特許異議申立
2022-700535
プログラマブルロジックコントローラおよびメインユニット
- 審判番号
- 2022-700535
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-143397
- 登録番号
- 6986125
- 請求日
- 2022年06月16日
- 審決日
- 2023年03月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社キーエンス
- 【権利者代理人】弁理士法人第一国際特許事務所
- 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 【権利者代理人】大塚 康徳
- 【権利者代理人】大塚 康弘
- 【権利者代理人】高柳 司郎
- 【権利者代理人】木村 秀二
- 【権利者代理人】坂本 隆志
- 【異議申立人】松本 征二
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 中里 翔平
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P1651.121-YAA(G05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6986125号発明「プログラマブルロジックコントローラおよびメインユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6986125号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
特許第6986125号の請求項1~15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6986125号の請求項1~15に係る特許についての出願は、平成30年10月23日に出願した特願2018-199199の一部を、令和2年8月27日に新たな特許出願としたものであって、令和3年11月30日にその特許権の設定登録がされ、同年12月22日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和4年6月16日に特許異議申立人松本征二(以下、「申立人」という。)による特許異議の申立てがされ、当審は同年10月6日付けで取消理由を通知し、これに対して、特許権者は、同年11月22日の当審との面接の後、指定期間内である同年12月7日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、この訂正の請求による訂正を「本件訂正」という。)を行った。
そして、当審は、申立人に対して同年12月14日付けで上記訂正の請求があった旨の通知をし、申立人は令和5年1月12日に意見書を提出した。
第2 本件訂正について
1 訂正事項の内容(下線部は、訂正箇所に付した。)
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に記載したaの事項を、bの事項に訂正する。(訂正後の請求項1を引用する請求項2~15も同様に訂正する。)
a 訂正前
「外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェースと、
前記ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、
前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部と、
監視機器と接続され、当該監視機器にて取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、
前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、各々関連付けられた時刻に関する情報とともに出力する出力部と、
を有することを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。」
b 訂正後
「外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェースと、
前記ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、
前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部と、
監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、
前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する出力部と、
を有することを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。」
(2)訂正事項2
訂正前の請求項15に記載したaの事項を、bの事項に訂正する。
a 訂正前
「請求項1ないし14のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラと、当該プログラマブルロジックコントローラと接続される前記外部設定機器とを含むプログラマブルロジックコントローラシステムであって、
前記外部設定機器は、表示部と、前記プログラマブルロジックコントローラの出力部により出力されたデバイス値を、前記ユーザプログラムに記述されているデバイスと関連づけて前記表示部に再生表示させるとともに、当該出力部により出力された画像データに基づく静止画又は動画を前記表示部に再生表示させるログ表示部と、
を備えることを特徴とする、プログラマブルロジックコントローラシステム。」
b 訂正後
「請求項1ないし14のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラと、当該プログラマブルロジックコントローラと接続される前記外部設定機器とを含むプログラマブルロジックコントローラシステムであって、
前記ログ設定データは、前記外部設定機器がユーザプログラムを解析することにより作成され、
前記外部設定機器は、表示部と、前記プログラマブルロジックコントローラの出力部により出力されたデバイス値を、前記ユーザプログラムに記述されているデバイスと関連づけて前記表示部に再生表示させるとともに、当該出力部により出力された画像データに基づく静止画又は動画を前記表示部に再生表示させるログ表示部と、
を備えることを特徴とする、プログラマブルロジックコントローラシステム。」
(3)一群の請求項
訂正前の請求項2~15は、それぞれ、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~15に対応する訂正後の請求項1~15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、この一群の請求項について請求されたものである。
2 訂正要件
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1の内容を、以下の(ア)~(ウ)の訂正内容〔1-A〕~〔1-C〕に分けて検討する。
(ア)訂正内容〔1-A〕
訂正前の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部」の発明特定事項を、「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部」と訂正することは、訂正前に比して、複数のデバイスに記憶されているデバイス値の収集のタイミングを新たに「1スキャンごと」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
(イ)訂正内容〔1-B〕
訂正前の「監視機器と接続され、当該監視機器にて取得された画像データが入力される第二の外部インタフェース」の発明特定事項を、「監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェース」と訂正することは、監視機器にて取得された画像データの取得されるタイミングを新たに「撮像周期ごと」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
(ウ)訂正内容〔1-C〕
訂正前の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、各々関連付けられた時刻に関する情報とともに出力する出力部」の発明特定事項を、「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する出力部」と訂正することについては、以下のことがいえる。
すなわち、訂正前の「当該ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、各々関連付けられた時刻に関する情報とともに出力する」ことに関し、訂正前に比して、
(a)デバイス値について、当該対象期間における「各収集時刻」のデバイス値が、各々関連付けられた「当該収集時刻に関する情報」とともに出力され、
(b)画像データについて、当該対象期間における「各取得時刻」の画像データが、各々関連付けられた「当該取得時刻に関する情報」とともに出力される
ことに新たに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、訂正事項1の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アの訂正内容〔1-A〕~〔1-C〕のとおりであり、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
(ア)訂正内容〔1-A〕
訂正内容〔1-A〕について、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0026】~【0027】、及び図5には、「スキャン」に関する説明があり、段落【0026】には、「PLC1は、入出力リフレッシュ、ラダープログラムの実行およびEND処理を1サイクル(1スキャン)として、このサイクルを周期的、すなわちサイクリックに繰り返し実行する。」と記載されている。そして、段落【0107】には、「収集部92aはデバイス値と時刻情報とを関連付けてリングバッファ91aに格納する。なお、収集部92aは、ログ設定データ72により指定された収集周期(例:スキャン周期)ごとにデバイス値と時刻情報とを取得してリングバッファ91aに格納する。」と記載され、段落【0269】には、「デバイス値は、スキャン回数と同じ数だけ記録される」と記載されていて、本件明細書等には、デバイス値が1スキャンごとに収集されるサイクルが周期的に実行されていることが理解できるから、「複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集」することが記載されているといえる。
したがって、訂正内容〔1-A〕は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
(イ)訂正内容〔1-B〕について、本件明細書等の段落【0124】には、「S32でCPU41(収集部92b)は画像データの取得タイミングが到来したかどうかを判定する。取得タイミングは、たとえば、拡張ユニット4の内部制御周期(撮像周期)ごとなどである。」、あるいは段落【0270】には、「二次元データを取得する周期(撮像周期)は、ほぼ一定である。」と、それぞれ記載されているから、画像データが、「監視機器にて撮像周期ごとに取得」されることが記載されているといえる。
したがって、訂正内容〔1-B〕は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
(ウ)訂正内容〔1-C〕について、出力部から出力するログデータ73に関し、本件明細書等の段落【0139】には、「ログ設定部51はログデータ73の収集期間の設定を受け付けてもよい。」と記載されている。そして、ログデータ73を構成するデバイス値と画像データ(二次元データ)に関し、段落【0266】には、「保存部93は所定の保存条件が満たされると、第一バッファに記憶されているデバイス値と収集時刻に関する情報と、第二バッファに記憶されている二次元データと取得時刻に関する情報とを保存する保存部の一例である。」、段落【0267】には、「このようにデバイス値および二次元データにはそれぞれ取得時刻に関する情報が紐付けられている。そのため、二次元データなどの比較的に大容量のデータとデバイス値との時間的な関係を特定しやすくなる。」、段落【0268】には、「保存部93は、デバイス値と、収集時刻に関する情報と、第二バッファに記憶されている画像データと、取得時刻に関する情報とを対応付けて保存してもよい。」と、それぞれ記載されている。
これらの記載より、保存部93が、第一バッファに記憶されているデバイス値と収集時刻に関する情報とを対応づけて保存し、また、第二バッファに記憶されている二次元データと取得時刻に関する情報とを対応付けて保存することについて記載されており(段落【0266】~【0268】)、デバイス値と画像データの収集期間(対象期間)はログ設定データに基づき定められることが認識できる(段落【0139】)のであるから、本件明細書等には、「当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正内容〔1-C〕は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、プログラマブルロジックコントローラと、外部設定機器とを含むプログラマブルロジックコントローラシステムにおいて、ログ設定データの作成主体が不明なためにシステムとしての内容が明確でなかったのに対して、新たに記載を追加して作成主体を明確化するものであるから、訂正事項2の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明に該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、その訂正内容にカテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正事項2の内容について、本件明細書等の段落【0027】には、「PC2は、ユーザプログラムを解析し、ユーザプログラムに使用または記述されているデバイスをロギング対象として抽出する。」、段落【0034】には、「ログ設定部51は、プロジェクトデータ71を解析することでプロジェクトデータ71に記述されているデバイスを抽出し、抽出されたデバイスをロギング対象として設定するためのログ設定データ72を作成する。」と記載され、PC2は外部設定機器に相当し、ログ設定部51は、図6の記載からみて、PC2のCPU21に設けられているから、本件明細書等には、ログ設定データが、「外部設定機器がユーザプログラムを解析することにより作成」されることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
1 訂正特許請求の範囲の記載事項
本件訂正後の請求項1~15に係る発明に関し、訂正特許請求の範囲の請求項1~15には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェースと、
前記ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、
前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部と、
監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、
前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する出力部と、
を有することを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項2】
前記プログラマブルロジックコントローラは、前記第一の外部インタフェース、前記プログラム実行部、および前記デバイス記憶部を有するメインユニットと、前記第二の外部インタフェースおよび前記第二収集部を有する拡張ユニットとを備え、
前記出力部は、前記拡張ユニットの第二収集部により収集された画像データを出力することを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項3】
前記拡張ユニットの第二収集部は、前記第二の外部インタフェースに入力される画像データと、当該画像データの取得時刻に関する情報とを関連付けてリングバッファに記憶することを特徴とする請求項2に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項4】
前記プログラマブルロジックコントローラは、前記メインユニットと前記拡張ユニットとを支持する支持プレートをさらに備え、
前記リングバッファは、前記支持プレートに支持される拡張ユニット内に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項5】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、前記プログラマブルロジックコントローラに着脱可能なメモリカードに保存することを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項6】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来するたびに、前記ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを前記メモリカードに繰り返し保存することを特徴とする請求項5に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項7】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき同一の保存タイミングで保存されるデバイス値と画像データを、特定のフォルダ内のファイルとして前記メモリカードに保存することを特徴とする請求項6に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項8】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、前記プログラマブルロジックコントローラの外部に送信することを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項9】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、前記外部設定機器にて関連付けて再生される形式で出力することを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項10】
前記出力部は、前記ログ設定データに基づき定められる対象期間分のデバイス値と画像データを、前記第一の外部インタフェースにて受け付けられたユーザプログラムに関連付けて前記外部設定機器にて再生される形式で出力することを特徴とする請求項9に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項11】
前記出力部は、予め定められた保存トリガーの前後にわたる所定の収集時間に収集されたデバイス値と画像データを出力することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項12】
前記出力部は、予め設定された開始リレーがオンになったタイミングを起点とした所定の収集時間に収集されたデバイス値を出力することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項13】
前記ログ設定データは、予め定められた個数単位で定義されるデバイス群を含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項14】
前記ログ設定データは、先頭デバイスを基準とする一連のデバイス範囲を含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載のプログラマブルロジックコントローラと、当該プログラマブルロジックコントローラと接続される前記外部設定機器とを含むプログラマブルロジックコントローラシステムであって、
前記ログ設定データは、前記外部設定機器がユーザプログラムを解析することにより作成され、
前記外部設定機器は、表示部と、前記プログラマブルロジックコントローラの出力部により出力されたデバイス値を、前記ユーザプログラムに記述されているデバイスと関連づけて前記表示部に再生表示させるとともに、当該出力部により出力された画像データに基づく静止画又は動画を前記表示部に再生表示させるログ表示部と、
を備えることを特徴とする、プログラマブルロジックコントローラシステム。」
2 本件発明の認定
(1)本件発明1
本件請求項1に係る発明は、「プログラマブルロジックコントローラ」(以下「PLC」ということがある。)に係る発明であるが、当該PLCは、外部設定機器及びPLCを組み合わせたPLCシステム(いわゆる「コンビネーション」)に対して組み合わされる装置(いわゆる「サブコンビネーション」)に該当する。
そして、本件請求項1に係る発明の「外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェース」という発明特定事項は、本件請求項1に係る発明の外部インタフェースを含むPLC(サブコンビネーション)を、外部設定機器(他のサブコンビネーション)に関する事項を用いて特定しようとするものである。
さらに、当該発明特定事項のうち、「ログ設定データ」が、「ユーザプログラムに基づき作成された」ことについては、外部設定機器(他のサブコンビネーション)の機能、構造等を特定するものであり、PLCの機能、構造等を何ら特定していないものである。
したがって、本件請求項1に係る発明の「外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェース」という発明特定事項は、「外部設定機器からユーザプログラムとログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェース」という発明特定事項を示すものと認定し、本件請求項1に係る発明は、後者の発明特定事項に置き換えた請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものであると認める。
(以下、請求項1に係る発明について、上記(1)のとおりに認定したものを「本件発明1」という。)
(2)本件発明2~14
本件発明2~14について、請求項1を引用する部分については、上記(1)と同様に認定する。
(以下、請求項2~14に係る発明について、上記(2)のとおりに認定したものを「本件発明2」~「本件発明14」という。)
(3)本件発明15
本件請求項15に係る発明は、「プログラマブルロジックコントローラシステム」に係る発明であって、当該PLCシステムは、外部設定機器及びPLC(いわゆる「サブコンビネーション」)を組み合わせたPLCシステム(いわゆる「コンビネーション」)に該当する。
そして、本件請求項15に係る発明が引用する本件請求項1に係る発明の「外部設定機器からユーザプログラムと当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データとを受け付ける第一の外部インタフェース」という発明特定事項は、外部インタフェースを含むPLC(サブコンビネーション)を、外部設定機器(他のサブコンビネーション)に関する事項を用いて特定しようとするものであって、PLC及び外部設定機器は、いずれも本件請求項15に係る発明のPLCシステムに含まれる。
したがって、本件請求項15に係る発明で引用する本件請求項1に係る発明の上記の発明特定事項は、本件請求項15に係る発明を特定する事項として、上記に記載されているとおりに認定する。
(以下、請求項15に係る発明について、上記(3)のとおりに認定したものを「本件発明15」という。また、本件発明1~15をまとめて「本件発明」ということがある。)
第4 各甲号証について
・申立人が特許異議申立書に添付した甲号証
甲第1号証:特開2000-235412号公報
甲第2号証:特開平11-331766号公報
甲第3号証:特開2017-79009号公報
甲第4号証:特開2003-76405号公報
甲第5号証:国際公開第2005/091098号
・申立人が意見書に添付した甲号証
甲第6号証:特開2008-293138号公報
(以下、甲第○号証を「甲○」という。)
1 甲1の記載事項
(1)発明の詳細な説明
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動化された製造装置等の監視対象設備を保守管理するためのロギング装置に関し、さらに詳しくは監視対象設備のデータをサイクルタイム毎に容易にロギングすることができるロギング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のロギング装置は監視対象設備のトラブル発生原因の解析、保守改善の拠り所の一つとして利用され、そのためには監視対象設備がどのように動いたかの稼働状態を正確に知る必要がある。この実現手段として、例えば当出願人が先に出願した特願平10-133972号が存在する。
【0003】これは、図1に示すように、ロギング対象である監視対象設備11をPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)12によって制御し、この制御したPLCのデータを、PLCのデータ通信手段13を介してロギング装置14に収集し、またカメラ15やマイクロホン16で取得した監視対象設備11のデータをロギング装置14に導いて記録している。そして、データの再生要請に応じてロギング装置14で記録したPLCの内部情報と、画像情報及び音響情報との各データを同期してディスプレイ17及びスピーカ18で再生している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PLCのデータ通信手段13は、RS-232C、RS-422等の汎用シリアル通信、またはPLCのアーキテクチャに依存した専用の通信インターフェースであるため、このPLCのデータ通信手段13の転送処理性能が遅いだけでなく、この通信処理時にオーバーヘッドタイムを要してデータ転送が遅くなり、現状ではデータ転送性能に限界が生じ、ロギング装置14の高速データ収集化を実現できなかった。
【0005】そこでこの発明は、監視対象設備を制御する制御手段(PLC)の内部バスから信号を直接取出すことに着目し、内部バスから信号を直接取出すことによりPLCデータをサイクルタイムレベル(最短時間の高速データ収集化)でロギングすることができるロギング装置を提供することを目的としている。
・・・
【0010】
【発明の作用及び効果】この発明によれば、監視対象設備を制御する制御手段の内部バスに、直接接続して内部バスの信号を取出すロギングデータ収集手段を備えてデータ収集する構成のため、このロギングデータ収集手段を備えたロギング装置は、制御手段のデータを最短時間でデータ収集するサイクルタイムレベルでロギングすることができる。
【0011】したがって、既存の転送処理性能の遅いデータ通信手段に代えて、データ収集能力の限界を超えた高速データ収集化を実現でき、監視対象設備のロギングを高精度化できる。例えば、監視対象設備に異常が発生した場合であれば、その時点のサイクルタイムレベルの稼働情報から、そのときの状態値と状態遷移タイミングの両側面から異常現象を正しく分析することができ、シーケンスプログラムと照合して、その後の保守改善等を効率よく行うことができる。
・・・
【0015】
【実施例】この発明の実施例を以下図面に基づいて詳述する。図2はPLCのロギングデータを収集するロギングユニットの一体化接続タイプを示し、このロギングユニット21は、制御盤の中のPLC22の空きスロット23に装填して一体に取付けられ、PLC22との間の省配線化を図っている。
【0016】ロギングユニット21は縦長の箱形状を有し、前面にログファイル蓄積状態通知装置24と、ロギング設定入力インターフェース(I/F)25と、ロギングデータ出力I/F26とを有し、後面(PLC装着側)に内部バス接続I/F27を有している。
・・・
【0018】ロギング設定入力I/F25は、通信I/F、端子台、設定スイッチ等を使用して、記録条件の設定や記録トリガを外部から入力するためのものである。
【0019】ロギングデータ出力I/F26は、リムーバブルストレージ、ホストコンピュータとの通信I/F、CRT出力I/F、LANI/Fの一つあるいは複数を組合せて構成し、記録トリガを蓄積したロギングデータを外部に移動または表示出力するものであって、このログデータを解析して監視対象設備に発生したトラブルの保守に役立てる。
【0020】内部バス接続I/F27は、PLCのバックプレーン上に配線されている内部バスコネクタ28に差込み式に対応し、ロギングユニット21をPLC22の空きスロット23に装填するとき、電気的に対応して接続するためのものである。
・・・
【0023】図5はロギングユニット21の制御回路ブロック図を示し、このロギングユニット21は、PLCバスI/F51と、入力制御部52と、トリガ検知部53と、記録条件設定部54と、データ編集部55と、一時ファイル56と、ログファイル57と、ログ転送部58と、ログ加工表示部59とを備えて構成される。
【0024】PLCバスI/F51は、PLC内部のCPUバス信号やI/Oバス信号に接続してバススヌープ(バスの監視)を行い、主にCPUバスからはPLCのCPUユニット上の時計データを取得すると共に、I/Oバスからはロギング対象であるPLCのI/O接点データ(以下、CI/Oと称す)を常時取得し、入力制御部52の指示にしたがって、それらを一時ファイル56にデータ転送し、格納する。
・・・
【0026】入力制御部52は、取得したCI/Oをサイクルタイム毎に一時ファイルにリングバッファ形式にて記録させる。トリガ検知部53は、外部トリガ信号の入力やトリガ条件の成立を検出し、ログファイル57への蓄積指示を入力制御部52に通知し、通知終了後は自己リセットして、次のトリガ信号の検知に備える。
【0027】記録条件設定部54は、以下の項目のユーザの記録条件を設定する。
A、トリガ条件(トリガ入力前のデータを記録/トリガ入力前後のデータを記録/トリガ入力後のデータを記録)
B、トリガ入力信号種別(外部トリガ信号/内部CI/O信号)
C、トリガ入力信号形態(オンオフ/時系列パターン)
D、オンオフ指定時の発火論理(High/Low)
E、時系列パターン指定時の時系列参照パターン
F、記録時間
これらの設定条件は予めトリガ検知部53、入力制御部52、データ編集部55に通知して、それらの各種設定条件に反映される。
【0028】データ編集部55は、記録トリガを受けて一時ファイル56からデータを取出し、時刻やファイルサイクル等の管理情報を添付してログファイル57を作成する。その際に物理アドレスデータを論理アドレスデータに変換させてもよい。
【0029】一時ファイル56は、サイクルタイム毎のCI/Oを揮発性・不揮発性を問わずリングバッファ状に常時ログする。ログファイル57は、不揮発性メディアまたはバッテリバックアップされた記憶手段にて実装された、ユーザが参照すべきロギングデータを格納する。ログ転送部58は、通信I/Fに該当し、データ編集部55が編集を終えたログファイルの内容をパソコンやPLCツール等のユニットの外部に転送する。
・・・
【0035】このように構成されたロギングユニットの基本的な動きを制御する入力制御部52の制御動作を図10のフローチャートを参照して説明する。今、ロギングユニットを起動すると、これに伴って初期化が実行される。先ず、各バッファ、レジスタ類をクリアし、さらに記録条件設定部54から記録条件を読込み、関連部位を初期設定する(ステップn1)。
【0036】その後、バスサイクルをスヌープして実行サイクル開始時点を検出(イニシャルアドレスの判定処理)する。この場合、ログファイル57として残すべき一時ファイル56の作成のためではなく、実行サイクル間の切れ目を判定し、イニシャルアドレスを特定するために行い(ステップn2)、イニシャルアドレスレジスタ内のイニシャルアドレスデータと照合することにより、次の実行サイクル開始時点を検出する(ステップn3)。
【0037】実行サイクル開始時点を検出すれば、PLCバスI/F51によりPLCの内部バスのバススヌープを行い、バッファリングし(ステップn4)、入力制御部52の指示にしたがって一時ファイル56にリングバッファ形式で記録する(ステップn5)。
【0038】続いて、次実行サイクル開始時点か否かを検出し、イニシャルアドレスレジスタ内のイニシャルアドレスデータと照合することにより次実行サイクル開始時点を検出する。この場合、次実行サイクル開始時点の判定処理の発生は、現実行サイクル終了時点及び現実行サイクルのレコードが出来上ることを意味している(ステップn6)。
【0039】次実行サイクル開始時点を検出すれば、トリガ入力があるか否かを確認し、トリガ入力がなければステップn4に戻り、繰返しトリガ入力をチェックする(ステップn7)。
【0040】このとき、トリガ入力があれば(トリガの記録条件設定が「トリガ前」に設定されている場合)、直ぐにステップn12にジャンプしてデータ編集部55に対し、完了通知データと完了時のレコード情報(例えば実行サイクル番号や記録時刻等の完了時のレコードを特定できるデータ)を通知する。
【0041】ところで、トリガの記録条件設定が「トリガ前後」、「トリガ後」に設定されている場合は、トリガ後に対するバススヌープを行ってバッファリングし(ステップn8)、そのデータを一時ファイル56にリングバッファ形式で記録する(ステップn9)。
【0042】そして、次実行サイクル開始時点を待ち(ステップn10)、次実行サイクル開始時点を検出すれば、トリガ後に対する設定記録時間分のレコードを一時ファイルに記録する(ステップn11)。
【0043】そのトリガに対する記録が終了すれば、一時ファイル上のリングバッファの記録終了位置をデータ編集部55に通知し、通知後は再びステップn4に戻って繰返しトリガ入力に応じたデータを記録する(ステップn12)。
【0044】ところで、前述したPLCバスI/F51でのバススヌープについて説明すると、このPLCバスI/F51にてI/Oバス上のアドレス線、データ線の状態を常時バッファリングする。これには、常時バスサイクル動作が発生しているか否かを監視し、同一バスサイクル中のアドレス情報とデータ情報をそれぞれバスサイクル毎にセットでバッファリングする。
【0045】また、バスサイクルの開始を検知するには、PLCの内部バス仕様のバスサイクル認識手段を用いる。例えば、バスサイクルの開始を意味する信号がアクティブになったときを監視したり、アドレス線やアドレスストローブ信号、他のコントロール信号が同時にアクティブになったときをバスサイクル開始の合図として定めて監視することによりバスサイクルの開始を認識する。このバスサイクル開始の認識後は、アドレス線上のアドレスデータと、データ線上の接点データをロギング対象としてバススヌープとバッファリングを継続する。
【0046】次に、ロギングユニットのデータ編集処理動作を図11のフローチャートを参照して説明する。今、ロギングユニットが起動されると、これに基づいて各バッファ、レジスタ類がクリアされ、また関連部位が初期設定される(ステップn21)。この初期設定後は記録完了通知がくるのを確認し、入力制御部52の指示にしたがって記録完了通知が通知されたか否かを判定する(ステップn22)。
【0047】記録完了通知がない場合は、記録完了通知が来るまで待機状態となり、ポーリングや割込み等の技術によって通知を監視することができる。そして、記録完了通知があると、「トリガ前」、「トリガ前後」、「トリガ後」のいずれかのリングバッファ形式の記録完了レコード位置を認識し(ステップn23)、認識した記録完了レコード位置に応じたヘッダ情報を書込み(ステップn24)、ログファイル移し替え分の記録開始レコード位置をリングバッファから特定して読込んだ後(ステップn25)、その読込んだ記録開始レコード位置をログファイル57に書込む(ステップn26)。
【0048】そして、設定した記録時間に対し、トリガ受付け時刻とレコード時刻との差を求めて記録時間を満たしたか否かを判定する等の終了レコード判定方法によりログファイル移し替え分の終了レコードを判定すれば、一トリガに対するデータ収集を終了する(ステップn27)。
【0049】これに対し、ログファイル移し替え分の終了レコードを判定できなければ、リングバッファの次のレコードを読込み、終了レコードを読込むまで実行する(ステップn28)。
・・・
【0051】以下、その実行サイクルを知る実現方法とその説明を行う。先ず、CPUユニットの実行サイクルそのものについて図12を参照して説明する。図12はPLCにおけるシーケンス処理の一実行サイクルの動作説明をタイムチャートで示し、この一実行サイクルの最初の時期はPLCの全入力接点のデータを読取るINリフレッシュ処理が実行される。このINリフレッシュ処理の期間が過ぎると次の期間の命令実行処理を経て、その結果を基にPLCの全出力接点にデータを書込むOUTリフレッシュ処理が実行される。このような一連のデータ処理が繰返し実行される。
【0052】一実行サイクルの開始時点(Startポイント)と終了時点(Endポイント)は、シーケンスプログラム上に示されている。したがって、これらのポイントをデフォルトで知れるユニットとは、シーケンスプログラムを実行するCPUユニットだけである。通常のPLCの用途ではCPUユニット以外のユニットがこれらのポイントを知る必要性は低い。このため、各ポイントを他のユニットに通知するようなハード構成は備えておらず、仮に、他のユニットが実行サイクル開始時点を知りたければ、予めサイクルの開始時点を他のユニットに通知する処理をシーケンスプログラム上に記述する必要があり、このためだけに接点やプログラム容量を消費してしまうことは、併用リソースの効率性からも好ましくない。
・・・
【0072】次に、一時ファイルに格納されるロギングデータについて説明する。このロギングデータは、トリガ信号を受付けてログファイル57作成(編集)の通知が出されるまで、または一時ファイル56として記憶されている記憶容量の使用可能な容量を超えるまで格納される。
【0073】この一時ファイル56に格納されるロギングデータは、図15に示すように、リングバッファ形式で格納される。図15(a)は、記録条件設定部54に設定されたトリガ条件が「トリガ前」の場合におけるリングバッファ形式の一時ファイル56上での記録終了レコードと記録開始レコードとの関係を示している。このトリガ条件が「トリガ前」の場合には、トリガ検知部53でトリガを検出すると、一時ファイル56に対するデータの記録が直ちに停止される。そして、このデータの記録が停止された記録完了レコードの次のレコードから再生が開始される。これにより、「トリガ前」のPLC情報を再生することができる。
【0074】図15(b)は、記録条件設定部54に設定されたトリガ条件が「トリガ前後」の場合におけるリングバッファ形式の一時ファイル56上での記録終了レコードと記録開始レコードとの関係を示している。このトリガ条件が「トリガ前後」の場合には、トリガ検知部53でトリガを検出すると、その後、一時ファイル56の半分の記憶領域まで記録を続け、その後、一時ファイル56に対するデータの記録が停止される。そして、このデータの記録が停止された記録完了レコードの次のレコードから再生が開始される。これにより、「トリガ前後」のPLC情報を再生することができる。
【0075】図15(c)は、記録条件設定部54に設定されたトリガ条件が「トリガ後」の場合におけるリングバッファ形式の一時ファイル56上での記録終了レコードと記録開始レコードとの関係を示している。このトリガ条件が「トリガ後」の場合には、トリガ検知部53でトリガを検出すると、その後、一時ファイル56の全ての記憶領域まで記録を続け、その後、一時ファイル56に対するデータの記録が停止される。そして、このデータの記録が停止された記録完了レコードの次のレコードから再生が開始される。これにより、「トリガ後」のPLC情報を再生することができる。
【0076】ここでのリングバッファの一区画は、一実行サイクル分のデータの格納単位でレコードと称し、このレコードはログファイル56への記録単位になる。上述のレコードは、バスI/Fにおけるバッファリングを経て、実行サイクル毎に作成される。ロギング対象はアドレス線上のアドレスデータとデータ線上の接点データであり、これら両方をセットで記録するか、あるいは予め記録すべきアドレス範囲をユーザが指定しているような場合は(アドレス情報を記録する必要がないため)、データ線上の接点データだけを記録する。
【0077】次に、一時ファイル56に書込む際のデータレコード(バスサイクル単位)の一例を図16に示す。このデータレコード161はPLC時刻162と、CI/Oアドレス163と、CI/Oデータ164とのデータが記録され、この内、PLC時刻162は実行サイクル開始時点の時刻を示し、CI/Oアドレス163はロギング指定された先頭アドレスを示し、またCI/Oデータ164はそのロギング指定された先頭アドレスに対応するデータを示し、この内CI/Oアドレス163とCI/Oデータ164との一対はペアとなって以下ペア毎に記録される。
【0078】この他、レコード単位を明確化するためのヘッダ情報や、データ編集などのロギング後処理にて必要となる情報を、予めレコードの一要素として添付することもできる。例えば、実行サイクルの通し番号情報をレコードの先頭に添付すればレコード単位を一層明確化することができる。
【0079】ところで、トリガの受付け時期とトリガの判定処理を説明すると、ロギングユニットの外部から入力される記録トリガ信号は、トリガ検知部53に対して実行サイクルに「非同期」に入力される。このことは、この発明の特徴であるサイクルタイムレベルのロギングを実現することで実行サイクル単位での接点動作を明らかにし、ユーザの保守効率を向上させるという観点からロギングデータはサイクルタイム単位で扱われる必要がある。この意図により、記録トリガを受けて一時ファイル56からログファイル57を生成する場合も、サイクルタイム毎に作成されるデータレコード単位で扱う必要があり、記録トリガの入力制御部52における受付け時期を考慮する必要がある。
・・・
【0084】記録トリガの種類としては、外部トリガ、内部設定トリガ、時系列パターントリガがあり、これらのトリガのいずれかがトリガ検知部53に入力され、記録トリガして扱われる。
【0085】外部トリガは、ユニットに端子台やコネクタを設け、ここにオンオフ信号を入力し、これをトリガとしている。
【0086】内部設定トリガは、予め設定してPLCのI/O接点の状態遷移をトリガと見なして扱うものであって、そのための監視プログラムをトリガ検知部53に格納し、その監視プログラムによってトリガ発生の判定を行う。この監視プログラムは高級言語等で記述する他、シーケンスプログラムとしてもよい。また、監視プログラムの開発やユニットへのダウンロードはPLCツールを流用してもよい。時系列パターントリガは、予め指定した時系列パターンにマッチングしたときをトリガと見なすものであって、この時系列パターンは参照データとしてトリガ検知部内に設定しておき、トリガ検知部にてロギングデータの時系列の動きと、このデータを逐次照合し、適合したときに入力制御部52にトリガ信号を上げる。
【0087】次に、ログファイル57について説明する。入力制御部52においてトリガを受付けると、記録条件設定部54の設定条件にしたがって一時ファイル56のリングバッファから然るべきデータレコードをログファイル57に移し替える。
【0088】一時ファイル56のリングバッファはレコードの集合体であり、トリガを受付けてリングバッファのデータレコードをログファイル57に移し替える際は、レコード単位を特定してログファイル57を作成する。
【0089】図17はログファイルフォーマットの一例を示し、このログファイルフォーマットはログファイル作成時刻と、予め定められた実行サイクルのログレコード分が順次備えられている。」
(2)図面
「【図1】
[図:0001398264000001.jpg]
【図2】
[図:0001398264000002.jpg]
・・・
【図5】
[図:0001398264000003.jpg]
・・・
【図10】
[図:0001398264000004.jpg]
【図11】
[図:0001398264000005.jpg]
・・・
【図15】
[図:0001398264000006.jpg]
【図16】
[図:0001398264000007.jpg]
【図17】
[図:0001398264000008.jpg]
」
2 甲1の記載事項の整理
(1)段落【0018】の記載からみて、ロギング設定入力I/F25は、記録条件の設定を外部から入力するためのものである。
(2)段落【0024】、【0037】、及び【0044】、及び図5の記載からみて、PLCバスI/F51は、PLC22のロギング対象であるI/O接点データ(以下、「CI/O」という。)をバッファリングする(一時的に記憶する)ものである。
(3)段落【0002】~【0005】、【0024】、【0026】、【0076】~【0077】、【0079】、図1、16の記載からみて、一時ファイル56に格納されるものについて以下のことがいえる。
ア 段落【0076】には、ロギング対象の記録すべきアドレス範囲をユーザが指定することが記載されているところ、ロギング(動作の記録)に関するユーザの指定は、ロギング設定入力I/F25を介して記録条件設定部54へ設定される記録条件以外には開示がないから、ロギング対象のアドレス範囲の指定は、ロギング設定入力I/F25を介して受け付けた記録条件に含まれると解される。また、段落【0026】には、取得したCI/Oをサイクルタイム毎(段落【0051】~【0052】、図12)に一時ファイル56に記録することが記載され、段落【0024】には、PLCバスI/F51がPLCのCPUユニット上の時計データと、CI/Oを一時ファイル56にデータ転送し格納することが記載され、段落【0077】、及び図16には、一時ファイル56に書込むデータレコードにおいて、PLC時刻162とCI/Oが関連付けられることが記載されている。
したがって、一時ファイル56には、ロギング設定入力I/F25にて受け付けた記録条件の設定に基づいて、PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/Oをサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データとCI/Oを関連付けたものが格納されている。
イ 段落【0002】~【0005】の記載からみて、甲1記載のロギング装置は、段落【0003】、及び図1記載に記載された従来技術である「ロギング対象である監視対象設備11をPLC12によって制御し、この制御したPLCのデータを、PLCのデータ通信手段13を介してロギング装置14に収集し、またカメラ15やマイクロホン16で取得した監視対象設備11のデータをロギング装置14に導いて記録し、データの再生要請に応じてロギング装置14で記録したPLCの内部情報と、画像情報及び音響情報との各データを同期してディスプレイ17及びスピーカ18で再生しているもの」を前提とし、段落【0005】の記載からみて、PLCデータを内部バスからサイクルタイム毎に収集してロギングするものである。そして、この画像情報は、PLCデータと同期して再生されることから、PLCのCPUユニット上の時計データと関連付けられていることが明らかである。
したがって、一時ファイル56には、カメラ15にて取得された画像情報をサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データと当該画像情報とを関連付けたものが記憶されている。
ウ 上記ア及びイより、一時ファイル56は、ロギング設定入力I/F25にて入力した記録条件に基づいて、PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/Oをサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データとCI/Oを関連付けて格納し、カメラ15にて取得された画像情報を記録し、当該PLCのCPUユニット上の時計データと当該画像情報とを関連付けて記憶するものである。
(4)段落【0027】~【0028】、【0086】~【0087】、図5の記載からみて、データ編集部55は、記録条件により予め設定された記録トリガを受けて、一時ファイル56に記憶したデータ及び情報から、記録条件で設定した記録時間分のログファイル57を作成するものである。
したがって、データ編集部55は、設定した記録トリガを受けて、一時ファイル56に記憶したCI/Oと画像情報のうち、記録条件で設定した記録時間分のログファイル57を作成するものである。
(5)段落【0016】、【0023】、図2、5の記載からみて、ロギングユニット21は、上記(2)~(4)のロギング設定入力I/F25、PLCバスI/F51、一時ファイル56、データ編集部55を有する。そして、段落【0023】~【0024】、及び図5の記載からみて、このロギングユニット21は、PLCバスI/F51を介してPLC22に接続されている。
そして、段落【0051】~【0052】、及び図12の記載からみて、PLC22のCPUユニットは、その一実行サイクルの開始時点と終了時点がシーケンスプログラム上に示され、この一実行サイクルが繰り返されるから、シーケンスプログラムを繰り返し実行するものである。
3 甲1発明
上記1~2より、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「外部から記録条件の設定を入力するロギング設定入力I/F25と、
PLC22のロギング対象であるCI/OをバッファリングするPLCバスI/F51と、
前記ロギング設定入力I/F25にて入力した記録条件に基づいて、前記PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/Oをサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データとCI/Oを関連付けて格納し、
カメラ15にて取得された画像情報を記録し、当該PLCのCPUユニット上の時計データと当該画像情報とを関連付けて記憶する一時ファイル56と、
前記記録条件で設定した記録トリガを受けて、一時ファイル56に記憶したCI/Oと画像情報のうち、前記記録条件で設定した記録時間分のログファイル57を作成するデータ編集部55と、
を有するロギングユニット21が、
PLCバスI/F51を介して接続されており、シーケンスプログラムを繰り返し実行するCPUユニットを有するPLC22。」
第5 当審で通知した取消理由について
本件訂正前の請求項1~15に係る特許に対して、当審が令和4年10月6日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
1 理由1
(進歩性)本件訂正前の請求項1~14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1、及び甲3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 理由2
(明確性)本件訂正前の請求項15に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
第6 通知した取消理由についての当審の判断
1 理由2(明確性)
理由1(進歩性)の検討に先立ち、理由2(明確性)について検討する。
(1)理由2の内容
本件訂正前の請求項15に対して通知した取消理由は、以下のとおりである。
本件訂正前の請求項15が引用する本件訂正前の請求項1の「当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データ」という記載において、ログ設定データを作成する主体(人間が作成するのか、それとも、PLCシステムが作成するのかといった、作成主体)が不明である。
(2)本件発明15
本件発明15は、上記第3の2(3)のとおりであり、「当該ログ設定データは、前記外部設定機器がユーザプログラムを解析することにより作成され、」の発明特定事項を有するものである。
(3)理由2の検討
本件発明15は、本件発明15が引用する請求項1に係る発明の「当該ユーザプログラムに基づき作成されたログ設定データ」の発明特定事項において、ログ設定データを作成する主体が、外部設定機器であることが特定されている。
よって、本件発明15は、ログ設定データを作成する主体が明確となり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているから、本件発明15に係る特許を、通知した取消理由の理由2(明確性)により取り消すことはできない。
2 理由1(進歩性)<本件発明1>
理由1(進歩性)について検討する。
(1)本件発明1の認定
第3の2(1)のとおりである。以下、この認定を前提として本件発明1の進歩性を検討する。
(2)本件発明1と甲1発明の対比
ア 甲1発明の「記録条件の設定」は本件発明1の「ログ設定データ」に、同様に「ロギング設定入力I/F25」は「第一の外部インタフェース」に相当する。そして甲1発明が「外部から記録条件の設定を入力する」ことは本件発明1の「外部設定機器から」「ログ設定データ」「を受け付ける」ことに相当する。
イ 甲1発明の「PLC22のロギング対象であるCI/OをバッファリングするPLCバスI/F51」と本件発明1の「前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部」とを対比すると、甲1発明のバッファリング(一時的に記憶すること)には記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部を伴うことが技術常識であるから、両者は「記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部」という点に限り一致する。
ウ 甲1発明の「前記ロギング設定入力I/F25にて入力した記録条件に基づいて、前記PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/Oをサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データとCI/Oを関連付けて格納し、
カメラ15にて取得された画像情報を記録し、当該PLCのCPUユニット上の時計データと当該画像情報とを関連付けて記憶する一時ファイル56」と、
本件発明1の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部と、
監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、
前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部」と、
を対比すると以下のことがいえる。
(ア)甲1発明の「前記ロギング設定入力I/F25にて入力した記録条件」は、本件発明1の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データ」に相当し、以下同様に、「PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/O」は「複数のデバイスに記憶されているデバイス値」に、「PLCのCPUユニット上の時計データ」は「デバイス値の収集時刻に関する情報」にそれぞれ相当する。また、甲1発明の「サイクルタイム毎」は、甲1の段落【0051】、及び図12による説明、あるいは段落【0052】の「一実行サイクルの開始時点(Startポイント)と終了時点(Endポイント)は、シーケンスプログラム上に示されている。」と記載されていることからみて、本件発明1の「1スキャンごと」に相当する。
そして、甲1発明の「前記ロギング設定入力I/F25にて入力した記録条件に基づいて、前記PLCバスI/F51にバッファリングされたCI/Oをサイクルタイム毎に記録し、PLCのCPUユニット上の時計データとCI/O関連付けて格納」することは、本件発明1の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶」することに相当する。
(イ)甲1発明の「カメラ15」は本件発明1の「監視機器」に、同様に「画像情報」は「画像データ」にそれぞれ相当する。
そして、甲1発明の「カメラ15にて取得された画像情報を記録し、当該PLCのCPUユニット上の時計データと当該画像情報とを関連付けて記憶する」ことと、本件発明1の「監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する」こととを対比すると、両者は「監視機器にて取得された画像データを収集し、画像データの収集時刻に関する情報と画像データとを関連付けて記憶する」点に限り一致する。
(ウ)甲1発明の「一時ファイル56」と、本件発明1の「第一収集部」及び「第二収集部」は、「収集部」という点で一致する。
エ 甲1発明の「前記記録条件で設定した記録トリガを受けて、一時ファイル56に記憶したCI/Oと画像情報のうち、前記記録条件で設定した記録時間分のログファイル57を作成するデータ編集部55」と、
本件発明1の「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時間に関する情報とともに出力する出力部」と、
を対比すると次のことがいえる。
(ア)甲1発明の「前記記録条件で設定した記録トリガ」は本件発明1の「第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データ」に、同様に「一時ファイル56に記憶した」は「収集された」に、「記録条件で設定した記録時間」は「ログ設定データに基づき定められる対象期間」に、「ログファイル57を作成する」は「出力する」に、「データ編集部55」は「出力部」にそれぞれ相当する。
(イ)上記(ア)から、甲1発明の「前記記録条件で設定した記録トリガを受けて、一時ファイル56に記憶したCI/Oと画像情報のうち、前記記録条件で設定した記録時間分のログファイル57を作成するデータ編集部55」と、本件発明1の「第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時間に関する情報とともに出力する出力部」は、「第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、収集部により収集されたデバイス値と画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間におけるデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各画像データとを、出力する出力部」に限り一致する。
オ 甲1発明の「シーケンスプログラムを繰り返し実行するCPUユニット」は本件発明1の「ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部」に相当する。
カ 甲1発明の「ロギングユニット21」が「PLCバスI/F51を介して接続されて」いる「PLC22」は、PLC22とロギングユニット21が一体化して協働し、全体でロギングを行うプログラマブルロジックコントローラとして認識できるから、本件発明1の「プログラマブルロジックコントローラ」に相当する。
(3)本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点
したがって、本件発明1と甲1発明は以下の点で一致し、相違する。
ア 一致点
外部設定機器からログ設定データを受け付ける第一の外部インタフェースと、
前記ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、
記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶し、
監視機器にて取得された画像データを収集し、画像データの収集時刻に関する情報と画像データとを関連付けて記憶する収集部と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、収集部により収集されたデバイス値と画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間におけるデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各画像データとを、出力する出力部と、
を含むプログラマブルロジックコントローラ。
イ 相違点
(ア)相違点1
第一の外部インタフェースが、本件発明1では「ユーザプログラム」を受け付けるのに対して、甲1発明では「ユーザプログラム」を受け付けるかどうか不明な点。
(イ)相違点2
記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部が、本件発明1では「前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される」ものであるのに対して、甲1発明ではプログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用されるかどうか不明な点。
(ウ)相違点3
本件発明1が「監視機器と接続され、当該監視機器にて取得された画像データが入力される第二の外部インタフェース」を備えるのに対して、甲1発明は監視機器(カメラ15)にて取得された画像データが入力されるものの、第2の外部インタフェースに相当する手段を備えるか否かは不明な点。
(エ)相違点4
本件発明1が、「前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部」と、「監視機器と接続され、当該監視機器にて撮像周期ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェースと、前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部」を別々に備え、第一収集部がデバイス値を「1スキャンごとに」収集し、第二収集部が画像データを「撮像周期ごとに」取得するのに対して、甲1発明においては、単一の収集部(一時ファイル56)のみでデバイス値(CI/O)と画像データ(画像情報)を収集し、デバイス値の収集は「1スキャンごとに(サイクルタイム毎に)」行われるものの、画像データの収集の態様は不明である点。
(オ)相違点5
ログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来すると、収集されたデバイス値と画像データのうち、本件発明1が「当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する」のに対して、甲1発明においては、デバイス値や画像データの出力の具体的な態様は不明である点。
(4)相違点の検討(相違点4及び相違点5)
事案に鑑みて相違点4及び相違点5から検討する。
ア 甲3記載の技術的事項
甲3には、段落【0033】~【0035】、及び図10~12の記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されている。
ここで、甲3記載の技術的事項は、本件発明1の発明特定事項に沿って整理し、括弧内には甲3の対応事項を記載した。下線は当審で付した。
「外部設定機器(プログラム作成支援装置1)からユーザプログラム(ラダープログラム35)とログ設定データ(トレース設定47)とを受け付ける第一の外部インタフェース(通信部14)と、
前記ユーザプログラムを繰り返し実行するプログラム実行部(ラダー実行部40)と、
前記プログラム実行部により実行されるユーザプログラムにて使用される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部(デバイスメモリ48)と、
第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づいて、前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値をスキャン周期ごとあるいはスキャン周期よりも短いユニット間同期周期ごとに収集(リフレッシュ)し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報(格納時刻を示す時刻情報)と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部(リングバッファ49)と、
監視機器(被制御機器16)と接続され、当該監視機器にてスキャン周期ごとあるいはスキャン周期よりも短いユニット間同期周期ごとに取得されたデバイス値が入力される第二の外部インタフェース(通信部14)と、
前記第二の外部インタフェースに入力されるデバイス値を取得し、当該デバイス値の取得時刻に関する情報(格納時刻を示す時刻情報)と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第二収集部(リングバッファ59)と、
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データに基づき定められる保存タイミングが到来する(トリガ条件が満たされる)と、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集されたデバイス値のうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間(サンプル時間)における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻のデバイス値とを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する(送信する)出力部(バッファ管理部42及びバッファ管理部52)と
を有するプログラマブルロジックコントローラ。」
イ 相違点4及び相違点5に対する判断
(ア)相違点4について
上記アの甲3記載の技術的事項の内容からみて、甲3には相違点4における「デバイス値をスキャン周期ごとに収集する」ことについては記載されている。
しかしながら、甲3で取得するデータはデバイス値のみであり、被制御装置16において画像データを撮像周期ごとに取得することは、記載も示唆もされていないから、甲3には相違点4の画像データを撮像周期で取得することについては記載も示唆もされていない。
(イ)相違点5について
相違点5についてみても、上記のとおり、甲3で取得するデータはデバイス値のみであって、画像データを取得するものではないから、相違点5の画像データの出力態様については記載も示唆もされていないことが明らかである。
(ウ)まとめ
したがって、甲1発明に甲3記載の技術的事項を適用しても、相違点4、及び相違点5が充足されることはなく、本件発明1に至ることが容易であるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、及び甲3記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)甲2、4及び5について
甲1発明に甲2、甲4及び甲5記載の技術的事項を適用することによる本件発明1の容易想到性について検討する。
ア 甲2を副引用例とした場合
(ア)甲2記載の技術的事項
甲2には、段落【0105】~【0154】、及び図14~21の記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。)が記載されている。
ここで、甲2記載の技術的事項は、本件発明1の発明特定事項に沿って整理し、()括弧内には甲2の対応事項を、[]括弧内には甲2の根拠箇所を記載した。
「第一の外部インタフェース(記録条件設定部105)にて受け付けたログ設定データ(記録条件)に基づいて、複数のデバイスに記憶されているデバイス値(PLCデータ)を記録周期ごとに収集し、当該デバイス値の収集時刻に関する情報(取得した時刻情報Tpj)と当該デバイス値とを関連付けて記憶する第一収集部(一時ファイル記録部107)と、[段落【0116】、【0128】、図15~16]
監視機器(カメラ30)と接続され、当該監視機器にて撮像周期(記録周期)ごとに取得された画像データが入力される第二の外部インタフェース(入力制御部104)と、[段落【0116】、図15]
前記第二の外部インタフェースに入力される画像データを収集し、当該画像データの取得時刻に関する情報(取得した時刻情報Tvi)と当該画像データとを関連付けて記憶する第二収集部(一時ファイル記録部107)と、[段落【0116】、【0128】、図15~16]
前記第一の外部インタフェースにて受け付けたログ設定データ(記録条件)に基づき定められる保存タイミングが到来(トリガの発生を検知)すると、前記第一収集部により収集されたデバイス値と第二収集部により収集された画像データのうち、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、デバイス値に関連付けられた当該収集時刻(図19のログファイルの時刻)とともに出力する(ログファイルとしてログファイル記録部109に格納する)出力部(データ編集部108)と、[段落【0134】~【0135】、【0147】~【0150】、図15、図19、図21]
を有するCPU31(設備ロギング装置)。」
(イ)相違点の検討(相違点5)
上記の甲2記載の技術的事項において、ログファイル記録部109にログファイルとして格納されるPLCデータ(デバイス値)と画像データは、一時ファイル記録部107のデータが、所定の記録時間となるように編集されたもの(【0134】)であり、ログファイルは、時刻に関する情報を含んでいる(図19)といえる。
しかし、このログファイルは、一時ファイル記録部107のデータを編集する際に、画像データの取得時刻(Tvi)とPLCデータの収集時刻(Tpj)を比較して、ずれが小さいものをまとめて(段落【0141】~【0153】、図21)から、同じ時刻で同期したデータとして編集されたものであるため、ログファイルに含まれる時刻に関する情報は、同期した共通の時刻、すなわち同一時刻であると解される。
そうすると、相違点5の画像データの出力態様について、甲2には記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用しても、相違点5が充足されることはなく、本件発明1に至ることが容易であるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 甲4~甲5を副引用例とした場合
甲4には、【請求項1】、【0015】、及び【0051】~【0052】の記載からみて、「デバイスから得られたデータをプログラムと対応づけて蓄積すること」(以下「甲4記載の技術的事項」という。)が記載されている。
甲5には、段落[0093]-[0107]、及び図9の記載からみて、「ディスプレイ152と、ラダー図上のラダー記号912に対応する変数に関するデバイス180の映像をディスプレイ152に再生表示させる「コントロールHMI処理部142」(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されている。 しかし、甲4、及び甲5記載の技術的事項は、いずれも相違点4、及び相違点5の内容には相当せず、甲1発明に適用しても、本件発明1に至ることはない。
(6)以上より、本件発明1と甲1発明の相違点5については、甲2~甲5記載の技術的事項のいずれも充足しておらず、本件発明1が、甲1発明及び甲2~甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
したがって、本件発明1に係る特許を、通知した取消理由の理由1により取り消すことはできない。
3 理由1(進歩性)<本件発明2~15>
本件発明2~15は、いずれも本件発明1を引用する発明であって、それぞれ、本件発明1に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件発明2~15は、本件発明1と同様に、甲1発明に甲2~甲5記載の技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 小括
よって、当審で通知した取消理由により、本件発明1~15に係る特許を取り消すことはできない。
第7 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
第6において、特許異議申立書に記載した甲1を主引用例とする取消理由について、申立人が特許異議申立書に添付して提出した甲2~甲5を検討したから、他に検討すべき特許異議申立て理由はない。
第8 申立人の主張の検討
申立人が令和5年1月12日提出の意見書で主張する内容について、以下検討する。
1 訂正要件違反について
(1)新規事項の追加1
ア 申立人の主張の概要
訂正事項1のうち「前記複数のデバイスに記憶されているデバイス値を1スキャンごとに収集し」の発明特定事項は、本件明細書等に記載されておらず、新規事項の追加に該当する。
イ 主張についての検討
申立人の主張の上記アの主張の根拠は、上記訂正事項1に係る事項の「1スキャンごと」が、周期的なスキャンのみならず非周期的なスキャンをも包含し得る概念であるというものであり、本件明細書等には、周期的なスキャンのみが記載されているところ、当該事項が訂正により追加されたことにより、非周期的なスキャンが新規事項として追加された旨を主張しているものと解される。
これに対して、上記第2の2(1)ウ(ア)で、訂正内容〔1-A〕について検討したとおり、本件明細書等の段落【0026】、【0027】、【0107】、【0269】の記載から、デバイス値が1スキャンごとに収集されるサイクルが周期的に実行されていることが理解できる。
すなわち、本件明細書等において、「1スキャンごと」は周期的に実行される動作の基本単位として認識されるものであり、「1スキャンごと」自体に、周期的あるいは非周期的という概念は存在しないから、この訂正により、非周期的なスキャンという概念が新規事項として追加されたという申立人の主張は採用することができない。
(2)新規事項の追加2
ア 申立人の主張
訂正事項1のうち「当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各収集時刻のデバイス値と、当該ログ設定データに基づき定められる対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する出力部」の発明特定事項は、本件明細書等に記載されておらず、新規事項の追加に該当する。
イ 主張についての検討
申立人は、上記アの発明特定事項について、「各々関連付けられた」の語句の存在により、「出力部」について、デバイス値を「関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力」し、かつ、画像データを「関連付けられた当該収集時刻に関する情報と当該取得時刻に関する情報とともに出力する」ものと解釈されることを前提に、本件明細書等には、そのような出力部は記載されていないことを説明する。
しかし、本件明細書等の段落【0139】、【0266】、【0267】、【0268】には、収集時刻はデバイス値に、取得時刻は画像データに、それぞれ関連付けられることが記載されており、これらの記載により、「収集時刻」はデバイス値を収集する時刻を意味する用語として、「取得時刻」は画像データを取得する時刻を意味する用語として定義されていることが認められる。
そうすると、上記アの発明特定事項を、これらの用語の定義を考慮して解釈すれば、「各々関連付けられた」は、収集時刻はデバイス値に、取得時刻は画像データに、各々関連付けられたと解するほかはないから、申立人の主張は、前提において誤っており、採用することができない。
2 本件発明1についての意見
(1)特許権者の第1の主張に対しての申立人の反論
特許権者による、甲2(従来技術である特願平10-133972号)では、「1スキャンごとに収集されたデバイス値のうち対象期間における各収集時刻のデバイス値と、撮像周期ごとに取得された画像データのうち対象期間における各取得時刻の画像データとを、各々関連付けられた収集時刻に関する情報と取得時刻に関する情報とともに出力するという本件発明1の技術思想は開示も示唆もされていない」旨の主張は失当であるとし、以下の甲2及び甲3に基づく反論をする。
ア 甲2に基づく反論
(ア)申立人の反論の概要
申立人の甲2に基づく反論は、概略、以下のとおりである。
本件発明1に係るプログラマブルロジックコントローラは、デバイス値に「当該収集時刻に関する情報」が付与され、画像データに「当該取得時刻に関する情報」が付与された状態で、すなわちデバイス値と画像データとに別々の時刻情報が付与された状態で、デバイス値および画像データを出力するものであるのに対して、甲2記載のものは、上記本件発明1のデバイス値と画像データを、付与された時刻情報を用いて整理して同期したものに、共通の時刻情報を付与してログファイルとして出力するものに相当する。
甲2記載のものについて、同期のための整理を行うことなく、本件発明1のように、別々の時刻情報が付与されたままデバイス値および画像データを出力してもよいことは当業者であれば容易に理解できる技術的事項であるから、本件発明1の技術思想が甲2には開示も示唆もされていないとの主張は失当である。
加えて、本件発明1に係るプログラマブルロジックコントローラでは、出力デバイス値および画像データを受ける受信機側において同期させる負担を負わせることになるから、甲2と比較して技術的進歩はない。
(イ)申立人の反論の検討
申立人が述べるように、本件発明1が、甲2記載のものと比較して技術的進歩がないかどうかはさておき、第6の2(4)及び(5)で検討したとおり、甲1発明に甲2~甲5記載の技術的事項を適用しても、相違点5が充足されることはないから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、申立人の反論は採用することができない。
イ 甲3に基づく反論
(ア)申立人の反論の概要
申立人は、特許権者が甲2に開示も示唆もされていないとした「本件発明1の技術思想」は甲3にも開示または示唆されているとする。そして、甲3には、基本ユニット3により収集される「デバイス」値を、収集時刻の情報とともに出力し、かつ、拡張ユニット4により取得される「バッファメモリ値」を、デバイス値とは別の時刻情報とともに出力するという技術思想が開示され、他方、「バッファメモリ値」が画像データであることは記載されていないことを前提とした上で、特許権者の主張に対し、以下の反論をする。
プログラマブルロジックコントローラの技術分野において、カメラで取得したデータをロギングすることや、センサやカメラを拡張ユニットの入力装置として使用することは周知技術であるから、甲1発明に甲3記載の技術的事項を適用する際に、「バッファメモリ値」を取得するための拡張ユニットとしてカメラを採用するか、あるいはセンサの一種であるイメージセンサを採用して、「バッファメモリ値」を画像データにして、格納時刻を示す時刻情報とともに出力することは当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)申立人の反論の検討
申立人の反論は、甲1発明に対して甲3記載の技術的事項を適用するように改変し、さらに、甲3記載の技術的事項に対して、センサやカメラを拡張ユニットの入力装置として使用する旨の周知技術を適用するように改変することが、当業者にとって容易想到である、というものであるが、そのような多段階の改変が、当業者にとって容易想到であると評価するに足る具体的証拠は示されていないから、当該反論は採用できない。
(2)特許権者の第2の主張に対しての申立人の反論
ア 申立人の反論の概要
申立人は、特許権者による、甲1及びその従来技術においては、「相互に関連したデバイス値と画像データをどのように紐づけて管理するか(本件特許の段落【0106】)という本件発明の課題すら開示されていない」旨の主張は失当であることを主張する。
そして、申立人は、上記アの特許権者の主張に対して、甲2に記載の設備ロギング装置100が、PLCデータと画像データとを同期した上でログフアイルとして出力することは、PLCデータと画像データとを「紐づけて管理」しているといえるから、「相互に関連したデバイス値と画像データをどのように紐づけて管理するか」という課題は甲2でも開示されており、さらに解決済みであることを説明する。
加えて、本件発明1は、甲2に記載のものと比較して、ログファイルの受信機側でPLCデータと画像データを同期させる必要が生じ、技術的に後退したものであることを指摘する。
イ 申立人の反論の検討
本件発明1が技術的に後退したものであるかどうかはさておき、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用しても、相違点5が充足されることはないから、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、申立人の反論は採用することができない。
3 請求項15に係る発明についての意見
ア 申立人の反論の概要
申立人は、意見書において新たに甲6を引用して、本件発明15が甲1、甲2、及び甲6の発明、または甲1、甲3、及び甲6の発明ならびに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることを主張する。
イ 申立人の反論の検討
甲6には、請求項15に対して本件訂正の訂正事項2で追加された「当該ログ設定データは、前記外部設定機器がユーザプログラムを解析することにより作成され、」の発明特定事項に対応する技術的事項が記載されている。
しかしながら、本件発明15は本件発明1を引用する発明であるところ、この技術的事項は、本件発明1と甲1発明との相違点4及び5に係る事項を示すものではなく、あるいはこれを示唆するものでもないから、既に第6で検討した甲1~甲5に、甲6を加えて検討しても、本件発明15が、これら各甲号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
したがって、申立人の反論は採用することができない。
第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~15に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に、本件請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700535