特許異議申立
2021-701043
熱交換器ユニットおよび冷凍サイクル装置
- 審判番号
- 2021-701043
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-538776
- 登録番号
- 6888102
- 請求日
- 2021年11月04日
- 審決日
- 2022年03月03日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】岩▲崎▼ 精孝
- 審判長/審判官
- 審判長 平城 俊雅
- 審判官 山崎 勝司
- 審判官 林 茂樹
- 分類
- P1651.121-Y (F25B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6888102号発明「熱交換器ユニットおよび冷凍サイクル装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6888102号の請求項1~20に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6888102号(以下「本件特許」という。)に係る出願(以下「本願」という。)は、2017年(平成29年)8月29日を国際出願日とする出願であって、令和3年5月21日にその請求項1~20に係る発明について特許権の設定登録がなされ、令和3年6月16日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~20に係る特許に対して、令和3年11月4日に特許異議申立人 岩▲崎▼ 精孝(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~20に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明20」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
冷媒を熱交換する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有する熱交換器と、
前記熱交換器に空気を通過させる空気流を形成する送風機と、
電気品を収容した電気品箱と、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え、
前記熱交換器は、
圧縮機で圧縮された冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部と、
前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管と、
前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え、
前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも前記第2の熱交換部に近づけて設けられ、かつ前記接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設けられた、
熱交換器ユニット。
【請求項2】
前記第2の熱交換部を通過した空気が通過する位置に設けられ、前記電気品の放熱を促進する放熱促進部を備えた、
請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項3】
前記熱交換器が収容された熱交換室と前記電気品箱が収容された機械室とを有する筐体を備え、
前記放熱促進部が、前記熱交換室に露出している、
請求項2に記載の熱交換器ユニット。
【請求項4】
前記熱交換器を通過した空気を前記放熱促進部に通過させる風路を形成する風路形成部を備え、
前記風路形成部は、前記放熱促進部を通過する空気の流速が前記熱交換器を通過する空気の流速よりも速くなる形状を有する、
請求項2または請求項3に記載の熱交換器ユニット。
【請求項5】
前記風路形成部は、前記第2の熱交換部を通過した空気が通過する範囲内に空気を取り込む取込部を有する、
請求項4に記載の熱交換器ユニット。
【請求項6】
前記風路形成部は、前記放熱促進部の少なくとも一部分を覆う通風部を有する、
請求項4または請求項5に記載の熱交換器ユニット。
【請求項7】
前記第2の熱交換部が、前記第1の熱交換部の上部に設けられた、
請求項1?請求項6の何れか一項に記載の熱交換器ユニット。
【請求項8】
前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも高い位置に設けられた、
請求項7に記載の熱交換器ユニット。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記第1の熱交換部から流出した冷媒を前記第2の熱交換部に流入させる配管であり円形状の流路を有する円管で形成された第1の接続管を有する、
請求項7または請求項8に記載の熱交換器ユニット。
【請求項10】
前記第1の接続管は、直径10mmよりも大きい配管径を有する、
請求項9に記載の熱交換器ユニット。
【請求項11】
前記熱交換器は、前記第1の熱交換部の下部に設けられ前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第3の熱交換部を有する、
請求項1~請求項10の何れか一項に記載の熱交換器ユニット。
【請求項12】
前記第3の熱交換部は、冷媒が並行に流れる複数の流路を有する、
請求項11に記載の熱交換器ユニット。
【請求項13】
前記送風機は、前記第2の熱交換部への送風を行う第1の送風機と、前記第3の熱交換部への送風を行う第2の送風機と、を有する、
請求項11または請求項12に記載の熱交換器ユニット。
【請求項14】
前記電気品の温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサが検出した温度が第1の閾値以上となると、前記第2の送風機の風量を維持して、前記第1の送風機の風量を多くする、
請求項13に記載の熱交換器ユニット。
【請求項15】
冷媒を圧縮する前記圧縮機を備え、
前記温度センサが検出した温度が前記第1の閾値よりも高い温度に対応する第2の閾値以上となると、前記圧縮機の回転数を低下し、
前記温度センサが検出した温度が前記第2の閾値よりも高い温度に対応する第3の閾値以上となると、前記圧縮機を停止する、
請求項14に記載の熱交換器ユニット。
【請求項16】
前記熱交換器は、扁平形状に形成された冷媒管を有する、
請求項1~請求項15の何れか一項に記載の熱交換器ユニット。
【請求項17】
前記熱交換器が凝縮器として機能する、
請求項1~請求項16の何れか一項に記載の熱交換器ユニット。
【請求項18】
前記熱交換室の内部の下部に設けられ、前記熱交換器で熱交換した冷媒を貯留する液溜めを備えた、
請求項3を引用する請求項17に記載の熱交換器ユニット。
【請求項19】
冷媒が非共沸混合冷媒である、
請求項1~請求項18の何れか一項に記載の熱交換器ユニット。
【請求項20】
圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが接続され、冷媒が循環する冷媒循環回路と、
電気品を収容した電気品箱と、を備え、
前記凝縮器は、冷媒を熱交換する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有する熱交換器を有し、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え、
前記熱交換器は、
圧縮機で圧縮された冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部と、
前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管と、
前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え、
前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも前記第2の熱交換部に近づけて設けられ、かつ前記接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設けられた、
冷凍サイクル装置。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、証拠方法として以下の主たる証拠である甲第1号証及び従たる証拠である甲第2号証~甲第11号証(これらを以下「甲1」~「甲11」ともいう。)を提出し、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概略、本件特許の請求項1~20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~20に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2008-121966号公報
甲第2号証:特開2014-85047号公報
甲第3号証:特開2009-236404号公報
甲第4号証:特開平10-232032号公報
甲第5号証:特開2009-192145号公報
甲第6号証:特開2008-304115号公報
甲第7号証:国際公開第2016/056064号
甲第8号証:国際公開第2016/121125号
甲第9号証:特開2008-275201号公報
甲第10号証:特開平10-9616号公報
甲第11号証:特開2016-156557号公報
第4 特許異議申立理由についての判断
1 甲1~甲11の記載事項並びに認定される発明及び技術的事項
(1) 甲1
本願の出願前に頒布された刊行物である甲1には、図面とともに次の技術事項が記載されている(下線は当審が付与した。「・・・」は、文の省略を意味している。以下同様。)。
ア 「【請求項1】
熱交換器室(24)と機械室(30)とを有する室外機筐体(22)と、
前記機械室内に収容された電装ユニット(40;140;240;340 )と、
を備え、
前記電装ユニットは、
伝熱板部材(44;144;244;344)と、
基板(52)と前記基板に実装される第1の電装部品(54a,54b,54c)とを有し、前記伝熱板部材の一方面側に配設された実装基板(50;250;350)と、
前記伝熱板部材の他方面側に配設された冷却部材(42;442;642)と、
前記伝熱板部材の他方面側であって前記冷却部材の周囲に配設された第2の電装部品(58)と、
を備えたものである、空気調和機の室外機(20)。
・・・
【請求項14】
請求項1~請求項11のいずれかに記載の空気調和機の室外機(20)であって、
前記機械室(30)内で前記冷却部材(642)に連結された入熱側端部(646a)と前記機械室外に配設された放熱側端部(646b)とを有するヒートパイプ部材(646)をさらに備えた空気調和機の室外機。」
イ 「【0007】
そこで、本発明は、より多くの電装部品を効率よく冷却できるようにすることを目的とする。」
ウ 「【0033】
さらに、前記機械室内で前記冷却部材に連結された入熱側端部と前記機械室外に配設された放熱側端部とを有するヒートパイプ部材をさらに備えていると、当該冷却部材をヒートパイプ部材で冷却してより多くの部品を効率的に冷却することができる。」
エ 「【0035】
<1.空気調和機及び室外機の全体構成>
この空気調和機は、室内機10と室外機20とを備えており、これらは所定の冷媒配管を介して相互接続されている。通常、室内機10は空調対象となる室内に空気を供給可能な位置(例えば室内)に設置され、室外機20は室外に設置される。
【0036】
室内機10は、室内熱交換器12を備えている。
【0037】
室外機20は、熱交換器室24と機械室30とを有する室外機筐体22と、前記機械室30内に収容された電装ユニット40とを備えている。」
オ 「【0039】
この室外機筐体22内は仕切壁23により2つの空間に仕切られている。そのうちの一方の空間は、熱交換器室24に構成されており、この熱交換器室24内に室外熱交換器26及び室外熱交換器用ファン27及びファン27駆動用のモータ27aが収容されている。また、室外機筐体22のうち熱交換器室24を構成する部分には、通風孔(図示省略)が形成されており、室外熱交換器用ファン27の送風機能により外気が熱交換器室24に導入された後室外熱交換器26周りを通って外部に排出されるようになっている。」
カ 「【0042】
電装ユニット40には、電源電圧を所望の交流電圧に変換しこれを圧縮機32に供給するインバータ回路が組込まれている。勿論、電装ユニット40には、本空気調和機や室外機20の動作を全部又は部分的に処理する制御回路が組込まれていてもよい。また、本電装ユニット40は、冷却部材42を備えている。本電装ユニット40の構成については、後に詳述する。
【0043】
ここで、図2を参照して本空調装置における冷媒配管と、冷房及び暖房時における冷媒流路について説明しておく。なお、図2において、実線矢印及び四方切替弁36の実線は冷房時における冷媒流路を示しており、破線矢印及び四方切替弁36の破線は暖房時における冷媒流路を示している。
【0044】
すなわち、室内熱交換器12の一方の接続口は四方切替弁36の接続口に接続されている。四方切替弁36の他の3つの接続口のうち一つは、アキュムレータ33を介して圧縮機32の吸込口32aに接続され、他の一つは圧縮機32の吐出口32bに接続され、さらに他の1つは室外熱交換器26の一方の接続口に接続されている。四方切替弁36は冷房時及び暖房時において次のように冷媒の流路を切換える。すなわち、冷房時においては、圧縮機32の吸込口32aを、アキュムレータ33を介して室内熱交換器12に接続すると共に、圧縮機32の吐出口32bを室外熱交換器26に接続するようにする。一方、暖房時においては、逆に、圧縮機32の吸込口32aを、アキュムレータ33を介して室外熱交換器26に接続すると共に、圧縮機32の吐出口32bを室内熱交換器12に接続するようにする。これにより、冷房及び暖房の切替が可能となっている。また、室外熱交換器26の他方の接続口は冷却部材42及び膨張弁34を経由して室内熱交換器12の他方の接続口に接続されている。
【0045】
そして、冷房時においては、室外熱交換器26で凝縮された冷媒は冷却部材42を通った後膨張弁34で膨張されて室内熱交換器12に与えられる。室内熱交換器12に与えられた冷媒は当該室内熱交換器12で蒸発し冷却する作用を行った後、アキュムレータ33を介して圧縮機32により吸込まれて圧縮される。圧縮機32で圧縮された冷媒は室外熱交換器26で再度凝縮され、本冷媒配管内を循環する。」
キ 「【0088】
図9は第6変形例に係る冷却構造を示す図である。この変形例では、ヒートパイプ646を備えた構成を採用している。
【0089】
すなわち、伝熱板部材44の主面に配設及び固定された冷却部材642にヒートパイプ646が組込まれている。ヒートパイプ646は減圧状態にした空間内に封入された熱媒体の蒸気移動及び蒸発潜熱の授受によって熱移動を行う装置であり、その入熱側端部646aが上記冷却部材442に連結されると共に放熱側端部646bが仕切壁23を貫通して機械室30外である熱交換器室24に配設されている。また、放熱側端部646bには放熱フィン等の凹凸を形成して大きな放熱面積を持たせるようにした放熱部材648を取付けている。そして、そのヒートパイプ646の熱移動作用によって冷却部材642の冷却が行われるようになっている。
【0090】
この第6変形例によっても、機械室30の実質的な密閉状態を維持しつつ冷却部材642を効率よく冷却してより多くの部品を冷却することができる。」
ク 「【図1】
[図:0001384240000001.jpg]
」
ケ 「【図9】
[図:0001384240000002.jpg]
」
コ 図9から、電装ユニット(40;140;240;340)は、機械室(30)の上部に配設されていることがわかる。
サ 図9から、機械室(30)に圧縮機(32)が収容されていることがわかる。
シ 上記ア~サの記載事項を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。
「熱交換器室(24)と機械室(30)とを有する室外機筐体(22)と、
前記機械室内に収容された電装ユニット(40;140;240;340)、圧縮機(32)と、
熱交換器室(24)内に収容された室外熱交換器(26)、室外熱交換器用ファン(27)、ファン(27)駆動用のモータ(27a)と、
を備え、
室内機(10)は、室内熱交換器(12)を備え、
冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され、室外熱交換器(26)で凝縮された冷媒は冷却部材(42)を通った後、膨張弁(34)で膨張されて室内熱交換器(12)に与えられ、
前記電装ユニット(40;140;240;340)は、
伝熱板部材(44;144;244;344)と、
基板(52)と前記基板に実装される第1の電装部品(54a,54b,54c)とを有し、前記伝熱板部材の一方面側に配設された実装基板(50;250;350)と、
前記伝熱板部材の他方面側に配設された冷却部材(42;442;642)と、
前記伝熱板部材の他方面側であって前記冷却部材の周囲に配設された第2の電装部品(58)と、
前記機械室(30)内で前記冷却部材(642)に連結された入熱側端部(646a)と前記機械室外に配設された放熱側端部(646b)とを有するヒートパイプ部材(646)をさらに備え、前記放熱側端部(646b)が仕切壁(23)を貫通して機械室(30)外である熱交換器室(24)に配設され、
前記電装ユニット(40;140;240;340)は、機械室(30)の上部に配置されている、
空気調和機の室外機。」(特に、請求項1、14、【0089】参照。)
また、冷房時における冷媒流路を備えた装置として、甲1の記載をみると、次の発明(以下「甲1-2発明」という。)が記載されていると認められる。
「熱交換器室(24)と機械室(30)とを有する室外機筐体(22)と、
前記機械室(24)内に収容された電装ユニット(40;140;240;340)、圧縮機(32)と、
熱交換器室(24)内に収容された室外熱交換器(26)、室外熱交換器用ファン(27)、ファン(27)駆動用のモータ(27a)と、
を備え、
室内機(10)は、室内熱交換器(12)を備え、
冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され、室外熱交換器(26)で凝縮された冷媒は冷却部材(42)を通った後、膨張弁(34)で膨張されて室内熱交換器(12)に与えられ、
前記電装ユニット(40;140;240;340)は、
伝熱板部材(44;144;244;344)と、
基板(52)と前記基板に実装される第1の電装部品(54a,54b,54c)とを有し、前記伝熱板部材の一方面側に配設された実装基板(50;250;350)と、
前記伝熱板部材の他方面側に配設された冷却部材(42;442;642)と、
前記伝熱板部材の他方面側であって前記冷却部材の周囲に配設された第2の電装部品(58)と、
前記機械室(30)内で前記冷却部材(642)に連結された入熱側端部(646a)と前記機械室外に配設された放熱側端部(646b)とを有するヒートパイプ部材(646)をさらに備え、前記放熱側端部(646b)が仕切壁(23)を貫通して機械室(30)外である熱交換器室(24)に配設され、
前記電装ユニット(40;140;240;340)は、機械室(30)の上部に配置されている、
空気調和機の冷媒流路を備えた装置。」(特に、請求項1、14、【0039】、【0043】、【0045】、【0089】参照。)
(2) 甲2
本願の出願前に頒布された刊行物である甲2には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
2本のヘッダパイプと、前記ヘッダパイプ同士を連結する複数本の偏平チューブを備え、前記複数本の偏平チューブは所定本数ずつに区分され、各区分が前記2本のヘッダパイプの一方から他方へと冷媒を流す1ターンの冷媒パスを構成するパラレルフロー型熱交換器において、
前記2本のヘッダパイプの一方には当該熱交換器が凝縮器として用いられるときの冷媒出口となる出口パイプが接続され、前記出口パイプの直前の冷媒パス、または前記出口パイプが減圧部として構成されていることを特徴とするパラレルフロー型熱交換器。」
イ 「【0034】
偏平チューブ53は金属を押出成型した細長い成型品であり、図2に示す通り、内部には冷媒を流通させる冷媒通路54が形成されている。偏平チューブ53は長手方向である押出成型方向を水平にする形で配置されるので、冷媒通路54の冷媒流通方向も水平になる。冷媒通路54は断面形状及び断面面積の等しいものが図2の左右方向に複数個並び、そのため偏平チューブ53の垂直断面はハーモニカ状を呈している。各冷媒通路54はヘッダパイプ51、52の内部に連通する。
【0035】
偏平チューブ53の偏平面には放熱フィン55が取り付けられる。上下に並ぶ放熱フィン55のうち、最上段のものと最下段のものを除く放熱フィン55は上端と下端が上下の偏平チューブ53に接する。最上段の放熱フィン55は下端のみが偏平チューブ53に接し、上端にはサイドプレート56が取り付けられる。最下段の放熱フィン55は上端のみが偏平チューブ53に接し、下端にはサイドプレート56が取り付けられる。図1において、放熱フィン55はコルゲートフィンとして描かれているが、プレートフィンであってもよい。
【0036】
ヘッダパイプ52の上部と下部には冷媒出入口パイプ57、58が接続される。熱交換器50が凝縮器として用いられるときは、冷媒出入口パイプ57は冷媒が流入する入口パイプとして機能し、冷媒出入口パイプ58は冷媒が流出する出口パイプとして機能する。熱交換器50が蒸発器として用いられるときは、冷媒出入口パイプ58は冷媒が流入する入口パイプとして機能し、冷媒出入口パイプ57は冷媒が流出する出口パイプとして機能する。」
ウ 「【0041】
熱交換器50の機能は次の通りである。熱交換器50が凝縮器として用いられるとき、冷媒は入口パイプとして機能する冷媒出入パイプ57を通じて区画S3に流入する。区画S3に入った冷媒は区画S3と区画S1を連結する9本の偏平チューブ53を通って区画S1に向かう。この9本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスAを構成する。冷媒パスAはブロック矢印で象徴されている。それ以外の冷媒パスもブロック矢印で象徴させる。
【0042】
区画S1に入った冷媒はそこで折り返し、区画S1と区画S4を連結する8本の偏平チューブ53を通って区画S4に向かう。この8本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスBを構成する。
【0043】
区画S4に入った冷媒はそこで折り返し、区画S4と区画S2を連結する4本の偏平チューブ53を通って区画S2に向かう。この4本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスCを構成する。
【0044】
区画S2に入った冷媒はそこで折り返し、区画S2と区画S5を連結する3本の偏平チューブ53を通って区画S5に向かう。この3本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスDを構成する。区画S5に入った冷媒は出口パイプとして機能する冷媒出入パイプ58より流出する。」
エ 「【0058】
本発明に係るパラレルフロー型熱交換器の第4実施形態を図5に示す。第4実施形態の熱交換器50は第1実施形態の熱交換器50にレシーバータンク62を付加したものである。レシーバータンク62が接続されるのはヘッダパイプ51である。レシーバータンク62は、上下方向に間隔を置いて並んだ1対の冷媒出入管63、64によりヘッダパイプ51に接続される。レシーバータンク62及び冷媒出入管63、64はヘッダパイプ51と同材質であり、冷媒出入管63、64はレシーバータンク62とヘッダパイプ51に対し、ロウ付けまたは溶着で固定される。
【0059】
ヘッダパイプ51においてレシーバータンク62は、熱交換器50が凝縮器として用いられるときに出口パイプとして機能する冷媒出入口パイプ58の直前の冷媒パス、すなわち減圧部59として構成される冷媒パスDよりも冷媒の流れ方向において上流側に接続されている。ヘッダパイプ51の内部には冷媒パスCと冷媒パスDの間の位置に仕切部P4が設けられ、仕切部P4より下は区画S6となっている。冷媒出入管63は区画S2に連通し、冷媒出入管64は区画S6に連通する。
【0060】
冷媒パスCから区画S2に入った冷媒はレシーバータンク62に入り、レシーバータンク62から区画S6に入る。区画S6に入った冷媒は冷媒パスDを通って区画S5に流出する。レシーバータンク62を用いることにより、熱交換器50に求められる性能を確実に引き出すことができる。」
オ 「【図2】
[図:0001384240000003.jpg]
」
カ 「【図5】
[図:0001384240000004.jpg]
」
キ 上記ア~カを総合すると、甲2には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「2本のヘッダパイプと、前記ヘッダパイプ同士を連結する複数本の偏平チューブを備え、前記複数本の偏平チューブは所定本数ずつに区分され、各区分が前記2本のヘッダパイプの一方から他方へと冷媒を流す1ターンの冷媒パスを構成するパラレルフロー型熱交換器で、
区画S4に入った冷媒はそこで折り返し、区画S4と区画S2を連結する4本の偏平チューブ53を通って区画S2に向かい、この4本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスCを構成し、区画S2に入った冷媒はそこで折り返し、区画S2と区画S5を連結する3本の偏平チューブ53を通って区画S5に向かい、この3本の偏平チューブ53で編成される偏平チューブグループが冷媒パスDを構成し、冷媒パスCから区画S2に入った冷媒はレシーバータンク62に入り、レシーバータンク62から区画S6に入り、区画S6に入った冷媒は冷媒パスDを通って区画S5に流出し、レシーバータンク62は、上下方向に間隔を置いて並んだ1対の冷媒出入管63、64によりヘッダパイプ51に接続される、
熱交換器。」(以下「甲2技術的事項」という。)
(3) 甲3
本願の出願前に頒布された刊行物である甲3には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【0011】
検討用冷凍サイクル装置では、流路切替手段である四方弁41によって、冷房運転モード時には、実線矢印で示すように、圧縮機21→室外熱交換器28→減圧装置44→利用側熱交換器42→圧縮機21の順で冷媒を循環させる冷媒流路に切り替える。一方、暖房運転モード時には、破線矢印で示すように、圧縮機21→利用側熱交換器42→減圧装置44→室外熱交換器28→圧縮機21の順で冷媒を循環させる冷媒流路に切り替える。
【0012】
さらに、検討用冷凍サイクル装置では、室外熱交換器28として、凝縮用熱交換部283a、受液部286および過冷却用熱交換部283bを有するサブクール型凝縮器を採用している。」
イ 「【0061】
図2に示すように、室外熱交換器28は、内部を冷媒が流れる多数のチューブ281が複数本積層され、冷媒と空気との熱交換を促進するフィン282が、隣接するチューブ281間に配置されている。このチューブ281としては、押出成形等によって形成された単穴あるいは多穴の扁平チューブ等を採用できる。また、フィン282としては、波状に折り曲げられたコルゲートフィンを採用できる。
【0062】
そして、このチューブ281とフィン282との積層構造体によって、略矩形状の熱交換コア部283が構成される。チューブ281およびフィン282の積層方向の熱交換コア部283両端側には、チューブ281と平行に延びて熱交換コア部283を補強する補強部材であるサイドプレート284が配置されている。
【0063】
チューブ281の長手方向両端側には、チューブ281の積層方向に延びるように配置されて、チューブ281への冷媒の分配およびチューブ281からの冷媒の集合を行う1対のヘッダタンク285が接続されている。このヘッダタンク285には、チューブ281と同数のスリット穴が形成されており、このスリット穴を介して全てのチューブ281と連通している。
【0064】
さらに、一方のヘッダタンク285には、第1合流部27から流出した冷媒を流入させる流入口285aおよび冷媒を流出させる流出口285bが設けられ、他方のヘッダタンク285には、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄える受液部(モジュレータ部)286が、他方のヘッダタンク285内部と連通するように近接配置されている。」
ウ 「【0108】
(第3実施形態)
次に、図4、5により、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態では、本発明の冷凍サイクル装置を、室内空調用の空調装置2に適用している。図4は、空調装置2の全体構成図である。なお、図4における実線矢印は、後述する冷房運転モード時における冷媒の流れを示し、破線矢印は、後述する除湿運転モード時およびに暖房運転モード時における冷媒の流れを示している。」
エ 「【図4】
[図:0001384240000005.jpg]
【図5】
[図:0001384240000006.jpg]
」
オ 上記ア~エを総合すると、甲3には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「検討用冷凍サイクル装置では、室外熱交換器28として、凝縮用熱交換部283a、受液部286および過冷却用熱交換部283bを有するサブクール型凝縮器を採用し、室外熱交換器28は、内部を冷媒が流れる多数のチューブ281が複数本積層され、冷媒と空気との熱交換を促進するフィン282が、隣接するチューブ281間に配置されていて、このチューブ281としては、扁平チューブが採用され、一方のヘッダタンク285には、第1合流部27から流出した冷媒を流入させる流入口285aおよび冷媒を流出させる流出口285bが設けられ、他方のヘッダタンク285には、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄える受液部(モジュレータ部)286が、他方のヘッダタンク285内部と連通するように近接配置されていること。」(以下「甲3技術的事項」という。)
(4) 甲4
本願の出願前に頒布された刊行物である甲4には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【請求項1】底板と、同底板上の前面側略中央に載置され、圧縮機カバーで覆われた圧縮機と、同圧縮機の背面側と一側または両側にわたり略L字状または略凹状に折曲された熱交換器と、前記圧縮機近傍の前記底板上に載置され、ヒートシンクカバーで覆われ、裏面に複数のフィンを備えてパワーモジュールを取り付けたヒートシンク等を有する電装部と、前記底板に被着され、前面および少なくとも一側面に吸気口を備え、背面に排気口を備えた外胴とで構成された空気調和機の室外機において、
前記底板に、前記複数のフィンを臨ませた補助吸気口を設け、前記ヒートシンクカバーを、前記補助吸気口の周縁および前記複数のフィンの後部に沿わせて設けたことを特徴とする空気調和機の室外機。」
イ 「【0003】しかしながら、例えば前記電装部6が前記底板2上に設けられた場合、前記送風ファン5によって前記吸気口8aから吸い込まれて前記排気口8bに送出される空気流の一部を、図3で示す矢印A'のように、前記ヒートシンク7の前記フィンに円滑に導いてから前記排気口8bに排出することが困難となり、前記パワーモジュール(図示せず)の発熱を充分に冷却できにくいという問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、上記の問題点に鑑み、パワーモジュールを取り付けて電装部に設けられたヒートシンクを、効果的に冷却できるようにした空気調和機の室外機を提供することを目的とする。」
ウ 「【0010】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明による実施例を詳細に説明する。図1と、図2とで示すように、1は空気調和機の室外機本体、2は同本体1を構成する底板、3は同底板2の前部寄りに載置され、圧縮機カバー3aによりカバーされた圧縮機、4は前記底板2の後部寄りに載置され、略L字状または略凹状に折曲形成された熱交換器、5は同熱交換器4に対向して設けられた送風ファン、6は前記圧縮機3近傍の前記底板2上に載置され、ヒートシンクカバー7aで覆われ、裏面に複数のフィン7'を備えてパワーモジュール(図示せず)を取り付けたヒートシンク7等を有する電装部、8は前記底板2に被着され、前面および少なくとも一側面に吸気口8aを備え、背面に排気口8bを備えた外胴で、前記送風ファン5によって前記吸気口8aから吸い込まれた空気が、前記熱交換器4を通過して前記排気口8bから外部に排出されるようになっている。
【0011】前記底板2には、前記複数のフィン7'を臨ませた補助吸気口2aが設けられており、また前記ヒートシンクカバー7aを、前記補助吸気口2aの周縁および前記複数のフィン7'の後部に沿わせて設けた構成となっており、これによって、前記補助吸気口2aから吸い込まれた空気は、前記複数のフィン7'の表面に沿って効率よく通過するようになって、前記ヒートシンク7に取り付けたパワーモジュール(図示せず)の発熱を効果的に冷却して、図1の矢印Aで示すように、前記排気口8bから排出できるようにした構造となる。
【0012】また、前記複数のフィン7'は、上下に延ばしてほぼ平行に形成したことにより、前記吸気口8aから吸い込まれた空気流が、前記複数のフィン7'の間を効率よく通過して、前記ヒートシンク7に取り付けたパワーモジュール(図示せず)の発熱を効果的に冷却できるようにした構成となっている。
【0013】また、前記補助吸気口2aの周縁に、筒状のガイド2bを設けたことにより、前記吸気口8aから吸い込まれる空位を、より効果的に吸い込めるようにした構成となっている。
【0014】更に、前記ガイド2bは、一体成形により前記底板2の上面に突出させたことにより、前記底板2の下面に突出部ができないようにして、意匠性を損なわないようにするとともに、例えば本体1の設置時に、作業者が突出部によって怪我をしてしまうといった不測の事故が生じないようにした構成となっている。
【0015】以上の構成により、図1と、図2とで示すように、前記底板2に、前記複数のフィン7'を臨ませた前記補助吸気口2aを設けるとともに、前記ヒートシンクカバー7aを、前記補助吸気口2aの周縁および前記ヒートシンク7の後部に沿わせて設けたことにり、前記補助吸気口2aから吸い込まれた空気が前記複数のフィン7'の表面を効率よく通過できるようになって、前記ヒートシンク7に取り付けたパワーモジュール(図示せず)の発熱を効果的に冷却できるようにした空気調和機の室外機となる。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明によると、電装品箱に取り付けた電解コンデンサを効果的に冷却できるようにした空気調和機の室外機となる。」
エ 「【図1】
[図:0001384240000007.jpg]
【図2】
[図:0001384240000008.jpg]
【図3】
[図:0001384240000009.jpg]
」
(5) 甲5
本願の出願前に頒布された刊行物である甲5には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【0026】
本体1内は、仕切板3によって、背面から左側面にかけて略L字状に形成された熱交換器4が設けられた熱交換器室1bと、圧縮機5が設けられた圧縮機室1cとに区画されている。熱交換器室1bには、吸込口Aと吹出口Bとを結ぶ空気通路が形成され、この空気通路に吸込口Aに対向して熱交換器4が設けられ、熱交換器4の他に、吹出口Bに対向して送風ファン6が設けられている。また、熱交換器室1bには、この空気通路に、送風ファン6を駆動するファンモータ7と、ファンモータ7を支持するためのモータ支持体8とが設けられ、モータ支持体8は熱交換器4に近接して取付けられている。更に、図3及び図5に示すように、圧縮機室1c内の圧縮機5の上部には電装品箱9が配置され、電装品箱9には室外機の制御を行なう制御基板9a、電解コンデンサ9b、パワーモジュール9cなどが配置されている。
【0027】
そして、図3乃至図5に示すように、電装品箱9に配置されたパワーモジュール9cには、ヒートシンク10が設けられている。このヒートシンク10を保持するためのヒートシンク取付台10aは、電装品箱9の側面に取付けられている。ヒートシンク10は、ヒートシンク10のベース10fの電装品箱9側にパワーモジュール9cが固着され、ヒートシンク10のベース10fに一体形成され、熱交換器室1b側に延びた複数の放熱フィン10bが設けられている。このヒートシンク10に設けられた複数の放熱フィン10bは、仕切板3の開口部3aから顔を出すように、熱交換器室1bに露出し、垂直方向に所定の間隔をもって配列されている。したがって、仕切板3の開口部3aから熱交換器室1bに露出した放熱フィン10bは、吸込口Aと吹出口Bとを結ぶ空気通路に設けられた熱交換器4と送風ファン6との間に位置している。そして、この放熱フィン10bの方向は水平方向、すなわち、吸込口Aから熱交換器4を介して吸込まれ、送風ファン6から吹出口Bを介して吹出される空気の流れに沿った方向に延びている。
【0028】
また、パワーモジュール9cは室外機の運転時に内部電流によって発熱するが、発熱した熱はヒートシンク10の放熱フィン10bに伝わり放熱される。このパワーモジュール9cは耐熱性に劣るため、送付ファン6の作動により発生し、吸込口Aから熱交換器4を介して吸込まれた空気(図5に示す空気流C。)でヒートシンク10の放熱フィン10bの放熱を促進させ、パワーモジュール9cを冷却している。
【0029】
更に、図4及び図5に示すように、仕切板3は、本体1の背面側の熱交換器4の右端部近傍から傾斜して前方に延び、途中から送風ファン6の周縁部近傍に向けて前方に直線的に延びており、ヒートシンク10の放熱フィン10bは、熱交換器室1b側に面する仕切板3の傾斜に沿って配置されている。そして、本体1の背面側の熱交換器4と送風ファン6との間の空気通路には、このヒートシンク10の放熱フィン10bを覆って吸込口Aから背面側の熱交換器4を介して吸込まれた空気を導く導風部材11が設けられている。この導風部材11は、図示を省略した締結部材によりヒートシンク取付台10aに、放熱フィン10bと同様に、熱交換器室1b側に面する仕切板3の傾斜に沿って固定されている。
【0030】
そして、導風部材11には、本体1の背面側の熱交換器4に対向するように、放熱フィン10bから離れる方向に折り曲げられた空気導入片11aが形成されている。この導風部材11に形成された空気導入片11aは、本体1の背面側の熱交換器4に近い位置で、吸込口Aから吸込まれた空気の流入側が放熱フィン10bから離れる方向であって、送風ファン6の中心軸寄りの方向に広がるように折り曲げられている。また、導風部材11に形成された空気導入片11aは、送風ファン6の回転空間の邪魔にならないように折り曲げられている。この空気導入片11aによれば、放熱フィン10bの近傍から空気導入片11aによって広がった周辺に至るまでの範囲、すなわち、空気導入範囲として横方向に広がりのある範囲を形成できることになる。したがって、放熱フィン10bの近傍および送風ファン6の中心軸寄りからも、背面側の熱交換器4を介して吸込まれた空気を、できるだけ多く放熱フィン10bに向けて取り入れるようにしている。
【0031】
また、ヒートシンク10の放熱フィン10bは、本体1の背面側の熱交換器4に対向する空気流入側端部10cを備え、この空気流入側端部10cは、本体1の背面側の熱交換器4の右端部よりも送風ファン6の中心軸寄りに配置されている。更に、導風部材11に形成された空気導入片11aは、本体1の背面側の熱交換器4に対向する先端部11bを有し、この先端部11bは、ヒートシンク10の放熱フィン10bに備えた空気流入側端部10cよりも送風ファン6側、すなわち、本体1の背面側の熱交換器4から離れたところに位置するようにしている。言い換えれば、放熱フィン10bの空気導入側端部10cは、空気導入片11aよりも吸込口Aから吸込まれた空気の流入側へ突出していることになる。また、導風部材11は、導風部材11の空気導入片11aに連なり、放熱フィン10bを覆う断面コ字状の本体部分を有している。そして、導風部材11は、熱交換器室1b側に延びた放熱フィン10bの先端部10eを、放熱フィン10bに備えた空気流入側端部10cと、送風ファン6に対向する放熱フィン10bに備えた空気流出側端部10dとの間で、部分的に覆うようにしている。図5においては、導風部材11の空気導入片11aを除く断面コ字状の本体部分により、放熱フィン10bの先端部10eを、空気導入側端部10cに近い部分を部分的に覆っている。これにより、導風部材11の材料を節約することができる。」
イ 「【0037】
更に、以上説明してきた実施の形態による本発明の空気調和機の室外機によれば、放熱フィン10bの空気導入側端部10cは、空気導入片11aよりも吸込口Aから吸込まれた空気の流入側へ突出していることにした。これにより、放熱フィン10bの空気流入側端部10cの近傍および送風ファン6の中心軸寄りからも、吸込口Aから吸込まれた空気をできるだけ多く取り入れ、複数の放熱フィンに沿って、取り入れた空気が速度を速めて流通しやすくすることができる。」
ウ 「【図3】
[図:0001384240000010.jpg]
」
エ 「【図5】
[図:0001384240000011.jpg]
」
(6) 甲6
本願の出願前に頒布された刊行物である甲6には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【0009】
室外空気熱交換器14は,二つの熱交換部141(第一の室外空気熱交換手段の一例)及び熱交換部142(第二の室外空気熱交換手段の一例)を有している。
ヒートポンプサイクル10上において膨張弁13から室外空気熱交換器14に流れる冷媒は,該室外空気熱交換器14において二つの熱交換部141,142に分流される。そして,熱交換部141,142では,冷媒と室外空気との間の熱交換によって該冷媒が加熱される。
具体的に,室外空気熱交換器14は,図2に示すように,並設された複数の伝熱板(フィン)14aと,該伝熱板14aにおける上下二つの領域ごとに貫装された2系統の冷媒配管14b,14c(配管経路の一例)とを有している。これにより,室外空気熱交換器14には,伝熱板14aの上部領域及び冷媒配管14bによって熱交換部141が形成され,伝熱板14aの下部領域及び冷媒配管14cによって熱交換部142が形成されている。即ち,室外空気熱交換器14では,熱交換部141,142が上下に並設されている。なお,熱交換部141及び熱交換部142は,個別の熱交換器として上下又は左右に並設されたものであってもかまわない。」
イ 「【図2】
[図:0001384240000012.jpg]
【図3】
[図:0001384240000013.jpg]
」
(7) 甲7
本願の出願前に頒布された甲7には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「[0013] 図1~図3に示されるように、熱交換器1は、主熱交換部10と、副熱交換部20と、を備える。副熱交換部20は、主熱交換部10の重力方向の下方に位置する。主熱交換部10は、並設された複数の第1伝熱管11を有し、副熱交換部20は、並設された複数の第2伝熱管21を有する。第1伝熱管11は、複数の流路が形成された扁平管11aと、その両端に取り付けられたジョイント管11bと、を有する。第2伝熱管21は、複数の流路が形成された扁平管21aと、その両端に取り付けられたジョイント管21bと、を有する。ジョイント管11b及びジョイント管21bは、扁平管11a及び扁平管21aに形成された複数の流路を1つの流路に纏める機能を有する。扁平管11a及び扁平管21aが、1つの流路が形成された円管である場合には、第1伝熱管11及び第2伝熱管21は、ジョイント管11b及びジョイント管21bを有しない。」
イ 「
[図:0001384240000014.jpg]
」
(8) 甲8
本願の出願前に頒布された刊行物である甲8には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「[0035] 第5ヘッダ171には主熱交換部本体173のすべての扁平管174の一端部が接続され、第6ヘッダ172には主熱交換部本体173のすべての扁平管174の他端部が接続されている。第5ヘッダ171及び第6ヘッダ172のそれぞれは、両端部が閉塞され各扁平管174内に内部が連通する中空の筒である。この例では、第5ヘッダ171及び第6ヘッダ172のそれぞれが、複数の扁平管174が並ぶ方向に沿った円筒管になっている。」
イ 「[0040] 第7ヘッダ181には副熱交換部本体183のすべての扁平管184の一端部が接続され、第8ヘッダ182には副熱交換部本体183のすべての扁平管184の他端部が接続されている。第7ヘッダ181及び第8ヘッダ182のそれぞれは、両端部が閉塞され各扁平管184内に内部が連通する中空の筒である。この例では、第7ヘッダ181及び第8ヘッダ182のそれぞれが、複数の扁平管184が並ぶ方向に沿った円筒管になっている。」
ウ 「
[図:0001384240000015.jpg]
」
(9) 甲9
本願の出願前に頒布された刊行物である甲9には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【0012】
熱源側熱交換器13と利用側熱交換器15は、同様の構造を有している。すなわち、これら熱交換器は、図1乃至図3に示すように、その内部冷媒流路を形成する配管部と伝熱面となるフィン部8とから構成される。配管部は、一端側となる冷媒導入部の配管1(以下「熱交換器配管A」という)と、長手方向中間部の配管2(以下「熱交換器配管B」という)と、他端側となる冷媒導出部の配管3(以下「熱交換器配管C」という)と、熱交換器配管Bを複数に分岐させて並列冷媒流路を形成させる分岐ヘッダ部4a,4bとから形成されている。」
イ 「【図1】
[図:0001384240000016.jpg]
」
(10) 甲10
本願の出願前に頒布された刊行物である甲10には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア 「【0015】図3に示すように、アキュムレータ10に代えてレシーバ5を熱交換室23内のベース板28上に設置し、このレシーバ5上に設置されたフアンブラケット29にフアン4を取り付けることもできる。」
イ 「【図3】
[図:0001384240000017.jpg]
」
(11) 甲11
本願の出願前に頒布された刊行物である甲11には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
「【0076】
したがって、本実施形態2において冷媒として非共沸混合冷媒を使用すると、気液分離器13通過後の液相の蒸発温度は、同じ圧力下の沸点温度に比べ高くなる。したがって、エコノマイザ6の蒸発温度を高めに維持でき、蒸発潜熱を低下させて主冷媒回路r0を流れる冷媒からの吸熱を抑制できる。そのため、過冷却度を適度に抑えることができ、液配管9の結露対策として有効である。
なお、冷媒は、単一成分の冷媒、共沸混合冷媒、擬似共沸混合冷媒、非共沸混合冷媒のうちの何れを使用してもよい。」
2 特許法第29条第2項(進歩性)について
(1) 本件発明1と甲1―1発明との対比・判断について
ア 対比
本件発明1と、甲1-1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(ア) 甲1―1発明の「室外熱交換器用ファン(27)」は、本件発明1の「送風機」に、以下同様に、「電装ユニット(40;140;240;340)」は「電気品箱」に、「圧縮機(32)」は「圧縮機」に、それぞれ相当する。
(イ) 甲1―1発明の「室外熱交換器(26)」は、「冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され」るもので、冷媒の熱交換をするものであることは明らかであるから、本件発明1の「冷媒を熱交換する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有する熱交換器」と、「冷媒を熱交換する熱交換器」との限りで一致する。
(ウ) 甲1-1発明の「室外熱交換器用ファン(27)」は、室外熱交換器(26)に空気を通過させる空気流をつくることは明らかであり、本件発明1の「送風機」が「前記熱交換器に空気を通過させる空気流を形成する」態様を備えるものである。
(エ) 甲1-1発明の「前記電装ユニット」が、「伝熱板部材(44;144;244;344)と、基板(52)と前記基板に実装される第1の電装部品(54a,54b,54c)とを有し、前記伝熱板部材の一方面側に配設された実装基板(50;250;350)と」、「前記伝熱板部材の他方面側であって前記冷却部材の周囲に配設された第2の電装部品(58)と」を備える態様は、本件発明1の「電気品箱」が、「電気品を収容した」態様に相当する。
(オ) 甲1-1発明の「室外熱交換器(26)」は、「冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され、室外熱交換器(26)で凝縮された冷媒は冷却部材(42)を通った後膨張弁(34)で膨張されて室内熱交換器(12)に与えられ」るものであり、室外熱交換器(26)へ冷媒が流入する部分、及び冷媒が流出する部分を有することは明らかであるから、本件発明1の「前記熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部と、前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管と、前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え」ることと、「前記熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒を、流入させる流入部と、熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え」るとの限りで一致する。
(カ) 甲1―1発明の「空気調和機の室外機」は、「熱交換器室(24)と機械室(30)とを有する室外機筐体(22)」からなるもので、このようなものは、空調装置において、熱交換器を備えるユニットといえるので、本件発明1の「熱交換器ユニット」に相当する。
(キ) そうすると、両者は、以下の一致点を有する。
<一致点>
「冷媒を熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器に空気を通過させる空気流を形成する送風機と、
電気品を収容した電気品箱と、
を備え、
前記熱交換器は、
圧縮機で圧縮された冷媒を、流入させる流入部と、
熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え、
前記電気品箱が、設けられた、
熱交換器ユニット。」
また、両者は、次の相違点を有する。
<相違点1>
熱交換器について、本件発明1は、「第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有」し、「前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え」、流入部が「並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させ」、「前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管」を有し、流出部が「前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させ」ているのに対して、甲1-1発明は、室外熱交換器(26)を備えるものの、その詳細について、特定していない点。
<相違点2>
電気品箱について、本件発明1は、「前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも前記第2の熱交換部に近づけて設けられ、かつ前記接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設けられ」ているのに対して、甲1-1発明は、「前記電装ユニット(40;140;240;340)は、機械室(30)の上部に配置されてい」て、「室外熱交換器(26)」をなす部材との配置関係は特定されていない点。
イ 相違点についての判断
(ア) 相違点1について
本件発明1と、甲2技術的事項とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲2技術的事項の冷媒パスCがなす区分は、本件発明1の「第1熱交換部」に、後者の冷媒パスDがなす区分は、前者の「第2熱交換部」に、後者の「冷媒パスCから区画S2に入った冷媒はレシーバータンク62に入り、レシーバータンク62から区画S6に入り、区画S6に入った冷媒は冷媒パスDを通って区画S5に流出する」ことは、前者の「前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え」ることに、後者の「レシーバータンク62は、上下方向に間隔を置いて並んだ1対の冷媒出入管63、64によりヘッダパイプ51に接続される」ことは、前者の「前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管」を備えることに、それぞれ相当する。
また、上記カの区画S4は、冷媒パスCがなす区分への冷媒の流入部といえ、区画S5は、冷媒パスDがなす区分からの冷媒の流出部といえるから、後者は、前者の「並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部」と「前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部」を備えているといえる。
さらに、本件発明1と甲3技術的事項とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、後者の「過冷却用熱交換部283b」の上段の部分(図5参照。)は、前者の「第1熱交換部」に相当し、以下、後者の「過冷却用熱交換部283b」の下段の部分(図5参照。)は前者の「第2熱交換部」に、後者の「受液部286」は、前者の「前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜め」に、それぞれ相当する。また、後者の「ヘッダタック285」は、「過冷却用熱交換部283b」の上段の部分に冷媒が流入することから、前者の「並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部」に相当し、後者は、「過冷却用熱交換部283b」の上段から、後者の「過冷却用熱交換部283b」の下段へ、「受液部(モジュレータ部)286」を介して冷媒が流れることから、前者の「前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管」を備えた態様といえる。さらに、後者の「過冷却用熱交換部283b」の下段4から 「ヘッダタック285」へ冷媒が流出することから、前者の「前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部」を備える態様といえる。
以上の甲2技術的事項及び甲3技術的事項についての対応関係を踏まえると、以下の技術的事項が本願出願前に周知の事項(以下「周知事項」という。)であるといえる。
「熱交換機が第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有し、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え、流入部が並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させ、前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管を有し、流出部が前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させていること。」
そうすると、上記相違点1に係る本件発明1の事項は、周知事項に相当するものであり、甲1-1発明において、室外熱交換器(26)の構成は特に限定されるものでないことから、当業者が甲1-1発明において、周知事項を採用することは、容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2について
甲1-1発明は、電装ユニット(40;140;240;340)が、機械室(30)の上部に配置されているものであり、甲1の図1、図2の各部材の配置からみて、圧縮機(32)を出た冷媒は、室外熱交換器(22)の上部から流入し、下部から流出する態様のものと認められる。
そうすると、甲1-1発明に上記周知事項を適用したものにおいて、電装ユニット(40;140;240;340)は、室外熱交換器(22)を構成する、上部の第1熱交換器に近接した位置に配置されることとなる。
そして、甲4は、室外機の下部にパワーモジュールを取り付けたヒートシンク等を有する電装部の冷却を改善するために、底板に補助吸気口を設けて、前記補助吸気口から吸い込まれた空気により、前記ヒートシンクに取り付けたパワーモジュールの発熱を効果的に冷却するというものであるから、甲1-1発明において、甲4を適用し、機械室(30)の上部に配置された電装ユニット(40;140;240;340)の冷却の改善のために、放熱部材(548)の近傍に補助吸気口を設けることまでは採用し得ると言い得るものである。
しかしながら、甲4において、パワーモジュールが室外機の下部に当初より設けることについての技術的意義は記載されておらず、甲4が記載する技術的事項が、上述のとおり、パワーモジュールの配置に応じた補助吸気口を設けることであるから、甲1-1発明において、電装ユニット(40;140;240;340)を下部に配置し、第1の熱交換部よりも第2の熱交換部に近づけて設け、かつ接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設けることを動機付けるものではない。
さらに、甲1における室外機の下部には、圧縮機などの発熱する装置が配置されていることを踏まえると、甲1-1発明において、室外熱交換器(26)の下部に配置される第2熱交換器に近接して、電装ユニット(40;140;240;340)を配置することには、むしろ阻害要因があるともいえる。
また、甲1~甲11には、「前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも前記第2の熱交換部に近づけて設けられ、かつ前記接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設け」ることについて、記載も示唆もない。
そして、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、「電気品箱の放熱を効率よく行うことができる熱交換器ユニットを得ることができる」(本件特許明細書【0007】)という作用効果を奏するため、当業者が適宜なし得る設計的事項ともいえない。
(ウ) したがって、甲1-1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、甲1-1発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではないから、本件発明1は、甲1-1発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2~19と甲1―1発明との対比・判断について
本件発明2~19は、本件発明1を直接又は間接的に引用する発明であり、本件発明1の発明特定事項を全て備えた発明である。
したがって、上記「(1)」で検討したとおり、甲1-1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、甲1-1発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではないから、本件発明2~19は、甲1-1発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 本件発明20と甲1―2発明との対比・判断について
ア 対比
本件発明20と、甲1-2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(ア) 甲1―2発明の「圧縮機(32)」は、本件発明20の「圧縮機」に、以下同様に、「電装ユニット(40;140;240;340)」は「電気品箱」に、「膨張弁(34)」は「膨張弁」に、それぞれ相当する。
甲1-2発明の「冷房時」の「室外熱交換器(26)」は、本件発明20の「凝縮器」に、甲1-2発明の「冷房時」の「室内熱交換器(12)は、本件発明20の「蒸発器」に、それぞれ相当する。
(イ) 甲1―2発明の「室外熱交換器(26)」は、「冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され」るもので、冷媒の熱交換をするものであることは明らかであるから、本件発明20の「前記凝縮器は、冷媒を熱交換する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有する熱交換器」と、「前記凝縮器は、冷媒を熱交換する熱交換部を有する、熱交換器」との限りで一致する。
(ウ) 甲1-2発明の「前記電装ユニット(40;140;240;340)」が、「伝熱板部材(44;144;244;344)と、基板(52)と前記基板に実装される第1の電装部品(54a,54b,54c)とを有し、前記伝熱板部材の一方面側に配設された実装基板(50;250;350)と」、「前記伝熱板部材の他方面側であって前記冷却部材の周囲に配設された第2の電装部品(58)と」を備える態様は、本件発明20の「電気品箱」が、「電気品を収容した」態様に相当する。
(エ) 甲1-2発明の「室外熱交換器(26)」は、「冷房時に圧縮機(32)の吐出口(32b)が室外熱交換器(26)に接続され、室外熱交換器(26)で凝縮された冷媒は冷却部材(42)を通った後、膨張弁(34)で膨張されて室内熱交換器(12)に与えられ」るものであり、室外熱交換器(26)へ冷媒が流入する部分、及び冷媒が流出する部分を有することは明らかであるから、本件発明20の「前記熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させる流入部と、前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管と、前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え」ることと、「前記熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒を、流入させる流入部と、熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備え」るとの限りで一致する。
(オ) 甲1―2発明の「空気調和機の冷媒流路を備えた装置」は、圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが接続され、冷媒が循環するものであることは明らかなので、本件発明20の「圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが接続され、冷媒が循環する冷媒循環回路」を備えた「冷凍サイクル装置」に相当する。
(カ) そうすると、両者は、以下の一致点を有する。
<一致点>
「圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが接続され、冷媒が循環する冷媒循環回路と、
電気品を収容した電気品箱と、を備え、
前記凝縮器は、冷媒を熱交換する熱交換部を有する熱交換器を有し、
前記熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒を、流入させる流入部と、
熱交換された冷媒を流出させる流出部と、を備える
冷凍サイクル装置。」
また、両者は、次の相違点を有する。
<相違点3>
熱交換器について、本件発明20は、「第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部で熱交換された冷媒を熱交換する第2の熱交換部と、を有」し、「前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部との間に設けられた液溜めを備え」、流入部が「並行に流れる複数の流路を有する前記第1の熱交換部に流入させ」、「前記流入部から前記第1の熱交換部に流入した冷媒を、並行に流れる複数の流路を有する前記第2の熱交換部に流出させる接続管」を有し、流出部が「前記第2の熱交換部で熱交換された冷媒を流出させ」ているのに対して、甲1-2発明は、室外熱交換器(26)を備えるものの、その詳細について、特定していない点。
<相違点4>
電気品箱について、本件発明20は、「前記電気品箱が、前記第1の熱交換部よりも前記第2の熱交換部に近づけて設けられ、かつ前記接続管よりも、前記第2の熱交換部の冷媒流出部となる前記流出部に近づけて設けられ」ているのに対して、甲1-2発明は、「前記電装ユニット(40;140;240;340)は、機械室(30)の上部に配置されてい」て、「室外熱交換器(26)」をなす部材との配置関係は特定されていない点。
イ 相違点についての判断
(ア) 相違点3ついて
相違点3についての判断は、上記相違点1の判断と同様であるので、上記相違点3に係る本件発明20の事項は、周知事項に相当するものであり、甲1-2発明において、室外熱交換器(26)の構成は特に限定されるものでないことから、当業者が甲1-2発明において、周知事項を採用することは、容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点4について
相違点4についての判断は、上記相違点2の判断と同様であるので、甲1-2発明において、上記相違点4に係る本件発明20の発明特定事項を有するものとすることを、甲1-2発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
(ウ) したがって、甲1-2発明において、上記相違点4に係る本件発明20の発明特定事項を有するものとすることは、甲1-2発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではないから、本件発明20は、甲1-2発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4) まとめ
以上のことから、本件発明1~19を、甲1-1発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、また、本件発明20を、甲1-2発明、甲2~甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、申立人の特許法第29条第2項についての特許異議申立理由は、理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、申立人が特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701043