2022-701044
水中油型乳化組成物
- 審判番号
- 2022-701044
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-067373外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7058943
- 請求日
- 2022年10月21日
- 審決日
- 2023年04月28日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社コーセー
- 【権利者代理人】IBC一番町弁理士法人
- 【異議申立人】森本 美奈
- 分類
- P1651.537-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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特許第7058943号の請求項1~6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年3月30日の出願であって、令和4年4月15日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日にその特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~6に係る発明の特許に対し、同年10月21日に森本 美奈(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。
令和4年12月23日付け 取消理由通知
令和5年 1月23日(初回応対日) 応対記録
同年 2月 9日 意見書・訂正請求書の提出(特許
権者)
同年 2月20日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 3月15日(差出) 意見書(特許異議申立人)
第2 訂正の適否
令和5年2月9日付け訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものである(以下、令和5年2月9日付け訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)。
1 訂正の内容
本件訂正は、特許請求の範囲の請求項1の「(E)多価アルコール」との記載を、「(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの;2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウムを除く)」に訂正し(下線は訂正箇所。)、請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正するものである。
2 本件訂正の適否
(1)一群の請求項について
本件訂正は、訂正前の請求項1~6についてのものであるところ、訂正前の請求項2~6は請求項1を引用するものであり、訂正前の請求項1~6は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。
そして、本件訂正の請求は、訂正前の請求項1~6についてされているから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
(2)訂正の目的について
本件訂正は、請求項1に記載された「多価アルコール」について、但し書きにより特定の成分を除くものである。
除かれる成分のうち、「成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの」については、令和4年12月23日付けの取消理由通知において、理由1(明確性)として『成分(E)に該当する物質である共に、成分(B)、(C)又は(E)にも該当する物質を含有する場合に、本件請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。他の請求項についても同様。)において、どちらの成分として含有していると理解すればよいのかが不明である』と通知されたこと(なお、前記「成分(B)、(C)又は(E)」は、「成分(B)、(C)又は(G)」の誤記であった。)に対応して、成分(E)と成分(B)、(C)及び(G)とで成分が重複しないものとするものであるから、この部分についての訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記の重複する成分について、本件訂正前には、成分(E)に該当する物質である共に成分(B)、(C)又は(G)にも該当する物質を、成分(E)であるとする場合と成分(B)、(C)又は(G)であるとする場合があったといえるのに対し、本件訂正後に、実質的に、成分(B)、(C)又は(G)であるとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
除かれる成分のうち、「2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウム」については、成分(E)多価アルコールに該当する物質の範囲を減縮するものであるから、この部分についての訂正は、特許請求の減縮を目的とするものである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)新規事項の追加の有無及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更の有無について
本件訂正は、成分(E)に該当する物質である共に成分(B)、(C)又は(G)にも該当する物質が、成分(E)及び成分(B)、(C)又は(G)のいずれにも該当し得る記載であったのを、実質的に、成分(B)、(C)又は(G)であるとするものであり、また、成分(E)から2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル、アスコルビン酸2-グルコシド及びグリチルリチン酸ジカリウムを除くものである。
したがって、本件訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、「特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、そのカテゴリー変更もないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和5年3月15日に提出した意見書において、
(i)「(E)多価アルコールでもあり、(B)、(C)、(G)のいずれかでもある成分について、(E)成分を優先するのか、(B)、(C)、(G)のいずれかを優先するのか、本願明細書中にはそのような旨は一切記載されておらず、本件訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内ではありませんから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合」しない旨、
(ii)本件訂正により、「例えば、(E)多価アルコールとして、
ブチレングリコール 19質量%
2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル 2質量%
のみを含む水中油型乳化化粧料は、訂正前は(E)成分の合計が21質量%と特許請求の範囲外でしたが、訂正後には(E)成分が19質量%となり特許請求の範囲に含まれるようになりました。
したがって、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものですから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合」しない旨、
主張するので、以下に検討する。
(i)について
特許明細書等に成分(E)と成分(B)、(C)又は(G)のいずれを優先するのかの記載はないが、両者に該当する物質は成分(E)と成分(B)、(C)又は(G)のいずれにも該当し得ることが特許明細書等に記載されていたと解することができるから、実質的に、両者に該当する成分を成分(B)、(C)又は(G)であるとする点において、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないということはできない。
(ii)について
本件訂正は、成分(E)から特定の物質を除くものであり、また、特許異議申立人が挙げた例について、本件訂正後は、成分(E)アルコールから2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニルが除かれている、すなわち、本件訂正後の請求項1に係る発明の「水中油型乳化組成物」は、2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニルを含有しないものであることから、2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル 2質量%含有するという前提が不合理であり、上記例の水中油型乳化化粧料は請求項1に係る発明に含まれるものであるとはいえない。
したがって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、令和5年2月9日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1~6について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2で述べたとおり、本件訂正後の請求項1~6について訂正することが認められるので、本件特許の請求項1~6に係る発明は、令和5年2月9日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件発明1」などと、また、これらを合わせて「本件発明」ということがある。)である。
「【請求項1】次の成分(A)~(F):(A)ニコチン酸アミド 1~10質量%(B)リン脂質 0.1~2質量%続きを表示(全21行)(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤 0.02~1質量%(D)25℃で液状である油剤(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの;2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウムを除く) 5~20質量%(F)水を含有し、前記成分(C)がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)から選ばれる1種又は2種以上であり、尿素、炭素数が2~28のα-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる一種以上を含まない、水中油型乳化組成物。【請求項2】さらに、成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールを含有する請求項1に記載の水中油型乳化組成物。【請求項3】前記成分(A)と、成分(B)および成分(C)の含有質量割合(A)/((B)+(C))が1~10である請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。【請求項4】前記成分(A)と、成分(D)および成分(E)の含有質量割合(A)/((D)+(E))が0.05~0.5である請求項1~3のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。【請求項5】前記成分(C)がモノイソステアリン酸POE(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。【請求項6】化粧料または皮膚外用剤である請求項1~5のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。」
第4 当審が通知した令和4年12月23日付け取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由の概要
1 特許異議申立人が申し立てた理由の概要
[申立理由1]訂正前の本件の請求項1、3、4及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第1号証に記載された発明であるから、訂正前の請求項1、3、4及び6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
[申立理由2]訂正前の本件の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第1、3~5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
[申立理由2の2]訂正前の本件の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第2~5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
記
[申立理由3]訂正前の本件の請求項1~6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しない。
よって、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
申立理由3の具体的な理由の概要は次のとおりである。
訂正前の請求項1に記載された成分(B)、(C)及び(G)である化合物の中には、成分(E)に含まれる化合物が存在するが、その両方に該当する化合物をどちらに含めるのかが不明であり、請求項1~6の記載は不明確である。
2 当審合議体が通知した令和4年12月23日付け取消理由の概要
[理由1](明確性)本件請求項1~6に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しない。
よって、本件請求項1~6に係る発明の特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[理由2](新規性)本件請求項1、3、4、6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記刊行物1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1、3、4、6に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[理由3](進歩性)本件請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記刊行物1~5に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
なお、理由1及び2は、それぞれ申立理由3及び1と、理由3は、申立理由2が請求項5を対象とするものについて引用例としてさらに甲第4号証(刊行物4)を用いている(理由2に対応する理由3では用いていない。)点を除いて、申立理由2及び2の2と同様の理由である。
第5 当審合議体の判断
当審合議体は、本件発明1~6に係る特許は、当審合議体が通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由により取り消すべきものではないと判断する。
理由は以下のとおりである。
1 令和4年12月23日付けで当審合議体が通知した取消理由について
(1)理由1(明確性)について
理由1は、請求項1の記載について、成分(E)に該当する物質である共に、成分(B)、(C)又は(G)にも該当する物質を含有する場合に、本件発明1において、どちらの成分として含有していると理解すればよいのかが不明であるというものであるが、本件訂正により、「但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの・・・を除く」との事項が特定されたことによって、理由1の前提とされた「成分(E)に該当する物質である共に、成分(B)、(C)又は(G)にも該当する物質を含有する場合」が存在しないものとなった。
したがって、理由1の点で、本件請求項1~6に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しないとはいえず、理由1には理由がない。
(2)理由2及び3について
ア 刊行物1~5(甲第1~5号証)について
(ア)各刊行物の記載事項
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刊行物1:
1a)「【請求項1】
下記一般式(1)で表されるビフェニル化合物と、下記一般式(2)で表される乳酸アルキルエステルとを含有することを特徴とする美白化粧料。
【化1】
[図:0001400482000001.jpg]
(式中、Rは水素原子、又は炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐鎖状である飽和又は不飽和の炭化水素基)
【化2】
[図:0001400482000002.jpg]
(式中、R1は炭素数14~24の直鎖状もしくは分岐鎖状である飽和又は不飽和の炭化水素基)」
1b)「【0014】
2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジアルキルビフェニルと、乳酸アルキルエステルとを含有する美白化粧料は、美白効果に優れ、製剤中での皮膚安全性が高く、使用感の優れた美白化粧料として有用である。・・・
【0018】
・・・質量%(以下、単に%と記する)」
1c)「【0021】
本発明の美白化粧料は、一般に皮膚に塗布する形の化粧料であれば特に限定されず、通常の皮膚化粧料の他、下地化粧料やファンデーションとしても利用可能であり、入浴剤として用いてもよい。剤型としては、一般に用いられる、水溶液、W/O型又はO/W型エマルション、適当な賦形剤等を用いて顆粒剤その他の粉末、錠剤等とすることが考えられ、具体的にはクリーム、乳液、化粧水、パック、ジェル、スティック、シート、パップ等が挙げられる。この美白化粧料は、例えば、乳液等の場合、油相及び水相をそれぞれ加熱溶解し、乳化分散して冷却する通常の方法により製造することができる。」
1d)「【0022】
本発明の美白化粧料において、更に美白化粧料に有用な他の成分を配合すると、より優れた美白効果が得られるため好ましい。例えば、他の美白剤として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩やアスコルビン酸グルコシド等の水溶性ビタミンC誘導体、胎盤抽出液、火棘抽出物、ラズベリーケトングルコシド、杏エキス、小麦胚芽エキス、亜鉛含有酵母エキス、リンドウエキス、アニスエキス、油溶性甘草エキス、サイシンエキス、亜麻仁エキス、オランダカラシエキス等を挙げることができ、これらを組み合わせると更に美白作用が向上し好ましい。また、メラニン代謝改善剤として、ニンジンエキス、杏エキス、スイカズラエキス、ナイアシンアミド、乳酸菌醗酵液、α-ヒドロキシ酸、抗炎症剤として、塩酸ジフェンヒドラミン、グリチルリチン酸類及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、アラントイン、ビタミンA類、β-カロチン、その他の保湿剤としてN-メチル-L-セリン等を挙げることができる。これらの中でも、他の美白剤、杏エキス、ナイアシンアミド、乳酸菌醗酵液、塩酸ジフェンヒドラミン、グリチルリチン酸類及びその誘導体が効果の面で特に好ましい。そして、上記以外の植物エキスも併用することにより、感触や保湿の面で優れた効果が得られるので好ましい。
【0023】
尚、本発明の美白化粧料には、上記の他、タール系色素、酸化鉄等の着色顔料、パラベン等の防腐剤、脂肪酸セッケン、セチル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等の両イオン性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン等の天然系界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガム、ドラガカントガム、クインスシード、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸ソーダ等の天然高分子、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル及びコーポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキシドポリマー等の合成高分子、キサンタンガム等の増粘剤、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤等を、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜配合することができる。」
1e)「【0033】
応用例2(乳液)
・・・
*3;シリコンFZ-209(日本ユニカー社製)
・・・
【0035】
応用例4(O/W型クリーム)
[表6]
原料成分 配合量(%)
---------------------------------
セタノール 5.0
・・・」
1f)「【0038】
応用例7(美容液)
[表9]
原料成分 配合量(%)
---------------------------------
リゾレシチン 0.5
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(2E.O.) 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.5
エタノール 7.0
メチルフェニルポリシロキサン(*3) 3.0
香料 0.01
2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-n-プロピルビフェニル1.5
乳酸オクチルドデシル 7.0
1,3-ブチレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール1000 1.0
アスコルビン酸2-グルコシド 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
ニコチン酸アミド 1.0
N-メチル-L-セリン 0.1
水酸化カリウム 0.15
乳酸菌発酵液(*28) 0.1
γ-アミノ酪酸(*29) 0.02
チャ実エキス(*30) 0.01
ツバキエキス(*31) 0.01
ジュズダマエキス(*32) 0.01
ユキノシタエキス(*33) 0.01
ジオウエキス(*34) 0.01
ヒノキ水(*35) 0.01
ルイボスエキス(*36) 0.01
精製水 残 量
*28;ホエイCPA(一丸ファルコス社製)
*29;BIO GABA(協和発酵社製)
*30;茶の実抽出物(丸善製薬社製)
*31;ツバキ種子抽出物(丸善製薬社製)
*32;ヨクイニン抽出液BG-S(丸善製薬社製)
*33;ユキノシタエキス(一丸ファルコス社製)
*34;ジオウ抽出液BG-J(丸善製薬社製)
*35;ヒノキ水B(丸善製薬社製)
*36;ファルコレックス ルイボスB(N)(一丸ファルコス社製)」
刊行物2:
2a)「【請求項1】 ニコチン酸アミドを含有する皮膚外用剤において、皮膚刺激緩和成分としてレシチン類を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。
・・・
【請求項3】 ニコチン酸アミドが、0.05~5重量%含有され、かつレシチン類が、ニコチン酸アミドに対する重量比で0.01~20倍量配合されている請求項1または2に記載の皮膚外用剤。」
2b)「【0021】レシチン類の配合量は、ニコチン酸アミドの配合量に応じて、レシチン類/ニコチン酸アミドの重量比を0.01~20の範囲にすることが好ましく、さらに好ましくは、同比が0.5~10の範囲である。なぜなら、皮膚外用剤中のレシチン類の配合重量比が0.01未満の場合は、ニコチン酸アミドの皮膚刺激の低減効果が表われない場合が多く、レシチン類の配合重量比が20を超えても皮膚刺激の低減効果は殆ど変わらず、却って実用性を失する場合があるからである。
【0022】また、この発明の皮膚外用剤には必要に応じ、水、その他にエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、グリセリン、ソルビトール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール類、植物油、動物油、植物脂等の油脂類、動物性液体ロウ、動物性固体ロウ、植物性固体ロウ、鉱物性固体ロウ等のロウ類、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、金属石ケン類、シリコーン油類、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の活性剤類、タール色素、無機顔料、有機顔料、天然色素などの着色剤類、天然香料、合成香料、調合香料等の香料類、ビタミン、ビタミン誘導体、プロビタミン等のビタミン類、感光素類、動物抽出成分、植物抽出成分等の抽出成分類、紫外線吸収剤類、抗酸化剤類、キレート剤類、緩衝剤類、収斂剤類、中和剤類、防菌剤類、炭水化物類、天然高分子、合成高分子等の高分子類、美白剤類、抗炎症剤類、尿素、トリメチルグリシン、DL-ピロリドンカルボン酸等の保湿剤類をこの発明の効果を損なわない限り配合することもできる。
【0023】また、この発明における皮膚外用剤の剤型は、任意に調製されたものであってよく、可溶化系、分散型など様々な要求物性に合わせた周知の剤型を採用すればよい。皮膚外用剤として化粧料である場合の具体例としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等が挙げられる。」
2c)「【0029】〔実施例3~5および比較例3~5〕表3~5に示す組成の化粧料を混合調製した。また、化粧料の皮膚に対する刺激の評価を前記パッチテスト試験方法によって調べ、その結果を表6に示した。
・・・
【0031】
【表4】
[図:0001400482000003.jpg]
・・・
【0033】
【表6】
[図:0001400482000004.jpg]
【0034】表2および表6の結果からも明らかなように、ニコチン酸アミドを1重量%またはそれ以上配合し皮膚刺激のある皮膚外用剤に対して、レシチン類を配合した実施例は、皮膚に対する刺激が低減されていた。」
刊行物3:
3a)「【請求項1】
2-エチルヘキサン酸イソノニルおよび/または2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシルを含有する皮膚外用剤。
・・・
【請求項3】
(a)2-エチルヘキサン酸イソノニルおよび/または2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシルと、(b)常温(25℃)で固体~半固体の、高級脂肪酸および高級アルコールの中から選ばれる1種または2種以上と、(c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含むホモポリマー、コポリマー、クロスポリマー、またはこれらの混合物と、(d)HLB値9以上の非イオン性界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を含有する、水中油型乳化皮膚化粧料。」
3b)「【発明の効果】
【0015】
本発明により、特に肌なじみに優れる皮膚外用剤が提供される。また本発明により、経時安定性、使用性(肌へののび、肌なじみ、べたつき感のなさ、さっぱりさ、エモリエント感、はり感)に優れる水中油型乳化皮膚化粧料が提供される。」
3c)「【0028】
(b)成分は常温(25℃)で固体~半固体の、高級脂肪酸、高級アルコールである。
・・・
【0030】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、エライジルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、オクチルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール等が例示されるが、これら例示に限定されるものでない。(b)成分は1種または2種以上が配合される。
【0031】
(b)成分の配合量は、化粧料全量に対して、0.5~8.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~5.0質量%である。0.5質量%未満では、内油相の固化作用に劣り、安定性に問題を生じ、しかも使用性の面においても皮膚に対するエモリエント感を付与するのが難しく、一方、8.0質量%を超えて配合しても、配合量の増大に見合う効果(内油相の固化作用、使用性等)がみられないばかりでなく、結晶析出など安定性も悪くなりがちである。」
3d)「【0034】
(d)成分としてのHLB値9以上の非イオン性界面活性剤は、一般に化粧料に配合され得るものであれば特に限定されるものでなく、例えば以下のものが挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。なおHLBは下記数1
【0035】
【数1】
[図:0001400482000005.jpg]
【0036】
(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)
で表される川上式により算出される。
【0037】
モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB値14.5)、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル(HLB値11)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB値9.0)、モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB値9.0)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB値15.5)、モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB値14.0)、モノステアリン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、モノイソステアリン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、モノオレイン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、ジステアリン酸デカグリセリル(HLB値9.5)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB値10.0)等のポリグリセリン脂肪酸エステル類。
【0038】
モノステアリン酸ポリオキシエチレン5モル付加(「POE(5)」と記す。以下同)グリセリル(HLB値9.5)、モノステアリン酸POE(15)グリセリル(HLB値13.5)、モノオレイン酸POE(5)グリセリル(HLB値9.5)、モノオレイン酸POE(15)グリセリル(HLB値14.5)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類。
【0039】
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(HLB値16.9)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値14.9)、モノステアリン酸POE(6)ソルビタン(HLB値9.5)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値10.5)、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.0)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.0)、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン(HLB値10.0)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB値11.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類。
【0040】
モノラウリン酸POE(6)ソルビット(HLB値15.5)、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット(HLB値13.0)、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット(HLB値11.5)、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット(HLB値12.5)、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット(HLB値14.0)等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類。
【0041】
POE(10)ラノリン(HLB値12.0)、POE(20)ラノリン(HLB値13.0)、POE(30)ラノリン(HLB値15.0)、POE(5)ラノリンアルコール(HLB値12.5)、POE(10)ラノリンアルコール(HLB値15.5)、POE(20)ラノリンアルコール(HLB値16.0)、POE(40)ラノリンアルコール(HLB値17.0)、POE(20)ソルビットミツロウ(HLB値9.5)等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体類。
【0042】
POE(20)ヒマシ油(HLB値10.5)、POE(40)ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(50)ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(60)ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB値10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB値11.0)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値13.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(80)硬化ヒマシ油(HLB値16.5)、POE(40)硬化ヒマシ油(100)硬化ヒマシ油(HLB値16.5)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類。
【0043】
POE(5)フィトステロール(HLB値9.5)、POE(10)フィトステロール(HLB値12.5)、POE(20)フィトステロール(HLB値15.5)、POE(30)フィトステロール(HLB値18.0)、POE(25)フィトスタノール(HLB値14.5)、POE(30)コレスタノール(HLB値17.0)等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類。
【0044】
POE(2)ラウリルエーテル(HLB値9.5)、POE(4.2)ラウリルエーテル(HLB値11.5)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB値14.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB値10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB値11.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB値13.5)、POE(15)セチルエーテル(HLB値15.5)、POE(20)セチルエーテル(HLB値17.0)、POE(23)セチルエーテル(HLB値18.0)、POE(4)ステアリルエーテル(HLB値9.0)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB値18.0)、POE(21)ステアリルエーテル(HLB値18.0)、POE(7)オレイルエーテル(HLB値10.5)、POE(10)オレイルエーテル(HLB値14.5)、POE(15)オレイルエーテル(HLB値16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB値17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB値18.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB値10.0)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB値16.5)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB値18.0)、POE(2)(C12-15)アルキルエーテル(HLB値9.0)、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル(HLB値10.5)、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル(HLB値15.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB値10.5)、POE(7)2級アルキルエーテル(HLB値12.0)、POE(9)アルキルエーテル(HLB値13.5)、POE(12)アルキルエーテル(HLB値14.5)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類。
【0045】
ポリオキシプロピレン1モル付加(「POP(1)」と記す。以下同)POP(4)セチルエーテル(HLB値9.5)、POE(10)POP(4)セチルエーテル(HLB値10.5)、POE(20)POP(8)セチルエーテル(HLB値12.5)、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB値11.0)、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB値12.0)等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類。
【0046】
モノラウリン酸ポリエチレングリコール10モル付加(「PEG(10)」と記す。以下同)(HLB値12.5)、モノステアリン酸PEG(10)(HLB値11.0)、モノステアリン酸PEG(25)(HLB値15.0)、モノステアリン酸PEG(40)(HLB値17.5)、モノステアリン酸PEG(45)(HLB値18.0)、モノステアリン酸PEG(55)(HLB値18.0)、モノステアリン酸PEG100(HLB値18.8)、モノステアリン酸PEG150(HLB値19)、モノオレイン酸PEG(10)(HLB値11.0)、ジステアリン酸PEG(HLB値16.5)、ジイソステアリン酸PEG(HLB値9.5)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類。
【0047】
イソステアリン酸PEG(8)グリセリル(HLB値10.0)、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル(HLB値10.0)、イソステアリン酸PEG(15)グリセリル(HLB値12.0)、イソステアリン酸PEG(20)グリセリル(HLB値13.0)、イソステアリン酸PEG(25)グリセリル(HLB値14.0)、イソステアリン酸PEGグリセリル(30)(HLB値15.0)、イソステアリン酸PEG(40)グリセリル(HLB値15.0)、イソステアリン酸PEG(50)グリセリル(HLB値16.0)、イソステアリン酸PEG(60)グリセリル(HLB値16.0)等のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル類。
【0048】
中でもポリオキシエチレン付加物(=POE付加物)、ポリエチレングリコール付加物(=PEG付加物)が好ましい。特には、安定性と使用性(肌へのなじみ、べたつきのなさ)の点からモノステアリン酸PEG(10~150)が最も好ましい。
【0049】
(d)成分は、(a)成分、(b)成分を含む油相(内相)を乳化する働きをする。(d)成分は1種または2種以上を用いることができる。(d)成分の配合量は、化粧料全量中、0.5~8.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~5.0質量%である。0.5質量%未満では、系の安定性に乏しくなりがちであり、一方、5.0質量%を超えて配合しても、配合量の増大に見合う効果がみられないばかりでなく、かえってべたつきを生じる傾向がみられる。」
刊行物4:
4a)「【請求項1】
(A)室温で液状の油剤40~80重量%、(B)非イオン性界面活性剤、(C)ポリオキシプロピレンソルビットおよび(D)水10~40重量%を含有してなる乳化化粧料。」
4b)「【0009】
本発明の乳化化粧料は、高温域での優れた製剤の保存安定性を有するという効果を奏する。また、本発明の乳化化粧料を頭髪用化粧料に用いると、毛髪上での延展性に優れ、適度なまとまり感を付与するという効果を奏する。そして、本発明の乳化化粧料を皮膚用化粧料に用いると、皮膚上での延展性に優れ、滑らかさを付与するという効果を奏する。」
4c)「【0013】
(B)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物などの他、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンなどが挙げられる。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどを例示することができる。
【0015】
グリセリン肪酸エステルとしては、本発明においては、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれをも意味し、具体的には、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル等のモノグリセリン脂肪酸エステルなどのモノグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノベヘン酸デカグリセリル、モノエルカ酸デカグリセリルなどの上記したモノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。
【0016】
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルなどを例示することができる。
【0017】
ソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステルを例示することができ、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどを例示することができる。
【0018】
上記した非イオン性界面活性剤のうち、製剤の保存安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のうちの1種以上を用いるのが好ましく、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、モノステアリン酸グリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のうちの1種以上を用いるのがより好ましい。
【0019】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性を向上させる観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%である。また、べたつきを抑制する観点から、10重量%以下が好ましく、より好ましくは8重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、組成物中、1~10重量%が好ましく、より好ましくは2~8重量%である。」
4d)「【0023】
(D)成分の水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされないが、通常、精製水が用いられる。本発明における(D)成分の含有量は、油分特有の優れた効果を発揮させる観点から、組成物中、40重量%以下である。また、製剤の液化による分離を抑え、水中油型の乳化系を形成させる観点から、10重量%以上で調製される。これらの観点から、(D)成分の含有量は、組成物中、10~40重量%とされる。」
刊行物5:
5a)「【請求項1】
シリカ殻からなるナノ中空粒子と非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする水中油型乳化剤形の皮膚外用剤。
・・・
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物より成る群より選ばれる1又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤。
・・・
【請求項5】
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールから選択される1又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤。」
5b)「【0011】
(2)本発明の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤に関わる非イオン性界面活性剤本発明に用いられる非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物などの脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の他、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンなどが挙げられる。
【0012】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、本発明においては、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれをも意味し、具体的には、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリルなどの上記したグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。また、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどを例示することができる。
【0013】
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルなどを例示することができる。
【0014】
ソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステルを例示することができる。また、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどを例示することができる。
【0015】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどを例示することができる。
【0016】
これら非イオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合せて用いることもできる。これらの中で、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物より成る群より選ばれるグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物より成る群より選ばれる1種又は2種以上を使用することが乳化安定性の点で好ましい。
【0017】
これら非イオン性界面活性剤は、皮膚外用剤中0.5~10.0質量%含まれることが好ましい。特に本発明の効果をより発揮する観点から1~5質量%であることがより好ましい。0.5質量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されないことがあり、10質量%を超えると使用感が著しく悪くなる場合がある。」
5c)「【0020】
(4)本発明の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤に関わるセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコール本発明の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤には、系の安定性向上の観点から、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールから選択される1種又は2種以上を配合することができる。本発明の水中油型乳化剤形の皮膚外用剤におけるこれら成分の含有量は0.2~5.0質量%であることが好ましく、特に0.3~3.0質量%を配合することが、感触の面からより好ましい。」
(イ)引用発明
a 刊行物1
刊行物1には、2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジアルキルビフェニルと、乳酸アルキルエステルとを含有する美白化粧料についての記載があり、質量%は%と記するとされているところ(摘示1a~1f)、応用例7として具体的な美容液についての記載がある(摘示1f)。
したがって、刊行物1には、応用例7に基づく、以下の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。
「以下の表に示される組成を有する美容液。原料成分 配合量(質量%)---------------------------------リゾレシチン 0.5続きを表示(全37行)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(2E.O.) 0.3ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.5エタノール 7.0メチルフェニルポリシロキサン(*3) 3.0香料 0.012,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-n-プロピルビフェニル1.5乳酸オクチルドデシル 7.01,3-ブチレングリコール 3.0ポリエチレングリコール1000 1.0アスコルビン酸2-グルコシド 2.0グリチルリチン酸ジカリウム 0.2ニコチン酸アミド 1.0N-メチル-L-セリン 0.1水酸化カリウム 0.15乳酸菌発酵液(*28) 0.1γ-アミノ酪酸(*29) 0.02チャ実エキス(*30) 0.01ツバキエキス(*31) 0.01ジュズダマエキス(*32) 0.01ユキノシタエキス(*33) 0.01ジオウエキス(*34) 0.01ヒノキ水(*35) 0.01ルイボスエキス(*36) 0.01精製水 残 量*28;ホエイCPA(一丸ファルコス社製)*29;BIO GABA(協和発酵社製)*30;茶の実抽出物(丸善製薬社製)*31;ツバキ種子抽出物(丸善製薬社製)*32;ヨクイニン抽出液BG-S(丸善製薬社製)*33;ユキノシタエキス(一丸ファルコス社製)*34;ジオウ抽出液BG-J(丸善製薬社製)*35;ヒノキ水B(丸善製薬社製)*36;ファルコレックス ルイボスB(N)(一丸ファルコス社製)」
b 刊行物2
刊行物2には、ニコチン酸アミドを含有する皮膚外用剤において、皮膚刺激緩和成分としてレシチン類を配合したことを特徴とする皮膚外用剤についての記載があるところ(摘示2a~2c)、実施例4として、具体的な化粧料についての記載がある(摘示2c)。
したがって、刊行物2には、実施例4に基づく、以下の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認める。
「以下の表の実施例4の組成を有する乳液。[図:0001400482000006.jpg]」
イ 理由2について
(ア)対比・判断
a 本件発明1について
刊行物1発明の「ニコチン酸アミド」は、本件発明1の「(A)ニコチン酸アミド」に相当し、その配合量「1.0質量%」は、本件発明1の「1~10質量%」に相当する。
刊行物1発明の「リゾレシチン」は、本件発明1の「(B)リン脂質」に相当し、その配合量「0.5質量%」は、本件発明1の「0.1~2質量%」に相当する。
刊行物1発明の「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)」について、本件明細書【0014】には、「成分(C):HLBが7以上であるノニオン界面活性剤」について、ポリオキシエチレンヒマシ油は、ヒマシ油または水素添加ヒマシ油にオキシエチレンを付加させたものであることが記載され、POE(40)硬化ヒマシ油が例示されているから、本件発明1の「(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤」かつ「成分(C)がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)から選ばれる1種又は2種以上」であることに相当し、その配合量「0.5質量%」は、本件発明1の「0.02~1質量%」に相当する。
刊行物1発明の「メチルフェニルポリシロキサン(*3)」について、刊行物1には、「*3;シリコンFZ-209(日本ユニカー社製)」との記載があるところ(摘示1e、【0033】)、当該シリコンは油剤(なお、本件明細書【0017】にメチルフェニルポリシロキサンが油剤であることが記載されている。)であり、25℃で液状である(特開2000-186208号公報の【0028】には、「(日本ユニカー(株)製 NUCシリコーンFZ209)粘度15CS(25℃)」との記載がある。)。また、刊行物1発明の「乳酸オクチルドデシル」も、エステルであるから油剤であり、25℃で液状である(要すれば、https://cosmetic-ingredients.org/emollient/6470/参照。)。したがって、刊行物1発明の前記2成分は本件発明1の「(D)25℃で液状である油剤」に相当する。
刊行物1発明の「1,3-ブチレングリコール」及び「ポリエチレングリコール1000」は、本件発明1で特定される、「成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの」のいずれにも該当しないから、本件発明1の「(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するものを除く)」に相当する。
刊行物1発明の「精製水」は、本件発明1の「(F)水」に相当する。
刊行物1発明は、尿素、炭素数が2~28のα-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる一種以上を含まない。
そして、刊行物1発明の美容液は組成物であるから、本件発明1とは、組成物である点で共通する。
したがって、本件発明1と刊行物1発明とは、
「次の成分(A)~(F):(A)ニコチン酸アミド 1~10質量%(B)リン脂質 0.1~2質量%(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤 0.02~1質量%(D)25℃で液状である油剤(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するものを除く)(F)水を含有し、前記成分(C)がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)から選ばれる1種又は2種以上であり、尿素、炭素数が2~28のα-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる一種以上を含まない、組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1が「水中油型乳化組成物」であるのに対し、刊行物1発明は「美容液」である点。
<相違点2>
本件発明1が「(E)多価アルコール(但し、・・・2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウムを除く)」と特定している、すなわち、本件発明1においては、2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウムを含有する水中油型乳化組成物が除かれているのに対し、刊行物1発明は、2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル、アスコルビン酸2-グルコシド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有する点。
<相違点3>
(E)多価アルコール(但し、・・・を除く)の含有量について、本件発明1が「5~20質量%」と特定されているのに対し、刊行物1発明は、4.0(3.0+1.0)質量%である点。
以下、上記相違点1~3について検討する。
<相違点1>について
刊行物1には、剤形としてO/W型エマルションとすることが記載されており(摘示1c)、刊行物1発明の美容液は水を相当量含有し、油剤、界面活性剤を含有するから、水中油型のエマルション(乳剤)であるといえる。
したがって、この点は実質的な相違点ではない。
<相違点2>について
刊行物1発明は、2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル、アスコルビン酸2-グルコシド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有するから、この点は実質的な相違点である。
<相違点3>について
刊行物1発明の多価アルコールの含有量は「5~20質量%」の範囲になく、実質的に前記範囲内にあるともいえないから、この点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は刊行物1に記載された発明であるとはいえない。
b 本件発明3、4及び6について
本件発明3、4及び6は、本件発明1を引用してさらに技術的に限定するものであるから、本件発明1と同様に刊行物1に記載された発明であるとはいえない。
(イ)まとめ
したがって、理由2には理由がない。
ウ 理由3について
(ア)刊行物1を主引用例とする場合
a 対比・判断
(a)本件発明1について
本件発明1と刊行物1発明との一致点・相違点は、上記イ(ア)aで述べたとおりである。
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
<相違点2>について
刊行物1発明の2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-n-プロピルビフェニルは、刊行物1に記載された美白化粧料の必須成分あり、美白効果のための成分として配合されている物質であり(摘示1a、1b)、アスコルビン酸2-グルコシドはより優れた美白効果が得られる他の美白剤として、グリチルリチン酸ジカリウムは抗炎症剤として配合されている物質である(摘示1d、【0022】)といえるところ、他の多数の物質が配合されている刊行物1発明において、特に上記3つの成分に着目して、それらの全てを他の物質に変更し、又は配合しないものとし、かつ、ニコチンアミド、リゾレシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、メチルフェニルポリシロキサン(*3)、乳酸オクチルドデシル、1,3-ブチレングリコール及びポリエチレングリコール1000といった、他の成分を刊行物1発明と同様に配合した組成物とする動機付けとなるような記載や示唆は、刊行物1にはなく、そのような組成物とすることが出願時の技術常識であったともいえない。
したがって、刊行物1発明において、相違点2に係る本件発明1の技術的事項を採用することが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1の水中油型乳化組成物は、肌のハリ・弾力を向上させ、経時での乳化安定性が良好であり、さらに使用時のべたつきや水分蒸散後のニコチン酸アミドの粉吹きが改善されたものであるという、当業者の予測を超える顕著な効果を奏するものであるといえる(本件明細書【0008】、実施例等)。
したがって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1に記載された発明及び出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(b)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1を引用してさらに技術的に限定するものである。
この点について、本件発明の成分(G)に関して、刊行物1には、セタノール(融点約49℃)を含有するO/W型クリームが具体例として記載されており(摘示1e、【0035】)、刊行物3には、(b)常温(25℃)で固体~半固体の、高級脂肪酸及び高級アルコールを含有する水中油型乳化皮膚化粧料が記載され(摘示3a、請求項3、摘示3c、【0028】)、刊行物5には、皮膚外用剤において、感触を考慮して、前記成分(G)に相当するセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコール(なお、バチルアルコールは本件発明の成分(E)にも相当する。)を所定量配合することが記載されている(摘示5a、請求項5、摘示5c)。
また、本件発明の成分(C)に関して、刊行物3には、経時安定性、使用性(肌へののび、肌なじみ、べたつき感のなさ、さっぱりさ、エモリエント感、はり感)に優れる水中油型乳化皮膚化粧料(摘示3b、【0015】)に用いる、(d)成分のHLB値9以上の非イオン性界面活性剤の例として、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(摘示3d、【0039】)、POE(20)ヒマシ油(HLB値10.5)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類(同、【0042】)、POE(5)フィトステロール(HLB値9.5)等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類(同、【0043】)等が記載され、また、使用することができるHLB値9未満の界面活性剤として、POE(5)コレステリルエーテル(HLB値7)等のポリオキシエチレンコレステリルエーテル類(【0051】及び【0059】)等が記載され、刊行物5には、水中油型乳化剤形の皮膚外用剤に関わる非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等が記載されている(摘示5b、【0011】)。
しかし、これら文献の記載をみても、上記(a)の「<相違点2>について」で述べたのと同様に、多数の物質が配合されている刊行物1発明において、特に2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-n-プロピルビフェニル等の3つの成分に着目して、それらの全てを他の物質に変更し、又は配合しないものとし、かつ、ニコチンアミド、リゾレシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、メチルフェニルポリシロキサン(*3)、乳酸オクチルドデシル、1,3-ブチレングリコール及びポリエチレングリコール1000といった、他の成分を刊行物1発明と同様に配合した組成物とする動機付けとなるような記載や示唆があるとはいえないので、刊行物1発明において、相違点2に係る本件発明1の技術的事項を採用することが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明2~6の水中油型乳化組成物は、肌のハリ・弾力を向上させ、経時での乳化安定性が良好であり、さらに使用時のべたつきや水分蒸散後のニコチン酸アミドの粉吹きが改善されたものであるという、当業者の予測を超える顕著な効果を奏するものであるといえる(本件明細書【0008】、実施例等)。
したがって、他の事項について検討するまでもなく、本件発明2~6は、刊行物1、3、5に記載された発明及び出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
b まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~6は、刊行物1、3、5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)刊行物2を主引用例とする場合
a 対比・判断
(a)本件発明1について
刊行物2発明の「ニコチン酸アミド」は、本件発明1の「(A)ニコチン酸アミド」に相当し、その配合量「2.0重量%」は、本件発明1の「1~10質量%」に相当する。
刊行物2発明の「大豆リン脂質」は、本件発明1の「リン脂質」に相当し、その配合量「0.5重量%」は、本件発明1の「0.1~2質量%」に相当する。
刊行物2発明の「モノミリスチン酸デカグリセリル」について、刊行物3~5に非イオン界面活性剤、すなわちノニオン界面活性剤であることが記載されており(摘示3d、【0034】及び【0037】、摘示4a、摘示4c、【0013】及び【0015】、並びに摘示5b、【0011】及び【0012】)、ノニオン界面活性剤であることは出願時の技術常識であるといえ、刊行物3に「モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB値14.0)」との記載があり(摘示3d、【0037】)、そのHLBは14.0であるといえるから、本件発明1の「(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤」に相当する。
刊行物2発明の「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」はトリグリセリドである油脂であり、同「流動パラフィン」と共に油剤であるといえ、25℃で液状であるから(前者についてはhttps://cosmetic-ingredients.org/base/1107/参照)、本件発明1の「(D)25℃で液状である油剤」に相当する。
刊行物2発明の「濃グリセリン」は、本件発明1で特定される、「成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの」のいずれにも該当しないから、本件発明1の「(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するものを除く)」に相当し、その配合量「5.0重量%」は、本件発明1の「5~20質量%」に相当する。
刊行物2発明の「精製水」は、本件発明1の「(F)水」に相当する。
刊行物2発明は、尿素、炭素数が2~28のα-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる一種以上を含まない。
そして、刊行物2発明の乳液は乳化組成物であるといえるから、本件発明1とは、「乳化組成物」である点で共通する。
してみると、本件発明1と刊行物2発明とは、
「次の成分(A)~(F):(A)ニコチン酸アミド 1~10質量%(B)リン脂質 0.1~2質量%(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤(D)25℃で液状である油剤(E)多価アルコール(但し、成分(B)リン脂質であって、多価アルコールに該当するもの;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンヒマシ油;成分(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤のうち、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.);成分(G)25℃で固形または半固形の高級アルコールであって、多価アルコールに該当するもの;2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル;アスコルビン酸2-グルコシド;グリチルリチン酸ジカリウムを除く) 5~20質量%(F)水を含有し、尿素、炭素数が2~28のα-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる一種以上を含まない、乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4>
成分(C)について、本件発明1は「前記成分(C)がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)から選ばれる1種又は2種以上」であり、その含有量は「0.02~1重量%」であるのに対し、刊行物2発明は「モノミリスチン酸デカグリセリル」であり、その含有量は「2.0重量%」である点。
<相違点5>
乳化組成物について、本件発明1が「水中油型」と特定しているのに対し、刊行物2発明は、水中油型とは特定されていない点。
以下、上記相違点4について検討する。
<相違点4>について
刊行物2には、非イオン界面活性剤を配合することが記載されており(【0022】)、具体例である実施例においてもポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油(実施例3)等の様々な非イオン界面活性剤を用いた例が記載されている。
一方、刊行物3、5には、上記(ア)a(b)で述べたとおりの事項が記載され、さらに、刊行物4には、高温域での優れた製剤の保存安定性を有し、皮膚上での延展性に優れ、滑らかさを付与するという効果を奏する乳化化粧料(摘示4b、【0009】)に用いる(B)非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油(摘示4c、【0013】)等が記載されているから、皮膚刺激性等を改善することを目的とする(摘示2b、【0021】、【0029】)刊行物2発明の乳液について、その経時安定性、使用性(肌へののび、肌なじみ、べたつき感のなさ、さっぱりさ、エモリエント感、はり感)等を改善することを目的として、刊行物3~5に記載された、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレンコレステリルエーテルを用いることは当業者が容易になし得た事項である。
また、一般に、組成物における各成分の配合量は組成物の特性等を考慮して当業者が適宜設定し得るものであり、刊行物2の実施例3には、非イオン界面活性剤であるといえるポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油を0.5重量%配合した組成物が記載され、刊行物3~5には、非イオン界面活性剤の配合量について、それぞれ、各種効果を考慮して、0.5~8.0質量%(摘示3d、【0049】)、1~10重量%(摘示4c、【0019】)、及び0.5~10.0質量%(摘示5b、【0017】)とすることが好ましい旨が記載されているから、これら含有量に重複する本件発明1で特定される範囲とすることは当業者が容易になし得た事項であるといえる。
効果について
本件発明1の水中油型乳化組成物は、肌のハリ・弾力を向上させ、経時での乳化安定性が良好であり、さらに使用時のべたつきや水分蒸散後のニコチン酸アミドの粉吹きが改善されたものであるという、効果を奏するものであるところ(本件明細書【0008】、実施例等)、本件明細書には、「【0014】
成分(C):HLBが7以上であるノニオン界面活性剤
本発明における成分(C)のHLBが7以上であるノニオン界面活性剤は油性成分を効率良く乳化するために重要な成分である。ノニオン界面活性剤のHLBが7未満であった場合、乳化安定性に優れず、使用時のべたつきも大きい。乳化安定性がさらに良好であるためには、HLBは7~19が好ましく、8~18がより好ましく、9~18が特により好ましい。
・・・
HLBが7以上であるノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、具体例を挙げると、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート等のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノイソステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン等のポリオキシエチレン付加型ノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、使用時のべたつきを改善し、乳化安定性を良好に保つことができるという点で、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が特により好ましい。
・・・
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物である。・・・
【0015】
成分(C)の含有量は、べたつき改善、乳化安定性向上の点から、0.02~1%であり、好ましくは0.02~0.8%であり、より好ましくは0.03~0.7%であり、さらに好ましくは0.04~0.6%である。成分(C)の含有量は、0.02%未満であると、肌のハリ・弾力付与効果に優れず、乳化安定性が悪くなる。また、成分(B)の含有量が1%を超えると、使用時のべたつきがひどく、使用感が悪い。」(下線は当審合議体が付与。)との記載があり、また、実施例では、本願発明1の成分(C)である、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)に相当する物質を含有する水中油型乳化組成物が記載され(実施例1~6、実施例14等)、実施例1~6の組成物については、肌のハリ・弾力、乳化安定性、べたつきの無さ、粉吹きの無さについて、非常に良好又は良好の評価が得られることが示されており、実施例14の水中油型乳化クリームについても、実施例として記載されていることから、同様の結果が得られると推察される。
一方、特許権者が令和5年2月9日に提出した意見書には、比較品15及び16として、それぞれ、PEG-30 フィトステロール(HLB:18.0)を2質量%含有する水中油型乳化組成物及びイソステアリン酸 PEG-8 グリセリル(HLB:10)を含有する水中油型乳化組成物について、上記肌のハリ・弾力等の性質について、やや不良及び不良の評価が存在することが示されており、このことから、ノニオン界面活性剤の種類及び含有量が本件発明1で特定されるものではない場合には、水中油型乳化組成物について、上記肌のハリ・弾力等の性質のいずれか又は複数が劣るものとなるといえる。
そして、本願発明1で特定されるノニオン界面活性剤の種類及び含有量とすることによって、水中油型乳化組成物の上記肌のハリ・弾力等の性質が優れたものとなることは、刊行物2~5に記載ないし示唆されておらず、本件出願時の技術常識でもない。
してみると、本件発明1は、当業者が刊行物2~5に記載された事項及び出願時の技術常識から予測することができる範囲を超える格別の効果を奏するものであるといえる。
したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物2~5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、上記判断では、刊行物2発明の「モノミリスチン酸デカグリセリル」が本件発明1の「(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤」に相当するとしたが、物質としては、モノミリスチン酸デカグリセリルは本件発明1の「(E)多価アルコール(但し、・・・を除く)」にも該当すると一応いえる。しかし、乳液に界面活性剤が配合されることは一般的であるところ、乳液である刊行物2発明において、他に界面活性剤に該当する成分はないから、「モノミリスチン酸デカグリセリル」は、ノニオン界面活性剤として配合されているといえる。仮にそうでないとしても、進歩性を否定できないという上記結論に変わりはない。
(b)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1を引用してさらに技術的に限定するものであるから、本件発明1と同様に、刊行物2~5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
b まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~6は、刊行物2~5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)まとめ
したがって、理由3には理由がない。
エ 小括
以上のとおりであるから、令和4年12月23日付けで当審合議体が通知した取消理由は全て理由がない。
2 特許異議申立人が主張する申立理由について
前記第4のなお書きで既に述べたとおり、特許異議申立人が主張する申立理由1は上記理由2と、同申立理由2(請求項5を対象とするものを除く)及び2の2は上記理由3と、同申立理由3は上記理由1とそれぞれ同様の理由であるから、その判断は、上記1で示したとおりである。
また、同申立理由2(請求項5を対象とするもの)について、甲第4号証(刊行物4)には、上記1(2)ウ(イ)a(a)で述べたとおりの事項が記載されているところ、かかる記載事項を参酌しても、相違点2に係る本件発明1~6の技術的事項を採用することが容易になし得た事項であるといえないことは、上記1(2)ウ(ア)a(a)及び(b)で述べたのと同様である。したがって申立理由2(請求項5を対象とするもの)の判断についても、上記理由3についての判断と同様である。
よって、特許異議申立人が主張する申立理由1~3はいずれも理由がない。
3 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和5年3月15日に提出した意見書において
(i)「刊行物1に記載された発明において、例えば、「2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル」に代えて、刊行物1の明細書の段落0017に記載されている各種2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジアルキルビフェニルを用いることは容易です。また、化粧料の技術分野において、配合量を調整することは通常行い得る事項に過ぎません。さらに、本件訂正により(E)から取り除かれた、「2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-n-プロピルビフェニル」、「アスコルビン酸2-グルコシド」、「グリチルリチン酸ジカリウム」も、分子内に水酸基を2個以上有する多価アルコールであることに代わりはありませんから、訂正後の本件発明1が、刊行物1に記載された発明と比較して優位な効果を奏するとは言えません。よって、訂正後の本件発明1-6は、刊行物1、3、5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できた発明のままです。」
(ii)「比較品16において、(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤として用いたものは、「イソステアリン酸PEG-8グリセリル(HLB:10)」のみです。
そして、(C)HLBが7以上であるノニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとリン酸のトリエステル化合物、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)が、「イソステアリン酸PEG-8グリセリル(HLB:10)」と比較して優れているからと言って、刊行物2に記載されている「モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB14)」と比較して優れているとは言えませんから、訂正後の本件発明1-6は、刊行物2-5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できた発明のままです。」
と主張するので、以下に検討する。
(i)について
本件訂正では、成分(E)多価アルコールについて、刊行物1発明の成分のうち、「2,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジアルキルビフェニル」だけではなく、「アスコルビン酸2-グルコシド」及び「グリチルリチン酸ジカリウム」も除かれており、本件発明はこれら3成分を含有しない組成物であるといえるところ、これらの成分の全てを他の物質に変更し、又は配合しないものとする等して、本件発明の組成物とすることが当業者が容易になし得た事項であるといえないことは、上記1(2)ウ(ア)a(a)及び(b)で述べたとおりである。
(ii)について
ノニオン界面活性剤(非イオン界面活性剤)について、刊行物2~5には、本件発明1で特定される種類の物が、肌のハリ・弾力を向上させ、経時での乳化安定性が良好であり、さらに使用時のべたつきや水分蒸散後のニコチン酸アミドの粉吹きを改善するものであることを記載・示唆する記載はない一方、本件発明が斯かる効果を奏するものであることは本件明細書に記載のとおりであるから、「モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB14)」と比較して優れていることが示されていないからといって、本件発明が、当業者が刊行物2~5に記載された事項及び出願時の技術常識から予測することができる範囲を超える顕著な効果を奏するものであるとはいえない、と結論づけることはできない。
したがって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、ほかに請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701044