2022-700629
アセプティック充填用ボトル
- 審判番号
- 2022-700629
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-103127外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7012417
- 請求日
- 2022年07月12日
- 審決日
- 2023年02月06日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人R&C
- 【異議申立人】長谷川 陽子
- 分類
- P1651.121-Y (B65D) / P1651.537-Y (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
特許第7012417号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成27年5月20日に出願され、令和4年1月20日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年7月12日に特許異議申立人 長谷川陽子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6の特許に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】口部と肩部と胴部と底部とを備えるアセプティック充填用ボトルであって、前記肩部は、口部と連続する底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する部位であり、前記胴部は、前記肩部と連続する筒状の部位であり、続きを表示(全19行)前記底部は、ボトル本体部の周面が前記底面にかけて徐々に縮径する部位であって、最も前記底面に近い部位であり、前記底部は、設置面に対して接地させる接地部と、前記接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する中央部と、前記中央部における中心部に設けられた、前記中央部よりさらにボトル内側に突入するドーム部と、を有し、前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され、前記境界の位置は、前記ボトル本体部が前記底面にかけて縮径しはじめる高さ方向の位置であって、最も前記底面に近い位置であり、ボトル全体重量に対する前記底部の重量比率が0.146以上0.20未満であるアセプティック充填用ボトル。【請求項2】前記中央部が弧状に形成されている請求項1に記載のアセプティック充填用ボトル。【請求項3】凹状溝部が前記ドーム部から放射状に形成されている請求項1又は2に記載のアセプティック充填用ボトル。【請求項4】前記凹状溝部が前記ドーム部から前記接地部より径方向外側の周縁部まで延びている請求項3に記載のアセプティック充填用ボトル。【請求項5】前記凹状溝部の接地部における深さが2.5mm~5.0mmである請求項3又は4に記載のアセプティック充填用ボトル。【請求項6】前記胴部には、その周面を周回する少なくとも一つの凹状リブが形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載のアセプティック充填用ボトル。」
第3 申立理由の概要
申立人は、甲第1号証~甲第6号証を提出し、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、そして、請求項1~6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備であり特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
[証拠方法]
甲第1号証~甲第6号証それぞれを、以下「甲1」~「甲6」といい、これらをまとめて「甲号証」という。
第4 各甲号証の記載等
1 甲1
(1)甲1の記載事項
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本件特許の出願前に公知となった甲1には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付与したものである。以下同じ。
ア「【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエチレンテレフタレートボトルによれば、バランスのよい肉厚分布を有し、特に底部の薄肉化が可能であり、ボトルの軽量化、コスト削減が可能であると共に、成形性にも優れている。
しかも本発明のポリエチレンテレフタレートボトルにおいては、底部を含めて薄肉化されているにもかかわらず、ボトル軸方向に30kgf以上、特に35kgf以上の高い圧縮荷重をかけても変形することがなく、優れた機械的強度を有している。
また本発明で用いる固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dL/gの範囲となるように調製されたポリエチレンテレフタレートは、風味低下の原因となるアセトアルデヒド等の低分子量成分や、成形時の金型汚れの原因となる環状三量体等のオリゴマーが充分に低減されているため、風味保持性に優れ、頻繁な金型清掃が必要ないため生産性にも優れている。」
イ「【0014】
(PETボトル)
本発明のPETボトルにおいては、口部、肩部、胴部、及び底部を有する、従来公知のポリエステルボトルの種々の形状を採用することが可能であり、大きさも従来公知のすべての内容量に提供される形態をとることができる。
図1は実施例により得られた、本発明のPETボトルの一例を示す側面図であり、このPETボトルは、口部1、肩部2、胴部3がウェスト部4で上部胴部3a及ぶ下部胴部3bに区画されている。また底部5は、胴部3の下端からボトル接地部5aまで連なるヒール部5bとボトル接地部5aからボトル内方に凸の底部5cから成っている。
本発明においては、胴部の平均肉厚が0.20乃至0.50mm、特に0.30乃至0.35μmの範囲にあることが好適であり、また胴部の最も薄い部分の肉厚が0.20乃至0.35mmの範囲、特に0.25乃至0.30μmの範囲にあることが好適である。
また底部の平均肉厚が0.25乃至0.80mm、特に0.45乃至0.70μmの範囲にあることが好適であり、底部の接地部より外側(上記ヒール部)の最も厚い部分の肉厚が0.30乃至0.60mm、特に0.40乃至0.50μmの範囲にあることが好適である。
尚、本発明において、胴部とは、肩部(口部から下方向に行くに従って内径が増大している部分)と底部(接地部より外側で上方に行くに従って内径が増大している部分(上記ヒール部)及び接地部より内側の部分)の間に位置する部分をいう。
ボトルの表面積は、ボトルの表面形状を3次元計測することにより算出できるが、製品図面の電子データから算出することもできる。また金型表面処理などによる微小な凹凸は肉厚に影響しないので無視する。
【0015】
本発明のPETボトルは、ボトル及び内容物をそれぞれ滅菌した後、無菌状態で内容物を充填するアセプティックボトル、或いは自生圧力を有する内容物を充填するための耐圧性ボトルの用途に特に適している。耐圧性ボトルの用途に用いる場合には、所謂ペタロイド型形状、シャンパン型形状等の従来公知の底部形状に成形される。
また本発明のPETボトルは、上述したポリエチレンテレフタレートから成る単層ボトルであることが好適であるが、上述したポリエチレンテレフタレートを内外層とし、他の熱可塑性樹脂を中間層とする多層ボトルであってもよい。
多層ボトルにおいて、中間層として使用し得る他の熱可塑性樹脂としては、これに限定されるものではないが、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂等のガスバリア性樹脂や、かかるガスバリア性樹脂に酸化性有機成分及び遷移金属触媒が配合された酸素吸収性樹脂組成物等、従来公知のものを使用することができる。
多層ボトルの場合、中間層の厚みは、胴部の平均肉厚の0.5乃至25%、底部の平均肉厚の0乃至25%の範囲であることが好ましい。
また上記した他の熱可塑性樹脂を、容器の外観などに影響のない範囲でブレンドして用いることもでき、その場合は0.5乃至25重量%の範囲でブレンドするのが好ましい。」
ウ「【0026】【表1】
[図:0001395230000001.jpg]
式中、W1は胴部の重量、S1は胴部の表面積、W2は底部の重量、S2は底部の表面積
以上の実施例の中でも特に実施例1,2は胴部の肉厚に余裕があり、更に軽量化を進めることが可能と見込まれる。」
エ「【図1】
[図:0001395230000002.jpg]
」
(2)甲1の認定事項
ア 上記【図1】から、肩部2は、口部1の下端と連続していて、下に向かうにつれて徐々に広がる部位であり、胴部3は、肩部2の下端と連続している筒状の部位であり、底部5は、胴部3の下端と連続していて、下に向かうにつれてボトル接地部5aまで徐々に狭まる部位であることが見て取れる。
イ 上記【0014の】「底部(接地部より外側で上方に行くに従って内径が増大している部分(上記ヒール部)及び接地部より内側の部分)」との記載から、底部5の上端の位置は、接地部5aより外側で上方に行くに従って内径が増大している部分の上端であることが理解できる。
ウ 上記【表1】から、実施例1~3における肩部2、胴部3及び底部4の合計の重量に対する底部5の重量比は0.18、0.19及び0.22である。
(3)甲1に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「口部1と肩部2と胴部3と底部5とを有するアセプティックボトルであって、肩部2は、口部1の下端と連続していて、下に向かうにつれて徐々に広がる部位であり、胴部3は、肩部2の下端と連続している筒状の部位であり、底部5は、胴部3の下端と連続していて、下に向かうにつれてボトル接地部5aまで徐々に狭まる部位であり、底部5は、ボトル接地部5aと、ボトル接地部5aからボトル内方に凸の底部5cを有しており、肩部2、胴部3及び底部4の合計の重量に対する底部5の重量比は0.18、0.19又は0.22であるアセプティックボトル。」
2 甲2
(1)甲2の記載事項
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本件特許の出願前に公知となった甲2には、以下の事項が記載されている。
ア「【請求項1】
口部と、該口部の下方に連設された胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルにおいて、
前記底部は、胴部の下端に連設された接地面を有する脚部と、該脚部に包囲された領域に形成されて胴部内方乃至胴部外方に向かって反転自在に傾斜する傾斜部と、該傾斜部に包囲された底部中央部とを備えると共に、
前記傾斜部の外周縁に沿って環状に形成されて該傾斜部の反転時に外周側のヒンジとなる外周ヒンジ部と、該傾斜部の内周縁に沿って環状に形成されて該傾斜部の反転時に内周側のヒンジとなる内周ヒンジ部と、該傾斜部の外周ヒンジ部と内周ヒンジ部との間に環状に形成されて該傾斜部を外周ヒンジ部と内周ヒンジ部との間で屈曲自在とする少なくとも1つの中間ヒンジ部とを備えることを特徴とする合成樹脂製ボトル。」
イ「【0024】
本実施形態の合成樹脂製ボトル1は、図1に示すように、口部2と、該口部2の下方に連設された筒状の胴部3と、該胴部3の下部を閉塞する底部4とを備えている。ボトル1は、射出成形されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の図示しないプリフォームから二軸延伸ブロー成形され、これによって、胴部3及び底部4が二軸延伸された状態で形成されている。また、口部2の外周にはキャップ5(図1においては仮想線示する)を螺着するための螺着部6が形成されている。
【0025】
次に、本実施形態の合成樹脂製ボトル1の底部4について詳しく説明する。底部4は、図2及び図3に示すように、胴部3の下端に連続して形成された環状の脚部7と、該脚部7に包囲された領域に形成された傾斜部8と、底部4の中央部に形成された内方突出部9(底部中央部)とを備えている。脚部7は胴部3の下方に向かって突出するように湾曲した形状であり、その下方先端に、ボトル1を自立させるときに接地する接地面10を備えている。
【0026】
前記傾斜部8の外周縁(脚部7の内周縁との境界)には、外周ヒンジ部11が形成され
ている。また、前記傾斜部8の内周縁(内方突出部9の外周縁との境界)には、内周ヒンジ部12が形成されている。更に、外周ヒンジ部11と内周ヒンジ部12との間には中間ヒンジ部13が形成されている。傾斜部8は、外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13との間で反転自在に傾斜する第1反転部14と、中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12との間で反転自在に傾斜する第2反転部15とによって構成されている。
【0027】
外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12とは、後述するブロー成形時に前記傾斜部8(第1反転部14及び第2反転部15)と共に二軸延伸され、更に、ボトル1に耐熱性を付与する場合には、ヒートセット処理が施される。内周ヒンジ部12は、傾斜部8よりも薄肉に形成されている。外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13とは、傾斜部8よりも薄肉に形成されており、ボトル1の内方に窪んだ断面視湾曲形状とされている。これによって、外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12とは、ヒンジとしての折り曲げ易さを確保しながら第1反転部14及び第2反転部15の反転動作に対する高い折り曲げ強度を得ている。
【0028】
内方突出部9は、内周ヒンジ部12から胴部3の軸線に向かって立ち上がって胴部3の内部に突出し(外側から見て凹入されている)、頂部が略平坦な大略円錐形状に形成されている。内方突出部9の頂部の中心はボトル1の軸心(即ち、底部4の中心)に略一致している。また、内方突出部9は、底部4の外径に応じて適宜大きさを選択することができる。」
ウ「【0040】
以上のように、本実施形態のボトル1によれば、充填後のボトル1内部の減圧が比較的小さいアセプティック充填を行う場合には、第2反転部15の反転凹入のみでボトル1の減圧変形が防止でき、充填後のボトル1内部の減圧が比較的大きいホット充填を行う場合には、第1反転部14と第2反転部15とを共に反転凹入させてボトル1の減圧変形を防止することができるので、ボトル内部の減圧度合いに応じてボトルの内圧を適切に調整することができる。」
エ「【図1】
[図:0001395230000003.jpg]
」
オ「【図3】
[図:0001395230000004.jpg]
」
(2)甲2の認定事項
上記【図1】から、胴部3は、口部2の下方に連設された、下方に行くほど拡径する部位と、当該拡径する部位から下方に連続する筒状の部位とを有し、底部4は、胴部3の下端に連続して形成された周面が、接地面10まで胴部3の下方に向かって縮径する部位と、接地面10から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する、接地面10から外周ヒンジ部11までの部位とを有することが見て取れる。
(3)甲2に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明]
「口部2と、胴部3と、底部4とを備える、アセプティック充填を行う合成樹脂製ボトル1であって、胴部3は、口部2の下方に連設された、下方に行くほど拡径する部位と、当該拡径する部位から下方に連続する筒状の部位を有し、底部4は、胴部3の下端に連続して形成された周面が、接地面10まで胴部3の下方に向かって縮径する部位であり、底部4は、接地する接地面10と、接地面10から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する、接地面10から外周ヒンジ部11までの部位と、外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13との間で反転自在に傾斜する第1反転部14と、中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12との間で反転自在に傾斜する第2反転部15とによって構成されている傾斜部8と、底部4の中央部であって内周ヒンジ部12の内周側に形成された内方突出部9とを有する、アセプティック充填を行う合成樹脂製ボトル1」
3 甲3
本件特許の出願前に公知となった甲3には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0007】一般に現在使用されているこのタイプの補強されたベース部は、添付の図1Aから図1Dに示される。図1Aは、PETのような熱可塑性材料で形成された容器1(ここでは、ほぼ円筒状の回転体の全体形状を有するボトル)であって頂部及び底部の間に延在する本体部2と、頂部における首部(図示略)と、底部におけるベース部3と、を有する容器1の下部分を示す側面図である。ベース部3は、底面図である図1B、図1BのIC-IC線に沿った直径断面図である図1C、及び底部からの斜視図である図1Dにおいて、補強されている。【0008】ベース部3は、容器1の外側に向かう凹面を有して曲線的な全体形状を有するアーチ部4を備え、アーチ部4は、アーチ部4を囲みかつ上記ベース部3が平坦な支持体上に安定して置かれるほぼ平坦な基礎部を形成する環状領域5を有する。その中央部分において、アーチ部4は、同様に外側に向かう凹面を有する曲線的なドーム部6に開口し、これにより、上記ドーム部は、アーチ部に対して容器の内側に向けてずれて位置される。基礎部を形成する環状領域5の外側において、ベース部3は、壁部8であって内側を向き、容器の本体部2の壁部9に接続するための接続壁部8とも称される壁部8を有する。【0009】複数のメインリブ7は、外側に向けて開き、ほぼ平行な端部を有する溝部の全体形状を有し、かつほぼ一定の深さを有し、基礎部及びアーチ部4を形成する環状領域5を横断しながら、ベース部3の内側に向かう壁部8からドーム部6まで星パターン状をなして径方向に延在し、図示の例では、奇数、ここでは5つのメインリブ7がある。ベース部の機械的強度を改良するため、補助リブ10は、加えられており、補助リブ10は、メインリブ7とほぼ同様の構造を有し、かつメインリブ7間に介装されているが、基礎部を形成する環状領域5を横断しながら、アーチ部4の中間部分の範囲のみベース部3の内側に向かう壁部8から星パターン状をなして径方向に延在する。」
(2)「【発明が解決しようとする課題】【0017】このような状況において、本発明は、静止液が充填されかつ原理的には1×105Paのオーダーでありかつ原理的には約2×105Paを越えない比較的小さい圧力がかかった状態で封止される容器についての曲線的なベース部の改良した形状であって、必要とする熱可塑性材料を最小限とし、静止液を対象とした容器のブロー成形または延伸ブロー成形のための従来の条件で正確に形成することが容易であり、静止液用の従来の容器におけるベース部の高さとほぼ同一のオーダーの高さを有する改良した形状を提案することを目的とする。」
(3)「【0033】図2Aから図2Dで示される例において、上記鉤爪状領域11におけるベース部の中心軸Xに最接近する径方向端部14が、ドーム部6の端部15から少し離れたままであり、ドーム部6が、アーチ部4の環状フリンジ部4bであって溝部12の底部13を形成する上記放射状セクション4aに接続する環状フリンジ部4bによって囲まれ、これにより、アーチ部4の視認可能な部分が、図2B及び図2Dで良好に示されるように、放射状の枝状部を有する放射状構造をなす外形を有することは、留意されるだろう。【0034】また、図2Aから図2Dで示される例において、アーチ部4が、曲線的であり、かつここでより具体的にはほぼ球状領域の状態で曲線的になっているが、他の曲線的な形状が、もちろん考慮されることは、留意されるだろう。続きを表示(全17行)【0035】ここでベース部3の全体形状について、基礎部を形成する環状領域5が容器1の本体部2の直径Aの約70%及び90%の間で構成される直径Bを有することと、アーチ部4が基礎部を形成する環状領域5の直径Bの約10%及び25%の間で構成される高さCを有することと、は有利点である。【0036】さらに、ベース部3が基礎部を形成する環状領域5の直径Bよりも約15%大きい高さEを有することは、望ましい。【0037】同じく、ドーム部の高さFがアーチ部の高さCの約10%及び50%の間で構成される、すなわちドーム部6及びアーチ部4によって形成される構造体の全高さD(すなわちドーム部6の高さFとアーチ部4の高さCとの累積高さ)がアーチ部4の高さCの1.10%及び1.50%の間で構成されることは、望ましい。【0038】最後に、ベース部3の幾何形状は、以下の関係、0.70A<B<0.90A0.10B<C<0.25B1.10C<D<1.50C0.15B<Eを有利には適合する。」
(4)「【図2C】[図:0001395230000005.jpg]」
4 甲4
本件特許の出願前に公知となった甲4には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0022】口部1は中身の飲料を注ぎやすいように通常、1.5~4cmの直径で形成されており、また肩部2は、胴径の大きいラベル部3につながるようにラベル部に向かって胴径を拡径させて錐体形状をしている。なお、図1及び図2に示した容器の肩部2は複数のカット面から形成されているが、曲面で形成してもよい。ラベル部3はその外側にシュリンクラベル又はロールラベル等の商品表示ラベルが装着される。そして、ラベル部3は、水平方向に周回する環状リブ27を有している。また、ラベル部3は把持用エンボスを兼ねた減圧吸収部28を有している。胴部4は、主として消費者に把持される箇所であり、ラベル部3とほぼ同様の胴径が与えられるか、或いは、ラベルのこすれを防止するためにラベル部3よりも長辺、短辺共に1mm程度大きい胴径が与えられる。そして、胴部4は、把持用エンボス部15と横波状のリブ9と水平方向に周回する環状リブ26とを有している。把持用エンボス部15は、胴部4の上端部の長辺壁6の中央に設けることが好ましい。把持用エンボス部15の深さは、例えば、8~18mmとする。底部5は、縦リブ29が複数設けられて強度を向上させており、自立型を実現している。環状リブ26,27は、隅壁8では浅い溝状のリブであり、長辺壁6及び短辺壁7ではそれよりも深い溝状のリブである。具体的には、環状リブ26,27は、隅壁8では断面U文字状のリブであり、長辺壁6及び短辺壁7では断面V文字状のリブとしている。そして、断面V文字状のリブは、壁面8におけるリブ底面よりも更に深くなるようにした2段リブとしている。」
(2)「【0031】図3に示すように、容器底部5aの中央5bを中心とする放射状方向に、接地面53を横断する溝状のリブ55を複数本設けてもよい。リブ55は、中央凹入部51が容器の内方向に更に窪むような力が働いた場合、又は、内圧が高まって外方向へ飛び出すような力が働いた場合、容器底部5aが変形することを抑制する。リブ55は、強度向上を目的に設けるため、断面V文字形状としてリブ深さを深くすることが好ましい。リブ55の幅は、例えば、2.0~12.0mm、好ましくは5.0~9.0mm、リブ55の深さは、例えば、2.0~5.0mm、好ましくは2.5~3.5mmとする。リブ55は接地面53を横断し、図3(b)及び(c)に示すように、リブの末端は、縦リブ29を形成していることが好ましい。」
(3)「【図1】[図:0001395230000006.jpg]」
(4)「【図3】[図:0001395230000007.jpg]【図4】[図:0001395230000008.jpg]」
5 甲5
本件特許の出願前に公知となった甲5には、以下の事項が記載されている。
(1)「(54)【意匠に係る物品】包装用瓶」
(2)「【A-A線切断部端面図】[図:0001395230000009.jpg]」
6 甲6
本件特許の出願前に公知となった甲6には、以下の事項が記載されている。
(1)「(54)【意匠に係る物品】包装用びん」
(2)「【B―B端面図】[図:0001395230000010.jpg]」
第5 当審の判断
1 サポート要件違反について
(1)本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0007】そこで、冷凍保存によっても、底部のバックリングを抑制できるアセプティック充填用ボトルの実現が望まれる。」
「【0009】発明者は、中央部をその中心だけボトル内側に突入させたドーム状とするのでなく、その中心のドーム状の形状を保ったまま、ドーム状部分の周縁部から接地部にかけての中央部の全体についても径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する構成にすることで、ボトル底部の強度を一層強化できることを見出した。そして、発明者はさらに、中央部の最大突入高さ、即ち、ドーム状部分の周縁部におけるボトル内側への突入高さを、底部の高さの半分よりも高くなるようにすることで、強度の強化の効果をさらに高められることも見出した。【0010】そして、この構成によれば、発明者の見出した構造、即ち、中央部を接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する形状とするとともに、ドーム状部分の周縁部におけるボトル内側への突入高さを、底部の高さ(即ち、胴部と底部との境界までの高さ)の半分より高くなる状態で形成してあるから、底部の強度を効果的に高めることができる。これにより、冷凍保存における底部のバックリングを効果的に抑制できる。」
「【0033】このようにボトル1において、底部6の中心部にドーム部13を形成するだけでなく、ドーム部13から接地部10にかけての中央部12の全体についても径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する構成にすること、ドーム部側周縁部13aにおけるボトル内側への突入高さを、底部6の高さの半分よりも高くなるようにすること、接地部10からドーム部側周縁部13にかけて弧状に形成することで、底部6の強度を効果的に高めてある。さらに、ドーム部13から周縁部11まで延ばしてある凹状溝部14により底部6の強度を補強してある。これにより、冷凍保存による内容物の体積膨張による底部6のバックリングを抑制できる強度を確保してある。【0034】次に、ボトル1の重量及び容積について説明する。まず、底部6は、ボトル全体重量に対する底部6の重量比率が0.12以上となるように形成されている。つまり、底部6の重量比率を高くすることにより底部6の肉厚が重点的に増すことになり、ボトル全体において底部6について重点的にその強度を強化することができる。その結果として、底部6の強度を、冷凍保存における底部6のバックリングを抑制し得る程度まで高めることができる。下記の表1に、ボトル全体重量に対する底部の重量比率(表1中、底部/全体)と、冷凍保存における破裂・変形の有無(有が×、無が○)との関係を示す。【0035】【表1】[図:0001395230000011.jpg]【0036】表1から明らかなように、ボトル全体重量に対する底部の重量比率が0.12以上、より好ましくは0.14以上のボトルについては、冷凍保存における破裂・変形が無く、その重量比率を下回るボトルについては、冷凍保存における破裂・変形が生じることとなっている。ただし、ボトル全体重量に対する底部の重量比率が0.20以上となると、底部以外の胴部などの部位の肉厚が薄くなり、ブロー成形時や冷凍保存時等における破裂・変形が生じることになる。」
(2)請求項1に記載された「前記底部は、」「前記接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する中央部と、前記中央部における中心部に設けられた、前記中央部よりさらにボトル内側に突入するドーム部と、を有し、前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され」る構成について検討するに、上記(1)のとおり、本件特許の明細書の【0033】には、「底部6の中心部にドーム部13を形成するだけでなく、ドーム部13から接地部10にかけての中央部12の全体についても径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する構成にすること、ドーム部側周縁部13aにおけるボトル内側への突入高さを、底部6の高さの半分よりも高くなるようにすること、接地部10からドーム部側周縁部13にかけて弧状に形成することで、底部6の強度を効果的に高めてある。さらに、ドーム部13から周縁部11まで延ばしてある凹状溝部14により底部6の強度を補強してある。これにより、冷凍保存による内容物の体積膨張による底部6のバックリングを抑制できる強度を確保してある。」と記載されている。
また、請求項1に記載された「ボトル全体重量に対する前記底部の重量比率が0.146以上0.20未満である」構成について検討するに、上記(1)のとおり、本件特許の明細書の【0035】には「表1から明らかなように、ボトル全体重量に対する底部の重量比率が0.12以上、より好ましくは0.14以上のボトルについては、冷凍保存における破裂・変形が無」いことが記載されており、【表1】には、破裂・変形の無いもののうち最も小さい数値として「0.146」が記載されており、さらに本件特許の明細書の【0036】には、「ただし、ボトル全体重量に対する底部の重量比率が0.20以上となると、底部以外の胴部などの部位の肉厚が薄くなり、ブロー成形時や冷凍保存時等における破裂・変形が生じることになる。」と記載されており、「0.20以上」が望ましくない数値であることが理解できる。
(3)そうすると、上記(2)で検討した請求項1の2つの構成により、明細書の発明の詳細に記載された、発明が解決しようとする課題である「底部の強度を効果的に高めること」及び「冷凍保存における底部のバックリングを効果的に抑制」すること(明細書【0010】参照。)が、解決できるといえるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明を拡張したものとまではいえない。
してみると、本件発明1は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものといえ、請求項1に係る発明は特許法第36条第6項第1号の規定を満たすものである。請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~6に係る発明も、同様である。
2 甲1発明を主引用例とする場合の進歩性について
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「口部1」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「口部」に相当し、以下同様に、「肩部2」は「肩部」に、「胴部3」は「胴部」に、「底部5」は「底部」に、「有する」ことは「備える」ことに、「アセプティックボトル」は「アセプティック充填用ボトル」に、「ボトル接地部5a」は「設置面に対して接地させる接地部」に、「底部5c」は「中央部」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明の「底部5」は、「口部1と肩部2と胴部3と底部5」のうち最も下に位置するから、本件発明1の「最も前記底面に近い部位」に相当する。
甲1発明の「口部1の下端と連続していて、下に向かうにつれて徐々に広がる」構成は、本件発明1の「口部と連続する底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する」構成に相当し、
甲1発明の「肩部2の下端と連続している筒状」の構成は、本件発明1の「前記肩部と連続する筒状」の構成に相当し、
甲1発明の「胴部3の下端と連続していて、下に向かうにつれてボトル設置部5aまで徐々に狭まる」構成は、本件発明1の「ボトル本体部の周面が前記底面にかけて徐々に縮径する」構成(本件発明1の「ボトル本体部」については、本件特許の明細書の【0024】の「ボトル本体部3は、肩部4と胴部5と底部6とを備えて構成される。」との記載参照。)に相当し、
甲1発明の「ボトル接地部5aからボトル内方に凸の」構成は、本件発明1の「前記接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する」構成に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点1で一致し、相違点1及び2で相違する。
[一致点1]
「口部と肩部と胴部と底部とを備えるアセプティック充填用ボトルであって、前記肩部は、口部と連続する底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する部位であり、前記胴部は、前記肩部と連続する筒状の部位であり、前記底部は、ボトル本体部の周面が前記底面にかけて徐々に縮径する部位であって、最も前記底面に近い部位であり、前記底部は、設置面に対して接地させる接地部と、前記接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する中央部を有するアセプティック充填用ボトル。」
[相違点1]
本件発明1は「前記中央部における中心部に設けられた、前記中央部よりさらにボトル内側に突入するドーム部」を有し、「前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され、
前記境界の位置は、前記ボトル本体部が前記底面にかけて縮径しはじめる高さ方向の位置であって、最も前記底面に近い位置」であるのに対し、甲1発明は、このような構成を有しない点。
[相違点2]
本件発明1は「ボトル全体重量に対する前記底部の重量比率が0.146以上0.20未満である」のに対し、甲1発明は「肩部2、胴部3及び底部4の合計の重量に対する底部5の重量比は0.18、0.19又は0.22である」点。
イ 判断
相違点1について検討する。
甲3には、「静止液が充填されかつ原理的には1×105Paのオーダーでありかつ原理的には約2×105Paを越えない比較的小さい圧力がかかった状態で封止される容器についての曲線的なベース部の改良した形状」(甲3の段落【0017】参照。)の技術であって、「容器1の本体部2の直径A、基礎部を形成する環状領域5の直径B、アーチ部4の中央のドーム部6を除く高さC、アーチ部4の中央のドーム部6及びアーチ部4によって形成される構造体の全高さD、ベース部3の高さEのとき、
0.70A<B<0.90A
0.10B<C<0.25B
1.10C<D<1.50C
0.15B<E
であるベース部の改良した形状」(甲3の【0036】~【0038】参照。)の技術が記載されている。
しかしながら、甲1発明は、圧力がかかった状態で液体が封止される容器でないから、甲1発明の底部5に、甲3記載の技術を適用する動機付けはない。
また、仮に甲1発明に甲3記載の技術を適用し、ボトル接地部5aの直径をB、ボトル接地部5aから底部5の上端までの高さをE、底部5cの中央にドーム部を付加した際に現れる、底部5cの中央のドーム部6を除く高さをCとしたとき、「0.10B<C<0.25B」及び「0.15B<E」が成立するとしても、必ずしも「2C>E」にならないから、本件発明1の「前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され」る構成は得られない。
したがって、甲1発明及び甲3記載の技術に基いて相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、本件発明1は、上記相違点1に係る本件発明1の構成により、「底部6の強度を効果的に高め」(本件特許の明細書【0033】参照。)るという格別の効果を奏すると認められる。
そうであれば、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲3記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本件発明2~6
本件発明2~6は、本件発明1の構成をすべて含み、請求項2~6に記載された事項により限定をさらに付加したものである。
そうすると、本件発明2~4も、上記(1)で示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲3記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また、本件発明5及び6は、上記(1)で示したのと同様の理由により、甲1発明並びに甲3及び甲4記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3 甲2発明を主引用例とする場合の進歩性について
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比すると、甲2発明の「口部2」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「口部」に相当し、以下同様に、「肩部2」は「肩部」に、「胴部3」は「胴部」に、「底部4」は「底部」に、「アセプティック充填を行う合成樹脂製ボトル1」は「アセプティック充填用ボトル」に、「接地する接地面10」は「設置面に対して接地させる接地部」に、「内方突出部9」は「ボトル内側に突入するドーム部」に、それぞれ相当する。
甲2発明の「胴部3」のうち、「口部2の下方に連設された、下方に行くほど拡径する部位」は、本件発明1の「口部と連続する底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する部位」であって「肩部」に相当し、「当該拡径する部位から下方に連続する筒状の部位」は、本件発明1の「前記肩部と連続する筒状の部位」であって「胴部」に相当し、甲2発明の「底部4」は、「口部2と、胴部3と、底部4」のうち最も下に位置するから、本件発明1の「最も前記底面に近い部位」に相当する。
甲2発明の「胴部3の下端に連続して形成された周面が、接地面10まで胴部3の下方に向かって縮径する」構成は、本件発明1の「ボトル本体部の周面が前記底面にかけて徐々に縮径する」構成(本件発明1の「ボトル本体部」については、本件特許の明細書の【0024】の「ボトル本体部3は、肩部4と胴部5と底部6とを備えて構成される。」との記載参照。)に相当する。
したがって、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点2で一致し、相違点3~6で相違する。
[一致点2]
「口部と肩部と胴部と底部とを備えるアセプティック充填用ボトルであって、前記肩部は、口部と連続する底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する部位であり、前記胴部は、前記肩部と連続する筒状の部位であり、前記底部は、ボトル本体部の周面が前記底面にかけて徐々に縮径する部位であって、最も前記底面に近い部位であり、前記底部は、設置面に対して接地させる接地部と、中心部に設けられた、ボトル内側に突入するドーム部と、を有するアセプティック充填用ボトル。」
[相違点3]
本件発明1は「前記接地部から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する中央部」を有するのに対し、甲2発明は「接地面10から径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する、接地面10から外周ヒンジ部11までの部位」と「外周ヒンジ部11と中間ヒンジ部13との間で反転自在に傾斜する第1反転部14と、中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12との間で反転自在に傾斜する第2反転部15とによって構成されている傾斜部8」とを有する点。
[相違点4]
本件発明1の「ドーム部」は「前記中央部における中心部に設けられ」、「前記中央部よりさらにボトル内側に突入する」構成であるのに対し、甲2発明の「内方突出部9」は、「底部4の中央部であって内周ヒンジ部12の内周側に形成された」構成である点。
[相違点5]
本件発明1は「前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され、
前記境界の位置は、前記ボトル本体部が前記底面にかけて縮径しはじめる高さ方向の位置であって、最も前記底面に近い位置」であるのに対し、甲2発明は、このような構成を有しない点。
[相違点6]
本件発明1は「ボトル全体重量に対する前記底部の重量比率が0.146以上0.20未満である」のに対し、甲2発明は、このような構成を有しない点。
イ 判断
相違点3及び4について検討する。
甲2には、「中間ヒンジ部13と内周ヒンジ部12との間で反転自在に傾斜する第2反転部15とによって構成されている」(甲2【0026】参照。)及び「本実施形態のボトル1によれば、充填後のボトル1内部の減圧が比較的小さいアセプティック充填を行う場合には、第2反転部15の反転凹入のみでボトル1の減圧変形が防止でき・・・(省略)・・・ボトル内部の減圧度合いに応じてボトルの内圧を適切に調整することができる。」(甲2【0040】参照。)との記載があり、アセプティック充填を行うことを前提とすれば、第2反転部15の反転凹入を可能にするための中間ヒンジ部13が必要であって、中間ヒンジ部13を削除して甲2発明の傾斜部8の全体について「径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する」構成とすることはできないから、甲2発明に基いて相違点3及び4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
また、甲1、5及び6に、径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入するよう中央部を構成する技術(以下「甲1、5及び6記載の技術」という。)が記載されているとしても、甲1、5及び6記載の技術を甲2発明に適用して中間ヒンジ部13を削除し、傾斜部8全体が「径方向内側に向かうにつれてボトル内側に突入する」構成とすることは、甲2発明においては想定できないことであるから、甲2発明及び甲1、5及び6記載の技術に基いて相違点3及び4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
次に、相違点5について検討する。
甲2発明に甲3記載の技術を適用する動機付けはなく、また、仮に甲2発明に甲3記載の技術を適用し、ボトル接地部5aの直径をB、ボトル接地部5aから底部5の上端までの高さをE、底部5cの中央にドーム部を付加した際に現れる、底部5cの中央のドーム部6を除く高さをCとしたとき、「0.10B<C<0.25B」及び「0.15B<E」が成立するとしても、必ずしも「2C>E」にならないから、本件発明1の「前記中央部のドーム部側周縁部におけるボトル内側へのボトル外面の突入高さが、前記接地部から前記胴部と前記底部との境界までの高さの半分より高くなる状態で形成され」る構成は得られない。
したがって、甲2発明及び甲3記載の技術に基いて相違点5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そうであれば、相違点6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また甲2発明並びに甲1、3、5及び6記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本件発明2~6
本件発明2~6は、本件発明1の構成をすべて含み、請求項2~6に記載された事項により限定をさらに付加したものである。
そうすると、本件発明2~4も、上記(1)で示したのと同様の理由により、甲2発明及び甲3記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また甲2発明並びに甲1、5及び6記載の技術並びに甲3記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。そして、本件発明5及び6は、上記(1)で示したのと同様の理由により、甲2発明並びに甲3及び甲4記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また。甲2発明並びに甲1、3、5及び6記載の技術並びに甲3及び甲4記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできい。
第6 むすび
したがって、本件発明1~6に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700629