特許異議申立
2022-700301
農業用組成物
- 審判番号
- 2022-700301
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-561264
- 登録番号
- 6949996
- 請求日
- 2022年04月12日
- 審決日
- 2023年10月30日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ヴァダケクットゥ、タンカパン
- 【権利者代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 【権利者】サワント、アルン ヴィットハル
- 【権利者代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 【異議申立人】山田 芳男
- 審判長/審判官
- 審判長 木村 敏康
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 冨永 保
- 分類
- P1651.851-YAA(A01N) / P1651.113-YAA(A01N) / P1651.121-YAA(A01N) / P1651.537-YAA(A01N) / P1651.536-YAA(A01N) / P1651.55 -YAA(A01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6949996号発明「農業用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6949996号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~23、26〕、24、25及び27について訂正することを認める。
特許第6949996号の請求項1~22、24~27に係る特許を維持する。
特許第6949996号の請求項23に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6949996号の請求項1~27に係る特許(以下「本件特許」ということがある。)についての出願は、2018年5月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年5月10日、同年6月21日、同年7月11日、同年9月18日 いずれもインド(IN))を国際出願日とする特許出願であって、令和3年9月27日にその特許権の設定登録がなされ、同年10月13日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許の請求項1~27について、令和4年4月12日に特許異議申立人 山田 芳男(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。
令和4年 7月22日付け 取消理由通知
同年10月26日 意見書・訂正請求書の提出(特許権者)
同年11月21日付け 手続補正指令
同年12月 2日 手続補正書(方式)(特許権者:補正対象書
類名 訂正請求書)
同年 同月23日付け 訂正請求があった旨の通知
令和5年 2月 3日 意見書の提出(申立人)
同年 3月31日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 6月26日 応対記録(特許権者:日付は初回応対日)
同年 7月 4日 意見書・訂正請求書の提出(特許権者)
同年 同月28日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 8月29日 意見書の提出(申立人)
なお、令和4年10月26日付けの訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年7月4日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は、「特許第6949996号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-27について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1~5からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。
(1)訂正事項1
請求項1の
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含まない」
との記載を、
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~23及び26についても同様に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項23を削除する。
(3)訂正事項3
請求項24の
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含まない」
との記載を、
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」
に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項25の
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含まない」
との記載を、
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」
に訂正する。
(5)訂正事項5
請求項27の
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含まない」
との記載を、
「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」
に訂正する。
2 一群の請求項について
本件訂正に係る訂正前の請求項1~23及び26について、請求項2~23及び26は直接又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~23及び26に対応する訂正後の請求項1~23及び26は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項についてされたものである。
3 本件訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、請求項1に記載の「賦形剤」が含まない物質として、「水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト」及び「酸化亜鉛」を追加して特定することで、賦形剤を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
イ 新規事項の追加の有無
訂正事項1は、請求項1に記載の「賦形剤」に含まれない成分を追加するにすぎないから、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上の特許請求の範囲の拡張・変更の有無
訂正事項1は、請求項1に記載の「賦形剤」について、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項23を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の範囲に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正するものに該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3~5について
訂正事項3~5は、訂正事項1と同様の訂正であるから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、かつ、同条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
4 本件訂正についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~23、26〕、24、25及び27について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正後の本件特許の請求項1~22及び24~27に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~22及び24~27に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項の番号順に「本件発明1」などといい、また、これらを合わせて「本件発明」ということがある。)。
「【請求項1】
水崩壊性粒状組成物であって、前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤とを有し、前記水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え、前記水崩壊性粒状組成物は、1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有し、
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない、
水崩壊性粒状組成物。
【請求項2】
前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも50%の耐摩滅性を有する、
請求項1に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項3】
前記水崩壊性粒状組成物は、30%より低い75ミクロンの篩上の湿式篩保持値を有する、
請求項1または2に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項4】
前記水崩壊性粒状組成物は、10%より低い75ミクロンの篩上の湿式篩分析値を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項5】
前記水崩壊性粒状組成物は、2.5g/mlより低い真密度を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項6】
前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも70%の耐摩滅性を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項7】
前記水崩壊性粒状組成物は、200分より短い崩壊時間を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項8】
前記水崩壊性粒状組成物は、100分より短い崩壊時間を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項9】
前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも10%の分散性を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項10】
前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも10%の懸濁性を有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項11】
前記水崩壊性粒状組成物は、1~6mmの顆粒のサイズを有する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項12】
前記水崩壊性粒状組成物は、実質的に球状の顆粒を有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項13】
前記非水溶性栄養素は、元素としてホウ素、カルシウム、塩素、クロム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、亜鉛、またはそれらの塩類もしくは誘導体類を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項14】
前記非水溶性栄養素は、硫黄元素、ホウ素元素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、アルミニウムドデカボライド、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、カルサイト石灰石、シュウ酸カルシウム、酸化クロム、酸化コバルト、硫化コバルト、モリブデン酸コバルト、炭酸コバルト、シュウ酸銅、酸化銅、硫化銅、水酸化銅、硫化第二銅、リン酸銅、モリブデン酸銅、酸化フッ素、モリブデン酸フッ素、酸化鉄、硫化鉄、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、三塩基性リン酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マンガン、モリブデン酸マンガン、酢酸モリブデン、二硫化モリブデン、硫化セレン、窒化ケイ素、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、塩基性スラグ、クロム元素、リン酸クロム、ショ糖鉄、リン化コバルト、シアン化コバルト、ニッケル元素、酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、クロム酸ニッケル、水酸化ニッケル、針ニッケル鉱、セレン化ニッケル、リン化ニッケル、銅元素、不溶性シアン化銅、カルコサイト、セレン化銅、リン化銅、コベライト、ヒ酸銅、銀元素、亜鉛元素、クロム酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、水酸化スズ、酸化スズおよび硫化スズ、それらの塩類、誘導体類、およびそれらの組み合せのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項15】
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、界面活性剤、バインダ、希釈剤、崩壊剤、充填剤、固着剤およびpH安定剤のうちの1または複数を有する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項16】
前記水崩壊性粒状組成物は、非水溶性栄養素、藻類、微生物、生物刺激剤、バイオ肥料、殺虫性活性剤、水溶性肥料、主要栄養素および微量栄養素のうちの1または複数をさらに備える、
請求項1から15のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項17】
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、界面活性剤、分散剤またはバインダのうちの少なくとも1つから選択される、
請求項1から16のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項18】
藻類の農芸化学的に許容される賦形剤に対する比は、99:1~1:99である、
請求項1から17のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項19】
前記藻類は緑藻、紅藻、金色藻、褐藻、黄金色藻、アジアントゥーンシェープドフラットアルガエ(Asian tuen shaped flat algaes)もしくは海藻、またはそれらの誘導体類、種、およびそれらの混合物のうちの1または複数を含む、
請求項1に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項20】
前記藻類は、シアノバクテリア、Phaeophyceae、Ochrophytes、Glaucophytes、Rhodoplasts、Rhodophytes、Chloroplasts、Ochrophytes、Chrysophyta、Raphidiophyceae、Eumastigophyceae、Xanthophyceae、Synurophytes、Silicoflagellata、Sarcinochrysophyceae、Heterokonts、Crytophytes、Haptophytes、Euglenophytes、Chlorophytes、Charophytes、陸生植物、EmbrophytaもしくはChlorarachniophytesまたはそれらの誘導体類、種、およびそれらの混合物のうちの1または複数を含む、
請求項1または19に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項21】
前記藻類は、Chlorella Sp.を含む、
請求項1、19および20のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項22】
前記藻類は、Spirulina Sp.を含む、
請求項1および19~21のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物。
【請求項23】
(削除)
【請求項24】
水崩壊性顆粒組成物を調製するプロセスであって、前記プロセスは、
少なくとも1つの農業用活性化学製品の混合物を粉砕して湿式混合物を得る段階であって、前記農業用活性化学製品は、非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤と、水とを有する農業用活性化学製品を粉砕して湿式混合物を得る、段階と、
前記湿式混合物を乾燥して微粉粒を得る段階と、
前記微粉粒を凝集機で凝集して0.1~6mmのサイズ範囲の水崩壊性粒状組成物を得る段階であって、水崩壊性粒状組成物は、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を有する、段階とを備え、前記水崩壊性粒状組成物は、1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有し、
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない、
水崩壊性顆粒を調製するプロセス。
【請求項25】
作物および植物を強化する方法であって、前記方法は、前記植物、前記植物の葉、植物繁殖材料、前記植物もしくは前記植物繁殖材料の場所、種、苗、土壌および前記作物の周囲のうちの1または複数に水崩壊性粒状組成物を適用し、前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも0.1重量%から95重量%までの濃度範囲の少なくとも1つの農業用活性化学製品を備える水崩壊性粒状組成物であって、前記農業用活性化学製品は、非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つを有し、前記水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤とを備え、前記水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲であり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を有し、前記水崩壊性粒状組成物は、1.5g/mlより低いバルク密度および少なくとも1Nの硬度を有する、水崩壊性粒状組成物を適用する、方法であり、
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない、
方法。
【請求項26】
請求項1から19ならびに請求項21および22のいずれか一項に記載の水崩壊性粒状組成物の使用であって、肥料組成物、栄養素組成物、植物防疫組成物、植物強化剤組成物、土壌改良剤組成物および収量向上剤組成物のうちの少なくとも1つとしての、前記水崩壊性粒状組成物の使用。
【請求項27】
植物の健康を改善する方法であって、前記方法は、植物、植物繁殖材料、種、苗または周辺土壌のうちの少なくとも1つを、水崩壊性農業用粒状組成物で処理する段階であって、前記水崩壊性農業用粒状組成物は、少なくとも0.1重量%の濃度範囲の少なくとも1つ農業用活性化学製品と、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤とを備え、顆粒は0.1~6mmのサイズ範囲であり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を有し、かつ、1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有し、前記農業用活性化学製品は、非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つを有する、段階を備え、
前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない、
植物の健康を改善する方法。」
第4 取消理由通知及びの概要
1 当審合議体が通知した取消理由通知の概要
当審合議体が令和4年7月22日付け取消理由通知書及び令和5年1月16日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
[理由1]本件請求項1~27に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しない。
よって、本件請求項1~27に係る発明の特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[理由2]本件請求項1~22、24~27に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しない。
よって、本件請求項1~22、24~27に係る発明の特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[理由3]本件請求項1~22、24~27に係る発明の特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合しない。
よって、本件請求項1~22、24~27に係る発明の特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第5 甲各号証及び乙各号証とそれらの記載事項
1 甲各号証
申立人が提出した証拠方法は、下記のとおりである。
記
甲第1号証:審査報告書、プロピリスルフロン、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、平成24年9月7日
甲第2号証:審査報告書、トリアファモン、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、平成28年10月5日
甲第3号証:審査報告書、ピリベンカルブ、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、平成25年1月7日
甲第4号証の1:審査報告書、フェノキサスルホン、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、平成28年3月31日
甲第4号証の2:製品安全データシート、製品名 スパーダ顆粒水和剤、株式会社理研グリーン、2014年5月16日作成、同年12月15日改訂
甲第5号証:審査報告書、トルプロカルブ、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、平成29年3月9日(ただし、第7頁は最初から欠落)
甲第6号証:22.物理性検定法(農林水産省告示第71号及び第750号,昭和35年2月3日,昭和50年7月25日)
甲第7号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:圧壊強度測定、粒度分布測定(ふるい法)、測定試料:ゼータワン1キロ粒剤
甲第8号証:粉体工学研究会・日本粉体工業協会編、粉体物性図説、昭和50年5月1日、第一版1刷発行、429頁
甲第9号証:植物防疫、第71巻、第3号、平成29年3月1日発行、表紙、目次、183~186、212頁
甲第10号証の1:日本農薬学会誌、(2017)、42(2)、281~290頁
甲第10号証の2:甲第10号証の1の概要が記載された印刷物(甲第10号証の1の発行日:2017年8月20日)
甲第11号証の1:雑草研究、(1994)、Vol.39(4)、275~288頁
甲第11号証の2:甲第11号証の1の概要が記載された印刷物(甲第11号証の1の発行日:1995年2月10日)
甲第12号証:Food and Agriculture Organization of the United Nations、World Health Organization、Manual on development and use of FAO and WHO specifications for pesticides、First edition-third revision、2016年3月、表紙、I~VI頁、51及び55頁
甲第13号証:農薬の登録申請書等に添付する資料等について、(平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知)、一部改正平成28年10月31日 28消安第3222号
甲第14号証の1:くみあいアヅミンなるほどガイド ご存知ですか?、デンカ株式会社、2018年6月発行、インターネット<URL:https://www.denka.co.jp/pdf/product/detail/00066/magnesium_humate.pdf>
甲第14号証の2:肥料登録銘柄検索結果の印刷物(登録番号:83969)、肥料登録銘柄検索、インターネット<URL:https://fertilizer-search.secure.force.com/FertilizerRegistrationSearch/>
甲第15号証:特開2003-95780号公報
甲第16号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:圧壊強度測定、粒度分布測定(ふるい法)、測定試料:カウンシルコンプリート1キロ粒剤
甲第17号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:圧壊強度測定、粒度分布測定(ふるい法)、測定試料:ファンタジスタ顆粒水和剤
甲第18号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:圧壊強度測定、粒度分布測定(ふるい法)、測定試料:スパーダ顆粒水和剤
甲第19号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:マグネシウムの定量(ICP-AES)、分析試料:ファンタジスタ顆粒水和剤
甲第20号証:測定結果報告書、株式会社セイシン企業、粉体物性センター、2022年3月25日、測定項目:マグネシウムの定量(ICP-AES)、分析試料:スパーダ顆粒水和剤
甲第21号証:特開2009-203160号公報
甲第22号証:特開2011-68609号公報
甲第23号証:特開2011-195477号公報
甲第24号証:W DOBRAT and A MARTIJN編、CIPAC HANDBOOK VOLUME K、Analysis of Technical and Formulated Pesticides、COLLABORATIVE INTERNATIONAL PESTICIDES ANALYTICAL COUNCIL LIMITED、2003年、表紙、著作権等についての記載がある頁、目次、151~152頁
甲第1号証~甲第24号証は、特許異議申立書に添付して提出されたものである。
以下、甲第1号証~甲第24号証を「甲1」~「甲24」ということがある。
2 甲各号証の記載事項
(1)甲1の記載事項
甲1には以下の事項が記載されている。
甲1a)「2. 登録の決定
農薬取締法に基づき、農林水産大臣は、プロピリスルフロン 0.9 %粒剤(ゼータワン1キロ粒剤)及びプロピリスルフロン 1.7 %水和剤(ゼータワンフロアブル)を平成 22 年 12 月 13日に以下のとおり登録した。
(1)プロピリスルフロン 0.9%粒剤(ゼータワン1キロ粒剤)
登録番号
第 22834 号
農薬の種類及び名称
種類 プロピリスルフロン粒剤
名称 ゼータワン1キロ粒剤
物理的化学的性状
類白色細粒
有効成分の種類及び含有量
1-(2-クロロ-6-プロピルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-
3-イルスルホニル)-3-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イ
ル)尿素 ……… 0.90 %
その他の成分の種類及び含有量
界面活性剤、鉱物質微粉等 ……… 99.1 %」(3~4頁「2. 登録の決定」の項)
甲1b)「1.3 製剤
・・・
1.3.5 用途
除草剤
1.3.6 組成
ゼータワン1キロ粒剤
プロピリスルフロン 0.90%
界面活性剤、鉱物質微粉等 99.1 %」(10頁「1.3 製剤」の項)
甲1c)「2.1.2.3 製剤の物理的・化学的性状
プロピリスルフロン 0.9 %粒剤(ゼータワン1キロ粒剤)
本製剤の代表的ロットを用いた試験結果を表 2.1-3 に示す。
表 2.1-3:プロピリスルフロン 0.9 %粒剤の物理的・化学的性状試験の
結果概要
[図:0001406665000001.jpg]
[図:0001406665000002.jpg]
1) 水中において粒剤が原形をとどめなくなるまでの時間を測定
2) 粒剤の粒の安定性を測定することを目的とし、ふるい分けを行い、粒
度分布の増減を比較」(13~14頁「2.1.2.3 製剤の物理的・化学的性状」の項)
(2)甲2の記載事項
甲2には以下の事項が記載されている。
甲2a)「2. 登録の決定
農林水産大臣は、農薬取締法に基づき、・・・カウンシルコンプリート 1 キロ粒剤(テフリルトリオン 3.0 %・トリアファモン 0.50 %)・・・を平成 28 年 4 月 13 日に以下のとおり登録した。
・・・
カウンシルコンプリート1キロ粒剤
登録番号
第 23792 号
農薬の種類及び名称
種類 テフリルトリオン・トリアファモン粒剤
名称 カウンシルコンプリート1キロ粒剤
物理的化学的性状
類白色細粒
有効成分の種類及び含有量
2-{2-クロロ-4-メシル-3-[(テトラヒドロフラン-2-イ
ルメトキシ)メチル]ベンゾイル}シクロヘキサン-1,3-ジオン
………… 3.0 %
2’-[(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)
カルボニル]-1,1,6’-トリフルオロ-N-メチルメタンスルホ
ンアニリド ………… 0.50 %
その他の成分の種類及び含有量
鉱物質微粉等 ………… 96.5 %」(3~6頁「2. 登録の決定」の項)
甲2b)「1.3 製剤
・・・
1.3.5 用途
除草剤
1.3.6 組成
・・・
カウンシルコンプリート1キロ粒剤
テフリルトリオン 3.0 %
トリアファモン 0.50 %
鉱物質微粉 等 96.5 %」(13~14頁「1.3 製剤」の項目)
甲2c)「2.1.2.3 製剤の物理的・化学的性状
・・・
カウンシルコンプリート1キロ粒剤
(テフリルトリオン 3.0 %・トリアファモン 0.50 %粒剤)
本製剤の代表的ロットを用いた試験結果を表 2.1-4 に示す。
表 2.1-4:カウンシルコンプリート1キロ粒剤の物理的・化学的性状試験
の結果概要
[図:0001406665000003.jpg]
」(17~18頁「2.1.2.3 製剤の物理的・化学的性状」の項)
(3)甲3の記載事項
甲3には以下の事項が記載されている。
甲3a)「2. 登録の決定
農薬取締法に基づき、農林水産大臣は、ピリベンカルブ 40.0 %水和剤(ファンタジスタ顆粒水和剤)を平成 24 年 8 月 20 日に以下のとおり登録した。
ピリベンカルブ 40.0 %水和剤(ファンタジスタ顆粒水和剤)
登録番号
第 23102 号
農薬の種類及び名称
種類 ピリベンカルブ水和剤
名称 ファンタジスタ顆粒水和剤
物理的化学的性状
淡褐色水和性細粒
有効成分の種類及び含有量
メチル={2-クロロ-5-[(E)-1-(6-メチル-2-ピリジ
ルメトキシイミノ)エチル]ベンジル}カルバマート
……… 40.0 %
その他の成分の種類及び含有量
鉱物質微粉、界面活性剤等 ……… 60.0 %」(4頁「2. 登録の決定」の項)
甲3b)「1.3 製剤
・・・
1.3.5 用途
殺菌剤
1.3.6 組成
ファンタジスタ顆粒水和剤
ピリベンカルブ 40.0 %
鉱物質微粉、界面活性剤等 60.0 %」(9頁「1.3 製剤」の項)
甲3c)「2.1.2.4 製剤の物理的・化学的性状
ピリベンカルブ 40.0 %水和剤(ファンタジスタ顆粒水和剤)
本製剤の代表的ロットを用いた試験結果を表 2.1-4 に示す。
表 2.1-4:ピリベンカルブ 40.0 %水和剤の物理的・化学的性状試験の結
果概要
[図:0001406665000004.jpg]
」(13頁「2.1.2.4 製剤の物理的・化学的性状」の項)
(4)甲4の1の記載事項
甲4の1には以下の事項が記載されている。
甲4の1a)「2. 登録の決定
農林水産大臣は、農薬取締法に基づき、スパーダ顆粒水和剤(フェノキサスルホン 75.0 %水和剤)を平成 26 年 5 月 16 日に、・・・に以下のとおり登録した。
スパーダ顆粒水和剤
登録番号
第 23472 号
農薬の種類及び名称
種類 フェノキサスルホン水和剤
名称 スパーダ顆粒水和剤
物理的化学的性状
淡褐色水和性細粒
有効成分の種類及び含有量
3-[(2,5-ジクロロ-4-エトキシベンジル)スルホニル]-4
,5-ジヒドロ-5,5-ジメチル-1,2-オキサゾール
……… 75.0 %
その他の成分の種類及び含有量
鉱物質微粉等 ……… 25.0 %」(3~4頁「2. 登録の決定」の項)
甲4の1b)「1.3 製剤
・・・
1.3.5 用途
除草剤
1.3.6 組成
・・・
スパーダ顆粒水和剤
フェノキサスルホン 75.0 %
鉱物質微粉等 25.0 %」(12~13頁「1.3 製剤」の項)
甲4の1c)「2.1.2.2 製剤の物理的・化学的性状
・・・
スパーダ顆粒水和剤(フェノキサスルホン 75.0 %水和剤)
本製剤の代表的ロットを用いた試験結果を表 2.1-4 に示す。
表 2.1-4:スパーダ顆粒水和剤の物理的・化学的性状試験の結果概要
[図:0001406665000005.jpg]
」(16~17頁「1.3 製剤」の項)
(5)甲4の2の記載事項
甲4の2には以下の事項が記載されている。
甲4の2a)「1.製品及び会社情報
製品名 : スパーダ顆粒水和剤」(1頁「1.製品及び会社情報」の項)
甲4の2b)「3.組成、成分情報
・・・
成分及び含有量: フェノキサスルホン 75.0 %
<その他> 結晶質シリカ(石英) 6.6 %
界面活性剤、鉱物質微粉等 18.4 %」(2頁「3.組成、成分情報」の項)
甲4の2c)「9.物理・化学的性質
外観等 : 淡褐色水和性細粒
・・・
密度・比重 : 0.61(参考値)」(3頁「9.物理・化学的性質」の項)
(6)甲5の記載事項
甲5には以下の事項が記載されている。
甲5a)「2. 登録の決定
農林水産大臣は、農薬取締法に基づき、サンブラス粒剤(トルプロカルブ 3.0 %粒剤)・・・を平成 27 年 9 月 18 日に以下のとおり登録した。
サンブラス粒剤
登録番号
第 23703 号
農薬の種類及び名称
種類 トルプロカルブ粒剤
名称 サンブラス粒剤
物理的化学的性状
類白色細粒
有効成分の種類及び含有量
2,2,2-トリフルオロエチル=(S)-[2-メチル-1-(p-
トルオイルアミノメチル)プロピル]カルバマート
………… 3.0 %
その他の成分の種類及び含有量
鉱物質微粉等 ………… 97.0 %」(3~4頁「2. 登録の決定」の項)
甲5b)「1.3 製剤
・・・
1.3.5 用途
殺菌剤
1.3.6 組成
サンブラス粒剤
トルプロカルブ 3.0 %
鉱物質微粉等 97.0 %」(9頁「1.3 製剤」の項)
甲5c)「2.1.2.2 製剤の物理的・化学的性状
サンブラス粒剤(トルプロカルブ 3.0 %粒剤)
本製剤の代表的ロットを用いた試験結果を表 2.1-2 に示す。
表 2.1-2:サンブラス粒剤の物理的・化学的性状試験の結果概要
[図:0001406665000006.jpg]
」(11~12頁「2.1.2.2 製剤の物理的・化学的性状」の項)
(7)甲6の記載事項
甲6には以下の事項が記載されている。
甲6a)「〔第71号〕
・・・
2. 見掛け比重
内径50mmの100mlの金属製円筒容器の上に80メッシュの標準フル
イをおき注1)、これに試科を入れ、ハケ注2)で軽くはき落して容器
を満たす。ただちにスライドグラスを用いて余剰分をすり落して秤量し、
内容物の重量(Ag)を求め、次の式によって見掛比重を算出する。
[図:0001406665000007.jpg]
注1)フルイ網と容器の上縁との距離を20cmとする。
2)ハケは粉末度測定の場合と同じものを用いる。」(425頁4行~426頁3行、「〔第71号〕」、「2. 見掛け比重」の項)
甲6b)「4. 水和性
500mlのビーカーに20℃の水注1)200mlを入れ、これに試料
注2)5gを水面上約10cmの位置よりうすくひろがるように静かに落
す。試料が落し終わってから水面下に没するまでの時間を測定する。
これをガラス棒でかきまぜて懸濁の均一性を観察する。
注1)水 :懸垂性の測定と同じものを用いる。
2)試料:あらかじめ40メッシュの標準フルイを通過させておく。」(426頁「4. 水和性」の項)
甲6c)「〔第750号〕
粉粒剤の粒度
組ふるい目※1の開きの小から大の順に受けざらの上に積み重ね、その最上部のふるい上に試料50gを入れ、ふたをして、ふるい分け器※2にとりつけ、10分間ふるい分けを行なう。それぞれのふるいを離し、各ふるいに残留した試料および受けざらに、たまった試料の重さをはかり※3次式により粒径分布の重量百分率を算出する。
[図:0001406665000008.jpg]
※1 JIS Z 8801に規定された内径200mm、深さ45mmの網
ふるいを用いる。目の開きが44μ~297μのものを用いる。
※2 振とう回数250~300 r.p.m.打数130~105 t.p.m
.のロータップ型ふるい分け器を用いる。但し、振とう回数は29
0 r.p.m.打数は156 t.p.m.が望ましい(JIS R60
02)
※3 0.01gまで秤量することの出来るはかりを用いる。」(427頁「〔第750号〕粉粒剤の粒度」の項)
(8)甲7の記載事項
甲7には以下の事項が記載されている。
甲7a)「
[図:0001406665000009.jpg]
」(3頁)
甲7b)「
[図:0001406665000010.jpg]
」(4頁)
甲7c)「
[図:0001406665000011.jpg]
」(5頁)
甲7d)「
[図:0001406665000012.jpg]
」(6頁)
甲7e)「
[図:0001406665000013.jpg]
」(7頁)
(9)甲8の記載事項
甲8には以下の事項が記載されている。
甲8a)「農薬粒剤 Granule
10~48メッシュ(297~1680μm)の大きさに加工された農薬製剤を粒剤という.1~10数%の有効成分を含み,これをそのまヽ水田や畑に散布して用いる.
製造方法によって大きく二つの形に分けられる.一つは10~48メッシュに予め粉砕もしくは造粒した,石灰石,軽石,クレーなどの粒に有効成分を被覆あるいは,含浸させるもので,ほかの一つは,300メッシュ(46μm)以下に粉砕されたクレー,ベントナイトなどと有効成分・水などを混練して,押出し造粒するものである.」(429頁1~10行)
(10)甲9の記載事項
甲9には以下の事項が記載されている。
甲9a)「IV 製剤処方
1キロ粒剤は有効成分,界面活性剤,結合剤,キャリアー等から構成されている。」(184頁左欄下から6~4行)
甲9b)「有効成分が固体の場合,有効成分粒子の粒径を調節することが多い。水への溶出速度は,有効成分粒子の表面積に依存するため,粒径が細かく表面積が大きい場合は溶出速度が速く,粗い場合は溶出速度が遅くなる。回転系粉砕機やジェット粉砕機を使用した乾式粉砕では粒径を5~30μmに調整可能であり,さらに粒径を細かくした場合は,ビーズミルなどによる湿式粉砕も取り入れている。数種の有効成分を組合せた製剤の場合,各有効成分の粒径を調整することによる溶出コントロールが最も適した手法である。」(185頁左欄5~14行)
(11)甲10の1の記載事項
甲10の1には以下の事項が記載されている。
甲10の1a)「流動層造粒法による顆粒水和剤の製法は,あらかじめ乾式粉砕した原料粉体を流動層内に投入し,ここに水またはバインダー水溶液を噴霧して造粒する一般的な方法と,湿式の微粉砕工程で得られた原料懸濁液を,原料粉体のない空の層内に直接噴霧して造粒する方法(直接顆粒化法)が挙げられる9-11).後者の製法では,湿式粉砕プロセスを経由するため,数ミクロンからサブミクロンサイズまでの幅広い範囲での微粉砕が可能である利点があり,最適な粒子径まで微粉砕することで,薬効や製剤物性など目的とする性能が付与可能となることが期待できる.」(281頁左欄最終行~右欄下から2行)
甲10の1b)「そこで本研究では,湿式粉砕条件を変えて調製した種々の粒子径の有効成分を含有する農薬懸濁液を,直接顆粒化法にて同一条件で造粒し,農薬懸濁液中の有効成分の粒子径が,顆粒水和剤の重量中位径及び水中崩壊性に及ぼす影響について検討した.」(282頁左欄3~7行)
甲10の1c)「なお,本研究において農薬懸濁液中の有効成分粒子径(体積中位径)の上限値は懸垂性を考慮して9.2μmとし,また下限値は今回用いた循環式ビーズミルで到達可能であった0.14μmとした.」(283頁左欄5~8行)
(12)甲11の1の記載事項
甲11の1には以下の事項が記載されている。
甲11の1a)「
[図:0001406665000014.jpg]
」(283頁)
甲11の1b)「(3) 硬度 (崩壊率)
この規格は輸送中での粉化,散布での崩壊などが起こる可能性をテストするものであり,・・・。全農での目標規格は崩壊率で15%以下であるが,現在の3キロ粒剤ではほぼ全剤10%以下である。・・・
測定方法は特定の特製磁製ポットに0.5mmの篩でふるった100gの粒剤を35g/個の同様な磁製球3個とともに入れ,可変ローラーで75回転/分で15分間回転させ,取り出して0.5mm篩で再度ふるって通過微粉を計量する。」(284頁左欄下から7行~右欄8行)
(13)甲12の記載事項(翻訳文で示す。)
甲12には以下の事項が記載されている。
甲12a)「(iv) 粒子性,破砕性及び付着性
4.5.31 湿式飾試験
目的
スプレーノズルやフィルタのつまりの原因となる大きさの不溶性粒子の
含有を制限すること。
適用範囲
水和剤 (WP);種子処理用及び油剤を含む懸濁型濃縮剤(SC,FS及びOD)
;顆粒水和剤(WG)及び種子処理スラリー用水分散性粉末剤(WS);水性カ
プセル懸濁剤(CS);分散型濃縮剤(DC);サスポエマルジョン剤(SE);水
溶性錠剤及び水和性錠剤(ST及びWT);並びに、乳化性顆粒剤及び粉末剤
(EG及びEP)。
方法
MT182 再生水を利用した湿式飾分け。
MT185 湿式飾試験、好ましい方法、MT59.3及びMT167を改定したもの。
必要条件
適切なフレーズと値は次のとおり:
75μmのテスト飾上に最大2%保持される。」(51頁14~32行)
甲12b)「(v) 分散性
4.5.41 分散性及び分散自発性
目的
水で希釈した際に製剤が容易かつ迅速に分散することを保証すること。
適用範囲
懸濁型濃縮剤(SC)、水性カプセル懸濁剤(CS)及び顆粒水和剤(WG)。
方法
MT160 懸濁型濃縮剤の分散自発性;
MT174 顆粒水和剤の分散性
必要条件
懸濁型濃縮剤、カプセル懸濁剤の場合、通常、有効成分の少なくとも60
%が分散状態のままでなければならない。顆粒水和剤(WG)の場合、重量
分析による分散性が少なくとも60%とする。」(55頁11~26行)
(14)甲13の記載事項
甲13には以下の事項が記載されている。
甲13a)「8.崩壊性測定法
(1)目的
粒剤の粒の安定性を測定することを目的とする。
(2)操作
「粒度」の測定法に準じた方法によって 10 分及び 20 分間ふるい分
けを行い、 10 分及び 20 分間の粒度分布の増減を比較する。ただし、
ふるいは目開き 1700μm(10 メッシュ)、300 μm(48 メッシュ)
、 105 μm(150 メッシュ)、 45 μm(300 メッシュ)の4種類を
使用する。
9.水中崩壊性測定法
(1)目的
水田で使用される粒剤の性能、品質に関する情報を得るため、水中に
おける粒の崩壊性を測定することを目的とする。
(2)操作
直径9 cm のガラス製シャーレに水(3硬度水(*))50mlを入れ
て静置し、供試粒剤 5 粒をほぼ均一になるように投入する。投入直後
から供試粒剤が原形をとどめなくなるまでの時間を測定する。
(*)硬度3度の水の調製法:炭酸カルシウム 0.3077g、酸化マグネシ
ウム 0.092g を少量希塩酸に溶かしたのち、砂浴上で蒸発乾固し
て塩酸を除去し、水で1lに希釈する。この水は硬度 30 度である
から、使用に際して 10 倍希釈する。」(13頁8及び9の項)
甲13b)「3.観察等
経時的に次に掲げる観察等を実施する。
(1)有効成分の定量分析
(2)有効成分の分解率の算出
(3)製剤の外観等の物理的化学的性状の観察(色調、外観、状態、再分散
性等)
(4)容器の状態の観察」(14~15頁3の項)
(15)甲14の1の記載事項
甲14の1には以下の事項が記載されている。
甲14の1a)「
[図:0001406665000015.jpg]
」(2頁)
(16)甲15の記載事項
甲15には以下の事項が記載されている。
甲15a)「【請求項1】 水酸化マグネシウムと軽焼マグネシアの混合物に硫酸を加え、軽焼マグネシアと硫酸の反応によって生じた硫酸マグネシウムをバインダーとして造粒し、ク溶性苦土成分55wt%以上、および水溶性苦土成分3wt%以上を含むことを特徴とする粒状苦土肥料。
【請求項2】 軽焼マグネシアと硫酸の反応によって生成した硫酸マグネシウムおよび生成した水酸化マグネシウムをバインダーとして造粒する請求項1の粒状苦土肥料。
【請求項3】 水酸化マグネシウム69~80wt%、軽焼マグネシア0~10wt%、硫酸マグネシウム9.5~20wt%を含む請求項1または2の粒状苦土肥料。」
(17)甲16の記載事項
甲16には以下の事項が記載されている。
甲16a)「
[図:0001406665000016.jpg]
」(3頁)
甲16b)「
[図:0001406665000017.jpg]
」(4頁)
甲16c)「
[図:0001406665000018.jpg]
」(5頁)
甲16d)「
[図:0001406665000019.jpg]
」(6頁)
甲16e)「
[図:0001406665000020.jpg]
」(7頁)
(18)甲17の記載事項
甲17には以下の事項が記載されている。
甲17a)「
[図:0001406665000021.jpg]
」(3頁)
甲17b)「
[図:0001406665000022.jpg]
」(4頁)
(19)甲18の記載事項
甲18には以下の事項が記載されている。
甲18a)「
[図:0001406665000023.jpg]
」(3頁)
甲18b)「
[図:0001406665000024.jpg]
」(4頁)
(20)甲19の記載事項
甲19には以下の事項が記載されている。
甲19a)「
[図:0001406665000025.jpg]
」(3頁)
(21)甲20の記載事項
甲20には以下の事項が記載されている。
甲20a)「
[図:0001406665000026.jpg]
」(3頁)
(22)甲21の記載事項
甲21には以下の事項が記載されている。
甲21a)「【請求項1】
バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Strptococcus)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属及びピキア(Pichia)属に属する微生物を含む微生物由来の多糖類と硫酸カルシウムとを有効成分として含有することを特徴とする抗ウイルス又は抗菌剤。
【請求項2】
微生物として、さらに、耐塩性酵母菌、耐塩性乳酸菌、硝化細菌、硫黄細菌、メタン酸化細菌、硫黄還元細菌、光合成細菌、好塩菌の群から選ばれる1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1記載の抗ウイルス又は抗菌剤。
【請求項3】
微生物由来の多糖類が、その生菌体及び/又は死菌体を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の抗ウイルス又は抗菌剤。
【請求項4】
さらに、藻類を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のウイルス又は抗菌剤。」
甲21b)「【0031】
本発明では、藻類として、藍藻等を、例えば、Calothrix scopulorum、Nostoc sp.、Anabaena cylindrica、Anabaena flos-aquae、Tolypothrix tenuisやChlorella vulgaris、Chlorella pyrenoidosa、Chlorella ellipsoida、Ulothrix sp.、Uronema gigas、Spirulina maxima等を用いることができる。」
(23)甲22の記載事項
甲22には以下の事項が記載されている。
甲22a)「【0017】
本願発明の水系用の防藻剤は、一般に藻類等に対して広く作用する。本願発明の水系用の防藻剤によって発育が阻止、あるいは死滅し得る藻類としては、Chlorella属、Chlorococcum属、Klebsormidium属、Protococcus属、Scenedesmus属及びTrentepohlia属等の緑藻、Nostoc属、Oscillatoria属及びPhormidium属等の藍藻、Navicula属、Synedra属及びCymbella属等の珪藻等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。」
(24)甲23の記載事項
甲23には以下の事項が記載されている。
甲23a)「【0021】
本発明の望まれない植物の防除組成物は、土壌処理、土壌混和処理、茎葉処理のいずれの処理方法においても、イヌホウズキ(Solanum nigrum)、・・・、藍藻、紅藻、褐藻、緑藻等の各種植物、蘚苔類、藻類に高い殺草力を有する。」
(25)甲24の記載事項(翻訳文で示す。)
甲24には以下の事項が記載されている。
甲24a)「*MT186 バルク密度
・・・
手順
試料を薬包紙の上に置く。かかる薬包紙を傾斜させて、風袋シリンダー(注3)に容量の約90%が満たされるまで、スムーズに試料を注ぐ。この試料の量(w g)を0.1g単位で秤量する。
材料の表面を静かに平らにして、2ml単位で容量を測定する(V1 mL)。
ゴム栓をシリンダーに揺さぶらないようにはめ込む。手動タッピング法(注4) のため、ドロップボックスにシリンダーを注意深く入れ、時限装置をスタートさせる。
シリンダーの上部をそっとつかんで25mm(注5)持ち上げ、ゴム製のベースパッドに落としてタップするのを、2秒ごと(注6)に合計50回タップするまでこれを繰り返す。2ml単位で材料の容量(V2 ml)を測定、記録する。密度(g/ml) を計算する。
注ぎ密度 Dp=W/V1 g/ml
タップ密度 DT=W/V2 g/ml
注1 Jolting体積計は次より入手できる。:J.Enge1smann AG、フランケン
サーラー通り 137-141、67059 ルートヴィヒスハーフェン、ドイツ国
注2 Jencons株式会社、マークロード、ヘメル ヘムステッド、ハーツ、英
国より入手できる。
注3 Jolting体積計を選ぶ場合、装置に付属しているシリンダーを使う必要
がある。
注4 手動でのタッピングの代わりに、Jolting体積計を使用することができ
る。試料の入ったシリンダーをJolting体積計に固定し、装置を1000回
ストロークさせる。
注5 オプションとして、25mmの持ち上げを制御するために、BS 1460:1967
(Jencons Scientific Limited)に記載されているドロップボックスを 使用することもできる。
注6 シリンダーを持ち上げた際に約10度回転させると、材料の表面を平ら
にするのに有用である。」(151~152頁)
第6 当審合議体の判断
当審合議体は、本件特許の請求項1~22、24~27に係る特許は、当審合議体が通知した取消理由及び申立人が申し立てた理由により取り消すべきものではないと判断する。
その理由は以下のとおりである。
1 当審合議体が通知した取消理由通知(決定の予告)について
(1)令和5年3月31日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は上記第4、1で示したとおりである。
(2)理由1(明確性要件)について
理由1は(1)~(3)の理由からなり、それらの概要は、
『(1)・・・請求項1、24、25、27に、「少なくとも1Nの硬度」との記載があるところ、硬度には種々の測定法が存在し、測定法に応じて硬度の考え方が異なり、測定値の表現の仕方も異なるから、請求項1、24、25、27に記載された「少なくとも1Nの硬度」を有する「水崩壊性粒状組成物」又は「水崩壊性農業用粒状組成物」を明確に把握することができない。・・・硬度測定時の荷重の負荷速度によって測定結果である硬度が異なる値になるといえる。したがって、硬度測定時の少なくとも負荷速度が特定されていない本件発明は明確でない。』、
『(2)・・・請求項1、24、25に記載の「水崩壊性粒状組成物」、請求項24に記載の「水崩壊性顆粒組成物」、請求項27に記載の「水崩壊性農業用粒状組成物」は・・・してみると、上記各請求項に記載の組成物が「非水溶性栄養素」と「賦形剤」とで具体的に一致する酸化亜鉛を含有する場合に、組成物が「非水溶性栄養素」と「賦形剤」の両者を含有するといえるのかが明確でない。』及び
『(3)・・・請求項1、24、25、27に「前記殺虫性活性剤は、防汚剤、殺虫剤、防かび剤、除草剤、殺線虫剤、枯葉剤、ダニ駆除剤、植物成長調整剤、殺藻剤、摂食阻害剤、殺鳥剤、鳥類忌避剤、生物農薬、化学不妊化剤、薬害軽減剤、昆虫誘引剤、昆虫忌避剤、昆虫成長調整剤、哺乳類忌避剤、交配撹乱物質、消毒剤、軟体動物駆除剤、抗微生物、殺ダニ剤、殺卵剤、燻蒸剤、植物活性化剤、殺鼠剤、共力剤、殺ウイルス剤、忌避剤、微生物殺虫剤、植物導入保護剤もしくは塩類、誘導体類、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つを有する」との記載があるところ、通常、防汚剤、・・・は殺虫性の活性を有しているとはいえず、それらが殺虫性活性剤に相当するとはいえない。』というものである。
そこで、以下検討する。
ア 理由(1)について
まず、「少なくとも1Nの硬度」との記載について、本件明細書には、「【0072】・・・一実施形態によると、顆粒が示す硬度は、少なくとも1Nである。・・・顆粒が示す硬度は、島津、Brinell Hardness (AKB-3000 Model)、Mecmesin、Agilent、Vinsyst、AmetekおよびRockwellにより提供されるもの等の硬度テスタで推定され得る。 」(下線は当審合議体が付与。以下同様。)と記載されているところ、令和4年10月26日付けで特許権者が提出した意見書の参考資料(6~7頁)には、Vinsystの硬度テスタについて、「ロードセルによる500ニュートンまでの硬度測定」、「N、kgf及びlbfの測定単位」との記載があり(6~7頁)、Agilentの硬度テスタについて、「測定単位」の項目に「ニュートン〔N〕」との記載があり(11頁)、同5年2月3日付けで申立人が提出した意見書に添付された参考資料8-1には、島津のMCTシリーズが「硬さ試験機」であることが記載され(1頁最上段)、同年8月29日付けで申立人が提出した意見書に添付された参考資料Eには、同シリーズの圧縮試験について、「P:試験力(N)」との記載がある(6頁「圧縮試験」の項)。
してみると、請求項1、24、25、27の「少なくとも1Nの硬度」との記載は、少なくとも、本件明細書に記載された、島津、Agilent又はVinsystの硬度テスタ又は硬さ試験機によって、N(ニュートン)を単位として測定されるものとして理解できるといえる。
次に、硬度測定時の荷重の負荷速度について、令和5年2月3日付けで申立人が提出した意見書に添付された参考資料1には、「負荷の速度と均一性」(表題)との記載、「毎秒20ニュートン(N)以下の一定の負荷速度、または毎秒3mm以下の一定のプラテンの動きは、一貫した方法で制御された破壊を促進します。」との記載、「方法が異なると、特定の錠剤サンプルについて数値的に異なる結果が生じる可能性があるため、荷重の適用率または変位を、決定された破壊力とともに指定する必要があります。」との記載がある(3~4頁和訳)。ここで、上記の2つ目の記載は、所定の範囲の一定の負荷速度及び一定のプラテンの動きによって、一貫した方法で測定対象物の破壊を制御できることが示されているにすぎず、硬度が負荷速度に依存することまでを示すものとはいえない。上記3つ目の記載は、方法が異なると、数値的に異なる結果が生じる可能性があり、荷重の適用率又は変位を、決定された破壊力とともに指定する必要があることを示しているが、方法の相違によって得られる結果が異なる可能性があるため、荷重の適用率等を指定する必要があることを示すにとどまり、大きな負荷速度や大きなプラテンの動きをする測定条件においては、測定結果が影響を受ける場合があるという可能性に言及しているだけで、当業者は技術常識に基づき適切な硬度測定条件を採用することができるので、第三者に不測の不利益を及ぼす程度に不明確であるとはいえない。
そして、島津、Agilent又はVinsystの硬度テスタ又は硬さ試験機によって硬度を測定する際には、各機器の仕様に応じた標準的な測定方法にしたがって測定するのが通常であるといえ、測定方法の相違によって測定される硬度に差異が生じるという具体的な理由もない。
したがって、請求項1、24、25、27に記載された「少なくとも1Nの硬度」を有する「水崩壊性粒状組成物」及び「水崩壊性農業用粒状組成物」の「顆粒」を明確に把握することができる。
よって、この点に理由はない。
イ 理由(2)について
本件訂正によって請求項1、24、25及び27に記載の上記各組成物において、賦形剤が酸化亜鉛を含まないものとなった。したがって、『「非水溶性栄養素」と「賦形剤」とで具体的に一致する酸化亜鉛を含有する場合』はないから、この点に理由はない。
なお、令和4年7月22日付けの取消理由通知で指摘した、水酸化マグネシウム等についても、上記各請求項において賦形剤に含まれないものとなっている。
ウ 理由(3)について
本件訂正によって請求項1、24、25、27に「前記殺虫性活性剤は、防汚剤、殺虫剤、防かび剤、除草剤、殺線虫剤、枯葉剤、ダニ駆除剤、植物成長調整剤、殺藻剤、摂食阻害剤、殺鳥剤、鳥類忌避剤、生物農薬、化学不妊化剤、薬害軽減剤、昆虫誘引剤、昆虫忌避剤、昆虫成長調整剤、哺乳類忌避剤、交配撹乱物質、消毒剤、軟体動物駆除剤、抗微生物、殺ダニ剤、殺卵剤、燻蒸剤、植物活性化剤、殺鼠剤、共力剤、殺ウイルス剤、忌避剤、微生物殺虫剤、植物導入保護剤もしくは塩類、誘導体類、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つを有する」との記載は存在しないものとなったから、この点に理由はない。
エ 申立人の主張について
申立人は、令和5年8月29日付けの意見書において概要、次の主張をしている。
(ア)本件明細書には、装置メーカー、硬度の指標及び装置名が混ざった雑多な記載があるのみであり、当該記載から、Vinsyst、島津又はAgilentの硬度テスタを採用し、それらを用いて測定される硬度を、本件特許発明における硬度と定義するに至る根拠はない。すなわち、当業者にとって、本件明細書の記載及び技術常識を参酌しても、水崩壊性粒状組成物の「少なくとも1Nの硬度」とされる程度を理解することは困難であって、特許請求の範囲の記載は不明確である(意見書1~2頁ア)。
(イ)錠剤は粒状組成物の範疇に含まれないこと、錠剤の硬度を測定する硬度テスタ(Vinsist社及びAgilent社の硬度計)を用いて、本件発明の粒状組成物の硬度を測定することができるとはいえないこと、参考資料1は、測定条件を特定しないと正確な値を、再現性を伴って得ることができないことを示すものであって、「方法が異なると・・・数値的に異なる結果が生じる可能性がある」という漠然とした可能性を示すのみとはいえないことを指摘して、水崩壊性粒状組成物の硬度が、仮に、「Vinsyst、島津またはAgilentの硬度テスタによって測定することができる」ものであるとしても、依然として「少なくともlNの硬度」との記載の技術的意味及び硬度としての範囲が明確でなく、不明確である(意見書2~6頁イ)。
(ウ)請求項1、24、25及び27に係る各発明は、【0063】及び【0064】の記載をみると、依然として「前記農業用活性化学製品は・・・非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと・・・を有し」なる要件を含むものであり、上記要件における殺虫性活性剤が示す範囲は不明確のままである(意見書6~7頁ウ)。
そこで検討する。
(ア)について
本件発明においては、「少なくとも1Nの硬度」として硬度が「力」の単位で特定されているところ、上記アで述べたとおりであるから、本件明細書の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、当該単位によって硬度を測定できるといえるVinsyst、島津又はAgilentの硬度テスタ又は硬さ試験機によって当該硬度を測定できるといえるから、特許請求の範囲の記載は明確である。
(イ)について
錠剤が粒状組成物に含まれるかどうかはともかく、Vinsist社及びAgilent社の硬度計の測定対象が「錠剤」のみで、粒状の物質を測定することができないという根拠はない。参考資料1の記載については、上記アで述べたとおりである。したがって、「少なくともlNの硬度」との記載の技術的意味及び硬度としての範囲が明確でないとはいえない。
(ウ)について
請求項1、24、25及び27に「殺虫性活性剤」との記載があり、本件明細書に「【0063】 別の実施形態によると、殺虫性活性剤は、防汚剤、誘引剤、殺虫剤、防かび剤、除草剤、殺線虫剤、フェロモン、枯葉剤、ダニ駆除剤、植物成長調整剤、殺藻剤、摂食阻害剤、殺鳥剤、殺菌剤、鳥類忌避剤、生物農薬、バイオサイド、化学不妊化剤、薬害軽減剤、昆虫誘引剤、昆虫忌避剤、昆虫成長調整剤、哺乳類忌避剤、交配撹乱物質、乾燥剤、消毒剤、軟体動物駆除剤、抗微生物、殺ダニ剤、殺卵剤、燻蒸剤、植物活性化剤、殺鼠剤、共力剤、殺ウイルス剤、忌避剤、微生物殺虫剤、植物導入保護剤、または塩類、誘導体類、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む。」との記載があるところ、「殺虫性活性剤」との語句はその表記上、「殺虫性の活性を有する剤」と解されるから、文言自体に不明確な点はない。
また、【0063】及び【0064】の記載については、「殺虫性活性剤は、防汚剤・・・のうちの少なくとも1つを含む。」と記載されているところ、仮に、列記された物質の中に誘引剤等それ自体に殺虫性の活性がないものが含まれる場合があるとしても、そのような誘引剤等を含む「殺虫性活性剤」が、上述のとおり「殺虫性の活性を有する剤」であると解することと何ら矛盾しない。
したがって、請求項1、24、25及び27に記載の「殺虫性活性剤」は不明確であるとはいえない。
よって、申立人の主張はいずれも採用できない。
オ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~22、24~27は明確であり、理由1には理由がない。
(3)理由2(明確性要件)について
令和5年3月31日付けの取消理由通知(決定の予告)で指摘した理由2の概要は、『請求項1、24、25、27に「殺虫性活性剤」の選択肢として記載された「塩類」及び「誘導体類」にどのような範囲の物質が包含されるかが明確でない。』というものであるところ、本件訂正により、請求項1、24、25及び27に「殺虫性活性剤」の選択肢の記載は存在しないものとなった。
したがって、本件発明1~22、24~27は明確であり、理由2には理由がない。
(4)理由3(実施可能要件)
令和5年3月31日付けの取消理由通知(決定の予告)で指摘した理由2の概要は、『特許異議申立人が提出した参考資料2~5によれば、Vinsyst及びAgilentの硬度テスタは、錠剤の硬度を測定する機器であるから、錠剤とはその形状が異なる「粒状」である本件発明1、24、25、27の組成物の硬度を測定できるとはいえず、「錠剤」を測定する上記硬度テスタで「粒状」である本件発明の「水崩壊性粒状組成物」及び「水崩壊性農業用粒状組成物」の硬度をどのように測定するかは出願時の技術常識でもない。
また、仮に、本件発明の「水崩壊性粒状組成物」及び「水崩壊性農業用粒状組成物」の硬度をVinsyst、島津及びAgilentの硬度テスタで測定できるとしても、・・・以上の硬度テスタの測定可能範囲をまとめると、1~500μm、2~40mmである一方、本件発明で特定されるサイズ範囲は「0.1~6mm」であるから、上記硬度テスタでは、本件発明の全てのサイズ範囲の硬度を測定できない・・・してみると、本件出願時の技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明は、本件発明1、24、25及び27を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。』というものである。
そこで検討する。
ア 硬度テスタの測定対象について
令和5年2月3日付けで申立人が提出した意見書に添付された参考資料2、3-1~3-3及び5に硬度のテスタの記載があるところ、いずれも「Tablet Hardness Tester」(錠剤硬度テスタ)と記載されているから、一応、Tablet(錠剤)を対象とする硬度テスタであると認められる。
しかし、たとえば参考資料2には、硬度テスタの使用方法について、「錠剤は、精密研磨された2つのプラテンジョーの間に置かれ、そのうちの1つはロードセルに、もう1つは手動機械駆動装置に取り付けられている。試験中、手動ジョーはノブを回すことで前進し、緩やかな動きで錠剤を固定ジョーに押し付けます。このプロセスは、錠剤が破砕され、破砕点が装置に登録されるまで続けられます。」と記載されており(翻訳文で示した。「Method of Use」の項)、また、令和5年8月29日付けで申立人が提出した意見書に添付された参考資料Eには、圧縮試験について「この試験は、試料形状として粒子あるいは繊維を選択した場合、設定試験力まで負荷を与え、試料が破壊(圧裂)した場合は圧壊強度を、破壊しなかった場合は指定された変形時での強度を求める試験です。」と記載され(6頁「圧縮試験の項」)、また、「
[図:0001406665000027.jpg]
」と記載されている(7頁)ところ、いずれについても、測定試料を2つの部材に挟んで当該試料を破壊させることによって硬度を測定するものであるといえるから、測定対象が錠剤でないと硬度を測定できないというものであるとは解されず、粒状物であっても硬度を測定できるといえる。
したがって、「粒状」である本件発明の「水崩壊性粒状組成物」及び「水崩壊性農業用粒状組成物」の「顆粒」の硬度は、Vinsyst、島津及びAgilentの硬度テスタ又は硬さ試験機によって測定できるといえる。
よって、この点に理由はない。
イ 測定可能なサイズ範囲について
測定可能なサイズ範囲について、上記参考資料2及び3-1には、Vinsystの硬度テスタについて2~28mm及び3~40mmであることが(参考資料2の「SpecificationsのTablet Size」の項及び参考資料3-1の「Specifications」の「Range of Test Diameter」の項)、上記参考資料5には、Agilentの硬度テスタについて0.3175cm~3.4925cmであることが(3頁「Agilent 200 Specifications」の「Minimum tablet diameter」及び「Maximum tablet diameter」の項)、上記参考資料Eには、島津の1~500μmであることが(7頁「MCTシリーズの測定原理」)、令和5年7月4日付けで特許権者が提出した意見書には、Vinsystの錠剤テスタについて、直径、硬度等を測定できること、測定できる直径の範囲は0.5~35mmであることが(12頁1~2行及び「Technical Specifications」の表)それぞれ記載されており、これらをまとめると、測定可能なサイズ範囲は1μm~40mmであるから、本件発明で特定される「0.1~6mm」のサイズ範囲を測定できるといえる。
よって、この点に理由はない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和5年8月29日付けの意見書において概要、次の主張をしている。
(ア)本件発明に係る水崩壊性(農業用)粒状組成物は錠剤ではなく粒状である。このような粒状の水崩壊性(農業用)粒状組成物に対して、「錠剤」の硬度を測定する硬度テスタ(Vinsyst社)を転用してその硬度を測定することは、通常の利用方法ではない。加えて、本件明細書中に具体的な硬度の測定方法の記載すらないことも併せ考慮すると、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が、本件明細書等の記載及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤をすることなく当該水崩壊性(農業用)粒状組成物を生産できる程度に、明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない(意見書8頁イ)。
(イ)水崩壊性粒状組成物の硬度が、その粒径(サイズ)に依存することこそが技術常識であり(参考資料E)、粒状組成物の硬度を測定する際、当該粒状組成物の粒径は重要な要素である(意見書8~9頁ウ)。
(ウ)特許権者は、島津、Vinsist及びAgilentの各メーカーの硬度測定器を使い分けることにより、粒子径が0.1~6mmの範囲の粉粒体の硬度を全て測定することができることを主張しているが、上記各硬度テスタは本件明細書には一切記載されておらず、実施可能件の適合性は、発明の詳細な説明の記載と出願時の技術常識を前提として判断されるべきであり、出願後に提出された後出しの証拠とも言える上記各硬度テスタの測定可能範囲は、実施可能要件を満たす証拠としてそもそも参酌されるべきではない(意見書9~10頁エ)。
そこで検討する。
(ア)について
「錠剤」の硬度を測定する硬度テスタ(Vinsyst社)を転用してその硬度を測定することは、通常の利用方法ではないかどうかはともかく、上記アで述べたとおり、「粒状」である本件発明の「水崩壊性粒状組成物」及び「水崩壊性農業用粒状組成物」の「顆粒」の硬度は、Vinsyst、島津及びAgilentの硬度テスタ又は硬さ試験機によって測定できるといえる。また、本件明細書中に具体的な硬度の測定方法の記載がないとしても、通常、市販される機器の使用方法は当該機器に添付される説明書等に従えば理解でき、測定を実行できるから、本件明細書に具体的な硬度の測定方法の記載がないことを以て、本件明細書が明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないとすることはできない。
(イ)について
参考資料Eに示されているのは、圧縮強度を求める式であり、当該式において圧縮強度は、粒子直径の関数となっているので粒子直径に左右される値であるということができるが、当該値は単位がN/(mm)2であるのに対し、本件発明における硬度は単位がNであって、異なる物理量である。また、本件発明の硬度は上記アで述べたとおり、測定試料を2つの部材に挟んで当該試料を破壊させることによって硬度を測定するものであり、その粒径に依らずに決定される値であるから、粒径に依存するとはいえない。
(ウ)について
本件明細書に島津、Vinsist及びAgilentの各メーカーの硬度測定器の具体的な名称まで記載されていないのは、申立人の主張のとおりであるが、本件明細書の【0072】には「顆粒が示す硬度は、島津、Brinell Hardness (AKB-3000 Model)、Mecmesin、Agilent、Vinsyst、AmetekおよびRockwellにより提供されるもの等の硬度テスタで推定され得る。」と記載されているから、具体的な測定装置が特定されていなくても、かかる記載に基づいて利用可能な硬度テスタを用いて粒状組成物又は顆粒の硬度を測定することができるといえ、出願後に提出された各証拠は当該利用可能な硬度テスタの例を提示したにすぎないといえるから、それらを参酌することができないとするのは妥当ではない。
よって、申立人の主張はいずれも採用できない。
エ まとめ
以上のとおりであるから、発明の詳細な説明は、本件発明1~22、24~27を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえる。
したがって、理由3には理由がない。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)審判請求書において申立人が主張した特許異議申立理由は次のとおりである。
[理由A]本件特許の請求項1~27の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
[理由B]本件特許の請求項1~11、15、17、23、25及び27に記載された発明は、本件特許の優先日前に頒布された甲1~甲3、甲5に記載の発明と同一であり、本件特許の請求項1~10、15、17、23、25及び27に記載された発明は、本件特許の優先日前に頒布された甲4の1及び甲4の2に記載の発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号により特許を受けることができないものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
[理由C]本件特許の請求項1~27に記載された発明は、甲1~甲24に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
[理由D]本件特許の請求項1、24、25及び27について、令和3年6月24日提出の手続補正書にされた補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)理由Aについて
ア 理由Aは概要、以下の3つの理由からなる。
[理由A-1]請求項1、24、25及び27における「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子」なる記載について、(i)用語の意味するところが不明確であり、本件特許の出願当時の技術常識を考慮しても理解できず、また、(ii)測定方法によって粒子のサイズは異なることから、本件特許の出願当時の技術常識を考慮しても、粒子のサイズの求め方を当業者は理解できない。
[理由A-2]請求項1、24、25及び27における「少なくともlNの硬度」について、本件明細書の発明の詳細な説明には複数の装置メーカー、複数の硬度の指標、装置名が開示されているものの、硬度の定義、すなわち具体的な測定方法及び測定条件が不明である。測定方法や測定条件によって得られる硬度の値は異なることから、本件特許の出願当時の技術常識を考慮しても、上記「少なくともlNの硬度」の意味するところを当業者は理解できない。
[理由A-3]請求項1、24、25及び27において、「非水溶性栄養素」と「賦形剤」の両方の概念に入る成分が存在し、かかる成分が、水崩壊性粒状組成物中に、非水溶性栄養素として含まれるのか、賦形剤として含まれるのかが区別できない。したがって、本件特許の出願当時の技術常識を考慮しても、非水溶性栄養素、賦形剤の各々の定義は明確でなく、それらの意味するところを当業者は理解できない。
イ そこで検討する。
(ア)理由A-1について
請求項1には「前記水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」と記載されているから、粒状組成物中における粒子のサイズが「0.1~50μm」であることを特定していることは明らかである。
本件明細書に「【0025】一実施形態によると、本発明はさらに、農業用粒状組成物を調製するプロセスに関し、プロセスは、少なくとも1つの殺虫性活性成分と、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤との混合物を粉砕して、湿式混合物をスラリの形で得ることを伴う。プロセスは、さらに、スラリを乾燥させ、顆粒を得ることを伴う。」と記載されているところ、調製例において当該方法に従った方法で各種水崩壊性顆粒を製造したことが記載されており(【0136】~【0162】)、たとえば、【0161】には「・・・サンプルIの農業用粒状組成物を得た。ポリビニルピロリドン0.5部は、凝集時に取り込まれた。組成物は、以下の粒度分布を有した。D10は、0.9μmより小さく、D50は、6μmより小さく、D90は、15μmより小さかった。サンプルの平均顆粒サイズは3.8mm・・・であった。」と記載され、顆粒中の粒子のサイズを計測していることからみても、請求項1の「0.1~50μmのサイズ範囲」とは顆粒中の粒子のサイズを意味していることは明らかである。
そして、当該粒子のサイズは、顆粒が乾燥粉末を凝集して製造されていることから(調製例参照。)、当該乾燥粉末のサイズに基づくものであり、当該技術分野における通常の測定方法により測定することができるといえる。そして、申立人は、測定方法によって粒子のサイズが異なることを具体的に示しておらず、測定方法の違いによってサイズが変化することは通常考えられない。
したがって、理由A-1は理由がない。
(イ)理由A-2及びA-3について
これらの理由は、理由1(1)及び(2)と同旨であると認められるところ、上記1(2)(特にア及びイ)で述べたとおりであるから、理由がない。
ウ まとめ
したがって、理由Aには理由がない。
(3)理由B及び理由Cについて
ア 引用発明
(ア)甲1発明
摘記甲1a~甲1cからみて、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「名称が、ゼータワン1キロ粒剤であり、
用途が除草剤であり、
組成が、
プロピリスルフロン 0.90%
界面活性剤、鉱物質微粉等 99.1%であり、
粒度が、
1700μm以上 <0.1%
850~1700μm 99.2%
500~850μm 0.9%
300~500μm <0.1%
63~300μm <0.1%
63μm未満 <0.1%であり、
見掛け比重が、1.20であり、
水中崩壊性が18.9分である、プロピリスルフロン粒剤。」
(イ)甲2発明
摘記甲2a~甲2cからみて、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。
「名称が、カウンシルコンプリート1キロ粒剤であり、
用途が除草剤であり、
組成が、
テフリルトリオン 3.0%
トリアファモン 0.50%
鉱物質微粉等 96.5%であり、
粒度が、
1700μm以上 0.0%
850~1700μm 98.0%
500~850μm 2.0%
300~500μm 0.0%
63~300μm 0.0%
63μm以下 0.0%であり、
見掛け比重が、1.2であり、
水中崩壊性が11.7分である、テフリルトリオン・トリアファモン粒剤。」
(ウ)甲3発明
摘記甲3a~甲3cからみて、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。
「名称が、ファンタジスタ顆粒水和剤であり、
用途が殺菌剤であり、
組成が、
ピリベンカルブ 40.0%
鉱物質微粉、界面活性剤等 60.0%であり、
粒度が、
850~1700μm 0.5%
500~850μm 96.5%
300~500μm 3.0%
45~300μm 0%
45μm以下 0%であり、
見掛け比重が、0.65である、ピリベンカルブ水和剤。」
(エ)甲4の1発明
摘記甲4の1a~甲4の1cからみて、甲4の1には、以下の発明(以下「甲4の1発明」という。)が記載されていると認める。
「名称が、スパーダ顆粒水和剤であり、
用途が除草剤であり、
組成が、
フェノキサスルホン 75.0%
鉱物質微粉等 25.0%
であり、
粒度が、
850~1700μm 0.0%
500~850μm 93.0%
300~500μm 6.6%
63~300μm 0.0%
63μm以下 0.4%であり、
見掛け比重が、0.61である、フェノキサスルホン水和剤。」
(オ)甲4の2発明
摘記甲4の2a~甲4の2cからみて、甲4の2には、以下の発明(以下「甲4の2発明」という。)が記載されていると認める。
「製品名が、スパーダ顆粒水和剤であり、
組成が、
フェノキサスルホン 75.0%
結晶質シリカ(石英) 6.6%
界面活性剤、鉱物質微粉等 18.4%
密度・比重が0.61(参考値)である、スパーダ顆粒水和剤。」
(カ)甲5発明
摘記甲5a~甲5cからみて、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認める。
「名称が、サンブラス粒剤であり、
用途が殺菌剤であり、
組成が、
トルプロカルブ 3.0%
鉱物質微粉等 97.0%
であり、
粒度が、
850~1700μm 99.4%
500~850μm 0.4%
300~500μm 0%
63~300μm 0.1%
63μm以下 0.1%であり、
見掛け比重が、1.09であり、
水中崩壊性が14分である、トルプロカルブ粒剤。」
イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
a 甲1発明について
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「粒剤」は水中崩壊性を有する組成物であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」に相当する。
甲1発明が含有する「界面活性剤」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項17の記載を参酌すると、本件発明1の「農芸化学的に許容される賦形剤」に相当する。
甲1発明の粒度は、850~1700μmの範囲が99.2%であり、500~850μmの範囲が0.9%であり、その他の範囲はいずれも<0.1%であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲」にあることに相当する。
また、本件発明1において、「水崩壊性粒状組成物」は「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」を有するといえる。
したがって,本件発明1と甲1発明とは、
「水崩壊性粒状組成物であって、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤を有し、前記水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲にある水崩壊性粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つ」「を有」すると特定し、前記「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」は「少なくとも1つの農業用活性化学製品」が有するものとして特定しているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。
<相違点1-2>
水崩壊性粒状組成物について、本件発明1は「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲1発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「見掛け比重が、1.20」であり、硬度が不明である点。
<相違点1-3>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲1発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点1-2について検討する。
甲1には、粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8には、農薬粒剤の製造方法について、「製造方法によって大きく二つの形に分けられる.一つは10~48メッシュに予め粉砕もしくは造粒した,石灰石,軽石,クレーなどの粒に有効成分を被覆あるいは,含浸させるもので,ほかの一つは,300メッシュ(46μm)以下に粉砕されたクレー、ベントナイトなどと有効成分・水などを混練して,押出し造粒するものである.」との記載が(摘記甲8a)、甲9には、1キロ粒剤について、「有効成分が固体の場合,有効成分粒子の粒径を調節することが多い。水への溶出速度は,有効成分粒子の表面積に依存するため、粒径が細かく表面積が大きい場合は溶出速度が速く,粗い場合は溶出速度が遅くなる。回転系粉砕機やジェット粉砕機を使用した乾式粉砕では粒径を5~30μmに調整可能であり,さらに粒径を細かくした場合は,ビーズミルなどによる湿式粉砕も取り入れている。数種の有効成分を組合せた製剤の場合,各有効成分の粒径を調整することによる溶出コントロールが最も適した手法である。」との記載が(摘記甲9a及び甲9b)、甲10の1には、顆粒水和剤の製法について、「流動層造粒法による顆粒水和剤の製法は,あらかじめ乾式粉砕した原料粉体を流動層内に投入し,ここに水またはバインダー水溶液を噴霧して造粒する一般的な方法と,湿式の微粉砕工程で得られた原料懸濁液を,原料粉体のない空の層内に直接噴霧して造粒する方法(直接顆粒化法)が挙げられる9-11).後者の製法では,湿式粉砕プロセスを経由するため,数ミクロンからサブミクロンサイズまでの幅広い範囲での微粉砕が可能である利点があり,最適な粒子径まで微粉砕することで,薬効や製剤物性など目的とする性能が付与可能となることが期待できる.」、「本研究では,湿式粉砕条件を変えて調製した種々の粒子径の有効成分を含有する農薬懸濁液を,直接顆粒化法にて同一条件で造粒し,農薬懸濁液中の有効成分の粒子径が,顆粒水和剤の重量中位径及び水中崩壊性に及ぼす影響について検討した.」及び「なお,本研究において農薬懸濁液中の有効成分粒子径(体積中位径)の上限値は懸垂性を考慮して9.2μmとし,また下限値は今回用いた循環式ビーズミルで到達可能であった0.14μmとした.」との記載が(甲10の1a~甲10の1c)ある。
しかしながら、甲8及び甲9には、粒剤の製造方法、粒剤を0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲の粒子とする例や粒径調節についての一般的な事項が記載されているにすぎないから、甲1発明の粒剤が、甲8及び甲9の記載を参酌して、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるという根拠はない。また、甲10の1の記載は顆粒水和剤の製法についてのものであり、粒剤についての記載ではないから、甲10の1の記載を参酌して、甲1発明の粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点1-2の「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記のとおりの記載があるが、登録された農薬である甲1発明の粒剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲6、甲7、甲11の1~甲15、甲21~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1、甲6~甲15及び甲21~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
b 甲2発明について
本件発明1と甲2発明を対比する。
甲2発明の「粒剤」は水中崩壊性を有する組成物であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」に相当する。
甲2発明の粒度は、850~1700μmの範囲が98.0%であり、500~850μmの範囲が2.0%であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲」にあることに相当する。
したがって,本件発明1と甲2発明とは、
「水崩壊性粒状組成物であって、0.1~6mmのサイズ範囲にある水崩壊性粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤とを有」すると特定しているのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。
<相違点2-2>
水崩壊性粒状組成物について、本件発明1は「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲2発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「見掛け比重が、1.2」であり、硬度が不明である点。
<相違点2-3>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲2発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点2-2について検討する。
甲2には、粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8~甲10の1には、上記aで示した記載があるが、甲8及び甲9には、粒剤の製造方法、粒剤を0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲の粒子とする例や粒径調節についての一般的な事項が記載されているにすぎないから、甲2発明の粒剤が、甲8及び甲9の記載を参酌して、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるという根拠はない。また、甲10の1の記載は顆粒水和剤の製法についてのものであり、粒剤についての記載ではないから、甲10の1の記載を参酌して、甲2発明の粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲2に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点2-2の「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記aで示した記載があるが、登録された農薬である甲2発明の粒剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲6、甲11の1~甲16、甲21~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲2、甲6、甲8~甲16及び甲21~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
c 甲3発明について
本件発明1と甲3発明を対比する。
甲3発明の「顆粒水和剤」は粒状であり組成物であるから、粒状組成物である限りにおいて、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」と共通する。
甲3発明が含有する「界面活性剤」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項17の記載を参酌すると、本件発明1の「農芸化学的に許容される賦形剤」に相当する。
甲3発明の粒度は、850~1700μmの範囲が0.5%であり、500~850μmの範囲が96.5%であり、300~500μmの範囲が3.0%であるから、本件発明1の水崩壊性「粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲」にあることに相当する。
また、本件発明1において、「水崩壊性粒状組成物」は「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」を有するといえる。
したがって,本件発明1と甲3発明とは、
「粒状組成物であって、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤を有し、前記粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲にある粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
粒状組成物について、本件発明1は「水崩壊性」と特定しているのに対し、甲3発明は水崩壊性であるか不明である点。
<相違点3-2>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つ」「を有」すると特定し、前記「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」は「少なくとも1つの農業用活性化学製品」が有するものとして特定しているのに対しているのに対し、甲3発明はそのような特定がされていない点。
<相違点3-3>
(水崩壊性)粒状組成物について、本件発明1は「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲3発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「見掛け比重が、0.65」であり、硬度が不明である点。
<相違点3-4>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲3発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点3-3について検討する。
甲3には、顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8~甲10の1には、上記aで示した記載があるが、甲8及び甲9の記載は粒剤についてのものであり、顆粒水和剤についての記載ではないから、甲8及び甲9の記載を参酌して、甲3発明の顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。また、甲10の1には、農薬懸濁液中の有効成分粒子径(体積中位径)の例として0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲が記載され、また、有効成分の粒子径が顆粒水和剤の重量中位径及び水中崩壊性に及ぼす影響について記載されているにすぎず、甲3発明の顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであることを示すものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲3に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点3-3の「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記aで示した記載があるが、登録された農薬である甲3発明の顆粒水和剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲6、甲11の1~甲15、甲17、甲19及び甲21~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲3、甲6、甲8~甲15、甲17、甲19及び甲21~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
d 甲4の1発明について
本件発明1と甲4の1発明を対比する。
甲4の1発明の「顆粒水和剤」は粒状であり組成物であるから、粒状組成物である限りにおいて、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」と共通する。
甲4の1発明の粒度は、500~850μmの範囲が93.0%であり、300~500μmの範囲が6.6%であり、63μm以下の範囲が0.4%であるから、本件発明1の水崩壊性「粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲」にあることに相当する。
したがって,本件発明1と甲4の1発明とは、
「粒状組成物であって、0.1~6mmのサイズ範囲にある粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4の1-1>
粒状組成物について、本件発明1は「水崩壊性」と特定しているのに対し、甲4の1発明は水崩壊性であるか不明である点。
<相違点4の1-2>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤とを有」すると特定しているのに対し、甲4の1発明はそのような特定がされていない点。
<相違点4の1-3>
(水崩壊性)粒状組成物について、本件発明1は「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲4の1発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「見掛け比重が、0.61」であり、硬度が不明である点。
<相違点4の1-4>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲4の1発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点4の1-3について検討する。
甲4の1には、顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8~甲10の1には、上記aで示した記載があるが、甲8及び甲9の記載は粒剤についてのものであり、顆粒水和剤についての記載ではないから、甲8及び甲9の記載を参酌して、甲4の1発明の顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。また、甲10の1には、農薬懸濁液中の有効成分粒子径(体積中位径)の例として0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲が記載され、また、有効成分の粒子径が顆粒水和剤の重量中位径及び水中崩壊性に及ぼす影響について記載されているにすぎず、甲4の1発明の顆粒水和剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであることを示すものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲4の1に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点4の1-3の「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記aで示した記載があるが、登録された農薬である甲4の1発明の顆粒水和剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲4の2、甲6、甲11の1~甲15、甲18及び甲20~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲4の1、甲4の2、甲6、甲8~甲15、甲18及び甲20~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
e 甲4の2発明について
本件発明1と甲4の2発明を対比する。
甲4の2発明の「顆粒水和剤」は粒状であり組成物であるから、粒状組成物である限りにおいて、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」と共通する。
甲4の2発明が含有する「界面活性剤」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項17の記載を参酌すると、本件発明1の「農芸化学的に許容される賦形剤」に相当する。
また、本件発明1において、「水崩壊性粒状組成物」は「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」を有するといえる。
したがって,本件発明1と甲4の2発明とは、
「粒状組成物であって、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤を有する粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4の2-1>
粒状組成物について、本件発明1は「水崩壊性」と特定しているのに対し、甲4の2発明は水崩壊性であるか不明である点。
<相違点4の2-2>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つ」「を有」すると特定し、前記「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」は「少なくとも1つの農業用活性化学製品」が有するものとして特定しているのに対しているのに対し、甲4の2発明はそのような特定がされていない点。
<相違点4の2-3>
(水崩壊性)粒状組成物について、本件発明1は「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲4の2発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「密度・比重が0.61(参考値)」であり、硬度が不明である点。
<相違点4の2-4>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲4の2発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点4の2-3について検討する。
甲4の2には、顆粒水和剤が「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8~甲10の1には、上記aで示した記載があるが、甲8及び甲9の記載は粒剤についてのものであり、顆粒水和剤についての記載ではないから、甲8及び甲9の記載を参酌して、甲4の2発明の顆粒水和剤が「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。また、甲10の1には、農薬懸濁液中の有効成分粒子径(体積中位径)の例として0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲が記載され、また、有効成分の粒子径が顆粒水和剤の重量中位径及び水中崩壊性に及ぼす影響について記載されているにすぎず、甲4の2発明の顆粒水和剤が「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであることを示すものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲4の2に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点4の2-3の「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記aで示した記載があるが、農薬製品である甲4の2発明の顆粒水和剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~6mmのサイズ範囲にあり、0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲4の1、甲6、甲11の1~甲15、甲18及び甲20~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲4の1、甲4の2、甲6、甲8~甲15、甲18及び甲20~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
f 甲5発明について
本件発明1と甲5発明を対比する。
甲5発明の「粒剤」は水中崩壊性を有する組成物であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物」に相当する。
甲5発明の粒度は、850~1700μmの範囲が99.4%であり、500~850μmの範囲が0.4%であり、63~300μmの範囲が0.1%であり、63μm以下が0.1%であるから、本件発明1の「水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲」にあることに相当する。
したがって,本件発明1と甲5発明とは、
「水崩壊性粒状組成物であって、0.1~6mmのサイズ範囲にある水崩壊性粒状組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点5-1>
本件発明1は「水崩壊性粒状組成物は、少なくとも1つの農業用活性化学製品を備え、前記農業用活性化学製品は、0.1~95重量%の濃度範囲の非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つと、少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」とを有すると特定しているのに対し、甲5発明はそのような成分を有するとはされていない点。
<相違点5-2>
水崩壊性粒状組成物について、本件発明1は「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」すると特定しているのに対し、甲5発明はかかる粒子を備えるとはされておらず、「見掛け比重が、1.09」であり、硬度が不明である点。
<相違点5-3>
本件発明1は「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、石灰石、方解石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび酸化亜鉛を含まない」と特定しているのに対し、甲5発明はかかる成分を含むか否かが不明である点。
上記相違点について検討する。
事案に鑑みて、相違点5-2について検討する。
甲5には、粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすことについて記載も示唆もない。
甲8~甲10の1には、上記aで示した記載があるが、甲8及び甲9には、粒剤の製造方法、粒剤を0.1~50μmのサイズ範囲に重複するサイズ範囲の粒子とする例や粒径調節についての一般的な事項が記載されているにすぎないから、甲1発明の粒剤が、甲8及び甲9の記載を参酌して、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるという根拠はない。また、甲10の1の記載は顆粒水和剤の製法についてのものであり、粒剤についての記載ではないから、甲10の1の記載を参酌して、甲5発明の粒剤が「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものであるとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲5に記載された発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討するに、相違点5-2の「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」する点について、甲8~甲10の1に上記のとおりの記載があるが、登録された農薬である甲5発明の粒剤について、甲8~甲10の1の記載に基づいて、「0.1~50μmのサイズ範囲の粒子を備え」、「1.5g/mlより低いバルク密度と、少なくとも1Nの硬度とを有」するという、すべての要件を同時に満たすものとする動機付けがあるとはいえない。また、甲6、甲11の1~甲15、甲21~24の記載をみても、かかる動機付けがあるとはいえない。
したがって、当該相違点にかかる技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
そして、本件発明1は「土壌に適用したときに、即時的だけでなく継続的かつ持続的な放出と作物に対する効果を与える組成物をもたらす」という効果(本件明細書【0211】等)を奏するものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲5、甲6、甲8~甲15及び甲21~24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
g まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明2~22及び26について
本件発明2~22及び26は、本件発明1を直接的又は間接的に引用してさらに技術的事項を特定するものである。したがって、本願発明1と同様に、本件発明2~11、15、17は、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、また、本件発明2~22及び26は、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明24について
本件発明24は「水崩壊性顆粒組成物を調製するプロセス」に関するものであるところ、当該プロセスによって得られる水崩壊性粒状組成物は、「非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つ」の含有割合が「0.1~95重量%の濃度範囲」であることが特定されていない点を除いて実質的に本件発明1の組成物と同じである。
そして、上記(ア)a~fで述べたとおり、本件発明1は、少なくとも、相違点1-2、相違点2-2、相違点3-3、相違点4-1の3、相違点4-2の3又は相違点5-2に係る技術的事項を有する点で、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明1と同様に、かかる点を発明特定事項とする本件発明24は、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ)本件発明25について
本件発明25は「作物および植物を強化する方法」に関するものであるところ、当該方法において適用する水崩壊性粒状組成物について、「非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤」のいずれか1つ」の含有割合が特定されていない代わりに、「農業用活性化学製品」の含有割合が「0.1から95重量%までの濃度範囲」と特定される点、「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」が「農業用活性化学製品」が有するものではなく、「水崩壊性粒状組成物」が備えるものとされる点を除いて実質的に本件発明1の組成物と同じである。
そして、上記(ア)a~fで述べたとおり、本件発明1は、少なくとも、相違点1-2、相違点2-2、相違点3-3、相違点4-1の3、相違点4-2の3又は相違点5-2に係る技術的事項を有する点で、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明1と同様に、かかる点を発明特定事項とする本件発明25は、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(オ)本件発明27について
本件発明27は「植物の健康を改善する方法」に関するものであるところ、当該方法において処理する水崩壊性農業用粒状組成物について、「非水溶性栄養素または藻類または殺虫性活性剤のいずれか1つ」の含有割合が「0.1~95重量%の濃度範囲」であることが特定されていない代わりに、「農業用活性化学製品」の含有割合が「少なくとも0.1重量%の濃度範囲」と特定される点、「少なくとも1つの農芸化学的に許容される賦形剤」が「農業用活性化学製品」が有するものではなく、「水崩壊性粒状組成物」が備えるものとされる点を除いて実質的に本件発明1の組成物と同じである(なお、本件発明27では「顆粒は0.1~6mmのサイズ範囲であ」ると特定されているが、水崩壊性粒状組成物は顆粒からなるといえるから、かかる特定は本件発明1における「水崩壊性粒状組成物は、0.1~6mmのサイズ範囲にあ」ることと実質的に相違しない。)。
そして、上記(ア)a~fで述べたとおり、本件発明1は、少なくとも、相違点1-2、相違点2-2、相違点3-3、相違点4-1の3、相違点4-2の3又は相違点5-2に係る技術的事項を有する点で、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明1と同様に、かかる点を発明特定事項とする本件発明27は、甲1~甲5に記載された発明であるとはいえず、甲1~24に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ まとめ
したがって、理由B及びCには理由がない。
(4)理由Dについて
理由Dの具体的な理由の概要は次のとおりである。
令和3年6月24日付手続補正書により補正された請求項1、24、25及び27における「前記農芸化学的に許容される賦形剤は、酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含まない、」なる記載を追加する補正は出願当初の明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項を追加する補正であることは明らかであって、特許法第17条の2第3項の補正要件違反が存在する。
そこで、検討するに、上記補正は、請求項1、24、25及び27における「農芸化学的に許容される賦形剤」に含まれない成分を特定するにすぎず、それによって本件明細書に記載や示唆のない新たな効果を奏するものでもないから、出願当初の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるとはいえず、新規事項を追加する補正ではない。
したがって、理由Dには理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~23、26〕、24、25及び27について訂正することを認める。
本件特許の請求項1~22、24~27に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、並びに、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことができない。
また、ほかに本件特許の請求項1~22、24~27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項23は、本件訂正により削除されたので、申立人による本件特許の請求項23に係る特許についての特許異議の申立てについては、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700301