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特許異議申立

2022-700322

マスターバッチの製造方法

審判番号
2022-700322
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-016492
登録番号
6951844
請求日
2022年04月19日
審決日
2022年08月05日
公報発行日
2022年09月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】日本製紙株式会社
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】中村 充利
  • 【権利者代理人】小笠原 有紀
  • 【権利者代理人】新井 規之
  • 【異議申立人】前田 健一
審判長/審判官
  • 審判長 大島 祥吾
  • 審判官 ▲吉▼澤 英一
  • 審判官 植前 充司
分類
P1651.537-Y (C08J) / P1651.536-Y (C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6951844号発明「マスターバッチの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6951844号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6951844号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成29年2月1日の出願であって、令和3年9月29日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年10月20日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和4年4月19日に特許異議申立人 前田 健一(以下、「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし9)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 (a1)セルロース系原料に酸基またはその塩形態の基を導入して変性セルロースを得る工程、 (a2)当該変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程、 (a3)セルロースナノファイバーを酸性化して酸型セルロースナノファイバーを得る工程、 (b)当該酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合して混合物を得る工程、および (c)前記混合物を、100~300℃で5~600分加熱する工程、を含む、 マスターバッチの製造方法。 【請求項2】 前記工程(b)を、前記ゴム成分の分散液または溶液、あるいは前記酸型セルロースナノファイバーの分散液を用いて実施し、 前記工程(c)の前に、当該分散媒または溶媒を除去する工程をさらに含む、 請求項1に記載の製造方法。 【請求項3】 工程(a1)がセルロース系原料を酸化またはカルボキシメチル化する工程である、請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 工程(a1)がセルロース系原料を酸化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して0.5~3.0mmol/gの量のカルボキシル基を有する、請求項3に記載のマスターバッチの製造方法。 【請求項5】 工程(a1)がセルロース系原料をカルボキシメチル化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01~0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、請求項3に記載のマスターバッチの製造方法。 【請求項6】 前記ゴム成分が、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)ポリマー、ブタジエンゴム(BR)ポリマー、クロロプレンゴム(CR)ポリマー、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)ポリマー、天然ゴム(NR)ポリマー、またはこれらの組合せを含む、 請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。 【請求項7】 請求項1~6に記載の方法でマスターバッチを調製する工程、および 当該マスターバッチに架橋剤を混合する工程を含む、未架橋ゴム組成物の製造方法。 【請求項8】 請求項7に記載の未架橋ゴム組成物を架橋する工程を含む、ゴム組成物の製造方法。 【請求項9】 請求項1~6に記載の方法で得られたマスターバッチ。」 第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和4年4月19日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、下記(1)ないし(3)の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)本件特許明細書において、本件特許発明1の「酸型セルロースナノファイバー」には、所定量の化学変性したセルロースナノファイバーに限定されず、所定量未満の化学変性したセルロースナノファイバーも含まれるが、一般に、用いるセルロースナノファイバーの種類が異なれば、それを含むマスターバッチ及びマスターバッチから製造されるゴム組成物の機能・特性は予測不可能に変化し得るものであり、実施例において開示された所定量の化学変性したセルロースナノファイバー以外のセルロースナノファイバーを用いたマスターバッチが、実施例と同等に、優れた機械的特性を有するゴム組成物を与えることは推認できない。 請求項1の記載を直接または間接的に引用する本件特許発明2ないし9も同様である。 したがって、本件特許発明1ないし9は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。 (2)本件特許明細書において、本件特許発明1の「酸型セルロースナノファイバー」には、pKaが比較的小さい強酸化合物又は陽イオン交換樹脂を添加したセルロースナノファイバーに限定されず、pKaが比較的大きい弱酸化合物を添加したセルロースナノファイバーも含まれるが、一般に、酸処理の方法によって、得られるセルロースナノファイバーの粘度は変わり、セルロースナノファイバーの粘度が異なれば、それを含むマスターバッチ及びマスターバッチから製造されるゴム組成物の機能・特性は予測不可能に変化し得るものであり、実施例において開示されたpKaが比較的小さい強酸化合物又は陽イオン交換樹脂を添加したセルロースナノファイバー以外のセルロースナノファイバーを用いたマスターバッチが、実施例と同等に、優れた機械的特性を有するゴム組成物を与えることは推認できない。 請求項1の記載を直接または間接的に引用する本件特許発明2ないし9も同様である。 したがって、本件特許発明1ないし9は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。 (3)本件特許明細書の実施例では、分散媒または溶媒を用いてゴム成分とセルロース系繊維を混合し、用いた分散媒または溶媒を乾燥する工程を経て、高温で加熱している例のみによって本件特許発明の効果を検証しているため、分散媒または溶媒を用いずにゴム成分とセルロース系繊維を混合し、分散媒または溶媒を乾燥する工程を経ずに、高温で加熱することによっても、本件特許発明の効果を奏することができるのかが当業者であっても推認することは非常に困難であり、よって、分散媒または溶媒を用いずにゴム成分とセルロース系繊維を混合した場合の実施の形態に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 したがって、本件特許発明1ないし9は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。 2 申立理由2(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、下記(1)ないし(3)の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)上記1(1)で示した点で、本件特許明細書には、本件特許発明1ないし9において当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない。 (2)上記1(2)で示した点で、本件特許明細書には、本件特許発明1ないし9において当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない。 (3)上記1(3)で示した点で、本件特許明細書には、本件特許発明1ないし9において当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない。 第4 当審の判断 1 申立理由1(サポート要件)について (1)判断基準 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)特許請求の範囲の記載 本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第2のとおりである。 (3)発明の詳細な説明の記載 本件特許の発明の詳細な説明は、おおむね次の記載がある。 ・「【0001】 本発明は、ゴム成分およびセルロースナノファイバーを含有するマスターバッチの製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ゴムとセルロース系繊維を含むゴム組成物は優れた機械強度を有することが知られている。 ・・・(略)・・・ しかしながら、一般にゴムとセルロース系繊維とは親和性が低いため十分なゴム組成物の強度が得られていなかった。 ・・・(略)・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 前述のとおり、ゴムとセルロース系繊維とは親和性が低い。セルロース系繊維がセルロースナノファイバーである場合は、ゴム成分と繊維との接触面積が増大するので親和性が悪いことによる影響はより顕著となる。かかる事情を鑑み、本発明は優れた機械的特性を有するゴム組成物を与える、ゴム成分とセルロースナノファイバーを含むマスターバッチを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 発明者は、ゴム成分と酸型セルロースナノファイバーの混合物を加熱することで両者の相溶性を向上できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、以下の本発明により前記課題は解決される。 ・・・(略)・・・ 【発明の効果】 【0006】 本発明により、優れた機械的特性を有するゴム組成物を与える、ゴム成分とセルロースナノファイバーを含むマスターバッチを提供できる。」 ・「【0009】 (1)工程(a1) 本工程では、セルロース系原料に酸基を導入して変性セルロースを得る。 1)セルロース系原料 セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。 ・・・(略)・・・ 【0010】 セルロース繊維の平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30~60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10~30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものの平均繊維径は50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製した原料を用いる場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、平均繊維径を50μm程度に調整することが好ましい。 【0011】 酸基とはプロトンを放出しうる基であり、例えば、カルボキシル基、カルボキシル基含有基、リン酸基、リン酸基含有基等が挙げられる。カルボキシル基含有基としては、-COOH基、-R-COOH(Rは炭素数が1~3のアルキレン基)、-O-R-COOH(Rは炭素数が1~3のアルキレン基)が挙げられる。リン酸基含有基としては、ポリリン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ポリホスホン酸基等が挙げられる。これらの酸基は反応条件によっては、塩の形態(例えばカルボキシレート基(-COOM、Mは金属原子))で導入されることもある。よって、本発明においてセルロース原料に酸基を導入するとは、酸基またはその塩形態の基を含有する基を導入することを意味する。カルボキシル基は酸化によって、カルボキシル基含有基はエーテル化によって、リン酸基およびリン酸基含有基はエステル化によってセルロース系原料に導入できる。以下、詳細に説明する。」 ・「【0035】 (2)工程(a2) 本工程では、変性セルロースを解繊する。解繊処理は1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。 【0036】 解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料または変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加することができかつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。 【0037】 解繊を変性セルロースの分散液に対して行う場合、分散液中の変性セルロースの固形分濃度は、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上である。これにより、変性セルロースの量に対する液量が適量となり効率的になる。当該濃度の上限は通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。これにより流動性を保持することができる。」 ・「【0039】 本工程によりセルロースナノファイバーが得られる。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、長さ加重平均繊維径にして通常2~500nm程度であるが、好ましくは2~50nmである。平均繊維長は長さ加重平均繊維長にして50~2000nmが好ましい。 ・・・(略)・・・ 【0040】 本工程で得たセルロースナノファイバーにおけるカルボキシル基量は前述の酸化セルロースのカルボキシル基量と同じであることが好ましい。同様に本工程で得た、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーまたはリン酸エステル化セルロースナノファイバーにグルコース単位当たりの置換度は、それぞれカルボキシメチルセルロースおよびリン酸エステル化セルロースの置換度と同じであることが好ましい。」 ・「【0041】 (3)工程(a3) 本工程ではセルロースナノファイバーを酸性化する。セルロースナノファイバーはカルボキシル基等の酸基を有するが、その一部はカルボキシレート基等の塩形態になっている。酸性化とはカルボキシレート基等の塩形態の基をカルボキシル基等の酸基に変換することをいう。以下、説明を簡略にするために、カルボキシレート基をカルボキシル基に変換することを例に説明する。 【0042】 酸性化処理は通常、セルロースナノファイバーの分散液に酸を添加して行う。酸は、無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては例えば、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸、二酸化塩素発生装置の残留酸などの鉱酸が挙げられ、好適には塩酸である。有機酸としては例えば、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、ギ酸などが挙げられる。酸処理時のpHは、通常2以上であり、3以上が好ましい。pHの上限は6以下が好ましく、5以下が好ましい。従ってpHは、2~6が好ましく、2~5がより好ましく、3~5がさらに好ましい。酸の添加量に特に制限はなく、セルロースナノファイバーが凝集して半透明のゲル状物質が沈殿した時点で酸の添加を終了すればよい。 【0043】 酸性化処理は、カルボキシレート基を有するセルロースナノファイバー(「カルボキシル化セルロースナノファイバー塩」ともいう)と陽イオン交換樹脂を接触させて実施することもできる。カルボキシル化セルロースナノファイバー塩を陽イオン交換樹脂と接触すると塩におけるカチオンがプロトンに置換される。陽イオン交換樹脂を用いると塩化ナトリウム等の不要な副生成物が生成せず、陽イオン交換樹脂を金属メッシュ等により濾過して除去するだけで、濾液としてカルボキシル化セルロースナノファイバーの水分散液が得られる。金属メッシュ等により濾物として除去する対象は陽イオン交換樹脂であり、カルボキシル化セルロースナノファイバーは金属メッシュ等では除去され難く、ほぼ全量が濾液中に含まれる。そのため、収率の低下が極めて少なくなる。濾液には繊維長の短いカルボキシル化セルロースナノファイバーが多量に含まれているが、濾液を洗浄や脱水する必要はないので、カルボキシル化セルロースナノファイバーが凝集しにくい。従って、このようにして得たカルボキシル化セルロースナノファイバーの分散液は粘度の上昇が抑制され得る。 【0044】 陽イオン交換樹脂としては対イオンがプロトンであればよく、強酸性イオン交換樹脂および弱酸性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。中でも、強酸性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。 ・・・(略)・・・ 【0045】 両者の接触は、例えば粒状の陽イオン交換樹脂とカルボキシル化セルロースナノファイバー塩水分散液を混合し、必要に応じ撹拌および振とうしながら、両者を一定時間接触させた後、陽イオン交換樹脂と水分散液とを分離することによって行うことができる。この際、解繊工程で得られたカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の水分散液をそのまま用いてもよいし、水で希釈してから用いてもよい。 ・・・(略)・・・ 【0047】 系内のpHが酸性の範囲になること、あるいはFT-IR等での分析によって酸型セルロースナノファイバーが生成したことを確認できる。 【0048】 陽イオン交換樹脂を用いる以外の方法で酸性化した場合は、処理後に洗浄処理を行うことが好ましい。これによりゲル状物から遊離酸を除くことができ、酸型セルロースナノファイバー分散液の保存安定性および分散性を向上させることができる。洗浄終了後に洗浄液に含まれる遊離酸量は、特に限定されないが、0.05重量%以下が好ましく、検出限界以下がより好ましい。」 ・「【0054】 工程(a3)で得られる酸型セルロースナノファイバーのカルボキシル基量およびグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、前述の酸化セルロースおよびカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基量およびカルボキシメチル置換度と同じであることが好ましい。ただし、当該カルボキシル基量は、カルボキシル基をほぼ完全に酸型にして測定した値であり、酸性化処理して得た酸型セルロースナノファイバーにおける酸型/塩型の比率を表してはいない。また、リン酸エステル化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は、前述のリン酸エステル化セルロースのリン酸基置換度と同じであることが好ましい。 【0055】 工程(a3)で得られる酸型セルロースナノファイバーは、塩型セルロースナノファイバー(本工程を経ずに(a2)工程で得られるセルロースナノファイバー)に対する置換度の比率「酸型/(酸型+塩型)」にして、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。これにより酸型セルロースナノファイバーの効果を得ることができる。」 ・「【0058】 (4)工程(b) 本工程では、ゴム成分と前記酸型セルロースナノファイバーを混合する。混合はホモミキサー、ホモジナイザー、プロペラ撹拌機等の公知の装置を用いて実施できる。混合する温度は限定されないが、室温(20~30℃)が好ましい。混合時間も適宜調整してよい。以下、混合に供される酸型セルロースナノファイバーを単にセルロースナノファイバーともいう。 【0059】 本工程における混合比率は、後述するゴム組成物としたときの比率を達成できるように調整されるが、例えばゴム成分100重量部に対してセルロースナノファイバーを0.1~100重量部とすることが好ましい。 【0060】 1)ゴム成分 ゴム成分とはゴムの原料であって架橋してゴムとなるものをいう。天然ゴム用のゴム成分および合成ゴム用のゴム成分が存在するが、本発明においてはいずれを用いてもよく、また両者を組合せてもよい。便宜上、天然ゴム用等のゴム成分を「天然ゴムポリマー」等という。 ・・・(略)・・・ これらの中でもNBRポリマー、NRポリマー、SBRポリマー、CRポリマー、BRポリマーが特に好ましい。 【0061】 ゴム成分はそのまま混合に供してもよいが、ゴム成分を分散媒に分散させた分散液(ラテックス)や溶媒に溶解した溶液にして混合に供してもよい。分散媒および溶媒(以下、まとめて「液状媒体」ともいう)としては例えば、水、有機溶媒が挙げられる。液状媒体の量は、ゴム成分100重量部に対して10~1000重量部が好ましい。 【0062】 [混合に供されるセルロースナノファイバーの形態] ゴム成分と混合されるセルロースナノファイバーの形態は特に限定されない。例えば、酸型セルロースナノファイバーの分散液、当該分散液の乾燥固形物、当該分散液の湿潤固形物を混合に供してよい。分散液におけるセルロースナノファイバーの濃度は、分散媒が水である場合は0.1~5%(w/v)とすることができる。分散媒が水の他にアルコール等の有機溶媒を含む場合は、前記濃度を0.1~20%(w/v)とすることができる。湿潤固形物とは、前記分散液と乾燥固形物との中間の態様の固形物である。前記分散液を通常の方法で脱水して得た湿潤固形物中の分散媒の量はセルロースナノファイバーに対して5~15重量%であることが好ましいが、液状媒体の追加またはさらなる乾燥により分散媒の量は適宜調整できる。 【0063】 また、セルロースナノファイバーと水溶性高分子溶液との混合液、混合液の乾燥固形物、混合液の湿潤固形物などを使用できる。当該混合液および乾燥固形物における液状媒体の量は、前述の範囲であってよい。」 ・「【0067】 (5)工程(c) 本工程では、前記混合物を100~300℃の条件下で5~600分加熱する。この加熱処理によってセルロースナノファイバーとゴム成分の親和性が向上する。親和性が向上するメカニズムは限定されないが、酸型セルロースナノファイバーの表面には、カルボキシレート基に比べて疎水性であるカルボキシル基、カルボキシメチル基、またはリン酸基等が存在し、かつ当該セルロースナノファイバーが加熱による変性を受けてさらに疎水性を帯びることによると推察される。温度が100℃未満であるとこの効果が十分に発現せず、300℃を超えるとゴム成分等が劣化する。この観点から、加熱温度の下限は105℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。加熱温度の下限は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。同様に加熱時間が5分未満であるとこの効果が十分に発現せず、600分を超えるとゴム成分等が劣化する。この観点から、加熱時間は5~300分が好ましく、10~120分がより好ましく、15~70分がさらに好ましい。 【0068】 加熱処理は例えば通風オーブン等の公知の装置を用いて行える。加熱雰囲気は、酸素存在であってもよいし不存在下であってもよい。また、加熱雰囲気の圧力は常圧(1気圧)下であることが好ましい。 【0069】 (6)乾燥工程 前述のとおり、ゴム成分を分散媒に分散させた分散液または溶媒に溶解した溶液、あるいはセルロースナノファイバーを分散媒に分散させた分散液等を用いて工程(b)を実施できる。この場合、混合物中に液状媒体が存在するので、工程(c)の前にこれを除去することが好ましい。具体的には混合物を乾燥して液状媒体を除去することが好ましい。乾燥温度は50~80℃が好ましい。乾燥時間は適宜調整してよい。乾燥後の混合物は絶乾状態でもよいが、ゴム成分とセルロースナノファイバーの合計量に対して10重量%以下の液状媒体を含んでいてもよい。また、上記以外の液状媒体を除去する方法としては、特に制限されず従来公知の方法で行うことができる。例えば、酸や塩を添加することにより混合物を凝固させ、脱水、洗浄して乾燥する方法が挙げられる。 【0070】 2.マスターバッチ 前記の方法で製造したマスターバッチは、酸型セルロースナノファイバーとゴム成分との親和性に優れる。これはセルロースナノファイバーが比較的疎水性を帯びていることに起因するが、この疎水性の度合いおよび親和性の度合いを定量的に文言で表現することは非現実的である。」 ・「【0071】 3.ゴム組成物の製造方法 架橋剤を添加して混練りすることで未架橋ゴム組成物(架橋性ゴム組成物)を製造できる。混練りとはマスターバッチ中に、架橋剤や他の配合剤を均一に分散させる工程である。混練りは公知のとおりに行ってよく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて実施できる。架橋剤としては硫黄や過酸化物が挙げられる。 ・・・(略)・・・ 【0072】 また、マスターバッチに、架橋剤とともにさらにゴム成分を加えて混練りを行い、セルロースナノファイバー濃度を希釈したゴム組成物とすることもできる。 【0073】 混練りの温度は、常温程度(15~30℃程度)でよいが、ゴム成分が架橋反応しない程度に高温に加熱してもよい。例えば温度の上限は140℃以下、より好ましくは100℃である。温度の下限は15℃以上、好ましくは20℃以上である。従って混練りの温度は、15~140℃程度が好ましく、20~100℃程度がより好ましい。 【0074】 混合終了後に、必要に応じて成形を行ってもよい。成形装置としては、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等が挙げられ、最終製品の形状、用途、成形方法に応じて適宜選択すればよい。 【0075】 架橋については、架橋反応が進む条件であれば、温度に特に制限は無いが、一般的には、混練りして得た未架橋ゴム組成物を加熱して架橋(硫黄を含む場合は加硫ともいう)すると架橋ゴム組成物が得られる。加熱温度は、140℃以上が好ましく、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。従って、加熱温度は140~200℃程度が好ましく、140~180℃程度がより好ましい。架橋には、例えば、型加硫、缶加硫、連続加硫等を行う加硫装置を使用できる。本発明のゴム組成物はセルロースナノファイバーを含まない組成物に比べて架橋反応が速やかに進行する傾向にある。この理由は限定されないが、セルロースナノファイバー中のカルボキシル基等の官能基が架橋反応を促進するためではないかと推察される。」 ・「【0077】 4.ゴム組成物 本発明のマスターバッチは、セルロースナノファイバーとゴム成分との密着性に優れるので、機械的特性に優れるゴム組成物を与える。ゴム組成物におけるセルロースナノファイバーの含有量は、ゴム成分100重量部に対して0.1~100重量部であることが好ましい。引張強度の向上の観点からは、前記含有量はゴム成分100重量部に対して1重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましく、3重量部以上がよりさらに好ましい。当該量の上限は、50重量部以下がより好ましく、40重量部以下がさらに好ましく、30重量部以下がよりさらに好ましい。当該量により製造工程における加工性を保持することができる。」 ・「【実施例】 【0079】 <実施例1> [酸化セルロースナノファイバーの製造] 1)酸化および解繊処理 針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社製)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムが消費され系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。反応混合物に水を加えて濃度を1.0重量%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。 【0080】 2)酸性化処理 当該酸化セルロースナノファイバー水分散液500gに対し、pHが2.4になるまでHClを添加し、ゲル状の凝集物を得た。これを脱水し、十分に水洗した後に、再度水を加えてミキサーで処理し、固形分濃度1重量%のスラリーを得た。このスラリーを、超高圧ホモジナイザー(処理圧140MPa)で5回処理することにより、洗浄後の酸型セルロースナノファイバー水分散液(1重量%)を得た。 【0081】 [マスターバッチの製造] 1)混合および乾燥工程 前述のとおり得た酸型セルロースナノファイバー水分散液636gと、ゴム成分としてアクリロニトリル-ブタジエンゴムポリマーラテックス(商品名:Nipol511A、日本ゼオン株式会社製、固形分濃度46%)76gを混合してゴム成分とセルロースナノファイバーとの重量比が100:20となるようにし、TKホモミキサー(8000rpm)で60分間撹拌した。この水性懸濁液を、70℃の加熱オーブン中で一晩乾燥して乾燥物を得た。 【0082】 2)加熱工程 この乾燥物を、オーブン中で、120℃にて30分加熱して、マスターバッチを製造した。 【0083】 3)加硫および成形工程 前記マスターバッチに、硫黄1.2g(ゴム成分に対し3.5重量%)、加硫促進剤(N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)0.25g(ゴム成分に対し0.7重量%)、酸化亜鉛2.1g(ゴム成分に対し6重量%)、ステアリン酸0.18g(ゴム成分に対し0.5重量%)を加え、オープンロール(関西ロール株式会社製)を用い、30℃で10分間混練して、未架橋ゴム組成物のシートを得た。 【0084】 このシートを、金型にはさみ、160℃で15分間プレス架橋することにより、厚さ約2mmの架橋ゴム組成物のシートを得た。これを所定の形状の試験片に裁断し、JISK6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に従い、補強性の一つである引張特性として、100%ひずみ時および300%ひずみ時における応力をそれぞれ測定した。各々の数値が大きい程、架橋ゴム組成物(加硫ゴム組成物)が良好に補強されており、ゴムの機械強度に優れることを示す。 ・・・(略)・・・ 【0087】 <比較例1> 前記加熱工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。 ・・・(略)・・・ これらの結果を表1に示す。 【0092】 【表1】 [図:0001388416000001.jpg] 【0093】 本発明のマスターバッチから製造されたゴム組成物は優れた機械的特性を有する。これは、酸性化処理かつ加熱処理によってセルロースナノファイバーの表面が疎水化してゴムとの親和性が向上したためと推察される。」 (4)サポート要件の判断 本件特許の発明の詳細な説明の【0001】ないし【0006】によると、本件特許発明1ないし9が解決しようとする課題は、「優れた機械的特性を有するゴム組成物を与える、ゴム成分とセルロースナノファイバーを含むマスターバッチを提供すること」(以下、「発明の課題」という。)である。 そして、「セルロース系原料に酸基またはその塩形態の基を導入して変性セルロースを得る工程」、「変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程」、「変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程」、「酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合して混合物を得る工程」、及び「混合物を、100~300℃で5~600分加熱する工程」について、それぞれ、本件特許の発明の詳細な説明の【0009】ないし【0011】、【0035】ないし【0037】、【0039】ないし【0048】、【0054】ないし【0055】、【0058】ないし【0063】、【0067】ないし【0070】に記載されており、特に、【0067】には、工程(c)の加熱処理によってセルロースナノファイバーとゴム成分の親和性が向上すること、及び親和性が向上するメカニズムは限定されないが、酸型セルロースナノファイバーの表面には、カルボキシレート基に比べて疎水性であるカルボキシル基、カルボキシメチル基、またはリン酸基等が存在し、かつセルロースナノファイバーが加熱による変性を受けてさらに疎水性を帯びることによると推察される旨の記載がある。 また、本件特許の発明の詳細な説明の【0079】ないし【0093】には、具体的な実施例が記載され、酸性化処理かつ加熱処理を実施した実施例1ないし4が、加熱処理を実施しない比較例1及び5、酸性化処理を実施しない比較例3及び4、並びに酸性化処理及び加熱処理を実施しない比較例2と比べて、架橋ゴム組成物のシートにおいて、引張特性である100%ひずみ時および300%ひずみ時における応力の数値が大きく、架橋ゴム組成物が良好に補強されており、ゴムの機械強度が優れることを確認している。 そうすると、本件特許の発明の詳細な説明の上記記載から、当業者は、(a1)セルロース系原料に酸基またはその塩形態の基を導入して変性セルロースを得る工程、(a2)当該変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程、(a3)セルロースナノファイバーを酸性化して酸型セルロースナノファイバーを得る工程、(b)当該酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合して混合物を得る工程、および(c)前記混合物を、100~300℃で5~600分加熱する工程、を含むことで、発明の課題が解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1は、発明の課題を解決できると認識する上記特定事項をすべて有するものであるから、本件特許発明1は、発明の課題を解決する、すなわちサポート要件を満たすものである。 また、本件特許発明1のすべての特定事項を含む本件特許発明2ないし9についても、本件特許発明1と同様である。 (5)特許異議申立人の主張について ア 第3 1(1)について 特許異議申立人は、所定量未満の化学変性したセルロースナノファイバーを用いた場合に、実施例と同等に、優れた機械的特性を有するゴム組成物が得られないことを、甲第1号証の実施例及び比較例における機械的特性の違いを根拠として主張するが、本件特許の発明の詳細な説明には、酸性化処理及び加熱処理によってセルロースナノファイバーとゴム成分の親和性が向上することが、そのメカニズムの推察とともに記載されており(【0067】)、【0092】の【表1】からも、実施例1ないし4が、比較例1ないし5と比べて、機械的特性が優れていることが認識できる。 イ 第3 1(2)について 特許異議申立人は、pKaが比較的大きい弱酸化合物を添加したセルロースナノファイバーを用いた場合に、実施例と同様に、優れた機械的特性を有するゴム組成物が得られないことを、甲第2号証を示しつつ主張するが、粘度が高くなるとゴム成分との相溶性が劣るとは直ちにいえない。 ウ 第3 1(3)について 特許異議申立人は、分散媒または溶媒を用いずにゴム成分とセルロース系繊維を混合した場合、ゴム成分の分散液または溶液、あるいはセルロース系繊維の分散液を用いて混合した場合と比べて、分散性が異なる場合があることなどをあげ、サポート要件を満たさない旨主張するが、それによって、優れた機械的特性を有するゴム組成物が得られないとは直ちに認めることはできない。 したがって、上記主張はいずれもその理由がない。 (6)申立理由1についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当しないので、申立理由2によっては取り消すことはできない。 2 申立理由2(実施可能要件)について (1)判断基準 本件特許発明1ないし8は、「マスターバッチの製造方法」という方法の発明である。 本件特許発明9は、「マスターバッチ」という物の発明である。 発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、物の発明にあっては、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があることを要し、方法の発明にあっては、過度の試行錯誤を要することなく、その方法を使用できる程度の記載があることを要する。 そこで、検討する。 (2)実施可能要件の判断 上記1(3)のとおり、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明1ないし8の「マスターバッチの製造方法」について、及び本件特許発明9の「マスターバッチ」について具体的に記載されており、また、本件特許発明1ないし9の実施例である実施例1ないし4についても、その製造方法を含め具体的に記載されている。 したがって、本件特許発明1ないし8について、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法を使用できる程度の記載があるといえるし、本件特許発明9について、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があるといえる。 よって、本件特許発明1ないし9に関して、発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足する。 なお、特許異議申立人は、上記第3 2(1)ないし(3)において、本件特許明細書は、当業者が実施できる程度に十分に記載されていない旨主張するが、いずれも、上記判断に影響するものではない。 (3)申立理由2についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当しないので、申立理由2によっては、取り消すことはできない。 第5 結語 上記第4のとおり、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700322

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