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特許異議申立

2022-700604

整腸剤

審判番号
2022-700604
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-161950
登録番号
7093484
請求日
2022年07月08日
審決日
2023年03月24日
公報発行日
2023年04月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社東洋新薬
  • 【権利者代理人】森本 敏明
  • 【異議申立人】豊田 享子
審判長/審判官
  • 審判長 森井 隆信
  • 審判官 馬場 亮人
  • 審判官 大久保 元浩
分類
P1651.121-Y (A61K) / P1651.536-Y (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法114条4項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第4号、特許法第114条第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7093484号発明「整腸剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7093484号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7093484号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、平成27年8月19日に出願され、令和4年6月22日にその特許権の設定登録がされ、同月30日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許についての特許異議申立の期間内である令和4年7月8日に特許異議申立人 豊田 享子(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがなされた。 第2 本件発明 特許異議の申立てがなされた特許第7093484号の請求項1の特許に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、特許第7093484号の請求項1の特許に係る発明を、「本件発明」ということがある。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。)。 「【請求項1】 大麦の葉及び/又は茎の粉末 (大麦若葉より葉軸部及び葉脈部を除去することによって得られる大麦若葉末を除く)を含有する整腸剤であって、 前記粉末は、平均粒子径が14.0μm以下である粉末である、前記整腸剤。」 第3 申立ての理由の概要及び証拠 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、本件発明についての特許を取り消すべき理由として、以下の「1」に概要を示す(1)及び(2)の申立ての理由(以下「申立理由1」等という。)を主張するとともに、証拠方法として、以下の「2」に示す甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等という。)を提出した。 1 申立人による申立ての理由の概要 (1)申立理由1(進歩性) 本件発明は、甲1に記載された発明、及び、甲2~甲4の記載から当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(実施可能要件) 本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明を当業者が実施できるように記載されておらず、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立人が提出した証拠(証拠方法) 甲第1号証:"東洋新薬 特許微粉砕製法の『大麦若葉末』が乳酸菌を増やし免疫力を高めることを確認"、2015年5月25日、東洋新薬 NEWS RELEASE、インターネット、<URL:https://prtimes.jp/a/?c=12067&r=16&f=d12067-20150522-6152.pdf> (当審注:申立書の「5 証拠方法」、及び、申立書とともに提出された証拠説明書には、甲1のURLとして、「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000012067.html」が記載されているものの、提出された甲1は、当該URLのウェブページ自体ではなく、当該ウェブページ中に記載された、上記「https://prtimes.jp/a/?c=12067&r=16&f=d12067-20150522-6152.pdf」へのリンクが設定された「プレスリリースファイル」ボタンを押下することにより取得できる、PDFファイルの写しであると認められる。したがって、申立書の「5 証拠方法」、及び、証拠説明書における、甲1のURLは、「https://prtimes.jp/a/?c=12067&r=16&f=d12067-20150522-6152.pdf」の明らかな誤記であると認める。) 甲第2号証:特開2005-204598号公報 甲第3号証:特開2003-212788号公報 甲第4号証:特開2003-144949号公報 甲第5号証:木下 健、"島津レーザ回折式粒子径分布測定装置SALDシリーズの食品分野への応用"、島津評論 別刷、2012年、第69巻、第1・2号、第71~78頁 第4 申立理由についての当審の判断 1 申立理由1(進歩性)について (1)甲1の記載事項及び甲1に記載された発明 本決定において、引用箇所等に付した下線は、注記がない限り、いずれも当審合議体によるものである。 ア 甲1の記載事項 甲1には以下の事項が記載されている 甲1a(第1頁「大麦若葉末とは」) 「『大麦若葉末』は、イネ科オオムギの若葉部を乾燥、微粉砕加工した青汁の原料として用いられる機能性食品素材です。 当社では、大麦若葉の微粉砕製法(特許第3277181号)を確立し、嗜好性に優れた大麦若葉末を提供しています。また、大麦若葉末の食物繊維を関与成分として平成22年8月23日付けで便通改善作用を許可表示とした特定保健用食品の許可を受けています。 大麦若葉末の機能性について研究を重ねており、これまでに腸内環境改善をはじめ、血中中性脂肪上昇抑制、コレステロール低下、血糖値上昇抑制、大腸ガン抑制、潰瘍性大腸炎抑制、カルシウム吸収促進など様々な作用を確認しています。」 甲1b(第1頁「研究の背景」) 「・・・ 本研究では当社の特許製法である『微粉砕製法』にフォーカスし、大麦若葉の粉砕加工による粒度の違いが、腸内環境および腸管免疫〔注1(当審注:注の数字は丸付きのもの。以下も同様)〕機能に及ぼす影響を検証しました。」 甲1c(第1頁「発表骨子」) 「粒度の異なる大麦若葉末をマウスの餌に混合し14日間摂取させ、摂取期間終了時に腸内環境改善作用および腸管免疫機能の活性化作用を検証する指標として、糞中の腸内細菌叢〔注2〕の変化および糞中のIgA量〔注3〕を評価しました。 その結果、粒度の大きい大麦若葉末を餌に混合した群(粒度大群)と粒度の小さい大麦若葉末を餌に混合した群(粒度小群)の両群では、大麦若葉末を含まない群(コントロール群)に比べ、糞中の乳酸菌の一種であるLactobacillus属〔注4〕量および細菌、ウイルスから感染を防ぐ役割を果たすIgA量が有意に増加しました。 さらに、粒度小群では粒度大群に比べ糞中のLactobacillus属およびIgA量の増加傾向が確認されました(図1、 図2参照)。 以上のことから、大麦若葉末には腸内環境改善作用および腸管免疫機能の活性化作用があり、大麦若葉末の粒度を小さくするほど両作用が高まることが示唆されました。」 甲1d(第2頁図1、図2) 「 [図:0001396286000001.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 甲1a、cの下線部における、大麦若葉末の「便通改善作用」、「腸内環境改善作用」及び「腸管免疫機能の活性化作用」は、整腸作用であるといえる。 また、甲1には、大麦若葉末の粒子径について言及されていないところ、上記甲1aにおける特許3277181号(以下「文献A」という。)には、以下の記載がある。 [文献A:特許3277181号](特許請求の範囲) 「【請求項1】 緑葉の水分含量が5重量%以下となるまで該緑葉を乾燥する工程; 該乾燥した緑葉を粗粉砕する工程; 該粗粉砕した緑葉を110℃以上で加熱する工程;および該加熱した緑葉を微粉砕する工程、 を包含する、緑葉乾燥微粉末の製造方法。 【請求項2】 前記乾燥する工程が、緑葉の水分含量が5重量%より多く25重量%以下となるまで一次乾燥した後、該一次乾燥した緑葉の水分含量が5重量%以下となるまで、一次乾燥よりも高くかつ90℃以下の乾燥温度で二次乾燥する工程である、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記粗粉砕する工程が、前記乾燥した緑葉を0.1~10mmの大きさに粗粉砕する工程であり、かつ前記微粉砕する工程が、前記加熱した緑葉を90重量%が200メッシュ区分を通過するように微粉砕する工程である、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記加熱する工程が、前記粗粉砕した緑葉を加圧蒸気処理する工程である、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記緑葉が麦類の緑葉である、請求項1に記載の方法。」 そして、上記甲1a及び甲1bのとおり、甲1は、上記文献Aに記載された微粉末の製造方法にフォーカスしたものであるから、甲1に記載された大麦若葉末は、文献Aに記載されるように、大麦若葉を乾燥する工程、該乾燥した葉を粗粉砕する工程、該粗粉砕した葉を加熱する工程、及び、該加熱した葉を90重量%が200メッシュ区分を通過するように微粉砕する工程により得られる、粒度小のものであるといえる。 そうすると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。 「大麦若葉を乾燥する工程、該乾燥した葉を粗粉砕する工程、該粗粉砕した葉を加熱する工程、及び、該加熱した葉を90重量%が200メッシュ区分を通過するように微粉砕する工程により得られる、粒度小の大麦若葉末を含有する整腸剤。」(以下「甲1発明」という。) (2)当審の判断 ア 対比 本件発明と甲1発明を対比する。 甲1発明の「大麦若葉」は本件発明の「大麦葉」に相当するから、甲1発明の「大麦若葉末」は本件発明における「大麦の葉及び/又は茎の粉末」に相当する。 また、甲1には、甲1発明における大麦若葉末を得る際に、大麦若葉より葉軸部及び葉脈部を除去したことは記載されていないから、甲1発明には、これらを除去することによって得られる大麦若葉末以外の大麦若葉末が当然に含まれることになる。 そうすると、本件発明と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 大麦の葉の粉末(大麦若葉より葉軸部及び葉脈部を除去することによって得られる大麦若葉末を除く)を含有する整腸剤 <相違点> 本件発明は「前記粉末は、平均粒子径が14.0μm以下である粉末」であるのに対して、甲1発明では「90重量%が200メッシュ区分を通過するように微粉砕する工程により得られる、粒度小」と特定されるにとどまり、具体的な平均粒子径が特定されていない点 イ 判断 (ア)甲1と甲2の組み合わせについて a 甲1には、甲1発明における大麦若葉末の平均粒子径について言及されていないところ、上記文献Aの出願日前に公知であった以下の文献B~Dには、それぞれ以下の記載がある。 [文献B:特開平11-117122号公報](【0014】) 「【0014】・・・、本発明に於いては、目開き200メッシュ以下(タイラー標準ふるいによる呼称で、200メッシュは、JIS74μに相当するので、74μm以下の小さい目開きのものを意味する)のスクリーンメッシュが好ましい。・・・」 [文献C:特開平10-80613号公報](【0009】) 「【0009】・・・、前記濾過部1aの透過孔径よりも大きい74μmの目開きのもの(JIS規格200メッシュ標準篩相当)を用いている。・・・」 [文献D:特開平8-304347号公報](【0025】) 「【0025】上記水不溶性非磁性体粒子からなる粉末は、200メッシュ(目開き74μm・JIS-Z-8801)のフルイを通過する既知の粒子粉末であって、本発明に係る粉末状分散剤の他の成分(界面活性剤等)と非蛍光磁粉や蛍光磁粉に悪影響を与えないものであればよく、このような粒子粉体としては、次の各粉体が挙げられる。」 このような、文献B~Dの記載によれば、文献Aにおける「200メッシュ」は、JIS規格200メッシュ標準篩に相当する、目開き74μmの篩いを意味するものと解されるから、甲1発明における「加熱した葉を90重量%が200メッシュ区分を通過するように微粉砕する工程により得られる、粒度小の大麦若葉末」の粒子径は、90重量%が目開き約74μmの篩いを通過する程度のものであるといえる。 したがって、甲1において、大麦若葉末の平均粒子径を14.0μm以下とすることが、記載あるいは示唆されているとはいえない。 b 甲2には、「アミノ酸等の成分を全て残すことができ、濃い味や色が得られて、喉ごしも良く飲みやすくなる稲科植物の若葉粉末及びその製造方法を提供せんとする」(【0004】)ことを課題として、「大麦,小麦,イネ等の稲科植物の苗を、平均粒度20μの微粉末」(特許請求の範囲、【0004】)を得たことが記載されているものの、当該微粉末の平均粒子径を14.0μm以下にすることは記載も示唆もされていない。 c そうすると、甲1及び甲2のいずれにも、大麦若葉末の平均粒子径を14.0μm以下にすることは記載も示唆もされていないから、甲2の記載を参酌しても、甲1発明において、大麦若葉末の平均粒子径を14.0μm以下とすることに、当業者が動機付けられたとはいえない。 (イ)甲1~甲4の組み合わせについて 甲3には、「細胞の薬効成分を丸ごと得られる植物等の細胞壁破砕粉末を提供することを目的」(【0007】)として、「粒径で3μm以下が90%以上となる超微粉砕体」(特許請求の範囲、【0007】、【0008】)を提供することが記載されており、当該植物として、「大麦若葉」(【0023】)を使用できることも記載されている。 また、甲4には、従来の方法では、「天然物を段階的に粉砕していかなければならず、工程が長い」(【0021】)という課題があったところ、「1段粉砕で最大粒子径30μm以下」、さらには「最大粒子径10μm以下」に、「超微粉砕することができる」方法を提供することが記載されており(特許請求の範囲、【0022】、【0024】)、当該天然物として、「大麦葉」(【0037】)を使用できることも記載されている。 しかしながら、甲3、甲4の解決しようとする課題は、いずれも、甲1発明の課題である、腸内環境改善作用及び腸管免疫機能活性化作用が高まった整腸剤を提供することとは異なるものであり、また、甲3、甲4における大麦若葉あるいは大麦葉に関する記載は、使用できる植物等の一例であって、甲3、甲4のいずれにも、実際に、大麦若葉末を製造し、その腸内環境及び腸管免疫に関する作用を確認したことは記載されていないから、上記(ア)bに示した甲2の記載に加えて、甲3、甲4の記載を参酌したとしても、甲1発明において、大麦若葉末の平均粒子径を14.0μm以下とすることに、当業者が動機付けられたとはいえない。 (ウ)本件発明の効果について さらに、本件発明の効果は、本件明細書の【0017】及び実施例の記載から理解されるように、大麦の茎葉の粉末の平均粒子径を14.0μm以下とすることにより、それより大きい平均粒子径を有する大麦茎葉粉末に比して、糞便量、糞中のIgA量及び腸内有用細菌が増加し、便通改善作用、腸内環境改善作用及び腸管免疫賦活化作用に優れた整腸剤が得られる、というものであるが、甲1~甲4のいずれにも、大麦の茎葉の粉末を14.0μm以下とすることにより、そのような効果が得られることは記載されておらず、それを推認できるような記載もないことから、本件発明の当該効果は、甲1~甲4の記載から当業者が予測し得たものとはいえない。 (エ)小括 したがって、本件発明は、甲1に記載された発明、及び、甲2~甲4に記載された事項、並びに、本件特許の出願前の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について ア 申立人は、申立書において、以下(ア)及び(イ)の2点を主張している。 (ア)「甲第1号証の記載と、甲第2号証の記載から、甲第2号証における便通改善効果は、大麦若葉末の腸内環境改善作用によるものと当業者は理解できる。また、甲第1号証の記載から、甲第2号証における「平均粒度20μ」よりさらに粒度を小さくすると、腸内環境改善作用が高まるものと当業者は容易に想到できる。「平均粒度20μ」よりさらに小さい粒度である平均粒子径14.0μm以下の大麦若葉の粉末を整腸剤とすることは当業者に容易想到である。」(申立書第6頁1~6行) (イ)「また、甲第3号証には、植物の細胞壁破砕粉末に関する発明が記載されており、粒径で3μm以下が90%以上となる超微粉砕体が開示されている(請求項1等)。植物の例として大麦若葉についても記載されており([0023])、腸内環境を整えることについての記載もある([0013])。ここで、「粒径で3μm以下が90%以上」は、本件特許発明の「平均粒子径14.0μm以下」の範囲に該当することは明らかである。 さらに、甲第4号証には、天然物の超微粉砕法に関する発明が記載されており、最大粒子径を30μm以下に超微粉砕すること(請求項1等)や、最大粒子径10μm以下に超微粉砕すること(請求項2等)が記載されている。また、天然物としては、大麦葉等も挙げられている([0037])。さらに、整腸作用に関する記載もある([0003])。ここで、本件特許明細書の表8を見ると、大麦茎葉乾燥粉末(粒度小)のD90の値を見ると、最大値41.68μm、最小値30.15μmと記載されていることから、甲第4号証における「最大粒子径30μm以下」の範囲は、本件特許発明1における「平均粒子径14.0μm以下」と近い範囲を包含しているものと理解できる。また、「最大粒子径10μm以下」は、本件特許発明の「平均粒子径14.0μm以下」の範囲に該当することは明らかである。 よって、甲第1号証及び甲第2号証の記載から、腸内環境改善作用をさらに高めることを期待して、甲第3号証及び甲第4号証の記載を基に、甲第2号証の粒径よりさらに小さいものとすることは当業者に容易想到であり、その効果も予測可能な範囲内といえる。」(申立書第6頁7~24行) イ しかしながら、甲2~甲4の記載を参酌したとしても、甲1発明において、大麦若葉末の平均粒子径を14.0μm以下とする動機付けがないことは、上記(2)イ(ア)、(イ)に説示したとおりであり、また、本件発明が、当業者の予測を超える顕著な効果を奏するものであることは、上記(2)イ(ウ)に説示したとおりである。 したがって、申立人の上記主張はいずれも採用できない。 (4)申立理由1についての小括 以上のとおり、本件発明は、甲1に記載された発明、及び、甲2~甲4に記載された事項、並びに、本件特許の出願前の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、本件の請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当しないから、申立理由1によって取り消すことはできない。 2 申立理由2(実施可能要件)について (1)申立理由2(実施可能要件)の具体的な内容 申立人は、申立書において、甲5には、大麦若葉粉末の粒子径分布を測定する際の分散媒の違いにより、測定結果が異なることが記載されている(図7)ところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、分散媒等の具体的な測定条件の記載がないことをもって、本件発明の「平均粒子径が14.0μm以下である粉末」は、どのような分散媒、測定条件における平均粒子径であるかが明らかではなく、当業者が、本件発明を実施することができない、旨を主に主張している。 (2)当審の判断 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明における粉末の平均粒子径は、レーザー回折散乱光式粒度分布測定装置で測定できることが、装置の具体的な商品名とともに、記載されている(【0055】、【0092】)。 さらに、本件発明の整腸剤は食品のように経口での使用を意図したものであるところ、甲5(P.71「要旨」第1~2行)に、「食品分野においては、・・・様々な目的で粒子径分布測定が行われており、レーザ回折式粒子径分布測定装置が利用されている。」と記載されているように、食品分野において、上記粒度分布測定装置を用いて粒子径分布を測定する方法は、本件特許の出願時点において、当業者に周知の手法であったと認められる。 したがって、当業者であれば、本件特許出願時の技術常識に基づいて、平均粒子径が14.0μm以下である、大麦の葉及び/又は茎の粉末を製造することができ、そのような粉末を含む整腸剤を得ることができるといえる。 よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。 そして、使用する分散媒等の測定条件によって平均粒子径が多少異なることがあるとしても、測定条件に応じて測定される、「平均粒子径が14.0μm以下である粉末」を得ることはできるのであるから、申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由2についての小括 以上のとおり、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明を当業者が実施できるように記載されており、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、特許法第113条第4号に該当するものではないから、申立理由2によって取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、特許法第114条第4項の規定により、本件の請求項1に係る特許について、結論のとおり決定する。

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2022-700604

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