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特許異議申立

2022-700723

樹脂成型体および化粧シート

審判番号
2022-700723
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-110294
登録番号
7009784
請求日
2022年07月26日
審決日
2023年06月30日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】凸版印刷株式会社
  • 【権利者代理人】廣瀬 一
  • 【権利者代理人】宮坂 徹
  • 【権利者代理人】田中 秀▲てつ▼
  • 【異議申立人】下河 あい
審判長/審判官
  • 審判長 近野 光知
  • 審判官 杉江 渉
  • 審判官 藤井 勲
分類
P1651.121-YAA(C08L) / P1651.113-YAA(C08L) / P1651.161-YAA(C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7009784号発明「樹脂成型体および化粧シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7009784号の特許請求の範囲を令和5年3月6日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、3、5〕について訂正することを認める。 特許第7009784号の請求項1、4、6-15に係る特許を維持する。 特許第7009784号の請求項2、3、5に係る特許に対する申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7009784号(請求項の数15。以下、「本件特許」という。)は、2017年(平成29年)6月2日を出願日とする特許出願(特願2017-110294号、以下「本願」という。)に係るものであって、令和4年1月17日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、同年1月26日である。) その後、令和4年7月26日に、本件特許の請求項1~15に係る特許に対して、特許異議申立人である下河 あい(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 (1)特許異議の申立て後の経緯 令和4年12月 5日付け 取消理由通知 令和5年 1月17日 上申書(新型コロナウィルス蔓延の影響による指定期間の延長の要請) 同年 1月30日付け 通知書(特許権者宛、指定期間の延長について) 同年 3月 6日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者) 同年 3月13日付け 訂正請求があった旨の通知(申立人宛) 同年 4月12日 意見書(申立人) (2)特許異議申立書に添付して提出された証拠方法 申立人が、特許異議申立書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:特表2002-518485号公報 甲第2号証:特開平11-228760号公報 甲第3号証:特開2009-35687号公報 甲第4号証:特許第6586339号公報 (3)令和4年12月5日付け取消理由通知において引用された証拠方法 当審で職権調査され、令和4年12月5日付け取消理由通知において引用された証拠方法は、以下のとおりである。 引用文献1:特開2009-209205号公報 引用文献2:特願2016-201112号(特開2016-62565号) 第2 訂正の適否についての判断 令和5年3月6日にした訂正請求は、以下の訂正事項を含むものである。 (以下、「本件訂正」という。また、設定登録時の本件願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を「本件特許明細書等」という。以下、下線は当審で付与した。) 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 2 判断 以下、訂正事項1~3について併せて判断する。 (1) 訂正の目的 訂正事項1~3による訂正は、それぞれ本件訂正前の請求項2、3、5を単に削除するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 (2) 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項1~3による訂正は、単に特許請求の範囲を削除するものであるから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことは明らかである。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1~3による請求項2、3、5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。 第3 本件発明 上記「第2 訂正の適否についての判断」のとおり、本件訂正は適法であるので、特許第7009784号の特許請求の範囲の記載は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~15記載の以下のとおりのものである(以下、請求項1~15に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」~「本件発明15」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、設定登録時の本件願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。 「【請求項1】 オレフィン樹脂を主成分とし、 光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤と、pKaが3.0から7.0の光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下であり、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0であり、 前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下であり、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤と、pKaが3.0から7.0の光安定剤を含有し、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、 その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体。 【請求項7】 オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤と、pKaが3.0から7.0の光安定剤を含有し、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、 その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであり、 前記光安定剤は、下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有することを特徴とする樹脂成型体。 【化5】 [図:0001401639000001.jpg] 【化6】 [図:0001401639000002.jpg] 【請求項8】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0であり、 前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであることを特徴とする樹脂成型体。 【請求項9】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0であり、 前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体。 【請求項10】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0であり、 前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであり、 前記光安定剤は、下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有することを特徴とする樹脂成型体。 【化7】 [図:0001401639000003.jpg] 【化8】 [図:0001401639000004.jpg] 【請求項11】 オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤と、pKaが3.0から7.0の光安定剤を含有し、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備した樹脂成型体を有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする化粧シート。 【請求項12】 オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤と、pKaが3.0から7.0の光安定剤を含有し、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備した樹脂成型体を有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであり、 前記光安定剤は、下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有することを特徴とする化粧シート。 【化9】 [図:0001401639000005.jpg] 【化10】 [図:0001401639000006.jpg] 【請求項13】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0であり、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、 その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備した樹脂成型体を有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであることを特徴とする化粧シート。 【請求項14】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0であり、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、 その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備した樹脂成型体を有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする化粧シート。 【請求項15】 オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含有し、 前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0であり、前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層と、 その樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層とを具備した樹脂成型体を有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、 前記ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールであり、 前記光安定剤は、下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有することを特徴とする化粧シート。 【化11】 [図:0001401639000007.jpg] 【化12】 [図:0001401639000008.jpg] 」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 取消理由通知の概要 当審が令和4年12月5日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下に示すとおりである。 (1)取消理由A(新規性) 本件訂正前の請求項2、3、5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2)取消理由B(進歩性) 本件訂正前の請求項2、3、5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (3)取消理由C(拡大先願) 本件訂正前の請求項2、3、5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた引用文献2に係る出願の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の上記特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、本件特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書に記載した申立理由の概要は、以下に示すとおりである。 (1)申立理由1(進歩性) ア 申立理由1-1 本件訂正前の請求項1-15に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 イ 申立理由1-2 本件訂正前の請求項1-15に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 ウ 申立理由1-3 本件訂正前の請求項1-15に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 第5 当審の判断 特許異議の申立ての審理対象である請求項1~15のうち、上記「第2 本件訂正の内容」及び「第3 特許請求の範囲の記載」で示したとおり、請求項2、3、5は、本件訂正により削除されているので、請求項2、3、5についての申立てを却下する。 当審は、当審が通知した取消理由A~C及び申立人がした申立理由1-1~1-3によっては、いずれも、本件発明1、4、6~15に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 その理由は以下のとおりである。 1 取消理由について (1)取消理由A(新規性)、取消理由B(進歩性)について 取消理由A(新規性)及び取消理由B(進歩性)の概要は、本件訂正前の請求項2、3、5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、かつ、引用文献1に記載された発明に記載された技術的事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、というものである。 そして、本件訂正により本件訂正前の請求項2、3、5は削除されたため、取消理由A及び取消理由Bは理由がないものとなった。 (2)取消理由C(拡大先願)について 取消理由C(拡大先願)の概要は、本件訂正前の請求項2、3、5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた引用文献2に係る出願の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の上記特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない、というものである。 そして、本件訂正により本件訂正前の請求項2、3、5は削除されたため、取消理由Cは理由がないものとなった。 (3)取消理由についてのまとめ 以上のとおり、取消理由A(新規性)、取消理由B(進歩性)及び取消理由C(拡大先願)は、いずれも理由がない。 2 特許異議申立書に記載された申立理由について (1)申立理由1-1(進歩性)について ア 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、段落【0373】~【0377】の実施例4として、以下の「透明塗膜組成物」の「硬化物」が記載されている。 「リン酸化した鋼の試験パネルに、電気塗膜プライマーのED11、及びPPG HBAL9225という白色素地塗膜で予備塗装したものに、 DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%) 81.25g CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂) 35.0g CYCAT(登録商標)4040(トルエンスルホン酸触媒、固体40%) 1.0g n-ブタノール 20.0g キシレン 16.0g UV-1164 総樹脂固体に対する重量%として3% を含む透明塗膜組成物を塗装して、雰囲気温度で10分間フラッシュさせ、125℃で30分間硬化させた、当該透明塗膜組成物の硬化物。」 の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 本件発明1の「樹脂成型体」は、本件明細書の段落【0014】の「本実施形態の樹脂成型体は、オレフィン樹脂を主成分とした樹脂層であり、この樹脂層のいずれか一方の面(おもて面及び裏面のいずれか一方の面)には、酸変性樹脂層が設けられてもよい。本実施形態の樹脂成型体は、化粧シートに用いられる場合、後述のように「保護層」として機能する。以下、樹脂成型体を保護層ということがある」との記載、段落【0031】の「この化粧シートの製造は、例えば、インキ層5が形成され原反層6としての原反樹脂シートに接着剤層4が形成された積層体と、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5の紫外線吸収剤およびpKaが3.0から7.0の光安定剤を含有する保護層3に接着性樹脂層7を共押しした積層体とをドライラミネートまたは押出ラミネートなどで貼り合わせることによって得られる」との記載からみて、積層体の1つの層として構成される硬化物を包含するものであるといえる。 そうすると、甲1発明の「透明塗膜組成物を塗装して、・・・硬化させた、当該透明塗膜組成物の硬化物」は、本件発明1の「樹脂成型体」とは、「樹脂硬化物」である限りにおいて一致する。 甲1発明の「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」及び「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」は、本件発明1の「オレフィン樹脂」と、「樹脂」である限りにおいて一致する。 甲1発明の「UV-1164」は、本件明細書の段落【0021】の「上記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物の例としては、・・・2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名CYASORB(登録商標)UV-1164)、・・・が挙げられる」との記載、段落【0073】の【表1】の実施例1の「CYASORB UV-1164」の「pKa」が「-5.0」であるとの記載からみて、本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン」に相当する。 本件発明1の「前記紫外線吸収剤および前記光安定剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下であ」ることについては、本件明細書の段落【0027】の「上記紫外線吸収剤や上記光安定剤を保護層へ添加する場合、保護層の主成分であるオレフィン系樹脂100重量部に対して、それぞれ0.1~3.0重量部添加することが好ましい」との記載からみて、「紫外線吸収剤」の添加量および「光安定剤」の添加量のそれぞれが「3.0重量部以下であ」ると解される。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「樹脂を主成分とし、 光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂硬化物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-1-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明1では、「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物を塗装して」「硬化させた硬化物」である点。 相違点1-1-2:「樹脂」について、本件発明1では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-1-3:「樹脂硬化物」中に、本件発明1では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-1-4:「樹脂硬化物」中に、本件発明1では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-1-1~相違点1-1-4のうち、事案に鑑みて、相違点1-1-3について検討する。 本件明細書には、背景技術として、「近年、塩化ビニル製化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが多く提案」されており「極めて高い耐候性が要求される」ことが記載され(段落【0002】を参照)、従来技術の問題として、「保護層などの対象とする樹脂層に十分な耐候性が得られる量の紫外線吸収剤や光安定剤を含有させると、樹脂層を構成する樹脂組成物中において当該紫外線吸収剤や光安定剤の凝集が生じる場合がある」こと、「樹脂組成物中において紫外線吸収剤や光安定剤の化学構造が壊れ、低分子化することで、樹脂層の表面から紫外線吸収剤や光安定剤が分解した成分が浮き出す、所謂ブリードアウトが発生しやすくなる」こと、「他の樹脂層との密着性が低下するなどの問題が発生する」こと、「表層に浮き出て、べたつき等の問題を生じることとなる」こと(段落【0005】)があったところ、本件発明は、「耐候性に優れた樹脂成型体および化粧シートを提供すること」を目的とするものであり、このうち、本件発明1は、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを含有し、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」の添加量を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」とし、さらに、「紫外線吸収剤」について特定したものである。 そして、本願明細書の実施例をみると、本件発明1に該当する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」である「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」で含有する実施例1、2、5~15、18~26は、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」の範囲のものでない比較例1~3,どちらかが含まれていないもの又は添加量が「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」ではない比較例7~10に比べて、本件発明の目的である「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができたことが確認されている。 一方、甲第1号証には、段落【0252】~【0259】に、「UV-吸収剤および光安定剤」について膨大な例を示しているが、これらの例のうち、本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」との組合せを選択すること、特に、甲1発明において「光安定剤」として「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を選択する動機付けとなる記載はなく、また、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-1-3について、甲1発明及び甲第1号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、甲第4号証には、請求項1に「下記(A)~(D)成分を下記の割合で含み、(A)~(D)成分のみ、又は(A)~(D)成分、並びに、分散剤、滑剤及び酸化防止剤から選択される1以上の添加剤のみからなり、不可避不純物を含んでもよい、樹脂組成物。 (A)ポリプロピレン系樹脂 16.0~95.8質量% (B)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10~90質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体 1~40質量% (C)150℃~300℃で液体であるリン系難燃剤 3~40質量% (D)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2~4.0質量%」、請求項28に「請求項1~27のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体」が記載され、また、段落【0071】~【0073】に「(D)成分は、カーボネート結合が含まれる化合物が好ましい。カーボネート結合が含まれると、難燃性と耐ブリード性の点に優れる。また、具体的な化合物の一例として以下の化合物が挙げられる。・・・市販品としては、BASF社製FlamestabNOR116FF、TINUVIN NOR371、TINUVIN 123S、TINUVIN XT850FF、TINUVIN XT855FF、株式会社ADEKA製LA-81等を例示することができる」と「(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物」として「株式会社ADEKA製LA-81」が記載されている。そして、「株式会社ADEKA製LA-81」は本件明細書の段落【0026】に列記されている「炭酸ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)」(ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート)であり、段落【0073】の【表1】の実施例6の「LA-81」の「pKa」が「5.5」の化合物であるといえる。 しかしながら、甲第1号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲1発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 また、甲第4号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-1-3について、甲1発明及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明4について (ア)対比 本件発明4と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂硬化物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-4-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明4では、「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものである点。 相違点1-4-2:「樹脂」について、本件発明4では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-4-3:「樹脂硬化物」中に、本件発明4では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-4-4:「樹脂硬化物」中に、本件発明4では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-4-1~相違点1-4-4のうち、事案に鑑みて、相違点1-4-3について検討する。 上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、本件発明は、「耐候性に優れた樹脂成型体および化粧シートを提供すること」を目的とするものであり、このうち、本件発明4は、「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを含有し、「前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲であり、かつ、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」の添加量を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」とし、さらに、「紫外線吸収剤」について特定したものである。 そして、本願明細書の実施例をみると、本件発明4に該当する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」である「紫外線吸収剤」と「光安定剤」を含有し、「前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲であり、かつ、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」とを「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」で含有する実施例1、2、5~15、18~26は、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲のものでない比較例1~3,どちらかが含まれていないもの又は添加量が「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」ではない比較例7~10に比べて、本件発明の目的である「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができたことが確認されている。 一方、甲第1号証には、段落【0252】~【0259】に、「UV-吸収剤および光安定剤」について膨大な例を示しているが、これらの例のうち、本件発明4の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」との組合せを選択する動機付けとなる記載はなく、また、このような「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-4-3について、甲1発明及び甲第1号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第4号証には、本件発明4の「光安定剤」に該当する「株式会社ADEKA製LA-81」は記載されているものの、甲第1号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲1発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 さらに、甲第4号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-4-3について、甲1発明及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明4は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 エ 本件発明6について (ア)対比 本件発明6と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤、を含有する樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂硬化物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-6-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明6では、「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備する「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものであり、「酸変性樹脂層」を具備しない点。 相違点1-6-2:「樹脂」について、本件発明6では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-6-3:「樹脂層」中に、本件発明6では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-6-4:「樹脂層」中に、本件発明6では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-6-1~相違点1-6-4のうち、事案に鑑みて、上記相違点1-6-3について検討する。 相違点1-6-3は、上記相違点1-1-3と同じ相違点であり、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明6は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 オ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤、を含有する樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 ことを特徴とする樹脂硬化物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-7-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明7では、「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備する「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものであり、「酸変性樹脂層」を具備しない点。 相違点1-7-2:「樹脂」について、本件発明7では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-7-3:「樹脂層」中に、本件発明7では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-7-4:「樹脂層」中に、本件発明7では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-7-1~相違点1-7-4のうち、事案に鑑みて、上記相違点1-7-3について検討する。 相違点1-7-3について、本件発明7の「光安定剤」であって「下記式(1)」の化合物は甲第4号証の段落【0071】~【0073】に記載の「株式会社ADEKA製LA-81」に相当するものであるが、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由で、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明7は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 カ 本件発明8について (ア)対比 本件発明8と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 ことを特徴とする樹脂硬化物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-8-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明8では、「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備する「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものであり、「酸変性樹脂層」を具備しない点。 相違点1-8-2:「樹脂」について、本件発明8では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-8-3:「樹脂層」中に、本件発明8では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-8-4:「樹脂層」中に、本件発明8では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-8-1~相違点1-8-4のうち、事案に鑑みて、上記相違点1-8-3について検討する。 相違点1-8-3は、上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における相違点1-4-3の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」について、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差」を「8.0~12.0」の範囲から、さらに「10.5~12.0」と特定したものである。 上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第1号証には、段落【0252】~【0259】に、「UV-吸収剤および光安定剤」について膨大な例を示しているが、これらの例のうち、本件発明8の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」との組合せを選択する動機付けとなる記載はなく、また、このような「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-8-3は、甲1発明及び甲第1号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第4号証には、「株式会社ADEKA製LA-81」は記載されているものの、甲第1号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲1発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 さらに、甲第4号証及び甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点1-8-3は、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明8は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 キ 本件発明9について (ア)対比 本件発明9と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂硬化物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-9-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明9では、「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備する「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものであり、「酸変性樹脂層」を具備しない点。 相違点1-9-2:「樹脂」について、本件発明9では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-9-3:「樹脂層」中に、本件発明9では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-9-4:「樹脂層」中に、本件発明9では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-9-1~相違点1-9-5のうち、事案に鑑みて、上記相違点1-9-3について検討する。 相違点1-9-3は、上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における上記相違点1-4-3と同じ相違点であり、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明9は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ク 本件発明10について (ア)対比 本件発明10と甲1発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 ことを特徴とする樹脂硬化物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-10-1: 「樹脂硬化物」について、本件発明10では、「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備する「樹脂成型体」であるのに対して、甲1発明では、「透明塗膜組成物」を塗装して硬化させたものであり、「酸変性樹脂層」を具備しない点。 相違点1-10-2:「樹脂」について、本件発明10では「オレフィン樹脂」であるのに対し、甲1発明では、「DORESCO(登録商標)TA39-14(アクリル系樹脂、固体80%)」、「CYMEL(登録商標)303(アルキル化アミノ樹脂)」である点。 相違点1-10-3:「樹脂層」中に、本件発明10では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点1-10-4:「樹脂層」中に、本件発明10では、「紫外線吸収剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲1発明では、「UV―1164」を「総樹脂固体に対する重量%として3%」含んでいる点。 (イ)判断 上記相違点1-10-1~相違点1-10-5のうち、事案に鑑みて、上記相違点1-10-3について検討する。 相違点1-10-3に係る本件発明10の「光安定剤」と、相違点1-4-3に係る本件発明4の「光安定剤」とは「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」である点で共通するものである。 相違点1-10-3について、本件発明10の「光安定剤」であって「下記式(1)」の化合物は甲第4号証の段落【0071】~【0073】に記載の「株式会社ADEKA製LA-81」に相当するものであるが、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由で、甲1発明及び甲第1号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明10は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ケ 本件発明11~15について 本件発明11~15は、それぞれ本件発明6~10における「樹脂成型体」について「化粧シート」と特定した発明である。 そうすると、本件発明11~15は、上記「エ 本件発明6について」~「ク 本件発明10について」で述べた理由と同様の理由で、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 コ 申立理由1-1(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1、4、6~15は、甲1発明及び甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、申立理由1-1は理由がない。 (2)申立理由1-2(進歩性)について ア 甲第2号証に記載された発明 甲第2号証には、段落【0063】~【0072】の実施例3に着目すると、以下の「フィルム」が記載されているといえる。 「安定剤を含む軟質プロピレン樹脂のペレット100kgに対して、 紫外線吸収剤2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)1,3,5-トリアジン(サイテックインダストリーズ社製 サイアソーブUV1164)1.1kgを配合して、 40mmφTダイ押出機(成形温度:270℃)で厚み100μmに成形した、 フィルム。」 の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 甲2発明の「40mmφTダイ押出機(成形温度:270℃)で厚み100μmに成形した、フィルム」は、本件発明1の「樹脂成型体」に相当する。 甲2発明の「軟質プロピレン樹脂」は、本件発明1の「オレフィン樹脂」に相当する。 甲2発明の「紫外線吸収剤2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)1,3,5-トリアジン(サイテックインダストリーズ社製 サイアソーブUV1164)」は、本件明細書の段落【0021】の「上記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物の例としては、・・・2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名CYASORB(登録商標)UV-1164)、・・・が挙げられる」との記載、段落【0073】の【表1】の実施例1の「CYASORBUV-1164」の「pKa」が「-5.0」であるとの記載からみて、本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるものに相当する。 また、甲2発明の「紫外線吸収剤」は、「軟質プロピレン樹脂」のペレット100kgに対して「1.1kg」配合されるものであるから、本件発明1と同様に、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むといえる。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、 「オレフィン樹脂を主成分とし、 光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下であり、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-1-1:「樹脂成型体」中に、本件発明1では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であるか明らかでない点。 (イ)判断 上記相違点2-1-1について検討する。 上記「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、本件発明は、「耐候性に優れた樹脂成型体および化粧シートを提供すること」を目的とするものであり、このうち、本件発明1は、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを含有し、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」の添加量を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」とし、さらに、「紫外線吸収剤」について特定したものである。 そして、本願明細書の実施例をみると、本件発明1に該当する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」である「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」で含有する実施例1、2、5~15、18~26は、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」の範囲のものでない比較例1~3,どちらかが含まれていないもの又は添加量が「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」ではない比較例7~10に比べて、本件発明の目的である「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができたことが確認されている。 一方、甲第2号証には、「光安定剤」もしくは「安定剤」について、段落【0057】に「本発明の目的を損なわない範囲で、用途に応じて他のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を追加的に添加してもよい」こと、段落【0058】には「ヒンダードアミン系光安定剤」について多様なものの例示がされており、段落【0059】に「本発明のポリプロピレン樹脂に前記紫外線吸収剤及び所望に応じて用いられる他の紫外線吸収剤、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤等各種添加剤、・・・等を配合することができる」ことが記載されているのみであり、「光安定剤」を用いるとした場合に、本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」との組合せを選択すること、特に、甲2発明において「光安定剤」として「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を選択する動機付けとなる記載はなく、また、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、本件発明1は、甲2発明及び甲第2号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、甲第4号証も、「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、段落【0071】~【0073】に「(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物」として「pKa」が「5.5」の化合物である「株式会社ADEKA製LA-81」が記載されているものの、甲第2号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲2発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 また、甲第4号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、本件発明1は、甲2発明及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明4について (ア)対比 本件発明4と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下であり、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-4-1:「樹脂成型体」中に、本件発明4では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であるか明らかでない点。 (イ)判断 上記相違点2-4-1について検討する。 上記「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、本件発明は、「耐候性に優れた樹脂成型体および化粧シートを提供すること」を目的とするものであり、このうち、本件発明4は、「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを含有し、「前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲であり、かつ、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」の添加量を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」とし、さらに、「紫外線吸収剤」について特定したものである。 そして、本願明細書の実施例をみると、本件発明4に該当する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」である「紫外線吸収剤」と「光安定剤」を含有し、「前記紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲であり、かつ、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」とを「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」で含有する実施例1、2、5~15、18~26は、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKaと、正の数値を示す前記光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」の範囲のものでない比較例1~3,どちらかが含まれていないもの又は添加量が「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」ではない比較例7~10に比べて、本件発明の目的である「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができたことが確認されている。 一方、甲第2号証には、段落【0058】には「ヒンダードアミン系光安定剤」について多様なものの例示がされており、段落【0059】に「本発明のポリプロピレン樹脂に前記紫外線吸収剤及び所望に応じて用いられる他の紫外線吸収剤、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤等各種添加剤、・・・等を配合することができる」ことが記載されているものの、本件発明4の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」との組合せを選択する動機付けとなる記載はなく、また、このような「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、本件発明4は、甲2発明及び甲第2号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第4号証には、本件発明4の「光安定剤」に該当する「株式会社ADEKA製LA-81」は記載されているものの、甲第2号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲2発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 さらに、甲第4号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、本件発明4も、甲2発明及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明4は、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 エ 本件発明6について (ア)対比 本件発明6と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤を含有し、前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-6-1:「樹脂層」中に、本件発明6では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であるか明らかでない点。 相違点2-6-2:「樹脂成型体」において、本件発明6では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲2発明では、「酸変性樹脂層」を具備していない点。 (イ)判断 上記相違点2-6-1について検討すると、相違点2-6-1は、上記相違点2-1-1と同じ相違点であり、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明6は、相違点2-6-2について検討するまでもなく、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 オ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分とし、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤を含有し、前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 ことを特徴とする樹脂硬化物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-7-1:「樹脂層」中に、本件発明7では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であるか明らかでない点。 相違点2-7-2:「樹脂成型体」において、本件発明7では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲2発明では、「酸変性樹脂層」を具備していない点。 (イ)判断 上記相違点2-7-1について検討すると、甲第4号証の段落【0071】~【0073】に記載の「株式会社ADEKA製LA-81」は本件発明7の「光安定剤」であって「下記式(1)」の化合物に相当するものであるが、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由で、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明7は、相違点2-7-2について検討するまでもなく、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 カ 本件発明8について (ア)対比 本件発明8と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-8-1:「樹脂層」中に、本件発明8では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「光安定剤」であるか明らかでない点。 相違点2-8-2:「樹脂成型体」において、本件発明8では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲2発明では、「酸変性樹脂層」を具備していない点。 (イ)判断 上記相違点2-8-1について検討すると、相違点2-8-1は、上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における相違点2-4-1の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」について、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差」を「8.0~12.0」の範囲から、さらに「10.5~12.0」と特定したものである。 そうすると、相違点2-8-1は、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由により、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明8は、相違点2-8-2について検討するまでもなく、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 キ 本件発明9について (ア)対比 本件発明9と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有し、 前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤は、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-9-1:「樹脂層」中に、本件発明9では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であるか明らかでない点。 相違点2-9-2:「樹脂成型体」において、本件発明9では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲2発明では、「酸変性樹脂層」を具備していない点。 (イ)判断 上記相違点2-9-1について検討すると、相違点2-9-1は、上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における上記相違点2-4-1と同じ相違点であり、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明9は、相違点2-9-2について検討するまでもなく、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ク 本件発明10について (ア)対比 本件発明10と甲2発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備し、 前記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2-10-1::「樹脂層」中に、本件発明10では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲2発明では、「安定剤」を含むものの、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であるか明らかでない点。 相違点2-10-2:「樹脂成型体」において、本件発明10では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲2発明では、「酸変性樹脂層」を具備していない点。 (イ)判断 相違点2-10-1について検討する。 相違点2-10-1に係る本件発明10の「光安定剤」と、相違点2-4-1に係る本件発明4の「光安定剤」とは「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」である点で共通するものである。 上記相違点2-10-1について検討すると、甲第4号証の段落【0071】~【0073】に記載の「株式会社ADEKA製LA-81」は本件発明10の「光安定剤」であって「下記式(1)」に相当するものであるが、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由で、甲2発明及び甲第2号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第3号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 (ウ)小括 したがって、本件発明10は、相違点2-10-2について検討するまでもなく、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ケ 本件発明11~15について 本件発明11~15は、それぞれ本件発明6~10における「樹脂成型体」について「化粧シート」と特定した発明である。 そうすると、本件発明11~15は、上記「エ 本件発明6について」~「ク 本件発明10について」で述べた理由と同様の理由で、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 コ 申立理由1-2(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1、4、6~15は、甲2発明及び甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、申立理由1-2は理由がない。 (3)申立理由1-3(進歩性)について ア 甲第3号証に記載された発明 甲第3号証には、段落【0003】、【0031】~【0035】、【0037】の実施例3に着目すると、 「アイオノマー1(メタクリル酸含有量15重量%、金属種Zn(中和度 59%)、MFR0.9g/10分)を100重量部に、紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36RG 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)を0.8重量部混合し、2軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=32)を用いて樹脂温度200℃、押出速度6kg/hで混練し造粒(ペレット化)したペレットと、 メタロセンポリエチレン(mPE)ペレット(メタロセンポリエチレン(mPE)プライムポリマー(株)製 SP2520 密度925kg/cm3、MFR1.9g/10分)とを用いて、 層構成(mPE/アイオノマー1/mPE:厚み比1/8/1)の積層フィルムを共押出機で押出作成して、得られた積層フィルム。」 の発明が記載されており、 「アイオノマー1」は、甲第3号証の請求項1の「エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー」との記載、段落【0012】の「前記アイオノマーの樹脂成分を構成するエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体は、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体であって・・・」との記載からみて、「エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体」であるといえるから、甲第3号証には、 「エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量15重量%、金属種Zn(中和度 59%)、MFR0.9g/10分)を100重量部に、紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)を0.8重量部混合し、2軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=32)を用いて樹脂温度200℃、押出速度6kg/hで混練し造粒(ペレット化)したペレットと、 メタロセンポリエチレン(mPE)ペレット(メタロセンポリエチレン(mPE)プライムポリマー(株)製 SP2520 密度925kg/cm3、MFR1.9g/10分)とを用いて、 層構成(mPE/アイオノマー1/mPE:厚み比1/8/1)の積層フィルムを共押出機で押出作成して、得られた積層フィルム」 の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 甲3発明の「共押出機で押出作成して、得られた積層フィルム」は、本件発明1の「樹脂成型体」に相当する。 本件発明1の「オレフィン樹脂」について、本件明細書の段落【0014】には「本実施形態の樹脂成型体は、化粧シートに用いられる場合、後述のように「保護層」として機能する。以下、樹脂成型体を保護層ということがある」と記載され、段落【0035】には「保護層3の主成分として用いる樹脂材料は、オレフィン系樹脂からなることが好適であり、・・・を単独重合あるいは2種類以上を共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、・・・などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる」ことが記載されており、本件発明1の「オレフィン樹脂」は「エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたもの」も包含しているといえる。 そうすると、甲3発明の「エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量15重量%、金属種Zn(中和度 59%)、MFR0.9g/10分)」は本件発明1の「オレフィン樹脂」に相当するといえる。 甲3発明の「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」は、本件発明1の「本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるものと、「紫外線吸収剤」である限りにおいて一致する。 また、甲3発明の「紫外線吸収剤」は、「エチレン・メタクリル酸共重合体」100重量部に対して「0.8重量部」混合されるものであるから、本件発明1と同様に、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むといえる。 そうすると、本件発明1と甲3発明とは、 「オレフィン樹脂を主成分とし、 紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-1-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明1では「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36RG 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-1-2:「樹脂成型体」中に、本件発明1では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 (イ)判断 上記相違点3-1-1及び3-1-2について、併せて検討する。 上記「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、本件発明は、「耐候性に優れた樹脂成型体および化粧シートを提供すること」を目的とするものであり、このうち、本件発明1は、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを含有し、「紫外線吸収剤」および「光安定剤」の添加量を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」とし、さらに、「紫外線吸収剤」について特定したものである。 そして、本願明細書の実施例をみると、本件発明1に該当する「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」である「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」で含有する実施例1、2、5~15、18~26は、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」の範囲のものでない比較例1~3,どちらかが含まれていないもの又は添加量が「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」ではない比較例7~10に比べて、本件発明の目的である「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができたことが確認されている。 一方、甲第3号証には、段落【0017】~【0018】に、「ベンゾフェノン系」、「ベンゾトリアゾール系」、「トリアジン系」、「ベンゾエート系」の多様な「紫外線吸収剤」が列記されており、「2-〔4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-5-(オクチルオキシ)フェノール(商品名:CYASORB UV-1164)」が1つの例として記載されているものの、多様な「紫外線吸収剤」の中から「2-〔4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-5-(オクチルオキシ)フェノール(商品名:CYASORB UV-1164)」を特に選択する動機付けとなる記載はない。 また、「光安定剤」ないしは「安定剤」について、段落【0020】に「このような組成物には、上記本発明の紫外線吸収機能を阻害しない限りにおいて、目的に応じ任意の添加剤、例えば・・・、耐候性安定剤、・・・などを更に配合することができる」と記載されるのみであり、本件発明1の「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」との組合せを選択すること、特に、甲3発明において「安定剤」として「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を選択する動機付けとなる記載はなく、また、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-1-1及び3-1-2について、甲3発明及び甲第3号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、甲第4号証も、「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、段落【0071】~【0073】に「(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物」として「pKa」が「5.5」の化合物である「株式会社ADEKA製LA-81」が記載されているものの、甲第3号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はないし、甲第4号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-1-1及び3-1-2について、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明4について (ア)対比 本件発明4と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-4-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明4では「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタブ LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-4-2:「樹脂成型体」中に、本件発明4では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 (イ)判断 上記相違点3-4-1及び3-4-2について、併せて検討する。 上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証には、段落【0017】~【0018】に記載の多様な「紫外線吸収剤」が列記されており、「2-〔4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-5-(オクチルオキシ)フェノール(商品名:CYASORB UV-1164)」が1つの例として記載されているものの、多様な「紫外線吸収剤」の中から「2-〔4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-5-(オクチルオキシ)フェノール(商品名:CYASORB UV-1164)」を特に選択する動機付けとなる記載はなく、また、本件発明4の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」との組合せを選択する動機付けとなる記載はなく、また、このような「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-4-1及び3-4-2について、甲3発明及び甲第3号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第4号証には、本件発明4の「光安定剤」に該当する「株式会社ADEKA製LA-81」は記載されているものの、甲第3号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はなく、たとえ、「株式会社ADEKA製LA-81」が本件特許に係る出願の出願日前から知られていた「光安定剤」であったとしても、他にも多様な「光安定剤」が知られていたといえるから、甲3発明において、多様な「光安定剤」の中から、特に「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けがあったとは認められない。 さらに、甲第4号証にも、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-4-1及び3-4-2について、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明4は、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 エ 本件発明6について (ア)対比 本件発明6と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は 「オレフィン樹脂を主成分とし、 紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-6-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明6では「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-6-2:「樹脂層」中に、本件発明6では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」を「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点3-6-3:「樹脂成型体」において、本件発明6では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲3発明では、「メタロセンポリエチレン(mPE)」の層を両面に具備している点。 (イ)判断 上記相違点3-6-1及び相違点3-6-2について併せて検討すると、相違点3-6-1及び相違点3-6-2は、それぞれ上記相違点3-1-1及び相違点3-1-2と同じ相違点であり、上記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明6は、相違点3-6-3について検討するまでもなく、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 オ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分とし、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-7-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明7では「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格」を有し「ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-7-2:「樹脂層」中に、本件発明7では、「pKaが3.0から7.0の光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点3-7-3:「樹脂成型体」において、本件発明7では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲3発明では、「メタロセンポリエチレン(mPE)」の層を両面に具備している点。 (イ)判断 上記相違点3-7-1及び相違点3-7-2について併せて検討する。 まず、「紫外線吸収剤」について、甲第3号証には、段落【0017】~【0018】に、「ベンゾフェノン系」、「ベンゾトリアゾール系」、「トリアジン系」、「ベンゾエート系」の多様な「紫外線吸収剤」が列記されているものの、甲3発明の「ベンゾトリアゾール系」系である「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」に代えて、「pKaが-4.5から-5.5」である「トリアジン系」の「紫外線吸収剤」積極的に選択する動機付けとなる記載はなく、また、本件発明7の「ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」は、甲3発明の「ベンゾトリアゾール系」系である「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R)とは異なるものであり、また、本件発明7の「2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」は甲第3号証に記載されていない。 また、記「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証には、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-7-1及び相違点3-7-2について、甲3発明及び甲第3号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 また、「(1)申立理由1-1(進歩性)について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第4号証には、「株式会社ADEKA製LA-81」が記載されているものの、甲第3号証には、「光安定剤」として「株式会社ADEKA製LA-81」を選択する動機付けとなる記載はないし、甲第4号証にも、「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」と「pKaが3.0から7.0の光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、相違点3-7-1及び相違点3-7-2について、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、相違点3-7-1及び相違点3-7-2について、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえず、また、本件発明7は、相違点3-7-3について検討するまでもなく、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 カ 本件発明8について (ア)対比 本件発明8と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分とし、 紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-8-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明8では「トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格」を有し「ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-8-2:「樹脂層」中に、本件発明8では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、10.5~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点3-8-3:「樹脂成型体」において、本件発明7では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲3発明では、「メタロセンポリエチレン(mPE)」の層を両面に具備している点。 (イ)判断 上記相違点3-8-1及び相違点3-8-2について併せて検討する。 まず、「紫外線吸収剤」について、上記「オ 本件発明7について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証には、甲3発明の「ベンゾトリアゾール系」系である「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」に代えて、「トリアジン系」の「紫外線吸収剤」や「、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」を積極的に選択する動機付けとなる記載はない。 また、「光安定剤」について、本件発明8は、上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における相違点3-4-2の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」について、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差」を「8.0~12.0」の範囲から、さらに「10.5~12.0」とより特定したものである。 そうすると、相違点3-8-2は、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べた理由と同様の理由により、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明8は、相違点3-8-3について検討するまでもなく、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 キ 本件発明9について (ア)対比 本件発明9と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備る、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-9-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明9では「光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤」であって「トリアジン骨格」を有し「2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、もしくは2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-9-2:「樹脂層」中に、本件発明9では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」を、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点3-9-3:「樹脂成型体」において、本件発明9では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲3発明では、「メタロセンポリエチレン(mPE)」の層を両面に具備している点。 (イ)判断 上記相違点3-9-1及び相違点3-9-2について検討すると、相違点3-9-1及び相違点3-9-2は、それぞれ上記「ウ 本件発明4について」「(ア)対比」における上記相違点3-4-1及び相違点3-4-2と同じ相違点であり、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で検討したとおり、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明9は、相違点3-9-3について検討するまでもなく、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ク 本件発明10について (ア)対比 本件発明10と甲3発明とを、上記「イ 本件発明1について」「(ア)対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、 「オレフィン樹脂を主成分として、紫外線吸収剤を含有し、 前記紫外線吸収剤の添加量が、前記オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である樹脂層を具備する、 樹脂成型体」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3-10-1:「紫外線吸収剤」について、本件発明10では「トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格」を有し「ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」であるのに対し、甲3発明では「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」である点。 相違点3-10-2:「樹脂層」中に、本件発明10では、「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「光安定剤」であって「下記式(1)、又は下記式(2)で表される構造を有する」(当審注:「下記式(1)」及び「下記式(2)」の構造式は省略する。)ものを、「オレフィン樹脂100重量部に対して3.0重量部以下」含むのに対し、甲3発明では、「光安定剤」を含んでいない点。 相違点3-10-3:「樹脂成型体」において、本件発明10では「樹脂層のいずれか一方の面に設けられた酸変性樹脂層」を具備するのに対して、甲3発明では、「メタロセンポリエチレン(mPE)」の層を両面に具備している点。 (イ)判断 上記相違点3-10-1及び相違点3-10-2について併せて検討する。 まず、相違点3-10-1に関して、「紫外線吸収剤」について、上記「オ 本件発明7について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証には、甲3発明の「ベンゾトリアゾール系」系である「紫外線吸収剤(旭電化(株)製 アデカスタフ゛LA-36R 構造 2(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)」に代えて、「トリアジン系」の「紫外線吸収剤」や「2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール」を積極的に選択する動機付けとなる記載はない。 次に、相違点3-10-1及び相違点3-10-2に関して、上記「ウ 本件発明4について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証及び甲第4号証には、本件発明10の「紫外線吸収剤に光を照射したときの負の数値を示すpKa」と「正の数値を示す」「光安定剤のpKaとの差が、8.0~12.0」となる「紫外線吸収剤」と「光安定剤」との組合せを選択する動機付けとなる記載はなく、また、このような「紫外線吸収剤」と「光安定剤」とを組み合わせることにより、「耐候性に優れた樹脂成型体」を得ることができることは記載されていない。 そうすると、本件発明10は、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明10は、相違点3-10-3について検討するまでもなく、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 ケ 本件発明11~15について 本件発明11~15は、それぞれ本件発明6~10における「樹脂成型体」について「化粧シート」と特定した発明である。 そうすると、本件発明11~15は、上記「エ 本件発明6について」~「ク 本件発明10について」で述べた理由と同様の理由で、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 コ 申立理由1-3(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1、4、6~15は、甲3発明及び甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項からも容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、申立理由1-3は理由がない。 (4)申立理由のまとめ 上述したとおり、申立理由1-1~1-3(進歩性)は、いずれも理由がない。 第6 むすび 特許第7009784号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、3、5〕について訂正することを認める。 特許第7009784号の請求項2、3、5に係る特許に対する申立てを却下する。 当審が通知した取消理由および申立人がした申立理由によっては、請求項1、4、6-15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、4、6-15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700723

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    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、161・C08L
  • 2021-700988異議申立 / 2021-12-20 / 維持ポリカーボネート-ナノセルロース複合素材およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、161・C08L
  • 2020-700346異議申立 / 2021-03-25 / 訂正認容ホットメルト組成物
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、161・C08L
  • 2018-700760異議申立 / 2019-07-24 / 訂正認容シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像…
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、161・C08L
  • 2018-700795異議申立 / 2019-01-24 / 維持液晶ポリエステル組成物ペレット
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、161・C08L

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