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特許異議申立

2022-700380

紫外線照射装置

審判番号
2022-700380
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-207078
登録番号
6986618
請求日
2022年04月28日
審決日
2022年11月29日
公報発行日
2023年03月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】旭化成株式会社
  • 【権利者代理人】田中 秀▲てつ▼
  • 【権利者代理人】森 哲也
  • 【異議申立人】三木 郁子
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 三崎 仁
  • 審判官 山田 倍司
分類
P1651.121-YAA(C02F) / P1651.537-YAA(C02F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6986618号発明「紫外線照射装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6986618号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6986618号の請求項1、3ないし10に係る特許を維持する。 特許第6986618号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6986618号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成31年3月13日(優先権主張 平成30年4月20日)に出願した特願2019-46294号の一部を令和2年12月14日に新たな特許出願としたものであって、令和3年12月1日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 4月28日 :特許異議申立人三木郁子(以下「申立人」という。)による請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て 同年 8月 1日付け:取消理由通知書 同年 9月 7日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年10月26日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求書による請求の趣旨は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「長手方向に延びる処理流路と、前記処理流路を収容するケース部と、前記処理流路の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記処理流路の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室と、前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部と、前記処理流路を通過した前記対象物を前記処理流路の他端側から流出させる流出部と、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子と、を備え、前記処理流路の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい紫外線照射装置。」と記載されているのを、「長手方向に延びる処理流路と、中空部が前記処理流路を形成する内筒を収容するケース部と、前記内筒の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記内筒の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室と、前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部と、前記処理流路を通過した前記対象物を前記内筒の他端側から流出させる流出部と、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子と、を備え、前記内筒の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい紫外線照射装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3~10についても同様に訂正する。)。なお、下線は訂正箇所を示す(以下同様。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記筒状部は、紫外線反射性材料で形成されている請求項2に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「前記内筒は、紫外線反射性材料で形成されている請求項1に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~10についても同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「前記発光素子は、前記筒状部の一方の端部の開口部に面して設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて前記長手方向に沿って紫外光を照射する請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「前記発光素子は、前記内筒の一方の端部の開口部に面して設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて前記長手方向に沿って紫外光を照射する請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「前記発光素子は、前記筒状部の前記他端側に設けられている請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「前記発光素子は、前記内筒の前記他端側に設けられている請求項1、及び請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7~10についても同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「前記筒状部と前記流出部との間に第二室をさらに備える請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「前記内筒と前記流出部との間に第二室をさらに備える請求項1、及び請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8~10についても同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「請求項1、及び請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9及び10についても同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」と記載されているのを、「請求項1、及び請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10についても同様に訂正する。)。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 (1)訂正事項1について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正前の「処理流路の外周面の静止摩擦係数」について、流路とは一般に流体の流れる空間(部分)のことであり、流体の流れる空間(部分)の「外周面」とはどこの部分のことを特定しているのか不明確であることから、訂正事項1によって、実際に処理流路の外周面を画定している内筒の構成を加え、「前記処理流路を収容するケース部」を「中空部が前記処理流路を形成する内筒を収容するケース部」に限定したうえで、「処理流路の外周面の静止摩擦係数」を「内筒の外周面の静止摩擦係数」とし、それに合わせて「前記処理流路の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記処理流路の前記一端側の開口部」を「前記内筒の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記内筒の前記一端側の開口部」に、「前記処理流路の他端側から流出させる流出部」を「前記内筒の他端側から流出させる流出部」に訂正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更することにはならないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 新規事項の有無 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0011】に「殺菌処理部2は、図2(a)に示すように、内筒(筒状部)21と、内筒21を収容するケース部22と、内筒21の一端側の開口部に固定され、内筒21内に流入される流体を整流するための円盤状の板23と、内筒21とケース部22との間に配置され、内筒21とケース部22との間の隙間を区画する部材24とを備える。」(下線は当審において付与した。以下同様。)、【0018】に「図2に戻って、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成されることが好ましい。」、【0024】に「内筒21の発光部3とは逆側の端部の内周面には板23と嵌合する段差部21cが形成されている。そして、内筒21の中空部が処理流路21dを形成している。」と記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、請求項を削除することは、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について ア 目的の適否 訂正事項3において、「前記筒状部」との記載を「前記内筒」とする訂正は、訂正事項1に整合させて「前記内筒」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、引用する請求項を請求項2から請求項1にする訂正は、訂正事項2により「前記処理流路は、筒状の筒状部である請求項1に記載の紫外線照射装置。」である請求項2が削除され、その訂正前の請求項2の技術内容が実質的に請求項1として限定され、その請求項1を引用するものにすることであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3における上記アで記載した前者の訂正は、上記(1)イで摘記した【0011】に「内筒(筒状部)21」と記載されているように、「内筒」と「筒状部」とは同じものであることから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項3における上記アで記載した後者の訂正は、上記アで述べたとおり、訂正前の請求項2の技術内容が実質的に請求項1として限定され、その請求項1を引用するものにすることであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項3における前者の訂正は、上記(1)イで摘記した【0011】に「内筒(筒状部)21」と記載されており、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。また、後者の請求項1を引用するものとする訂正についても、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (4)訂正事項4~6について 訂正事項4~6は、いずれも、訂正事項3と同様に、「前記筒状部」との記載を「前記内筒」とする訂正、及び、引用する請求項を請求項2から請求項1にする訂正であるから、上記(3)で述べたとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (5)訂正事項7及び8について 訂正事項7及び8は、いずれも、訂正事項2により請求項2が削除されたことにともない、引用する請求項から請求項2を削除し、引用請求項数を減少するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものといえる。 そして、引用する請求項から請求項2を削除することは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項2~10は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項1~10は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1~8はいずれも、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。 4 訂正についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項1~8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1及び3~10に係る発明(以下「本件発明1」、「本件発明3」~「本件発明10」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び3~10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 長手方向に延びる処理流路と、 中空部が前記処理流路を形成する内筒を収容するケース部と、 前記内筒の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記内筒の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室と、 前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部と、 前記処理流路を通過した前記対象物を前記内筒の他端側から流出させる流出部と、 前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子と、を備え、 前記内筒の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい紫外線照射装置。」 「【請求項3】 前記内筒は、紫外線反射性材料で形成されている請求項1に記載の紫外線照射装置。 【請求項4】 前記紫外線反射性材料として、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン樹脂、内部に0.05μm以上10μm以下の気泡を含む石英ガラス、内部に0.05μm以上10μm以下の結晶粒を含む部分結晶化石英ガラス、0.05μm以上10μm以下の結晶粒状のアルミナ焼結体、0.05μm以上10μm以下の結晶粒状のムライト焼結体のうちの少なくともいずれか一つを含む請求項3に記載の紫外線照射装置。 【請求項5】 前記発光素子は、前記内筒の一方の端部の開口部に面して設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて前記長手方向に沿って紫外光を照射する請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 【請求項6】 前記発光素子は、前記内筒の前記他端側に設けられている請求項1、及び請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 【請求項7】 前記内筒と前記流出部との間に第二室をさらに備える請求項1、及び請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 【請求項8】 前記ケース部は、当該ケース部の外側から当該ケース部に向けて光を照射したときに、当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を当該ケース部の外側から視認可能に形成されている請求項1、及び請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 【請求項9】 前記流入部は、ポリオレフィンで形成されている請求項1、及び請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 【請求項10】 前記ポリオレフィンは、ポリエチレン又はポリプロピレンの少なくともいずれか一方を含む請求項9に記載の紫外線照射装置。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要 令和4年8月1日付け取消理由通知書は、次の取消理由1を通知したものである。 取消理由1(明確性) 本件特許は、その特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ・訂正前の請求項1~10 概略を記載すると、訂正前の請求項1に係る発明は、「長手方向に延びる処理流路と、・・・と、を備え、前記処理流路の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい紫外線照射装置。」と記載されているが、流路とは一般に流体の流れる空間(部分)のことであり、流体の流れる空間(部分)の「外周面」とはどこの部分のことを特定しているのか不明確であるから、「前記処理流路の外周面の静止摩擦係数」について明確に特定することはできない。請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項2~10についても同様に不明確である。 第5 取消理由1についての判断 上記第2で記載したように、訂正により、本件発明1は「長手方向に延びる処理流路と、中空部が前記処理流路を形成する内筒を収容するケース部と、・・・を備え、前記内筒の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい紫外線照射装置。」(下線は当審において付与した。)となり、実際に処理流路の外周面を画定している内筒の構成を加え、その外周面とすることにより、「外周面」が明確となったことから、上記第4で記載した取消理由1は解消された。 よって、取消理由1によって、本件発明1及び3~10に係る特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立理由1(進歩性) (1)申立理由1についての概要は以下のとおりである。 本件特許の訂正前の請求項1~7、9及び10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第5号証の記載に基づいて、本件特許の訂正前の請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第7号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 よって、請求項1~10に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 <証拠方法> 甲第1号証:特開2017-104230号公報 甲第2号証:竹市嘉紀、「高分子材料のトライボロジー」、表面技術、Vol.65、No.12、2014年、pp.562-567 甲第3号証:特開2018-26045号公報 甲第4号証:特表2016-501676号公報 甲第5号証:特開平10-169621号公報 甲第6号証:特開2012-126769号公報 甲第7号証:特開2008-107330号公報 (以下、甲第○号証は「甲○」という。) (2)甲号証の記載 ア 甲1について (ア)甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した(以下同様。)。 (甲1ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、 前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通することを特徴とする流体殺菌装置。」 「【請求項7】 前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項8】 前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする請求項7に記載の流体殺菌装置。」 (甲1イ)「【0005】 本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、流路内を流れる流体への紫外光の照射効率を高めた流体殺菌装置を提供することにある。」 (甲1ウ)「【0022】 (第1の実施の形態) 図1は、第1の実施の形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流体殺菌装置10は、流路管20と、第1筐体30と、第2筐体40と、第1光源50と、第2光源55とを備える。第1光源50および第2光源55は、流路管20の内部に向けて紫外光を照射する。流体殺菌装置10は、流路管20の内部を流れる流体(水など)に紫外光を照射して殺菌処理を施すために用いられる。 ・・・ 【0025】 流路管20は、金属材料や樹脂材料で構成される。流路管20は、紫外光の反射率が高い材料で構成されることが望ましく、例えば、内面23が鏡面研磨されたアルミニウム(Al)や、全フッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成される。これらの材料で流路管20を構成することで、第1光源50および第2光源55が発する紫外光を内面23で反射させて流路管20の長手方向に伝搬させることができる。特に、PTFEは、化学的に安定した材料であり、紫外光の反射率が高い材料であるため、処理流路12を構成する流路管20の材料として好適である。 ・・・ 【0028】 第1筐体30は、第1端部21の周囲を取り囲むように設けられ、第1整流室13と第1光源室17を区画する。第1筐体30は、金属材料や樹脂材料で構成される。第1筐体30は、第1光源50が発する紫外光の反射率が低い材料で構成されることが望ましく、流路管20よりも紫外光反射率が低い材料で構成されることが望ましい。第1筐体30は、第1光源50からの紫外光を吸収する材料で構成されてもよい。このような材料で第1筐体30を構成することで、第1光源50からの紫外光が第1筐体30の内面で反射され、流出管38から外に漏れ出すのを抑えることができる。」 (甲1エ)上記図1として、以下の図面が記載されている。 「 [図:0001395220000001.jpg] 」 (イ)甲1発明について 上記(甲1ア)の記載から、甲1に記載された発明を認定すると、次のとおりである。 「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、 前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、 前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される、流体殺菌装置。」 イ 甲2について 甲2には、以下の事項が記載されている。 「3.1 PTFE ポリテトラフルオロエチレン(PTFE,polytetrafluoroethylene)はガラス転移点が115℃ , 融点が327℃,連続使用温度が260℃程度の熱可塑性プラスチックである2)。テフロンR(Rは○文字である)の商標で広く知られている。多くのプラスチックの中でPTFEは最も低い摩擦係数を示すことから,自己潤滑性に優れたプラスチック材料として広く用いられている。耐熱性に優れ,化学的安定性から耐薬品性,耐候性にも優れる。ただし,耐摩耗性(摩耗のしにくさ)に劣るため,PTFE単体でしゅう動材料として用いることは少なく,母材としてPTFEを用いる場合にはフィラーを添加して複合材料とすることが多い。また,他の複合材料のしゅう動特性を改善する目的でPTFEを添加することも多い。この場合は添加する際のPTFEの分散性の良さから,低分子量のPTFEを用いることが多い。」(20頁左欄4~17行) ウ 甲3について 甲3には、以下の事項が記載されている。 (甲3ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水の供給源に接続され、水を貯蔵する貯蔵タンクと、第1の端部が前記貯蔵タンクに接続され、第2の端部に出口ノズルが形成された第1の配管と、 製氷機と、 前記貯蔵タンクを前記製氷機に接続し、前記製氷機に水を供給する第2の配管と、 前記第1の配管の内部の前記出口ノズルの近傍、前記出口ノズルの外側近傍、前記第2の配管の内部または前記貯蔵タンクの中に位置する、発光ダイオードを備えた紫外線照射装置と、を有する、カップ式飲料自動販売機。」 (甲3イ)「【0001】 本発明はカップ式飲料自動販売機に関し、特に装置内の菌の発生、増殖を抑制する機構に関する。」 (甲3ウ)「【0011】 (第1の実施形態) 図1は本発明の第1の実施形態に係るカップ式飲料自動販売機1の概略構成図である。自動販売機1は、水の供給源6に接続され水道水を貯蔵する貯蔵タンク2と、貯蔵タンク2に接続された第1の配管L1と、を有している。第1の配管L1は第1の端部11と第2の端部12を有している。第1の端部11は貯蔵タンク2に接続され、第2の端部12には水を排出する出口ノズル13が形成されている。出口ノズル13は紙コップなどの容器14がセットされる領域15の直上に設けられている。水の供給源6は例えば水道水を供給する配管である。第1の配管L1はシリコン、ポリエチレンなどのチューブで作成され、貯蔵タンク2はポリエチレンで作成されている。貯蔵タンク2は省略することもできる。第1の配管L1上には水を送出するポンプ16が設けられている。」 (甲3エ)「【0025】 貯蔵タンク2の中には、紫外線を照射する発光ダイオードを備えた第5の紫外線照射装置UV5が設けられている。貯蔵タンク2はオーバーフロー用の開口等が外気と連通する構造となっており、外気中の菌が混入しやすく、長期間貯蔵タンク2内に水が滞留した場合、菌が増殖する。貯蔵タンク2の水は製氷機3の貯蔵容器31内の氷より流動する可能性が高く、貯蔵タンク2の内部の水により均等に紫外線を照射することができるため、第5の紫外線照射装置UV5は貯蔵タンク2の内部に設けられている。第5の紫外線照射装置UV5としては例えば防水加工を施したLED殺菌モジュールを用いることができる。防水加工を施すことで、貯蔵タンク2内の水中に設置し水中に直接照射することが可能であり、効率よく水中の菌を殺菌することができる。」 エ 甲4について 甲4には、以下の事項が記載されている。 「【0032】 図2Aおよび図2Bで、カテーテルシース110の近位部112は、内面(内径)150と、外面(外径)152とを有し、カテーテルシース110の遠位部116は、内面(内径)154と、外面(外径)156とを有する。内面150および154は、イメージングコア120に対して、イメージングコア120とカテーテルシース110との間の摩擦を最小限にする摩擦係数を有する。イメージングコア120と、カテーテルシース110の内面150、154との間の摩擦を最小限にすることで、コアはより自由に回転することができる。いくつかの実施形態で、内面150および154は、低い摩擦係数(μ)を有する。摩擦係数は、無次元スカラー値であり、2つの物体間の摩擦の力と、それらを共に押圧する力との比を示す。それは2つの物体間の測定であるため、摩擦係数は、通常、鋼鉄またはガラス等の一般的な試験材に対しての指標とされる。カテーテルに一般的に用いられるポリエチレンは、鋼鉄に対して0.2の摩擦係数を有する。内面150として使用するのに適するフルオロポリマーは、通常、鋼鉄に対して0.1以下の摩擦係数を有する。場合により、内面150に使用できるPTFEは、銅鉄に対して0.044の摩擦係数を有する。場合により、内面154に使用できるEFEPは、鋼鉄に対して0.06の摩擦係数を有する。ポリイミドとポリアミド等、フルオロポリマーと、より硬いポリマーとの混合物もまた、カテーテルのより良好な押し込み特性をもたらすために使用することができる。1つの実施形態で、カテーテルの近位部の内側のポリマー層は、ポリイミド/PTFEの混合物を含み、これは、鋼鉄に対して0.07の摩擦係数を有する。」 オ 甲5について 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【0019】比較的に通常の、又は軽い義務を負った用途においては、許容できる材料としては、化学と物理学のハンドブックに鋼上の鋼(.58)として、報告された静摩擦係数μよりも少なくとも以下であり、かつ好ましくは、ポリエチレンの静摩擦係数(0.2)と同様である材料を含んでいる。自動車や一般の工業の使用のような、より重い義務を負った用途では、比較的低い係数をもつ材料が好ましい。これらの用途のための好ましい材料は、例えば、PTFE(0.04)と同様の静摩擦係数(μ)を有している材料である。」 カ 甲6について 甲6には、以下の事項が記載されている。 (甲6ア)「【0002】 電気を使用する上では、分電盤等を使用して、必要な電気装置や電気設備に送電する方法が取られている。電気災害を予防する上では、まず分電盤の安全性の確保が必要となる。例えば、作業者の安全性を確保するために、絶縁性の保護カバー等を分電盤に設けることが行われている。しかし、この絶縁性の保護カバーが可視光線に対して不透明であれば、保護カバー内の結線状態等を保護カバーの外から視認することができないため、結線状態等を確認するためにはその保護カバーを分電盤から取り外す必要がある。その場合、分電盤は保護カバーにより保護されていない状態となるため、作業者の安全性が確保できない。このような観点から、保護カバーには、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート等、絶縁性があって可視光線を透過させる材料が用いられている。」 (甲6イ)「【0030】 ポリエチレン樹脂は、通常、結晶性部位と非晶性部位とが存在しており、これらの部位の屈折率の違いにより白濁しており、可視光での透過性が劣ると考えられていた。本実施形態において、可視光線の光透過性を得るためには、ポリエチレン樹脂の結晶化度をできるだけ下げることが好ましく、その観点から、ポリエチレン共重合体が好ましい。」 キ 甲7について 甲7には、以下の事項が記載されている。 (甲7ア)「【0001】 本発明は、逆浸透膜などの分離膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行い淡水を得たり下廃水処理水や工業排水などを浄化して再利用水を得たりする膜プロセスや、クーリングタワー、海洋エネルギー変換機器などの熱交換プロセスに好適に用いることのできる、膜面や熱交換面等におけるバイオファウリング発生リスクを定量的に感度良く評価するための装置に関する。」 (甲7イ)「【0023】 1.バイオファウリングが問題となる箇所に供給される水または排出される水と同等な流水中に基材を浸漬し、その表面に形成されるバイオフィルム量で、プロセス中におけるバイオファウリングが問題となる箇所のバイオフィルム量を評価する。 2.バイオフィルム量とバイオファウリングリスクには正の相関がある。 3.バイオフィルム量は、バイオフィルムを透明な基材表面に形成させ、光学的な透過の低下で測定すると簡便に評価できる。 4.バイオフィルムを形成させる透明な基材表面を多数準備することで、感度が大幅に向上する。 5.レーザー光を用いた評価により、高感度、定量的な評価が可能となる。 【0024】 本発明では、図2に示すような、通水器と、該通水器の水中に配置されたバイオフィルムを形成可能な透明な面を有する基材を複数配置したバイオフィルム形成部と、通水器に水を供給可能な接続部と、該通水器の水を排出可能な流出部とで装置を構成する。 【0025】 ここで、バイオフィルム形成部で透明な部材を使用するのは、簡単な光学装置等によりバイオフィルム量を光の透過率の低下に基づいて評価するために必要だからである。このことにより、試薬などを特別には必要とせず、簡便、迅速な測定が可能となり、また、光学装置を使用した場合は自動的に、所望であれば常時、測定を行うことが可能となる。 【0026】 特に、一部または全部が対面が透明な部材で形成された通水部を使用し、通水部の透明な部材で形成された面の間にバイオフィルム形成部を配置してもよい。この場合、目視でのバイオフィルム量の定量的な評価が可能となるとともに、光学装置などを用いて評価する際にもダブルチェックができ、評価の信頼性を向上させることができる。 【0027】 通水器やバイオフィルム形成部に用いる部材の材質は、有機物の溶出や吸着が少ないものが好ましい。透明部分の部材の材質としては、なるべく透明であり、部材自体の透明度が劣化等で低下しないものが好ましい。また、目視評価の観点からは、色の薄いもの、できれば無色のものが好ましい。例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどを好適なものとして挙げることができる。不透明な部材を使用する場合は、ステンレス、テフロン(登録商標)、などの材質が挙げられる。通水器の形状は、バイオフィルム形成部を収容可能であれば、特に限定されるものではなく、円柱や直方体などが挙げられる。」 (3)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「軸方向に延びる処理流路」は、本件発明1の「長手方向に延びる処理流路」に相当し、そして、甲1発明の「軸方向に延びる処理流路を区画する流路管」は、本件発明1の「中空部が前記処理流路を形成する内筒」に相当する。 (イ)甲1発明の「流路管」の「1端部の径方向外側を囲う」「筐体」と、本件発明1の「内筒を収容するケース部」とは、「収容」が「人や物品を一定の場所におさめ入れること」(広辞苑第四版)という意味であることを考慮すると、両者は「内筒の外側にあるケース部」の点で共通しているといえる。 (ウ)甲1発明の「流路管」の「第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間」は、上記(甲1エ)の図1では「13」又は「14」で示されるもので、流路管の外周面と筐体の内周面の隙間でもあるから、甲1発明の「流路管」の「第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通」する「整流室」は、本件発明1の「前記内筒の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記内筒の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室」に相当する。 (エ)甲1発明の「整流室」の「流体の入口」「となる流通口」は、上記(甲1エ)の図1では「47」で示されるもので、筐体の外周面に設けられているから、本件発明1の「前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部」に相当する。 また、甲1発明の「流路管」の「前記第1端部とは反対側の第2端部」にある「前記処理流路を流れる流体の」「出口となる流通口」は、本件発明1の「前記処理流路を通過した前記対象物を前記内筒の他端側から流出させる流出部」に相当する。 (オ)甲1発明の「前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源」は、本件発明1の「前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子」に相当する。 (カ)甲1発明の「前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことは、流路管には外周面があり、筐体には内周面があり、それらが紫外光の反射率が異なる材料で構成されていることであるから、本件発明1の「前記内筒の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい」こととは、「紫外光の反射率」と「静止摩擦係数」の両者が上位概念として「物性値」であることから、「前記内筒の外周面の物性値と前記ケース部の内周面の物性値が異なる値である」という点で共通するといえる。 (キ)甲1発明の「流体殺菌装置」は、本件発明1の「紫外線照射装置」に相当する。 (ク)上記(ア)~(キ)を踏まえると、本件発明と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 (一致点) 「長手方向に延びる処理流路と、 中空部が前記処理流路を形成する内筒の外側にあるケース部と、 前記内筒の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記内筒の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室と、 前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部と、 前記処理流路を通過した前記対象物を前記内筒の他端側から流出させる流出部と、 前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子と、を備え、 前記内筒の外周面の物性値と前記ケース部の内周面の物性値が異なる値である、紫外線照射装置。」 (相違点1) 内筒の外側にあるケース部が、本件発明1では、「内筒を収容する」ものであるの対し、甲1発明では、流路管の「1端部の径方向外側を囲う」ものである点で相違する。 (相違点2) 内筒の外周面の物性値とケース部の内周面の物性値について、本件発明1では、内筒の外周面の「静止摩擦係数」は、ケース部の内周面の「静止摩擦係数よりも小さい」のに対し、 甲1発明では、「前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」、すなわち、流路管の外周面は「紫外光を反射する材料」で構成され、筐体の内周面は「流路管よりも紫外光の反射率が低い材料」で構成される点。 イ 相違点の判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 (ア)甲1発明の課題は、上記(甲1イ)に記載されているように「流路内を流れる流体への紫外光の照射効率を高めた流体殺菌装置を提供すること」にあり、そのために「前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」ようにしたのが甲1発明である。 そして、流路管について、上記(甲1ウ)の【0025】に「流路管20は、金属材料や樹脂材料で構成される。流路管20は、紫外光の反射率が高い材料で構成されることが望ましく、例えば、内面23が鏡面研磨されたアルミニウム(Al)や、全フッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成される。これらの材料で流路管20を構成することで、第1光源50および第2光源55が発する紫外光を内面23で反射させて流路管20の長手方向に伝搬させることができる。特に、PTFEは、化学的に安定した材料であり、紫外光の反射率が高い材料であるため、処理流路12を構成する流路管20の材料として好適である。」と記載され、 筐体について、(甲1ウ)の【0028】に「第1筐体30は、第1端部21の周囲を取り囲むように設けられ、第1整流室13と第1光源室17を区画する。第1筐体30は、金属材料や樹脂材料で構成される。第1筐体30は、第1光源50が発する紫外光の反射率が低い材料で構成されることが望ましく、流路管20よりも紫外光反射率が低い材料で構成されることが望ましい。第1筐体30は、第1光源50からの紫外光を吸収する材料で構成されてもよい。このような材料で第1筐体30を構成することで、第1光源50からの紫外光が第1筐体30の内面で反射され、流出管38から外に漏れ出すのを抑えることができる。」と記載されている。 このように、「前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことにより、甲1発明は、「紫外光を内面23で反射させて流路管20の長手方向に伝搬させ」るとともに「流出管38から外に漏れ出すのを抑える」ものである。 (イ)一方、本件発明1において、「前記内筒の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい」ということについて、本件明細書には、以下のとおり記載されている。 「【0018】 図2に戻って、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成されることが好ましい。つまり、内筒21とケース部22との間の隙間からなる後述の第一室26において、第一室26の内周側の壁面を形成する内筒21の外周面の静止摩擦係数が、第一室26の外周側の壁面を形成するケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さいことが好ましい。このような構成であれば、バイオフィルムが発生する状況では、第一室26の外周側の壁面の方が第一室26の内周側の壁面よりも先にバイオフィルムが発生する。ケース部22の厚さや色を調整することにより、第一室26の外周側の壁面、つまりケース部22の内周面に付着したバイオフィルムはケース部22の外側から懐中電灯等を当てると影ができることから、影の有無を視認することによってその存在を確認することができる。そのため、第一室26内におけるバイオフィルムの発生を容易に検出することができると共に、第一室26内全体にバイオフィルムが発生する前の、第一室26の外周側の壁面、つまりケース部22の内周面側にバイオフィルムが発生した段階で、バイオフィルムの発生を検出することができる。そのため、バイオフィルムによるリスクの発生を抑制することができる。」 「【0049】 また、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成している。そのため、バイオフィルムの発生を容易に検出することができ、且つ、第一室26内全体にバイオフィルムが発生するよりも前の、ケース部22の内周面側にバイオフィルムが生じた段階でバイオフィルムの発生を検出することができる。そのため、バイオフィルムによるリスク発生の低減に寄与することができる。」 (ウ)甲1発明の「紫外光の反射率」と本件発明1の「静止摩擦係数」とは、全く異なる物性値であり、上記(ア)及び(イ)で記載したとおり、「紫外光の反射率」と「静止摩擦係数」の物性値に基づく、甲1発明と本件発明1との技術的意義も全く異なるものであることから、「前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」、すなわち、流路管の外周面は「紫外光を反射する材料」で構成され、筐体の内周面は「流路管よりも紫外光の反射率が低い材料」で構成される甲1発明において、流路管の外周面の静止摩擦係数を、筐体の内周面の静止摩擦係数よりも小さいものにすることの動機はない。 また、上記甲2~7には、上記(2)イ~キで摘記したとおり、一方の(円筒の外周)面にバイオフィルムが発生するより前に、他方の(ケース部の内周)面側にバイオフィルムを生じさせるために、一方の(内筒の外周)面の静止摩擦係数を他方の(ケース部の内周)面の静止摩擦係数よりも小さくするという技術的事項が記載されているものはないことから、甲1発明に、甲2~7に記載の技術的事項を組み合わせても、本件発明1とはならない。 (エ)よって、本件発明1は、相違点1について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、本件発明1ついて、特許異議申立書において、 「甲第2号証によれば「ポリテトラフルオロエチレンは、他の樹脂材料よりも摩擦係数が低い」ため、甲1発明において、ポリテトラフルオロエチレンで構成される流路管(20)の静止摩擦係数が、流路管(20)とは異なる樹脂材料で構成される第2筐体(14)の静止摩擦係数よりも小さいという条件を満たす蓋然性が高い。また、甲第3号証によれば、貯蔵する水に紫外線を照射するための貯蔵タンク2の材料としてポリエチレンが開示されており、甲1発明における「流路管(20)よりも紫外光反射率が低い樹脂材料」として甲第3号証に記載されるポリエチレンを適用することは当業者にとって容易である。甲第4号証および第5号証によれば、PTFEの静摩擦係数は0.44であり、ポリエチレンの静摩擦係数は0.2であり、PTFEの静止摩擦係数がポリエチレンの静止摩擦係数よりも小さいことは公知である。以上より、本件特許発明1は、甲1発明および甲第2号証から甲第5号証の記載に基づいて当業者が容易に想到することができた発明である。」と主張している。 また、令和4年10月26日に提出の意見書では、「訂正発明1は、甲1発明および甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に想到することができた発明である。」と主張している。 (イ)申立人の主張に対する判断 甲3に記載されている技術は、上記(2)ウで摘記したように、貯蔵タンク内の水における菌の発生、増殖を抑制するために、貯蔵タンクの中に紫外線照射装置を置き、効率よく水中の菌を殺菌することができるようにする技術であり、貯蔵タンクの材料は紫外光を反射する材料で構成した方が、貯蔵タンクの中に設置した紫外線照射装置からの紫外線が貯蔵タンクの内面で反射し、貯蔵タンク中の水をより効率よく殺菌することができるものである。当該技術を甲1発明に準じてあてはめるならば、甲3における「貯蔵タンク」は、中の水を殺菌すると技術的意義において、甲1発明における「流路管」に相当するものである。 そうすると、甲3に「貯蔵する水に紫外線を照射するための貯蔵タンク2の材料としてポリエチレンが開示」されているとしても、それを甲1発明の「流路管」に適用することはあるにせよ、「筐体」に適用することは示されていない。 よって、申立人は、甲3の技術を正当に把握しておらず、甲3の「貯蔵タンク」の材料がポリエチレンであるから、甲1発明の「筐体」の材料をポリエチレンとすることは容易であるとの主張は受け入れられない。 また、甲2は、PTFEについての一般的な特性について記載されているだけであり、PTFEの甲2に記載されている特性から、甲1発明の「筐体」の材料について、「流路管の外周面の静止摩擦係数」が「筐体の内周面の静止摩擦係数よりも小さ」くなるような材料を選択することにはならない。 そして、甲4及び甲5には、各々PTFE及びポリエチレンの静摩擦係数の値が記載されているだけであり、流路管の外周面と筐体の内周面との静止摩擦係数の関係について言及したものではない。 よって、申立人の特許異議申立書及び意見書の主張によって、上記イの判断が変わることはない。 エ 小括 本件発明1は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (4)本件発明3~10について 本件発明3~10は、すべて本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明3~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 2 申立理由2(サポート要件) (1)申立理由2は、訂正前の請求項1~7、9及び10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないことから、請求項1~7、9及び10に係る発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないというものであり、その具体的主張は、以下のとおりである。 「本件特許発明1は、本件特許発明の課題を解決するための手段として、発明の詳細な説明に記載される「内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成されること」を備える一方で、「ケース部の内周面側に発生するバイオフィルムをケース部の外側から確認できるようにすること」を備えない。 本件特許発明1によれば、「内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成されること」を備えるため、段落0018の「第一室26の外周側の壁面の方が第一室26の内周側の壁面よりも先にバイオフィルムが発生する」という効果を実現することができる。しかしながら、本件特許発明1は、必ずしも「ケース部の内周面側に発生するバイオフィルムをケース部の外側から確認できるよう」に構成されていないため、バイオフィルムの発生をケース部の外側から検出することができない構成を含み、「バイオフィルムによるリスクの発生を抑制する」という本件特許発明に係る課題を解決することができない構成を含む。 以上より、本件特許発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであり、発明の詳細な説明に記載したものではない。 なお、本件特許発明8を除く、本件特許発明2-7,9-10についても同様である。」 (2)本件明細書の記載 本件明細書において、上記(1)について判断する際に必要な部分を摘記すると以下のとおりである。 (本ア)「【0003】 また、このように流体を流路内で移動させるようにした装置においては、バイオフィルムの発生を抑制するため、乱流循環を維持することが知られている。また、例えば、水中構造物においては、微生物等が壁面に付着することから、流体の流速を調整することで、微生物等の付着を防止するようにした装置等も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。 ・・・ 【0005】 しかしながら、特に、紫外線照射を行う流路の入口側に設けた整流室を介して流体を流路に流入させるようにした流体殺菌装置においては、より一層の殺菌効果を得ることの可能な流体殺菌装置が望まれていた。 そこで、この発明は従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、整流室を備えた紫外線照射装置において、整流室を設けることによる殺菌効果の低下を、より小さくすることの可能な紫外線照射装置を提供することを目的としている。」 (本イ)「【0018】 図2に戻って、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成されることが好ましい。つまり、内筒21とケース部22との間の隙間からなる後述の第一室26において、第一室26の内周側の壁面を形成する内筒21の外周面の静止摩擦係数が、第一室26の外周側の壁面を形成するケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さいことが好ましい。このような構成であれば、バイオフィルムが発生する状況では、第一室26の外周側の壁面の方が第一室26の内周側の壁面よりも先にバイオフィルムが発生する。ケース部22の厚さや色を調整することにより、第一室26の外周側の壁面、つまりケース部22の内周面に付着したバイオフィルムはケース部22の外側から懐中電灯等を当てると影ができることから、影の有無を視認することによってその存在を確認することができる。そのため、第一室26内におけるバイオフィルムの発生を容易に検出することができると共に、第一室26内全体にバイオフィルムが発生する前の、第一室26の外周側の壁面、つまりケース部22の内周面側にバイオフィルムが発生した段階で、バイオフィルムの発生を検出することができる。そのため、バイオフィルムによるリスクの発生を抑制することができる。」 (本ウ)「【0049】 また、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成している。そのため、バイオフィルムの発生を容易に検出することができ、且つ、第一室26内全体にバイオフィルムが発生するよりも前の、ケース部22の内周面側にバイオフィルムが生じた段階でバイオフィルムの発生を検出することができる。そのため、バイオフィルムによるリスク発生の低減に寄与することができる。」 「【0050】 これに対し、内筒21側は、内筒21とケース部22との間に、流入側の整流室となる第一室26及び流出側の整流室となる第二室27が設けられており、すなわち、屈折率の異なる流体層が存在する。そのため、内筒21側に付着したバイオフィルムは、ケース部22の外側からは視認することはできない。つまり、内筒21側にバイオフィルムが付着していたとしても視認することは困難である。そのため、内筒21側は、ケース部22側よりもバイオフィルムの発生が遅くなる工夫が実用上から非常に重要となる。つまり、ケース部22側にバイオフィルムが付着したことを検出した時点で内筒21側にはバイオフィルムは発生していないと予測されることから、ケース部22側にバイオフィルムが付着したことを検出するタイミングで内筒21についてもバイオフィルムに対する対処を行えばよい。」 (3)当審の判断 上記(2)で摘記した記載によれば、整流室を介して流体を流路に流入させる紫外線照射装置では、微生物等が壁面に付着するバイオフィルムが発生することにより殺菌効果が低下することから、本件発明1は、整流室を備えた紫外線照射装置において、整流室を設けることによる殺菌効果の低下を、より小さくすること(【0005】)を発明の課題とするものであり、本件明細書の発明の詳細な説明には、この課題を、バイオフィルムが整流室(第一室)内全体に発生する前にバイオフィルムに対する対処を行えるようにするために、検出するバイオフィルムを第一室の一部に先行させて発生させることで解決することが記載されている。 一方、本件発明1は、「内筒の外周面一端側の外周面とケース部の内周面との隙間に設けられ」た「第一室」において、「内筒の外周面の静止摩擦係数」を「ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さ」くすることにより、第一室内全体にバイオフィルムが発生する前に、内筒の外周面より先行してケース部の内周面にバイオフィルムを発生させることができることから、上記本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるもので、本件明細書の発明の詳細な説明の記載の範囲内のものといえる。 申立人は、「本件特許発明1は、必ずしも「ケース部の内周面側に発生するバイオフィルムをケース部の外側から確認できるよう」に構成されていないため、バイオフィルムの発生をケース部の外側から検出することができない構成を含」むことをもってして、本件発明の課題を解決することができない構成を含むことを主張しているが、室内全体に発生するより前に室の一部に先行させて発生させるバイオフィルムを検出できれば、室内全体に発生する前にバイオフィルムに対する対処を行えるのであるから、「バイオフィルムをケース部の外側から確認できるようにする構成」がなければ、本件発明の課題を解決することができないとはいえない。 (4)小括 よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、本件発明1を直接的又は間接的に引用する3~7、9及び10についても、同様に発明の詳細な説明に記載したものであるから、本件発明1~7、9及び10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 3 申立理由3(明確性) (1)申立理由3は、訂正前の請求項8~10に係る発明は明確ではないことから、請求項8~10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないというものであり、申立人の主張をまとめると、おおむね次のとおりである。 本件発明8の「前記ケース部は、当該ケース部の外側から当該ケース部に向けて光を照射したときに、当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を当該ケース部の外側から視認可能に形成されている」との発明特定事項は、機能的に記載されており、以下のa~cの点で発明を明確に把握できないことから、本件発明8は明確ではない。 a 「ケース部」を機能的な表現によって特定するものであり、ケース部の材料、色、厚さといった具体的な特性によって特定するものではないため、ケース部を具体的にどのように設定すれば、バイオフィルムの影が視認可能となるのか不明である。 b 「ケース部に向けて」「照射」する「光」について、光の強度、波長、配光分布といった具体的な特性について何ら特定していない。 c 「視認可能」とはどのような状況であるのか、例えば、人間が目視したときなのか、特定の波長の光をカメラ等で撮像したときなのか、さらには、影となる部分と影ではない部分のコントラスト比がどの程度であれば視認可能といえるのか、等について何ら特定していない。 (2)当審の判断 aについて 本件発明8は、ケース部について、「前記ケース部は、当該ケース部の外側から当該ケース部に向けて光を照射したときに、当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を当該ケース部の外側から視認可能に形成されている」と特定されるものであり、ケース部は、照射する光を遮蔽するものではなく、少なからず透過するものでなければならないことから、材料は光を透過する材料、色は黒など光を吸収する色ではなく光を透過できる薄い色、厚さは光を透過できる厚さであることは明らかであり、ケース部の材料、色、厚さを具体的に特定していないからといって、本件発明8は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 bについて 「ケース部に向けて」「照射」する「光」については、ケース部を少なからず透過できる光の強度、波長であり、そして、内周面に付着しているものを影として区別できるような配光分布であることは明らかであり、「ケース部に向けて」「照射」する「光」の強度、波長、配光分布を具体的に特定していないからといって、本件発明8は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 cについて 「視認可能」とは、「ケース部に向けて」「照射」する「光」が「当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を」形成し、それを「視認」(「目で確認すること」広辞苑第四版)できるということであり、その影を人の目で直接見て確認することもあれば、カメラで撮像した画像を人の目で見て確認することもあろうが、「ケース部に向けて」「照射」する「光」が「当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を」形成し、それを「視認」できればいいのであり、それについて、人間が目視したときなのか、特定の波長の光をカメラ等で撮像したときなのか、さらには、影となる部分と影ではない部分のコントラスト比がどの程度であれば視認可能といえるのか、について特定していないからといって、本件発明8は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 d そうすると、a~cの点でいずれも不明確とはいえないことから、本件発明8の「前記ケース部は、当該ケース部の外側から当該ケース部に向けて光を照射したときに、当該ケース部の内周面に付着したバイオフィルムの影を当該ケース部の外側から視認可能に形成されている」との発明特定事項は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3)小括 よって、本件発明8は明確であり、また、本件発明8を直接的又は間接的に引用する9及び10についても、同様に明確であるから、本件発明8~10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本件発明1及び本件発明3~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第36条第6項第1号及び第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないことから、同法第113条第2号及び第4号に該当しない。 よって、本件発明1及び本件発明3~10に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によって、取り消すことはできない。 さらに、他に本件発明1及び本件発明3~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2に係る特許は、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700380

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