特許異議申立
2022-700537
光源ユニットおよびそれを備えた照明器具
- 審判番号
- 2022-700537
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-177393
- 登録番号
- 6982812
- 請求日
- 2022年06月17日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人北斗特許事務所
- 【異議申立人】井澤 幹
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 筑波 茂樹
- 審判官 出口 昌哉
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.161-YAA(F21S)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6982812号発明「光源ユニットおよびそれを備えた照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6982812号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
特許第6982812号の請求項1、3~9に係る特許を維持する。
特許第6982812号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6982812号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成27年6月15日に出願した特願2015-120364号(優先権主張 平成27年5月11日)の一部を令和元年6月27日に新たな特許出願とした特願2019-119511号の一部を令和2年10月22日に新たな特許出願としたものであって、令和3年11月25日にその特許権の設定登録がされ、同年12月17日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 6月17日 :特許異議申立人 井澤 幹(以下「申立人」
という。)による請求項1~9に係る特許に
対する特許異議の申立て
同年10月 6日付け:取消理由通知
同年12月12日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
令和5年 2月17日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部と、
前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と、
を備え、
前記無線通信部の前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置されている、」とあるのを、
「前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、
前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、
を備え、
前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置され、
前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出し、
前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3~9も同様に訂正する)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載の光源ユニット。」とあるのを、「請求項1に記載の光源ユニット。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~9も同様に訂正する)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項に記載の光源ユニット。」とあるのを、「請求項1又は3に記載の光源ユニット。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5~9も同様に訂正する)。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の光源ユニット。」とあるのを、「請求項1、3、4のいずれか1項に記載の光源ユニット。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~9も同様に訂正する)。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「前記無線通信部は、回路基板と、該回路基板を収容する収容ケースと、を備え、前記回路基板は、前記アンテナ部が設けられる第1領域と、前記通信回路部が設けられる第2領域と、を有しており、」とあるのを、
「前記回路基板は、前記アンテナ部が設けられる第1領域と、前記通信回路部が設けられる第2領域と、を有しており、」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7~9も同様に訂正する)。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に
「前記支持部材は、
前記光源部が取り付けられる板状の取付部を備え、
該取付部の厚み方向に貫通する開口部を有しており、
前記収容ケースは、前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を備え、
前記アンテナ収容部は、前記開口部に挿通され、かつ前記カバー部材に向かって突出するように前記空間に配置される、」とあるのを、
「前記支持部材は、
前記光源部が取り付けられる板状の取付部を備え、
該取付部の厚み方向に貫通する開口部を有しており、
前記アンテナ収容部は、前記開口部に挿通され、かつ前記カバー部材に向かって突出するように前記空間に配置される、」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8、9も同様に訂正する)。
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1項に記載の光源ユニット。」とあるのを、「請求項1、3~7のいずれか1項に記載の光源ユニット。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の光源ユニットと」とあるのを、「請求項1、3~8のいずれか1項に記載の光源ユニットと」に訂正する。
(10) 訂正事項10
願書に添付した明細書の段落【0008】に
「上記無線通信部は、電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部と、上記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と、を備える。上記無線通信部の上記通信回路部は、上記支持部材における上記カバー部材とは反対側に配置されている。」とあるのを、
「上記無線通信部は、電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び上記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、上記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び上記蓋体が被せられるケース本体を有し、上記回路基板を収容して上記支持部材に固定される収容ケースと、を備える。上記通信回路部は、上記支持部材における上記カバー部材とは反対側に配置されている。上記アンテナ収容部は、上記カバー部材に向かって突出する。上記収容ケースの内部から外部へ導出して上記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている。」に訂正する。
本件訂正請求は、一群の請求項〔1~9〕に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1~9〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存
否
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
(ア) 訂正事項1のうち「前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、
前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、
を備え、」と特定すること、及び
「前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出し、
前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている」と特定することは、
回路基板、蓋体及びケース本体を有する収容ケース、アンテナ収容部、配線コードに関する特定を付加することで訂正前の「無線通信部」の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 訂正事項1のうち訂正前の「前記無線通信部は、・・・通信回路部と、を備え、前記無線通信部の前記通信回路部は、前期支持部材における・・・」とあったのを、「前記無線通信部は、・・・通信回路部を設けた回路基板と、・・・を備え、前記通信回路部は、」とすることは、重複していた「前記無線通信部」を整理して、冗長であった記載を修正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア) 訂正事項1のうち「電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、」との特定について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の段落【0030】には「回路基板6は、アンテナ部2aが設けられる第1領域6caと、通信回路部2bが設けられる第2領域6cbとを有している。」と記載されている。よって、上記特定は明細書等に記載されたものである。
(イ) 訂正事項1のうち「前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、」との特定について、明細書等の段落【0032】には「収容ケース7は、たとえば、蓋体7aと、ケース本体7bと、を備えた構成とすることができる。収容ケース7は、ケース本体7bに回路基板6を収容し、蓋体7aを被せることで、内部が空洞な箱状とすることができる。収容ケース7は、アンテナ部2aを蓋体7aに収容させ、通信回路部2bをケース本体7bに収容できるように、回路基板6を配置している。蓋体7aは、アンテナ部2aを収容するアンテナ収容部7cを構成している。収容ケース7は、支持部材4に固定させることができるように、長手方向に突出した板状の固定部7dを、ケース本体7bに備えている。」と記載されている。よって、上記特定は明細書等に記載されたものである。
(ウ) 訂正事項1のうち「前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出し、」との特定について、明細書等の段落【0037】には「アンテナ収容部7cは、開口部4aaに挿通され、かつカバー部材5に向かって突出するように空間10aaに配置される。」と記載されている。よって、上記特定は明細書等に記載されたものである。
(エ) 訂正事項1のうち「前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている」との特定について、明細書等の段落【0047】には「無線通信部2は、回路基板6と電気的に接続された配線コード2fを介して、点灯ユニット8と電気的に接続される。」と、段落【0074】には「無線通信部2は、切欠部7nを介して、配線コード2fを収容ケース7の内部から外部に導出できるように構成されている。」と記載されている。よって、上記特定は明細書等に記載されたものである。
(オ)したがって、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、また、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、請求項を削除することが、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(3) 訂正事項3~5について
訂正事項3~5は、請求項3~5が引用する請求項の選択肢の中から、請求項2を削除することで、請求項2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、選択肢のうちの一つを削除することが、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(4) 訂正事項6、7について
訂正事項6は、訂正事項1に係る訂正により、請求項1が「前記無線通信部は、・・・回路基板と、・・・前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、を備え」との特定事項を含むものとなったことから、請求項1を間接的に引用する請求項6の「前記無線通信部は、回路基板と、該回路基板を収容する収容ケースと、を備え、」との構成を削除するものである。また、訂正事項7は、訂正事項1に係る訂正により、請求項1が「前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体・・・を有し、・・・収容ケースと、」との特定事項を含むものとなったことから、請求項1を間接的に引用する請求項7の「前記収容ケースは、前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を備え、」との構成を削除するものである。
訂正事項6、7は、訂正事項1に係る訂正に伴い、訂正後の請求項1で特定された発明特定事項と重複する発明特定事項を削除することで、他の請求項の記載との関係において不合理が生じているのを解消するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項1に係る訂正に伴い重複した事項を、上記のとおり削除することが、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(5) 訂正事項8、9について
訂正事項8、9は、請求項8、9が引用する請求項の選択肢の中から、請求項2を削除することで、請求項2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、選択肢のうちの一つを削除することが、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(6) 訂正事項10について
訂正事項10は、訂正事項1に係る訂正に伴い、訂正後の請求項1で特定された発明特定事項と、発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項10は、訂正事項1と同様の内容であるから、上記(1)イ及びウで検討したのと同様に、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」で説示したとおり、本件訂正請求は認められたから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明9」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
光源部と、
電波を媒体として無線通信を行う無線通信部と、
前記光源部および前記無線通信部を保持する保持体と、
前記光源部の点灯を制御する制御部、及び前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部を備える点灯ユニットと、
を備え、
前記保持体は、
長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材と、
を有し、
前記無線通信部と前記点灯ユニットとは、前記支持部材の長手方向において互いに離れた位置に配置され、
前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、
前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、
を備え、
前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置され、
前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出し、
前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている、
光源ユニット。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記支持部材は、前記光源部が取り付けられる取付部を備え、
前記点灯ユニットは、前記支持部材における前記光源部と反対側に、保持される、
請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記光源部は、
前記支持部材に取り付けられて支持される長尺の実装基板と、
前記実装基板の長手方向に沿って前記実装基板に実装される複数の発光素子と、
を備える、
請求項1又は3に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、樹脂材料により電波を透過させるように構成され、
前記アンテナ部は、前記カバー部材により形成された前記空間に配置されている、
請求項1、3、4のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記回路基板は、前記アンテナ部が設けられる第1領域と、前記通信回路部が設けられる第2領域と、を有しており、
前記収容ケースは、樹脂材料により電波を透過させるように構成されることを特徴とする請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記支持部材は、
前記光源部が取り付けられる板状の取付部を備え、
該取付部の厚み方向に貫通する開口部を有しており、
前記アンテナ収容部は、前記開口部に挿通され、かつ前記カバー部材に向かって突出するように前記空間に配置される、
請求項6に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記光源部からの光を透過させる透光性を有している、
請求項1、3~7のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項9】
請求項1、3~8のいずれか1項に記載の光源ユニットと、
該光源ユニットを保持する器具本体と、
を備える照明器具。
第4 取消理由で通知した取消理由について
1 取消理由の概要
取消理由通知で通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
理由1:本件特許の以下の請求項に係る発明は、本件の原出願の優先権主張の日(以下「原出願優先日」という。)前の特許出願であって、原出願優先日後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた以下の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が原出願優先日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また原出願優先日の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、その発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2:(新規性)本件特許の以下の請求項に係る発明は、本件の原出願優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3:(進歩性)本件特許の以下の請求項に係る発明は、原出願優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、原出願優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<理由1>
請求項1~4、8、9に対して、甲第1号証
<理由2、3>
請求項1~5、8、9に対して、甲第2号証
<理由3>
請求項6、7に対して、甲第2号証及び甲第3号証
甲第1号証:特願2015-69510号(特開2016-189293号)
甲第2号証:特開2013-258050号公報
甲第3号証:特開2014-22376号公報
甲第4号証:特開2012-174454号公報
なお、甲第1号証~甲第4号証は、申立人が提出したものである。また、以下、甲第1号証~甲第4号証をそれぞれ「甲1」~「甲4」という。
第5 各甲号証
1 各甲号証の記載
(1) 甲1
本件特許の原出願優先日前に出願され、原出願優先日の後に出願公開がされた甲1の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の記載がある。
ア 甲1の記載事項
「【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具を示す斜視図である。照明器具1は、少なくとも1つのLEDを有するLEDモジュール2と、LEDモジュール2を点灯制御する点灯回路3と、点灯回路3に接続され、他の照明器具又は照明制御装置と無線通信を行う無線通信モジュール4とを備える。
【0012】
無線通信モジュール4は、図示しない照明制御装置から調光指令値を受信すると点灯回路3にこの調光指令値を送信する。点灯回路3は、この調光指令値に応じた調光を行うようLEDモジュール2を点灯制御する。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係る無線通信モジュールを示す図である。点灯回路接続端子5は、図示しない商用電源と接続される点灯回路3と接続される。電源回路6は、点灯回路接続端子5を介して点灯回路3から供給される電源を無線通信制御回路7に供給する。アンテナ8は他の照明器具又は照明制御装置と信号を送受信する。無線通信制御回路7は、アンテナ8で受信した信号を点灯回路接続端子5を介して点灯回路3に送信する。なお、アンテナ8は、図2のように無線通信モジュール4内に配置してもよいし、外部に配置してもよい。」
「【0015】
図3は、本発明の実施の形態1に係る無線通信モジュールを示す斜視図である。無線通信モジュール4のケース10内に図2の各構成が収納される。ケース10の材質は、電波を遮閉しないPC+ABS等の樹脂が好ましい。DIPスイッチ9はユーザ又は工事業者が操作し易いようにケース10から露出して配置される。照明器具1に無線通信モジュール4を取り付けた状態でユーザ又は工事業者はアドレス設定のためにDIPスイッチ9を操作する。
【0016】
図4は、図1の照明器具から光源ユニットを外した状態を示す斜視図である。図5は、図4の器具本体と光源ユニットの4面図(a?d)と、器具本体に光源ユニットを取り付ける工程を示す側面図(e)と、図1の照明器具の正面図(f)である。
【0017】
照明器具1は、天井に設置される器具本体11と、器具本体11に取り付けられる光源ユニット12とを備える。器具本体11には、コネクタ付きの電源端子台13と、2つの取付バネ14が取り付けられている。光源ユニット12は、取付板15と、この取付板15に取り付けられる電源16(点灯回路3)と、制御ユニット17(無線通信モジュール4)と、LEDモジュール2と、透光性を有するカバー18と、器具本体11の取付バネ14に引っ掛けられる受具19とを備える。制御ユニット17は、DIPスイッチ9を有しており、取付板15と対向する面側から操作可能な状態となっている。アンテナ8は制御ユニット17内に配置してもよいが、外部に配置してもよい。図5では制御ユニット17と電源16とを別々に構成して配線で接続する場合を例示したが、電源16内に制御ユニット17を配置して一体で構成してもよい。ただし、この場合もDIPスイッチ9は、アドレス設定しやすいように外部に露出させておく。」
「【0038】
実施の形態6.
図16は、本発明の実施の形態6に係る照明器具を示す斜視図である。実施の形態5の図14と比較すると、無線通信モジュール4の配置のみ異なり、その他の構成及び動作は同一である。無線通信モジュール4は、LEDモジュール2の開口部から受光素子23の一部分が露出するように、LEDモジュール2を覆うカバー18の内部に配置されている。リモコン24からの光信号は、カバー18を透過して、無線通信モジュール4の受光素子23に送信される。無線通信モジュール4をカバー18の内部に配置することにより、受光素子23や無線通信モジュール4の電子部品等に直接触れる可能性がなく、安全性に優れている。また、外観が他の照明器具と変わることなく、照明器具の統一性が図れる。」
イ 甲1の図示事項
図2「
[図:0001399355000001.jpg]
」
図5「
[図:0001399355000002.jpg]
」
ウ 甲1の認定事項
(ア) 図5(a)及び(b)から、取付板15は長尺状と認められる。
(イ) 段落【0013】の「図2は、本発明の実施の形態1に係る無線通信モジュールを示す図である。」、同【0015】の「無線通信モジュール4のケース10内に図2の各構成が収納される。」、「DIPスイッチ9」との記載及び図2から、無線通信モジュール4は、点灯回路接続端子5、電源回路6、無線通信制御回路7、アンテナ8、DIPスイッチ9から構成され、前記各構成がケース10内に収納されると認められる。
(ウ) 図5(a)、(b)及び(e)から電源16と制御ユニット17が互いに離れていることが看取でき、上記(ア)も踏まえると、電源16と制御ユニット17は、長尺状の取付板15の長手方向において互いに離れた位置に配置されるものと認められる。
(エ) 図5(b)から、制御ユニット17は取付板15の上側に、カバー18は取付板15の下側に位置していることが看取され、段落【0017】の「この取付板15に取り付けられる・・(略)・・、制御ユニット17(無線通信モジュール4)と、・・(略)・・透光性を有するカバー18と、・・(略)・・とを備える」との記載を踏まえると、制御ユニット17は、取付板15の上側に取り付けられ、カバー18は取付板15の下側に取り付けられるものと認められる。
エ 甲1発明
上記ア~ウから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源ユニット12は、長尺状の取付板15と、この取付板15に取り付けられる電源16(点灯回路3)と、制御ユニット17(無線通信モジュール4)と、LEDモジュール2と、透光性を有するカバー18とを備え、
無線通信モジュール4は、点灯回路接続端子5、電源回路6、無線通信制御回路7、アンテナ8、DIPスイッチ9から構成され、前記各構成がケース10内に収納され、ケース10の材質は、電波を遮閉しないPC+ABS等の樹脂が好ましく、
点灯回路3は、この調光指令値に応じた調光を行うようLEDモジュール2を点灯制御し、
電源回路6は、点灯回路接続端子5を介して点灯回路3から供給される電源を無線通信制御回路7に供給し、
電源16と制御ユニット17は、長尺状の取付板15の長手方向において互いに離れた位置に配置され、
アンテナ8は他の照明器具又は照明制御装置と信号を送受信し、
無線通信制御回路7はアンテナ8で受信した信号を点灯回路接続端子5を介して点灯回路3に送信し、
制御ユニット17は取付板15の上側に取り付けられ、カバー18は取付板15の下側に取り付けられる、
制御ユニット17と電源16とを別々に構成して配線で接続する
光源ユニット12。」
(2) 甲2
本件特許の原出願優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲2には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 甲2の記載事項
「【0028】
図3は、本発明の一実施形態における照明器具100が取り付けられる照明器具の外観構成を例示する図である。図3に示す様に、照明装置150は、直管型のランプと同様の規格によって定められた形状を有し、照明器具本体130に取り付けられる。」
「【0031】
図4は、本発明の一実施形態における照明装置150の概略構成を例示する図である。照明装置150は、発光モジュールの一例として、複数のLED素子156が所定間隔で実装された基板157を有し、複数のLED素子156から外部に光を照射する。基板157には、一方の面(下面)に複数のLED素子156が配列されている。基板157は、照明装置150が照明器具本体130に装着された時に、例えばL ED素子156が実装された面が本体135から室内に向く様に照明器具本体130に取り付けられる。なお、光源としては、例えばLED素子やEL素子等の半導体発光素子を用いることができる。また、本実施形態に係る照明器具100は直管型の形状であるが、形状はこれに限るものではなく、例えば球型等の他の形状であっても良く、基板157の形状やLED素子156の配列、数等は照明装置150の形状に応じて適宜設定できる。
【0032】
また、照明装置150の内部には、位置信号送信器158と、無線通信器159が設けられている。位置信号送信器158は、例えばIMESのような測位信号を送出するアンテナを含む装置であり、当該照明装置150の位置情報を表す位置信号を無線端末に送信する。無線通信器159は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。無線通信器159は、位置信号を受信した無線端末から、当該無線端末の識別情報と位置情報とを受信し、受信した識別情報と位置情報とを、無線端末の位置を管理する管理サーバへ送信する。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する斜視図である。なお、以降の図面では、ベース部161の表面に形成されている溝を省略して表示する場合がある。照明装置150のカバー151は、ベース部161、光源カバー部162を有する。ベース部161は、YZ断面が長手方向(X方向)において略同一の略半円筒形状で、例えば板金を折り曲げたり、アルミニウム合金やマグネシウム合金を用いて押出成型により形成される。光源カバー部162は、例えばアクリル樹脂等の透光性を有する樹脂材料で形成されており、ベース部161の下側に取り付けられる。そのため、光源カバー部162は、内部に設けられている複数のLED素子156から照射される光を透過する。」
「【0036】
図7は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する断面図である。図7に示す様に、照明装置150のカバー151は、ベース部161、光源カバー部162を有する。ベース部161は、上記した様に、YZ平面の断面が長手方向(X方向)において略同一の略半円筒形状であり、上面側の平坦部161bに回路ユニット170の基板171が固定されている。基板171の固定方法としては、平坦部161bに対してネジ止め、接着、粘着テープあるいは基板171の突部を平坦部161bの凹部に嵌合させるにより固定する方法等が用いられる。
【0037】
また、ベース部161は、下面側の平坦部161cに、光源としてのLED素子156を有する基板157が固定される。光源カバー部162は、断面が半円形状であり、基板157に設けられているLED素子156の発光面を下方から覆う様にベース部161の下側に取り付けられる。」
「【0042】
回路ユニット170は、基板171の上面に電源回路部172、位置信号送信制御部(位置情報送信制御部)206、無線通信部制御210が一体に設けられている。電源回路部172は、後述する図12に示す様に、無線通信制御部210、位置信号送信制御部206への電圧を変換する電圧変換部214、複数のLED素子156に電源供給する電源制御部216を有する。
【0043】
尚、回路ユニット170では、図8中各部を接続する配線パターンが省略されているが、電源回路部172は、入力側端子が接続端子153、155に接続され、出力側端子が位置信号送信制御部206、無線通信制御部210、複数のLED素子156に接続される。また、無線通信制御部210は、無線通信制御を行う回路であり、ベース部161の下面側の一端に配置された無線通信器159に接続される。位置信号送信制御部206は、当該照明装置150の位置情報を出力する回路であり、ベース部161の下面側の一端に配置された位置信号送信器158に接続される。尚、位置信号送信器158、無線通信器159、LED素子156への電気的な接続は、ベース部161の下側に配された基板157と、ベース部161の上側に配された基板171との間の配線又はコネクタを接続することで可能になる。」
イ 甲2の図示事項
図4「
[図:0001399355000003.jpg]
」
図7「
[図:0001399355000004.jpg]
」
図8「
[図:0001399355000005.jpg]
」
ウ 甲2の認定事項
(ア) 図8から、電源回路部172、無線通信制御部210は、ベース部161の長手において互いに離れた位置に設けられることが看取できる。
(イ) 図7から、光源カバー162は、ベース部161を覆うように内部に空間が形成されることが看取でき、段落【0037】の「光源カバー部162は、断面が半円形状であり、基板157に設けられているLED素子156の発光面を下方から覆う様にベース部161の下側に取り付けられる。」との記載も踏まえると、光源カバー部162は、ベース部161を覆うように内部に空間が形成され、ベース部161の下側に取り付けられるものと認められる。
エ 甲2発明
上記ア~ウから、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「照明装置150のカバー151は、ベース部161、光源カバー部162を有し、
ベース部161は、下面側の平坦部161cに、光源としてのLED素子156を有する基板157が固定され、
ベース部161は、上面側の平坦部161bに回路ユニット170の基板171が固定され、
回路ユニット170は、基板171の上面に電源回路部172、無線通信制御部210がベース部161の長手方向において互いに離れた位置に設けられ、
電源回路部172は、無線通信制御部210への電圧を変換する電圧変換部214、複数のLED素子156に電源供給する電源制御部216を有し、
無線通信制御部210は、無線通信制御を行う回路であり、ベース部161の下面側の一端に配置された無線通信器159に接続され、
無線通信器159は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置であり、
光源カバー部162は、例えばアクリル樹脂等の透光性を有する樹脂材料で形成されており、ベース部161を覆うように内部に空間が形成され、ベース部161の下側に取り付けられ、
無線通信器159への電気的な接続は、ベース部161の下側に配された基板157と、ベース部161の上側に配された基板171との間の配線又はコネクタを接続することで可能になる
照明装置150。」
(3) 甲3
本件特許の原出願優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲3には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 甲3の記載事項
「【請求項4】
前記通信モジュールは、前記接続端子とアンテナ素子とを接続し、前記アンテナ素子を駆動させる駆動素子を更に含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明装置。」
「【0011】
図1~図4を参照すると、本実施例の照明装置100は、光源110と、光源結合部120と、背光カバーと、制御モジュール140と、ハウジング150と、遮断カバー160と、給電カバー170と、放熱体180と、通信モジュール190とを含む。」
「【0018】
背光カバーは、光源結合部120の上で光源110を囲む。ここで、背光カバーは、開口部が形成されたバルブ状を有してもよい。そして、背光カバーは、光源110を保護し、光源110の光を放出する。このとき、背光カバーは、照明装置100の前面又は背面に配光する。ここで、背光カバーは、ガラス、プラスチック、ポリプロピレン、ポリエチレンの少なくともいずれか一つによって形成することができる。又は、背光カバーは、耐光性、耐熱性、衝撃強度特性に優れるポリカーボネートで形成してもよい。また、背光カバーにおいて、光源110に対向する内部面に、乳白色塗料がコーティングされていることがある。塗料は、光を拡散するための拡散材を含んでもよい。
【0019】
制御モジュール140は、照明装置100の全般的な動作を制御する。このとき、図示されてはいないが、制御モジュール140は、主基板及び複数の部品を含むことができる。主基板は、印刷回路基板であってよい。部品は、主基板に実装されて、主基板に電気的に接続される。これらの部品は、変換部及び駆動部を含む。変換部は、主基板を介して、外部電源に接続される。そして、変換部は、外部電源の交流電源を直流電源に変換する。駆動部は、光源110の駆動を制御する。」
「【0023】
結合端子143は、通信モジュール190と接続される。このような結合端子143は、通信モジュール190と結合される。このとき、結合端子143は、制御モジュール140から突出してもよい。ここで、結合端子143は、主基板に結合され、主基板から突出する。そして、結合端子143は、通信モジュール190を収容することができる。ここで、結合端子143に、結合溝145を形成してもよい。結合溝145は、通信モジュール190に対向してもよい。また、結合溝145が、通信モジュール190を収容してもよい。」
「【0030】
第1の放熱体181は、遮断カバー160の上に配置される。このような第1の放熱体181は、背光カバーと結合される。このとき、第1の放熱体181は、縁部で背光カバーに固定される。そして、第1の放熱体181の上に、光源110と、光源結合部120とが装着される。このような第1の放熱体181は、光源110と接触する。このとき、第1の放熱体181は、光源110で発生される熱を、第2の放熱体185に移動させる。ここで、第1の放熱体181は、円形に形成される。また、第1の放熱体181は、平面に形成することができる。
【0031】
そして、第1の放熱体181に、少なくとも1つの挿入孔183が形成されている。挿入孔183は、第2の結合孔123及び貫通孔161と同一軸上に配置される。そして、挿入孔183は、給電端子141と通信モジュール190とを収容する。このとき、挿入孔183は、給電端子141と通信モジュール190とを通過させる。ここで、第1の放熱体181は、挿入孔183を介して、給電端子141と結合端子143とを露出させる。すなわち、挿入孔183は、給電素子111に向けて給電端子141を突出させる。また、挿入孔183は、結合端子143に向けて通信モジュール190を突出させる。」
「【0034】
通信モジュール190は、照明装置100の制御のための無線制御信号を受信する。このとき、通信モジュール190は、制御モジュール140に接続する。ここで、通信モジュール190は、光源110と離隔し、光源結合部120、放熱体180、及び遮断カバー160を横切る。そして、通信モジュール190は、制御モジュール140に結合される。このような通信モジュール190は、基板210と、接続端子220と、接地部230と、アンテナ素子240と、保護カバー250とを含む。
【0035】
基板210は、通信モジュール190において、支持のために設けられる。このとき、基板210は、平板構造を有する。ここで、基板210は、印刷回路基板であってよい。そして、基板210は、誘電体を含むことができる。このような基板210は、接続領域211と、駆動領域213と、アンテナ領域215とを含む。」
「【0038】
そして、駆動領域213は、駆動素子(図示せず)を含む。このとき、駆動素子は、基板210に内在し、駆動領域213に配置される。ここで、駆動素子は、駆動領域213から延在する。また、駆動素子の一端部は、接続領域211に延在し、他端部は、アンテナ領域215に延在する。」
「【0040】
接続端子220は、通信モジュール190において、制御モジュール140とのインターフェースのために設けられる。このような接続端子220は、基板210の接続領域211に配置される。このとき、接続端子220は、駆動素子の一端部に接続される。そして、接続端子220は、制御モジュール140に接続される。このとき、接続端子220は、接続領域211と共に結合端子143に固定されて、結合端子143に接続する。ここで、接続端子220は、結合溝145に挿入することができる。また、接続端子220を介して、通信モジュール190に電力が供給される。すなわち、結合端子143から接続端子220に、電力が供給される。」
「【0042】
アンテナ素子240は、通信モジュール190において、無線通信機能を提供する。このとき、アンテナ素子240は、所定の周波数帯域で共振し、電磁波を送受信する。ここで、アンテナ素子240は、所定のインピーダンスで共振する。このようなアンテナ素子240は、基板210のアンテナ領域215に配置される。このとき、アンテナ素子240は、駆動素子の他端部に接続される。すなわち、アンテナ素子240は、駆動素子を介して、接続端子220に接続される。ここで、アンテナ素子240は、駆動素子を介して、接地部230に接続してもよい。そして、アンテナ素子240の一端部が駆動素子に接続され、他端部が開放される。」
「【0046】
保護カバー250は、基板210を収容する。このとき、保護カバー250は、基板210を覆う。ここで、保護カバー250は、駆動領域213とアンテナ領域215とを覆い、接続領域211を露出させる。すなわち、保護カバー250は、アンテナ素子240を収容し、接続端子220を露出させる。言い換えると、接続端子220が、保護カバー250から突出する。ここで、保護カバー250は、プラスチック、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートの少なくともいずれか一つで形成することができる。このような保護カバー250は、第1の保護カバー251と、第2の保護カバー253とを含む。
【0047】
第1の保護カバー251は、駆動領域213を取り囲む。このような第1の保護カバー251は、駆動領域213と共に、光源結合部120、放熱体180、及び遮断カバー160を横切る。そして、第1の保護カバー251は、放熱体180に挿入される。このとき、第1の保護カバー251は、同一軸上の第2の結合孔123、挿入孔183、貫通孔161、及び放熱体180の収容溝に収容される。
【0048】
第2の保護カバー253は、アンテナ領域215を収容する。そして、第2の保護カバー253は、アンテナ素子240を収容する。ここで、第2の保護カバー253は、第1の保護カバー251から延在する。このとき、第2の保護カバー253に、挿入溝が形成されている。つまり、第2の保護カバー253は、挿入溝を介して、アンテナ領域215と共に、アンテナ素子240を収容する。
【0049】
そして、第2の保護カバー253は、放熱体180から突出する。ここで、第2の保護カバー253は、放熱体180から露出する。このとき、第2の保護カバー253は、アンテナ素子240を放熱体180から離隔する。ここで、第2の保護カバー253は、光源結合部120の上に位置する。また、第2の保護カバー253は、放熱体180に固定される。このとき、第2の保護カバー253は、放熱体180に挿入しないように、挿入孔183よりも大きいサイズで形成される。」
イ 甲3の図示事項
図1「
[図:0001399355000006.jpg]
」
図3「
[図:0001399355000007.jpg]
」
図4「
[図:0001399355000008.jpg]
」
ウ 甲3の認定事項
(ア) 図4から、第1の放熱体181は板状であることが看取できる。
(イ) 段落【0031】の「第1の放熱体181に、少なくとも1つの挿入孔183が形成されている」との記載及び図1、4から、挿入孔183は第1の放熱体181の厚み方向に貫通しているものと認められる。
(ウ) 段落【0018】の「背光カバーは、光源結合部120の上で光源110を囲む」、「背光カバーにおいて、光源110に対向する内部面・・・」、段落【0030】の「第1の放熱体181は、縁部で背光カバーに固定される」との記載及び図1、4から、背光カバーは、符号130で示されるものと認められる。そして、段落【0049】の「第2の保護カバー253は、放熱体180から突出する」との記載及び図4から、第2の保護カバー253は、放熱体180から背光カバーの内部面で形成される空間側に突出するものと認められる。
エ 甲3記載の技術事項
上記ア~ウから、甲3には次の技術事項(以下「甲3記載の技術事項」という。)が記載されている。
「通信モジュール190は、基板210と、接続端子220と、接地部230と、アンテナ素子240と、保護カバー250とを含み、基板210は、印刷回路基板であってよく、基板210は、接続領域211と、アンテナ素子を駆動させる駆動素子を含む駆動領域213と、アンテナ素子240が配置されるアンテナ領域215とを含み、保護カバー250は、基板210を収容し、
アンテナ素子240は、所定の周波数帯域で共振し、電磁波を送受信し、
保護カバー250は、プラスチック、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートの少なくともいずれか一つで形成することができ、
第1の放熱体181は、縁部で背光カバーに固定され、第1の放熱体181の上に、光源110が装着され、第1の放熱体181は板状に形成され、
第1の放熱体181の厚み方向に貫通する挿入孔183が形成されており、挿入孔183は、通信モジュール190を通過させ、
保護カバー250は、第1の保護カバー251と、第2の保護カバー253とを含み、
第1の保護カバー251は、駆動領域213を取り囲み、挿入孔183に収容され、
第2の保護カバー253は、アンテナ領域215を収容し、放熱体180から背光カバーの内部面で形成される空間側に突出し、
接続端子220は、通信モジュール190において、制御モジュール140とのインターフェースのために設けられ、基板210の接続領域211に配置され、保護カバー250から突出し、
制御モジュール140は、照明装置100の全般的な動作を制御し、主基板を含み、結合端子143は、主基板に結合され、主基板から突出し、
接続端子220は、接続領域211とともに結合端子143に固定されて、結合端子143に接続する
照明装置100。」
(4) 甲4
本件特許の原出願優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲4には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 甲4の記載事項
「【0014】
次に無線通信装置2の構成を示す斜視図を図5に、無線通信装置2の内部構成を図6に示す。これらの図に示すように、無線通信装置2は合成樹脂製の無線部ケース20と、無線部ケース20の底面を閉塞するよう無線部ケース20の底面に固着されている金属製の底板22とから構成されている。図6に示すように底板22の4隅にはそれぞれ立設部22aが切り起こして形成されており、4つの立設部22aの先端部が基板23の4隅に形成された取付孔に挿入されてハンダ付け等により固着されている。基板23はプリント基板とされており、図13に示す無線部112aと同様の構成の無線通信部の回路が組まれている。すなわち、基板23には図示しない回路部品が設けられていると共にコネクタ24が設けられている。このコネクタ24には、安定器1の制御部と無線通信装置2とを接続するためのハーネスが接続される。このハーネスを介して、無線通信部で受信された指令信号が安定器1の制御部に送られると共に、安定器1から電源が無線通信部に供給される。また、基板23の一縁部にアンテナ基板12が立設されて固着されている。アンテナ基板12には、アンテナエレメント25bがプリントされており、アンテナエレメント25bは例えば逆Fアンテナとされている。なお、安定器ケース10に無線通信装置2が取り付けられた際に、アンテナエレメント25bは安定器ケース10の取付面にほぼ平行に配置される。」
イ 甲4の図示事項
図5「
[図:0001399355000009.jpg]
」
図6「
[図:0001399355000010.jpg]
」
第6 取消理由通知で通知した理由1について:甲1発明を先願発明とした
場合
1 本件発明1
(1) 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 後者の「LEDモジュール2」は前者の「光源部」に相当し、以下同様に、「無線通信モジュール4」は「無線通信部」に、「点灯回路3」は「点灯ユニット」に、「取付板15」は「支持部材」に、「カバー18」は「カバー部材」に、「アンテナ8」は「アンテナ部」に、「無線通信制御回路7」は「通信回路部」に、「ケース10」は「収容ケース」に、「光源ユニット12」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「無線通信モジュール4」が、無線通信を行うことは自明であり、また、後者の「ケース10の材質は、電波を遮閉しないPC+ABS等の樹脂が好まし」い構成からみて、無線通信は電波を用いるものと認められる。そうすると、後者の「無線通信モジュール4」は、前者の「電波を媒体として無線通信を行う無線通信部」に相当する。
ウ 後者の「制御ユニット17(無線通信モジュール4)と、LEDモジュール2」が取付板15に「取り付けられる」構成は、上記アの相当関係を踏まえると、前者の「前記光源部および前記無線通信部を保持する」構成に相当する。
エ 後者の取付板15における「長尺状の」との構成は、前者の「長尺状に形成された」構成に相当し、後者の取付板15に「LEDモジュール2」が「取り付けられる」構成は、前者の「光源部を支持する」構成に相当する。そうすると、後者の「LEDモジュール2」が「取り付けられる」「長尺状の取付板15」は、前者の「長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材」に相当する。
オ 後者のカバー18の「取付板15に取り付けられる」構成は、前者の「前記支持部材に取り付けられる」構成に相当する。そうすると、後者の「取付板15に取り付けられる」「カバー18」の構成は、前者の「前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材」の構成と、「前記支持部材に取り付けられるカバー部材」の点で共通する。
カ 後者の「取付板15」及び「カバー18」からなる構成は、前者の「保持体」に相当し、上記ウから、前者の「前記光源部および前記無線通信部を保持する保持体」に相当するとともに、上記エ及びオから、前者の「前記保持体は、長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材と、を有し」との構成と、「前記保持体は、長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、前記支持部材に取り付けられるカバー部材と、を有し」との点で共通する。
キ 後者の点灯回路3の「LEDモジュール2を点灯制御」する構成は、前者の「前記光源部の点灯を制御する」構成に相当する。また、点灯回路3は、LEDモジュールを点灯するためにLEDモジュール2に「給電する」構成を有することは明らかである。また、後者の点灯回路3から「電源を無線通信制御回路7に供給」する構成は、前者の「無線通信部7に給電する」構成に相当する。そして、後者の点灯回路3のLEDモジュールを点灯制御する機能を奏する部分、及びLEDモジュール2及び無線通信部7に給電する機能を奏する部分は、前者の「前記光源部の点灯を制御する制御部」、「前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部」に相当する。そうすると、後者の「点灯回路3」は、前者の「前記光源部の点灯を制御する制御部、及び前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部を備える点灯ユニット」に相当する。
ク 後者の光源ユニット12のLEDモジュール2と、無線通信モジュール4と、取付板15とカバー18と、点灯回路3を「備え」る構成は、上記ア、イ、カ及びキを踏まえると、前者の光源ユニットの、光源部と、無線通信部と、保持体と、点灯ユニットと、を「備え」る構成に相当する。
ケ 後者の「電源16(点灯回路3)」との記載は、括弧書きで、用語を言い換え又は具体的に説明していると解釈できるから、電源16は点灯回路3と同じであると解釈でき、同様に、「制御ユニット17(無線通信モジュール4)」との記載は、制御ユニット17は無線通信モジュール4と同じであると解釈できる。そうすると、後者の「電源16と制御ユニット17は、長尺状の取付板15の長手方向において互いに離れた位置に配置され」との構成は、「点灯回路3と無線通信モジュール4は、長尺状の取付板15の長手方向において互いに離れた位置に配置され」と同じであり、上記アの相当関係を踏まえると、前者の「前記無線通信部と前記点灯ユニットとは、前記支持部材の長手方向において互いに離れた位置に配置され」る構成に相当する。
コ 後者の「他の照明器具又は照明制御装置と信号を送受信」する「アンテナ8」は、上記イで説示したように無線通信は電波を用いるものであることを踏まえると、前者の「電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部」に相当する。
サ 後者の「無線通信制御回路7はアンテナ8で受信した信号を点灯回路接続端子5を介して点灯回路3に送信し」との構成から、無線通信制御回路7は、アンテナ8で受信した信号を処理するのであるから、アンテナ8と電気的に接続されることは明らかである。そうすると、後者の「無線通信制御回路7」は前者の「アンテナ部と電気的に接続される通信回路部」に相当する。
シ 後者の「無線通信モジュール4」は「無線通信制御回路7」及び「アンテナ8」を含んで「構成され」る構成は、上記コ及びサを踏まえると、前者の無線通信部が「電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と」を備える構成と、無線通信部が「電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と」を備える点で共通する。
ス 後者の「無線モジュール4は」「アンテナ8」「から構成され」、「前記各構成がケース10内に収納され」ること、及び「制御ユニット17は、取付板の上側に取り付けられ」ることは、上記ケで説示したように制御ユニット17は無線モジュール4と同じであることを踏まえると、前者の「前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケース」と、「前記アンテナ部を収容して前記支持部材に固定される収容ケース」の点で共通する。
セ 後者の「制御ユニット17は取付板15の上側に取り付けられ、カバー18は取付板15の下側に取り付けられる」構成は、上記ケで説示したように制御ユニット17は無線通信モジュール4と同じであること、無線モジュール4は無線通信回路7を含んで構成されることを踏まえると、前者の「前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置されている」構成に相当する。
ソ 後者の「制御ユニット17と電源16とを別々に構成して配線で接続する」構成は、上記ケで説示したように制御ユニット17は無線通信モジュール4と同じであること、無線モジュール4は各構成がケース内に収納されることを踏まえると、前者の「前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている」構成に相当する。
タ そうすると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で一致する。
[一致点]
「 光源部と、
電波を媒体として無線通信を行う無線通信部と、
前記光源部および前記無線通信部を保持する保持体と、
前記光源部の点灯を制御する制御部、及び前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部を備える点灯ユニットと、
を備え、
前記保持体は、
長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられるカバー部材と、
を有し、
前記無線通信部と前記点灯ユニットとは、前記支持部材の長手方向において互いに離れた位置に配置され、
前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と、
前記アンテナ部を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと、
を備え、
前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置され、
前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている
光源ユニット。」
そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。
[相違点1]
カバー部材について、本件発明1では「前記支持部材を覆うように内部に空間を形成する」のに対し、甲1発明ではそのような構成を有するか明らかでない点。
[相違点2]
回路基板及び収容ケースについて、本件発明1では「アンテナ部及び」「通信回路部を設けた回路基板」を備え、「前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定され」る収容ケースであり、「前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出する」のに対し、甲1発明では、アンテナ部及び通信回路部が具体的にどのように設けられるのか特定されておらず、両者を設けた回路基板を備えるか不明であるとともに、ケース10がアンテナ収容部を有する蓋体や該蓋体が被せられるケース本体を有するか不明であり、かつ、アンテナ収容部がカバー部材に向かって突出する構成を備えない点。
(2) 判断
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。
甲1発明におけるケース10は、その内部にアンテナ8が収納されるものであるが、このようなケース10において、アンテナ収容部を有する蓋体と、該蓋体が被せられるケース本体を有すること、及び、アンテナ収容部がカバー部材に向かって突出することは、技術常識又は周知技術であるとする証拠はない。そうすると、上記相違点2については、技術常識を参酌することにより甲1に記載されているに等しい事項であるということはできないし、周知技術の付加であって新たな効果を奏するものではないものということもできない。
よって、相違点2は、実質的な相違点であり、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明と実質同一であるとはいえない。
2 本件発明3~9について
本件発明3~9は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1が甲1発明と実質同一であるとはいえない以上、本件発明3~9も甲1発明と実質同一であるとはいえない。
第7 取消理由通知で通知した理由2及び3について:甲2を主引例とした
場合
1 本件発明1
(1) 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
ア 後者の「LED素子156を有する基板157」は前者の「光源部」に相当し、以下同様に、「無線通信器159」及び「無線通信制御部210」からなる構成は「無線通信部」に、「電源回路部172」は「点灯ユニット」に、「ベース部161」は「支持部材」に、「光源カバー部162」は「カバー部材」に、「無線通信制御部210」は「通信回路部」に、「照明装置150」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
イ 後者の無線通信器159の「電波を送受信可能な」構成は、前者の「電波を媒体として無線通信を行う」構成に相当し、後者の「無線通信器159」及び「無線通信器159に接続され」る「無線通信制御部210」からなる構成は、前者の「電波を媒体として無線通信を行う無線通信部」に相当する。
ウ 後者のベース部151の「下面側の平坦部161cに、光源としてのLED素子156を有する基板157が固定され」る構成は、前者の「前記光源部」「を保持する」構成に相当する。
また、後者のベース部151の「上面側の平坦部161bに回路ユニット170の基板171が固定され、回路ユニット170は、基板171の上面に」「無線通信制御部210が」「設けられ」る構成及びベース部151の「下面側の一端に配置された無線通信器159」の構成は、無線通信制御部210及び無線通信器159が固定あるいは配置されるのであるから、前者の「前記無線通信部を保持する」構成に相当する。
エ 後者のベース部151の「長尺状であ」る構成は、前者の「長尺状に形成され」る構成に相当し、後者のベース161の下面側の平坦部161cに「光源としてのLED素子156を有する基板157が固定され」る構成は、前者の「前記光源部を支持する」構成に相当する。そうすると、後者の「長尺状であり」「ベース161の下面側の平坦部161cに、光源としてのLED素子156を有する基板157が固定され」る「ベース部151」は、前者の「長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材」に相当する。
オ 後者の光源カバー部162の「ベース部161を覆うように内部に空間が形成され、ベース部161の下側に取り付けられ」る構成は、前者の「前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成する」構成に相当する。そうすると、後者の「ベース部161を覆うように内部に空間が形成され、ベース部161の下側に取り付けられる」「光源カバー部162」は、前者の「前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材」に相当する。
カ 後者の「ベース部161」及び「光源カバー部162」からなる構成は、前者の「保持体」に相当し、上記ウから、前者の「前記光源部および前記無線通信部を保持する保持体」に相当するとともに、上記エ及びオから、前者の「前記保持体は、長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材と、を有」する構成に相当する。
キ 後者の電源回路部172が有する「LED素子156に電源供給する電源制御部216」は電源を供給することでLED素子156の点灯を制御しているといえるから前者の「前記光源部の点灯を制御する制御部」に相当する。また、後者の電源回路部172が有する「無線通信制御部210への電圧を変換する電圧変換部214、複数のLED素子156に電源供給する電源制御部216」は、前者の「前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部」に相当する。
そうすると、後者の「無線通信制御部210への電圧を変換する電圧変換部214、複数のLED素子156に電源供給する電源制御部216を有」する「電源回路部172」は、前者の「前記光源部の点灯を制御する制御部、及び前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部を備える点灯ユニット」に相当する。
ク 後者の照明装置150において、光源としてのLED素子156を有する基板157が「固定され」、無線通信制御部210が「設けられ」、ベース部161、光源カバー部162「を有し」、電源回路部217が「設けられ」る構成は、上記ア、イ、カ及びキを踏まえると、前者の光源ユニットが、光源部と、無線通信部と、保持体と、点灯ユニットと、を「備え」る構成に相当する。
ケ 後者の「基板171の上面に電源回路部172、無線通信制御部210がベース部161の長手方向において互いに離れた位置に設けられ」る構成は、前者の「前記無線通信部と前記点灯ユニットとは、前記支持部材の長手方向において互いに離れた位置に配置され」る構成に相当する。
コ 後者の「電波を送受信可能なアンテナを含む装置であ」る「無線通信器159」は、前者の「電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部」に相当し、後者の「無線通信器159に接続され」る「無線通信制御部210」は、前者の「前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部」に相当する。
そうすると、後者の「無線通信機159及び無線通信制御部210とからなる構成」は、前者の「前記無線通信部は、電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部を設けた回路基板と、」を備える構成と、「前記無線通信部は、電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と」を備える点で共通する。
サ 後者の「ベース部161は、上面側の平坦部161bに回路ユニット170の基板171が固定され」、「回路ユニット170は、基板171の上面に」「無線通信制御部210が」「設けられ」、「光源カバー部162は」「ベース部161の下側に取り付けられ」る構成は、ベース部161の上側に無線通信制御部210が設けられ、ベース部161の下側に光源カバー部162が取り付けられるのであるから、前者の「前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置され」る構成に相当する。
シ そうすると、本件発明1と甲2発明とは以下の点で一致する。
[一致点]
「 光源部と、
電波を媒体として無線通信を行う無線通信部と、
前記光源部および前記無線通信部を保持する保持体と、
前記光源部の点灯を制御する制御部、及び前記光源部及び前記無線通信部に給電する電源部を備える点灯ユニットと、
を備え、
前記保持体は、
長尺状に形成されて前記光源部を支持する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられ前記支持部材を覆うように内部に空間を形成するカバー部材と、
を有し、
前記無線通信部と前記点灯ユニットとは、前記支持部材の長手方向において互いに離れた位置に配置され、
前記無線通信部は、
電波の送信または受信の少なくともいずれか一方が可能なアンテナ部及び前記アンテナ部と電気的に接続される通信回路部と、
を備え、
前記通信回路部は、前記支持部材における前記カバー部材とは反対側に配置される、
光源ユニット。」
そして、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で相違する。
[相違点3]
本件発明1は、「アンテナ部及び」「通信回路部を設けた回路基板と」、「前記アンテナ部を収容するアンテナ収容部を有する蓋体及び前記蓋体が被せられるケース本体を有し、前記回路基板を収容して前記支持部材に固定される収容ケースと」を備え、「前記アンテナ収容部は、前記カバー部材に向かって突出し、前記収容ケースの内部から外部へ導出して前記点灯ユニットと電気的に接続される配線コードが設けられている」のに対し、甲2発明は、無線通信制御部210と無線通信機159は、別体であって、ベース部161のそれぞれ上面側と下面側に設けられており、無線通信機159への電気的な接続は、ベース部161の下側に配された基板157と、ベース部161の上側に配された基板171との間の配線又はコネクタを接続することで可能としている点。
(2) 判断
ア 相違点3についての検討
相違点3に関連して、甲3には、上記甲3記載の技術事項が記載されている。
ここで、甲3記載の技術事項における、通信モジュール190と制御モジュール140との接続についてみると、通信モジュール190が保護カバー250から突出した接続端子220を備えており、保護カバー250が第1の放熱体181に形成された挿入孔183を通過し、通信モジュールの接続端子220が制御モジュール140の主基板から突出する結合端子143に接続するものとしている。
すなわち、通信モジュール190の保護カバー250から突出した接続端子220と制御モジュール140の結合端子143とが、配線を介することなく直接接続するものとなっている。
そして、甲2発明では、無線通信器159への電気的な接続は、ベース部161の下側に配された基板157とベース部161の上側に配された基板171との間の配線又はコネクタを接続することで可能としているところ、甲3記載の技術事項を適用した場合に想定される構成(以下「想定構成」という。)は次のとおりである。
[想定構成]
甲2発明において、無線通信機159は、アンテナ素子と、駆動素子と、接続端子を備える回路基板とこれを収容する保護カバーを備え、接続端子が保護カバーから突出するものとし、ベース部161の上側に配された基板171には結合端子を設け、ベース部161には挿入孔が形成され、保護カバーが該挿入孔を通過し、無線通信機159の保護カバーから突出した接続端子を、基板171の結合端子に接続される構成。
そうすると、甲2発明に甲3記載の技術事項を適用しても、上記想定構成のとおり、配線を介することなく直接接続するものとなり、相違点3に係る発明特定事項とはならない。
一方で、甲2発明は、選択的に、ベース部161の下側に配された基板157と、ベース部161の上側に配された基板171との間を配線で接続することも可能ともしている。しかしながら、甲2発明に甲3記載の技術事項を適用して、上記想定構成のとおり、直接接続したにも関わらず、さらに、配線で接続するように変更することの動機付けは見いだせない。
以上のとおり、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明及び甲3記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 申立人の主張についての検討
申立人は、令和5年2月17日付けの意見書において、次の点を主張する。
(ア) 甲2発明に甲3に記載された事項を適用する際に、無線通信用の回路基板と電源回路部172との電気的な接続を配線コードを用いて行うことは、当該回路基板と電源回路部172との位置や距離等に応じて、当業者が適宜採用し得る程度の事項に過ぎない。例えば、甲2の段落【0043】には、電源回路部172と無線通信器159との電気的な接続が配線又はコネクタを接続することで可能になることが明記されている。
(イ) 基板をケースに収納すること、及びケースの内側から外側に配線を引き出すことについては、周知の技術に過ぎない。例えば、甲4に記載された無線通信装置2は、無線部ケース20と、無線部ケース20の底面を閉塞する底板22と、基板23及びアンテナ基板12とを備え、無線部ケース20と底板22とにより形成される収納空間に基板23とアンテナ基板12が収納されており、基板23には無線通信部の回路部品とコネクタ24とが設けられ、コネクタ24には、安定器1の制御部と無線通信装置2とを接続するためのハーネスが接続される(段落【0014】)ことが記載されている。当該ハーネスは基板23に設けられたコネクタ24に接続されるのであるから、当該ハーネスが、基板23が収容される無線部ケース20の内側から外側に引き出され、安定器1の制御部に接続されることは明らかである。
上記申立人の主張について検討する。
(ア)について、上記(2)アで説示したように、甲2発明において、甲3記載の技術事項を適用した上で、さらに配線コードを用いて接続することの動機付けは見いだせないから、申立人の主張は採用できない。
(イ)について、仮に、甲4に示されるように、基板にケースを収納すること、及びケースの内側から外側に配線を引き出すことは周知の技術であるとしても、上記(2)アで説示したとおり、甲2発明に甲3記載の技術事項を適用した上で、さらに配線コードを用いて接続することの動機付けは見いだせない以上、甲2発明に甲3記載の技術事項を適用した上で、当該周知の技術を適用する動機付けは見いだせない。また、本件発明1の収容ケースは、通信回路部が支持部材におけるカバー部材とは反対側に配置され、収容ケースのアンテナ収容部がカバー部材に向かって突出するものであるが、このような収容ケースにおいて、ケースの内側から外側に配線を引き出すことが周知の技術であるという証拠もない。よって、申立人の主張は採用できない。
ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲2発明ではない。また、本件発明1は、甲2~甲4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件発明3~9について
本件発明3~9は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1が甲2発明でなく、また、甲2~甲4に基いて容易に発明をすることができたとはいえない以上、本件発明3~9も、甲2発明でなく、また、甲2~甲4に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第8 取消理由通知で通知していない取消理由について
申立人は、異議申立書において、訂正前の請求項6に係る発明について、甲2及び甲4に基いて容易に発明をすることができたものである旨、主張する。
訂正前の請求項6に係る発明は、本件訂正により、本件発明6となったところ、本件発明6は、上記「第7 2」で説示したとおり、甲2~甲4に基いて容易に発明をすることができたとはいえないから、甲2及び甲4に基いて容易に発明をすることができたものともいえない。
第9 まとめ
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、3~9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2に係る特許についての特許異議の申立ては、本件訂正により請求項2が削除された結果、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700537