本件特許発明1についての対比・判断
(ア)本件特許発明1と甲1-1発明とを対比する。
甲1-1発明における「ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含」む構成は、本件特許発明1における「ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含」む構成に相当する。
甲1-1発明において「前記ポリオレフィン系樹脂が植物由来である」構成は、本件特許発明1の「植物由来のポリプロピレン樹脂を含み」との特定事項に対し、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む点で一致する。
甲1-1発明における「炭酸カルシウム」は、本件特許発明1における「無機フィラー」に相当する。
甲1-1発明における「印刷用シート」は、ポリオレフィン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を「Tダイ方式の二軸延伸押出成形機を使用して製造」されたものであるから、多孔質延伸フィルムが形成されているといえる。
したがって、甲1-1発明における「印刷用シート」は、本件特許発明1における「多孔質延伸フィルム」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1-1発明との一致点、相違点は次のとおりである。
<一致点>
「少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、ポリオレフィン樹脂が、植物由来のポリオレフィン樹脂を含む、多孔質延伸フィルム」
<相違点1-1-1>
本件特許発明1は「植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5」であるとの特定を有するのに対して、甲1-1発明はそのような特定はない点。
本件特許発明1と甲1-1発明とは、相違点1-1-1の点で相違するから、本件特許発明1は甲1-1発明ではない。
また、甲1-1及び他の全ての証拠の記載をみても、相違点1-1-1に係る「植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5」とする動機となる記載はない。
したがって、甲1-1発明において、相違点1-1-1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件特許発明1は、二酸化炭素ガスの排出量を減らせるとともに折り曲げに対する回復力も向上し、延伸安定性に優れるという本件特許の発明の詳細な説明【0026】及び【0195】ないし【0198】に記載された優れた効果を有するものである。
よって、本件特許発明1は甲1-1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件特許発明1と甲1-1実施例発明とを対比する。
甲1-1実施例発明における「植物由来・ポリプロピレン(PP)」、「炭酸カルシウム粉末」は、本件特許発明1における「植物由来のポリプロピレン」、「無機フィラー」に相当する。
甲1-1実施例発明における「インフレーション成形機を用い」た「成形」は、本件特許発明1における「延伸」に相当する。
甲1-1実施例発明における「プラスチックシート」は本件特許発明1における「フィルム」に相当する。
さらに、甲1-1実施例発明において成形されたフィルムは、「植物由来・ポリプロピレン(PP)と炭酸カルシウム粉末を40:60の質量比で含む樹脂組成物」をインフレーション成形したものであるから本件特許発明1における「多孔質」フィルムに相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1-1実施例発明との一致点、相違点は次のとおりである。
<一致点>
「少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂を含み、前記ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含む、多孔質延伸フィルム。」
<相違点1-1-2>
本件特許発明1においては「前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5」であるとの特定を有するのに対し、甲1-1実施例発明においてはそのような特定はない点。
本件特許発明1は相違点1-1-2の点で甲1-1実施例発明と相違するから、本件特許発明1は甲1-1実施例発明ではない。
また、甲1及び他の全ての証拠の記載をみても、相違点1-1-2に係る「前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%であり、かつ前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5」とする動機となる記載はない。
したがって、甲1-1実施例発明において、相違点1-1-2に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件特許発明1は、二酸化炭素ガスの排出量を減らせるとともに折り曲げに対する回復力も向上し、延伸安定性に優れるという本件特許の発明の詳細な説明【0026】及び【0195】ないし【0198】に記載された優れた効果を有するものである。
よって、本件特許発明1は甲1-1実施例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件特許発明3ないし4、6及び11についての対比・判断
本件特許発明3ないし4、6及び11は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし4、6及び11は、甲1-1発明又は甲1-1実施例発明ではなく、また、本件特許発明3ないし4、6及び11は、甲1-1発明又は甲1-1実施例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)取消理由1についてのむすび
本件特許の請求項1、3ないし4、6及び11に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、本件特許の請求項1、3ないし4及び6に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし4、6及び11に係る特許は、特許法第113条第2項に該当しない。
したがって、取消理由1によって本件特許の請求項1、3ないし4、6及び11に係る特許を取り消すことはできない。
2 取消理由2(甲1-2に基づく進歩性)について
(1)甲1-2の記載事項等
ア 甲1-2の記載事項
甲1-2には、「多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルム」について、次の事項が記載されている。
「請求の範囲
[請求項1] 少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を、少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムであって、
前記ポリエチレン樹脂が、植物由来のポリエチレン樹脂を含む、
ことを特徴とする多孔質延伸フィルム。
[請求項2] 前記ポリエチレン樹脂が、前記植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂の混合物であり、
前記混合物中の前記植物由来のポリエチレン樹脂と前記石油由来のポリエチレン樹脂の質量比が、5:95~99:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項3] 前記多孔質延伸フィルム中の前記無機フィラーの含有量が、3~70質量%である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項4] 前記樹脂組成物が、さらにポリプロピレン樹脂を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項5] 前記多孔質延伸フィルムにおける前記ポリエチレン樹脂と前記ポリプロピレン樹脂の質量比が、5:95~99:1である、
ことを特徴とする請求項4に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項6] 前記多孔質延伸フィルムの空孔率が、3~55%である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項7] 多層構造を有し、前記多層のうちの少なくとも1層が、前記少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムである、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項8] 前記少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムが、2軸方向に延伸されたフィルムである、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルム。
[請求項9] 請求項1~8のいずれか一項に記載の多孔質延伸フィルムと、
前記多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の面上に設けられた印刷性向上層と、を有する、
ことを特徴とする印刷用フィルム。」
「[0009] 本発明は、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、かつカールが小さい多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリエチレン樹脂に無機フィラーを配合した樹脂組成物の延伸フィルムであれば、多孔質となって二酸化炭素ガスの排出量を減らせるとともにカールを小さくでき、さらにポリエチレン樹脂として植物由来のポリエチレン樹脂を使用することによって二酸化炭素ガスの排出量をさらに減らせることを見出し、本発明を完成した。
[0011] すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を、少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムであって、
前記ポリエチレン樹脂が、植物由来のポリエチレン樹脂を含む、
ことを特徴とする多孔質延伸フィルム。
[0012](2)前記ポリエチレン樹脂が、前記植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂の混合物であり、
前記混合物中の前記植物由来のポリエチレン樹脂と前記石油由来のポリエチレン樹脂の質量比が、5:95~99:1である、
ことを特徴とする前記(1)に記載の多孔質延伸フィルム。
[0013](3)前記多孔質延伸フィルム中の前記無機フィラーの含有量が、3~70質量%である、
ことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の多孔質延伸フィルム。
[0014](4)前記樹脂組成物が、さらにポリプロピレン樹脂を含む、
ことを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載の多孔質延伸フィルム。
[0015](5)前記多孔質延伸フィルムにおける前記ポリエチレン樹脂と前記ポリプロピレン樹脂の質量比が、5:95~99:1である、
ことを特徴とする前記(4)に記載の多孔質延伸フィルム。
[0016](6)前記多孔質延伸フィルムの空孔率が、3~55%である、
ことを特徴とする前記(1)~(5)のいずれかに記載の多孔質延伸フィルム。
[0017](7)多層構造を有し、前記多層のうちの少なくとも1層が、前記少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムである、
ことを特徴とする前記(1)~(6)のいずれかに記載の多孔質延伸フィルム。
[0018](8)前記少なくともポリエチレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を少なくとも1軸方向に延伸してなる多孔質延伸フィルムが、2軸方向に延伸されたフィルムである、
ことを特徴とする前記(1)~(7)のいずれかに記載の多孔質延伸フィルム。
[0019](9)前記(1)~(8)のいずれかに記載の多孔質延伸フィルムと、
前記多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の面上に設けられた印刷性向上層と、を有す、
ことを特徴とする印刷用フィルム。
発明の効果
[0020] 本発明によれば、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、かつカールが小さい多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルムを提供することができる。」
「[0024] 一方、フィルム成形可能な樹脂材料の中でもポリエチレン樹脂は比較的、弾性率(曲げ弾性率等)が小さく、カール性の改良に有効である。またこれを多孔質化したフィルムは、マトリクス中の樹脂成分が軽減されていることから、カール性をさらに改良することができる。このような多孔質フィルムによれば、樹脂が配向しカールが発生しやすい延伸フィルムに仮に巻き癖が付いたとしても、自重や外力等によって元の平坦状に戻りやすく、カールの小さい多孔質延伸フィルムが得られることが判明した。
また、本発明の多孔質延伸フィルムを構成する樹脂成分として、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂とを併用することが可能である。ポリプロピレン樹脂は、ポリエチレン樹脂に比べて硬質なため単体での使用はカール性の改良に不向きであるが、硬質であるが故に延伸成形により多くの空孔を形成しやすい特徴がある。この特徴を踏まえて、併用により延伸フィルムの空孔率をより高めて、製品の単位体積当たりの二酸化炭素ガスの排出量を減らすことや、カールを小さくすることが可能となる。」
「[0028]<ポリエチレン樹脂>
本発明の多孔質延伸フィルムに使用されるポリエチレン樹脂は、上述のように植物由来のポリエチレン樹脂を含む。植物由来のポリエチレン樹脂は、原料が植物由来であるエチレンをモノマーとして用いたエチレン重合体である。原料として使用される植物は育成段階で二酸化炭素ガスを吸収しているため、そのような二酸化炭素ガスの吸収がない石油由来のポリエチレン樹脂と比べて、植物由来のポリエチレン樹脂の製造過程における二酸化炭素ガス排出係数は小さい。そのため、植物由来のポリエチレン樹脂の使用により二酸化炭素ガスの排出量を減らすことができる。
[0029]<<植物由来のポリエチレン樹脂>>
多孔質延伸フィルムに使用できる植物由来のポリエチレン樹脂としては、植物由来のエチレンの重合体であれば、石油由来のポリエチレン樹脂と同様に、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンを主体とした共重合体等が挙げられる。植物由来のエチレンは、例えばサトウキビやトウモロコシ等の植物に由来するバイオマスの発酵により生成したエタノールの脱水により製造することができる。植物由来のポリエチレン樹脂が、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィンをコモノマーとして含む場合、これらのα-オレフィンは、植物に由来する方法で製造されたα-オレフィンでもよく、石油由来のα-オレフィンでもよい。
[0030] 植物由来の高密度ポリエチレン樹脂としては、Braskem(ブラスケム)社製のSHC7260(MFR;7.2g/10分、密度;0.959g/cm3)、SHD7255LSL(MFR;4.5g/10分、密度;0.954g/cm3)、SGE7252(MFR;2.2g/10分、密度;0.953g/cm3)等が挙げられる。上記Braskem社の製品のMFRは、JIS K7210:2014に準拠する測定値であり、密度はASTM D1505/D 792に準拠する測定値である。
[0031] 本発明の多孔質延伸フィルムに使用されるポリエチレン樹脂は、上述した植物由来のポリエチレン樹脂を含むのであれば、植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂の混合物であってもよい。石油由来のポリエチレン樹脂は、原料が石油であるエチレンをモノマーとして用いたエチレン重合体である。石油由来のポリエチレン樹脂は、多孔質延伸フィルムのカール性や延伸成形性を好適に改良するために、または多孔質延伸フィルムの製造コストを低減するために、併用することができる。」
「[0036] 混合物中における植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂の質量比は、5:95~99:1であることが好ましい。二酸化炭素ガスの排出量をさらに減らし、カールの抑制効果をより高める観点からは、植物由来のポリエチレン樹脂の含有割合が多いことが好ましく、同質量比における植物由来のポリエチレン樹脂の含有割合の下限値は、7:93であることがより好ましく、30:70であることがさらに好ましい。一方、植物由来のポリエチレン樹脂は未だ高価であることから、同質量比における植物由来のポリエチレン樹脂の含有割合の上限値は95:5であってもよい。」
「[0039]<ポリプロピレン樹脂>
多孔質延伸フィルムは、ポリエチレン樹脂とともにポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。上述のように、ポリプロピレン樹脂の併用により、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、カールが小さい多孔質延伸フィルムが得られやすい。また、フィルム強度が得られやすいポリプロピレン樹脂と、ポリプロピレン樹脂よりも溶融しやすいポリエチレン樹脂と併用することにより、溶融状態で延伸しやすくなり、フィブリル状の多孔質延伸フィルムの形成が容易になる。」
「[0069](印刷用フィルム)
本発明の印刷用フィルムは、上記多孔質延伸フィルムと、上記多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の面上に設けられた印刷性向上層と、を有する。上述のように、多孔質延伸フィルムだけでも印刷用紙として使用することができるが、印刷性向上層を有する印刷用フィルムは、インキとの密着性が高く、印刷性により優れる。印刷用フィルムは、多孔質延伸フィルムと印刷性向上層を有するのであれば、他の層を有してもよい。例えば、印刷用フィルムは、印刷性向上層と多孔質延伸フィルムとの間に、溶剤アタック防止層を有することができる。」
「[0072]<印刷性向上層>
印刷性向上層は、各種の印刷方法に対する適性を向上させる観点から、印刷用フィルムの最表面の位置に設けられる。使用できる印刷方法としては、多孔質延伸フィルムと同じ印刷方法が挙げられる。シート状でもロール状の輪転方式でも、印刷が可能である。」
「[0093](実施例I)
<樹脂組成物A>
表1に記載の原料エチレンが植物由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:HDPE SHC7260、ブラスケム社製)35質量部及び重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)65質量部を混合して、樹脂組成物Aを調製した。
次いでこれを、シリンダー温度を230℃に設定した押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却後にカットして、樹脂組成物Aのペレットを得た。
[0094]<樹脂組成物B~E、O、P及びX~Z>
表1に記載の原料エチレンが植物由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:HDPE SHC7260、ブラスケム社製)、原料エチレンが石油由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:ノバテックHD HJ580N、日本ポリエチレン社製)、及び重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)を、表2及び表3に示す配合比率となるように計量し混合して、樹脂組成物B~E、O、P及びX~Zをそれぞれ調製した。
次いでこれを、シリンダー温度を230℃に設定した押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却後にカットして、各樹脂組成物B~E、O、P及びX~Zのペレットを得た。
[0095]<樹脂組成物F>
表1に記載の原料エチレンが植物由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:HDPE SHC7260、ブラスケム社製)10質量部、プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)67質量部、重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)22.5質量部及び二酸化チタン粒子(商品名:タイペークCR-60、石原産業社製)0.5質量部を混合して、樹脂組成物Fを調製した。
次いでこれを、シリンダー温度を270℃に設定した押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却後にカットして、樹脂組成物Fのペレットを得た。
[0096]<樹脂組成物G~N、Q~W、AA及びAB>
表1に記載の原料エチレンが植物由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:HDPE SHC7260、ブラスケム社製)、原料エチレンが石油由来の高密度ポリエチレン樹脂(商品名:ノバテックHD HJ580N、日本ポリエチレン社製)、プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)、石油由来のエチレン-環状オレフィン共重合体(商品名:アペル 6011T、三井化学社製)、重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)及び二酸化チタン粒子(商品名:タイペークCR-60、石原産業社製)を、表2及び表3に示す配合比率となるように計量し混合して、樹脂組成物G~N、Q~W、AA及びABをそれぞれ調製した。
次いでこれを、シリンダー温度を270℃に設定した押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却後にカットして、樹脂組成物G~N、Q~W、AA及びABのペレットを得た。
[0097] 表1は、各樹脂組成物の材料を示す。
[表1]
[図:0001406682000003.jpg]
[0098] 表2及び表3は、各樹脂組成物の配合を示す。
[表2]
[図:0001406682000004.jpg]
[0099]
[表3]
[図:0001406682000005.jpg]
[0100]<実施例1>
上記樹脂組成物Aのペレットを、シリンダー温度を230℃に設定した押出機に供給し、押出機内で溶融混練した後、ダイよりシート状に押出した。押出したシートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを120℃にまで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向(MD方向)に4.8倍延伸し、140℃でアニーリング処理を行って、縦延伸樹脂フィルムを得た。
得られた縦延伸樹脂フィルムの耳部をスリットして、1軸延伸された、厚さ110μm、密度1.53g/cm3、空孔率8%の単層構造である、実施例1の多孔質延伸フィルムを得た。」
「[0104]<実施例5>
上記製造例で得た樹脂組成物Fのペレットを、シリンダー温度を270℃に設定した押出機に供給し、押出機内で溶融混練した後、ダイよりシート状に押出した。押出したシートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃にまで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向(MD方向)に4.8倍延伸して、縦延伸樹脂フィルムを得た。
得られた縦延伸樹脂フィルムを60℃にまで冷却した後、150℃まで再加熱し、テンターを用いてシート幅方向(TD方向)に9倍延伸した。次いで、165℃でアニーリング処理し、再び60℃にまで冷却した。その後、耳部をスリットして、2軸延伸された、厚さ110μm、密度0.75g/cm3、空孔率30%の単層構造である、実施例5の多孔質延伸フィルムを得た。
[0105]<実施例6、8~11、比較例4、5及び7>
上記の実施例5において、用いる樹脂組成物を、それぞれ樹脂組成物G、J、K、M、N、L、R及びIのペレットに変更した以外は、実施例5と同様の手順により、実施例6、8~11、比較例4、5及び7の多孔質延伸フィルムを得た。
[0106]<実施例7>
上記樹脂組成物Hのペレットを、シリンダー温度を270℃に設定した押出機に供給し、押出機内で溶融混練してダイよりシート状に押出した。押し出したシートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃にまで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向(MD方向)に4.8倍延伸して、縦延伸樹脂フィルムを得た。
これとは別に、上記樹脂組成物Sのペレットを、シリンダー温度を270℃に設定した2台の押出機に供給した。それぞれの押出機内で樹脂組成物Sを溶融混練して、個別にダイよりシート状に押出し、上記の工程で得た縦延伸樹脂フィルムの両面に押出しラミネートした。これにより、樹脂組成物S/樹脂組成物H/樹脂組成物Sの積層構造を有する3層積層シートを得た。
[0107] 得られた3層積層シートを60℃にまで冷却した後、150℃まで再加熱し、テンターを用いてシート幅方向(TD方向)に9倍延伸した。次いで、165℃でアニーリング処理し、再び60℃にまで冷却した。その後、耳部をスリットして、実施例7の多孔質延伸フィルムを得た。
実施例7の多孔質延伸フィルムは、3層構造(1軸延伸/2軸延伸/1軸延伸)を有し、全厚が110μm、各層厚さが18μm/74μm/18μm、全体密度が0.74g/cm3、全体空孔率が37%であった。
[0108]<実施例14>
上記実施例7において、樹脂組成物Hを樹脂組成物Qのペレットに、樹脂組成物Sを樹脂組成物Nのペレットに、それぞれ変更した以外は、実施例7と同様の手順により実施例14の多孔質延伸フィルムを得た。」
「[0112]<実施例13>
上記樹脂組成物P及びUのペレットを、シリンダー温度を270℃に設定した3台の押出機に供給し、それぞれ押出機内で溶融混練して1台の共押出ダイに供給してダイ内部で積層した。積層した各樹脂組成物P及びUをダイよりシート状に押出し、このシートを冷却ロールにより冷却して、樹脂組成物U/樹脂組成物P/樹脂組成物Uの3層構造を有する無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃にまで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向(MD方向)に4.8倍延伸して、縦延伸樹脂フィルムを得た。
得られた縦延伸樹脂フィルムを60℃にまで冷却した後、150℃まで再加熱し、テンターを用いてシート幅方向(TD方向)に9倍延伸した。次いで、165℃でアニーリング処理し、再び60℃にまで冷却した。その後、耳部をスリットして、実施例13の多孔質延伸フィルムを得た。
実施例13の多孔質延伸フィルムは、3層構造(2軸延伸/2軸延伸/2軸延伸)を有し、全厚が110μm、各層厚さが9μm/92μm/9μm、全体密度が0.94g/cm3、全体空孔率が6%であった。」
「[0128] 下記表4A及び表4Bは、評価結果を示す。
[表4A]
[図:0001406682000006.jpg]
[表4B]
[図:0001406682000007.jpg]
[0129] 表4A及び表4Bに示すように、実施例の多孔質延伸フィルムはいずれも、比較例に比べてカールが小さく、カール抑制効果が高いことが分かる。また、CO2排出抑制効果が負の値であることから、実施例の方が比較例よりもCO2排出量が少ないことが分かる。」
イ 甲1-2に記載された発明
上記アより、甲1-2の[請求項1]ないし[請求項9]、及び、[表4A]中の実施例6ないし10及び14を中心に整理すると、甲1-2には次の発明(以下、「甲1-2発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1-2発明>
「ポリオレフィン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物をダイによりシート状に押出し、一軸方向に4.8倍延伸してなる多孔質延伸フィルムであるか、シート流れ方向に4.8倍延伸し、シート幅方向に9倍延伸し、二軸延伸してなる多孔質延伸フィルムであって、ポリオレフィン樹脂が、石油由来原料からなるポリプロピレン単独重合体(PP単独重合体)と、植物由来原料からなる高密度ポリエチレン(植物由来HDPE)と、石油由来原料からなる高密度ポリエチレン(石油由来HDPE)とからなり、植物由来と石油由来のPE樹脂の質量比が、植物由来:石油由来=9:91~91:9、PE樹脂とPP樹脂の質量比が、PE:PP=11:89~29:71であり、無機フィラーとして重質炭酸カルシウム粒子を含み、無機フィラーの含有量が8~32質量%であり、空孔率が11~50%である多孔質延伸フィルム。」
(2)対比・判断
ア 本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲1-2発明とを対比する。
甲1-2発明における「ポリオレフィン樹脂」、「石油由来原料からなるポリプロピレン単独重合体(PP単独重合体)」、「植物由来原料からなる高密度ポリエチレン(植物由来HDPE)と、石油由来原料からなる高密度ポリエチレン(石油由来HDPE)」、「無機フィラー」は、本件特許発明1における「ポリオレフィン樹脂」、「ポリプロピレン樹脂」、「ポリプロピレン樹脂」、「無機フィラー」に相当する。
また、甲1-2発明における「PE樹脂とPP樹脂の質量比が、PE:PP=11:89~29:71」である構成は、本件特許発明1における「前記ポリプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5」との特定事項を満たす。
さらに、甲1-2発明における「空孔率が11~50%」は、本件特許発明1における「空孔率が、5~53%であり」との特定事項を満たす。
そうすると、本件特許発明1と甲1-2発明との一致点、相違点は次のとおりである。
<一致点>
「少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂を含み、前記多孔質延伸フィルムにおける空孔率が、5~53%であり、前記プロプロピレン樹脂と前記ポリエチレン樹脂の質量比は、65:35~95:5である、多孔質延伸フィルム。」
<相違点1-2-1>
本件特許発明1においては、「ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、」「前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%」であるとの特定を有するのに対し、甲1-2発明にはそのような特定がない点。
相違点1-2-1について検討する。
甲1-1(【請求項3】、【0010】、【0078】【表3】)にはポリオレフィン系樹脂と炭酸カルシウムを含む樹脂組成物から製造される印刷用シートにおいて、ポリオレフィン樹脂として植物由来のポリプロピレンを使用することが記載されており、また、甲2-2(【0037】)には、バイオプロピレンを重合させたバイオポリプロピレンを利用することが記載されているが、甲1-2、甲1-1及び甲2-2、並びに、他の全ての証拠の記載をみても、甲1-2発明において、相違点1-2-1に係る「ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含」むようにし、かつ、「前記多孔質延伸フィルムにおける折曲回復率が、60~82%」とする動機となる記載はない。
したがって、甲1-2発明において、相違点1-2-1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件特許発明1は、二酸化炭素ガスの排出量を減らせるとともに折り曲げに対する回復力も向上し、延伸安定性に優れるという本件特許の発明の詳細な説明【0026】及び【0195】ないし【0198】に記載された優れた効果を有するものである。
よって、本件特許発明1は甲1-2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件特許発明2ないし4、6ないし12、14及び16についての対比・判断
本件特許発明2ないし4、6ないし12、14及び16は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明2ないし4、6ないし12、14及び16は、甲1-2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)取消理由2についてのむすび
本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許は、特許法第113条第2項に該当しない。
よって、取消理由1によって本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許を取り消すことはできない。
第7 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した異議申立理由について
特許異議申立人1提出の甲1-2と、特許異議申立人2提出の甲2-1は、内容が同一の文献である。
また、取消理由1は、申立理由1-1と同旨であり、取消理由2は、申立理由1-2及び申立理由2-1と同旨であるから、取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立理由は、申立理由1-3である。
以下、検討する。
申立理由1-3(サポート要件)について
1 サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、検討する。
2 サポート要件の判断
本件特許の特許請求の範囲の記載は上記第3のとおりである。
本件特許の発明の詳細な説明【0008】の「本発明は、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、かつ折り曲げても回復しやすい多孔質延伸フィルムを提供することを目的とする。」との記載から、本件特許発明が解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、かつ折り曲げても回復しやすい多孔質延伸フィルムを提供することである。
そして、本件特許の発明の詳細な説明の【0009】には「ポリプロピレン樹脂として植物由来のポリプロピレン樹脂を使用することによって二酸化炭素ガスの排出量をさらに減らせること」が記載されており、同【0010】ないし【0025】には本件特許発明1ないし4、6ないし12、14及び16に対応する記載がある。
本件特許の発明の詳細な説明の【0030】には多孔質フィルムについて、同【0031】には多孔質フィルムに使用される植物由来のポリプロピレン樹脂と二酸化炭素ガス排出係数について、同【0032】には多孔質フィルムに使用されるポリプロピレン樹脂の折り曲げ時の回復力の向上について、同【0033】にはポリプロピレン樹脂の空孔の形成について、同【0034】には単層構造及び積層多層構造について、それぞれ記載されている。
さらに、本件特許の発明の詳細な説明の【0035】ないし【0039】にはポリプロピレン樹脂について、同【0040】ないし【0060】には植物由来のポリプロピレン樹脂の製造方法について、同【0061】には石油由来のポリプロピレン樹脂について、同【0062】には植物由来のポリプロピレン樹脂と石油由来のポリプロピレン樹脂の質量比について、同【0063】ないし【0066】にはポリエチレン樹脂について、同【0067】ないし【0069】には植物由来のポリエチレン樹脂について、同【0070】ないし【0076】には石油由来のポリエチレン樹脂について、同【0077】には植物由来のポリエチレン樹脂と石油由来のポリエチレン樹脂の量比について、同【0078】にはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の量比について、同【0079】ないし【0080】には植物由来の樹脂成分と石油由来の樹脂成分との量比について、それぞれ記載されている。
また、本件特許の発明の詳細な説明の【0082】ないし【0086】には無機フィラーについて、同【0088】には多孔質延伸フィルムの一軸、二軸延伸について、同【0089】には多孔質延伸フィルムを含む積層フィルムについて、同【0090】ないし【0096】にはその表面層について、同【0097】ないし【0103】には多孔質延伸フィルム及び積層フィルムの製造方法について、同【0104】ないし【0110】には厚さ、空孔率、バイオマス度、折曲回復率が記載され、同【0111】ないし【0132】には多孔質延伸フィルムを使用した印刷用フィルムが記載されている。
さらに、本件特許の発明の詳細な説明の【0133】ないし【0197】には、ポリオレフィン樹脂として、植物由来のポリプロピレン樹脂及び石油由来のポリプロピレン樹脂、植物由来のポリエチレン樹脂及び石油由来のポリエチレン樹脂を併用し、無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムが具体的に製造され、これら具体的に製造された多孔質延伸フィルムの空孔率、バイオマス度、延伸安定性、折曲回復率の測定数値が記載され、ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂を含み、かつ、ポリプロピレン樹脂が植物由来のポリプロピレン樹脂を含む多孔質延伸フィルムが、バイオマス度、延伸安定性、折曲回復率において優れた性質を示すことについて確認している。
そうすると、当業者は、ポリオレフィン樹脂と無機フィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂を含み、ポリプロピレン樹脂が、植物由来のポリプロピレン樹脂を含む多孔質延伸フィルムにより、二酸化炭素ガスの排出量が少なく、かつ折り曲げても回復しやすい多孔質延伸フィルムを提供するとの発明の課題を解決できると認識できる。
そして、本件特許発明1ないし4、6ないし12、14及び16は、発明の課題を解決できると認識できる上記「多孔質延伸フィルム」をさらに限定したものである。
したがって、本件特許発明1ないし4、6ないし12、14及び16は、本件特許の発明の詳細な説明に記載された発明で、本件特許の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、本件特許発明1ないし4、6ないし12、14及び16に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。
3 特許異議申立人1の主張について
特許異議申立人の第4 1(3)の主張について検討する。
特許異議申立人は、本件特許の発明の詳細な説明の実施例1~5、8、10において使用される「HC101BF」又は「HE125MO」が、従来から一般的に使用されている石油由来のポリプロピレン樹脂であり、植物由来のポリプロピレン樹脂ではないと主張するが、本件特許の発明の詳細な説明の【0060】には、当該本件特許の発明の詳細な説明の実施例で使用された「HC101BF」及び「HE125MO」に関し、「植物由来のポリプロピレン樹脂の具体例としては、例えばボレアリス社製のHC101BF(MFR:3.2g/10分)・・・(中略)・・・HE125MO(MFR:12g/10分)・・・(中略)・・・等が挙げられ、何れも利用可能である。」と記載されている。
そして、特許異議申立人1提出の甲1-3の【0149】には「H-PP 3.2g/10minのメルトフローレートMFR2(230℃)、161℃の溶融温度Tmを有する、市販のBorealis AG製ポリプロピレンホモポリマーHC101BF」と記載があるが、甲1-3には「HC101BF」が植物由来ポリプロピレンではない、あるいは、石油由来のポリプロピレン樹脂である、と認識し得る事項は記載されていない。
「HE125MO」についても同様に、特許異議申立人1提出の甲1-4の【0071】には「ポリプロピレン(Borealis製HE125MO)」と記載され、特許異議申立人1提出の甲1-5の【0124】【0147】【0149】には「HE125MO(Borealis AS、Roenningen)タイプの90%PPホモポリマー」、「PPホモポリマー(HE125MO、Borealis AS)」、「PP-ホモポリマー(HE125MO)」と記載され、特許異議申立人1提出の甲1-6の【0141】【0145】には「PP-ホモポリマー(HE125MO、ノルウェー・Borealis AS社製)」、「HE125MO:PPホモポリマー(ノルウェー・Borealis AS社製)と記載され、特許異議申立人1提出の甲1-7の【0068】、【0069】には「PPホモポリマー(HE125MO、ボレアリス社)」、「PPホモポリマー(HE125MO)」と記載されているが、甲1-3ないし甲1-7のいずれの証拠においても「HE125MO」が、植物由来ポリプロピレンではない、あるいは、石油由来のポリプロピレン樹脂である、と認識し得る事項は記載されていない。
よって、特許異議申立人1の主張は確たる証拠に基づくものではなく、採用できない。
そして、本件特許の発明の詳細な説明の実施例において使用された樹脂が植物由来のポリプロピレン樹脂ではないとはいえないから、特許異議申立人1の主張するような放射性炭素(14C)測定は要さず、これによってサポート要件の判断が左右されることはない。
4 申立理由1-3についてのむすび
したがって、本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、特許法第113条第4号に該当せず、申立理由1-3によっては取り消すことはできない。
第8 結語
上記第6及び第7のとおり、本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし4、6ないし12、14及び16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項5、13及び15に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人1及び2による請求項5、13及び15に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701120