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特許異議申立

2022-701024

生産設備情報共有システム

審判番号
2022-701024
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-185423
登録番号
7075640
請求日
2022年10月17日
審決日
2023年01月05日
公報発行日
2023年02月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】久米機電工業株式会社
  • 【権利者代理人】青山 秀夫
  • 【権利者代理人】高木 将晴
  • 【異議申立人】平賀 博
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 後藤 亮治
  • 審判官 小田 浩
分類
P1651.121-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7075640号発明「生産設備情報共有システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7075640号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第7075640号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和3年11月15日に出願され、同4年5月18日にその特許権の設定登録がされ、同年5月26日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年10月17日に特許異議申立人 平賀博(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 2 本件発明 特許第7075640号の請求項1~9に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 生産設備に係る製造者と使用者とからなる複数企業の一団に適用され、個々の生産設備に係る製造者と使用者との間で、前記生産設備の個々の固有情報を情報共有させる生産設備情報共有システムにおいて、 前記一団に属する専用サーバと、通信手段と、通知手段とを備え、前記専用サーバが、利用者情報管理手段と固有情報共有手段として機能される生産設備情報共有システムであって、 前記生産設備の製造者と使用者のユーザが、特定ユーザとされ、 前記利用者情報管理手段が、アクセス権限管理手段と固有情報処理権限管理手段とを有し、 前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザを、アクセス権限を有する前記特定ユーザとして管理し、 前記固有情報処理権限管理手段が、固有情報処理権限として前記特定ユーザ毎に前記固有情報の編集と閲覧の権限を管理し、 前記固有情報共有手段が、特定ユーザの表示手段を、製造者専用表示手段、使用者専用表示手段又は共有表示手段として機能させ、 前記特定ユーザのうち製造者に属する製造者ユーザには、製造者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、 前記特定ユーザのうち使用者に属する使用者ユーザには、使用者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、 前記アクセス権限と前記固有情報処理権限とが許可された範囲において、前記特定ユーザに前記固有情報の編集、閲覧を許可し、 前記一団をなす製造者又は使用者のうちの少なくとも製造者が複数とされ、 製造者が複数である場合には製造者同士の前記固有情報の共有がされず、使用者が複数である場合には使用者同士の前記固有情報の共有がされず、 前記通知手段が、前記専用サーバにおいて前記固有情報が編集されたことを、前記固有情報へのアクセス権限を有する全ての特定ユーザに、前記通信手段を介して通知させる、 ことを特徴とする生産設備情報共有システム。 【請求項2】 前記固有情報共有手段が、前記固有情報を、製造者専用表示手段と使用者専用表示手段と共有表示手段のいずれに表示させる情報とするかを、特定ユーザの判断に応じて区分けさせることを可能とさせている、 ことを特徴とする請求項1に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項3】 前記固有情報処理権限管理手段が、前記固有情報について、編集と閲覧を可能とする第1権限、閲覧のみ可能とする第2権限、編集と閲覧のいずれも不可とする第3権限のいずれかを前記特定ユーザに付与する、 ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項4】 前記使用者専用表示手段又は前記製造者専用表示手段に表示される専用情報と、共有表示手段に表示される共有情報とが同時に表示されない、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項5】 前記利用者情報管理手段が、製造者別統括管理手段と使用者別統括管理手段を備え、 前記製造者別統括管理手段が、前記生産設備の中から、前記製造者ユーザが登録された生産設備の群を抽出可能とさせ、 前記使用者別統括管理手段が、前記生産設備の中から、前記使用者ユーザが登録された生産設備の群を抽出可能とさせる、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項6】 前記固有情報に、所望の期日を指定した予告が登録可能とされ、 前記通知手段が、前記所望の期日の到来時期に、前記特定ユーザに予告を通知させる、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項7】 前記固有情報に、消耗品の在庫情報が含まれ、 前記通知手段が、予め設定された所望の在庫数よりも少なくなった場合又は在庫切れの状態から入荷がされた場合に、前記在庫情報が編集されたときに、前記特定ユーザに通知させる、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項8】 前記共有表示手段に表示させる固有情報に、消耗品の注文情報と注文履歴情報とが含まれ、 前記注文情報が、前記使用者ユーザの表示手段には、消耗品の発注管理に適した発注情報として表示され、前記製造者ユーザの表示手段には、消耗品の発送管理に適した発送情報として表示され、前記固有情報共有手段が、前記注文情報が編集される毎に、製造者と使用者の特定ユーザに情報共有させると共に、その注文情報を前記注文履歴情報に追加編集させる、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。 【請求項9】 前記使用者に前記生産設備を仲介した販売代理店が、前記製造者に含まれて適用される、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の生産設備情報共有システム。」 3 申立理由の概要 (1)申立人が下記の甲第1号証から甲第7号証(以下「甲1」等という。)は、次のとおりである。 甲1:特開2020-60979号公報 甲2:特開2021-12542号公報 甲3:特開2002-49712号公報 甲4:特開2005-250602号公報 甲5:特開2002-133134号公報 甲6:特開2003-67451号公報 甲7:特開2004-13410号公報 (2)申立人は、甲1を主たる証拠とし甲2~7を従たる証拠として請求項1~9に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものである旨(同「申立理由1」)、請求項1~9に係る特許が特許法36条6項2号違反の出願についてなされたものである旨(同「申立理由2」)、請求項4~9に係る特許が特許法36条6項1号違反の出願についてなされたものである旨(同「申立理由3」)を主張し、これらの特許を取り消すべきものであると主張している。 4 主な甲号証の記載 (1)甲1 ア 甲1には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、コンプレッサの保守・管理システムに関し、特に、コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ間でコンプレッサの運転状態や修理等の履歴に関する情報を共有し、その情報をコンプレッサの保守・管理に活用するシステムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、産業機器として各種製造工場等のユーザにより使用されるコンプレッサは、ユーザ側に納入された後、当該ユーザにより日々長時間、また長年月に亘って使用されることが多い。また、一般論として、当該コンプレッサのメーカーからユーザである各種製造工場等に納入・据付け後、まずメーカー又はサービス工場により試運転が行われた後、ダストフィルタの清掃・ドレン抜き等の日常点検・整備はユーザが実施するも、各部品の分解整備や消耗品の交換も必要となる年次ごとの定期整備は上記サービス工場又はメーカーが実施する。更に、仮に、納入されたコンプレッサに不具合が発生した場合には、メーカー又はサービス工場が、その原因の調査や修復を担当する。このようなコンプレッサの出荷から廃棄されるまでの保守・管理において、上述した点検・整備や調査・修復をメーカー、サービス工場又はユーザのいずれかが中心となって実施すると共に、その実施に関する情報は当事者間で共有されるべきものが多いが、その情報の記録や共有は、紙ベースの報告書等によりなされているのが実情であり、IT(情報技術)やインターネットを利用した保守・管理システムの構築が望まれている。例えば、技術分野が相異するが、工事現場での釘打ち作業に使用されるエアコンプレッサに関して、各機器の管理やセキュリティに関する情報を共有するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。 ・・・ 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上述した産業機器としてユーザである各種製造工場等に設置して使用されるコンプレッサでは、記録・報告等のやり取りが紙ベースで行われているため、記録・報告書等を紛失すると、過去の履歴が追えない、仮に、記録・報告書等を電子化して共有するにしても、各当事者が他の業務も抱えているため、共有に至るまでに時間を要する(タイムラグが発生する)、電子化した記録・報告書等の管理に手間がかかる、という問題がある。また、点検・整備等を行う作業者が複数人存在することが多いため、1台のコンプレッサの全ての点検・整備等の記録を追うのが困難である。特に、ユーザにより実施される上述した日常点検の情報をメーカー側が把握する手段に乏しい。更に、不具合発生時の原因調査に関する力量がサービス工場のサービスマン個人の能力・経験に大きく依存する(ベテランならば直ぐに解決できる問題も経験の少ない者であると、時間を要する)という問題もある。更にまた、同じユーザには同様の仕様の機種が複数台設置されることも多いので、不具合やその対策・修理の情報は、コンプレッサの個体ごとに管理する必要があるが、定期的な点検・整備や運転履歴に関する情報は、複数台のコンプレッサ群ごとに管理すれば足りる事項もある。 【0005】 以上のような状況下、特に、産業機器としてユーザである各種製造工場等に単数又は複数台設置して使用されるコンプレッサに関し、それらに特有の問題の解決に有効な保守・管理システムの開発が切望されている。 【0006】 本発明は以上のような事情から為されたものであり、その目的は、例えば、QRコード(登録商標)やモバイル端末等、比較的簡単な情報・通信技術を活用しつつ、産業機器としてのコンプレッサに特有の問題を有効に解決することが可能なコンプレッサの保守・管理システムを提供することにある。」 「【0008】 即ち、上記目的を達成するため、本発明のコンプレッサの保守・管理システムは、ユーザが運転し使用する各コンプレッサに関する機器情報の少なくとも一部を当該コンプレッサのメーカー及び前記ユーザの両者が共通して利用可能なコンプレッサの保守・管理システムにおいて、前記メーカーが管理するサーバと、該サーバにアクセス可能な情報端末とを含み、前記サーバに設けられた各コンプレッサごとの専用ページに前記各コンプレッサに関する機器情報を記録し、該記録された機器情報を前記サーバの各専用ページにアクセスすることで閲覧可能に構成されていることを特徴とする。 更に、前記メーカーの指定するサービス工場も前記各専用ページに前記機器情報を記録し、該記録された機器情報を閲覧可能であるようにしても良い。 また、前記各専用ページには、前記情報端末に表示させた前記メーカーのホームページからログインすることでアクセス可能であるようにしても良い。 尚、前記各コンプレッサに設けられた銘板にそれぞれQRコード(登録商標)を含み、該QRコード(登録商標)により前記情報端末を介して前記専用ページにアクセス可能であるようにしても良い。 また、前記ユーザが指定する複数のコンプレッサ群を備え、該複数のコンプレッサ群に関しては、一度、ログインすれば、そのまま全てのコンプレッサの専用ページにアクセス可能であるようにしても良い。 ここで、前記各専用ページには、当該コンプレッサの機器情報として、製造履歴、運転状態履歴、メンテナンス履歴のうちいずれか又は全てが記録され、閲覧可能であるようにしても良い。」 「【0011】 以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る保守・管理システムにおいて用いるコンプレッサの機種銘板の概略構成を示す図である。この機種銘板は、例えば、コンプレッサの筐体の所定の箇所に設けられる。図1に示すように、この機種銘板は、従来と同様に、機種名・機種番号等を表す文字等を図示しない刻印機で刻印することで当該機体の製作日等の情報が分かるようにしている。そして、本実施形態の機種銘板10では、図1に示すように、例えば、その右下部分に、QRコード(登録商標)12が刻印されており、このQRコード(登録商標)12には、本実施形態の保守・管理システムへのログインIDが記録されている。本実施形態に係る保守・管理システムでは、この機種銘板10のQRコード(登録商標)12を、後述するスマートフォンのカメラ等で読み取り、或いは、メーカーのホームページから専用ページのログイン画面にアクセスする。この場合、QRコード(登録商標)12内に記憶されたログインIDとユーザが設定するパスワードでログインする。尚、サービス工場とメーカーは、別のアカウントでログインするのが望ましい。 【0012】 図2は、本実施形態に係る保守・管理システムにおいて用いる専用ページの構成の一例を示す図である。即ち、本実施形態に係るコンプレッサの保守・管理システムでは、上述した専用ページで、当該コンプレッサの個体(その号機)の履歴を閲覧し、新たに記録できることが特徴である。図2(A)に示す例は、製造記録のページ20であり、基本領域21と、2つの拡張領域22、23の3層構造から成る。即ち、オプション仕様・配線図・製造年月・納入日・部品の製造番号・ドライヤの冷媒種類やその量等、メーカー、サービス工場及びユーザの3者が閲覧できる基本領域21と、ユーザ名・プログラム番号・パーツカタログ等、メーカーとサービス工場だけが閲覧できる第1拡張領域22、ダイナモデータ・運転検査結果・出荷検査結果等、メーカーだけが閲覧できる第2拡張領域23の3層構造から成る。また、図2(B)に示す例は、メンテナンス記録のページ25であり、このページでは、例えば、定期メンテナンス記録・改造記録等、メーカーとサービス工場のみが記録できる(ユーザは閲覧のみ可能)領域26と、日常点検記録・第二種圧力容器定期自主検査記録(法定事項)・ドライヤの簡易点検記録(法定事項)等、ユーザが記録できる領域28の2つの領域から成る。尚、記録は、1日1件、過去1週間分しか編集できない等の制限をつけても良い。 本実施形態に係る保守・管理システムでは、このような構成の専用ページを設けることで、メンテナンス記録の電子化を手軽に行うことができ、トレーサビリティ(記録データへの追従性)が向上する。また、メンテナンス履歴を共通に管理できるので、ユーザとメーカー等が一体の運用体制を構築することができるというメリットがある。 【0013】 図3は、本実施形態に係る保守・管理システムの対象となるコンプレッサ本体が記録している運転状態の一例を表す図である。即ち、図3に示す例は、コンプレッサ本体が記録している運転状態を示し、例えば、コンプレッサ本体の内部メモリに24時間分を記録し、USBメモリ等に書き出し可能に構成されているようにしても良い。本実施形態に係る保守・管理システムでは、このようにIoT対応したコンプレッサの運転状態や異常履歴等の情報を専用ページに取り込めるようにすることで、ユーザを始め、サービス工場のサービスマン及びメーカーも、そのデータを活用することができる。また、異常発生時には、記録された過去の運転履歴や類似事例から異常の原因を予測し、メーカー側からサービス工場のサービスマンに対して、より詳細で確度の高い調査・確認作業を行うようにアドバイスすることが可能になる。以上の結果として、メーカー側からのサービスマンに対するバックアップ体制を強化することで、サービスマン個人の技能による部分を補強することで、ユーザに対するサービス力の底上げが可能になるというメリットがある。 【0014】 図4は、本発明の実施形態に係るコンプレッサの保守・管理システムの通信系統図である。図4に示す本実施形態のコンプレッサの保守・管理システムは、ユーザ(この例では、ユーザ工場)400が当該工場で運転し使用する各コンプレッサ(コンプレッサ1号機410、コンプレッサ2号機420、・・・)に関する機器情報の少なくとも一部を当該コンプレッサのメーカー430及びユーザ400の両者が共通して利用可能なコンプレッサの保守・管理システムである。この保守・管理システムは、メーカー430が管理するサーバ432と、該サーバ432にアクセス可能な情報端末450(本実施形態においては、携帯情報端末としてのスマートフォン・タブレット451、452、453を例示するが、デスクトップパソコン等の携帯性の無い情報端末を含む)とを含み、サーバ432に設けられた各コンプレッサの専用ページ4321、4322、・・・に各コンプレッサ(コンプレッサ1号機410、コンプレッサ2号機420、・・・)に関する機器情報を記録し、該記録された機器情報をサーバ432の各専用ページ4321、4322、・・・にアクセスすることでメーカー430及びユーザ400が閲覧可能に構成されている。更に、本実施形態においては、メーカー430の指定するサービス工場440も各専用ページ4321、4322、・・・にアクセスすることで前記機器情報を記録し、該記録された機器情報を閲覧可能である。尚、各専用ページ4321、4322、・・・には、情報端末450(本実施形態においては、携帯情報端末としてのスマートフォン・タブレット451、452、453を例示するが、デスクトップパソコン等の携帯性の無い情報端末を含む)にメーカー430のホームページを表示させ、そのホームページからログインすることでアクセス可能なようになっている。また、ユーザ(この例では、ユーザ工場)400が当該工場で運転し使用するコンプレッサ1号機410の専用ページ4321は、コンプレッサ2号機420の専用ページ4322と、いわば紐づけされているようになっている。即ち、ユーザ400のみならず、メーカー430及びサービス工場440も、一度、ログインすれば、ユーザ(この例では、ユーザ工場)400が当該工場で運転し使用する全てのコンプレッサの専用ページにアクセスすることができる。例えば、一般的なコンプレッサのユーザは、メーカーから複数台のコンプレッサを購入し、その事業所、工場、建屋内に当該複数台のコンプレッサを設置し、運転使用する場合が多い。このような場合、都度ログインし、それぞれのコンプレッサごとの専用ページにアクセスしないと閲覧等できないのは不便である。そこで、本実施形態のコンプレッサの保守・管理システムでは、ユーザ400の選択により、複数台のコンプレッサ群の各専用ページを、いわば紐づけする、即ち、一度ログインすれば、同一群の他のコンプレッサの専用ページにもそのままアクセスして閲覧等できるようにした。尚、このように紐づけできるのは、同一仕様のコンプレッサでなくても良く、ユーザの指定する任意の複数台のコンプレッサを紐づけできるものとする。 【0015】 図5は、本発明の実施形態に係るコンプレッサの保守・管理システムの機能ブロック図である。図4に示した専用ページ4321、4322、・・・(図5には、代表として4322のみ示す)は、まず、その基本的な機能として、サービス工場への連絡手段の提供51としての記載事項と、消耗部品の手配52としての記載事項がある。また、当該コンプレッサ(コンプレッサ1号機410、コンプレッサ2号機420、・・・)に関する機器情報の典型例としてのそのコンプレッサの履歴情報は、主に、製造履歴53、運転状態履歴54、及びメンテナンス履歴55の3つから成る。 製造履歴53には、例えば、オプション仕様53a、製造年月53b、納入日53c、モータ製造番号53d、ドライヤ製造番号53e、ドライヤ冷媒量・種類53fが含まれる。運転状態履歴54には、例えば、運転時間54a、温度54b、圧力54c、消費電力54d、圧縮機駆動用モータ回転数54e、異常・警報履歴54fが含まれる。メンテナンス履歴55には、例えば、試運転記録55a日常メンテナンス記録55b定期整備記録55c、フロンガス点検記録55d、不具合履歴55e、圧力容器点検記録55f、コンプレッサ改造記録55g、メンテナンス時期の予告55h、メンテナンス記録がない場合のメンテナンス実施の確認55iが含まれる。 ユーザ400、メーカー430のサービスマン430S、サービス工場440のサービスマン440Sは、それぞれのスマートフォン・タブレット500、530、540を介して、当該コンプレッサの専用ページ4322にアクセスすることで、上述した各種の履歴を確認し、或いは情報を送受信することができる。 尚、当該コンプレッサがIot化されたものである場合(例えば、図4にも示したコンプレッサ2号機420)には、制御装置420a、圧縮機駆動用モータ420b、センサ類420cに加え通信装置420dを有しているので、この通信装置420dを介して、当該コンプレッサ420の専用ページ4322に上述した各種の情報をサーバ432に送信し、サーバ432はこれらを受信して専用ページ4322に書き込むことができる。 【0016】 ・・・ 以上のように、本実施形態に係るコンプレッサの保守・管理システムのフローでは、従来想定されていなかった処理、換言すれば、新たに行われるアクションとして、「ユーザ」は日常メンテナンス記録を当該コンプレッサの専用ページに送信すること(S608)、また、「サービスマン」は、専用ページの記録から過去の運転状態・整備記録を確認すること(S615)が行われる。・・・尚、以上において「サービスマン」には、指定サービス工場のサービスマンとメーカーのサービスマンの両者を含む。 【0017】 以上に述べた実施形態では、「コンプレッサ」の日常メンテナンス時期や定期整備時期が来たか否かを判定する主体は、「ユーザ」や「サービスマン」としたが、本発明の保守・管理システムが、日常メンテナンス時期や定期整備時期が来たか否かを判定し、「ユーザ」や「サービスマン」に通知するようにしても良い。」 「図2 [図:0001394032000001.jpg] 」 「図4 [図:0001394032000002.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 (ア)段落【0001】によると、甲1には、「コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ間でコンプレッサの運転状態や修理等の履歴に関する情報を共有し、その情報をコンプレッサの保守・管理に活用するシステム」が記載されている。 (イ)段落【0014】によると、甲1の「システム」は、「メーカーが管理するサーバと、該サーバにアクセス可能な情報端末とを含む」こと、 「サーバに設けられた各コンプレッサの専用ページに各コンプレッサに関する機器情報を記録し、該記録された機器情報をサーバの各専用ページにアクセスすることでメーカー及びユーザが閲覧可能に構成されている」こと、及び、 「各専用ページには、情報端末にメーカーのホームページを表示させ、そのホームページからログインすることでアクセス可能なようになっている」ことが読み取れる。 また、同段落には「更に、本実施形態においては、メーカー430の指定するサービス工場440も各専用ページ4321、4322、・・・にアクセスすることで前記機器情報を記録し、該記録された機器情報を閲覧可能である。」と記載されていることから、「専用ページへの機器情報の記録は、メーカーとサービス工場が行い、記録された機器情報は、サービス工場も閲覧可能である」ことが読み取れる。 (ウ)段落【0011】によると、甲1の「システム」において、「各専用ページへのログインは、ユーザは、コンプレッサの機種銘板に刻印されたQRコード(登録商標)内に記憶されたログインIDとユーザが設定するパスワードでログインし、サービス工場とメーカーは、別のアカウントでログインする」ことが読み取れる。 (エ)段落【0012】によると、甲1の「システム」において、「専用ページの一例として、製造記録のページと、メンテナンス記録のページとがあり、製造記録のページは、メーカー、サービス工場及びユーザの3者が閲覧できる基本領域と、メーカーとサービス工場だけが閲覧できる第1拡張領域と、メーカーだけが閲覧できる第2拡張領域から成り、メンテナンス記録のページは、メーカーとサービス工場のみが記録でき、ユーザは閲覧のみ可能な領域と、ユーザが記録できる領域とから成る」ことが読み取れる。 (オ)段落【0016】、【0017】によると、甲1の「システム」は、「日常メンテナンス時期や定期整備時期が来たか否かを判定し、ユーザやメーカーとサービス工場のサービスマンに通知する」ことが読み取れる。 (カ)以上、(ア)~(オ)によると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) 「コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ間でコンプレッサの運転状態や修理等の履歴に関する情報を共有し、その情報をコンプレッサの保守・管理に活用するシステムであって、 メーカーが管理するサーバと、該サーバにアクセス可能な情報端末とを含み、 該サーバに設けられた各コンプレッサの専用ページに各コンプレッサに関する機器情報を記録し、該記録された機器情報をサーバの各専用ページにアクセスすることでメーカー、サービス工場及びユーザが閲覧可能に構成されており、専用ページへの機器情報の記録は、メーカーとサービス工場が行い、記録された機器情報は、サービス工場も閲覧可能であり、 各専用ページには、情報端末にメーカーのホームページを表示させ、そのホームページからログインすることでアクセス可能なようになっており、 各専用ページへのログインは、ユーザは、コンプレッサの機種銘板に刻印されたQRコード(登録商標)内に記憶されたログインIDとユーザが設定するパスワードでログインし、サービス工場とメーカーは、別のアカウントでログインし、 専用ページの一例として、製造記録のページと、メンテナンス記録のページとがあり、 製造記録のページは、メーカー、サービス工場及びユーザの3者が閲覧できる基本領域と、メーカーとサービス工場だけが閲覧できる第1拡張領域と、メーカーだけが閲覧できる第2拡張領域から成り、 メンテナンス記録のページは、メーカーとサービス工場のみが記録でき、ユーザは閲覧のみ可能な領域と、ユーザが記録できる領域とから成り、 日常メンテナンス時期や定期整備時期が来たか否かを判定し、ユーザやメーカーとサービス工場のサービスマンに通知する システム。」 (2)甲2 ア 甲2には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、加工プログラムを実行する工作機械を管理するための技術に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 特許文献1の技術では、工作機械が自動で測定できない、工作機械の状態を確認するための情報は容易にクラウドサーバに収集できない。 また、別の視点では、特許文献1の技術では、工作機械の経時変化に伴う加工精度の低下を解消することが困難であった。 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的の一つは、工作機械が自動で測定できない、工作機械の状態を確認するための情報は容易にクラウドサーバに収集することを促進することにある。また、本発明の目的の別な一つは、工作機械の経時変化に伴う加工精度の低下の解消を支援することにある。本発明の他の目的は以後明らかになるであろう。」 「【0011】 <システム構成> 図1は、一実施形態に係る機械加工管理システムの全体構成図である。 【0012】 機械加工管理システム1は、管理計算機の一例としてのクラウドサーバ10と、複数の工作機械20と、1以上の加工者計算機28と、1以上の測定モジュール29と、1以上の設計者計算機31と、1以上の工作機械メーカ計算機41と、1以上の工具メーカ計算機51と、を備える。クラウドサーバ10と、工作機械20、加工者計算機28、測定モジュール29、設計者計算機31、工作機械メーカ計算機41、及び工具メーカ計算機51とは、ネットワークを介して接続されている。ネットワークは、有線ネットワークでも無線ネットワークでもよい。 【0013】 本実施形態では、工作機械20と、加工者計算機28と、測定モジュール29とは、加工対象材料(ワークともいう)を加工する加工製品製造者2(単に加工者ともいう)に管理されて使用される装置であり、加工者2の工場等に配置されている。加工者2は、1以上であってよい。また、設計者計算機31は、加工製品の設計を行う加工製品設計者3(単に設計者ともいう)に管理されて使用される計算機である。設計者3は1以上であってよい。また、工作機械メーカ計算機41は、加工者2に配置されている工作機械20を製造した工作機械メーカ4で使用される計算機である。工作機械メーカ4は1以上であってよい。また工具メーカ計算機51は、加工者2に配置されている工作機械20に装着される工具(例えば切削工具)を製造した工具メーカ5で使用される計算機である。工具メーカ5は、1以上であってよい。なお、加工者2と、設計者3とが、同一の主体であってもよく、工作機械メーカ4と工具メーカ5とが同一の主体であってもよい。なお、設計者3は、加工設計の形状や仕様を設計する者でもよく、加工工程を設計する者でもよい。 【0014】 クラウドサーバ10は、工作機械20、加工者計算機28、測定モジュール29、設計者計算機31、工作機械メーカ計算機41、及び切削工具メーカ計算機51を統合して管理する処理を実行する。クラウドサーバ10は、例えば、プロセッサ、記憶資源等を備えるPC(Personal Computer)や、汎用計算機によって構成される。クラウドサーバ10は、伝送モジュール11と、保管モジュール12と、演算モジュール13とを含む。なお、クラウドサーバ10は、工作機械メーカ、工具メーカ、加工者、設計者いずれかが有してもよいが、これら以外の第三者が有してもよい。クラウドサーバ10を工作機械メーカが有する場合、当該メーカの既存のクラウドサーバとの連携が容易となる。クラウドサーバ10を第三者が有する場合、特定のメーカに独立なサービスとなるため、加工者が複数のメーカの工作機械を有する場合にも本実施例のメリットを提供できる。クラウドサーバ10を第三者が有する場合、特定のメーカに独立なサービスとなるため、工具メーカや工作機械メーカにとっては特定のメーカに工作機械の構成物の測定値を見られてしまうリスクを軽減することができる。 【0015】 伝送モジュール11は、ネットワークを介して接続された各種装置との間で通信を行う通信I/F等である。」 「【0028】 クラウドサーバ10から工具メーカ計算機51に送信される情報としては、例えば、自身の工具が使用されている工作機械20の主軸の剛性値や、加工NCプログラム、ワークの材質や形状、工具の型番と切削時間等の情報を含んでもよい。なお、本実施形態においては、各種情報については、各種情報を管理する権限を有している主体による許可がある場合のみに、工具メーカ計算機51に送信するようにしている。例えば、工作機械20の剛性値は、この工作機械20の工作機械メーカ4が工具メーカ5に対して剛性値の送信を許可している場合にのみ、工具メーカ計算機51に送信され、許可していない場合には、送信が拒否される。これにより、各種情報が許可なく工具メーカ5や競合のメーカ4や5に渡ることを適切に防止することができる。なお、当該許可は、工作機械メーカ以外にも、工具メーカ5や、加工者2が与えてもよい。 ・・・ 【0030】 <<データ等>> 保管モジュール12は、加工者アカウントテーブルと、工作機械管理テーブルと、工具管理テーブルと、ワーク情報テーブルと、工作機械メーカ管理テーブルと、工具メーカ管理テーブルと、加工NCプログラム管理テーブルと、情報提供ルールテーブルと、生成プログラムと、管理プログラムとを格納する。なお、保管モジュール12は、これ以外の情報を格納してもよい。次の段落から各テーブルやプログラムの詳細について説明する。なお、各情報、又は各情報の一部の項目は省略してもよい。 【0031】 加工者アカウントテーブルは、各加工者を管理するためのテーブルであり、以下に示す各情報を含む。 *加工者を識別するID(加工者ID)。 *加工者のパスワード。このパスワードは、クラウドサーバ10で加工者を認証するために使用される。 *加工者名。 *加工者の連絡先情報。連絡先情報は、加工者の電話番号や、電子メールアドレスを含んでもよい。 *加工者の住所。 ・・・ 【0035】 工作機械メーカ管理テーブルは、各工作機械メーカ4を管理するためのテーブルであり、以下に示す情報を含む。 *工作機械メーカのID(工作機械メーカID)。 *工作機械メーカのパスワード。このパスワードは、クラウドサーバ10が工作機械メーカを認証するために使用される。 *工作機械の測定値に関する閾値情報。ここで、閾値情報としては、工作機械メーカ4の工作機械20で同じ場合には、1つの閾値情報でよく、例えば、工作機械20ごとに閾値情報が異なる場合には、工作機械20の型番に対応させた閾値情報とすればよい。 ・・・ 【0038】 情報提供ルールテーブルは、情報の提供についての許可を管理するテーブルであり、以下に示す情報を含む。本実施形態では、情報提供ルールテーブルに登録されている内容の情報提供が許可されていることを示している。 *情報管理者のID。情報管理者は、加工者、工作機械メーカ、設計者のいずれか1以上である。情報の種別によって情報管理者は異なっている。 *情報提供先のID。 *情報提供可能な情報の種別。例えば、工作機械20の主軸の剛性値等。」 「【0058】 <<管理プログラム>> 管理プログラム(厳密には、管理プログラムを実行するプロセッサ)は、工作機械20の測定データや剛性値については、この工作機械20を管理する加工者の加工者計算機28には送信するが、他の加工者の加工者計算機28に対しては送信しないように制御する、すなわち、送信を拒否するように制御する。これにより、他の加工者に、工作機械20の測定データや剛性値の情報が渡ってしまうことを適切に防止できる。なお、本実施形態では、管理プログラムは、情報提供ルールテーブルに登録されている情報の提供に該当する場合には、例外的に情報を送信する。 【0059】 また、管理プログラムは、工作機械20の測定データや剛性値については、この工作機械20を製造した工作機械メーカの工作機械メーカ計算機41には送信するが、他の工作機械メーカの工作機械メーカ計算機41には送信しないように、すなわち、送信を拒否するように制御する。これにより、工作機械20の測定データや剛性値の情報が、他の工作機械メーカに渡ってしまうことを適切に防止できる。なお、本実施形態では、管理プログラムは、情報提供ルールテーブルに登録されている情報の提供に該当する場合には、例外的に情報を送信する。 【0060】 また、管理プログラムは、工作機械メーカ計算機41から工作機械20の剛性値を評価するための閾値情報を取得する。この閾値情報は、例えば、剛性値・閲覧管理画面80(図8参照)に対する入力に基づいて取得することができる。また、管理プログラムは、取得した閾値情報を、工作機械メーカ管理テーブルに格納する。また、管理プログラムは、工作機械20の主軸の最新の剛性値が、工作機械メーカ管理テーブルの閾値情報を下回るか否かを判定し、工作機械20の主軸の最新の剛性値が、工作機械メーカ管理テーブルの閾値情報を下回ると判定した場合に、この工作機械20を製造した工作機械メーカの工作機械メーカ計算機41に対して、工作機械20の剛性が閾値情報を下回ったこと及び工作機械20を管理している加工者の連絡先の情報を送信する。ここで、連絡先情報の送信においては、連絡先情報をそのまま送信してもよく、連絡先情報を表示させるための表示用情報(例えば、表示用画像)として送信してもよい。これにより、工作機械20の主軸の最新の剛性値が閾値情報を下回ったことを、その工作機械20を製造した工作機械メーカ4に対して適切に通知することができ、工作機械メーカ4は、これに対処することができる。」 「【0076】 工作機械メーカ計算機41は、部品交換の通知を行う指示を行う必要がある場合(例えば、管理者が部品交換判定処理を行った場合には、その管理者からの部品交換通知の指示があった場合)には、部品交換通知をクラウドサーバ10に送信する(図4(6))。」 「図1 [図:0001394032000003.jpg] 」 「図8 [図:0001394032000004.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 (ア)段落【0012】によると、甲2には、「クラウドサーバと、複数の工作機械と、1以上の加工者計算機と、1以上の測定モジュールと、1以上の設計者計算機と、1以上の工作機械メーカ計算機と、1以上の工具メーカ計算機と、を備える機械加工管理システム」が記載されている。 また、甲2の「機械加工管理システム」において、「クラウドサーバと、工作機械等とは、ネットワークを介して接続されている」ことが読み取れる。 (イ)段落【0013】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「1以上の加工者と、1以上の工作機械メーカがいる」ことが読み取れる。 (ウ)段落【0014】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「クラウドサーバは、伝送モジュールと、保管モジュールと、演算モジュールとを含み、加工者、工作機械メーカ以外の第三者が有する」ことが読み取れる。 (エ)段落【0030】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「保管モジュールは、加工者アカウントテーブルと、工作機械メーカ管理テーブルと、情報提供ルールテーブルと、管理プログラムを格納する」ことが読み取れる。 (オ)段落【0031】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「加工者アカウントテーブルは、加工者を識別するID(加工者ID)と、クラウドサーバで加工者を認証するために使用される加工者のパスワードを含む」ことが読み取れる。 (カ)段落【0035】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「工作機械メーカ管理テーブルは、工作機械メーカを識別するID(工作機械メーカID)と、クラウドサーバで工作機械メーカを認証するために使用される工作機械メーカのパスワードを含む」ことが読み取れる。 (キ)段落【0038】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「情報提供ルールテーブルは、情報の提供についての許可を管理するテーブルであり、情報管理者のIDと、情報提供先のID、情報の種別を含む」ことが読み取れる。 (ク)段落【0058】、【0059】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「管理プログラムは、工作機械の測定データや剛性値を、工作機械を管理する加工者、工作機械を製造した工作機械メーカ、及び、情報提供ルールテーブルに登録されている情報の提供先には送信するが、他の加工者や、他の工作機械メーカへの送信は拒否する」ことが読み取れる。 (ケ)段落【0060】によると、甲2の「機械加工管理システム」において、「管理プログラムは、工作機械の主軸の最新の剛性値が、工作機械メーカ管理テーブルの閾値情報を下回ると判定した場合に、この工作機械を製造した工作機械メーカの工作機械メーカ計算機に対して、工作機械の剛性が閾値情報を下回ったこと及び工作機械を管理している加工者の連絡先の情報を送信する」ことが読み取れる。 (コ)以上、(ア)~(ケ)によると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 (甲2発明) 「クラウドサーバと、複数の工作機械と、1以上の加工者計算機と、1以上の測定モジュールと、1以上の設計者計算機と、1以上の工作機械メーカ計算機と、1以上の工具メーカ計算機と、を備える機械加工管理システムであって、 クラウドサーバと、工作機械等とは、ネットワークを介して接続されており、 1以上の加工者と、1以上の工作機械メーカがおり、 クラウドサーバは、伝送モジュールと、保管モジュールと、演算モジュールとを含み、加工者、工作機械メーカ以外の第三者が有し、 保管モジュールは、加工者アカウントテーブルと、工作機械メーカ管理テーブルと、情報提供ルールテーブルと、管理プログラムを格納し、 加工者アカウントテーブルは、加工者を識別するID(加工者ID)と、クラウドサーバで加工者を認証するために使用される加工者のパスワードを含み、 工作機械メーカ管理テーブルは、工作機械メーカを識別するID(工作機械メーカID)と、クラウドサーバで工作機械メーカを認証するために使用される工作機械メーカのパスワードを含み、 情報提供ルールテーブルは、情報の提供についての許可を管理するテーブルであり、情報管理者のIDと、情報提供先のID、情報の種別を含み、 管理プログラムは、工作機械の測定データや剛性値を、工作機械を管理する加工者、工作機械を製造した工作機械メーカ、及び、情報提供ルールテーブルに登録されている情報の提供先には送信するが、他の加工者や、他の工作機械メーカへの送信は拒否し、 管理プログラムは、工作機械の主軸の最新の剛性値が、工作機械メーカ管理テーブルの閾値情報を下回ると判定した場合に、この工作機械を製造した工作機械メーカの工作機械メーカ計算機に対して、工作機械の剛性が閾値情報を下回ったこと及び工作機械を管理している加工者の連絡先の情報を送信する 機械加工管理システム。」 (3)甲3 甲3には、次の記載がある。 「【0029】保守項目抽出機能135は基準技術データベース137を基に販売時期や保守サービス実施状況を踏まえ、必要な時期に必要な保守サービス内容を抽出する。抽出された予告時期に至って初めて保守予告サービス配信機能134が、自動的に抽出した保守サービス内容をインターネット4、購入者システム2を介して購入者へ通知を行う。また、保守予告サービス配信機能134はこれらの通知をHTMLに組み立て顧客別メンテナンス情報データベース136へ格納し購入者システム2を介してユーザ毎に参照可能とする。通知は、あらかじめ購買履歴データベース138に登録された保守担当部門または保守要員が使用する保守要員端末22宛てに電子メールで通知が出される。」 (4)甲4 甲4には、次の記載がある。 「【0040】 さらに、データベース管理システムDBMSは耐用期限該当構成単位情報特定手段4によって、図8に示すように、所定の期日ごとに構成単位データベースDB1にアクセスして、その日から1ヶ後に耐用期限が登録されている構成単位情報のファイルを特定する(ステップ21)。・・・そして、データベース管理システムDBMSは耐用期限通知手段6により、当該構成単位CUに関係するメーカ端末MKC、ディーラ端末DLC、顧客端末CLC向けに、その構成単位CUの耐用期限が1ヶ月後に到来する旨の情報を生成し(ステップ27)、その生成された情報を対応するメーカ端末MKC、ディーラ端末DLC、顧客端末CLCに対して送信する(ステップ28)。この送信の態様には、例えば電子メールを採用することができる。」 (5)甲5 甲5には、次の記載がある。 「【0029】次に、設備管理者の既設プラントの在庫量を、プラント納入業者が管理する手順を図4、図5、図10を用いて説明する。設備管理者から必要な消耗品・交換部品の発注処理があったときは、発注時や納入時などの適当な時期に、当該設備管理者の消耗品・交換部品在庫更新407処理を実施し、消耗品・交換部品在庫データベース134の当該データを更新する(発注時又は納入時に情報提供サーバが更新情報を得てデータ更新の指示を在庫データベースサーバ124に与えて更新する)。図10は消耗品・交換部品在庫データベースのデータ構成の一例である。 【0030】一方、設備管理者が在庫を消費したときは図5に示す処理を実施する。すなわち、設備管理者は図2の認証手順に続いて、設備管理者消耗品・交換部品使用データ連絡手順500にしたがって、消耗品・交換部品在庫使用量を設備管理者入力装置104から入力する。一方、消耗品・交換部品販売管理システムは消耗品・交換部品在庫データベース更新手順510で、設備管理者入力装置104からの入力データの受信によって、前記消耗品・交換部品在庫データベース134の当該データを更新する。この操作により、在庫量は消耗品・交換部品在庫データベース134に正しく保持されるので、消耗品・交換部品販売管理システムは適当な判定基準を用いて、消耗品・交換部品在庫の多寡や消耗品・交換部品在庫の使用期限を過ぎているかどうか判定し、必要に応じて、外部ネットワーク110経由で設備管理者表示装置105に出力し、設備管理者に注意を喚起することが出来る。」 (6)甲6 甲6には、次の記載がある。 「【0011】メーカ側端末群2は、営業部門及びユーザ窓口部門を含む受付管理部門5に設けられた端末機器と、製品を開発する開発部門6に設けられた端末機器と、製品に関する法的規制を管理する法的規制管理部門7に設けられた端末機器と、製品を製造する製造部門8に設けられた端末機器とからなる。なお、メーカ側端末群2の受付管理部門5の端末機器には、図示はしないが、メーカ側より販売・サービスを依頼された代理店や商社の端末機器が含まれる。」 (7)甲7 甲7には、次の記載がある。 「【0035】 ここで、SCMとは、例えば部品供給会社(サプライヤ)から組み立てメーカ、卸や小売り、顧客に至るまでをネットワークで結び、生産や在庫、購買、販売、物流などすべての情報をリアルタイムに交換することで、サプライチェーン全体の効率を大幅に向上させる経営手法のことをいう。複数の企業や組織の壁を越え、ビジネス・プロセス全般に渡り、経営資源や情報を共有する。これにより、チェーン全体の最適化を目指し、プロセスの無駄を徹底的に削減することを狙うものである。例えば、小売店の店頭情報をチェーン全体で共有できれば、メーカやサプライヤも販売の最前線をにらみながら、素早く資材を発注したり、製品の組み立てに着手できる。こうすれば、受注から顧客に納入するまでの期間が大幅に短縮できるほか、顧客への納期回答の迅速化にもつながる。加えて、各社の在庫情報まで把握できれば、たとえ店頭で欠品や過剰在庫が生じても、メーカやサプライヤはチェーン全体の在庫状況を見ながら、機動的に対応することができる。」 5 申立理由1についての当審の判断 (1)本件発明1について ア 対比 (ア)甲1発明の「コンプレッサ」は、本件発明1の「生産設備」に相当し、以下同様に、「メーカー」は「製造者」に、「ユーザ」は「使用者」に相当する。 よって、甲1発明の「コンプレッサのメーカ」は、本件発明1の「生産設備に係る製造者」に、甲1発明の「コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ」は、本件発明1の「生産設備に係る製造者と使用者とからなる複数企業の一団」に相当する。 また、甲1発明の「コンプレッサの運転状態や修理等の履歴に関する情報」は、本件発明1の「生産設備の個々の固有情報」に相当する。 よって、甲1発明の「コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ間でコンプレッサの運転状態や修理等の履歴に関する情報を共有」する「システム」は、本件発明1の「生産設備に係る製造者と使用者とからなる複数企業の一団に適用され、個々の生産設備に係る製造者と使用者との間で、前記生産設備の個々の固有情報を情報共有させる生産設備情報共有システム」に相当する。 (イ)甲1発明の「サーバ」は、「メーカーが管理する」ものであって、「サーバに設けられた各コンプレッサの専用ページに各コンプレッサに関する機器情報を記録し、該記録された機器情報をサーバの各専用ページにアクセスすることでメーカー、サービス工場及びユーザが閲覧可能に構成されて」いるものであるから、「コンプレッサのメーカー、サービス工場及びユーザ」とからなる複数企業の一団に属しているものといえる。 よって、甲1発明の「メーカーが管理するサーバ」は、本件発明1の「前記一団に属する専用サーバ」に相当する。 また、甲1発明の「システム」に含まれる「情報端末」は、「サーバーにアクセス可能」であるから、甲1発明の「システム」は、「情報端末」と「サーバー」とを通信する通信手段を有するものと認められる。 よって、甲1発明の「システム」が、「サーバー」と、「サーバーにアクセス可能な情報端末」とを含むことは、本件発明1の「生産設備情報共有システム」が、「通信手段」を備えることに相当する。 また、甲1発明の「システム」が、「日常メンテナンス時期や定期整備時期が来たか否かを判定し、ユーザやメーカーとサービス工場のサービスマンに通知する」ことは、本件発明1の「生産設備情報共有システム」が、「通知手段」を備えることに相当する。 (ウ)甲1発明の「各コンプレッサに関する機器情報」は、本件発明1の、「生産設備の個々の」「固有情報」に相当する。 そして、甲1発明の「各コンプレッサの専用ページ」は、「サーバに設けられ」ており、「各コンプレッサに関する機器情報を記録」するものであって、「ユーザ」と「メーカー」が「別のアカウントでログイン」するものであり、「ユーザ」の「アカウントでログイン」するか、「メーカー」の「アカウントでログイン」するかで、「専用ページ」に記録された「機器情報」に関し、記録・閲覧できる領域が異なるものとなっている。 よって、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」は、「ユーザ」と「メーカー」の間で「機器情報」を共有する手段として機能するものとなっている。また、「サーバ」は、「ユーザ」、「メーカー」のアクセス権限を管理しており、「機器情報」の処理権限を管理しているといえる。 したがって、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」が「機器情報を記録」しており、「ユーザ」と「メーカー」の間で「機器情報」を共有する手段として機能することは、本件発明1の「専用サーバ」が「固有情報共有手段として機能される」ことに相当する。 また、本件発明1において、「利用者情報管理手段」は、「アクセス権限管理手段と固有情報処理権限管理手段とを有」するものであるところ、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」が、「ユーザ」の「アカウントでログイン」するか、「メーカー」の「アカウントでログイン」するかで、「専用ページ」に記録された「機器情報」に関し、記録・閲覧できる領域を異ならせていることは、本件発明1の「専用サーバ」が、「アクセス権限管理手段と固有情報処理権限管理手段とを有」する、「利用者情報管理手段」として「機能」されることに相当する。 (エ)上記(ウ)で述べたように、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」が、「ユーザ」の「アカウントでログイン」するか、「メーカー」の「アカウントでログイン」するかで、「専用ページ」に記録された「機器情報」に関し、記録・閲覧できる領域を異ならせている。 よって、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」が、「ユーザ」の「アカウントでログイン」するか、「メーカー」の「アカウントでログイン」するかで、「専用ページ」に記録された「機器情報」に関し、記録・閲覧できる領域を異ならせていることと、本件発明1の「前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザを、アクセス権限を有する前記特定ユーザとして管理」することとは、「前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者と使用者の間で、アクセス権限が異なる者を複数設けて管理」する点で共通する。 同様に、甲1発明の「サーバに設けられ」た「専用ページ」が、「ユーザ」の「アカウントでログイン」するか、「メーカー」の「アカウントでログイン」するかで、「専用ページ」に記録された「機器情報」に関し、記録・閲覧できる領域を異ならせていることと、本件発明1の「前記固有情報処理権限管理手段が、固有情報処理権限として前記特定ユーザ毎に前記固有情報の編集と閲覧の権限を管理」することとは、「前記固有情報処理権限管理手段が、その生産設備に係る製造者と使用者の間で、固有情報処理権限が異なる者を複数設けて管理」する点で共通する。 (オ)甲1発明の「専用ページ」の「製造記録のページ」内の「メーカー、サービス工場及びユーザの3者が閲覧できる基本領域」は、「メーカー」及び「ユーザ」が「ログイン」した「情報端末」の双方に「表示」されるものである。 よって、甲1発明の「情報端末」は、本件発明1の「表示手段」に相当し、甲1発明の「基本領域」は、本件発明1の「共用表示手段」に相当する。 また、甲1発明の「専用ページ」の「製造記録のページ」内の「メーカーだけが閲覧できる第2拡張領域」は、「メーカー」が「ログイン」した「情報端末」のみに「表示」されるものであるから、甲1発明の「第2拡張領域」は、本件発明1の「製造者専用表示手段」に相当する。 したがって、甲1発明の、「専用ページ」の「製造記録のページ」内の「メーカー、サービス工場及びユーザの3者が閲覧できる基本領域」が、「メーカー」及び「ユーザ」が「ログイン」した「情報端末」の双方に「表示」され、「メーカーだけが閲覧できる第2拡張領域」が、「メーカー」が「ログイン」した「情報端末」のみに「表示」されることと、本件発明1の「前記固有情報共有手段が、特定ユーザの表示手段を、製造者専用表示手段、使用者専用表示手段又は共有表示手段として機能させ、前記特定ユーザのうち製造者に属する製造者ユーザには、製造者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、前記特定ユーザのうち使用者に属する使用者ユーザには、使用者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、前記アクセス権限と前記固有情報処理権限とが許可された範囲において、前記特定ユーザに前記固有情報の編集、閲覧を許可」することとは、「前記固有情報共有手段が、製造者と使用者に属する者の表示手段を、製造者専用表示手段、又は共有表示手段として機能させ、製造者に属する者には、製造者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、使用者に属する者には、共有表示手段へのアクセスを許可し、前記アクセス権限と前記固有情報処理権限とが許可された範囲において、前記固有情報の編集、閲覧を許可」する点で共通する。 (カ)してみると、本件発明1と甲1発明との一致点は、次のとおりである。 <一致点> 「生産設備に係る製造者と使用者とからなる複数企業の一団に適用され、個々の生産設備に係る製造者と使用者との間で、前記生産設備の個々の固有情報を情報共有させる生産設備情報共有システムにおいて、 前記一団に属する専用サーバと、通信手段と、通知手段とを備え、前記専用サーバが、利用者情報管理手段と固有情報共有手段として機能される生産設備情報共有システムであって、 前記利用者情報管理手段が、アクセス権限管理手段と固有情報処理権限管理手段とを有し、 前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者と使用者の間で、アクセス権限が異なる者を複数設けて管理し、 前記固有情報処理権限管理手段が、その生産設備に係る製造者と使用者の間で、固有情報処理権限が異なる者を複数設けて管理し、 前記固有情報共有手段が、製造者と使用者に属する者の表示手段を、製造者専用表示手段、又は共有表示手段として機能させ、 製造者に属する者には、製造者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、 使用者に属する者には、共有表示手段へのアクセスを許可し、 前記アクセス権限と前記固有情報処理権限とが許可された範囲において、前記固有情報の編集、閲覧を許可する 生産設備情報共有システム。」 (キ)そして、両者は、次の点で相違する。 <相違点1> アクセス権限管理手段及び固有情報処理権限管理手段で管理される権限が異なる者に関し、本件発明1は、「前記生産設備の製造者と使用者のユーザが、特定ユーザとされ、/(当審注:「/」は改行を表す。以下同様。)・・・前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザを、アクセス権限を有する前記特定ユーザとして管理し、/前記固有情報処理権限管理手段が、固有情報処理権限として前記特定ユーザ毎に前記固有情報の編集と閲覧の権限を管理し」とあるように、「製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザ」の内から選ばれた「特定ユーザ」単位で管理するのに対し、甲1発明においては、メーカーとユーザを別のアカウントで管理することにとどまる点。 <相違点2> 相違点1に派生して、本件発明1は「前記固有情報共有手段が、特定ユーザの表示手段を、製造者専用表示手段、使用者専用表示手段又は共有表示手段として機能させ、/前記特定ユーザのうち製造者に属する製造者ユーザには、製造者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、/前記特定ユーザのうち使用者に属する使用者ユーザには、使用者専用表示手段と共有表示手段へのアクセスを許可し、/前記アクセス権限と前記固有情報処理権限とが許可された範囲において、前記特定ユーザに前記固有情報の編集、閲覧を許可」するのに対し、甲1発明においては、メーカーがログインした情報端末に、メーカーとユーザが閲覧できる基本領域と、メーカーのみが閲覧できる第2拡張領域とが表示され、ユーザがログインした情報端末に、メーカーとユーザが閲覧できる基本領域が表示されるにとどまる点。 <相違点3> 製造者に関し、本件発明1においては、「前記一団をなす製造者又は使用者のうちの少なくとも製造者が複数とされ」とあるように、「複数」とされるのに対し、甲1発明では、「メーカーが管理するサーバ」とあるように、単一のメーカーである点。 <相違点4> 相違点3に派生して、本件発明1は「製造者が複数である場合には製造者同士の前記固有情報の共有がされず、使用者が複数である場合には使用者同士の前記固有情報の共有がされ」ないのに対し、甲1発明は、かかる特定事項を有していない点。 <相違点5> 相違点1に派生して、通知手段が行う処理に関し、本件発明1は「前記専用サーバにおいて前記固有情報が編集されたことを、前記固有情報へのアクセス権限を有する全ての特定ユーザに、前記通信手段を介して通知させる」のに対し、甲1発明は、かかる特定事項を有していない点。 イ 当審の判断 事案に鑑み、相違点1について検討する。 上記4(2)イで述べたとおり、甲2には、以下の甲2発明が記載されている。 「クラウドサーバと、複数の工作機械と、1以上の加工者計算機と、1以上の測定モジュールと、1以上の設計者計算機と、1以上の工作機械メーカ計算機と、1以上の工具メーカ計算機と、を備える機械加工管理システムであって、 クラウドサーバと、工作機械等とは、ネットワークを介して接続されており、 1以上の加工者と、1以上の工作機械メーカがおり、 クラウドサーバは、伝送モジュールと、保管モジュールと、演算モジュールとを含み、加工者、工作機械メーカ以外の第三者が有し、 保管モジュールは、加工者アカウントテーブルと、工作機械メーカ管理テーブルと、情報提供ルールテーブルと、管理プログラムを格納し、 加工者アカウントテーブルは、加工者を識別するID(加工者ID)と、クラウドサーバで加工者を認証するために使用される加工者のパスワードを含み、 工作機械メーカ管理テーブルは、工作機械メーカを識別するID(工作機械メーカID)と、クラウドサーバで工作機械メーカを認証するために使用される工作機械メーカのパスワードを含み、 情報提供ルールテーブルは、情報の提供についての許可を管理するテーブルであり、情報管理者のIDと、情報提供先のID、情報の種別を含み、 管理プログラムは、工作機械の測定データや剛性値を、工作機械を管理する加工者、工作機械を製造した工作機械メーカ、及び、情報提供ルールテーブルに登録されている情報の提供先には送信するが、他の加工者や、他の工作機械メーカへの送信は拒否し、 管理プログラムは、工作機械の主軸の最新の剛性値が、工作機械メーカ管理テーブルの閾値情報を下回ると判定した場合に、この工作機械を製造した工作機械メーカの工作機械メーカ計算機に対して、工作機械の剛性が閾値情報を下回ったこと及び工作機械を管理している加工者の連絡先の情報を送信する 機械加工管理システム。」 しかしながら、甲2発明は、「加工者アカウントテーブルは、加工者を識別するID(加工者ID)と、クラウドサーバで加工者を認証するために使用される加工者のパスワードを含み、/工作機械メーカ管理テーブルは、工作機械メーカを識別するID(工作機械メーカID)と、クラウドサーバで工作機械メーカを認証するために使用される工作機械メーカのパスワードを含み、」とあるように、アクセス権限を異ならせる単位は、「加工者」と「工作機械メーカ」にとどまるものであって、「加工者」及び「工作機械メーカ」内の特定の利用者単位で、アクセス権限を異ならせるものではない。 また、甲1及び甲2には、情報を共有するためのサーバへのアクセス権限を異ならせる単位として、製造者や使用者の特定の利用者(製造者ユーザ、使用者ユーザ)単位で管理することに関し、記載も示唆も見当たらない。 そして、相違点1に関し、アクセス権限管理手段及び固有情報処理権限管理手段で管理される権限が異なる者に関し、「製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザ」の内から選ばれた「特定ユーザ」単位で管理するとの発明特定事項を有することにより、本件発明1は、「製造者と使用者の特定ユーザだけが編集・閲覧可能とされ、・・・企業を限定しないで、その生産設備の特定ユーザが個々の固有情報を、登録・閲覧・共有しやすく、そごのない信頼性が高い情報が管理され、生産設備を適正に円滑に管理できるという従来にない有利な効果を奏する」(【0031】参照。)ものである。よって、相違点1に係る発明特定事項が、単なる設計的事項といえるものではないことは明らかである。 また、甲3~甲7にも、情報を共有するためのサーバへのアクセス権限を異ならせる単位として、製造者や使用者の特定の利用者(製造者ユーザ、使用者ユーザ)単位で管理することに関し、記載も示唆も見当たらない。 したがって、甲1発明及び甲2発明、並びに、甲3~甲7に記載された事項に基づいて、当業者が相違点1に係る発明特定事項のごとく構成することは、容易になし得たことであるとはいえない。 以上によると、<相違点2>~<相違点5>について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明、並びに、甲3~甲7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9 本件発明2~9は、本件発明1のすべての発明特定事項を含むものであり、少なくとも、上記(1)ア(キ)に示した相違点1~相違点5において甲1発明と相違し、上記(1)イに示したとおり、当業者が相違点1に係る発明特定事項のごとく構成することは、容易になし得たことであるとはいえない。 よって、本件発明2~9は、甲1発明及び甲2発明、並びに、甲3~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 したがって、本件発明2~9は、甲1発明及び甲2発明、並びに、甲3~甲7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人は、上記相違点1が相違点とならない理由を特に主張しておらず、また、この点が容易想到である旨も主張していない。 (4)小括 以上によれば、請求項1~9に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできず、申立理由1は、理由がない。 6 申立理由2についての当審の判断 (1)申立人は、特許請求の範囲の記載のうち、「使用者」の「くくり」が如何様なものであるのか、具体的には、「法人」を指すのか、「個人」を含むのかが不明であり、本件発明1~9は不明確であると主張している。(記載不備(a)の理由) しかしながら、本件発明1には、「生産設備に係る製造者と使用者とからなる複数企業の一団に適用され、個々の生産設備に係る製造者と使用者との間で、前記生産設備の個々の固有情報を情報共有させる生産設備情報共有システムにおいて」との特定事項に続けて、「前記生産設備の製造者と使用者のユーザが、特定ユーザとされ、・・・前記アクセス権限管理手段が、生産設備毎に、その生産設備に係る製造者の製造者ユーザと使用者の使用者ユーザを、アクセス権限を有する前記特定ユーザとして管理し」と特定されている。 よって、本件発明1の「使用者」との特定事項は、「生産設備」が設置された工場を有する企業を意味し、「使用者のユーザ」との特定事項は、当該企業で「生産設備」を利用する個々人を意味するものと解される。 そして、本件明細書の段落【0028】には、「固有情報共有手段は、その個々の生産設備の製造者の利用者(以下、製造者ユーザという。)又は使用者の利用者(以下、使用者ユーザという)に限定して、その個々の固有情報の閲覧・編集を可能とさせている。」と記載され、段落【0063】には、「製造者データ10、製造者ユーザデータ11は製造者により登録され、専用サーバに記憶される。製造者データ10には、製造者200を識別させる製造者IDが、製造者の名称等の情報と、製造者パスワード等の製造者情報と共に記憶されている。製造者ユーザデータ11には、製造者ユーザIDと製造者IDと製造者ユーザ情報と、その生産設備への固有情報処理権限を規定する権限IDとが共に記憶されている。製造者ユーザ情報とは、特定ユーザの氏名、所属、生体情報又はパスワードなどの個人識別情報、電子メールアドレス等であればよい。」と記載されるとともに、段落【0065】には、「使用者データ12、使用者ユーザデータ13は使用者により登録され、専用サーバに記憶される。使用者データ12、使用者ユーザデータ13に登録される使用者ユーザ情報等は、製造者200側と同様である。生産設備情報へのアクセスが認められた使用者ユーザ13に付与される3種類の固有情報処理権限も、製造者ユーザ11と同様である。」と記載されている。 したがって、上記解釈は、本件明細書の記載とも整合するものである。 以上のとおり、本件発明1は明確である。 本件発明1を引用する本件発明2~9についても同様である。 (2)申立人は、本件発明1では「専用サーバ」側で閲覧等の権限が管理されるのに対し、本件発明2では「ユーザ」側で表示の判断が可能になるとされており、両者は矛盾すると主張している。(記載不備(b)の理由) しかしながら、本件発明2には、「前記固有情報共有手段が、前記固有情報を、製造者専用表示手段と使用者専用表示手段と共有表示手段のいずれに表示させる情報とするかを、特定ユーザの判断に応じて区分けさせることを可能とさせている」と特定されており、「固有情報」を「製造者専用表示手段と使用者専用表示手段と共有表示手段のいずれに表示させ」るかの「区分け」の「判断」は、「特定ユーザ」が行い、「固有情報共有手段」として機能する「専用サーバ」は、当該「区分け」に従って、「特定ユーザの表示手段」を、「製造者専用表示手段と使用者専用表示手段と共有表示手段」のいずれの表示手段として「機能」させるかを管理・実現しているものと解される。 よって、本件発明1の特定事項と、本件発明2の特定事項との間に、矛盾はなく、本件発明1及び本件発明2は明確である。 本件発明1及び本件発明2を引用する本件発明3~9についても同様である。 (3)小括 以上のとおり、本件発明1~9は明確であるから、申立理由2は、理由がない。 7 申立理由3についての当審の判断 (1)申立人は、本件発明4の「専用情報と・・・共有情報とが同時に表示されない」ことは、発明の詳細な説明に記載したものではないと主張している(記載不備(c)の理由)。 しかしながら、段落【0090】には、「固有情報表示領域42には、専用・共有区分設定に対応して、その特定ユーザがアクセス可能な区分のタブが上方に並列表示され、タブに対応する個々の固有情報が下方に表示される。例えば、基本情報のタブが選択されたときには、選択した生産設備の種別、ID、導入日、設置場所、仕様書、写真等の固有情報が表示される(図6参照)。基本情報は、共有表示に区分されるため、製造者ユーザと使用者ユーザの画面の固有情報表示領域42には、同一の基本情報が表示される(図6斜線部参照)。」と記載されており、上方に並列表示されたタブの下方で表示される情報は、選択されたタブに関する情報のみであることが理解される。 よって、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載したものである。 本件発明4を引用する本件発明5~9についても同様である。 (2)小括 以上のとおり、本件発明4~9は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、申立理由3は、理由がない。 8 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701024

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