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特許異議申立

2022-701035

自走式防除機

審判番号
2022-701035
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-156535
登録番号
7070520
請求日
2022年10月19日
審決日
2023年07月27日
公報発行日
2023年10月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】井関農機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人新大阪国際特許事務所
  • 【権利者代理人】松田 正道
  • 【異議申立人】齊藤 恵美子
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 ▲吉▼川 康史
  • 審判官 太田 恒明
分類
P1652.121-XA (A01M) / P1652.161-XA (A01M) / P1652.537-XA (A01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7070520号発明「自走式防除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7070520号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 特許第7070520号の請求項1に係る特許についての特許異議申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7070520号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和1年8月29日に出願され、令和4年5月10日にその特許権の設定登録がされ、同月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年10月19日 : 特許異議申立人 齊藤恵美子(以下「申立人」という。)による請求項1に係る特許に対する特許異議の申立て 令和5年 2月 2日付け: 取消理由通知書 令和5年 4月 6日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年 5月 8日付け: 申立人への訂正請求があった旨の通知 なお、令和5年4月6日になされた訂正請求について、申立人に対して訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、期間内に応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年4月6日になされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「運転座席(4)の前に立設するステアリングハンドル(5)の近傍に前記昇降アキュムレータ(11)を作動するアキュムレータ作動スイッチ(12b)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自走式防除機。」と記載されているものを、「左右の前輪(6,6)と後輪(7,7)を装着したメインフレーム(3)の後側に薬剤タンク(30)を搭載し、前側に防除ブーム(40)を装着するブームフレーム(38)を搭載した自走式防除機において、該ブームフレーム(38)を昇降する昇降シリンダ(39)の圧力変動を緩和する昇降アキュムレータ(11)を機体の最前部に設け、運転座席(4)の前に立設するステアリングハンドル(5)の近傍に前記昇降アキュムレータ(11)を作動するアキュムレータ作動スイッチ(12b)を設けたことを特徴とする自走式防除機。」に訂正する(請求項2の記載を直接的に引用する請求項3も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 願書に添付した明細書の段落【0007】の記載事項を削除し、 明細書の段落【0008】に「請求項2の発明は、運転座席4の前に立設するステアリングハンドル5の近傍に昇降アキュムレータ11を作動するアキュムレータ作動スイッチ12bを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自走式防除機とする。」と記載されているものを、「請求項2の発明は、左右の前輪(6,6)と後輪(7,7)を装着したメインフレーム(3)の後側に薬剤タンク(30)を搭載し、前側に防除ブーム(40)を装着するブームフレーム(38)を搭載した自走式防除機において、該ブームフレーム(38)を昇降する昇降シリンダ(39)の圧力変動を緩和する昇降アキュムレータ(11)を機体の最前部に設け、運転座席(4)の前に立設するステアリングハンドル(5)の近傍に前記昇降アキュムレータ(11)を作動するアキュムレータ作動スイッチ(12b)を設けたことを特徴とする自走式防除機とする。」と訂正し、 明細書の段落【0010】の記載事項を削除し、 明細書の段落【0011】に「請求項2の発明で、請求項1の効果に加えて、運転座席4に座ってステアリングハンドル5を操作する作業者がそのままの姿勢でアキュムレータ作動スイッチ12bを操作して昇降シリンダ39の圧力変動を緩和してブームフレーム38の振動や衝撃を少なく出来る。」と記載されているものを、「請求項2の発明で、メインフレーム3の後側に搭載する薬剤タンク3 0とメインフレーム3の前側に防除ブーム40を装着するブームフレーム38を搭載して機体の前後バランスを良くしているが、機体の最前部に昇降シリンダ3 9 の圧力変動を緩和するアキュムレータ11を装着しているので、機体の前側から油圧機器やアキュムレータ11の保守点検作業が容易となる。また、薬液タンク30により機体後部の重量が重くなるが、機体最前部にアキュムレータ11を設けているので、機体のバランスが良くなる。さらに、運転座席4に座ってステアリングハンドル5を操作する作業者がそのままの姿勢でアキュムレータ作動スイッチ12bを操作して昇降シリンダ39の圧力変動を緩和してブームフレーム38の振動や衝撃を少なく出来る。」と訂正する。 (4)一群の請求項 本件訂正前の請求項1~3について、請求項2、3は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 (2)訂正事項2 訂正事項2に係る請求項2、3についての訂正は、特許請求の範囲の請求項2について、請求項1との引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるとともに、 「昇降アキュムレータ(11)」を「機体」に設ける位置について、上位概念である「前部」とあったものを、その下位概念となる「最前部」であると具体的に限定する訂正であるから、 引用関係の解消を目的とするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 また、明細書の【0022】に、「図2に示すように、昇降アキュムレータ11は、機体の前部(本実施例では最前部)に設ける構成としており、」と記載されているから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正事項1に係る請求項1についての訂正及び訂正事項2に係る請求項2、3についての訂正に伴って、訂正後の特許請求の範囲と明細書との整合を図るためにする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 3 独立特許要件の存否 (1)訂正事項1について 本件特許異議の申立てにおいては、請求項1について特許異議の申立てがされているところ、上記2(1)のとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、特許異議の申立てがされている請求項1に係る訂正事項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2による請求項2、3についての訂正は、上記2(2)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。そして、訂正前の請求項2、3は特許異議の申立てがされていないので、特許法第120条の5第9項の規定により読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、訂正後の請求項2、3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、以下に、訂正後の請求項2、3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討する。 ア 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項2及び3に係る発明(以下それぞれを、「本件発明2」、「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2及び3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(符号A等は、分説のため当審合議体が付した。)。 本件発明2 「A 左右の前輪(6,6)と後輪(7,7)を装着したメインフレーム(3)の後側に薬剤タンク(30)を搭載し、 B 前側に防除ブーム(40)を装着するブームフレーム(38)を搭載した自走式防除機において、 C1 該ブームフレーム(38)を昇降する昇降シリンダ(39)の圧力変動を緩和する昇降アキュムレータ(11)を機体の最前部に設け、 C2 運転座席(4)の前に立設するステアリングハンドル(5)の近傍に前記昇降アキュムレータ(11)を作動するアキュムレータ作動スイッチ(12b)を設けた D ことを特徴とする自走式防除機。」 本件発明3 「E 前記昇降アキュムレータ(11)の作動を表示する緩衝表示灯(13)を前記アキュムレータ作動スイッチ(12b)の近傍に設けた F ことを特徴とする請求項2に記載の自走式防除機。」 イ 取消理由通知に記載した取消理由について (ア)取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許(以下「本件特許発明」という。)に対して、当審合議体が令和5年2月2日付けで特許権者に通知した取消理由通知に記載した取消理由(以下、単に「取消理由」という。)の要旨は、次のとおりである。 a 取消理由1(進歩性) 本件特許発明は、甲3発明及び甲2技術に基づいて、又は、甲3発明及び甲1技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである 甲第3号証:特開2019-97404号公報 甲第1号証:特開2013-102号公報 甲第2号証:特開2011-55802号公報 b 取消理由2(拡大先願) 本件特許発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲第5号証に基づく先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が甲第5号証に基づく先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が甲第5号証に基づく先願の出願人と同一でもないから、本件特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 甲第5号証に基づく先願:特願2019-55482号(特開2020-150910号) c 取消理由3(サポート要件) 本件特許発明は、本件特許の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであって、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 ウ 甲各号証に記載された事項 (ア)甲第3号証(特開2019-97404号公報) 取消理由で引用され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている(なお、引用箇所の段落番号を併記した。以下同様。)。 甲3発明 「左右一対の前輪3L、3R及び左右一対の後輪4L、4Rを有する、メインフレームを備えた走行車体2において、前部にボンネット5で覆われたエンジン6と、後部に操縦席7の左右両側と後側の3方を取り囲む様に配置された薬液を貯留するための防除タンク9とが設けられ(【0023】、【0028】)、 防除散布装置100は、走行車体2の前方に配置されたセンター散布ブーム機構100Cと、走行車体2の前方左右両端側において回動可能に設けられた左右一対の散布ブーム機構100L、100Rと、で構成され、左右一対の散布ブーム機構100L、100Rには、左右一対の散布ブーム120L、120Rを左右一対の回動部300L、300Rを介して回動させる左右一対の油圧式回動シリンダー110L、110Rが設けられ、また、左右一対の回動部300L、300Rは、フロント水平支柱220の左右両端側に回動可能に取り付けられていて(【0025】)、 走行車体2の前側には、防除散布装置100を昇降する昇降リンク機構200が設けられ(【0026】)、昇降リンク機構200は、ボンネット5の左右両側に回動可能に配置された左右一対の平行リンク210L、210Rと、ボンネット5の前方に配置されると共に左右一対の平行リンク210L、210Rの前端部に溶接固定されたフロント水平支柱220と、フロント水平支柱220を昇降させる油圧式昇降シリンダー230とを備え(【0027】)、走行車体2の前側に設けられている昇降リンク機構200が備える油圧式昇降シリンダー230は、走行車体2の最前部よりも後ろ側に配置されている(図1) 薬液散布作業車1(【0023】)。」 (イ)甲第1号証(特開2013-102号公報) 取消理由で引用され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証には、次の技術(以下「甲1技術」という。)が記載されている。 甲1技術 「車体1の前方側に取り付けられたリンクアーム2と、車体1とリンクアーム2との間に介装されリンクアーム2を昇降する昇降シリンダ3と、一端がリンクアーム2に支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブーム4とを備えるブームスプレーヤ100において(【0013】)、 昇降シリンダ3は、車体1の前面に取り付けられ(図1)、作動油が封入されたシリンダチューブ3aと、シリンダチューブ3aに摺動自在に挿入されたピストンロッド3bとを備え、シリンダチューブ3aの内部は、ピストンロッド3bによってピストン側室3cとロッド側室3dとに区画され(【0015】)、 ブーム4a,4bの上下振動を低減するため、ブームスプレーヤ100にはブーム制振装置が設けられ、ブーム制振装置は、昇降シリンダ3のピストン側室3cに接続されたアキュムレータ60と、ピストン側室3cとアキュムレータ60との間を行き来する作動油に抵抗を付与する減衰弁61とを備え(【0030】、【0031】)、 ブームスプレーヤ100の走行に伴って車体1が上下振動した場合には、それに伴ってアキュムレータ60のバネ作用によって昇降シリンダ3とアキュムレータ60との間で作動油の行き来が発生し、ピストン側室3cと油室62との間を行き来する作動油に対して減衰弁61によって抵抗が付与され減衰力が発生することにより、昇降シリンダ3の振動がブーム4aへ伝達され難くなると共に、昇降シリンダ3におけるシリンダチューブ3aとピストンロッド3bとの相対変位がすぐに収まり、ブーム4aの上下振動が低減される(【0041】)技術。」 (ウ)甲第2号証(特開2011-55802号公報) 取消理由で引用され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特に段落【0007】及び【0011】を参照。)には次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されている。 甲2技術 「油圧シリンダとアキュムレータとの距離が短くなり、応答性を向上させることにより、衝撃により油圧シリンダに加えられる力を瞬時に効率良く吸収するために、衝撃によって前記油圧シリンダに加えられる力を吸収するアキュムレータを、油圧シリンダに取り付ける技術。」 (エ)甲第4号証(特開平11-32650号公報) 本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第4号証には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されている。 甲4技術 「前輪18・18と後輪14・14を具備した4輪式としているトラクタの後部には、搭載フレームFを装着し、該搭載フレームFの上に、薬液タンクTとホースリールHと噴霧ポンプ等が載置されている(【0007】)技術。」 (オ)甲第5号証に基づく先願:特願2019-55482号(特開2020-150910号) 取消理由で引用され、本件特許の出願日前の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開された甲第5号証に基づく先願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下のa、bを踏まえると、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。 a 【0027】に「・・・矢印Bの方向を「機体後側」(図1及び図2参照)・・・とする。」と、【0029】に「機体フレーム1に、・・・薬剤タンク8・・・が・・・支持される。」と記載されることを考慮すると、図1より、機体フレーム1の機体後側に薬剤タンク8が支持されることが看取されることより、先願明細書等には、機体フレーム1の機体後側に薬剤タンク8が支持されることが記載されていると認められる(認定事項1)。 なお、甲第5号証の【図1】は次のとおりである。 「 [図:0001402760000001.jpg] 」 b アキュムレータ87が配置される位置について、図5より、アキュムレータ87は、昇降シリンダ21の略下方に配置されるとともに、アキュムレータ87よりも前側に、符号30が付されたブーム支持部30が位置していることが看取されるから、 先願明細書等には、アキュムレータ87は、昇降シリンダ21の略下方に配置されるとともに、アキュムレータ87よりも前側に、ブーム支持部30が位置していることが記載されていると認められる(認定事項2)。 なお、甲第5号証の【図5】は次のとおりである。 「 [図:0001402760000002.jpg] 」 先願発明 「機体フレーム1と、左右一対の前輪2、2と、左右一対の後輪3、3と、を有する走行機体Cが備えられ、機体フレーム1の下部における前部と後部との夫々に、車軸ユニット4F、4Bが連結され、前部における車軸ユニット4Fの左右両端部に前輪2、2が回転可能に支持され、後部における車軸ユニット4Bの左右両端部に後輪3、3が回転可能に支持され(【0028】)、 機体フレーム1の機体後側に薬剤タンク8が支持され(図1、認定事項1)、 昇降部20は、機体フレーム1の前端部に支持され、平行リンク機構により構成されているブーム支持部30を昇降可能な状態で支持し、ブーム支持部30の遊端部を昇降駆動する油圧式の昇降シリンダ21を備え(【0042】)、ブーム支持部30は、昇降部20の遊端部に支持され、ブーム部40を支持していて(【0044】)、 油圧式の昇降シリンダ21に作動油を供給する油圧回路80が備えられ、油圧回路80は作動油供給路84を備え(【0064】)、作動油供給路84にアキュムレータ87が設けられていることで、走行機体Cが上下動したとき、アキュムレータ87が膨張・収縮することにより、昇降シリンダ21が伸縮することができ、走行機体Cの振動がブーム支持部30及びブーム部40に伝わることを抑制でき(【0070】)、アキュムレータ87は、昇降シリンダ21に支持されて、ブーム支持部30のベース部材31の近傍に位置し(【0071】)、アキュムレータ87は、昇降シリンダ21の略下方に配置されるとともに、アキュムレータ87よりも前側に、ブーム支持部30が位置し(図5、認定事項2)、 機体フレーム1に、運転部5が支持され(【0029】)、運転部5に、運転座席14と、操縦塔15と、が備えられ(【0033】)、操縦塔15に、操向ハンドル16a、主変速レバー16b、操作スイッチ16c、及び各種の操作具が備えられ、操作スイッチ16cは、人為操作によって薬剤散布部9の昇降部20及びブーム部40の操作を可能なように構成されている(【0034】)、 薬剤散布機であるブームスプレーヤ(【0028】)。」 エ 進歩性について (ア)対比 分説に従い、甲3発明と本件発明2を対比する。 a 特定事項Aについて 甲3発明の 「左右一対の前輪3L、3R」、 「左右一対の後輪4L、4R」、 「有する」こと、 「メインフレームを備えた走行車体」、 「後部」、 「薬液を貯留するための防除タンク9」はそれぞれ、 本件発明2の 「左右の前輪」、 「左右の」「後輪」、 「装着した」こと、 「メインフレーム」、 「後側」、 「薬剤タンク」に相当する。 してみれば、甲3発明は、本件発明2の特定事項Aに相当する構成を備えている。 b 特定事項B、Dについて 甲3発明の 「防除散布装置100」、 「昇降リンク機構200」が備える「ボンネット5の左右両側に回動可能に配置された左右一対の平行リンク210L、210Rと、ボンネット5の前方に配置されると共に左右一対の平行リンク210L、210Rの前端部に溶接固定されたフロント水平支柱220」、 「薬液散布作業車1」はそれぞれ、 本件発明2の 「防除ブーム」、 「ブームフレーム」、 「自走式防除機」に相当する。 そうすると、甲3発明における「走行車体2の前側には、防除散布装置100を昇降する昇降リンク機構200が設けられ」ている「薬液散布作業車1」は、本件特許発明の「前側に防除ブーム(40)を装着するブームフレーム(38)を搭載した自走式防除機」に相当するから、甲3発明は、本件発明2の特定事項B、Dに相当する構成を備えている。 c 特定事項C1について 上記bより、甲3発明の「昇降リンク機構200」が備える「ボンネット5の左右両側に回動可能に配置された・・・フロント水平支柱220」が本件発明2の「ブームフレーム」に相当することを踏まえると、 甲3発明の「フロント水平支柱220を昇降させる油圧式昇降シリンダー230」は、本件発明2の「該ブームフレーム」「を昇降する昇降シリンダ」に相当する。 また、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」も、「昇降リンク機構200」に備えられたものの一部であるから、「走行車体2の前側には、防除散布装置100を昇降する昇降リンク機構200が設けられ」ていることは、本件発明2の「該ブームフレームを昇降する昇降シリンダ」「を」「設けた」ことに相当する。 そうすると、甲3発明と本件発明2の特定事項C1とは、該ブームフレームを昇降する昇降シリンダを設けた点で共通する。 d 特定事項C2について 甲3発明の「操縦席7」は、本件発明2の「運転座席(4)」に相当する。 そうすると、甲3発明と本件発明2の特定事項C2とは、運転座席を設けた点で共通する。 e 一致点及び相違点 以上より、甲3発明と本件発明2とは、 [一致点] 「A 左右の前輪と後輪を装着したメインフレームの後側に薬剤タンクを搭載し、 B 前側に防除ブームを装着するブームフレームを搭載した自走式防除機において、 C1’ 該ブームフレームを昇降する昇降シリンダを設け、 C2’ 運転座席を設けた D 自走式防除機。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] ・相違点1(C1) ブームフレームを昇降する昇降シリンダについて、 本件発明2は、昇降シリンダの「圧力変動を緩和する昇降アキュムレータ」「を機体の最前部に設け」たのに対し、 甲3発明は、走行車体2の前側に防除散布装置100を昇降する油圧式昇降シリンダー230を備えた昇降リンク機構200が設けられているものの、圧力変動を緩和する昇降アキュムレータを備えていない点。 ・相違点2(C2) 昇降アキュムレータを作動するアキュムレータ作動スイッチについて、 本件発明2は、「運転座席の前に立設するステアリングハンドルの近傍に前記昇降アキュムレータを作動するアキュムレータ作動スイッチを設けた」のに対し、 甲3発明は、相違点1として示したとおり、昇降アキュムレータを備えていないため、昇降アキュムレータを作動するアキュムレータ作動スイッチに関わる構成も当然備えるものではない点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点1について検討する。 a 甲3発明に甲1技術を適用する場合 (a)甲1技術は、上記ウ(イ)に記載したとおりである。 甲1技術の 「ブームスプレーヤ100」、 「防除液を散布するブーム4」、 「リンクアーム2」、 「昇降シリンダ3」、 「昇降シリンダ3の振動がブーム4aへ伝達され難くなると共に、昇降シリンダ3におけるシリンダチューブ3aとピストンロッド3bとの相対変位がすぐに収ま」ること、 「アキュムレータ60」、 「車体1の前面」はそれぞれ、 本件発明2の 「自走式防除機」、 「防除ブーム」、 「ブームフレーム」、 「昇降シリンダ」、 「圧力変動を緩和する」こと、 「昇降アキュムレータ」、 「機体の前部」に相当する。 そして、甲1技術において、「昇降シリンダ3は、車体1の前面に取り付けられ」ていて、「ブーム制振装置」の一部をなす「アキュムレータ60」は、当該「昇降シリンダ3のピストン側室3cに接続され」ている。 (b)甲3発明と甲1技術はともに、前側に防除ブームを装着するブームフレームを搭載し、該ブームフレームを昇降する昇降シリンダを機体の前部に設けた自走式防除機であるという点で共通する。 ここで、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」(本件特許2の「昇降シリンダ」に相当。)は、「走行車体2の最前部よりも後ろ側に配置されている」。 (c)そうすると、昇降シリンダ3とアキュムレータ60の間の配管の取り回しやアキュムレータ60の応答性を考慮すると、昇降シリンダ3の近傍にアキュムレータ60を配置することは技術常識であるところ、甲3発明の「走行車体2の前側に」「設けられ」ている「昇降リンク機構200」が備える「油圧式昇降シリンダー230」に、甲1技術を適用することにより、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」の近傍にアキュムレータを配置することまでは想到し得るものの、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」に配置されるアキュムレータは、走行車体2の最前部よりも後ろ側に配置されることになるから、上記相違点1に係る本件発明2の構成には至らない。 また、甲第3号証には、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」に、甲1技術を適用するに際し、「走行車体2」の最前部にアキュムレータを配置する構成とすることを示唆する記載を見出すことができない。 (d)してみれば、甲3発明に、甲1技術を適用しても、上記相違点1に係る本件発明2の構成には至らず、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明及び甲1技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 b 甲3発明に甲2技術を適用する場合 (a)甲第2号証において、シリンダにアキュムレータを取り付ける位置について開示された甲2技術は、上記ウ(ウ)に示したとおりである。 甲2技術は、油圧シリンダに設けるアキュムレータの応答性を向上させるための技術常識を示すものであるところ、甲3発明の「走行車体2の前側に」「設けられ」ている「昇降リンク機構200」が備える「油圧式昇降シリンダー230」に、甲2技術を適用することにより、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」にアキュムレータを取り付けることを考えれば、甲3発明の「油圧式昇降シリンダー230」に取り付けられるアキュムレータも、上記a(c)で検討した甲3発明に甲1技術を適用する場合と同様に走行車体2の最前部よりも後ろ側に配置されることになるから、上記相違点1に係る本件発明2の構成には至らない。 また、甲第2号証には、機体の最前部にアキュムレータを配置する構成とすることを示唆する記載を見出すことができない。 (b)してみれば、甲3発明に、甲2技術を適用しても、上記相違点1に係る本件発明2の構成には至らず、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明及び甲2技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 c まとめ 以上の検討より、甲3発明に、甲2技術又は甲1技術を適用しても、上記相違点1に係る本件発明2の構成には至らず、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。 また、取消理由では採用しなかったが、申立人が申立理由として提出した甲第4号証には、アキュムレータを設けることの記載は無い。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明2は、申立人が申立理由として提出した甲第1号証~甲第4号証に基づいて、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。 また、本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明2と同様に、申立人が申立理由として提出した甲第1号証~甲第4号証に基づいて、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。 オ 拡大先願について a 対比 分説に従い、先願発明と本件発明2を対比する。 (a)特定事項Aについて 先願発明の 「左右一対の前輪2、2」、 「左右一対の後輪3、3」、 「有する」こと、 「機体フレーム1」、 「機体後側」、 「薬剤タンク8が支持され」ることはそれぞれ、 本件発明2の 「左右の前輪」、 「左右の」「後輪」、 「装着した」こと、 「メインフレーム」、 「後側」、 「薬剤タンク」「を搭載」することに相当する。 してみれば、先願発明は、本件発明2の特定事項Aに相当する構成を備えている。 (b)特定事項B、Dについて 先願発明の 「前端部」、 「ブーム部40」、 「支持してい」ること、 「平行リンク機構により構成されているブーム支持部30を昇降可能な状態で支持」する「昇降部20」、 「機体フレーム1の前端部に支持され」ていること、 「薬剤散布機であるブームスプレーヤ」はそれぞれ、 本件発明2の 「前側」、 「防除ブーム」、 「装着する」こと、 「ブームフレーム」、 「搭載した」こと、 「自走式防除機」に相当する。 してみれば、先願発明は、本件発明2の特定事項B、Dに相当する構成を備えている。 (c)特定事項C1について 上記(b)より、先願発明の「平行リンク機構により構成されているブーム支持部30を昇降可能な状態で支持」する「昇降部20」が本件発明2の「ブームフレーム」に相当することを踏まえると、 先願発明の 「昇降駆動する」こと、 「油圧式の昇降シリンダ21」、 「走行機体Cが上下動したとき、アキュムレータ87が膨張・収縮することにより、昇降シリンダ21が伸縮することができ、走行機体Cの振動がブーム支持部30及びブーム部40に伝わることを抑制でき」ること、 「アキュムレータ87」はそれぞれ、 本件発明2の 「昇降する」こと、 「昇降シリンダ」、 「圧力変動を緩和する」こと、 「昇降アキュムレータ」に相当する。 また、先願発明において「アキュムレータ87」が配置される位置が、「機体フレーム1の前端部に支持され」ている「昇降部20」及び「ブーム支持部30のベース部材31の近傍」であって、「アキュムレータ87は、昇降シリンダ21の略下方に配置されるとともに、アキュムレータ87よりも前側に、ブーム支持部30が位置し」ていることと、本件発明2の「昇降アキュムレータ」「を機体の最前部に設けた」こととは、「昇降アキュムレータを機体の前部に設けた」という点で共通する。 そうすると、先願発明と本件発明2の特定事項C1とは、該ブームフレームを昇降する昇降シリンダの圧力変動を緩和する昇降アキュムレータを機体の前部に設けた点で共通する。 (d)特定事項C2について 先願発明の「運転座席14」、「操縦塔15に、操向ハンドル16a」「が備えられ」ることはそれぞれ、本件発明2の「運転座席」、「前に」「ステアリングハンドル」が「立設する」ことに相当する。 さらに、本件発明2の「ステアリングハンドルの近傍に」設けられた「昇降アキュムレータ(11)を作動するアキュムレータ作動スイッチ(12b)」は、「昇降シリンダ(39)の圧力変動を緩和する」「昇降アキュムレータ(11)を作動する」ことを目的に操作される手段であるから、先願発明の「操縦塔15に」「備えられ」た、「人為操作によって薬剤散布部9の昇降部20」「の操作を可能なように構成されている」「操作スイッチ16c」と、ステアリングハンドルの近傍に昇降シリンダの作動に関わる操作手段を設けた点で共通する。 そうすると、先願発明と本件発明2の特定事項C2とは、運転座席の前に立設するステアリングハンドルの近傍に昇降シリンダの作動に関わる操作手段を設けた点で共通する。 (e)一致点及び相違点 以上より、先願発明と本件発明2とは、 [一致点] 「A 左右の前輪と後輪を装着したメインフレームの後側に薬剤タンクを搭載し、 B 前側に防除ブームを装着するブームフレームを搭載した自走式防除機において、 C1’’ 該ブームフレームを昇降する昇降シリンダの圧力変動を緩和する昇降アキュムレータを機体の前部に設け、 C2’’ 運転座席の前に立設するステアリングハンドルの近傍に昇降シリンダの作動に関わる操作手段を設けた D 自走式防除機。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] ・相違点3(C1) 昇降シリンダの圧力変動を緩和する昇降アキュムレータを機体に設ける位置について、 本件発明2は、「昇降アキュムレータ」「を機体の最前部に設け」たのに対し、 先願発明では、アキュムレータ87よりも前側に、機体フレーム1の前端部に支持され、平行リンク機構により構成されているブーム支持部30が位置している点。 ・相違点4(C2) 昇降アキュムレータを作動するアキュムレータ作動スイッチについて、 本件発明2は、「運転座席の前に立設するステアリングハンドルの近傍に前記昇降アキュムレータを作動するアキュムレータ作動スイッチを設けた」のに対し、 先願発明は、操縦塔15に、人為操作によって薬剤散布部9の昇降部20の操作を可能なように構成されている操作スイッチ16cを備えているものの、操作スイッチ16cの機能にアキュムレータ87の操作が含まれているかどうか不明である点。 b 判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 本件発明2は、「昇降アキュムレータ」「を機体の最前部に設け」たという、上記相違点3に係る本件発明2の構成を採用することにより、本件特許の明細書の【0022】に記載された「昇降アキュムレータ11は、機体の前部(本実施例では最前部)に設ける構成としており、さらにブームフレームとともに昇降する構成としている。これにより、昇降アキュムレータ11のメンテナンスが容易となる。また、機体後部には重量の重くなる薬剤タンク30を設けているので、重量の重い昇降アキュムレータ11を機体前部に配置することで、機体バランスが向上する。」という作用効果を奏するものであるから、上記相違点3は、課題解決のための具体化手段における微差、すなわち、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないものに該当せず、実質的な相違点である。 したがって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明2は、先願発明と同一でないから、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由を発見しない。 c まとめ 以上の検討より、本件発明2は、先願発明と同一でないから、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。 また、本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明2と同様に、先願発明と同一でなく、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。 カ サポート要件 (ア)本件特許発明 訂正前の請求項1に係る特許である本件特許発明では、「昇降アキュムレータ(11)」の配置について、「機体の前部に設けた」(特定事項C)こと以上の特定はされておらず、「機体の前部」がどの範囲を指すか必ずしも明りょうでなかった。 (イ)本件発明2 これに対し、本件訂正の訂正事項2により、本件発明2において、「昇降アキュムレータ(11)」の配置について、「機体の最前部に設け」た(特定事項C1)ことが特定されることにより、同訂正事項3により訂正された、明細書の【0011】に記載された「メインフレーム3の後側に搭載する薬剤タンク3 0とメインフレーム3の前側に防除ブーム40を装着するブームフレーム38を搭載して機体の前後バランスを良くしているが、機体の最前部に昇降シリンダ3 9 の圧力変動を緩和するアキュムレータ11を装着しているので、機体の前側から油圧機器やアキュムレータ11の保守点検作業が容易となる。また、薬液タンク30により機体後部の重量が重くなるが、機体最前部にアキュムレータ11を設けているので、機体のバランスが良くなる。さらに、運転座席4に座ってステアリングハンドル5を操作する作業者がそのままの姿勢でアキュムレータ作動スイッチ12bを操作して昇降シリンダ39の圧力変動を緩和してブームフレーム38の振動や衝撃を少なく出来る。」という課題を解決するものと認められる。 (ウ)本件発明3 また、本件発明2を引用する本件発明3が解決しようとする課題は上記(イ)と同様であって、本件訂正の訂正事項2により、本件発明3においても、「昇降アキュムレータ(11)」の配置について、「機体の最前部に設け」た(特定事項C1)ことが特定されることとなったから、本件発明2を引用する本件発明3も本件発明2と同様に、上記(イ)に示した課題を解決するものと認められる。 (エ)まとめ 以上の検討より、本件発明2、3として特定されている事項により、本件発明2、3が解決しようとする課題を解決するものといえ、本件発明2、3は、本件特許の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものではない。 よって、本件発明2、3は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第1号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。 キ 独立特許要件に関するまとめ 以上の検討より、本件訂正請求により訂正された請求項2、3に係る発明である本件発明2、本件発明3は、上記取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては特許を受けることができないものであるとはいえない。また、他に訂正後の請求項2、3に係る発明が特許を受けることができないものであるという理由も発見しない。 よって、訂正後の請求項2、3に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、本件訂正の訂正事項2は、特許法第120条の5第9項の規定により読み替えて準用する同法第126条第7項の規定を満たす。 4 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5~7項の規定に適合するから、本件訂正は適法である。 第3 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 「第2の3(2)」「イ 取消理由通知に記載した取消理由について」「(ア)取消理由の概要」に示したとおりである。 2 当審の判断 上記第2のとおり、本件訂正により、取消理由の対象である請求項1が削除されたため、当該請求項に対する取消理由は対象が存在しなくなった。 第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書における進歩性について、本件特許発明は甲第1号証~甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張する。 この点、取消理由では、甲第3号証を主引用例として、甲第1号証又は甲第2号証を副引用例としており、甲第4号証を採用していない。しかし、甲第4号証は、自走式防除機の技術分野において、薬液タンクがメインフレームの後側に搭載される構成が周知技術であることを示す周知例として甲第3号証とともに示された証拠である。取消理由では、甲3発明を主引用例としたので、申立書において周知技術とした構成が、本件特許発明との一致点であると判断したため、甲第4号証を採用しなかった。 また、上記第2のとおり、本件訂正により、特許異議申立の対象である請求項1が削除されたため、当該請求項に対する特許異議申立理由は対象が存在しなくなった。 第5 むすび 以上のとおりであるから、 本件訂正は適法なものであり、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 また、請求項1に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 さらに、請求項2、3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701035

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