特許異議申立
2022-700473
トレイおよびブランク
- 審判番号
- 2022-700473
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-077093
- 登録番号
- 6974643
- 請求日
- 2022年06月01日
- 審決日
- 2023年09月25日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】レンゴー株式会社
- 【権利者代理人】北村 周彦
- 【異議申立人】岩▲崎▼ 精孝
- 審判長/審判官
- 審判長 久保 克彦
- 審判官 藤原 直欣
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P1651.121-YAA(B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6974643号発明「トレイおよびブランク」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6974643号の特許請求の範囲を、令和5年2月22日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第6974643号の請求項1~4、6に係る特許を維持する。
特許第6974643号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6974643号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和3年4月30日(優先権主張 令和3年1月27日)の出願であって、令和3年11月8日にその特許権の設定登録がされ、令和3年12月1日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 6月 1日 :特許異議申立人岩崎(当審注:「崎」のつくりは「竒」)精孝(以下「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 8月30日付け:取消理由通知書
同年10月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月11日付け:訂正拒絶理由通知書
同年12月 8日 :特許権者による意見書の提出
同年12月26日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和5年 2月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年10月20日にされた先の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
なお、令和5年2月22日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)に対して、申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第6974643号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」ものであり、その訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「上下方向に積層可能なトレイ(1)であって、
被包装物が載置される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)と、
一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)と、を備え、
前記底壁と前記第2側壁との境界線(L2)は、前記第2側壁の側に膨出するように屈曲または湾曲しており、
前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ、
前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられて第2方向の外側に傾倒しようとする前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となり、第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持されることを特徴とするトレイ。」と記載されているのを、
「上下方向に積層可能なトレイ(1)であって、
被包装物が載置される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)と、
一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)と、を備え、
前記底壁と前記第2側壁との境界線(L2)は、前記第2側壁の側に膨出するように屈曲または湾曲しており、
各々の前記内フラップの前記第1側壁に対向する対向辺(E3)は、
前記第2側壁との連設側において前記第2側壁との境界となる折曲線(L3)との成す角度が直角となる基端辺(E4)と、
前記基端辺から第1方向の外側に向かって延びた辺であって前記基端辺よりも前記第1側壁から離れた位置に形成される先端辺(E5)と、を有し、
前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ、
前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられて第2方向の外側に傾倒しようとする前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となり、第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持され、
前記内フラップが不動に支持された状態で、各々の前記内フラップの前記基端辺は、前記先端辺よりも大きな押圧力をもって前記底壁に押し付けられることを特徴とするトレイ。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4、6も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「請求項1ないし5のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1ないし4のいずれか1項」に訂正する。
(4)一群の請求項
本件訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が本件訂正の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項5に記載された事項に基づき、訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項2によって請求項5が削除されたことに伴い、引用する請求項の数を減少させ、また、訂正事項2によって削除された請求項5を引用する不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3が、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第4 本件発明
上記第3で述べたとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~4、6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正後の特許の特許請求の範囲の請求項1~4、6に記載された以下のものである。
「上下方向に積層可能なトレイ(1)であって、
被包装物が載置される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)と、
一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)と、を備え、
前記底壁と前記第2側壁との境界線(L2)は、前記第2側壁の側に膨出するように屈曲または湾曲しており、
各々の前記内フラップの前記第1側壁に対向する対向辺(E3)は、
前記第2側壁との連設側において前記第2側壁との境界となる折曲線(L3)との成す角度が直角となる基端辺(E4)と、
前記基端辺から第1方向の外側に向かって延びた辺であって前記基端辺よりも前記第1側壁から離れた位置に形成される先端辺(E5)と、を有し、
前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ、
前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられて第2方向の外側に傾倒しようとする前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となり、第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持され、
前記内フラップが不動に支持された状態で、各々の前記内フラップの前記基端辺は、前記先端辺よりも大きな押圧力をもって前記底壁に押し付けられることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
各々の前記第2側壁の上端に突設された積層凸部(22)と、
各々の前記第2側壁の下部から前記底壁にかけて穿設され、複数の前記トレイを積層した状態で、下方に位置する前記トレイの前記積層凸部が差し込まれる積層穴(23)と、を更に備え、
前記内フラップが不動に支持された状態で、前記第2側壁は、少なくとも前記積層凸部および前記積層穴の形成位置で前記直立姿勢に保持されることを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記内フラップには、連結部(24,28)が形成され、
各々の前記第1側壁の内面に対向した一対の前記内フラップは、互いに前記連結部を係合させて連結されることを特徴とする請求項1または2に記載のトレイ。
【請求項4】
一対の前記第1側壁の上端に連設され、内側に折り曲げられて前記第1側壁の内面に対向した一対の前記内フラップに覆設される一対の桟部(15)を更に備え、
各々の前記第1側壁の内面に対向した一対の前記内フラップは、前記第1側壁に対して非接着であり、前記底壁と前記桟部との間に配置されて前記第1側壁と平行な平面上での回動を規制されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトレイを形成することを特徴とするブランク。」
第5 取消理由(決定の予告)の概要
訂正前の請求項1~4、6に係る特許に対して、当審が令和4年12月26日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。以下、甲第1号証~甲第8号証を、それぞれ「甲1」~「甲8」という。
(進歩性)本件発明1~4、6は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲1:米国特許出願公開第2014/0326631号明細書
甲2:特許第6135423号公報
甲3:特開平5-193642号公報
甲4:実願昭52-071814号(実開昭54-115号)のマイクロフィルム
甲5:特開2001-171648号公報
甲6:実願平3-57045号(実開平5-10225号)のCD-ROM
甲7:特開2019-202784号公報
甲8:特開2019-142536号公報
第6 当審の判断
1 引用文献に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
甲1には、[0023]~[0040]及びFIG.1~FIG.3等の記載からみて、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「シート材料のブランクから形成された積み重ね可能な容器200であって、
ブランク100は、第1のエッジ106から第2のエッジ108まで直列に、予め形成されたほぼ平行な折り目線116および118に沿って一緒に結合された第1のサイドパネル110、底部パネル112および第2のサイドパネル114、並びに、折り目線122に沿って底部パネル112の第1の端部から延在する第1のエンドパネル120及び折り目線126に沿って底部パネル112の第2の端部から延びる第2のエンドパネル124を有し、
容器200は、底壁202、対向する第1の側壁204および第2の側壁206、ならびに対向する第1の端壁208および第2の端壁210を含み、
接着パネルとしても知られる内側エンドパネル132は、各サイドパネル110、114の各側縁から延在し、各内側エンドパネル132の下端144は、折り目線116、118に対して、約7度未満、より具体的には約1度から約5度、さらにより具体的には約3度の角度146で傾斜し、その結果、形成された容器200の側壁204、206は、ブランク100が連結されて容器200を形成するとき、内側に角度214が付けられ(約85度から約89度、具体的には約87度)、
容器200の第1の側壁204は、第1のサイドパネル110を折り目線116の周りで底部パネル112の内面102に向かって回転させることによって形成され、第2の側壁206は、第2のサイドパネル114を折り目線118の周りで底部パネル112の内面102に向かって回転させることによって形成され、一実施形態では、第1および第2のサイドパネル110、114は、底部パネル112に対して90度未満の角度214(約85度から約89度、具体的には約87度)を形成するように回転され、
各内側エンドパネル132は、各内側エンドパネル132がサイドパネル110または114に対して実質的に垂直であるように、折り目134を中心に回転され、第1のエンドパネル120は、折り目線122を中心に、内側エンドパネル132の外面104に向かって回転され、第1のエンドパネル120は、糊(glue)などの接着剤を使用して2つの内側エンドパネル132に結合されて、第1の端壁208を形成し、第2のエンドパネル124は、折り目線126を中心に、内側エンドパネル132の外面104に向かって回転され、第2のエンドパネル124は、糊などの接着剤を使用して2つの内側エンドパネル132に結合されて、第2の端壁210を形成する容器200。」
(2)甲8に記載された発明
甲8には、【0016】~【0051】及び図1、4~7の記載、並びに、他の変形例として【0053】~【0055】及び図9の記載からみて、次の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されているといえる。
「ブランク7を組み立てることで形成されているトレイ3であって、
複数のトレイ3を積み重ねることができるようになっており、
トレイ3は、底壁10の周縁部に端壁11および側壁12を立設させ、全体として略直方体状に形成され、トレイ3の上端面には、底壁10上に載置された内容物を出し入れするための開口部が開口しており、
第1外壁20は、第1折曲線L1を介して底壁10の段方向端部に連設され、
第2外壁30は、第3折曲線L3を介して底壁10の流れ方向端部に連設され、
折返壁15は、側部折曲線L12を介して第2外壁30(側壁12)の段方向(第1方向)の端部に連設され、
折返壁15は、側部折曲線L12から流れ方向(第2方向)外側に向かって斜めに延設され、
第2外壁30を第3折曲線L3に沿って折り曲げ、第2外壁30を底壁10に対して立ち上げ、折返壁15を側部折曲線L12に沿って内側に折り曲げ、折返壁15を第1折曲線L1上に起立した姿勢で配置し、折返壁15(外側縁部15B)は、側部折曲線L12から先端に向かって上方に傾斜した姿勢になり、第1外壁20を第1折曲線L1に沿って折り曲げ、第1外壁20を底壁10に対して立ち上げ、
折返壁15は、底壁10の側(下方)に押し付けられながら第1外壁20と第1内壁22との間に挟まれて起立姿勢に保持され、折返壁15は、第1外壁20および第1内壁22(端壁11)に重なるように側部折曲線L12に沿って折り曲げられた状態で側部折曲線L12から先端に向かって底壁10から離れるように傾斜した姿勢になっており、このため、折返壁15が端壁11に包まれる(保持される)過程で、折返壁15の先端部(外側縁部15B)は第1額縁部21の内面に当接して底壁10に向かって押し付けられる(押し下げられる)ことになり、一対の端壁11と一対の側壁12とが内側に傾斜したトレイ3。」
(3)周知技術
ア 周知技術1
甲2(【0001】~【0005】、【0007】、【0024】~【0025】及び図1~4)、甲3(【0008】~【0009】及び図1~2)、甲4(第2ページ第14行~第3ページ第11行及び第4~6図)の記載から、次の技術(以下「周知技術1」という。)が周知であると認められる。
「トレイにおいて、底壁に加わる衝撃から被包装物を保護するために、底壁と側壁との境界線を側壁側に膨出するように屈曲または湾曲させ、底壁を反り上がらせること。」
イ 周知技術2
甲5(【0042】~【0046】及び図1~5)の記載から、次の技術(以下「周知技術2」という。)が周知であると認められる。
「トレイにおいて、側壁(第1側壁2)の上端に突設された積層凸部(第1つめ部2b)と、前記側壁の下部から底壁(底板1)にかけて穿設され、複数のトレイを積層した状態で、下方に位置する前記トレイの前記積層凸部が差し込まれる積層穴(第1嵌入孔1c、凹部2a)を備えること。」
ウ 周知技術3
甲6(【0007】~【0013】及び図1~5)、甲7(【0013】、【0017】、【0028】及び図1~5)、甲8(【0022】、【0024】、【0032】、【0039】~【0041】及び図1~6)の記載から、次の技術(以下「周知技術3」という。)が周知であると認められる。
「トレイにおいて、第1側壁の上端に連設され、内フラップに覆設される桟部(甲6の前折込み10、甲7の桟板40、甲8の第1額縁部21)を備え、内フラップの回動を規制すること。」
2 対比、判断
(1)甲1発明を主引用発明とした場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
甲1発明の「積み重ね可能な容器200」は、本件発明1の「上下方向に積層可能なトレイ(1)」に相当する。
甲1発明の「底部パネル112」及び「底壁202」は、一般にトレイが製品の保管等に使用されることから(甲1の[0003]、[0025]を参照。)、本件発明1の「被包装物が載置される底壁(10)」に相当する。
甲1発明の「折り目線122に沿って底部パネル112の第1の端部から延在する第1のエンドパネル120」、「折り目線126に沿って底部パネル112の第2の端部から延びる第2のエンドパネル124」及び「対向する第1の端壁208および第2の端壁210」は、本件発明1の「前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)」に相当する。
甲1発明の「第1のエッジ106から第2のエッジ108まで直列に、予め形成されたほぼ平行な折り目線116および118に沿って一緒に結合された第1のサイドパネル110、底部パネル112および第2のサイドパネル114」における「第1のサイドパネル110」及び「第2のサイドパネル114」、並びに「対向する第1の側壁204および第2の側壁206」は、本件発明1の「前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)」に相当する。
甲1発明の「各サイドパネル110、114の各側縁から延在し、各内側エンドパネル132の下端144は、折り目線116、118に対して、約7度未満、より具体的には約1度から約5度、さらにより具体的には約3度の角度146で傾斜」する「接着パネルとしても知られる内側エンドパネル132」は、本件発明1の「一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)」に相当する。
甲1発明の「容器200の第1の側壁204は、第1のサイドパネル110を折り目線116の周りで底部パネル112の内面102に向かって回転させることによって形成され、第2の側壁206は、第2のサイドパネル114を折り目線118の周りで底部パネル112の内面102に向かって回転させることによって形成され」、「各内側エンドパネル132は、各内側エンドパネル132がサイドパネル110または114に対して実質的に垂直であるように、折り目134を中心に回転され、第1のエンドパネル120は、折り目線122を中心に、内側エンドパネル132の外面104に向かって回転され」、「第2のエンドパネル124は、折り目線126を中心に、内側エンドパネル132の外面104に向かって回転され」る態様は、本件発明1の「前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向」する態様に相当する。
甲1発明の「第1および第2のサイドパネル110、114は、底部パネル112に対して90度未満の角度214(約85度から約89度、具体的には約87度)を形成するように回転され」、「第1のエンドパネル120は、糊(glue)などの接着剤を使用して2つの内側エンドパネル132に結合されて」、「第2のエンドパネル124は、糊などの接着剤を使用して2つの内側エンドパネル132に結合され」、「側壁204、206は、ブランク100が連結されて容器200を形成するとき、内側に角度214が付けられ(約85度から約89度、具体的には約87度)」る態様と、本件発明1の「前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられて第2方向の外側に傾倒しようとする前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となり、第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持される」態様とは、「前記内フラップが不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられた前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となる」という限りで一致する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点1】
「上下方向に積層可能なトレイ(1)であって、
被包装物が載置される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)と、
一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)と、を備え、
前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、
前記内フラップが不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられた前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となるトレイ。」
【相違点1】
本件発明1では、第1側壁および第2側壁が底壁に対して立設された状態において、内フラップが「基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ」、「先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で」不動に支持されるのに対して、甲1発明では、内側エンドパネル132が不動に支持されるまでの形態が明らかでない点。
【相違点2】
本件発明1では、「前記底壁と前記第2側壁との境界線(L2)は、前記第2側壁の側に膨出するように屈曲または湾曲しており」、第2側壁が「第2方向の外側に傾倒しようとする」一方で「第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持される」のに対して、甲1発明では、折り目線116および118が屈曲または湾曲しておらず、側壁204、206は内側に90度未満の角度214(約85度から約89度、具体的には約87度)が付けられる点。
【相違点3】
本件発明1では「各々の前記内フラップの前記第1側壁に対向する対向辺(E3)は、前記第2側壁との連設側において前記第2側壁との境界となる折曲線(L3)との成す角度が直角となる基端辺(E4)と、前記基端辺から第1方向の外側に向かって延びた辺であって前記基端辺よりも前記第1側壁から離れた位置に形成される先端辺(E5)と、を有し」、「前記内フラップが不動に支持された状態で、各々の前記内フラップの前記基端辺は、前記先端辺よりも大きな押圧力をもって前記底壁に押し付けられる」のに対して、甲1発明では、当該事項が特定されていない点。
(イ)判断
事案に鑑み、本件訂正により限定された発明特定事項に係る上記相違点3について検討する。
甲1発明の各「内側エンドパネル132」(本件発明1の「内フラップ」に相当。)は、「第1のエンドパネル120」及び「第2のエンドパネル124」(同「第1側壁」に相当。)から離れるように傾斜した姿勢に形成されるものであるが、これら第1側壁に対向する「内側エンドパネル132」の「対向辺」において、折曲線との成す角度が直角となる「基端辺」と、該「基端辺」から第1方向の外側に向かって延びた辺であって、該「基端辺」よりも第1側壁から離れた位置に形成される「先端辺」とすること、すなわち、「対向辺」が上記「基端辺」及び上記「先端辺」からなることについて、甲1に記載ないし示唆はない。
また、他の甲号証の記載や周知技術1~3を参照しても、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項についての記載ないし示唆はない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4、6について
本件発明2~4、6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、上記(1)ア(イ)で述べたことと同様に、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)甲8発明を主引用発明とした場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
甲8発明の「複数のトレイ3を積み重ねることができるようになって」いる「トレイ3」は、本件発明1の「上下方向に積層可能なトレイ(1)」に相当する。
甲8発明の「内容物」が「載置された」「底壁10」は、本件発明1の「被包装物が載置される底壁(10)」に相当する。
甲8発明の「底壁10の段方向端部に連設され」る「第1外壁20」は、本件発明1の「前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)」に相当する。
甲8発明の「底壁10の流れ方向端部に連設され」る「第2外壁30」は、本件発明1の「前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)」に相当する。
甲8発明の「第2外壁30(側壁12)の段方向(第1方向)の端部に連設され」、「流れ方向(第2方向)外側に向かって斜めに延設され」る「折返壁15」は、本件発明1の「一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)」に相当する。
甲8発明の「第1外壁20を第1折曲線L1に沿って折り曲げ、第1外壁20を底壁10に対して立ち上げ」、「第2外壁30を第3折曲線L3に沿って折り曲げ、第2外壁30を底壁10に対して立ち上げ」、「折返壁15は、第1外壁20および第1内壁22(端壁11)に重なるように側部折曲線L12に沿って折り曲げられ」、「折返壁15(外側縁部15B)は、側部折曲線L12から先端に向かって上方に傾斜した姿勢にな」る態様は、本件発明1の「前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ」る態様に相当する。
甲8発明の「折返壁15(外側縁部15B)は、側部折曲線L12から先端に向かって上方に傾斜した姿勢になり」、「折返壁15は、底壁10の側(下方)に押し付けられながら第1外壁20と第1内壁22との間に挟まれて起立姿勢に保持され」、「一対の側壁12」「が内側に傾斜した」態様と、本件発明1の「前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられて第2方向の外側に傾倒しようとする前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となり、第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持される」態様とは、「前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられた前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となる」という限りで一致する。
そうすると、本件発明1と甲8発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点2】
「上下方向に積層可能なトレイ(1)であって、
被包装物が載置される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に連設される一対の第1側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両端に連設される一対の第2側壁(12)と、
一対の前記第2側壁の第1方向の両端から放射状に広がるように第1方向に沿って延設され、前記第2側壁から第1方向に離れるに従って前記第1側壁から離れるように傾斜した姿勢に形成される二対の内フラップ(13)と、を備え、
前記第1側壁および前記第2側壁が前記底壁に対して立設された状態において、前記第2側壁に対して折り曲げられた前記内フラップは、前記第1側壁の内面に対向し、基端から先端に向かって上方に傾斜した姿勢とされ、
前記内フラップが先端を上方に傾斜させた姿勢から先端側を前記底壁側に押し下げられた姿勢で不動に支持されることで、前記境界線で折り曲げられた前記第2側壁の第1方向の両側を内側に引き込み、前記第2側壁は、第1方向の両側で内側に傾倒した姿勢となるトレイ。」
【相違点4】
本件発明1では、「前記底壁と前記第2側壁との境界線(L2)は、前記第2側壁の側に膨出するように屈曲または湾曲しており」、第2側壁が「第2方向の外側に傾倒しようとする」一方で「第1方向の両側を除いた何れかの位置で直立姿勢に保持される」のに対して、甲8発明では、第3折曲線L3が屈曲または湾曲しておらず、一対の側壁12(第2外壁30)が内側に傾斜する点。
【相違点5】
本件発明1では「各々の前記内フラップの前記第1側壁に対向する対向辺(E3)は、前記第2側壁との連設側において前記第2側壁との境界となる折曲線(L3)との成す角度が直角となる基端辺(E4)と、前記基端辺から第1方向の外側に向かって延びた辺であって前記基端辺よりも前記第1側壁から離れた位置に形成される先端辺(E5)と、を有し」、「前記内フラップが不動に支持された状態で、各々の前記内フラップの前記基端辺は、前記先端辺よりも大きな押圧力をもって前記底壁に押し付けられる」のに対して、甲8発明では、当該事項が特定されていない点。
(イ)判断
事案に鑑み、本件訂正により限定された発明特定事項に係る上記相違点5について検討する。
相違点5は上記相違点3と実質的に同一である。
そうすると、上記(1)ア(イ)で述べたことと同様に、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4、6について
本件発明2~4、6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、上記(2)ア(イ)で述べたことと同様に、甲8発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1~4、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項5は、本件訂正により削除されたため、請求項5に係る特許についての本件特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700473