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特許異議申立

2024-700911

手押部材、運搬台車および保護部材

審判番号
2024-700911
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-109833
登録番号
7465601
請求日
2024年09月20日
審決日
2026年04月27日
公報発行日
2026年08月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ジー・オー・ピー株式会社
  • 【権利者代理人】南林 薫
  • 【異議申立人】南 力
審判長/審判官
  • 審判長 石井 孝明
  • 審判官 中屋 裕一郎
  • 審判官 山田 由希子
分類
P1652.113-YAA(B62B) / P1652.121-YAA(B62B) / P1652.537-YAA(B62B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7465601号発明「手押部材、運搬台車および保護部材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7465601号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~19〕について訂正することを認める。 特許第7465601号の請求項10、19に係る特許を維持する。 特許第7465601号の請求項1、11に対する特許異議の申し立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 1 手続の経緯 特許第7465601号の請求項1~19に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年11月7日(優先権主張 平成28年8月31日)を出願日とする特願2016-217337号の一部を、令和元年6月14日に新たな特許出願(特願2019-111243号)とし、その一部を令和2年10月15日に新たな特許出願(特願2020-173789号)とし、その一部を令和3年12月16日に新たな特許出願(特願2021-203913号)とし、その一部を令和5年7月4日に新たな特許出願としたものであって、令和6年4月3日に特許権の設定登録がされ、令和6年4月11日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、特許異議申立人南力(以下「申立人」という。)により、請求項1、10、11、19に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、概ね、次のとおりである。 令和6年 9月20日 特許異議の申立て 令和7年 2月 3日付け 取消理由通知書 令和7年 4月 4日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年 5月16日 申立人からの意見書の受付 令和7年 9月 3日付け 訂正拒絶理由通知書 令和7年10月 7日 特許権者による意見書の提出 令和7年12月 3日付け 取消理由通知書(決定の予告) 令和8年 2月 5日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和8年 3月11日 申立人からの意見書の受付 以下、令和8年2月5日提出の訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和7年4月4日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。 また、以下、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件明細書等」といい、本件訂正による訂正後の請求項1~19に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明19」という。 2 証拠 (1)特許異議申立書に記載されている証拠は以下のとおりである。 甲第1号証:実用新案登録第3141978号公報 甲第2号証:実願昭52-22973号(実開昭53-47255号公報)のマイクロフィルム 甲第3号証:特開平11-342848号公報 甲第4号証:商品カタログ「台車安全カバー おててまもるくん」 長岡産業株式会社 平成28年 甲第5号証:「安全スタッフ」WEB版 労働新聞社 平成28年3月3日 以下、甲第1号証~甲第5号証をそれぞれ「甲1」~「甲5」という。 (2)令和7年4月4日に提出された意見書に記載されている証拠は以下のとおりである。 乙第1号証:令和5年(行ケ)第10143号審決取消請求事件の判決書 乙第2号証:特許第6783478号公報 乙第3号証:令和5年(行ケ)第10054号審決取消請求事件の判決書 乙第4号証:特許第6535792号公報 (3)令和7年12月3日付け取消理由通知書(決定の予告)に記載されている当審で追加した証拠は以下のとおりである。 ・西独国実用新案公開第6751084号明細書 ・西独国特許出願公告第1252075号 ・特開2007-61344号公報 ・米国特許出願公開第2011/0221147号明細書 以下、西独国実用新案公開第6751084号明細書を「追加文献1」、西独国特許出願公告第1252075号を「追加文献2」、特開2007-61344号公報を「追加文献3」、米国特許出願公開第2011/0221147号明細書を「追加文献4」という。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、特許7465601号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~19について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。ただし、訂正事項18の下線は当審合議体が付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に「前記保護部材は、使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする請求項1に記載の手押部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする手押部材。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項7~10も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記保護部材は、使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする請求項1に記載の手押部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする手押部材。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4、7~10も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (5)訂正事項5 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置することを特徴とする請求項1に記載の手押部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする手押部材。」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7~10も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に「前記保護部は、平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の手押部材。」と記載されているのを、「前記保護部は、平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項2、3、4または6に記載の手押部材。」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に「前記保護部は、平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の手押部材。」と記載されているのを、「前記保護部は、平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項2、3、4または6に記載の手押部材。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9、10も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に「前記保護部材は、前記棒状部材と異なる色が付されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の手押部材。」と記載されているのを、「前記保護部材は、前記棒状部材と異なる色が付されていることを特徴とする請求項2、3、4、6、7または8に記載の手押部材。」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10に「請求項1ないし9の何れか1項に記載の手押部材と、前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。」と記載されているのを、「請求項2、3、4、6、7、8または9に記載の手押部材と、前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 (11)訂正事項11 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12に「使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする請求項11に記載の保護部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする保護部材。」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項17~19も同様に訂正する)。 (12)訂正事項12 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項13に「使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする請求項11に記載の保護部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする保護部材。」に訂正する(請求項13の記載を引用する請求項14、17~19も同様に訂正する)。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項15を削除する。 (14)訂正事項14 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項16に「前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から下側に離れて位置することを特徴とする請求項11に記載の保護部材。」と記載されているのを、「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から下側に離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする保護部材。」に訂正する(請求項16の記載を引用する請求項17~19も同様に訂正する)。 (15)訂正事項15 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項17に「前記保護部は、平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項11ないし16の何れか1項に記載の保護部材。」と記載されているのを、「前記保護部は、平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項12、13、14または16に記載の保護部材。」に訂正する(請求項17の記載を引用する請求項19も同様に訂正する)。 (16)訂正事項16 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項18に「前記保護部は、平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項11ないし16の何れか1項に記載の保護部材。」と記載されているのを、「前記保護部は、平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項12、13、14または16に記載の保護部材。」に訂正する(請求項18の記載を引用する請求項19も同様に訂正する)。 (17)訂正事項17 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項19に「請求項11ないし18の何れか1項に記載の保護部材と、前記棒状部材と、前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。」と記載されているのを、「請求項12、13、14、16、17または18に記載の保護部材と、前記棒状部材と、前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。」に訂正する。 (18)訂正事項18 本件訂正前の明細書の段落【0005】に「本発明は、運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部を有する保護部材と、を備えることを特徴とする。」と記載されているのを、「本発明は、運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする。」に訂正する。 2 本件訂正の適否について (1)訂正事項1について 訂正事項1に係る訂正は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、請求項1を引用していた本件訂正前の請求項2を独立形式とした上で、「グリップ部」を「前記保護部と一体に形成される」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項2に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 本件訂正前の請求項2には「前記保護部材は、使用者が手で掴むグリップ部を有し、」との記載があるから、訂正事項2に係る訂正により請求項1を引用していた本件訂正前の請求項2を独立形式としたものも、保護部材がグリップ部を有するものである。 一方、本件明細書等には、保護部材がグリップ部を有するものとして第1の実施形態のみが記載されているところ、第1の実施形態に関して「図2と図3に示すように、保護部材42は、グリップ部43と、第1の保護部44と、第2の保護部45とを有しており、これらが一体に形成されている。」(【0016】)と記載されているから(下線は当審において付与した。以下同様。)、本件明細書等には、保護部材がグリップ部を有するものにおいて、グリップ部が「前記保護部と一体に形成される」ことが記載されていると認められる。 そうすると、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3に係る訂正は、請求項1を引用していた本件訂正前の請求項3を独立形式とした上で、「グリップ部」を「前記保護部と一体に形成される」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項3に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 上記(2)イと同様の理由により、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4に係る訂正は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5に係る訂正は、請求項1を引用していた本件訂正前の請求項6を独立形式とした上で、「保護部材」を「前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する」ものであるとより具体的に特定し、「保護部」を「前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項5に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 本件訂正前の請求項2には「前記保護部材は、使用者が手で掴むグリップ部を有し、前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする請求項1に記載の手押部材。」との記載がある。さらに、上記(2)イに示したとおり本件明細書等には、保護部材がグリップ部を有するものにおいて、グリップ部が「前記保護部と一体に形成される」ことが記載されていると認められる。 してみると、「保護部材」が「使用者が手で掴むグリップ部を有する」ものであることは本件訂正前の請求項2に記載されており、保護部材が有するグリップ部が「前記保護部と一体に形成される」ことは本件明細書等に記載されており、「保護部」が「前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」ものであることは本件訂正前の請求項2に記載されている。 よって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項5に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6に係る訂正は、請求項1ないし6の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項7を、本件訂正により請求項1、5を削除することに伴い、請求項2、3、4または6を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7に係る訂正は、請求項1ないし6の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項8を、本件訂正により請求項1、5を削除することに伴い、請求項2、3、4または6を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項7に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (8)訂正事項8について 訂正事項8に係る訂正は、請求項1ないし8の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項9を、本件訂正により請求項1、5を削除することに伴い、請求項2、3、4、6、7または8を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (9)訂正事項9について 訂正事項9に係る訂正は、請求項1ないし9の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項10を、本件訂正により請求項1、5を削除することに伴い、請求項2、3、4、6、7、8または9を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (10)訂正事項10について 訂正事項10に係る訂正は、請求項11を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (11)訂正事項11について ア 訂正の目的について 訂正事項11に係る訂正は、請求項11を引用していた本件訂正前の請求項12を独立形式とした上で、「グリップ部」を「前記保護部と一体に形成される」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項11に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 上記(2)イと同じ理由により、訂正事項11に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項11に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (12)訂正事項12について ア 訂正の目的について 訂正事項12に係る訂正は、請求項11を引用していた本件訂正前の請求項13を独立形式とした上で、「グリップ部」を「前記保護部と一体に形成される」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項12に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 上記(2)イと同じ理由により、訂正事項12に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項12に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (13)訂正事項13について 訂正事項13に係る訂正は、請求項15を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (14)訂正事項14について ア 訂正の目的について 訂正事項14に係る訂正は、請求項11を引用していた本件訂正前の請求項16を独立形式とした上で、「保護部材」を「前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」するものであるとより具体的に特定し、「保護部」を「前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」ものであるとより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項14に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 上記(5)イと同じ理由により、訂正事項14に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項14に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (15)訂正事項15について 訂正事項15に係る訂正は、請求項11ないし16の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項17を、本件訂正により請求項11、15を削除することに伴い、請求項12、13、14または16を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項15に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (16)訂正事項16について 訂正事項16に係る訂正は、請求項11ないし16の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項18を、本件訂正により請求項11、15を削除することに伴い、請求項12、13、14または16を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項16に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (17)訂正事項17について 訂正事項17に係る訂正は、請求項11ないし18の何れか1項を引用していた本件訂正前の請求項19を、本件訂正により請求項11、15を削除することに伴い、請求項12、13、14、16、17または18を引用するとしたものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、引用する請求項の一部を削除しているから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項17に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (18)訂正事項18について ア 訂正の目的について 訂正事項18に係る訂正は、前記訂正事項2に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項18に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 上記(2)イと同じ理由により、訂正事項18に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項18に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (19)独立特許要件について ア 独立特許要件が課される請求項について 訂正前の請求項2~9、12~18については特許異議の申立てがされていないところ、上記(2)ア、(3)ア、(4)ア、(5)ア、(6)ア、(7)ア、(8)ア、(11)ア、(12)ア、(13)ア、(14)ア、(15)ア、及び(16)アのとおり、訂正事項2~8、11~16は、その目的に、特許請求の範囲の減縮を含むものであるから、訂正事項2~8、11~16に係る訂正により訂正された本件発明2~9、12~18には、独立特許要件が課される。 そして、本件発明2~9、12~18のうち、本件発明5、15は削除されている。 したがって、以下では、本件発明2~4、6~9、12~14、16~18について、独立特許要件を検討する。 イ 甲1について 甲1の【0002】~【0005】、【0008】、【0022】~【0027】、【0033】及び【図1】~【図5】の記載から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」、「甲1発明2」という。)が記載されている。 [甲1発明] 「運搬台車の矩形状の台車本体の四隅の角部に設けられた上方に開口する挿入孔8に挿入することで前記台車本体に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押し棒3であって、 前記手押し棒3は、台車本体に取り付けられた状態において、下端から上端までが直線状である上下方向に沿った単管である、 手押し棒3。」 [甲1発明2] 「甲1発明の手押し棒3と台車本体とを備えた運搬台車。」 ウ 甲2について 甲2の明細書第1頁第13行~第15行、第3頁第6行~第4頁第3行、第5頁最終行~第6頁第3行、第8頁第1行~第11行及び第1図~第3図の記載から、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 [甲2発明] 「作業者がハンドル(14)の把手体(26)の把持部(27)を手で持った状態で、車輪(6)によって移動して品物を運搬する運搬車の把手体(26)であって、 前記把手体(26)は、パイプ材からなる案内杆(11)の上端部から後上方に向かって一体的に延設された前記ハンドル(14)の直線状の上端部に取付けられ、前記ハンドル(14)に嵌合する筒状の前記把持部(27)の外側上下端部間に彎曲した保護枠(28)を一体に設けたものであり、 前記ハンドル(14)の操作で品物を支持して運搬作業を行うに際し、前記保護枠(28)が手を保護し、手が壁面や物をこすったりすることを防止する、前記把手体(26)。」 エ 甲3について 甲3の【0005】~【0006】、【0015】~【0016】、【0022】、【図1】~【図2】、【図8】~【図12】の記載から、甲3には次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている。 [甲3記載事項] 「可撓性材料からなる円盤形状または円柱形状の本体1の中心部に係止孔1aを設け、前記本体1の側部から前記係止孔1aに行き当たる切欠部2を設けることで、前記係止孔1aをこじ開け可能とした手押し車の衝撃緩衝用部材であって、前記切欠部2に手の指を差し込むなどして前記係止孔1aをこじ開けることにより、手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bに取り付けることができる手押し車の衝撃緩衝用部材。」 オ 甲4について 甲4には次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。 [甲4記載事項] 「台車に固定され、グリップ部である水平部分と、水平部分の両端から延びるカーブ部分と、水平部分の両端からカーブ部分を介して下向きに延びる上下方向に沿った部分と、を有する、コ字状のハンドルのカーブ部分に対して取り付けられる台車用安全カバーであって、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする本体と、本体の外周部からスリットを通じてハンドルが挿入される取付穴と、を有し、本体の外周部からスリットを通じてハンドルが挿入される方向と直交する方向であって、取付穴を向く方向から見て、本体は略円形である台車用安全カバー。」 カ 甲5について 甲5の第2頁下から5行~最終行、第6頁下から2行~第7頁第2行、図3、図10、写真2の記載から、甲5に記載の「鍔状の挟まれ防止ガード」は、取っ手を掴んだ両手が挟まれることを防止するものであると認められるから、甲5には次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されている。 [甲5発明] 「手押し台車の取っ手に取り付ける鍔状の挟まれ防止ガードであって、 上下に分割する樹脂製のパーツで構成され、 前記取っ手の外形寸法が34mmの直線状の部分に取り付けられた状態で、外径寸法が100mmであり、前記取っ手を掴んだ両手が挟まれることを防止する、鍔状の挟まれ防止ガード。」 キ 追加文献1について 追加文献1の第2頁及び図面の記載から、追加文献1には次の発明(以下、「追加1発明1」、「追加1発明2」という。)が記載されている。 [追加1発明1] 「二輪運搬車用のハンドガード付きグリップ部であって、 一端が閉じられた筒状のグリップ部(1)と、前記グリップ部(1)に一体的に形成されて、前記グリップ部(1)の一端と他端を結ぶ弓状のハンドガード(2)から構成され、 前記グリップ部(1)は、熱収縮させることなく、直線状のパイプ状のグリップパイプ端部(3)に適合する形で取り付けられる、 手を怪我から保護するハンドガード付きグリップ部。」 [追加1発明2] 「二輪運搬車用のハンドガード付きグリップ部であって、 一端が閉じられた筒状のグリップ部(1)と、前記グリップ部(1)に一体的に形成されて、前記グリップ部(1)の一端と他端を結ぶ弓状のハンドガード(2)から構成され、 前記グリップ部(1)は、ドイツ特許第1252075号に記載された安全グリップの特徴を利用することで追加の固定具なしで、直線状のパイプ状のグリップパイプ端部(3)に取り付けられる、 手を怪我から保護するハンドガード付きグリップ部。」 ク 追加文献2について 追加文献2の第1頁左欄第43行~第46行、第1頁右欄第45行~第46行、第2頁左欄第13行~第19行、図1、図5の記載から、追加文献2には次の事項(以下、「追加2記載事項」という。)が記載されている。 [追加2記載事項] 「運搬カートのハンドル12には、ハンドル12と同じ直径を有する弾性材料製のハンドルスリーブ16が取り付けられており、弾性のあるハンドルスリーブ16は、ハンドル12の断面形状に沿う形になっている。」 ケ 追加文献3について 追加文献3の【0006】、【0010】~【0011】、【図1】、【図4】、【図5】の記載から、追加文献3には次の事項(以下、「追加3記載事項」という。)が記載されている。 [追加3記載事項] 「車椅子1の背もたれフレーム6の左右側パイプ7の上端部分7Aに外側嵌合される、介護人が握るためのグリップ14であって、前記上端部分7Aにボルトで固定されるグリップ14。」 コ 追加文献4について 追加文献4の[0020]~[0021]、図1~図2の記載から、追加文献4には次の事項(以下、「追加4記載事項」という。)が記載されている。 [追加4記載事項] 「手押一輪車10のハンドル軸26に配置されたハンドル30であって、ハンドル部34と連結部36とを有する本体32を含み、前記本体32と前記ハンドル軸26とは留め具40としてのボルトで固定され、前記ハンドル部34は、第1グリップ52、第2グリップ54、第3グリップ56、第1グリップ52と第2グリップ54の間に配置された第1移行部58、及び第2グリップ54と第3グリップ56の間に配置された第2移行部60を有するループ50を画定している、ハンドル30。」 サ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「台車本体」、「四隅の角部」、「挿入孔8」及び「手押し棒3」は、それぞれ本件発明2の「台車本体部」、「4隅」、「挿入孔」及び「手押部材」に相当する。 甲1発明の「単管」はパイプ状の棒状部材であると認められるから、甲1発明の「台車本体に取り付けられた状態において、下端から上端までが直線状である上下方向に沿った単管である」という事項は、本件発明1の「下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材」「を備える」という事項に相当する。 したがって、本件発明2と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。 [一致点2] 「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、 下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材を備える 手押部材。」 [相違点2] 本件発明2の手押部材は、「前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材」であって、「前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」ものを備えるのに対し、甲1発明の手押し棒3は、このような構成を備えていない点。 (イ)判断 上記相違点2について検討する。 甲2発明の把手体(26)は、ハンドル(14)に嵌合する筒状の前記把持部(27)の外側上下端部間に彎曲した保護枠(28)を一体に設けたものであるから、保護枠(28)と一体に形成される把持部(27)を有するものではある。 しかし、甲2発明の保護枠(28)は把持部(27)の外側上下端部間に彎曲した形状、すなわち、把持部(27)の下端と上端を結ぶような形状であるから、把持部(27)の下端から外側に向かって突出して形成されるものであるとは言えない。 また、追加1発明1及び追加1発明2のハンドガード付きグリップ部は、一端が閉じられた筒状のグリップ部(1)と、前記グリップ部(1)に一体的に形成されて、前記グリップ部(1)の一端と他端を結ぶ弓状のハンドガード(2)から構成されたものであるから、ハンドガード(2)と一体に形成されるグリップ部(1)を有するものではある。 しかし、追加1発明1及び追加1発明2のハンドガード(2)は、グリップ部(1)の一端と他端を結ぶ弓状のものであるから、グリップ部(1)の下端から外側に向かって突出して形成されるものであるとは言えない。 さらに、追加4記載事項のハンドル30は、ループ50を画定しているハンドル部34を含むものであるから、ハンドル部34のうち使用者が手で掴む部分をグリップ部、それ以外の部分を保護部と名付けると、保護部は使用者の手を保護し、グリップ部は保護部と一体に形成されると言える。 しかし、ハンドル部34は、第1グリップ52、第2グリップ54、第3グリップ56、第1グリップ52と第2グリップ54の間に配置された第1移行部58、及び第2グリップ54と第3グリップ56の間に配置された第2移行部60を有するループ50を画定するものであるから、どの部分を保護部としても、保護部がグリップ部の下端から外側に向かって突出して形成されるものであるとは言えない。 また、甲1発明2、甲3記載事項の手押し車の衝撃緩衝用部材、甲4記載事項の台車用安全カバー、甲5発明の鍔状の挟まれ防止ガード、追加2記載事項のハンドルスリーブ16、追加3記載事項のグリップ14は、いずれも、保護部材が、保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有するものではない。 してみると、提出された証拠及び当審で追加した証拠のいずれにも上記相違点2に係る構成は記載されておらず、さらに、甲1発明において上記相違点2の構成とすることが設計的事項に過ぎないと認められる証拠はないから、本件発明2は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明2が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明2は独立特許要件を満たす。 シ 本件発明3について (ア)対比 本件発明3の発明特定事項は、本件発明2の「前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」という発明特定事項に代え、「前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面である」という発明特定事項を有するという点以外、本件発明2の発明特定事項と同じである。 したがって、上記サ(ア)を踏まえて本件発明3と甲1発明とを対比すると、本件発明3と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。 [一致点3] 「運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、 下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材を備える 手押部材。」 [相違点3] 本件発明3の手押部材は、「前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材」であって、「前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下側から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面である」ものを備えるのに対し、甲1発明の手押し棒3は、このような構成を備えていない点。 (イ)判断 上記相違点3について検討する。 甲2発明の保護枠(28)、追加1発明1及び追加1発明2のハンドガード(2)及び追加4記載事項の保護部は、いずれの形状も、上記サ(イ)に示したとおりであるから、本件発明3のグリップ部に相当する部材の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、本件発明3のグリップ部に相当する部材の下側から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有するものではない。 また、上記サ(イ)に示したとおり、他の提出された証拠及び当審で追加した証拠は、いずれも、保護部材が、保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有するものではない。 してみると、提出された証拠及び当審で追加した証拠のいずれにも上記相違点3に係る構成は記載されておらず、さらに、甲1発明において上記相違点3の構成とすることが設計的事項に過ぎないと認められる証拠はないから、本件発明3は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明3が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明3は独立特許要件を満たす。 ス 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記シ(イ)と同じ理由により、本件発明4は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明4が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明4は独立特許要件を満たす。 セ 本件発明6について 本件発明6の発明特定事項は、本件発明2の発明特定事項に「前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置」するという発明特定事項を加えたものであるから、本件発明6と甲1発明とを対比すると、少なくとも、相違点2では相違する。 そして、相違点2については上記サ(イ)のとおりであるから、本件発明6は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明6が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明6は独立特許要件を満たす。 ソ 本件発明7~9について 本件発明7~9はいずれも、本件発明2、本件発明3、または本件発明6の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記サ(イ)、上記シ(イ)、または上記セと同じ理由により、本件発明7~9は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明7~9が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明7~9は独立特許要件を満たす。 タ 本件発明12について 本件発明12の保護部部材の構成は、本件発明2の手押部材が備える保護部材と同じ構成であるから、本件発明12の保護部部材の構成は、上記相違点2に係る保護部材の構成を有している。 そして、上記サ(イ)に示したとおり、提出された証拠及び当審で追加した証拠のいずれにも上記相違点2に係る構成は記載されていない。 よって、本件発明12は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明12が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明12は独立特許要件を満たす。 チ 本件発明13について 本件発明13の保護部部材の構成は、本件発明3の手押部材が備える保護部材と同じ構成であるから、本件発明13の保護部部材の構成は、上記相違点3に係る保護部材の構成を有している。 そして、上記シ(イ)に示したとおり、提出された証拠及び当審で追加した証拠のいずれにも上記相違点3に係る構成は記載されていない。 よって、本件発明13は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明13が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明13は独立特許要件を満たす。 ツ 本件発明14について 本件発明14は、本件発明13の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記チと同じ理由により、本件発明14は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明14が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明14は独立特許要件を満たす。 テ 本件発明16について 本件発明16の保護部部材の構成は、本件発明6の手押部材が備える保護部材と同じ構成であるから、本件発明16の保護部部材の構成は、上記相違点2に係る保護部材の構成を有している。 そして、上記サ(イ)に示したとおり、提出された証拠及び当審で追加した証拠のいずれにも上記相違点2に係る構成は記載されていない。 よって、本件発明16は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明16が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明16は独立特許要件を満たす。 ト 本件発明17~18について 本件発明17~18はいずれも、本件発明12、本件発明13、または本件発明16の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記タ、上記チ、または上記テと同じ理由により、本件発明17~18は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明17~18が独立特許要件を満たさないとする理由は発見しない。 よって、本件発明17~18は独立特許要件を満たす。 (20)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2~10は、本件訂正前の請求項1を引用する関係であるから、本件訂正前の請求項1~10は、一群の請求項である。 本件訂正前の請求項12~19は、本件訂正前の請求項11を引用する関係であるから、本件訂正前の請求項11~19は、一群の請求項である。 よって、訂正事項1~9、18、及び、訂正事項10~17は、いずれも一群の請求項に対して請求されたものである。 (21)小括 以上のとおりであるので、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対して請求されたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号、及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項、第6項、及び第7項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求項の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~19〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、 下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、 前記保護部は、 前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、 前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする手押部材。 【請求項3】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、 下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、 前記保護部は、 前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、 前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、 前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする手押部材。 【請求項4】 前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とはそれぞれ前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする請求項3に記載の手押部材。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入することで前記台車本体部に取り付けられ、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、 下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材と、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有する保護部材と、を備え、 前記保護部は、 前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、 前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする手押部材。 【請求項7】 前記保護部は、平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項2、3、4または6に記載の手押部材。 【請求項8】 前記保護部は、平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項2、3、4または6に記載の手押部材。 【請求項9】 前記保護部材は、前記棒状部材と異なる色が付されていることを特徴とする請求項2、3、4、6、7または8に記載の手押部材。 【請求項10】 請求項2、3、4、6、7、8または9に記載の手押部材と、 前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。 【請求項11】(削除) 【請求項12】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、 前記保護部は、 前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、 前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする保護部材。 【請求項13】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、 前記保護部は、 前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、 前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、 前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面であることを特徴とする保護部材。 【請求項14】 前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とはそれぞれ前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする請求項13に記載の保護部材。 【請求項15】(削除) 【請求項16】 運搬台車の矩形状の台車本体部の4隅に設けられた上方に開口する挿入孔に挿入される手押部材のうち下端から上端までが直線状である上下方向に沿ったパイプ状の棒状部材に装着する保護部材であって、 前記棒状部材に対して着脱可能であって、前記棒状部材に装着されることにより前記棒状部材の外周面よりも外側に向かって突出して、該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有し、 前記保護部は、 前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から下側に離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、 前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面であることを特徴とする保護部材。 【請求項17】 前記保護部は、 平面視で見た場合に、略円形であることを特徴とする請求項12、13、14または16に記載の保護部材。 【請求項18】 前記保護部は、 平面視で見た場合に、角部が丸み付けられた多角形であることを特徴とする請求項12、13、14または16に記載の保護部材。 【請求項19】 請求項12、13、14、16、17または18に記載の保護部材と、 前記棒状部材と、 前記台車本体部と、を備えることを特徴とする運搬台車。」 第4 取消理由通知の概要 訂正前の請求項1、10、11、19に係る特許に対して、当審合議体が令和7年12月3日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 請求項1に係る発明は、甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項1に係る発明は、甲1発明及び追加1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項1に係る発明は、甲1発明、追加1発明2及び追加2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項10に係る発明は、甲1発明2及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項10に係る発明は、甲1発明2及び追加1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項10に係る発明は、甲1発明2、追加1発明2及び追加2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項11に係る発明は、甲2発明であるか、または、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項11に係る発明は、甲5発明であるか、または、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項11に係る発明は、追加1発明1であるか、または、追加1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項11に係る発明は、追加1発明2であるか、または、追加1発明2及び追加2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項19に係る発明は、甲1発明2及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項19に係る発明は、甲1発明2及び追加1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項19に係る発明は、甲1発明2、追加1発明2及び追加2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、訂正前の請求項11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、訂正前の請求項1、10、11、19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである。 第5 取消理由について 請求項1、11は削除されたので、本件発明10、19について検討する。 1 本件発明10について 本件発明10は、本件発明2、本件発明3、本件発明4、本件発明6、本件発明7、本件発明8、または本件発明9の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記第2の2(19)サ~ソと同じ理由により、本件発明10は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件発明19について 本件発明19は、本件発明12、本件発明13、本件発明14、本件発明16、本件発明17、または本件発明18の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記第2の2(19)タ~トと同じ理由により、本件発明19は、甲1発明、甲1発明2、甲2発明、甲3記載事項、甲4記載事項、甲5発明、追加1発明1、追加1発明2、追加2記載事項、追加3記載事項、及び追加4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 取消理由において採用しなかった特許異議の申立の理由について 1 取消理由において採用しなかった特許異議の申立の理由の概要 取消理由において採用しなかった特許異議の申立の理由は、概ね、次のとおりである。 (1)特許異議申立書(4-4)サポート要件・第一観点(特許法第36条第6項第1号) 請求項1、10、11、19に記載された発明には、「棒状部材の端部を挿入する,又は、抜き出すことにより棒状部材に対して着脱可能とする保護部材」、又は、「棒状部材の端部に挿入する、又は、抜き出すことにより棒状部材に対して着脱可能とする保護部材」以外の保護部材、及びこれを備える手押部材、運搬台車が包含されるが、発明の詳細な説明の記載全体を参照し、出願時の技術常識を勘案しても、請求項1、10、11、19に記載された発明の範囲まで、発明の詳細な説明の実施形態の保護部材の内容を拡張し一般化できるとはいえないから、本特許出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。 (2)特許異議申立書(4-5)サポート要件・第二観点(特許法第36条第6項第1号) 請求項1、10、11、19に記載された発明には、「手押部材を掴んだ使用者の手の上方位置において横方向に突出する保護部と使用者の手の下方位置において横方向に突出する保護部とのうちの少なくとも一方を有する保護部材」以外の保護部材等が包含されるが、発明の詳細な説明の記載全体を参照し、出願時の技術常識を勘案しても、請求項1、10、11、19に記載された発明の範囲まで、発明の詳細な説明の実施形態の保護部材の内容を拡張し一般化できるとはいえないから、本特許出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない 請求項1、11は削除されたので、本件発明10、19について検討する。 2 特許異議申立書(4-4)に記載した理由について 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そして、本件発明の課題は、「手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある」という問題点を解決するために「使用者の手を保護すること」(【0005】)であるところ、本件発明10及び本件発明19はいずれも、「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」との構成、「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面である」との構成、又は「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」との構成を含むものであるから、上記課題を解決していることは明らかである。 さらに、保護部材を棒状部材に対して着脱可能にするための具体的構成が、上記課題の解決に関与していることを示す証拠はない。 よって、特許異議申立書(4-4)に記載した理由によって、本件の請求項10、19に係る特許を取り消すことができない。 3 特許異議申立書(4-5)に記載した理由について 上記2に示したとおり、本件発明10及び本件発明19はいずれも、本件発明の課題を解決してる。 そして、本件訂正により、本件発明10及び本件発明19はいずれも、「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」との構成、「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記グリップ部の上端から外側に向かって突出する上側の保護部と、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出する下側の保護部と、を有し、前記上側の保護部の下面と前記下側の保護部の上面とは互いに平行な面である」との構成、又は「該手押部材を掴んだ使用者の手を保護する保護部および前記保護部と一体に形成されるとともに使用者が手で掴むグリップ部を有」する「保護部材」において「前記保護部は、前記保護部材が前記棒状部材に装着されることにより、該手押部材の上端から離れて位置し、前記グリップ部の下端から外側に向かって突出して形成され、前記保護部の上面は、前記グリップ部の上下方向に沿った軸線に対して直交する面である」との構成を含むものとなったから、「手押部材を掴んだ使用者の手の上方位置において横方向に突出する保護部と使用者の手の下方位置において横方向に突出する保護部とのうちの少なくとも一方を有する保護部材」以外の保護部材等は包含されない。 よって、特許異議申立書(4-5)に記載した理由によって、本件の請求項10、19に係る特許を取り消すことができない。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項10、19に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件の請求項10、19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件の請求項1、11に係る特許は、本件訂正により削除され、特許異議の申立ての対象が存在しなくなったため、当該特許に係る申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700911

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