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特許異議申立

2024-700639

アンモニア吸収システムを有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関

審判番号
2024-700639
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-081974
登録番号
7410216
請求日
2024年07月09日
審決日
2026年04月09日
公報発行日
2026年07月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド
  • 【権利者代理人】川守田 光紀
  • 【異議申立人】川上 真平
審判長/審判官
  • 審判長 河端 賢
  • 審判官 西山 智宏
  • 審判官 八木 誠
分類
P1651.121-YAA(F02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7410216号発明「アンモニア吸収システムを有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7410216号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4~12〕、13、〔14、15〕、16、〔17~19〕、〔20~23〕、〔24~27〕について訂正することを認める。 特許第7410216号の請求項1~3、13~27に係る特許を維持する。 特許第7410216号の請求項4~12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7410216号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~27に係る特許についての出願は、令和4年5月19日(パリ条約による優先権主張 2021年5月26日 (DK)デンマーク王国)に出願され、令和5年12月25日にその特許権の設定登録がされ、令和6年1月9日に特許掲載公報が発行された。 請求項1~27に係る特許に対する、特許異議申立人川上真平(以下、「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。 令和6年 7月 9日 :特許異議の申立て 令和6年10月17日付け:取消理由通知書 令和7年 1月 9日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年 2月19日付け:訂正請求があった旨の通知書 令和7年 3月27日 :申立人による意見書の提出 令和7年 7月15日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和7年10月14日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年12月18日付け:訂正請求があった旨の通知書 なお、上記令和7年12月18日付けの訂正請求があった旨の通知書で、申立人に、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは応答がなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年10月14日にされた訂正請求の趣旨は、特許第7410216号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項13について、冒頭に、 「 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア戻しラインは、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに接続され、」 との記載を追加する。 また、末尾の「請求項12に記載の機関」との記載を、「機関」に訂正する。 (11) 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項14について、冒頭に、 「 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され、」 との記載を追加する。 また、末尾の「請求項12に記載の機関」との記載を、「機関」に訂正する。 請求項14の記載を引用する請求項15も同様に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項16の最後から2番目の段落の後に、 「 前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え、前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される、」 との記載を追加する。また、この追加に伴い、訂正前の請求項16の最後から2番目の段落の末尾を、「・・・流体的に接続している、」から、「・・・流体的に接続しており、」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項17の引用先を、「請求項1から16のいずれか」から、 「請求項1から3のいずれか」に訂正する。 請求項17の記載を引用する請求項18、19も同様に訂正する。 (14) 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項20の引用先を、「請求項1から11のいずれか」から、 「請求項1から3のいずれか」に訂正する。 請求項20の記載を引用する請求項21~23も同様に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項24の最後から2番目の段落の後に、 「・ 前記形成したアンモニア水を前記アンモニア燃料システムに供給することと、」 との記載を追加する。 請求項24の記載を引用する請求項25~27も同様に訂正する。 2 一群の請求項について (1)請求項4~23について ア 訂正前の請求項4~7、17~23について、請求項5~7、17~23は、請求項4の記載を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。 そのため、請求項4~7、17~23は一群の請求項を構成する。 イ 訂正前の請求項8~11、17~23について、請求項9~11、17~23は、請求項8の記載を引用するものであって、訂正事項5によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。 そのため、請求項8~11、17~23は一群の請求項を構成する。 ウ 訂正前の請求項12~15、17~19について、請求項13~15、17~ 19は請求項12の記載を引用するものであって、訂正事項9によって記載が訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。 そのため、請求項12~15、17~19は一群の請求項を構成する。 エ 訂正前の請求項16~19について、請求項17~19は請求項16の記載を引用するものであって、訂正事項12によって記載が訂正される請求項16に連動して訂正されるものである。 そのため、請求項16~19は一群の請求項を構成する。 オ 上記ア~エにおけるそれぞれの一群の請求項は共通の請求項を有するため、これらの一群の請求項は組み合わされて、請求項4~23が1つの一群の請求項を構成する。 (2)請求項24~27について 訂正前の請求項24~27について、請求項25~27は請求項24の記載を引用するものであって、訂正事項15によって記載が訂正される請求項24に連動して訂正されるものである。 そのため、請求項24~27は一群の請求項を構成する。 (3)別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、請求項13に係る訂正事項、請求項14、15に係る訂正事項、請求項16に係る訂正事項、請求項17~19に係る訂正事項及び請求項20~23に係る訂正事項について、それぞれ別の訂正単位とする求めをしている。 3 訂正事項に係る当審の判断 (1)訂正事項1~9について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1~9は、それぞれ請求項4~12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項1~9は、それぞれ請求項4~12を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1~9は、それぞれ請求項4~12を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項10について ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項10は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項12の記載を引用するものであったのを、請求項間の引用関係を解消して請求項12を引用しないものとし、独立形式請求項に改めるための訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的としている。 (イ)訂正事項10は、「第1パージライン」に関し、訂正前の「前記中圧アンモニア供給ラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第1パージライン」から、訂正後の「パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージライン」のように限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としている。 (ウ)訂正事項10は、「アンモニア燃料システム」に関し、「 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア戻しラインは、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに接続され、」のように限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的にしている。 (エ)上記(ア)~(ウ)より、訂正事項10に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項10は、願書に添付した明細書の【0042】~【0044】の記載事項及び図3、4の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項10に係る訂正は、上記アのとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 (3)訂正事項11について ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項11は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項12の記載を引用するものであったのを、請求項間の引用関係を解消して請求項12を引用しないものとし、独立形式請求項に改めるための訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的としている。 (イ)訂正事項11は、「第1パージライン」に関し、訂正前の「前記中圧アンモニア供給ラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第1パージライン」から、訂正後の「パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージライン」のように限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としている。 (ウ)訂正事項11は、「アンモニア燃料システム」に関し、「 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され、」のように限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としている。 (エ)上記(ア)~(ウ)より、訂正事項11に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項11は、願書に添付した明細書の【0042】~【0044】の記載事項及び図3、4の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項11に係る訂正は、上記アのとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 (4)訂正事項12について ア 訂正の目的の適否 訂正事項12は、本件訂正前の請求項16に記載の「二重壁パイプの内管と外管との間の空間」に関わる構成として、「前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え、前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される」との事項を追加するものであり、発明を特定するための事項を直列的に付加するものである。 よって、訂正事項12に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項12は、願書に添付した明細書の【0056】の記載事項に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項12に係る訂正は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 (5)訂正事項13について ア 訂正の目的の適否 訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項17が引用する請求項を、「請求項1から16のいずれか」から、「請求項1から3のいずれか」に訂正するものであり、引用請求数を削減するものである。 よって、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項13は、請求項間の引用関係の一部を解消するものであり、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項13に係る訂正は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 (6)訂正事項14について ア 訂正の目的の適否 訂正事項14は、特許請求の範囲の請求項20が引用する請求項を、「請求項1から11のいずれか」から、「請求項1から3のいずれか」に訂正するものであり、引用請求数を削減するものである。 よって、訂正事項14に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項14は、請求項間の引用関係の一部を解消するものであり、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項14に係る訂正は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 (7)訂正事項15について ア 訂正の目的の適否 訂正事項15は、本件訂正前の請求項24に、「前記形成したアンモニア水を前記アンモニア燃料システムに供給する」との事項を追加するものであり、発明を特定するための事項を直列的に付加するものである。 よって、訂正事項15に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項15は、願書に添付した明細書の【0048】、【0054】の記載事項及び図4の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項15に係る訂正は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 4 小括 以上のとおり、訂正事項1~15に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項の規定に適合すると共に、同条第9項の規定において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、上記2(3)のとおり、特許権者は、請求項13に係る訂正事項、請求項14、15に係る訂正事項、請求項16に係る訂正事項、請求項17~19に係る訂正事項及び請求項20~23に係る訂正事項について、それぞれ別の訂正単位とする求めをしている。 したがって、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4~12〕、13、〔14、15〕、16、〔17~19〕、〔20~23〕、〔24~27〕について訂正を認める。 第3 本件特許 上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1~27に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明27」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~27に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる少なくとも1つの容器を備え、前記少なくとも1つの容器は前記アンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備え、 前記アンモニア水出口は、前記機関内で前記アンモニア水を燃焼させるべく前記アンモニア燃料システムに接続される、 機関。 【請求項2】 前記少なくとも1つの容器は水源を接続するための水入口を備える、請求項1に記載の機関。 【請求項3】 前記機関の排気流路内にSCRリアクターを備え、前記アンモニア水出口は前記 SCRリアクターに関連付けられる還元剤入口に接続される、請求項1に記載の機関。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア戻しラインは、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに接続され、 前記アンモニア燃料システムは、前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア戻しラインとを選択的に前記アンモニア吸収システムに接続するためのバルブを備える、機関。 【請求項14】 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア吸収システムとを接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、低圧供給ポンプと、中圧供給ポンプと、前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、前記低圧アンモニア供給ラインに設けられるフィルタ装置とを備え、 前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され、 前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され、 前記第1パージライン及び/又は前記第2パージラインにノックアウトドラムを備え、前記ノックアウトドラムは液相アンモニアから気相アンモニアを分離するように構成され、前記ノックアウトドラムは気相アンモニア出口及び液相アンモニア出口を備え、該気相アンモニア出口は前記アンモニア吸収システムに接続される、機関。 【請求項15】 前記液相アンモニア出口は前記アンモニア燃料システムに接続されるリカバリータンクに接続される、請求項14に記載の機関。 【請求項16】 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関であって、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 ・ アンモニア吸収システムと、 ・ アンモニア排出流路と、を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、 前記アンモニア燃料システムは供給ライン及び戻しラインを備え、前記供給ライン及び前記戻しラインを形成する配管は二重壁パイプを有し、前記二重壁パイプの内管と外管との間の空間は前記アンモニア排出流路によって前記アンモニア吸収システムに流体的に接続しており、 前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え、前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される、 機関。 【請求項17】 前記アンモニア燃料システムは液相アンモニア燃料タンクと、低圧ポンプの動作により前記液相アンモニア燃料タンクを中圧燃料ポンプの入口に接続する低圧アンモニア供給ラインとを備える、請求項1から3のいずれかに記載の機関。 【請求項18】 前記アンモニア燃料システムは、前記中圧燃料ポンプの出口を前記燃料弁の入口に接続する中圧燃料ラインを備える、請求項17に記載の機関。 【請求項19】 前記アンモニア燃料システムは、前記燃料弁の出口を前記中圧燃料ポンプの入口に接続する戻しラインを備える、請求項17に記載の機関。 【請求項20】 前記アンモニア燃料システムは該アンモニア燃料システムから前記アンモニア吸収システムへとアンモニアを排出するように構成されるパージシステムを備える、請求項1から3のいずれかに記載の機関。 【請求項21】 前記パージシステムは加圧窒素源を備える、請求項20に記載の機関。 【請求項22】 前記加圧窒素源はパージバルブを介して前記アンモニア燃料システムに接続される、請求項21に記載の機関。 【請求項23】 前記パージシステムは、前記アンモニア燃料システムから前記アンモニア吸収システムにアンモニアをパージするために前記アンモニア排出流路を使用する、請求項20に記載の機関。 【請求項24】 主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関においてアンモニアを管理する方法であって、前記機関が、 ・ シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 ・ 前記シリンダ内の前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間に形成される燃焼室と、 ・ 前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 を備え、前記方法は、 ・ 前記機関のアンモニア燃料による運転を停止することと; ・ 前記アンモニア燃料システムから残留アンモニアをパージすることと; ・ 前記パージした残留アンモニアを気相アンモニアと液相アンモニアに分離することと; ・ 前記気相アンモニアを水中に吸収し、アンモニア水を形成することと、 ・ 前記形成したアンモニア水を前記アンモニア燃料システムに供給することと、 を含む、方法。 【請求項25】 前記分離することは、ノックアウトドラムを用いて行われる、請求項24に記載の方法。 【請求項26】 前記液相アンモニアをアンモニア燃料タンクへ導くことを更に含む、請求項24に記載の方法。 【請求項27】 前記アンモニア水を前記機関の燃料又は前記機関のSCRリアクターの還元剤として用いることを含む、請求項24から26のいずれかに記載の方法。」 第4 取消理由の概要 訂正前の請求項4~12、17~23に係る特許に対して、当審が令和7年7月15日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 1 取消理由(特許法第29条第2項) 以下の請求項に係る発明は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ・請求項4~7 引用文献1~6 ・請求項8~11 引用文献1、2、5 ・請求項12 引用文献1~5 ・請求項17~19 引用文献1~6、8、又は、1、2、5、8 ・請求項20~23 引用文献1~6、又は、1、2、5 2 引用文献一覧 引用文献1:"MAN B&W two-stroke engine operating on ammonia", MAN Energy Solutions, Nov 2020(甲第1号証) 引用文献2:特開2012-145007号公報(甲第2号証) 引用文献3:特開2014-5784号公報(甲第3号証) 引用文献4:特開2009-143768号公報(甲第7号証) 引用文献5:特開2010-214243号公報(甲第8号証) 引用文献6:特表2019-506574号公報(甲第6号証) 引用文献7:韓国公開特許第10-2020-0025039号公報(甲第4号証) 引用文献8:中国特許出願公開第111392019号明細書(甲第10号証) 引用文献9:特開2011-144765号公報(甲第9号証) 第5 取消理由(特許法第29条第2項)について 令和7年7月15日付け取消理由通知(決定の予告)において取消理由(特許法第29条第2項)が通知された請求項4~12及び請求項4~11のいずれかの記載を引用する請求項17~23は、本件訂正により削除された。これにより、当該取消理由の対象が存在しないものとなった。 第6 令和7年7月15日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、本件特許の請求項1~3、13~27に係る発明は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された甲1~10に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、13~27に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨を主張する。 この主張に対する当審における判断は以下のとおりである。 1 引用文献の記載事項等について (1)引用文献1(甲第1号証) ア 引用発明1 引用文献1(特に、11頁左欄1行~12頁右欄最終行、図5参照。)には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「燃料がアンモニアである低速2ストロークエンジンであって、 前記低速2ストロークエンジンに高圧ポンプを介してアンモニアを供給する燃料供給システムと、 アンモニア捕集システムと、 前記燃料供給システムから前記アンモニア捕集システムへと流れるアンモニア流路と、 を備える、 低速2ストロークエンジン。」 イ 引用発明2 引用文献1(上記摘記箇所参照。)には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 「燃料がアンモニアである低速2ストロークエンジンであって、 前記低速2ストロークエンジンに高圧ポンプを介してアンモニアを供給する燃料供給システムと、 アンモニア捕集システムと、 前記燃料供給システムから前記アンモニア捕集システムへと流れるアンモニア流路と、 を備え、 前記アンモニア燃料システムは高圧ポンプ下流のアンモニア供給ライン及び再循環ラインと、窒素源が接続する点の上流で高圧ポンプ下流のアンモニア供給ラインから分岐して前記アンモニア供給ラインと前記アンモニア捕集システムとを接続する第1ラインと、前記再循環ラインを前記アンモニア捕集システムに接続する第2ラインとを備え、 燃料供給システムは、貯蔵タンクと、高圧ポンプと、フィルタとを備え、 高圧ポンプは、高圧ポンプ下流のアンモニア供給ラインを通じて燃料をエンジンに供給するように構成され、 再循環ラインは、高圧ポンプの上流においてアンモニア供給ラインに接続され、 燃料供給システムは、アンモニア供給ラインと再循環ラインとを選択的にアンモニア捕集システムに接続することができるバルブを備え、 第1ライン及び第2ラインにノックアウトドラムを備え、前記ノックアウトドラムは液相アンモニアから気相アンモニアを分離するように構成され、前記ノックアウトドラムは気相アンモニア出口を備え、該気相アンモニア出口は前記アンモニア捕集システムに接続される、 低速2ストロークエンジン。」 ウ 引用発明3 引用文献1(上記摘記箇所参照。)には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。 「燃料がアンモニアである低速2ストロークエンジンであって、 前記低速2ストロークエンジンに高圧ポンプを介してアンモニアを供給する燃料供給システムと、 アンモニア捕集システムと、 前記燃料供給システムから前記アンモニア捕集システムへと流れるアンモニア流路と、 を備え、 前記アンモニア燃料システムはアンモニア供給ライン及び再循環ラインを備え、前記アンモニア供給ライン及び前記再循環ラインを形成する配管の少なくとも一部が二重壁となっている二重壁換気システムを備え、前記二重壁換気システムによって、漏れたアンモニア燃料を前記アンモニア捕集システムへと誘導し、 二重壁換気システムはアンモニア燃料の漏洩を検出する、 低速2ストロークエンジン。」 エ 引用発明4 引用文献1(上記摘記箇所参照。)には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。 「燃料がアンモニアである低速2ストロークエンジンにおいてアンモニアを使用する方法であって、前記低速2ストロークエンジンが、 前記低速2ストロークエンジンに高圧ポンプを介してアンモニアを供給する燃料供給システムと、 を備え、 前記低速2ストロークエンジンのアンモニア燃料による運転を停止することと、 前記燃料供給システムの少なくとも一部からアンモニアをパージすることと、 前記パージしたアンモニアをノックアウトドラムで気相のアンモニアと液相のアンモニアに分離することと、 前記気相のアンモニアをアンモニア捕集システムに導いて捕集することと、 を含む、方法。」 (2)引用文献4(甲第7号証) 引用文献4(特に、【0001】、【0009】、【0032】~【0036】、【0051】~【0053】、図1参照。)には、以下の技術(以下、「引用文献4記載技術」という。)が、それぞれ記載されている。 「アンモニア除去器5において、凝縮水で満たされるアンモニア除去器5内を冷却するための冷却管31が備えられる技術。」 (3)引用文献5(甲第8号証) 引用文献5(特に、【0001】、【0015】~【0027】、【0032】~【0044】、図1参照。)には、以下の技術(以下、「引用文献5記載技術」という。)が記載されている。 「脱臭装置10は、使用中、ガス送管34を通じて供給されるアンモニアを水に溶解してアンモニアを溶解した凝縮水を形成するために水を有し、脱臭装置10は、使用中はそれぞれ少なくとも部分的に水が蓄えられる第1の充填塔14、第2の充填塔15及び第3の充填塔16のカスケードを備え、第1の充填塔14、第2の充填塔15及び第3の充填塔16のカスケードは第1の充填塔14及び第2の充填塔15を有し、第1の充填塔14はスプレイノズル24及びオーバーフロー配管41を有し、第2の充填塔15は第1の充填塔14のスプレイノズル24に接続された配管40と、ガス送管36とを有する技術。」 (4)引用文献6(甲第6号証) 引用文献6(特に、【0001】、【0031】参照。)には、以下の技術(以下、「引用文献6記載技術」という。) 「アンモニア水を貯蔵する容器として圧力容器を用いる技術。」 (5)引用文献7(甲第4号証) ア 引用文献7記載技術 引用文献7(特に、[0001]、[0042]~[0051]、[0064]~[0071]、図3参照。)には、以下の技術(以下「引用文献7記載技術」という。)が記載されている。 「気液分離するセパレータ100bと、前記セパレータ100bから液化ガスをエンジンの上流である燃料供給系統に戻すリターンラインRLbとを備え、 リターンラインRLbは、単位ポンプ310と単位ポンプ320との間において燃料供給ラインFLbに接続されるエンジン。」 イ 引用文献7記載技術2 引用文献7(特に、[0001]、[0042]~[0051]、図2参照。)には、以下の技術(以下「引用文献7記載技術2」という。)が記載されている。 「気液分離するセパレータ100aと、前記セパレータ100aから液化ガスを燃料貯蔵タンクTに戻すリターンラインRLaとを備えたエンジン。」 (6)引用文献8(甲第10号証) 引用文献8(特に、[0042]~[0046]、図1参照。)には、以下の技術(以下、「引用文献8記載技術」という。)が記載されている。 「船舶用動力システムのアンモニア燃料供給システムであって、液体アンモニア燃料貯蔵タンク1と、液体アンモニア低圧ポンプ2と、液体アンモニア低圧ポンプ2に管路を介して接続される液体アンモニア増圧ポンプを有するアンモニア燃料供給システム。」 (7)周知技術1 主燃料がアンモニアである大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関において、シリンダカバーに配される燃料弁にアンモニアを供給することは、引用文献2(特に、【0014】~【0019】、図1参照。)にみられるように周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。 (8)周知技術2 アンモニア吸収システムにおいて、供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成することができる前記水を有し、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる容器を備えることは、引用文献3(特に、【0026】~【0027】、【0039】~【0041】、【0058】~【0059】、【0072】~【0074】、図1、図3参照。)、引用文献4(特に、【0001】、【0009】、【0032】~【0036】、【0051】~【0053】、図1参照。)、引用文献5(特に、【0001】、【0015】~【0027】、【0032】~【0044】、図1参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。 (9)周知技術3 アンモニア吸収システムの容器が、気相アンモニアを取り入れるための気相アンモニア入口を備え、水源に接続されていることは、引用文献3~5(上記摘記箇所参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術3」という。)である。 (10)周知技術4 アンモニア吸収システムの容器が、アンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備えることは、引用文献4及び5(上記摘記箇所参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術4」という。)である。 (11)周知技術5 アンモニア吸収システムにおいて、供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成することができる水を有することは、引用文献3~5(上記摘記箇所参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術5」という。)である。 (12)周知技術6 気相アンモニアの吸収において、気相アンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成することは、引用文献3~5(それぞれ上記摘記箇所参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術6」という。)である。 (13)周知技術7 アンモニア水をSCRリアクターの還元剤として用いることは、引用文献9(特に、【0002】参照。)にみられるように周知技術(以下、「周知技術7」という。)である (14)甲第5号証(中国実用新案第207471112号明細書) 令和6年10月17日付けの取消理由通知書及び令和7年7月15日付けの取消理由通知書(決定の予告)において引用しなかった甲5(特に、[0019]、図1参照。)には、以下の技術(以下、「甲5記載技術」という。)が記載されている。 「アンモニア水システム14を作り、貯液シリンダ1と排気ガス吸収システム8は接続した液化アンモニア貯蔵システム。」 2 本件発明1について (1)対比 ア 本件発明1と引用発明1とを対比すると、後者の「燃料がアンモニアである」という態様は前者の「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する」という態様に相当し、後者の「低速2ストロークエンジン」と前者の「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」とは、「大型2ストローク内燃機関」という限りにおいて一致する。 イ 後者の「低速2ストロークエンジン」が、「シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と」を備えることは技術常識であることからみて、後者の「低速2ストロークエンジン」は前者の「シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室」に相当するものを備えるものといえる。 ウ 後者の「前記低速2ストロークエンジンに高圧ポンプを介してアンモニアを供給する燃料供給システム」と前者の「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システム」とは、「前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システム」という限りにおいて一致する。 エ 後者の「アンモニア捕集システム」は前者の「アンモニア吸収システム」に相当し、同様に、「燃料供給システムからアンモニア捕集システムへと流れるアンモニア流路」は「前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続」する「アンモニア排出流路」に相当する。 よって、両者は、 「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストローク内燃機関であって、 シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 アンモニア吸収システムと、 アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続する、 機関。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1-1] 大型2ストローク内燃機関に関し、 本件発明1は、「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」であるのに対し、 引用発明1は、低速2ストロークエンジンである点。 [相違点1-2] アンモニア燃料システムに関し、 本件発明1は、「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁」に供給しているのに対し、 引用発明1は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点1-3] アンモニア吸収システムに関し、 本件発明1は、「前記アンモニア吸収システムは、使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し、前記アンモニア吸収システムは、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる少なくとも1つの容器を備え、前記少なくとも1つの容器は前記アンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備え、前記アンモニア水出口は、前記機関内で前記アンモニア水を燃焼させるべく前記アンモニア燃料システムに接続される」のに対し、 引用発明1は、そのように構成されているか不明な点。 (2)判断 上記相違点について、以下検討する。 ア [相違点1-1]及び[相違点1-2]について 相違点1-1及び1-2は、実質的に内燃機関の具体的な構成に関するものであり、以下まとめて検討する。 引用文献1には、低速2ストロークエンジンの具体的な構成や、当該エンジンにアンモニアを供給する手段についての具体的な構成は、記載されておらず、引用発明1を具現化するに際して同じ機能、作用を有する周知技術1を具体化手段として採用して、相違点1-1及び1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 イ [相違点1-3]について 引用文献1には、アンモニア捕集システムの具体的な構成が記載されておらず、引用発明1を具現化するに際して同じ機能、作用を有する周知技術2を踏まえ、アンモニア吸収システムにおいて、供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために水を有し、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる容器を備えるようにすることは、当業者であれば容易になし得ることである。更に、周知技術4を踏まえ、アンモニア吸収システムの容器が、アンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備えるようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 しかしながら、アンモニア吸収システムは、使用中、アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために水を有し、アンモニア吸収システムは、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる少なくとも1つの容器を備え、少なくとも1つの容器はアンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備えたものにおいて、アンモニア水出口は、機関内でアンモニア水を燃焼させるべくアンモニア燃料システムに接続されることは、引用文献1だけでなく、引用文献2~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 してみると、引用発明1において、本件発明1の相違点1-3に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の特許異議申立書における主張 申立人は、特許異議申立書(39、40頁)において、以下のように主張する。 「次に、本件特許発明1は、「A10.前記アンモニア水出口は、前記機関内で前記アンモニア水を燃焼させるべく前記アンモニア燃料システムに接続される」ものであるのに対し、 甲1発明は、アンモニア吸収システムの接続先が不明である点について検討する。 甲第4号証には、「e11.燃料を回収する機構が、回収した燃料を前記機関内で燃焼させるべく燃料システムに接続される」ことが記載されている。また、回収した燃料を燃料として使用することは、周知慣用技術である。また、甲1発明は、本件特許発明1の明細書に記載されている経路と同様に、内燃機関に供給する前の経路からバイパスされるアンモニア排出流路と接続してアンモニアを吸収しており、再利用することは当業者にとって周知慣用技術である。 したがって、甲1発明のアンモニア吸収システムの構造を、甲第4号証を用いて、本件特許発明1におけるA10とすることは、容易に想到しえるものである。」 イ 申立人の主張に対する判断 申立人が主張するように、「甲第4号証には、「e11.燃料を回収する機構が、回収した燃料を前記機関内で燃焼させるべく燃料システムに接続される」ことが記載されている。また、回収した燃料を燃料として使用することは、周知慣用技術である。また、甲1発明は、本件特許発明1の明細書に記載されている経路と同様に、内燃機関に供給する前の経路からバイパスされるアンモニア排出流路と接続してアンモニアを吸収しており、再利用することは当業者にとって周知慣用技術である。」としても、アンモニア吸収システムは、使用中、アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために水を有し、アンモニア吸収システムは、使用中に少なくとも部分的に水で満たされる少なくとも1つの容器を備え、少なくとも1つの容器はアンモニア水を排出するためのアンモニア水出口を備えたものにおいて、アンモニア水出口は、機関内でアンモニア水を燃焼させるべくアンモニア燃料システムに接続されることは、引用文献7(甲4)には記載されておらず、周知技術又は慣用技術であるという証拠も示されていない。 したがって、申立人の主張は採用することができない。 (4)まとめ よって、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明2、3、17~23について 本件発明2、3、17~23は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記2(2)、(3)で示したのと同様の理由により、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 本件発明13について (1)対比 本件発明13と引用発明2とを対比すると、両者は、上記「2 本件発明1について」の(1)で対比したものの他、後者の高圧ポンプ下流の「アンモニア供給ライン」は前者の「中圧アンモニア供給ライン」に相当し、以下同様に、「再循環ライン」は「アンモニア戻しライン」に、「窒素源が接続する点」は「パージガス供給点」に、「第1ライン」は「第1パージライン」に、「第2ライン」は「第2パージライン」に、「貯蔵タンク」は「アンモニア貯蔵タンク」に、「高圧ポンプ」は「中圧供給ポンプ」に、「フィルタ」は「フィルタ装置」に、それぞれ相当する。 後者の「窒素源が接続する点の上流で高圧ポンプ下流のアンモニア供給ラインから分岐」する態様は前者の「パージガス供給点の下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐」する態様と、「パージガス供給点の上流又は下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐」する限りにおいて一致する。 後者の「高圧ポンプは、高圧ポンプ下流のアンモニア供給ラインを通じて燃料をエンジンに供給するように構成され」る態様は、前者の「前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて液相アンモニア燃料を前記燃料弁に圧送するように構成され」る態様と、「前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じてアンモニア燃料を機関に圧送するように構成され」るという限りにおいて一致する。 後者の「再循環ラインは、高圧ポンプの上流においてアンモニア供給ラインに接続され」る態様は、前者の「前記アンモニア戻しラインは、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに接続され」る態様と、「前記アンモニア戻しラインは、中圧供給ポンプの上流においてアンモニア供給ラインに接続され」るという限りにおいて一致する。 後者の「アンモニア供給ラインと再循環ラインとを選択的にアンモニア捕集システムに接続することができるバルブを備え」る態様は、前者の「前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア戻しラインとを選択的に前記アンモニア吸収システムに接続するためのバルブを備える」態様と、「前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア戻しラインとを選択的に前記アンモニア吸収システムに接続することができるバルブを備える」という限りにおいて一致する。 よって、両者は、 「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストローク内燃機関であって、 シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 アンモニア吸収システムと、 アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の上流又は下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、中圧供給ポンプと、フィルタ装置とを備え、 前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じてアンモニア燃料を機関に圧送するように構成され、 前記アンモニア戻しラインは、中圧供給ポンプの上流においてアンモニア供給ラインに接続され、 前記アンモニア燃料システムは、前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア戻しラインとを選択的に前記アンモニア吸収システムに接続することができるバルブを備える、機関。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点13-1] 大型2ストローク内燃機関に関し、 本件発明13は、「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」であるのに対し、 引用発明2は、低速2ストロークエンジンである点。 [相違点13-2] アンモニア燃料システムに関し、 本件発明13は、「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁」に供給しているのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点13-3] アンモニア吸収システムに関し、 本件発明13は、「使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し」ているのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点13-4] 本件発明13は、第1パージラインがパージガス供給点の「下流」で中圧アンモニア供給ラインから分岐するのに対し、 引用発明2は、パージガス供給点の「上流」で中圧アンモニア供給ラインから分岐する点。 [相違点13-5] 本件発明13は、前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、 「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じて「液相」アンモニア燃料を「前記燃料弁」に圧送するように構成され、 前記アンモニア戻しラインは、「前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧」アンモニア供給ラインに接続され、 前記アンモニア燃料システムは、前記中圧アンモニア供給ラインと前記アンモニア戻しラインとを選択的に前記アンモニア吸収システムに接続する「ための」バルブを備えるのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 (2)判断 上記相違点について、以下検討する。 ア [相違点13-1]及び[相違点13-2]について 上記「2 本件発明1について」(2)「ア [相違点1-1]及び[相違点1-2]について」において検討したとおりである。 イ [相違点13-3]について 引用文献1には、アンモニア捕集システムの具体的な構成が記載されておらず、引用発明2を具現化するに際して同じ機能、作用を有する周知技術5を踏まえ、アンモニア吸収システムにおいて、供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために水を有するようにし、相違点13-3に係る本件発明13の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 ウ [相違点13-4]について 第1パージラインがパージガス供給点の上流又は下流のいずれで分岐していても、パージを行うことができることは明らかである。してみると、第1パージラインをパージガス供給点の上流又は下流のいずれで分岐させるかは、中圧アンモニア供給ラインと第1パージラインとの位置関係等を考慮して、当業者が適宜設計し得るものに過ぎない。してみると、引用発明2において、相違点13-4に係る本件発明13の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 エ [相違点13-5]について 前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」前記アンモニア戻しラインは、「前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧」アンモニア供給ラインに接続されることは、引用文献1だけでなく、引用文献2~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 してみると、引用発明2において、本件発明13の相違点13-5に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の意見書における主張 申立人は、令和7年3月27日提出の意見書(5頁)において、以下のように主張する。 「ここで、引用文献1には、アンモニア戻しラインが、中圧供給ポンプに相当する位置よりも上流側に接続していることが記載されている。 また、引用文献1には明示されていないが、アンモニアを供給するシステムとして、アンモニア貯蔵タンク31と、低圧供給ポンプ33と、フィルタ装置34を有することは、周知技術である。燃焼器ヘアンモニアを連続的に供給するために燃料タンクとなるアンモニア貯蔵タンク31を設け、供給量を制御するために、流体の供給量を制御する低圧供給ポンプ33を設け、流体に含まれる不純物を除去するフィルタ装置34を設けることが、周知術である。液体燃料を供給する引用文献7(甲第4号証)にも燃料タンクとその下流に配置された複数段のポンプが記載されている点からも明らかである。 以上より、訂正後の本件発明13の構成も引用文献1に周知技術を組み合わせたものに過ぎない。」 イ 申立人の主張に対する判断 申立人の上記主張を参酌しても、前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」前記アンモニア戻しラインは、「前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧」アンモニア供給ラインに接続されることは、引用文献7(甲4)には記載されておらず、上記(2)エで述べたように、引用文献1~6、8、9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 したがって、申立人の上記主張は採用することができない。 (4)まとめ よって、本件発明13は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 本件発明14について (1)対比 本件発明14と引用発明2とを対比すると、両者は、上記「2 本件発明1について」の(1)及び上記「4 本件発明13について」の(1)で対比したものの他、後者の「ノックアウトドラム」は前者の「ノックアウトドラム」に相当する。 後者の「第1ライン及び第2ラインにノックアウトドラムを備え、前記ノックアウトドラムは液相アンモニアから気相アンモニアを分離するように構成され、前記ノックアウトドラムは気相アンモニア出口を備え、該気相アンモニア出口は前記アンモニア捕集システムに接続される」態様は、前者の「前記第1パージライン及び/又は前記第2パージラインにノックアウトドラムを備え、前記ノックアウトドラムは液相アンモニアから気相アンモニアを分離するように構成され、前記ノックアウトドラムは気相アンモニア出口及び液相アンモニア出口を備え、該気相アンモニア出口は前記アンモニア吸収システムに接続される」態様に相当する。 よって、両者は、 「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストローク内燃機関であって、 シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 アンモニア吸収システムと、 アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア燃料システムは中圧アンモニア供給ライン及びアンモニア戻しラインと、パージガス供給点の上流又は下流で前記中圧アンモニア供給ラインから分岐して前記中圧アンモニア供給ラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第1パージラインと、前記アンモニア戻しラインを前記アンモニア吸収システムに接続する第2パージラインとを備える、 機関において、 前記アンモニア燃料システムは、アンモニア貯蔵タンクと、中圧供給ポンプと、フィルタ装置とを備え、 前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニア供給ラインを通じてアンモニア燃料を機関に圧送するように構成され、 前記第1パージライン及び/又は前記第2パージラインにノックアウトドラムを備え、前記ノックアウトドラムは液相アンモニアから気相アンモニアを分離するように構成され、前記ノックアウトドラムは気相アンモニア出口及び液相アンモニア出口を備え、該気相アンモニア出口は前記アンモニア吸収システムに接続される、機関。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点14-1] 大型2ストローク内燃機関に関し、 本件発明14は、「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」であるのに対し、 引用発明2は、低速2ストロークエンジンである点。 [相違点14-2] アンモニア燃料システムに関し、 本件発明14は、「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁」に供給しているのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点14-3] アンモニア吸収システムに関し、 本件発明14は、「使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し」しているのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点14-4] 本件発明14は、第1パージラインがパージガス供給点の「下流」で中圧アンモニア供給ラインから分岐するのに対し、 引用発明2は、パージガス供給点の「上流」で中圧アンモニア供給ラインから分岐する点。 [相違点14-5] 本件発明14は、前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、 「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」前記中圧供給ポンプは前記中圧アンモニ ア供給ラインを通じて「液相」アンモニア燃料を「前記燃料弁」に圧送するように構成され、 「前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され」るのに対し、 引用発明2は、そのように構成されているか不明な点。 (2)判断 上記相違点について、以下検討する。 ア [相違点14-1]及び[相違点14-2]について 上記「2 本件発明1について」(2)「ア [相違点1-1]及び[相違点1-2]について」において検討したとおりである。 イ [相違点14-3]について 上記「4 本件発明13について」(2)「イ [相違点13-3]について」において検討したとおりである。 ウ [相違点14-4]について 上記「4 本件発明13について」(2)「ウ [相違点13-4]について」において検討したとおりである。 エ [相違点14-5]について 前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」「前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され」ることは、引用文献1だけでなく、引用文献2~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 してみると、引用発明2において、本件発明14の相違点14-5に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の意見書における主張 申立人は、令和7年3月27日提出の意見書(6頁)において、以下のように主張する。 「アンモニア供給源の構成は、本件発明13で記載した通り、周知技術である。 次に、「前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給される」こと、つまり、回収した燃料成分を再利用することは、引用文献2(甲第2号証)に記載されているように周知技術である。また、回収した燃料を内燃機関に供給する場合、「前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給される」位置とすることは設計事項である。 以上より、訂正後の本件発明14の構成も引用文献1に周知技術を組み合わせたものに過ぎない。」 イ 申立人の主張に対する判断 申立人が主張するように、「回収した燃料成分を再利用することは、引用文献2(甲第2号証)に記載されているように周知技術である。」としても、上記(2)エで述べたように、前記アンモニア燃料システムは、「低圧供給ポンプと、」「前記低圧供給ポンプと前記中圧供給ポンプとを繋ぐ低圧アンモニア供給ラインと、」「前記低圧アンモニア供給ラインに設けられる」フィルタ装置とを備え、「前記低圧供給ポンプは前記アンモニア貯蔵タンクからの液相アンモニアを前記中圧供給ポンプに圧送するように構成され、」「前記アンモニア吸収システムから排出されるアンモニア水が、前記フィルタ装置と前記中圧供給ポンプとの間において前記低圧アンモニア供給ラインに供給されるように構成され」ることは、引用文献1~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 したがって、申立人の上記主張は採用することができない。 (4)まとめ よって、本件発明14は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6 本件発明15について 本件発明15は、本件発明14の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記5(2)、(3)で示したのと同様の理由により、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 7 本件発明16について (1)対比 本件発明16と引用発明3とを対比すると、両者は、上記「2 本件発明1について」の(1)で対比したものの他、後者の「アンモニア供給ライン」は前者の「供給ライン」に相当し、以下同様に、「再循環ライン」は「戻しライン」に、「前記アンモニア供給ライン及び前記再循環ラインを形成する配管の少なくとも一部が二重壁となっている二重壁換気システムを備え」という態様は「前記供給ライン及び前記戻しラインを形成する配管は二重壁パイプを有し」という態様に、「前記二重壁換気システムによって、漏れたアンモニア燃料を前記アンモニア捕集システムへと誘導する」態様は「前記二重壁パイプの内管と外管との間の空間は前記アンモニア排出流路によって前記アンモニア吸収システムに流体的に接続している」態様に、「二重壁換気システムはアンモニア燃料の漏洩を検出する」という態様は「前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え」という態様に、それぞれ相当する。 よって、両者は、 「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストローク内燃機関であって、 シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間において前記シリンダ内に形成される燃焼室と、 前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 アンモニア吸収システムと、 アンモニア排出流路と、 を備え、 前記アンモニア排出流路は前記アンモニア燃料システムの出口を前記アンモニア吸収システムの入口に接続し、 前記アンモニア燃料システムは供給ライン及び戻しラインを備え、前記供給ライン及び前記戻しラインを形成する配管は二重壁パイプを有し、前記二重壁パイプの内管と外管との間の空間は前記アンモニア排出流路によって前記アンモニア吸収システムに流体的に接続しており、 前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備える、 機関。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点16-1] 大型2ストローク内燃機関に関し、 本件発明16は、「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」であるのに対し、 引用発明3は、低速2ストロークエンジンである点。 [相違点16-2] アンモニア燃料システムに関し、 本件発明16は、「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁」に供給しているのに対し、 引用発明3は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点16-3] アンモニア吸収システムに関し、 本件発明16は、「使用中、前記アンモニア排出流路を通じて供給されるアンモニアを水に吸収してアンモニア水を形成するために前記水を有し」ているのに対し、 引用発明3は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点16-4] 本件発明16は、「前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される」のに対し、 引用発明3は、そのように構成されているか不明な点。 (2)判断 上記相違点について、以下検討する。 ア [相違点16-1]及び[相違点16-2]について 上記「2 本件発明1について」(2)「ア [相違点1-1]及び[相違点1-2]について」において検討したとおりである。 イ [相違点16-3]について 上記「4 本件発明13について」(2)「イ [相違点13-3]について」において検討したとおりである。 ウ [相違点16-4]について 「前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される」ことは、引用文献1だけでなく、引用文献2~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 してみると、引用発明3において、本件発明16の相違点16-4に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の意見書における主張 申立人は、令和7年3月27日提出の意見書(6頁)において、以下のように主張する。 「引用文献1には、「4.2.6 二重壁換気システム エンジンルームを安全に保つためには、アンモニア燃料システムからの漏れを検出し、安全な場所に誘導することが重要です。これにより、アンモニア燃料システムとエンジンルーム内の配管の二重壁設計が実現しました。IMOの要件に従って、外側のパイプ内に一定の換気空気の流れが保たれます。このシステムは、すでに他のMAN B&Wデュアルフューエルエンジン設計の一部となっている。」と記載されている。つまり、引用文献1には、「アンモニア燃料システムからの漏れを検出」する技術がエンジン設計の一部になっていることが記載されている。 したがって、二重壁換気システムを有する引用文献1に基づいて、二重管の間の空間で漏洩を検出した時に安全のためにエンジンを停止することは、当業者が当然行う安全設計であり、「前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え、前記空間内でアンモニアが検出されたときは、前記機関のアンモニアによる運転を停止するように構成される、」ことは、引用文献1から容易である。」 イ 申立人の主張に対する判断 上記(1)で対比したように、引用発明3の「二重壁換気システムはアンモニア燃料の漏洩を検出する」という態様は「前記機関は更に、前記空間内におけるアンモニアの存在を検出する検出システムをさらに備え」という態様に相当すると認められる。しかしながら、引用文献1には、「二重管の間の空間で漏洩を検出した時に安全のためにエンジンを停止すること」は記載されていない。また、申立人は、「二重壁換気システムを有する引用文献1に基づいて、二重管の間の空間で漏洩を検出した時に安全のためにエンジンを停止することは、当業者が当然行う安全設計であ」ると主張するが、その主張の根拠となる証拠を示していない。したがって、上記(2)ウで述べたように、「二重管の間の空間で漏洩を検出した時に安全のためにエンジンを停止すること」は、引用文献1~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 したがって、申立人の上記主張は採用することができない。 (4)まとめ よって、本件発明16は、引用発明3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 8 本件発明24について (1)対比 本件発明24と引用発明4とを対比すると、両者は、上記「2 本件発明1について」の(1)ア~ウで対比したものの他、後者の「アンモニアを使用する方法」は前者の「アンモニアを管理する方法」に相当し、以下同様に、「前記低速2ストロークエンジンのアンモニア燃料による運転を停止すること」は「前記機関のアンモニア燃料による運転を停止すること」に、「前記燃料供給システムの少なくとも一部からアンモニアをパージすること」は「前記アンモニア燃料システムから残留アンモニアをパージすること」に、「前記パージしたアンモニアをノックアウトドラムで気相のアンモニアと液相のアンモニアに分離すること」は「前記パージした残留アンモニアを気相アンモニアと液相アンモニアに分離すること」に、それぞれ相当し、後者の「前記気相のアンモニアをアンモニア捕集システムに導いて捕集すること」と前者の「前記気相アンモニアを水中に吸収し、アンモニア水を形成すること」とは、「前記気相アンモニアを吸収すること」という限りにおいて一致する。 よって、両者は、 「主燃料がアンモニアである運転モードを少なくとも1つ有する大型2ストローク内燃機関においてアンモニアを管理する方法であって、前記機関が、 シリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身をカバーするシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、 前記シリンダ内の前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間に形成される燃焼室と、 前記大型2ストローク内燃機関に加圧されたアンモニアを供給するように構成されるアンモニア燃料システムと、 を備え、前記方法は、 前記機関のアンモニア燃料による運転を停止することと、 前記アンモニア燃料システムから残留アンモニアをパージすることと、 前記パージした残留アンモニアを気相アンモニアと液相アンモニアに分離することと、 前記気相アンモニアを吸収することと、 を含む、方法。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点24-1] 大型2ストローク内燃機関に関し、 本件発明24は、「大型2ストロークユニフロー掃気ターボ過給式内燃機関」であるのに対し、 引用発明4は、低速2ストロークエンジンである点。 [相違点24-2] アンモニア燃料システムに関し、 本件発明24は、「前記シリンダカバー又は前記シリンダライナに配される燃料弁」に供給しているのに対し、 引用発明4は、そのように構成されているか不明な点。 [相違点24-3] 本件発明24は、前記気相アンモニアを「水中に」吸収し、「アンモニア水を形成する」ことと、「前記形成したアンモニア水を前記アンモニア燃料システムに供給することと、」を含むのに対し、 引用発明4は、そのように構成されているか不明な点。 (2)判断 上記相違点について、以下検討する。 ア [相違点24-1]及び[相違点24-2]について 上記「2 本件発明1について」(2)「ア [相違点1-1]及び[相違点1-2]について」において検討したとおりである。 イ [相違点24-3]について 引用文献1には、アンモニア捕集システムの具体的な構成が記載されておらず、引用発明4を具現化するに際して同じ機能、作用を有する周知技術5を踏まえ、気相アンモニアを水中に吸収し、アンモニア水を形成することは、当業者であれば容易になし得たことである。 しかしながら、気相アンモニアを水中に吸収し、アンモニア水を形成するものにおいて、形成したアンモニア水をアンモニア燃料システムに供給することは、引用文献1だけでなく、引用文献2~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 してみると、引用発明4において、本件発明24の相違点24-3に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の意見書における主張 申立人は、令和7年3月27日提出の意見書(7頁)において、以下のように主張する。 「回収した燃料成分を再利用することは、引用文献2(甲第2号証)に記載されているように周知技術である。 以上より、本件発明24の訂正した要件は、引用文献1に周知技術を組み合わせたものに過ぎない。」 イ 申立人の主張に対する判断 申立人が主張するように、「回収した燃料成分を再利用することは、引用文献2(甲第2号証)に記載されているように周知技術である。」としても、上記(2)イで述べたように、気相アンモニアを水中に吸収し、アンモニア水を形成するものにおいて、形成したアンモニア水をアンモニア燃料システムに供給することは、引用文献1~9、甲5にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。 したがって、申立人の上記主張は採用することができない。 (4)まとめ よって、本件発明24は、引用発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 9 本件発明25~27について 本件発明25~27は、本件発明24の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記8(2)、(3)で示したのと同様の理由により、引用発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 10 小括 以上によれば、本件発明1~3、13~27は、引用発明1~4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1~3、13~27に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1~3、13~27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項4~12に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4~12に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700639

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