特許異議申立
2022-700729
照明装置
- 審判番号
- 2022-700729
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-094729
- 登録番号
- 7019207
- 請求日
- 2022年07月28日
- 審決日
- 2023年09月28日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
- 【権利者代理人】原田 淳司
- 【権利者代理人】奥山 裕治
- 【異議申立人】柴田 都
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 中村 則夫
- 審判官 沼生 泰伸
- 分類
- P1651.121-YAA(F21V) / P1651.841-YAA(F21V) / P1651.851-YAA(F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7019207号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7019207号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について、訂正することを認める。
特許第7019207号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7019207号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成28年3月31日に出願した特願2016-72544号の一部を令和2年5月29日に新たな特許出願としたものであって、令和4年2月4日にその特許権の設定登録がされ、同年2月15日に特許掲載公報が発行された。
そして、本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 7月28日: 特許異議申立人柴田都(以下「申立人」という。)による特許異議の申立て
令和4年12月28日付け: 取消理由通知書
令和5年 3月 3日: 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
同年 4月18日: 申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年3月3日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを請求するものであり、その内容は以下のとおりである(以下「本件訂正事項」という。なお、下線は訂正箇所を示す。)。
<本件訂正事項>
特許請求の範囲の請求項1に、
「LED素子がLED基板に実装されてなるLEDモジュールと、
複数個の回路部品が回路基板に実装されてなり且つ前記LED素子に電力を供給する電源回路ユニットと、
前記電源回路ユニットを収容し且つ筒軸が前記LED基板と直交する筒体と を備える照明装置であって、
前記筒軸と平行な方向を表裏方向とし、前記LED基板に前記LED素子が実装されている側を表側とし、
前記電源回路ユニットは、前記筒体の表側の開口から挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され、
前記LED基板と前記回路基板とを電気的に接続する一対の金属ピンが前記回路基板に設けられ、
前記LED基板に、前記金属ピンが挿通するための貫通孔と、前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の通過に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ、
前記LED基板と前記回路基板は垂直な状態であって一部が前記表裏方向に重なり、
前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延出する状態で前記貫通孔を通過するように設けられ、
ねじ体を前記LED基板の前記ねじ体用の貫通孔を表側から貫通させて前記筒体のねじ穴に螺合させることで、前記LED基板と前記回路基板とが近づいて、前記金属ピンが前記貫通孔を通過して前記導電バネ片と電気的に接続すると共に、前記LED基板が前記筒体の表側に当接状態で固定される
照明装置。」
と記載されているのを、
「LED素子がLED基板に実装されてなるLEDモジュールと、
複数個の回路部品が回路基板に実装されてなり且つ前記LED素子に電力を供給する電源回路ユニットと、
前記電源回路ユニットを収容し且つ筒軸が前記LED基板と直交する筒体と を備える照明装置であって、
前記筒軸と平行な方向を表裏方向とし、前記LED基板に前記LED素子が実装されている側を表側とし、
前記電源回路ユニットは、前記筒体の表側の開口から挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され、
前記LED基板と前記回路基板とを電気的に接続する一対の金属ピンが前記回路基板に設けられ、
前記LED基板に、前記金属ピンが挿通するための貫通孔と、前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の通過に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ、
前記導電バネ片は、前記LED基板における前記LED素子が実装される表面側に設けられ、
前記LED基板と前記回路基板は垂直な状態であって一部が前記表裏方向に重なり、
前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延出する状態で前記貫通孔を通過するように設けられ、
ねじ体を前記LED基板の前記ねじ体用の貫通孔を表側から貫通させて前記筒体のねじ穴に螺合させることで、前記LED基板と前記回路基板とが近づいて、前記金属ピンが前記貫通孔を通過して前記導電バネ片と電気的に接続すると共に、前記LED基板が前記筒体の表側に当接状態で固定される
照明装置。」
に訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。)。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正事項は、訂正前の「導電バネ片」の配設箇所について「前記LED基板における前記LED素子が実装される表面側に設けられ」ることを、新たに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の段落【0057】の第5行~第7行や図4(a)、図5(a)、図10、図14に記載ないし開示されており、新規事項を追加するものではない。
さらに、本件訂正事項は、訂正前の特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項2及び3は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本件訂正前の請求項1~3は、一群の請求項であり、本件訂正は、当該一群の請求項〔1~3〕に対して請求されたものである。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について、訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定しようとするものと認められるところ、その記載は次のとおりである。
「【請求項1】
LED素子がLED基板に実装されてなるLEDモジュールと、
複数個の回路部品が回路基板に実装されてなり且つ前記LED素子に電力を供給する電源回路ユニットと、
前記電源回路ユニットを収容し且つ筒軸が前記LED基板と直交する筒体と を備える照明装置であって、
前記筒軸と平行な方向を表裏方向とし、前記LED基板に前記LED素子が実装されている側を表側とし、
前記電源回路ユニットは、前記筒体の表側の開口から挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され、
前記LED基板と前記回路基板とを電気的に接続する一対の金属ピンが前記回路基板に設けられ、
前記LED基板に、前記金属ピンが挿通するための貫通孔と、前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の通過に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ、
前記導電バネ片は、前記LED基板における前記LED素子が実装される表面側に設けられ、
前記LED基板と前記回路基板は垂直な状態であって一部が前記表裏方向に重なり、
前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延出する状態で前記貫通孔を通過するように設けられ、
ねじ体を前記LED基板の前記ねじ体用の貫通孔を表側から貫通させて前記筒体のねじ穴に螺合させることで、前記LED基板と前記回路基板とが近づいて、前記金属ピンが前記貫通孔を通過して前記導電バネ片と電気的に接続すると共に、前記LED基板が前記筒体の表側に当接状態で固定される
照明装置。
【請求項2】
複数の前記LED素子が前記LED基板上に環状に配置され、
前記ねじ体が前記環状に配置された前記LED素子に沿って配置され、
電気的に接続した前記金属ピンと前記導電バネ片が、前記環状に配置された前記LED素子と前記ねじ体よりも前記LED基板の内側に配置された
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記金属ピンは、棒状をし、
前記導電バネ片は、1枚の矩形状の金属板を湾曲させてなり、前記金属板の長手方向の中央に前記金属ピン通過用の孔を有し、前記孔の両側が「く」字状に湾曲している
請求項1又は2に記載の照明装置。」
第4 取消理由の概要
当審が、本件訂正前の請求項1~3に対し通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
<取消理由>
本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、次の引用文献一覧に示した刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<引用文献一覧>
甲2:特開2014-203823号公報(申立人提出の甲第2号証)
甲3:特開2011-233445号公報(申立人提出の甲第3号証)
第5 当審の判断
1 甲3発明の認定
(1)甲3に記載された事項
甲3には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア 「【0006】
第1に本発明に係るソケットは、表面に機能性素子を実装したモジュール基板と、当該機能性素子を電気的に制御する回路基板との接続に用いるソケットであって、当該ソケットは、前記モジュール基板の表面から裏面側に貫通突出した状態で、当該モジュール基板にマウントされるとともに、前記機能性素子に電気接続されたコンタクトを内装し、前記回路基板は端部付近の基板面に電気接続部を有し、前記モジュール基板の裏面に対して概ね基板面が直交方向になるように当該回路基板の端部を、前記ソケットに設けた差込部に差し込むとソケットに内装したコンタクトが前記回路基板の電気接続部に弾性接触することを特徴とする。第2に本発明に係るモジュール基板と回路基板との接続構造は、表面に機能性素子を実装したモジュール基板と、当該機能性素子を電気的に制御する回路基板との接続構造であって、前記モジュール基板は表面から裏面側に貫通突出したコンタクトを有し、前記回路基板はその回路基板面が前記モジュール基板の裏面に対して概ね直交方向になるように配設するとともに、当該回路基板のモジュール基板側端部付近に電気接続部を有し、前記モジュール基板のコンタクトが前記回路基板の電気接続部に弾性接触していることを特徴とする。ここでモジュール基板とは機能性の素子をはんだ実装した基板をいい、機能性の素子が発光素子である場合にはLEDや有機ELが例として挙げられる。また、回路基板とはモジュール基板に実装した機能性素子を制御するための電源側の回路基板をいう。」
イ 「【0012】
本発明に係るソケット及びモジュール基板と回路基板の接続構造をLEDランプに適用した例について以下、図面に基づいて説明する。
図1は図示を省略した透光カバーを取り外し、モジュール基板10と回路基板20との位置関係を模式的に表現したものである。
ケース30の下部に図示を省略した口金等が設けてあり、このケース30の内部に回路基板20が組み込まれている。
内部の詳細な構造は省略し、回路基板20のみを表してある。
回路基板20はトランジスター、コンデンサー等の回路素子を備えるとともに回路基板上に配線パターンからなる電気接続部21a,21bを有する。
ケース30の上部にはモジュール基板10の取付部31を有し、この取付部31の中央部にはソケット13の挿入孔32を有する。
【0013】
モジュール基板10は表面に配線パターン12を形成し、この配線パターンに電気接続するようにLEDチップ11が実装されている。
本実施例では、複数の小さなLEDチップ11を同心円周上に配置した例になっているが、これに限定されない。
モジュール基板10の中央部には貫通孔15を有し、ソケット13がモジュール基板の表面から裏面側に向けて、概ね垂直方向に配置されるように貫通孔15を介してマウントされている。」
ウ 「【0015】
このようにモジュール基板10には予めソケット13がマウントされているので、図1に示すように垂直方向に配設されているソケット13をケース30の挿入孔32に挿通させるようにしてケース30の取付部31に図示を省略したビス等にて取り付ける。
図1(c)はハウジング13aの記載を省略し、コンタクト14の斜視図を示す。
ソケット13を回路基板20の端部に向けて差し込むと、ソケット13の下部にも基板の差し込み部13eを有し、コンタクト14のベース部14aから垂下させた2本の差し込み片14d,14eの間の差し込み部14fに回路基板20の端部が誘導される。
この際にコンタクト14の弾性接触片14cが回路基板20の基板片面に形成したパターン上に設けた電気接続部21a,21bに弾性接触し、モジュール基板10と回路基板20とが電気接続される。
このときの弾性接触片14cの動きを図3に示す。
【0016】
図5図8にコンタクトの変形例を示す。
図5は差し込み片の少なくとも一方に電気的に接続させる弾性接触片114の機能を付与することで他方の差し込み片114dとで回路基板20との位置決めを可能にした例である。
図6は回路基板20から電気接続部121a,121bを立設させた場合にコンタクトの弾性接触片214cを回路基板面に沿って弾性変形するようにした例である。
図7は回路基板の電気接続部をピン221a,221bからなるピン形状にし、コンタクトをソケット状の弾性接触片314cにした例である。
図8はモジュール基板上に+極と?極とを例えば基板の両側周縁部に分離して配設する場合に有効な単線タイプのソケット構造例を示す。」
エ 「図1
[図:0001405786000001.jpg]
」
オ 「図2
[図:0001405786000002.jpg]
」
カ 「図7
[図:0001405786000003.jpg]
」
(2)甲3について認定できる事項
ア 図1から、筒軸がモジュール基板10と直交する、筒状ケース30が看取される。
イ 図1において、当該筒軸と平行な方向を表裏方向とし、モジュール基板10にLEDチップ11が実装されている側を表側とすると、段落【0012】の「ケース30の内部に」「組み込まれている」「回路基板20」は、回路基板20が表裏方向と平行な状態で筒状ケース30の内部に組み込まれているものと認められる。
ウ 段落【0016】の「ピン221a,221b」は「回路基板20の電気接続部」であるから、図1、図7の記載を踏まえると、「ピン221a、221b」は、モジュール基板10と回路基板20とを電気的に接続する一対のピンであることが認められる。
エ 段落【0013】及び【0015】の「モジュール基板10の中央部の」「貫通孔15を介して」「予め」「マウントされ」た「ソケット13」に係る記載と、段落【0016】の「ソケット状の弾性接触片314c」と「回路基板20の電気接続部」を「ピン形状」としている一対の「ピン221a,221b」に係る記載と、図1、図2及び図7の記載とから、次の事項が認められる。
・モジュール基板10は、その中央部の貫通孔15内に、一対のピン221a,221bをそれぞれ挿入するためのソケット13の孔の一部分を位置させること。
・モジュール基板10の中央部の貫通孔15の一部は、ソケット13で塞がれること。
・一対のピン221a,221bの先端は、モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔の一部分にまで挿入されること。
・ソケット13の孔には、弾性接触片314cが設けられること。
・弾性接触片314cは、ソケット13の孔への一対のピン221a,221bの挿入に伴って弾性変形すること。
・モジュール基板10と回路基板20とが、互いに垂直な状態にあって、表裏方向から見ると一部が重なること。
オ 段落【0015】の「ソケット13をケース30の挿入孔32に挿通させるようにしてケース30の取付部31に」「ビス等にて取り付ける」ことは、図1の記載を踏まえると、「ソケット13をケース30の挿入孔32に挿通させるようにして」、モジュール基板10を「ケース30の取付部31に」「ビス等にて取り付ける」ことであると認められる。
(3)甲3に記載された発明
上記(1)及び(2)より、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
「モジュール基板10の中央部の貫通孔15を介して予めソケット13がマウントされ、LEDチップ11が実装されているモジュール基板10と、
モジュール基板10に実装した機能性素子を制御するための電源側の回路基板20であり、トランジスター、コンデンサー等の回路素子を備えるとともに回路基板上に配線パターンからなる電気接続部21a,21bを有する、回路基板20と、
下部に口金等が設けてあり、内部に回路基板20が組み込まれ、筒軸がモジュール基板10と直交する、筒状ケース30と、
を備えるLEDランプであって、
筒軸と平行な方向を表裏方向とし、モジュール基板10にLEDチップ11が実装されている側を表側とし、
前記回路基板20は、回路基板20が表裏方向と平行な状態で筒状ケース30の内部に組み込まれ、
回路基板20の電気接続部は、モジュール基板10と回路基板20とを電気的に接続する一対のピン221a,221bからなるピン形状であり、
モジュール基板10は、
モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に、一対のピン221a,221bをそれぞれ挿入するためのソケット13の孔の一部分を位置させ、
ソケット13でモジュール基板10の中央部の貫通孔15の一部を塞ぎ、
モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔の一部分への一対のピン221a,221bの挿入に伴って弾性変形する弾性接触片314cが設けられ、
モジュール基板10と回路基板20は垂直な状態であって、表裏方向から見ると一部が重なり、
一対のピン221a,221bの先端は、モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔の一部分にまで挿入され、
ソケット13をケース30の挿入孔32に挿通させるようにして、モジュール基板10をケース30の取付部31にビス等にて取り付ける、
LEDランプ。」
2 本件発明1の進歩性について
(1)対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、以下の相当関係が認められる。 ア 甲3発明の「LEDチップ11」、「モジュール基板10」はそれぞれ、本件発明1の「LED素子」、「LED基板」に相当する。
イ 甲3発明の「LEDチップ11が実装されているモジュール基板10」は、本件発明1の「LED素子がLED基板に実装されてなるLEDモジュール」に相当する。
ウ 甲3発明の「モジュール基板10に実装した機能性素子を制御するための電源側の回路基板20であり、トランジスター、コンデンサー等の回路素子を備えるとともに回路基板上に配線パターンからなる電気接続部21a,21bを有する、回路基板20」は、本件発明1の「複数個の回路部品が回路基板に実装されてなり且つ前記LED素子に電力を供給する電源回路ユニット」に相当する。
エ 甲3発明の「筒状ケース30」は、本件発明1の「筒体」に相当する。
オ 甲3発明の「下部に口金等が設けてあり、内部に回路基板20が組み込まれ、筒軸がモジュール基板10と直交する、筒状ケース30」は、本件発明1の「前記電源回路ユニットを収容し且つ筒軸が前記LED基板と直交する筒体」に相当する。
カ 甲3発明の「LEDランプ」は、本件発明1の「照明装置」に相当する。
キ 甲3発明の「筒軸と平行な方向を表裏方向とし、モジュール基板10にLEDチップ11が実装されている側を表側とし」た構成は、本件発明1の「前記筒軸と平行な方向を表裏方向とし、前記LED基板に前記LED素子が実装されている側を表側とし」た構成に相当する。そうすると、甲3発明の「前記回路基板20は、回路基板20が表裏方向と平行な状態で筒状ケース30の内部に組み込まれ」る構成と、本件発明1の「前記電源回路ユニットは、前記筒体の表側の開口から挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され」る構成とは、「前記電源回路ユニットは、前記筒体に挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され」る構成において共通する。
ク 甲3発明の「回路基板20の電気接続部は、モジュール基板10と回路基板20とを電気的に接続する一対のピン221a,221bからなるピン形状であ」る構成について、「モジュール基板10と回路基板20とを電気的に接続する一対のピン221a,221b」は、「回路基板20の電気接続部」であり、「回路基板20」に設けられているといえること、また、「電気的に接続する一対のピン221a,221b」が金属であることは技術常識であることから、甲3発明の当該構成は、本件発明1の「前記LED基板と前記回路基板とを電気的に接続する一対の金属ピンが前記回路基板に設けられ」る構成に相当する。
ケ 甲3発明の「モジュール基板10は、モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に、一対のピン221a,221bをそれぞれ挿入するためのソケット13の孔の一部分を位置させ」る構成と、本件発明1の「前記LED基板に、前記金属ピンが挿通するための貫通孔」「が設けられ」る構成とは、「前記LED基板に、前記金属ピンが挿入するための貫通孔」「が設けられ」る構成において共通する。
コ 甲3発明の「モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔の一部分への一対のピン221a,221bの挿入に伴って弾性変形するソケット状の弾性接触片314c」と、本件発明1の「金属ピンの前記貫通孔の通過に伴って弾性変形する導電バネ片」とは、「金属ピンの前記貫通孔への挿入に伴って弾性変形する導電バネ片」において共通する。
サ 甲3発明の「モジュール基板10と回路基板20は垂直な状態であって、表裏方向から見ると一部が重な」る構成は、本件発明1の「前記LED基板と前記回路基板は垂直な状態であって一部が前記表裏方向に重な」る構成に相当する。
シ 甲3発明の「回路基板20の電気接続部をピン形状としている一対のピン221a,221b」は、本件発明1の「前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピン」に相当する。
ス 甲3発明の「弾性接触片314c」は、「モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔」に設けられるものであるから、「ソケット13でモジュール基板10の中央部の貫通孔15の一部を塞」ぐことと合わせて、本件発明1の「前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の挿入に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ」ることに相当する。
セ 甲3発明の「モジュール基板10と回路基板20は垂直な状態であって、表裏方向から見ると一部が重なり」、「回路基板20の電気接続部は、モジュール基板10と回路基板20とを電気的に接続する一対のピン221a、221b」の「先端」が、「モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔の一部分にまで挿入され」る構成と、本件発明1の「前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延出する状態で前記貫通孔を通過するように設けられ」る構成とは、「前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延びた状態で前記貫通孔に挿入するように設けられ」る構成において共通する。
以上の相当関係を踏まえると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、本件発明1に倣うと、以下のとおりである。
<一致点>
LED素子がLED基板に実装されてなるLEDモジュールと、
複数個の回路部品が回路基板に実装されてなり且つ前記LED素子に電力を供給する電源回路ユニットと、
前記電源回路ユニットを収容し且つ筒軸が前記LED基板と直交する筒体と を備える照明装置であって、
前記筒軸と平行な方向を表裏方向とし、前記LED基板に前記LED素子が実装されている側を表側とし、
前記電源回路ユニットは、前記筒体に挿入され且つ前記回路基板が前記表裏方向と平行な状態で前記筒体に収容され、
前記LED基板と前記回路基板とを電気的に接続する一対の金属ピンが前記回路基板に設けられ、
前記LED基板に、前記金属ピンが挿入するための貫通孔と、前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の挿入に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ、
前記LED基板と前記回路基板は垂直な状態であって一部が前記表裏方向に重なり、
前記回路基板に設けられた前記一対の金属ピンは、前記回路基板における前記LED基板と前記表裏方向に重なる部分から先端側が前記表裏方向であって前記LED基板側に延びた状態で前記貫通孔に挿入するように設けられる
照明装置。
<相違点1>
「電源回路ユニットは、筒体に挿入され」ることについて、本件発明1では、電源回路ユニットは、「前記筒体の表側の開口から」挿入されるのに対して、甲3発明では、回路基板20の挿入方向について特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1では、導電バネ片は、LED基板におけるLED素子が実装される表面側に設けられるのに対して、甲3発明では、弾性接触片314cは、モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔に設けられる点。
<相違点3>
「貫通孔」、「弾性変形する導電バネ片」及び「金属ピン」について、本件発明1では、金属ピンが「挿通」するための貫通孔、金属ピンの貫通孔の「通過」に伴って弾性変形する導電バネ片、及び、貫通孔「を通過」するように設けられる金属ピンである(要するに、導電バネ片を弾性変形させるのに、金属ピンが貫通孔を通過する)のに対して、甲3発明では、一対のピン221a,221bが「挿入」するための貫通孔15、一対のピン221a,221bの貫通孔15の「挿入」に伴って弾性変形する弾性接触片314c、及び、貫通孔15「に挿入」するように設けられる一対のピン221a,221bである(要するに、弾性接触片314を弾性変形させるのに、一対のピン221a,221bは、貫通孔15を通過せず、貫通孔15に挿入されるにとどまる)点。
<相違点4>
本件発明1では、「ねじ体を前記LED基板の前記ねじ体用の貫通孔を表側から貫通させて前記筒体のねじ穴に螺合させることで、前記LED基板と前記回路基板とが近づいて、前記金属ピンが前記貫通孔を通過して前記導電バネ片と電気的に接続すると共に、前記LED基板が前記筒体の表側に当接状態で固定される」のに対して、甲3発明では、「モジュール基板10の中央部の貫通孔15を介して予めマウントされたソケット13をケース30の挿入孔32に挿通させるようにして、モジュール基板10をケース30の取付部31にビス等にて取り付ける」点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点2から検討する。
甲3発明において、ソケット13は、「モジュール基板10」に対してその「中央部の貫通孔15を介してマウント」するものであって、弾性接触片314cは、「モジュール基板10の中央部の貫通孔15内に位置するソケット13の孔」に設けられるものである。そうすると、弾性接触片314cは、ソケット13の上記構造を前提にすれば、モジュール基板10(本件発明1の「LED基板」)のLEDチップ11(同「LED素子」)が実装される表面側に設けることはできない。そして、甲3の【0010】に、発明の効果として、「本件発明に係るソケットにあっては、モジュール基板の裏面側に突出したソケットに回路基板の端部を差し込むだけで、ソケットに内装したコンタクトが回路基板の端部付近に設けた電気接続部と弾性接触するので、構造が簡単で部品点数が少ないので、組立や接続が容易で従来の電線の浮き上がりやコネクタの高さによる遮光の恐れもない。」と記載されていることを踏まえると、ソケット13を「モジュール基板10」の「中央部の貫通孔15を介してマウント」するものから別の構成に変更することには、阻害要因があるといわざるを得ない。
仮にそれを措くとしても、上記効果を担保しながら、弾性接触片314cをモジュール基板10の上記表面側に設けるような別の構成は、申立人の提出したいずれの甲号証にも示されていない。
したがって、甲3発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(3)小括
よって、そのほかの相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明2及び本件発明3の進歩性について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)の25~31ページの「(ア)甲1発明を主引例とする進歩性欠如について」において、本件発明1~3は、次の甲号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができた旨主張している。
甲第1号証 国際公開2013/132551号(以下「甲1」という。)
甲第2号証 特開2014-203823号公報
しかしながら、甲1、甲2を含め、申立人が提示するいずれの甲号証にも、本件発明1の次の特定事項は開示されていない。
「前記LED基板に、前記金属ピンが挿通するための貫通孔と、前記貫通孔を塞ぎ且つ前記金属ピンの前記貫通孔の通過に伴って弾性変形する導電バネ片とが設けられ、前記導電バネ片は、前記LED基板における前記LED素子が実装される表面側に設けられ」ること。
すなわち、上記特定事項には、金属ピンが、LED基板の貫通孔を通過すること、換言すると、LED基板の表面側に至ることが含まれているが、甲1の段落[0109]によれば、端子25は貫通孔22aに埋設される構成であるところ、前方端子部122(「金属ピン」に相当)は、実装基板22(「LED基板」に相当)の表面側に至るものではないし、これを同表面側に至るように変更する動機付けも見いだせない。
よって、本件発明1は、甲1に記載される発明及び甲2に記載される発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、同様に、甲1に記載される発明及び甲2に記載される発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700729