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特許異議申立

2023-701345

撮像装置

審判番号
2023-701345
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-196095
登録番号
7294392
請求日
2023年12月20日
審決日
2024年06月04日
公報発行日
2024年07月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ニコン
  • 【権利者代理人】藤央弁理士法人
  • 【異議申立人】東京総合コンサルティング 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 千葉 輝久
  • 審判官 木方 庸輔
  • 審判官 樫本 剛
分類
P1651.121-Y (H04N) / P1651.537-Y (H04N) / P1651.55 -Y (H04N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7294392号発明「撮像装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7294392号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7294392号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成29年10月13日に出願された特願2017-199539号の一部を、令和3年12月2日に新たに出願したものであって、令和5年6月12日にその特許権の設定登録がされ、令和5年6月20日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和5年12月20日に特許異議申立人 東京総合コンサルティング株式会社は、特許異議の申立てを行った。(この特許異議の申立てに係る特許異議申立書を、以下「本件申立書」という。) 第2 本件特許に係る発明(本件発明) 本件特許の請求項1~7に係る特許発明(以下それぞれ「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により、以下のとおりに特定されるものである。 なお、(1A)~(7B)は当審で付与した。以下各記載を「記載1A」等といい、当該記載により特定される構成をそれぞれ「構成1A」等という。 (本件発明1)【請求項1】 (1A) 被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、 (1B) 前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる複数のデータ処理部と、 (1C) 動画の記録または表示の動作中に、表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像の拡大表示状態に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する選択部と、 (1D) 前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部と、 (1E) を有する、撮像装置。 (本件発明2)【請求項2】 (2A) 請求項1に記載の撮像装置であって、 (2B) 前記選択部は、 前記複数のデータ処理部のうちいずれか1つのデータ処理部に前記画像データを出力可能に切り替える切替部と、 (2C) 前記選択部は、前記動画の記録または表示の動作中に、前記特定のデータ処理部を前記画像データの出力先に決定する決定部と、を有し、 (2D) 前記決定部によって決定された前記特定のデータ処理部が前記画像データの出力先となるように前記切替部を切り替える、 (2A)撮像装置。 (本件発明3)【請求項3】 (3A) 請求項1に記載の撮像装置であって、 (3B) 前記選択部は、 前記複数のデータ処理部のうちいずれか1つのデータ処理部に前記画像データを出力可能に切り替える切替部と、 (3C) 前記選択部は、前記動画の記録または表示の動作中に、前記特定のデータ処理部を、前記画像データの出力後に前記撮像素子から出力される次の画像データの出力先に決定する決定部と、を有し、 (3D) 前記第1状態のデータ処理部が前記画像データについてのデータ処理を終了した後に、前記決定部によって決定された前記特定のデータ処理部が前記次の画像データの出力先となるように前記切替部を切り替える、 (3A)撮像装置。 (本件発明4)【請求項4】 (4A) 請求項2または3に記載の撮像装置であって、 (4B) 前記選択部は、前記決定部によって決定された前記特定のデータ処理部が、前記第1状態のデータ処理部である場合、前記切替部を切り替えない、 (4A)撮像装置。 (本件発明5)【請求項5】 (5A) 請求項1に記載の撮像装置であって、 (5B) 前記動作制御部は、前記特定のデータ処理部に動作クロック信号を供給することにより、前記特定のデータ処理部を前記第1状態に制御し、前記他のデータ処理部に動作クロック信号を供給しないことにより、前記他のデータ処理部を前記第2状態に制御する、 (5A)撮像装置。 (本件発明6)【請求項6】 (6A) 請求項1に記載の撮像装置であって、 (6B) 前記動作制御部は、前記特定のデータ処理部に電力供給することにより、前記特定のデータ処理部を前記第1状態に制御し、前記他のデータ処理部に電力供給しないことにより、前記他のデータ処理部を前記第2状態に制御する、 (6A)撮像装置。 (本件発明7)【請求項7】 (7A) 請求項1に記載の撮像装置であって、 (7B) 前記動作制御部は、前記特定のデータ処理部への前記画像データの入力を許可することにより、前記特定のデータ処理部を前記第1状態に制御し、前記他のデータ処理部への前記画像データの信号遷移を抑止することにより、前記他のデータ処理部を前記第2状態に制御する、 (7A)撮像装置。 第3 特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立人が申し立てた申立ての理由の概要は、以下のとおりである。 [申立ての理由] ・理由1(29条2項、甲1) 特許異議申立人は、主たる証拠として甲第1号証、及び、従たる証拠として甲第2号証~甲第4号証を提出し、請求項1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号により取り消すべきものである。 ・理由2(29条2項、甲2) 特許異議申立人は、主たる証拠として甲第2号証、並びに、従たる証拠として甲第1号証及び甲第3号証を提出し、請求項1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号により取り消すべきものである。 ・理由3(17条の2第3項) 特許異議申立人は、令和4年11月4日にされた補正、及び、令和5年3月20日にされた補正は、新規事項の追加であるから、請求項1~7に係る特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてなされたものであるから、同法113条1号により取り消すべきものである。 ・理由4(36条6項2号) 特許異議申立人は、本件特許の請求項1の記載が明確でないから、請求項1~7に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号により取り消すべきものである。 ・理由5(36条6項1号) 特許異議申立人は、本件特許の請求項1の記載が明細書に記載されていないから、請求項1~7に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号により取り消すべきものである。 (証拠) 甲第1号証 特開2016-76760号公報 甲第2号証 特開2014-96749号公報 甲第3号証 特開2015-179910号公報 甲第4号証 特開2016-63322号公報 (甲第1号証~甲第4号証を以下それぞれ「甲1」等という。) 第4 当審の判断 1 理由4(明確性要件違反)について 特許異議申立人は、本件申立書において申立ての理由の理由4として、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号により取り消すべきものである旨主張している。 また、その具体的な理由については、本件申立書の「第3」の5(5)イにおいて、(ア)~(イ)の2点を主張している。当該2点について以下の(1)~(2)において検討する。 (1)本件申立書の「第3」の5(5)イ(ア)について ア 本件申立書の98頁に記載された特許異議申立人の当該「(ア)」の主張は、以下とおりである。なお、下線は当審にて強調のために付した。 「(ア) 本件明細書の記載は、上記理由3ウ(当審注:本件申立書の理由3ウでは、以下に記載する本件特許明細書の段落【0038】【0039】【0040】【0093】を摘記している。)のとおりである。 そうすると、本件特許請求の範囲の請求項1(当審注:構成1D)に記載された「第1状態」とは、特定のデータ処理部が動作している状態のことなのか、動作可能な状態、すなわち、明細書に記載された「実行可能な状態」のことなのか、明確でない。 同じく、本件特許請求の範囲の請求項1(当審注:構成1D)に記載された「第2状態」とは、特定のデータ処理部が動作していない状態のことなのか、動作不可能な状態、すなわち、明細書に記載された「実行不可能な状態」のことなのか、明確でない。」 イ 上記アで示した、特許異議申立人の(ア)の主張に関して、本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)には、以下のとおりの記載がある。なお、下線は、本件申立書に記載されているとおりである。 「【0038】 動作制御部206は、選択部202によって選択された特定のデータ処理部を活性化状態に制御し、複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を非活性化状態に制御する。上記の例では、特定のデータ処理部が第2デモザイク処理部204であるため、第2デモザイク処理部204が活性化状態となり、他のデータ処理部である第1デモザイク処理部203が非活性化状態となる。 【0039】 図3は、活性化状態および非活性化状態の一例を示す説明図である。図3では、第1デモザイク処理部203を例に挙げて説明するが、第2デモザイク処理部204も同様である。活性化状態とは、画像データが与えられることでデモザイク処理が実行可能な状態であり、具体的には、たとえば、電力が供給されている状態(電力供給ON)、クロック信号が供給されている状態(クロック信号ON)、または、画像データのデータ信号が抑止されていない状態、すなわち、抑止制御信号を供給しない状態(抑止制御信号OFF)である。 【0040】 一方、非活性化状態とは、画像データが与えられてもデモザイク処理が実行不可能な状態であり、具体的には、たとえば、電力が供給されていない状態(電力供給OFF)、クロック信号が供給されていない状態(クロック信号OFF)、または、画像データのデータ信号が抑止されている状態、すなわち、抑止制御信号を供給する状態(抑止制御信号ON)である。」 「【0093】 そして、画像処理部128は、動作制御部206内の信号制御部262により、特定のデモザイク処理部へのクロック信号の供給を開始し(ステップS607)、特定のデモザイク処理部以外の他のデモザイク処理部(たとえば、第1デモザイク処理部203)へのクロック信号の供給を停止し(ステップS608)、特定のデモザイク処理部によりデモザイク処理を実行する(ステップS609)。これにより、他のデモザイク処理部がデモザイク処理を実行する場合に比べて、消費電力の低下を図ることができる。」 ウ 上記アで示した「(ア)」において明確でないと主張された点について、当審にて判断する。 本件発明1の記載1Dには「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」と記載されている。 一方で、本願の明細書に記載された発明の実施形態は、段落【0038】~【0040】及び【0093】によれば、「動作制御部206は、選択部202によって選択された特定のデータ処理部を活性化状態に制御し、複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を非活性化状態に制御」し、「活性化状態とは、画像データが与えられることでデモザイク処理が実行可能な状態であり」、「非活性化状態とは、画像データが与えられてもデモザイク処理が実行不可能な状態であり」、「画像処理部128は、動作制御部206内の信号制御部262により、特定のデモザイク処理部へのクロック信号の供給を開始し」、「特定のデモザイク処理部以外の他のデモザイク処理部」「へのクロック信号の供給を停止」することにより、「他のデモザイク処理部がデモザイク処理を実行する場合に比べて、消費電力の低下を図ることができる」ものである。 そうすると、本件発明の「特定のデータ処理部が動作する第1状態」、「前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態」は、それぞれ明細書の「画像データが与えられることでデモザイク処理が実行可能な状態」、「画像データが与えられてもデモザイク処理が実行不可能な状態」を意味した記載であると認められる。 したがって、本件発明1の記載1Dの「第1状態」、「第2状態」という用語の技術的な意味は明確であり、本件特許の請求項1の発明は明確である。 エ 上記アで示した「(ア)」の特許異議申立人の主張について検討する。 上記ウで示したとおり、本件発明1の記載1Dにおける「第1状態」、「第2状態」は、それぞれ、「実行可能な状態」、「実行不可能な状態」であるから、「第1状態」、「第2状態」という用語の技術的な意味は明確であり、本件発明1は、明確である。 (2)本件申立書の「第3」の5(5)イ(イ)について ア 本件申立書の98~99頁に記載された特許異議申立人の当該「(イ)」の主張は、以下とおりである。なお、下線は、当審にて強調のために付した。 「(イ) 本件発明1の「特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御」することは、制御対象が何なのか不明である。すなわち、「撮像装置」(当審注:以下「制御対象1」という。)自体を「第1状態」に制御することを意味するとも考えられるし、「特定のデータ処理部」(当審注:以下「制御対象2」という。)を「第1状態」に制御することを意味するとも考えられるから、制御対象が不明である(当審注:以下「主張イ-1」という。)。 また、「撮像装置」自体を「第1状態」に制御することを意味する場合、「第1状態」が「他のデータ処理部を動作しない第2状態」と同じ状態を意味するのか、動作制御部が、撮像装置を第1状態と第2状態の2つの異なる状態に制御することを意味するのか不明である(当審注:以下「主張イ-2」という。)。」 イ 上記アで示した「(イ)」において明確でないと主張された点について、当審にて判断する。 本件発明1の記載1Dには「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」と記載されている。 まず、上記アで示した、主張イ-1について判断する。 本件発明1の記載1Dには「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」と記載されている。 この記載は、その末尾の記載から、記載1Dは、「動作制御部」の動作について記載しているものである。 そして、「…第1状態に制御し、…第2状態に制御する動作制御部」と記載されているから、「動作制御部」は、第1状態に制御し、第2状態に制御するものである。さらに、「第1状態に制御する」とは、「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する」状態に制御することであり、「第2状態に制御する」とは、「前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない」状態に制御することである。 ここで、上記ウで示したとおり、本件発明の「特定のデータ処理部が動作する第1状態」、「前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態」は、それぞれ明細書の「画像データが与えられることでデモザイク処理が実行可能な状態」、「画像データが与えられてもデモザイク処理が実行不可能な状態」を意味した記載と認められる。 そうすると、本件発明1の記載1Dは、「動作制御部」が、「活性化状態」、「非活性化状態」に制御する構成を示していることは、明確である。 なお、記載1Dは、請求項1に係る発明が、動作制御部によって、対象を特定の状態にする制御を行う発明であることを特定する記載である。そして、その状態にするために、動作制御部が、何を対象とし、当該対象に何を行うことによって、対象を特定の状態にするのかについては、記載がない(発明を特定する記載はない)。 つまり、記載1Dは、動作制御部が、対象を特定の状態にする制御を行うことを特定する記載であり、何を対象とし、当該対象に何を行うかを特定する記載ではない。 ウ 上記アで示した「(イ)」の特許異議申立人の主張について検討する。 特許異議申立人は、本件申立書において、上述のとおり、本件発明1の記載によれば、本件発明1の動作制御部は、第1状態に制御する制御対象が「撮像装置」(制御対象1)であるのか、「特定のデータ処理部」(制御対象2)であるのかが不明確であると主張している。 しかし、本件特許の請求項1の記載1Dは、上記イで述べたとおり、何を対象とし、当該対象に何を行うかを特定する記載ではなく、対象を特定の状態にする制御を行うことを特定するものである。 そして、この記載1Dによって特定される構成1Dが不明確とは言えないものである。 よって、本件発明1の構成1Dは明確であり、本件発明1に係る発明は明確である。 (3)理由4(明確性要件違反)についてのまとめ 上記(1)~(2)のとおり、本件発明1は、明確である。そして、請求項1を引用する本件発明2~7も同様に明確である。 よって、本件特許に係る発明は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしており、同法113条4号の規定により取り消すべきものとは認められない。 2 理由3(補正要件違反)について 特許異議申立人は、本件申立書において申立ての理由の理由3として、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、同法113条1号により取り消すべきものである旨主張している。 また、その具体的な理由については、本件申立書の「第3」の5(4)(本件申立書94~97頁)において、以下のとおり主張している。 「ア 補正後の請求項1 補正1(令和4年11月4日付け手続補正書による補正)及び補正2(令和5年3月20日付け手続補正書による補正)により補正された特許請求の範囲の請求項1は、次の通りである。(当審注:後略) 【請求項1】 (当審注:前略) 前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部と、 (当審注:後略。この請求項1の記載は、補正1の前の記載である。) イ 補正前の特許請求の範囲の請求項1 【請求項1】 (当審注:前略) 前記選択部によって選択された特定のデータ処理部を活性化状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を非活性化状態に制御する動作制御部と、 (当審注:後略。この請求項1の記載は、補正1の後の記載であり、補正2の後の記載でもある。) ウ 当初明細書の記載 (当審注:記載省略。本件特許に係る出願の当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における段落【0038】~【0040】及び【0093】には、上記1(1)で示した記載と同じ記載がある。) エ 検討 補正1前の請求項1の「特定のデータ処理部を活性化状態に制御する」とは、特定のデータ処理部を実行可能な状態に制御することを意味するのに対し、手続補正2後(当審注:「手続補正2後」は、「補正1後及び補正2後」の誤記と認められる。)の請求項1の「特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御する」は、撮像装置において、特定のデータ処理部が動作している状態に制御することを意味する。 同じく、手続補正1前の請求項1の「前記特定のデータ処理部以外のデータ処理部を非活性化状態に制御する」とは、特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を実行可能な状態に制御することを意味するのに対し、補正後(当審注:「補正後」は、「補正1後及び補正2後」の誤記と認められる。)の請求項1の「前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部が動作しない第2状態に制御する」は、撮像装置において、特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部が動作していない状態に制御することを意味する。 したがって、当初明細書等には、特定のデータ処理部を活性化状態に、特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を非活性化状態に制御することは記載されているが、「活性化状態」(実行可能な状態)と「動作する状態」(実行している状態)とは異なるものであるから、「特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し」、「他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する」とする補正は、当初明細書等には記載も示唆もされておらず、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術事項を導入するものである。 よって、補正1及び補正2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 したがって、補正後の請求項1、及び請求項1を直接又は間接的に引用して記載した請求項2~7は、新規事項を含むものである。 オ 小括 本件請求項1~7に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであるから、取り消されるべきである。」 (1)補正1及び補正2に対する、特許法17条の2第3項に規定する要件についての当審の判断 補正1は、当初特許請求の範囲の請求項1について、記載1Dを補正して、「活性化状態」を「動作する第1状態」に置き換え、「非活性化状態」を「動作しない第2状態」に書き改めたものである。そして、請求項1に係る補正2は、補正1による補正を維持するものである。 ここで、本件特許に係る出願の当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件当初明細書等」という。)における段落【0038】~【0040】及び【0093】には、上記1(1)で示した記載と同じ記載がある。 そして、上記1(1)で述べたとおり、本件発明1の記載1Dにおける「第1状態」、「第2状態」は、それぞれ明細書の段落【0038】における「活性化状態」、「非活性化状態」であると認められる。 そうすると、本件発明1の記載1Dによる構成1Dは、本件当初明細書等の段落【0038】に基づく構成であると認められる。 よって、本件出願に対する令和4年11月4日付け手続補正書及び令和5年3月20日付け手続補正書による補正は、いずれも当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)特許異議申立人の理由3に係る主張について 特許異議申立人は、本件申立書の理由3において、記載1Dは、「「動作する状態」(実行している状態)は、「活性化状態」(実行可能な状態)とは異なるものである」として、当初明細書等に記載も示唆もないから、記載1Dを含む本件発明1~7は、新たな技術的事項を導入するものであると主張している。 しかし、上記1(1)で述べたとおり、本件発明1の記載1Dにおける「第1状態」、「第2状態」は、それぞれ本件明細書の段落【0038】の「活性状態」、「非活性状態」のことであると認められるから、補正1及び補正2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、記載1Dを含む請求項2~7についても、同様に、補正1及び補正2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)理由3(補正要件違反)についてのまとめ 上記(1)~(2)のとおりであるから、本件特許に係る令和4年11月4日付け手続補正書による補正1、及び令和5年3月20日付け手続補正書による補正2は、いずれも願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす補正をした特許出願に対してされたものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法113条1号の規定により取り消すべきものとは認められない。 3 理由5(サポート要件違反)について 特許異議申立人は、本件申立書において申立ての理由の理由5として、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号により取り消すべきものである旨主張している。 また、その具体的な理由については、本件申立書の「第3」の5(6)イ~ウ(本件申立書99~100頁)において、以下のとおり主張している。 「イ 検討 上記(5)理由4(当審注:「(5)理由4」は「(4)理由3」の誤記と認める。)のとおり、本件明細書には、特定のデータ処理部を活性化状態に、特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を非活性化状態に制御することは記載されているが、「活性化状態」(実行可能な状態)と「動作する状態」(実行している状態)とは異なるものであるから、本件発明1の「動作制御部」が「「特定のデータ処理部が動作する第1状態」に制御し、「他のデータ処理部を動作しない第2状態」に制御することは、明細書に記載されていないし、示唆もされていない。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではない。また、請求項1を直接又は間接的に引用して記載した請求項2~7も、発明の詳細な説明に記載したものではない。 よって、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 ウ 小括 以上のとおり、本件請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、取り消されるべきである。」 (1)特許法36条6項1号に規定する要件についての当審の判断 特許異議申立人は、本件発明1の構成1Dについて「「動作する状態」(実行している状態)と「活性化状態」(実行可能な状態)とは異なるものである」として、本件特許の明細書、特許請求の範囲または図面に記載も示唆もないから、構成1Dを含む本件発明1~7は、発明の詳細な説明に記載したものではない旨を主張している。 一方で、本件特許の明細書から、上記2(理由3について)でも述べたとおり、本件特許の請求項1に係る発明における「動作する第1状態」は、(特許異議申立人が定義した「実行可能な状態」及び「実行している状態」がどのような状態を示すのかに関わらず、)明確であり、本件特許の明細書に記載された範囲内のものであると認められる。 そして、データ処理部を各状態に制御することで、本件特許発明の課題である「消費電力を低減する」(【0002】等参照。)を達成する発明であることは、当業者にとって明らかである。 よって、本件発明1~7に係る特許は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしており、同法113条4号の規定により取り消すべきものとは認められない。 (2)特許異議申立人の理由5に係る主張について 特許異議申立人は本件申立書において、理由5の具体的な理由について、理由5(上記1の(1)ア及び(2)ア)で主張したとおり本件発明1の構成1Dは明確でないから、とおり本件発明1の構成1Dは明細書に記載されていない旨を主張している。 しかし、上記1の(1)エ及び(2)ウのとおり、本件発明1の構成1Dは明確であり、本件発明1に係る発明は明確であるから、上記(1)で述べたとおり、本件発明1~7は、発明の詳細な説明に記載したものである。 (3)理由5(サポート要件違反)についてのまとめ 上記(1)~(2)のとおりであるから、件発明1~7に係る特許は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。同法113条4号の規定により取り消すべきものとは認められない。 したがって、本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。同法113条4号の規定により取り消すべきものとは認められない。 4 理由1(29条2項、甲1)について 特許異議申立人は、本件申立書において申立ての理由として「理由1 特許法第29条第2項(甲1発明を主引用発明)」を主張している。以下、甲1に基づいた進歩性について検討する。 (1)甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明 ア 甲1の記載事項と甲1に記載された発明 (ア)甲1の記載事項 甲1には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画像処理装置および撮像装置に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来技術では、クロック周波数や電力供給の制御を全ての画像処理回路で一律に行うため、一部の画像処理回路で画像処理を行う場合には、画像処理を行わない他の画像処理回路においてもクロック周波数や電力が供給されてしまい、画像処理装置全体の省電力化を有効に図ることができない場合があった。」 「【発明を実施するための形態】 【0009】 以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下においては、本実施形態に係る画像処理装置を搭載した一眼レフデジタルカメラ1を例示して説明する。」 「【0013】 絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラ本体100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240へ送信されることにより行われる。なお、絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。」 「【0021】 撮像素子110は、カメラ本体100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配置されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成することができる。撮像素子110で光電変換された画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。」 「【0025】 カメラ制御部170は、撮影画像情報の補正、レンズ鏡筒200の焦点調節状態の検出、および絞り調節状態の検出など、カメラ1全体の制御を司る。また、カメラ制御部170は画像処理装置10を備えており、画像処理装置10は、撮像素子110から読み出した画像データに対して所定の画像処理を行い、画像処理を行った画像データを図示しない記憶装置に記憶する。 【0026】 図2は、本実施形態に係る画像処理装置10の構成を示す概略図である。画像処理装置10は、図2に示すように、複数の画像処理部201,202と画像処理用メモリ30とを備えている。なお、図2に示す例では、2つの画像処理部201,202と1つの画像処理用メモリ20とを図示しているが、画像処理部201,202および画像処理用メモリ30の数は、特に限定されない。なお、画像処理部201,202は同一の構成を有するため、以下においては、画像処理部202を例示して、画像処理部について説明する。 【0027】 画像処理部202は、図2に示すように、複数の画像処理回路401~409から構成されている。なお、図2に示す例では画像処理部202が9つの画像処理回路401~409を備える構成を例示しているが、画像処理回路401~409の数は、特に限定されない。」 「【0029】 画像処理回路40iは、様々なビット数(ビット精度)の画像データを処理する機能を有するように、様々なビット数の画像データに対応する複数のデータ処理回路を備えている。たとえば、図3に示す例において画像処理回路40iは、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501と、12ビットの画像データに対応するデータ処理回路502と、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503とを備えている。 【0030】 また、データ処理回路501~503は並列に接続されており、画像処理回路40iは、データ処理に用いるデータ処理回路501~503を選択し、選択したデータ処理回路を用いてデータ処理を行うことができる。たとえば画像処理回路40iは、画像処理に用いる1つのデータ処理回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるデータ処理回路を動作させるとともに、画像処理に用いないデータ処理回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないデータ処理回路の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いないデータ処理回路における電力消費量を低減することができる。 【0031】 なお、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、消費電力量は最も小さくなり、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる。そのため、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減することができる。 【0032】 また、画像処理回路40iは、図3に示すように、画像データのフィルタ処理機能を有するフィルタ回路601~603を備えている。たとえば、(後略) 【0033】 また、各フィルタ回路601~603は並列に接続されており、画像処理回路40iは、フィルタ処理に用いるフィルタ回路601~603を選択し、選択したフィルタ回路を用いてフィルタ処理を行うことができる。たとえば、画像処理回路40iは、画像処理に用いるフィルタ回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるフィルタ回路を動作させるとともに、画像処理に用いないフィルタ回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないフィルタ回路の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いないフィルタ回路における電力消費量を低減することができる。 【0034】 なお、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いてフィルタ処理を行う場合は、電力消費量は最も小さくなり、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いてフィルタ処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる。そのため、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いて画像処理を行う場合には、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減させることができる。」 「【0041】 本実施形態において、画像処理装置10は、バイパス90iのオン/オフを制御することで、画像処理列80iを構成する画像処理回路40iの中から、画像処理に用いる画像処理回路40iを選択することができる。たとえば、(後略)」 「【0044】 また、本実施形態において、画像処理装置10は、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードに基づいて、各画像処理回路40iの動作を制御する。具体的には、画像処理装置10は、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードの情報を、カメラ制御部170から取得する。そして、画像処理装置10は、取得した撮影モードに基づいて、8ビット、12ビット、または14ビットに対する3つのデータ処理回路501~503の中から画像処理に用いるデータ処理回路を選択し、3×3画素、5×5画素、10×10画素のフィルタサイズに対する3つのフィルタ回路601~603の中から画像処理に用いるフィルタ回路を選択し、さらには、buff0~buff2の3つのバッファ回路701~703の中らから画像処理に用いるバッファ回路を選択する。さらに、画像処理装置10は、取得した撮影モードに基づいて、画像処理に用いる画像処理列801~803や、画像処理列801~803の中で画像処理に用いる画像処理回路401~409を選択する。以下に各撮影モードにおける画像処理回路40iの動作について説明する。」 「【0046】 静止画撮影モードにおいては、サイズが大きく高画質な画像の画像処理が要求される場合があり、さらに、連写撮影時には高フレームレートでの画像処理が要求される場合がある。このように、静止画撮影モードにおいては、画像処理において画像処理負荷が高くなる場合があり、そのため、高い画像処理能力が実現されるように、画像処理回路40iを動作させることが好ましい。」 「【0050】 このように、静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、サイズが大きく、高画質な画像を、高いフレームレートで処理できるように、電力消費量の抑制よりも画像処理能力を優先して、画像処理回路40iの動作を制御する。」 「【0052】 動画撮影モードにおいては、サイズおよび画質が中程度の画像の画像処理が要求される傾向にある。また、動画撮影のため、中程度のフレームレートでの画像処理が要求される傾向にある。すなわち、動画撮影モードにおいては、静止画撮影モードよりも高い画像処理能力は必要とされないが、後述する画像再生モードまたはライブビューモードよりも高い画像処理能力が必要とされる傾向にある。」 「【0058】 画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、処理対象の画像のサイズは小さく、画質も低い傾向にあり、また、フレームレートも低い傾向にある。そのため、画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、他の撮影モードと比べて、高い画像処理能力は必要とされない傾向にある。 【0059】 そこで、画像再生モードまたはライブビューモードにおいて、画像処理装置10は、たとえば図8に示すように、画像処理回路40iに、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行わせるとともに、buff0~buff2の3つのバッファ回路701~703うち1つのバッファ回路701を用いて画像処理を行わせることができる。さらに、画像処理装置10は、画像データに対するフィルタ処理を行う場合に、たとえば、画像処理回路40iに、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行わせることができる。」 「【図2】本実施形態に係る画像処理装置の構成を示す概要図 [図:0001412302000001.jpg] 」 「【図3】画像処理回路の詳細を示す概略図 [図:0001412302000002.jpg] 」 (イ)甲1に記載された発明(甲1発明) 上記(ア)より、甲1には以下の事項が記載されているといえる。 a 上記(ア)によれば、甲1の【発明が解決しようとする課題】における段落【0004】には「一部の画像処理回路で画像処理を行う場合には、画像処理を行わない他の画像処理回路においてもクロック周波数や電力が供給されてしまい、画像処理装置全体の省電力化を有効に図ることができない」と記載されている。 そうすると、甲1には以下の構成1aが記載されているといえる。 (1a)省電力化を図る撮像装置。 b 上記(ア)によれば、甲1に記載された「撮像装置」(【0001】)は、「画像処理装置を搭載した一眼レフデジタルカメラ1」(【0009】)である。 そして、「カメラ本体100に備えられた撮像素子110」(【0013】[W1])において、「撮像素子110」は、「被写体からの光束」について、「撮像素子110で光電変換された画像信号」(【0021】)とするものである。また、「撮像素子110から読み出した画像データ」(【0025】)との記載がある。 そうすると、甲1には以下の構成1a、1bが記載されているといえる。 (1b)被写体からの光束を光電変換により画像データとして生成する撮像素子 (1a)を備える撮像装置。 c 上記(ア)によれば、甲1に記載された「画像処理装置10は、撮像素子110から読み出した画像データに対して所定の画像処理を行」う(【0025】)ものであり、「画像処理装置10は、」「複数の画像処理部201,202」「を備えている」(【0026】)。 また、「画像処理部202は、」「複数の画像処理回路401~409から構成され(【0027】[W2])、「画像処理回路40iは、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501と、12ビットの画像データに対応するデータ処理回路502と、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503とを備えている」(【0029】)。 そして、「8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、消費電力量は最も小さくなり、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる」、「8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減する」(【0031】)ものである。 さらに、「画像処理回路40iは、」「画像データのフィルタ処理機能を有するフィルタ回路601~603を備え」(【0032】)、「画像処理回路40iは、フィルタ処理に用いるフィルタ回路601~603を選択し、選択したフィルタ回路を用いてフィルタ処理を行」う(【0033】)ものであり、「3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いてフィルタ処理を行う場合は、電力消費量は最も小さくなり、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いてフィルタ処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる。そのため、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いて画像処理を行う場合には、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減させる」(【0034】)ものである。 そうすると、甲1には以下の構成1a、1cが記載されているといえる。 (1c)前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる、画像データをビット数に対応した複数のデータ処理回路501~503、及び、フィルタサイズに対応した複数のフィルタ回路601~603 (1a)を備える撮像装置。 d 上記(ア)によれば、甲1に記載された「画像処理装置10は、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードに基づいて、各画像処理回路40iの動作を制御」し、「取得した撮影モードに基づいて、8ビット、12ビット、または14ビットに対する3つのデータ処理回路501~503の中から画像処理に用いるデータ処理回路を選択し、3×3画素、5×5画素、10×10画素のフィルタサイズに対する3つのフィルタ回路601~603の中から画像処理に用いるフィルタ回路を選択し」(【0044】)、「静止画撮影モードにおいては、サイズが大きく高画質な画像の画像処理が要求され」、「連写撮影時には高フレームレートでの画像処理が要求され」(【0046】)、「静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、サイズが大きく、高画質な画像を、高いフレームレートで処理できるように、電力消費量の抑制よりも画像処理能力を優先して、画像処理回路40iの動作を制御」し(【0050】)、「動画撮影モードにおいては、サイズおよび画質が中程度の画像の画像処理が要求され」、「動画撮影のため、中程度のフレームレートでの画像処理が要求され」、「すなわち、動画撮影モードにおいては、静止画撮影モードよりも高い画像処理能力は必要とされないが、後述する画像再生モードまたはライブビューモードよりも高い画像処理能力が必要とされる」(【0052】)。 一方で、「画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、処理対象の画像のサイズは小さく、画質も低い傾向にあり、また、フレームレートも低い傾向にある」から、「画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、他の撮影モードと比べて、高い画像処理能力は必要とされない」(【0058】)ものであり、「画像再生モードまたはライブビューモードにおいて、画像処理装置10は、」「画像処理回路40iに、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行わせ」、「画像処理装置10は、」「画像処理回路40iに、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行わせる」(【0059】)ものである。 そうすると、甲1には以下の構成1a、1dが記載されているといえる。 (1d)静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードに基づいて、データ処理回路501~503及びフィルタ回路601~603から、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、ライブビューモードの順に、より小さいビット数に対応したデータ処理回路50及びフィルタ回路60を選択して画像処理を行うように制御する、画像処理装置10 (1a)を備える撮像装置。 e 上記(ア)によれば、甲1に記載された「画像処理回路40iは、画像処理に用いる1つのデータ処理回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるデータ処理回路を動作させるとともに、画像処理に用いないデータ処理回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないデータ処理回路の動作を抑制する」(【0030】)ものであり、「画像処理に用いるフィルタ回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるフィルタ回路を動作させるとともに、画像処理に用いないフィルタ回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないフィルタ回路の動作を抑制する」(【0033】)ものである。 そうすると、甲1には以下の構成1a、1eが記載されているといえる。 (1e)所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるデータ処理回路50及びフィルタ回路60に対して、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないフィルタ回路の動作を抑制する、画像処理回路40 (1a)を備える撮像装置。 f 上記(ア)によれば、甲1に記載された「画像処理装置10は、バイパス90iのオン/オフを制御することで、画像処理列80iを構成する画像処理回路40iの中から、画像処理に用いる画像処理回路40iを選択する」(【0041】[W3])ものである。 そうすると、甲1には以下の構成1fが記載されているといえる。 (1f)画像処理装置10は、バイパス90のオン/オフを制御することで、画像処理列80を構成する画像処理回路40の中から、画像処理に用いる画像処理回路40を選択する。 g 上記a~fによれば、甲1には、構成1a~1fからなる、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) (1a)省電力化を図る撮像装置であって、 (1b)被写体からの光束を光電変換により画像データとして生成する撮像素子と、 (1c)前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる、画像データをビット数に対応した複数のデータ処理回路501~503、及び、フィルタサイズに対応した複数のフィルタ回路601~603と、 (1d)静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードに基づいて、データ処理回路501~503及びフィルタ回路601~603から、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、ライブビューモードの順に、より小さいビット数に対応したデータ処理回路50及びフィルタ回路60を選択して画像処理を行うように制御する、画像処理装置10と、 (1e)所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるデータ処理回路50及びフィルタ回路60に対して、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないフィルタ回路の動作を抑制する、画像処理回路40と、を備え、 (1f)前記画像処理装置10は、バイパス90のオン/オフを制御することで、画像処理列80を構成する画像処理回路40の中から、画像処理に用いる画像処理回路40を選択する (1e)撮像装置。 イ 甲2の記載事項と甲2に記載された技術 (ア)甲2の記載事項 甲2には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】(略) 【0006】 本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、本線系の画像信号に影響を及ぼすことなく、フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させることを目的とする。」 「【発明を実施するための形態】 【0012】(略) 【0013】 <1.撮像装置の構成例> 図1は、本実施の形態例による撮像装置100の構成を示すブロック図である。撮像装置100は、フォーカスレンズやズームレンズ等を含むレンズ1と、撮像素子2と、信号処理回路3とを備える。レンズ1には、不図示のシャッタ、アイリス等が含まれており、被写体光を撮像素子2の撮像領域(図示略)に結像させる。また、レンズ1には、各種レンズの光軸方向における位置を移動させるレンズ駆動部(図示略)が含まれる。レンズ1は、撮像装置100の使用環境によって適宜取り替え可能である。 【0014】 撮像素子2は、レンズ1を通してその撮像領域に結像された被写体光を光電変換して、画像信号を生成する。(後略) 【0015】 信号処理回路3は、撮像素子2で得られた画像信号に所定の信号処理を施す。(後略)」 「【0017】 また、撮像装置100は、ビューファインダ9と、LCD10とを備える。ビューファインダ9は、例えば液晶ディスプレイで構成され、撮像素子2で撮像された画像が表示される。ビューファインダ9の表示解像度(表示画素数)は、例えば1K(1024×540画素)であるものとする。LCD10は、例えば液晶ディスプレイで構成され、撮影に関する設定項目や、撮像素子2で撮像された画像が表示される。 【0018】 次に、同じく図1を参照して、信号処理回路3の詳細について説明する。信号処理回路3には、補正部31と、色分離部32と、第1の現像部33と、解像度変換部34と、第2の現像部35と、表示処理部としてのズーム表示処理部36とが含まれる。 【0019】 補正部31は、撮像素子2で得られた画像信号に、欠陥補正やシェーディング補正、ホワイトバランス処理等の各種補正処理を施す。色分離部32は、補正部31で補正が施された画像信号に対して色分離処理を行い、RGB信号を生成する。第1の現像部33は、色分離部32で生成されたRGB信号にガンマ補正や輪郭補正、ホワイトバランス調整等を行い、これらの調整が行われたRGB信号をYC信号に変換して画像データ(第1の画像データ)を生成する。第1の画像データの解像度は、撮像素子2で得られた画像信号が有する解像度と同じ4Kとなる。 【0020】 解像度変換部34は、色分離部32で生成されたRGB信号の解像度を変換する。例えば、4Kを2K(2048×1080画素:第2の解像度)に変換する。解像度を4Kから2Kに変換する処理は、例えば、信号処理回路3の各部間でやりとりされるデータの経路である、バス42の帯域を節約する目的で行われる。第2の現像部35は、解像度変換部34で解像度が2Kに変換されたRGB信号をYC信号に変換して画像データを生成する。 【0021】 ズーム表示処理部36は、第1の現像部33で現像された4Kの画像データP1、又は第2の現像部35で生成された2Kの画像データP2を用いて、後述するビューファインダ9に表示させる表示用画像を生成する。」 「【0024】 <2.ズーム表示処理部の構成例> 次に、図2及び図3を参照して、ズーム表示処理部36の構成例について説明する。ズーム表示処理部36とは、図2に示すように、4Kの画像データP1又は2Kの画像データP2による画像の画サイズを拡大又は縮小することにより、ビューファインダ9(図1参照)に表示させるための表示用画像P3を生成する処理を行うものである。表示用画像P3の解像度は、ビューファインダ9の表示解像度である1Kとなる。 【0025】 図3は、ズーム表示処理部36の構成例を示すブロック図である。ズーム表示処理部36は、選択部36aと、切り出し処理部36bと、解像度調整部36cと、制御部36dとよりなる。 【0026】 選択部36aは、第1の現像部33から出力される4Kの画像データP1と、第2の現像部35から出力される2Kの画像データP2のうち、いずれか一方を選択して出力するセレクタである。(後略) 【0027】 制御部36dは、操作部5(図1参照)を介してユーザより入力されるズーム倍率に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号を、選択部36aと、切り出し処理部36bと、解像度調整部36cに供給する。(後略) 【0028】 <3.ズーム表示処理部の処理の例>(後略) 【0029】 ズーム倍率が、1倍から第1の倍率である2倍までの間は、選択部36aでは2Kの画像データP2が選択され、切り出し処理部36bによって、画像データP2による画像から所定の領域をトリミングする処理が行われる。また、解像度調整部36cでは、切り出し画像のサイズを縮小して、ビューファインダ9に表示させるための表示用画像P3を生成する処理が行われる。切り出し画像のサイズの縮小は、例えば、切り出し画像の画素数を間引くことにより行う。」 「【0033】 ズーム倍率が1.5倍の時には、図5Bに示すように、拡大表示されるべき領域が切り出し処理部36bによって切り出されて、切り出し画像Pcが生成される。ズーム倍率が1.5倍のときには、2Kの画像データP2から生成された切り出し画像Pcのサイズは、ビューファインダ9の表示解像度である1Kよりも大きい。このため、解像度調整部36cでは、切り出し画像Pcのサイズを縮小することにより、ビューファインダ9に表示させるための表示用画像P3が生成される。」 「【0035】 そして、ズーム倍率が2倍を超えた時点で、選択部36aで選択される画像データは、2Kの画像データP2から4Kの画像データP1に切り替えられる。ズーム倍率が2倍から4倍までの間は、図6Aに示すように、拡大表示されるべき領域が切り出し処理部36bによって切り出されて、切り出し画像Pcが生成される。図6Aに示した切り出し画像Pcのサイズは、図5Cに示した切り出し画像Pcのサイズと同一となる。」 「【図1】撮像装置の構成例を示すブロック図 [図:0001412302000003.jpg] 」 「【図2】ズーム表示処理部による処理の例を説明する説明図 [図:0001412302000004.jpg] 」 「【図3】ズーム表示処理部の構成例を示すブロック図 [図:0001412302000005.jpg] 」 (イ)甲2に記載された技術(甲2技術) 上記(ア)より、甲2には以下の事項が記載されているといえる。 a 上記(ア)によれば、甲2の【発明が解決しようとする課題】における段落【0006】には「フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させることを目的とする」と記載されている。 そうすると、甲2には以下の構成2aが記載されているといえる。 (2a)フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させる撮像装置。 b 上記(ア)によれば、甲2に記載された「撮像装置」は、「撮像素子」「を備え」(【0013】)、「撮像素子」が、「被写体光を撮像素子2の撮像領域(図示略)に結像させ」(【0013】)、「撮像素子2」が、「撮像領域に結像された被写体光を光電変換して、画像信号を生成する」(【0014】)ものである。 そうすると、甲2には以下の構成2a、2bが記載されているといえる。 (2a)被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像素子 (2b)を備える、撮像装置。 c 上記(ア)によれば、甲2に記載された「撮像装置」は、「信号処理回路3」「を備え」(【0013】)、「信号処理回路3」が、「撮像素子2で得られた画像信号に所定の信号処理を施」し(【0015】)、「信号処理回路3には、」「第1の現像部33と、解像度変換部34と、第2の現像部35と、表示処理部としてのズーム表示処理部36とが含まれる」(【0018】)ものである。 そして、「第1の現像部33は、色分離部32で生成されたRGB信号にガンマ補正や輪郭補正、ホワイトバランス調整等を行い、これらの調整が行われたRGB信号をYC信号に変換して画像データ(第1の画像データ)を生成」し、「第1の画像データの解像度は、撮像素子2で得られた画像信号が有する解像度と同じ4Kとなる」(【0019】)ものであり、「解像度変換部34は、色分離部32で生成されたRGB信号の解像度を変換」し、「4Kを2K(2048×1080画素:第2の解像度)に変換する」(【0020】)ものであり、「第2の現像部35は、解像度変換部34で解像度が2Kに変換されたRGB信号をYC信号に変換して画像データを生成する」(【0020】)ものであり、「ズーム表示処理部36は、第1の現像部33で現像された4Kの画像データP1、又は第2の現像部35で生成された2Kの画像データP2を用いて、後述するビューファインダ9に表示させる表示用画像を生成する」(【0021】)ものである。 そうすると、甲2には以下の構成2c、2aが記載されているといえる。 (2c)撮像素子で得られた画像信号から生成されたRGB信号を現像する第1の現像部33と第2の現像部35であって、解像度変換されていない4KのRGB信号をYC信号に変換して4Kの画像データP1を生成する第1の現像部33と、解像度変換部34で4Kから2Kに解像度変換した2KのRGB信号をYC信号に変換して2Kの画像データP2を生成する第2の現像部35 (2a)を備える、撮像装置。 d 上記(ア)によれば、甲2に記載された「撮像装置100」は、「ビューファインダ9と、LCD10とを備え」、「ビューファインダ9は、例えば液晶ディスプレイで構成され、撮像素子2で撮像された画像が表示される」(【0017】)ものであり、「ズーム表示処理部36は、第1の現像部33で現像された4Kの画像データP1、又は第2の現像部35で生成された2Kの画像データP2を用いて、後述するビューファインダ9に表示させる表示用画像を生成」し(【0021】)、「ズーム表示処理部36」は、「4Kの画像データP1又は2Kの画像データP2による画像の画サイズを拡大又は縮小することにより、ビューファインダ9」「に表示させるための表示用画像P3を生成する処理を行う」(【0024】)ものである。 そうすると、甲2の「ズーム表示処理部36」は、撮像中の画像をビューファインダ9に拡大表示処理を行う構成である。 また、上記(ア)によれば、甲2に記載された「ズーム表示処理部36は、選択部36aと、切り出し処理部36bと、解像度調整部36cと、制御部36dとよりなる」(【0025】)ものであり、「選択部36aは、第1の現像部33から出力される4Kの画像データP1と、第2の現像部35から出力される2Kの画像データP2のうち、いずれか一方を選択して出力するセレクタである」(【0026】)。 そうすると、甲2のズーム表示処理部36の「選択部36a」は、ビューファインダ9に表示させる表示用画像P3を生成する際に用いる画像を、第1の現像部33から出力された4Kの画像データP1、又は、第2の現像部35により出力された2Kの画像データP2から選択する構成である。 そして、上記(ア)によれば、甲2に記載された「制御部36dは、操作部5」「を介してユーザより入力されるズーム倍率に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号を、選択部36aと、切り出し処理部36bと、解像度調整部36cに供給する」(【0027】)ものであり、「ズーム倍率が、1倍から第1の倍率である2倍までの間は、選択部36aでは2Kの画像データP2が選択され、切り出し処理部36bによって、画像データP2による画像から所定の領域をトリミングする処理が行われ」、「解像度調整部36cでは、切り出し画像のサイズを縮小して、ビューファインダ9に表示させるための表示用画像P3を生成する処理が行われ」(【0029】)、「ズーム倍率が1.5倍の時には」、「拡大表示されるべき領域が切り出し処理部36bによって切り出されて、切り出し画像Pcが生成され」(【0033】)、「ズーム倍率が2倍を超えた時点で、選択部36aで選択される画像データは、2Kの画像データP2から4Kの画像データP1に切り替えられ」、「ズーム倍率が2倍から4倍までの間は」、「拡大表示されるべき領域が切り出し処理部36bによって切り出されて、切り出し画像Pcが生成される」(【0035】)ものである。 そうすると、甲2の「制御部36d」は、ズーム倍率に基づいて拡大表示する処理において、ズーム表示処理部の「選択部36a」は、ユーザが入力したズーム倍率に基づいて、2Kの画像データP2と4Kの画像データP1のうち選択する画像データを切り替える構成である。 よって、甲2には以下の構成2d、2aが記載されているといえる。 (2d)撮像中の画像をビューファインダ9にズーム倍率に基づいて拡大表示する処理において、ユーザが入力したズーム倍率に基づいて、第1の現像部33から出力された4Kの画像データP1、又は、第2の現像部35により出力された2Kの画像データP2に切り替える選択部36a (2a)を備える、撮像装置。 e 上記a~dによれば、甲2には、構成2a~2dからなる、以下の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されている。 (甲2技術) (2a)フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させる撮像装置であって、 (2b)被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像素子と、 (2c)撮像素子で得られた画像信号から生成されたRGB信号を現像する第1の現像部33と第2の現像部35であって、解像度変換されていない4KのRGB信号をYC信号に変換して4Kの画像データP1を生成する第1の現像部33と、解像度変換部34で4Kから2Kに解像度変換した2KのRGB信号をYC信号に変換して2Kの画像データP2を生成する第2の現像部35と、 (2d)撮像中の画像をビューファインダ9にズーム倍率に基づいて拡大表示する処理において、ユーザが入力したズーム倍率に基づいて、第1の現像部33から出力された4Kの画像データP1、又は、第2の現像部35により出力された2Kの画像データP2に切り替える選択部36aと (2a)を備えた、撮像装置。 ウ 甲3の記載事項と甲3に記載された技術 (ア)甲3の記載事項 甲3には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 近年の撮像装置は、画素数の多い撮像素子を用いているため、画像1枚あたりのデータ量が大幅に増加している。また、連写スピードおよび連写可能枚数も増加傾向にある。そのため、RAW画像に対するデモザイク処理や、ノイズ低減処理、光学歪補正処理など、現像処理を構成する各処理の量が相乗的に増大している。従って、撮影と並行してリアルタイムに現像処理を行うには、高速に処理するための回路が必要となり、回路規模の増大や消費電力の増加につながっていた。また、現像処理に処理能力や電力を割り当てるために、現像処理中は撮像装置の性能(例えば連写性能)が制限を受けることも起こりうる。」 「【発明を実施するための形態】 【0013】(略)」 「【0018】 撮像センサ部102によって変換された電気信号は、センサ信号処理部103によって画素の修復処理が施される。修復処理には、撮像センサ部102における欠落画素や信頼性の低い画素の値に対し、周辺画素値を用いて修復対象の画素を補間したり、所定のオフセット値を減算したりする処理が含まれる。本実施形態では、センサ信号処理部103から出力される画像データを、未現像の画像を意味するRAW画像データという。 【0019】 センサ信号処理部103から出力されたRAW画像データは、現像部110で現像処理される。現像部110は、複数(本実施形態では3つ)の異なる現像処理部を有し、それぞれ、処理精度と処理負荷の優先度が異なっている。本実施形態では、第1の現像処理を行う簡易現像部111と、第2の現像処理を行う高画質現像部112と、第3の現像処理を行うスロー用現像部171とから成り、それらの出力を選択するスイッチ部121を含んで構成される。(後略)」 「【0023】(前略) 現像部110のスイッチ部121は、操作部162によりユーザから指示された操作内容や実行中の動作モードに応じた制御に従って、制御部161によって切り替えられる。」 「【0025】 なお、図1ではセンサ信号処理部103からのRAW画像データが現像部110の中の全ての現像部に入力されるように図示しているが、これは同一のRAW画像データに対して3つの現像部で現像処理を行うことを意味していない。処理負荷の観点から、基本的には1つの現像部が排他的に現像処理を実行する。従って、RAW画像データが入力される現像部を切り替えるようにスイッチ部121が前段に設けられても良い。(後略)」 「【0040】 簡易現像部111は、RAW画像データの画素数を前述のように削減し、画像を縮小する。そして、簡易現像部111は、縮小RAW画像データに対してデベイヤー処理(デモザイク処理)して各画素に不足している色信号を生成したのち、輝度と色差から成る信号へ変換する(RGB→YUV変換)。さらに簡易現像部111は、各信号に含まれるノイズを除去したり、撮影光学系の光学歪(収差)を補正したり、ホワイトバランスを調整したりする。上述の通り簡易現像部111は、画素数を削減してから現像処理したり、ノイズ除去や光学歪補正を処理速度を優先した処理で行ったり省いたりすることで、現像処理の負荷(処理速度や消費電力)が撮像装置100の撮影能力に与える制限を軽減または除去する。簡易現像部111を用いることで、例えば、高画質現像部112を用いた場合には不可能な高速連写速度や連続撮影枚数などを実現することができる。」 「【0096】 図6は、本実施形態の撮像装置100が静止画再生時に表示部123で行う表示の形態例を模式的に示す図である。 図6(a)に示す表示画面700は、縮小画像を表示する例であり、ここでは6つずつ表示する例を示している。図6(b)に示す表示画面710は、1つの画像711の全体を表示している例であり、通常表示の状態である。図6(c)に示す表示画面720は、1つの画像の一部の拡大画像721を表示している例であり、拡大表示に該当する。拡大表示は例えば、撮影直後にフォーカスの適否の確認を行うような場合に用いられる。また、ユーザからの拡大表示の指示に応じても実行される。」 「【0100】 一方、画像の一部を切り出して等倍表示することにより拡大表示を実現する場合、簡易現像による静止画ファイルでは切り出した部分の画素数が表示画素数を下回ることが起こり得る。この場合、画素補間などの拡大処理が必要となり、解像感の低下を招いてしまう。」 「【0103】 S603で、拡大表示する静止画が高画質現像されたものでないと判定された場合、簡易現像部111で現像処理された静止画ファイルであることを意味する。この場合、制御部161はS604移行の処理によって高画質現像(上述した、後現像)を実行する。なお、ここでは簡易現像された画像ファイルが拡大表示対象の場合は無条件に高画質現像を実行するものとしたが、簡易現像による静止画ファイルにおける拡大表示領域内の画素数が表示画素数未満である場合だけ高画質現像を実行するようにしてもよい。 「【図1】撮像装置の構成例を示すブロック図 [図:0001412302000006.jpg] 」 「【図8】スロー用現像部171のブロック図 [図:0001412302000007.jpg] 」 (イ)甲3に記載された技術(甲3技術) 上記(ア)より、甲3には、以下の事項が記載されている。 a 上記(ア)によれば、甲3の「【発明が解決しようとする課題】」における段落【0005】によれば、「撮像装置」は、「撮影と並行してリアルタイムに現像処理を行うには、高速に処理するための回路が必要となり、回路規模の増大や消費電力の増加につながっていた」との課題を有するものである。 そうすると、甲3には以下の構成3aが記載されているといえる。 (3a)消費電力を低減する撮像装置。 b 上記(ア)によれば、甲3の「撮像装置」は、「撮像素子を用いて」おり(【0005】)、「撮像センサ部102によって変換された電気信号は、センサ信号処理部103によって画素の修復処理が施され」(【0018】)、「センサ信号処理部103から出力されたRAW画像データは、現像部110で現像処理され」、「現像部110は、複数(本実施形態では3つ)の異なる現像処理部を有し、それぞれ、処理精度と処理負荷の優先度が異なって」おり、「本実施形態では、第1の現像処理を行う簡易現像部111と、第2の現像処理を行う高画質現像部112と、第3の現像処理を行うスロー用現像部171とから成り、それらの出力を選択するスイッチ部121を含んで構成される」(【0019】)ものである。 そうすると、甲3には以下の構成3b、3aが記載されているといえる。 (3b)画像センサ部102からの電気信号を、現像処理部において、簡易現像部111、高画質現像部112、スロー用現像部171で処理制度と処理負荷の異なる現像処理を行い、それらの出力をスイッチ部121で選択する (3a)撮像装置。 c 上記(ア)によれば、甲3の「撮像装置」において「現像部110のスイッチ部121は、操作部162によりユーザから指示された操作内容や実行中の動作モードに応じた制御に従って、制御部161によって切り替えられる」(【0023】)ものである。 そうすると、甲3には以下の構成3c、3aが記載されているといえる。 (3c)ユーザから指示された操作内容や実行中の動作モードに応じて、現像処理部の出力をスイッチ部121で選択する (3a)撮像装置。 d 上記(ア)によれば、甲3の「撮像装置」において「簡易現像部111は、画素数を削減してから現像処理したり、ノイズ除去や光学歪補正を処理速度を優先した処理で行ったり省いたりすることで、現像処理の負荷(処理速度や消費電力)が撮像装置100の撮影能力に与える制限を軽減または除去する」(【0040】)ものである。 そうすると、甲3には以下の構成3d、3aが記載されているといえる。 (3d)画素数を削減してから現像処理を行うことにより、現像処理の処理速度や消費電力を軽減する (3a)撮像装置。 e 上記(ア)によれば、甲3の「撮像装置」において「センサ信号処理部103からのRAW画像データが現像部110の中の全ての現像部に入力される」ものである「が、これは同一のRAW画像データに対して3つの現像部で現像処理を行うことを意味していない」ものであり、「処理負荷の観点から、基本的には1つの現像部が排他的に現像処理を実行する」ものであり、「RAW画像データが入力される現像部を切り替えるようにスイッチ部121が前段に設けられ」る(【0025】)ものである。 そうすると、甲3には以下の構成3e、3f、3aが記載されているといえる。 (3e)簡易処理部111、高画質処理部112、スロー用現像部171の全ての現像部に画像データが入力されるように構成され、スイッチ部121により選択された1つの現像処理部が排他的に現像処理を実施し、 (3f)現像部を選択するスイッチ部121が、簡易現像部111、高画質現像部112、スロー用現像部171のうち、画像データが入力される現像部の前段に設けられる (3a)撮像装置。 f 上記(ア)によれば、甲3の「撮像装置」において「拡大表示は」、「撮影直後にフォーカスの適否の確認を行う」「場合に用いられ」、「ユーザからの拡大表示の指示に応じて」「実行される」(【0096】)ものであり、「画像の一部を切り出して等倍表示することにより拡大表示を実現する場合、簡易現像による静止画ファイルでは切り出した部分の画素数が表示画素数を下回ることが起こり得る」ことから、「画素補間などの拡大処理が必要となり、解像感の低下を招」くことから(【0100】)、「拡大表示する静止画が高画質現像されたものでないと判定された場合」、「制御部161はS604移行の処理によって高画質現像を実行する」(【0103】、当審注:「移行」は「以降」の誤記と認められる。)ものである。 そうすると、甲3には以下の構成3g、3aが記載されているといえる。 (3g)画像データを拡大表示する際に、簡易現像による画像データでは、画素数が表示画素数を下回るため、高画質現像された画像データを用いる (3a)撮像装置。 g 上記a~fによれば、甲3には、構成3a~3gからなる、以下の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されている。 (甲3技術) (3a)消費電力を低減する撮像装置であって、 (3b)画像センサ部102からの電気信号を、現像処理部において、簡易現像部111、高画質現像部112、スロー用現像部171で処理制度と処理負荷の異なる現像処理を行い、それらの出力をスイッチ部121で選択し、 (3c)ユーザから指示された操作内容や実行中の動作モードに応じて、現像処理部の出力をスイッチ部121で選択し、 (3d)画素数を削減してから現像処理を行うことにより、現像処理の処理速度や消費電力を軽減し、 (3e)簡易処理部111、高画質処理部112、スロー用現像部171の全ての現像部に画像データが入力されるように構成され、スイッチ部121により選択された1つの現像処理部が排他的に現像処理を実施し、 (3f)現像部を選択するスイッチ部121が、簡易現像部111、高画質現像部112、スロー用現像部171のうち、画像データが入力される現像部の前段に設けられ、 (3g)画像データを拡大表示する際に、簡易現像による画像データでは、画素数が表示画素数を下回るため、高画質現像された画像データを用いる (3a)撮像装置。 エ 甲4の記載事項と甲4に記載された技術 (ア)甲4の記載事項 甲4には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の一つの実施形態は、撮影モードに応じた信号処理に支障をきたすことなく消費電力を低減することが可能な固体撮像装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明の一つの実施形態によれば、画素アレイ部と、カラムADC回路と、ロジック部と、ブロック選択部と、非活性化データ入力部とを備える。画素アレイ部は、光電変換した電荷を蓄積する画素がマトリックス状に配置されている。カラムADC回路は、前記画素から出力された画素信号をカラムごとにAD変換する。ロジック部は、前記AD変換された画素信号をブロックごとに信号処理する。ブロック選択部は、前記ロジック部のブロックを選択する。非活性化データ入力部は、前記ブロック選択部にて選択されたブロックを非活性化する非活性化データを前記ブロックに入力する。」 「【0008】 (第1実施形態) 図1は、第1実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示すブロック図である。(中略) ブロック選択部39は、ロジック部38のブロックを選択する。非活性化データ入力部40は、ブロック選択部39にて選択されたブロックを非活性化する非活性化データをブロックに入力する。なお、非活性化データは、ロジック部38のブロックが処理可能な最大値または最小値などの固定値とすることができる。 【0009】(前略) ここで、撮影モードや撮影シーンによっては、ロジック部38の各ブロックにおける信号処理を省略することができる。例えば、オートフォーカス動作時またはプレビュー動作時において高画質化の要請が低い場合には、画質調整に関するブロックでの処理を省略することができる。また、静止画撮影時において高画質化の要請が高い場合には、画質調整に関するブロックでの処理を省略しないようにすることができる。あるいは、消費電力を抑えながら長時間撮像動作を行わせる場合には、マニュアル操作によってロジック部38の各ブロックにおける信号処理を省略することができる。 このような場合、ブロック選択部39によってロジック部38のブロックが選択される。そして、非活性化データ入力部40において、ブロック選択部39にて選択されたブロックを非活性化する非活性化データがその選択ブロックに入力される。この時、その選択ブロックは非活性化され、消費電力を抑えることができる。また、ブロック選択部39は、非活性化データから画素信号に切り替えることにより、非活性化ブロックを活性化させることができる。(後略)」 (イ)甲4に記載された技術(甲4技術) 上記(ア)より、甲4には、以下の技術が記載されている。 a 上記(ア)よれば、甲4の【発明が解決しようとする課題】における段落【0004】には、「撮影モードに応じた信号処理に支障をきたすことなく消費電力を低減することが可能な固体撮像装置を提供することを目的とする」と記載されている。 そうすると、甲4には以下の構成4aが記載されているといえる。 (4a)消費電力を低減する固体撮像装置。 b 上記(ア)よれば、甲4の「ロジック部は、前記AD変換された画素信号をブロックごとに信号処理する」(【0005】)ものであり、「ブロック選択部39は、ロジック部38のブロックを選択」し、「非活性化データ入力部40は、ブロック選択部39にて選択されたブロックを非活性化する非活性化データをブロックに入力」し、「非活性化データは、ロジック部38のブロックが処理可能な最大値または最小値などの固定値とする」(【0008】)ものである。 そうすると、甲4には以下の構成4a~4dが記載されているといえる。 (4b)画素信号をブロックごとに信号処理するロジック部38と、 (4c)ロジック部38のブロックを選択するブロック選択部39と、 (4d)選択されたブロックに固定値である非活性化データを入力して非活性化する非活性化データ入力部40と (4a)を備える固体撮像装置。 c 上記(ア)よれば、甲4の「固体撮像装置」は、「撮影モードや撮影シーンによっては、ロジック部38の各ブロックにおける信号処理を省略することができ」、「オートフォーカス動作時またはプレビュー動作時において高画質化の要請が低い場合には、画質調整に関するブロックでの処理を省略することができ」、「静止画撮影時において高画質化の要請が高い場合には、画質調整に関するブロックでの処理を省略しないようにすることができる」(【0009】)ものであり、「ブロック選択部39によってロジック部38のブロックが選択され」、「非活性化データ入力部40において、ブロック選択部39にて選択されたブロックを非活性化する非活性化データがその選択ブロックに入力され」、「その選択ブロックは非活性化され」ることから、「消費電力を抑え」られるものであり、「ブロック選択部39は、非活性化データから画素信号に切り替えることにより、非活性化ブロックを活性化させる」(【0009】)ものである。 そうすると、甲4には以下の構成4e、4aが記載されているといえる。 (4e)撮影モードや撮影シーンに応じた高画質化の必要性に基づいて、信号処理を省略するブロックを選択するブロック選択部39 (4a)を備える固体撮像装置。 d 上記a~eによれば、甲4には、構成4a~4eからなる、以下の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されている。 (甲4技術) (4a)消費電力を低減する固体撮像装置であって、 (4b)画素信号をブロックごとに信号処理するロジック部38と、 (4c)ロジック部38のブロックを選択するブロック選択部39と、 (4d)選択されたブロックに固定値である非活性化データを入力して非活性化する非活性化データ入力部40と、 (4e)撮影モードや撮影シーンに応じた高画質化の必要性に基づいて、信号処理を省略するブロックを選択するブロック選択部39と (4a)を備える固体撮像装置。 (2)甲1発明と本件発明1の対比及び判断 ア 対比 ・構成1Aについて 甲1発明の構成1bである「被写体からの光束を光電変換により画像データとして生成する撮像素子」は、本件発明1の構成1Aの「被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子」に相当する。 ・構成1Bについて 甲1発明の構成1cである「被前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる、画像データをビット数に対応した複数のデータ処理回路501~503、及び、フィルタサイズに対応した複数のフィルタ回路601~603」は、本件発明1の構成1Bの「前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる複数のデータ処理部」に相当する。 ・構成1Cについて 甲1発明の構成1dの「動画撮影モード、画像再生モード」は、本件発明1の構成1Cの「動画の記録または表示の動作」に相当する。 また、甲1発明の構成1dの「画像処理装置10」は、「現在設定されている撮影モードに基づいて、データ処理回路501~503及びフィルタ回路601~603から、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、ライブビューモードの順に、より小さいビット数に対応したデータ処理回路50及びフィルタ回路60を選択して画像処理を行うように制御する」ものである。そして、甲1発明において表示される画像は、「撮影モード」に応じて変わるものである。 そうすると、構成1Cの「選択部」とは、「表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像」「に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する」点で共通する。 一方で、本件発明1の構成1Cである「選択部」は、「画像の拡大表示状態」に基づいてデータ処理部を選択するものであるのに対し、甲1発明の構成1dである「画像処理装置10」は、画像の「撮影モード」に基づくものである点で相違する。 ・構成1Dについて 甲1発明の構成1eの「画像処理に用いるデータ処理回路50及びフィルタ回路60」及び「画像処理に用いないフィルタ回路」からなる構成は、本件発明1の構成1Dの「複数のデータ処理部」に相当し、 甲1発明の構成1eの「画像処理に用いるデータ処理回路50及びフィルタ回路60」は、本件発明1の構成1Dの「動作する第1状態に制御」された「選択された特定のデータ処理部」に相当し、 甲1発明の構成1eの「画像処理に用いないフィルタ回路」からなる構成は、本件発明1の構成1Dの「動作しない第2状態に制御」された「特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部」に相当する。 そうすると、甲1発明の構成1eである「画像処理回路40」は、本件発明1の構成1Dの「動作制御部」に相当する。 したがって、甲1発明の構成1eは、本件発明1の構成1Dの「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」に相当する。 ・構成1Eについて 甲1発明の構成1aの「撮像装置」は、本件発明1の構成1Eの「撮像装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、以下の各点で相違する。 [一致点] (1A) 被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、 (1B) 前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる複数のデータ処理部と、 (1C’) 動画の記録または表示の動作中に、表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する選択部と、 (1D) 前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部と、 (1E) を有する、撮像装置。 [相違点] ・相違点1 本件発明1の構成1Cである「選択部」は、「画像の拡大表示状態」に基づいてデータ処理部を選択するものであるのに対し、甲1発明の構成1cである「画像処理装置10」は、画像の「撮影モード」に基づくものである点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 甲2に記載された甲2技術は以下のとおりである。 (甲2技術) (2a)フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させる撮像装置であって、 (2b)被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像素子と、 (2c)撮像素子で得られた画像信号から生成されたRGB信号を現像する第1の現像部33と第2の現像部35であって、解像度変換されていない4KのRGB信号をYC信号に変換して4Kの画像データP1を生成する第1の現像部33と、解像度変換部34で4Kから2Kに解像度変換した2KのRGB信号をYC信号に変換して2Kの画像データP2を生成する第2の現像部35と、 (2d)撮像中の画像をビューファインダ9にズーム倍率に基づいて拡大表示する処理において、ユーザが入力したズーム倍率に基づいて、第1の現像部33から出力された4Kの画像データP1、又は、第2の現像部35により出力された2Kの画像データP2に切り替える選択部36aと (2a)を備えた、撮像装置。 甲2技術は、構成2dによれば、ズーム倍率に基づいて現像部を切り替えるものであるから、上記相違点1に係る構成であり、甲2技術の「選択部36a」は、本件発明1の構成1Cである「動画の記録または表示の動作中に、表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像の拡大表示状態に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する選択部」に相当する。 しかし、甲1発明は、構成1aのとおり「省電力化を図る撮像装置」であり、「撮影モード」に基づいてデータ処理部を選択するものである。 また、甲2の主たる目的は、構成2aのとおり、フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させることであり、省電力を目的とするとの記載は、見当たらない。 そうすると、「撮影モード」を選択した後にユーザの操作によって変更される「ズーム倍率」によってデータ処理部を選択するものに、選択部を置き換えることは、甲1に接した当業者に動機付けがないものである。 さらに、甲1発明に甲2技術を付加することについても、甲1に接した当業者に動機付けがないものである。 また、甲3技術及び甲4技術は、いずれも「画像の拡大表示状態に基づいてデータ処理部を選択する」ものではないから、本件発明1の構成1Cと相違する。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、及び、甲2技術~甲4技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (3)甲1発明と本件発明2~7の対比及び判断 本件の請求項2~7は、請求項1を引用するものであり、構成1Cを備えるものであるから、上記(2)で検討した本件発明1との対比及び判断と同様に、本件発明2~7は、甲1発明、及び、甲2技術~甲4技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)まとめ 上記(1)~(3)で検討したとおり、本件発明1~7は、甲1を主引例とした場合に、甲1発明、及び、甲2技術~甲4技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすべきものではない。 よって、本件発明1~7に係る特許は、同法113条2号の規定によって取り消されるべきものではない。 5 理由2(29条2項、甲2)について (1)甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明 甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明は、上記1の(1)~(2)で示したとおりである。ただし、理由1で示した甲第1号証に係る「甲1発明」、甲第2号証に係る「甲2技術」を、理由2においては、それぞれ「甲1技術」、「甲2発明」と読み替える。 (2)甲2発明と本件発明1の対比及び判断 ア 対比 ・構成1Aについて 甲2発明の「撮像装置」は、構成2bによれば「被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像素子」を備えるものである。 そうすると、甲2発明の構成2bである「撮像素子」は、本件発明1の構成1Aである「被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子」に相当する。 ・構成1Bについて 甲2発明の「撮像装置」は、構成2cによれば「撮像素子で得られた画像信号から生成されたRGB信号を現像する第1の現像部33と第2の現像部35であって、解像度変換されていない4KのRGB信号をYC信号に変換して4Kの画像データP1を生成する第1の現像部33と、解像度変換部34で4Kから2Kに解像度変換した2KのRGB信号をYC信号に変換して2Kの画像データP2を生成する第2の現像部35」を備えるものである。 そうすると、甲2発明の撮像装置は、「画像信号」を処理する「第1の現像部33と第2の現像部35」を備えるものであるから、本件発明1の構成1Bとは、「前記撮像素子によって生成された画像データをデータ処理する」「複数のデータ処理部」である点で共通する。 一方で、本件発明1の構成1Bは、複数のデータ処理部が、「画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる」ものであるが、甲2発明は、当該構成について記載がない点で相違する。 ・構成1Cについて 甲2発明の「撮像装置」は、構成2dによれば「撮像中の画像をビューファインダ9にズーム倍率に基づいて拡大表示する処理において、ユーザが入力したズーム倍率に基づいて、第1の現像部33から出力された4Kの画像データP1、又は、第2の現像部35により出力された2Kの画像データP2に切り替える選択部36aと」を備えるものである。 ここで、甲2発明の「撮像中」、「ビューファインダ9」は、それぞれ本件発明1の構成1Cにおける「動画の記録または表示の動作中」、「表示デバイス」に相当する。 そして、甲2発明は、構成2dによれば、ズーム倍率に基づいて現像部を切り替えるものであるから、甲2発明の「選択部36a」は、本件発明1の構成1Cである「動画の記録または表示の動作中に、表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像の拡大表示状態に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する選択部」に相当する。 ・構成1Eについて 甲1発明の構成2aの「撮像装置」は、本件発明1の構成1Eの「撮像装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] (1A) 被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、 (1B’) 前記撮像素子によって生成された画像データを処理する複数のデータ処理部と、 (1C) 動画の記録または表示の動作中に、表示デバイスに表示される前記動画を構成する画像の拡大表示状態に基づいて前記複数のデータ処理部のうち特定のデータ処理部を選択する選択部と、 (1E) を有する、撮像装置。 [相違点] ・相違点2-1 本件発明1の構成1Bは、複数のデータ処理部が、「画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる」ものであるが、甲2発明は、当該構成について記載がない点。 ・相違点2-2 本件発明1の「撮像装置」は、構成1Dである「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」を備えるのに対し、甲2発明は、当該構成について記載がない点。 イ 判断 上記相違点2-1及び相違点2-2について検討する。 (ア)相違点2-1について 甲2発明の「第1の現像部33」と「第2の現像部35」は、それぞれ異なる画像処理を行うものであるから、「画像データをデータ処理する際の消費電力が異なる」ものとなることは、当業者にとって自明といえることである。 よって、上記相違点2-1は、実質的な相違点とはいえない。 (イ)相違点2-2について 甲1技術は、上記(2)アにおける「・構成1Dについて」で述べたとおりであるから、甲1技術の構成1eである「画像処理回路40」は、本件発明1の構成1Dの「前記選択部によって選択された特定のデータ処理部が動作する第1状態に制御し、前記複数のデータ処理部のうち前記特定のデータ処理部以外の他のデータ処理部を動作しない第2状態に制御する動作制御部」に相当する。 しかし、甲2発明は、構成2aのとおり「フォーカス調整時に画面に拡大表示される画像の解像度を向上させる撮像装置」であり、「ズーム倍率」に基づいてデータ処理部を選択するものである。 また、甲1の主たる目的は、構成1aのとおり、省電力化であり、画面に拡大表示される画像の解像度の向上を目的とするとの記載は、見当たらない。 この場合、データ処理部を選択されたか否かによって、動作するか否かを切り替えることで消費電力を削減するという制御(甲1技術)を、甲2発明の選択部に追加することは、甲2に接した当業者に動機付けがないものである。 また、甲3は、「消費電力を低減する撮像装置」であり、甲4は「消費電力を低減する固体撮像装置」であり、いずれも、画面に拡大表示される画像の解像度の向上を目的とするとの記載は、見当たらないから、甲3技術又は甲4技術を甲2発明の選択部に追加することは、甲1と同様に、甲2に接した当業者に動機付けがないものである。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明、並びに、甲1技術及び甲3技術~甲4技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (3)甲2発明と本件発明2~7の対比及び判断 本件の請求項2~7は、請求項1を引用するものであり、構成1Dを備えるものであるから、上記(2)で検討した本件発明1との対比及び判断と同様に、本件発明2~7は、甲2発明、並びに、甲1技術及び甲3技術~甲4技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)まとめ 上記(1)~(3)で検討したとおり、本件発明1~7は、甲1を主引例とした場合に、甲2発明、並びに、甲1技術及び甲3技術~甲4技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすべきものではない。 よって、本件発明1~7に係る特許は、同法113条2号の規定によって取り消されるべきものではない。 6 本件異議申立てにおいて主張されていない理由について (1)甲3または甲4を主引用発明とした特許法29条2項について 甲3または甲4を主引用発明とした場合にも、甲2発明を適用する動機がないから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすべきものではなく、同法113条2号の規定によって取り消されるべきものではない。 (2)その他の理由について 本件特許について、上記の他にも、同法113条各号の規定によって取り消されるべき理由を発見しない。 第5 むすび 上記「第4」のとおり、本件特許の請求項1~7に係る特許は、申立理由によって取り消すことはできない。 また、本件申立書で申し立てられた理由の他に、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701345

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