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特許異議申立

2022-700226

ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法

審判番号
2022-700226
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-071226
登録番号
6952954
請求日
2022年03月16日
審決日
2022年12月23日
公報発行日
2023年04月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱瓦斯化学株式会社
  • 【権利者代理人】稲葉 良幸
  • 【権利者代理人】内藤 和彦
  • 【権利者代理人】都野 真哉
  • 【権利者代理人】大貫 敏史
  • 【異議申立人】伊野口 誠
  • 【異議申立人】平松 由紀子
審判長/審判官
  • 審判長 瀬良 聡機
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 冨永 保
分類
P1651.113-YAA(C07C) / P1651.121-YAA(C07C) / P1651.536-YAA(C07C) / P1651.537-YAA(C07C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
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特許第6952954号発明「ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6952954号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 特許第6952954号の請求項1~8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 特許第6952954号の請求項1~8に係る特許についての出願は、2016年4月26日(優先権主張 2015年5月27日(JP)日本 2件)を国際出願日とする特願2017-520574号の一部を令和2年4月10日に新たな特許出願としたものであって、令和3年10月1日にその特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年3月16日に、特許異議申立人 伊野口 誠(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立て(以下「申立てA」という。)がされ、同年4月7日に、特許異議申立人 平松 由紀子(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立て(以下「申立てB」という。)がされたものである。 そして、当審において、同年7月29日付けで取消理由が通知され、特許権者は、その指定期間内である同年10月3日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審において、同年同月17日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づく通知書が通知され、その訂正の請求に対して、申立人Bは、同年11月7日に意見書(以下「意見書B」という。)を提出し、申立人Aは同年同月21日に意見書(以下「意見書A」という。)を提出した。 2 上記手続において提出された証拠方法は、以下のとおりである。(以下、申立人Aが提出した「甲第1号証」等を「甲A1」等という。) 甲A1:特開昭61-36236号公報 甲A2:特表2009-541468号公報 甲A3:東京化成工業株式会社, 1,4-Dihydroxynaphthalene 安全データシート, 2019年4月11日, p. 1-3 甲A4:東京化成工業株式会社, 1,6-Dihydroxynaphthalene 安全データシート, 2018年10月4日, p. 1-3 甲A5:東京化成工業株式会社, 2,6-Dihydroxynaphthalene 安全データシート, 2018年10月4日, p. 1-3 甲A6:SIGMA-ALDRICH, SAFETY DATA SHEET version 3.4 1,4-Dihydroxynaphthalene, 2014年6月26日改訂, p. 1-8 甲A7:特開2012-153709号公報 甲A8:特表2010-502684号公報 甲A9:特開2012-217869号公報 甲B1:特開昭56-43228号公報 甲B2:特開昭56-68631号公報 甲B3:特開平7-109241号公報 甲B4:特開平2-48543号公報 甲B5:特開2010-163194号公報 甲B6:特開2009-29801号公報 <以上、申立人A及びBが特許異議申立書とともに提出> 甲B7:特開平3-21655号公報 甲B8:実願平3-4328号(実開平4-97076号公報)のマイクロフィルム 甲B9:特開平5-237373号公報 甲B10:国際公開第2014/021430号 <以上、申立人Bが意見書とともに参考資料1~4として提出> 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和4年10月3日提出の訂正請求書による請求の趣旨は、特許第6952954号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求めるというものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下の訂正事項1~5のとおりである。 (1) 訂正事項1 本件訂正前の請求項1に係る「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程を含み、」との記載を、 「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、」(下線は訂正箇所を示す。以下同様)に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。) (2) 訂正事項2 本件訂正前の請求項2に係る「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程を含み、」との記載を、 「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、」に訂正する。(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。) (3) 訂正事項3 本件訂正前の請求項3に係る「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、30体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程を含み、」との記載を、 「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、30体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、」に訂正する。(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。) (4) 訂正事項4 本件訂正前の請求項4に係る「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、40体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程を含み、」との記載を、 「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、40体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、」に訂正する。(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。) (5) 訂正事項5 本件訂正前の請求項6に係る「梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含む、」との記載を、 「前記梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と前記還元性物質とを共存させる工程が、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に前記還元性物質を添加する工程又は前記還元性物質を前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置する工程を含む、」に訂正する。(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7及び8も同様に訂正する。) 2 一群の請求項について 訂正事項1に係る訂正前の請求項1及び5~8について、請求項5~8は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項1及び5~8は一群の請求項を構成する。同様に、訂正事項2について、請求項2及び5~8は一群の請求項を構成し、訂正事項3について、請求項3及び5~8は一群の請求項を構成し、訂正事項4について、請求項4及び5~8は一群の請求項を構成する。 そうすると、共通する請求項5~8を有するこれらの一群の請求項は組み合わされて、請求項1~8が1つの一群の請求項となる。 したがって、本件訂正前の請求項1~8に対応する訂正後の請求項1~8に係る本件の訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。 3 訂正の目的の適否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1の「梱包方法」が、特定の「梱包する工程」を含むだけでなく、特定の「共存させる工程」及び「乾燥する工程」を、工程として更に含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2の「梱包方法」が、特定の「梱包する工程」を含むだけでなく、特定の「共存させる工程」及び「乾燥する工程」を、工程として更に含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3) 訂正事項3について 訂正事項3は、請求項3の「梱包方法」が、特定の「梱包する工程」を含むだけでなく、特定の「共存させる工程」及び「乾燥する工程」を、工程として更に含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (4) 訂正事項4について 訂正事項4は、請求項4の「梱包方法」が、特定の「梱包する工程」を含むだけでなく、特定の「共存させる工程」及び「乾燥する工程」を、工程として更に含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (5) 訂正事項5について 訂正事項5は、請求項6の「梱包方法」における特定の「共存させる工程」が、「前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に前記還元性物質を添加する工程」又は「前記還元性物質を前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置する工程」を含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 4 新規事項の追加についての判断 (1) 訂正事項1~4について 本件特許明細書【0053】には、「本実施形態の梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含むことが、該化合物の変質抑制の観点からより好ましい。ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程に供すると更に劣化を抑制することができる場合がある。」と記載されている。 まず、第一文には、梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含むことが好ましいことが記載され、第二文には、「ヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存」の一形態であるといえる「ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加」の後、乾燥工程に供すると更に好ましいことが記載されており、第2文には、上記化合物と上記還元性物質の「共存下」に「乾燥する工程」という2つの状態の要件を満たす「還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」が記載されているといえる。 したがって、本件特許明細書【0053】には、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」が記載されていることになる。 よって、訂正事項1~4は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項1~4による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。 (2) 訂正事項5について 本件特許明細書【0053】には、「ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程に供すると更に劣化を抑制することができる場合がある。また、還元性物質をヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置することでも効果がある場合がある。」と記載されており、請求項6の「梱包方法」における特定の「共存させる工程」が、「ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加」する場合だけでなく、「還元性物質をヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置」する場合についても記載されているといえ、訂正事項5は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。 5 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 (1) 訂正事項1~4について 前記3及び4で検討したとおり、訂正事項1~4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1~4による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。 (2) 訂正事項5について 前記3及び4で検討したとおり、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。 6 小括 以上のとおり、本件訂正の訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付の訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明」といい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。 【化1】 [図:0001396267000001.jpg] (上記式(A0)中、n0は0~9の整数であり、m0は0~2の整数であり、p0は0~9の整数であり、Raは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。 上記式(B0)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rbは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。) 【請求項2】 梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A)及び/又は(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。 【化2】 [図:0001396267000002.jpg] (上記式(A)中、n0は0~9の整数であり、m0は0~2の整数であり、p0は0~9の整数であり、R0は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基であり、 上記式(B)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、R1は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。) 【請求項3】 梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、下記式(A-4)で表される化合物、及び下記式(B-1)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。 【化3】 [図:0001396267000003.jpg] (上記式(A-1)~(A-4)中、n0は0~9の整数であり、上記式(B-1)中、n1は0~9の整数である。) 【請求項4】 梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、 前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程と、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包する工程と、を含み、 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。 【化4】 [図:0001396267000004.jpg] 【請求項5】 梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と乾燥剤とを共存させる工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の梱包方法。 【請求項6】 前記梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と前記還元性物質とを共存させる工程が、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に前記還元性物質を添加する工程又は前記還元性物質を前記ヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の梱包方法。 【請求項7】 前記還元性物質が、亜硫酸(塩)、重亜硫酸(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜二チオン酸(塩)、三チオン酸(塩)、四チオン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ロンガリット、チオ酢酸(塩)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、ジメチルスルホキサイド、二酸化チオ尿素、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、亜リン酸(塩)及び次亜リン酸(塩)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項6に記載の梱包方法。 【請求項8】 梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と脱酸素剤とを共存させる工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の梱包方法。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 (1) 申立人Aが申し立てた理由 申立人Aが申し立てた理由の概要は以下のとおりである。 (A1) 新規性(特許異議申立書35頁) (A1-1) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された甲A1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (A1-2) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された甲A2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (A2) 進歩性(特許異議申立書35頁) (A2-1) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A1に記載された発明及び甲A2~9の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (A2-2) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A2に記載された発明並びに甲A1及び3~9の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (A3) 実施可能要件(特許異議申立書33及び34頁) 本件訂正前の請求項1~4について、酸素濃度の調整に関し、内部の脱気又は酸素吸収剤の同封以外の手法については、発明の詳細な説明の記載が不備であり、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。 (A4) サポート要件(特許異議申立書34頁) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が酸素濃度の調整の点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 (2) 申立人Bが申し立てた理由 申立人Bが申し立てた理由の概要は以下のとおりである。 (B1) 新規性(特許異議申立書48頁(5)ア) (B1-1) 本件訂正前の請求項1~3及び8に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~3及び8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B1-2) 本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B2及び3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B1-3) 本件訂正前の請求項1、2、5及び8に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1、2、5及び8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B2) 進歩性(特許異議申立書39~46頁) (B2-1) 本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲B1に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B2-2) 本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B2-3) 本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B2-4) 本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (B3) 明確性要件(特許異議申立書46~48頁) 本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、梱包方法における「減圧状態」が不明であるから、「ただし、減圧状態のものを除く。」との規定の技術的意味が明確ではなく、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~8に係る特許に対して、当審において令和4年7月29日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由1A:(新規性)本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 理由1B:(新規性)本件訂正前の請求項1~3及び8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~3及び8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 理由1C:(新規性)本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 理由1D:(新規性)本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 理由1E:(新規性)本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 理由2:(進歩性)本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件訂正前の請求項1~8に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 記 文献1:SIGMA-ALDRICH, SAFETY DATA SHEET version 3.4 1,4-Dihydroxynaphthalene, 2014年6月26日改訂, 2018年11月13日印刷, p. 1-8(甲A6) 刊行物2:特開昭56-43228号公報(甲B1) 刊行物3:特開昭56-68631号公報(甲B2) 刊行物4:特開平7-109241号公報(甲B3) 刊行物5:特開2010-163194号公報(甲B5) 刊行物6:特開2009-29801号公報(甲B6) 刊行物7:特開2014-70203号公報 なお、文献1は、試薬メーカーが製品に添付する安全データシートであるところ、その改定日が2014年6月26日であると記載されていることから、本件特許の優先日である2015年5月27日より前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献と認める。 第5 当審における判断 当審合議体は、上記取消理由で通知した理由及び申立人の申し立てた理由によっては、本件請求項1~8に係る特許は取り消されるべきではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 1 各甲号証及び刊行物の記載について(以下「・・・」は記載の省略を表す。) (1) 申立人Aの甲号証について (A1) 甲A1の記載 (A1a) 「特許請求の範囲(1)ナフトキノンを水素化触媒の存在下で接触水素還元して得られたナフトヒドロキノンを、極性溶媒と非極性溶媒との存在下に処理することを特徴とするナフトヒドロキノンの製造法。」 (A1b) 「上記の操作は、一般的に窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われるのが好ましい。」(3頁7欄下から2~1行) (A1c) 「実施例 1 純度約96.2%のナフトキノン(工業薬品)3.5Kg、メタノール12L、50%含水の5%パラジウム・カーボン80gを、攪拌機を備えた2OLのオートクレープに仕込み、窒素ガス置換後、水素ガスを供給した。約20°Cで攪拌しながら水素ガスを吸収させ、60分後に、常温、常圧換算で521Lの水素を吸収し、70℃まで昇温して反応は停止した。 反応生成物を取り出し、窒素の加圧濾過で触媒を分離した。その濾液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、約11Lのメタノールを回収し、常温付近まで冷却した。得られた残りのメタノールを含有しているナフトヒドロキノン結晶に、クロロホルム6Lを加えて攪拌しスラリー化し、徐冷しながら約7℃に冷却した。窒素気流下でナフトヒドロキノンスラリーを濾過して、ナフトヒドロキノン湿ケーキを取り出し、10Lロータリーエバポレーターで減圧下で乾燥し、ナフトヒドロキノン3.1Kgを得た。」(3頁8欄14行~9欄4行) (A2) 甲A2の記載 (A2a) 「【請求項1】 本質的にヒドロキノンおよび少なくともレゾルシノール、ピロガロールおよび微量のピロカテコールを含む少量の不純物を含む粗ヒドロキノンHQ0から出発して、精製されたヒドロキノンを調製するための方法であり、少なくとも下記工程:粗ヒドロキノンを水に溶解する工程、ヒドロキノンを結晶化する工程、精製されたヒドロキノンを分離する工程および任意選択により、精製されたヒドロキノンを乾燥する工程を含むことを特徴とする、方法。」 (A2b) 「【0108】 好都合には、上記で述べられた様々な操作、すなわち、溶解、結晶化、分離、乾燥およびその他が、不活性ガスの雰囲気のもとで行われ、好ましくは窒素下で行われる。」 (A2c) 「【0125】 実施例1 2.234kgの水(周囲温度)および1.266kgの粗ヒドロキノン(その組成は重量パーセントで下記の通りである:97.8%のヒドロキノン、1.1%のピロガロールおよび1.1%のレゾルシノール、存在するその他の不純物の和は0.1%未満である。)がそれぞれ、窒素下および95℃の温度で維持される、凝縮器を備える撹拌型の5リットルのジャケット付き晶析装置に入れられる。 【0126】 急速冷却を行い、30分かけて70℃に下げる。 【0127】 その後、冷却を、一定の速度で5時間、70℃から20℃にまで行う。 【0128】 その後、結晶性ヒドロキノンの懸濁物を、1.369kgの湿ったヒドロキノンおよび2.131kgの母液(F1)を得るために、窒素下においてフラットフィルターでろ過する。 【0129】 母液(F1)の溶液をその後の処理のために保存する。 【0130】 湿ったヒドロキノンを、減圧(100mbar)下、および、窒素を流しながら、90℃で5時間、オーブンにおいて乾燥し、0.254kgの水(F2)を除く。 【0131】 1.115kgのヒドロキノンHQ1が単離され、そのような生成物は重量比で下記の組成を有する:」 (A3) 甲A3の記載 (A3a) 「1. 製品及び会社情報 製品名 1,4-Dihydroxynaphthalene」(1頁) (A4) 甲A4の記載 (A4a) 「1. 製品及び会社情報 製品名 1,6-Dihydroxynaphthalene」(1頁) (A5) 甲A5の記載 (A5a) 「1. 製品及び会社情報 製品名 2,6-Dihydroxynaphthalene」(1頁) (A6) 甲A6(文献1)の記載(訳文にて示す。) (A6a) 「1.1 製品識別子 製品名:1,4-ジヒドロキシナフタレン」(1頁) (A6b) 「7.2 非互換性を含む安全な保管の条件 乾燥した換気の良い場所で容器をしっかりと閉めた状態を保ってください。 光に敏感。不活性ガス下で保管してください。空気に敏感。」(3頁) (A7) 甲A7の記載 (A7a) 「【0248】 これらの成分の含有量に特に制限はないが、貯蔵温度等により所望でない副反応が生じるようであれば、随時その量を調整することが好ましい。特に注意すべき成分としては、酸素、アンモニア、水、酸化性物質、還元性物質である。該移送用および貯蔵用組成物は窒素原子を含む化合物を含有しており、また芳香族ヒドロキシ化合物は酸素によって酸化されて変性し、着色等の現象が見られる場合が多い。また、当該組成物が引火性組成物となる場合が殆どであるため、当該技術領域でおこなわれる通常の有機化学物質の保管・貯蔵と同様に、公知の方法で酸素ガスを管理してよい。例えば窒素パージする等の方法で、貯槽の気相酸素濃度を、例えば酸素濃度を10%以下、好ましくは1%以下、さらに好ましくは100ppm以下に管理する。気相部を窒素などの不活性ガスで流通させる場合は、該不活性ガス中の酸素濃度を10ppm以下に管理する。」 (A8) 甲A8の記載 (A8a) 「【請求項1】 未精製ヒドロキノンから出発するヒドロキノンの製造方法であって、 少なくとも次の工程: (a)不純物として少なくともレゾルシン及びピロガロールを含む液体の形の未精製ヒドロキノンを、純粋なヒドロキノンの結晶化を保証する制御された冷却に付す工程、 (b)母液から純粋なヒドロキノン結晶を分離する工程、 (c)再加熱して部分融解させる工程、 (d)精製されたヒドロキノンを完全に融解させる工程、及び (e)精製されたヒドロキノンを回収する工程 を含むことを特徴とする、前記方法。 ・・・ 【請求項13】 不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で実施することを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。」 (A9) 甲A9の記載 (A9a) 「【請求項1】 冷却ドラム、掻き取り刃、溶融液供給口およびフレーク状物回収口を備えたフレーカーと、吸引装置を備えた溶解ドラムとを備え、前記フレーカーと前記溶解ドラムとは、ノズルが取り付けられた配管によって連通されているフレーク状化合物の製造装置。 ・・・ 【請求項4】 化合物の溶融液を凝固して、得られた化合物の凝固物を掻き取り刃にて剥離してフレーク状とするフレーク状化合物の製造方法であって、請求項1に記載の製造装置を用い、下記吸引工程(1)、下記溶解工程(1)および下記回収工程(1)を含むフレーク状化合物の製造方法。 吸引工程(1):前記フレーカー内に蓄積する化合物由来の綿状物および/または粉塵を前記ノズルから吸引することにより、前記溶解ドラムへ移送する工程 溶解工程(1):前記溶解ドラムに溶媒を添加して、化合物由来の綿状物および/または粉塵を溶解して化合物が溶解した溶液を得る工程 回収工程(1):前記溶解ドラムから化合物が溶解した溶液を抜き出して、化合物を回収する工程 ・・・ 【請求項6】 化合物がジヒドロキシベンゼンである請求項4または5に記載の製造方法。」 (A9b) 「【0030】 本発明において、前記フレーカーと前記溶解ドラムとは、前記ノズルが取り付けられた配管によって連通される。化合物のフレークおよび溶融液は酸素雰囲気または湿度により着色等の劣化を生じる場合があるので、通常フレーカー本体はカバーで覆われた構造であり、フレーカー内部は窒素等の不活性ガスにてシールされていることが好ましい。」 (2) 申立人Bの甲号証について (B1) 甲B1(刊行物2)の記載 (B1a) 「特許請求の範囲 経時着色性のある水酸基を有する芳香族化合物を酸素吸収能力を有する物質と直接接触しない状態で外気遮断下に共存させて保存することを特徴とする水酸基を有する芳香族化合物の着色防止方法。」 (B1b) 「従来より、水酸基を有する芳香族化合物の中には長期間保存中に経時的に変化をして着色を呈し、商品価値を低下する傾向を有するものが多いことはよく知られている。たとえば、β-ナフトールやレゾルシン等は製造直後は無色だが、密封して保存していても経時的に着色が進行する。このように貯蔵中に着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物の着色防止のため、たとえば製品を入れた容器の空間を窒素ガスで置換して密封保存する方法があるが、これも約1ケ月以内で着色が生じうる。 また、亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などのような還元剤あるいは一般的酸化防止剤を製品に添加混合密封して貯蔵する方法も知られているが、これら還元剤を使用する場合も着色抑制効果が十分といえず、次第に着色してくるし、また多量に使用しなければ効果が少ない場合が多い。また化合物によつては高度精製品は着色進行が少ない場合もあるが、着色防止のためのみの高度精製は不経済である。 前記β-ナフトールの着色を防止する方法を例にとれば、長期間、β-ナフトールの着色を防止しようとすれば、β-ナフトールに対し、還元剤を相当量添加しなければならないし、しかも、密封貯蔵した容器内の空間部に、これら還元剤を単に散布しても、或は通気性のある袋状物に収納して空間部に詰込んでいても、着色抑制効果は不十分である。」(1頁1欄13行~2欄最終行) (B1c) 「本発明者らは、このような欠点を考慮し、短期保存、長期保存にかかわらず、もつと簡単な処理、取扱いにより、しかも製品純度を低下させない、水酸基を有する芳香族化合物の着色防止方法を検討した結果、貯蔵中の水酸基を有する芳香族化合物の着色抑制に対しては、脱酸素効果の影響が大きいことがわかり、酸素吸収能力を有する物質の存在下では、着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物に対して、少量の使用で、十分着色防止の効果が発揮出来、しかも貯蔵する製品に混入して貯蔵しなくても十分効果があることがわかり、本発明を完成した。」(2頁3欄6~17行) (B1d) 「本発明において、貯蔵中着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物には、α-、β-ナフトール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、フェノール、その他ナフトールまたはフェノール誘導体等があり、これらの化合物の着色防止に本発明方法が適用出来る。これらは直接着色防止剤の混入がないので高純度を維持でき、あらゆる目的に使用出来る。また、本発明方法において、同一貯蔵容器内で、水酸基を有する芳香族化合物と共存させて使用する酸素吸収能力を有する物質は、脱酸素剤として市販されている、たとえばいわゆる活性酸化鉄、活性鉄や、亜ニチオン酸塩と含水アルカリ土金属の組成物など、脱酸素剤として知られているものを使用出来る。」(2頁4欄2~15行) (B1e) 「酸素吸収剤の使用量は、貯蔵する化合物の有する夫々の呈色特性、貯蔵量、貯蔵期間に合せて、適宜選択出来る。また使用の際は、容器内は脱酸素により減圧状態になるため、あらかじめ、製品を収納した容器空間部を不活性ガスでパージしてから、酸素吸収剤を同一容器内へ共存させ、密封保存すれば酸素吸収剤の使用量がすくなくてすみ、かつ容器内部の減圧も少なく、密閉性が良好となる。」(2頁5欄16行~6欄4行) (B1f) 「また従来の如く着色防止剤を直接水酸基を有する芳香族物質に混入したものに本発明方法を適用すればさらに完全な着色防止の効果が得られることは勿論である。」(2頁6欄4~7行) (B1g) 「実施例1 250ml容広口ガラス瓶(無色透明)2個を1対とし、それぞれ製造直後のフレーク状β-ナフトール100gを入れ、容器内を窒素ガスで置換した。 一方のガラス瓶には活性酸化鉄成形品〔エージレス、三菱ガス化学社製〕4個(1個平均1.69g)を通気性セロハン袋や収納したものを同封したのち密閉し、他方は活性酸化鉄を同封することなく直接密閉し比較例とした。これを同一暗所に保管し一定日数経過後、それぞれ吸光度の測定(及び外観視察)を行なつた。・・・ 実施例2 フレーク状β-ナフトールの代りに製造直後のフレーク状レゾルシンを使用した以外は実施例1と全く同様に操作してレゾルシンの経時着色を測定した。」(2頁6欄9行~3頁7欄16行) (B2) 甲B2(刊行物3)の記載 (B2a) 「2.特許請求の範囲 1)純度97%以上の2,6-ジメチルフェノールを40~90℃の温度で、接触するガス中の酸素濃度を1,000ppm以下の濃度に保ち、液体状態で保管することを特徴とする2,6-ジメチルフェノールの保存方法。」 (B2b) 「さらに、これら着色、その他の品質低下の度合、種々の保存方法の関係を調べた結果、この種の品質低下は主に接触するガス中に含まれる酸素濃度により、大きく異なること、例えば、通常の空気と60℃に保温液化した98%純度の2,6-ジメチルフェノールを接触させておくと24時間以内で、肉眼でも判定できる着色が発生するのに対し、同じ2,6-ジメチルフェノールを酸素濃度50ppmの窒素ガスでシールした状態では30日後にもほとんど着色がみられないこと、および、この種着色その他の品質低下は2,6-ジメチルフェノール固体の液化の際に促進される傾向があり、使用時に液化する必要がある場合などは、液状のまま保存することが好ましい事が判明し、本発明に到達した。」(2頁3欄13行~4欄7行) (B2c) 「2,6-ジメチルフェノール液と接触するガスは本質的に2,6-ジメチルフェノールに対して不活性なガス、例えば窒素、ヘリウムなどが好ましく、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、硫黄酸化物類、窒素酸化物類および水などが含有されるのは好ましくない。 なかでも酸素は、通常の条件下で混入し易い化合物で、できるだけ低濃度に保つことが要求され、その限界濃度は、温度、容器の種類などによつて異なるが、少なくとも1,000ppm以下が好ましい。酸素濃度がこれ以上になると、2,6-ジメチルフェノールの品質低下が早くなり長時間の保存には不適当である。」(2頁4欄15行~5欄7行) (B2d) 「実施例1 2,6-ジメチルフェノール98.4%、O-クレゾール1.2%、2,4,6-トリメチルフェノール0.4%のサンプル800gを1,000mlのステンレス製容器に入れ、空間部を酸素濃度100ppmの窒素により置換した後密封し、内温が55±2℃になるよう保温した状態で、長時間保存した。 10日後に開封し、各成分をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、封入時の濃度を全く変化なく、着色度合も封入時と差がなかつた。」(3頁8欄1~10行) (B3) 甲B3(刊行物4)の記載 (B3a) 「【請求項1】 貯蔵物の導入及び取り出し機構を具備し、かつ系内を窒素置換するための窒素ガス導入機構と系内ガスの排気ラインを有する貯蔵用タンク内に、アルキルフェノールをその融点以上の温度に保持して溶融液状態でかつ該タンク内の空間部を窒素置換して酸素濃度が0.7%以下の窒素雰囲気下で貯蔵し、その際、該窒素雰囲気の酸素濃度を0.7%以下に保持するために適時、窒素ガスを該タンク内に導入・流通し、一方、該タンク内のガスを系外に排出するに際して、臭気を防止すべく、その排気ガスをエチレングリコール及び/又はジエチレングリコールからなる高沸点吸収液に接触させて処理し該排気ガス中の該アルキルフェノール蒸気を該吸収液に吸収させることによって該排気ガスを浄化してから系外大気に放出することを特徴とするアルキルフェノールの貯蔵法。 【請求項2】 前記アルキルフェノールがp-オクチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-アミルフェノール又はp-tert-アミルフェノールである請求項1に記載のアルキルフェノールの貯蔵法。」 (B3b) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、p-tert-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、2,4-ジ-tert-アミルフェノール、p-tert-アミルフェノール等のアルキルフェノールを、タンクからの排気ガスの臭気を防止しながら、長期間、変質、着色させることなく安定に溶融状態で貯蔵する方法に関する。」 (B3c) 「【0005】こうしたアルキルフェノール類には、PTBP、POP又はPTAPのように常温では固体のものが多く、フレーク状の固体として出荷されていた。利用時や出荷時等における貯蔵容器からの取り出し、配管内輸送、貯蔵容器への受け入れなどの操作を容易にするにはアルキルフェノールをその融点以上の温度に保持し溶融状態で貯蔵(保存)することが望まれ、またタンクローリーによる輸送も可能となる。しかしながら、PTBPやPOP等のアルキルフェノール類を溶融状態で保存する際に、空気等の酸素濃度が高い雰囲気にさらされると、変質したり、着色しやすいので、この変質や着色をできるだけ防止しつつ長期間溶融状態で安定に保存するための貯蔵技術の開発が望まれている。」 (B3d) 「【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、p-tert-ブチルフェノールやp-オクチルフェノールや2,4-ジ-tert-アミルフェノールやp-tert-アミルフェノール等のアルキルフェノール類を、貯蔵用タンクに、長期間、変質、着色させることなく溶融状態で安定に貯蔵する方法について鋭意研究を重ねた結果、その貯蔵用タンク内を窒素置換して酸素濃度が0.7%以下、好ましくは0.1%以下の窒素雰囲気下で貯蔵すれば、溶融状態でも長期間安定に貯蔵(保存)することができることを見いだした。なお、そのように該窒素雰囲気の酸素濃度を0.7%以下、好ましくは0.1%以下という低いレベルに保持するためには、適時、窒素ガスを該タンク内に導入・流通し、一方、該タンク内のガスを適時系外に排気する方式が好適であることも見いだした。」 (B3e) 「【0039】[溶融貯蔵物の安定性試験(雰囲気酸素濃度の影響)] 実施例1及び2、比較例1~5 ・貯蔵対象試料 p-tert-ブチルフェノール(PTBP):五井化成株式会社製、凝固点98~99℃ p-オクチルフェノール(POP):五井化成株式会社製、凝固点82~84℃ ・試験用貯蔵容器 SUS304製オートクレーブ:内容積約2リットル ・酸素濃度の測定 微量酸素分析器(飯島精密工業製,型式RO-101-Z)による。 【0040】・試料の着色度(溶融色)の測定 貯蔵試験前の試料と溶融貯蔵中にサンプリングした試料について、比色管により着色度(溶融色)を測定した。なお、着色度(溶融色)は、APHA 単位で表した。 【0041】上記の2リットルオートクレーブ内に、PTBP又はPOPをそれぞれ所定量(溶融状態で約1.5リットル)を充填し、容器内に窒素又は窒素と空気あるいは空気のみを導入・流通し、容器内の雰囲気の酸素濃度がそれぞれ表1の値になるようにしてから、容器をオイルバスに入れ、内容物の温度を120℃に保持して溶融状態で貯蔵した。この条件で溶融貯蔵されている試料を所定の時点(日数)でサンプリングし、上記のようにしてその着色度の経時(経日)変化を調べた。なお、着色度が著しく大きくなった場合には、その時点で試験を停止した。 【0042】これらの結果を表1にまとめて示した。 【0043】 【表1】 [図:0001396267000005.jpg] この表1からPTBP、POP共に、溶融貯蔵雰囲気の酸素濃度が高いほど短期間で大きく着色し、酸素濃度が0.1%では30日を経過しても着色度は50APHA未満と十分に低い値を保持していることがわかる。これに対して、酸素濃度が0.7%より高いと1%の場合ですら、9日間という短期間で着色度が著しく高くなってしまうことがわかる。」 (B4) 甲B4の記載 (B4a) 「[従来の技術とその課題] p, p'-ビフェノールは各種樹脂原料として近年注目を集めている化合物であるが、これらの用途のためには、特に高純度でおり、また着色していないことが求められる。しかし、p, p'-ビフェノールは、常温で固体であり、融点・沸点とも高く、蒸溜操作によって精製することは不可能であるうえに、空気中の酸素によって酸化をうけて着色しやすい化合物であり、精製のむずかしい物質である。」(1頁右下欄7~16行) (B5) 甲B5(刊行物5)の記載 (B5a) 「【請求項1】 アルミラミネートフィルムからなる袋により包装されてなる2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノン包装体。」 (B5b) 「【背景技術】 【0002】 ハイドロキノン化合物は酸化防止剤としての特性を有し、特に2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンは他の薬剤と混合使用することで、写真用フィルム等の酸化防止剤として、その有用性が着目されている。しかしながら、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンは徐々に空気中で酸化されて純度が低下し、酸化防止機能も低下する。また、保管中に色相が本来の白色から褐色に変色し易く、変色した2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンを写真用フィルム等に使用するとフィルム機能が低下する。このため、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンを包装して長期保存するには、その包装体にガス(酸素)・水蒸気等のバリア性が必要であるほか、強度や遮光性が要求される。このような包装方法として、例えばポリエチレン製の袋あるいは瓶を用い、またはガラス製の瓶を用いて、その容器内部の空気を不活性ガスにて置換し内容物の保護をはかる包装方法がある。」 (B5c) 「【0003】 前者のポリエチレン製袋・瓶による包装は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを導入し空気を置換することは可能であるが僅かに酸素の透過性があり、長期保管した場合、透過した酸素により内容物が酸化されて純度が低下する問題点がある。また、光を透過するため、光による劣化や着色の問題もある。 【0004】 これに対して、ガラス製の瓶を使用した場合は、容器の酸素透過性がなく不活性ガス置換後も酸素の侵入が少なく、かつ褐色ガラス瓶を使用すれば光の透過も防ぐことができる。しかし、ガラス製瓶は容器の破損の危険性があり、保管にあたり容器を積み上げられないため輸送に不都合である。さらに包装体形状が固定されるので、減圧によっても完全な空気の除去は不可能であり、わずかな酸素が残留し酸化を引き起こす。 【0005】 また、他の方法として、脱酸素・脱湿剤を添加、あるいは包装体の内側に固定して、包装体内の水分や酸素を吸着固定する方法もあるが、この場合、製品使用時に脱酸素・脱湿剤が異物として混入する恐れがあり、開封使用時に細心の注意が必要である。」 (B6) 甲B6(刊行物6)の記載 (B6a) 「【0002】 なお、本発明では、特に断り書きのない限り、1,4-ジヒドロキシナフタレンを「ナフトヒドロキノン」と称する。」 (B6b) 「【0049】 反応の方式は、制限されるものではないが、通常はバッチ方式で反応を行なう。 ナフトヒドロキノンは酸化され易いため、空気中の酸素等に曝されると、酸化されてキノン構造になり着色する場合がある。よって、通常は不活性雰囲気下で反応を行なう。 具体的には、密閉可能な反応容器を使用し、反応容器内を不活性気体(窒素、アルゴン等)で置換した状態で、反応を行なうことが好ましい。」 (B7) 甲B7の記載 (B7a) 「(従来の技術) 従来、食品の保存性向上、機械部品の防錆等の目的で、亜ニチオン酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、ピロガロール、ロンガリット、グルコース、銅アミン錯体、鉄粉、酸化鉄粉、亜鉛末等の各種還元性物質を主剤とするいわゆる脱酸素剤が使用されているが、脱酸素剤はその少量を食品、機械部品等の入っている密封容器内に布や不織布に包んで食品、機械部品等と共に同封しておくと、酸素を吸収して該包装容器の酸素濃度を低下させ、その結果、食品の保存性向上、機械部品の防錆性等の効果を奏する。」(1頁右下欄下から2行~2頁左上欄10行) (B8) 甲B8の記載 (B8a) 「【0010】 脱酸素剤は、主剤に鉄粉、二酸化鉄塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カテコール、グルコース、不飽和脂肪酸類などで、保存物品に悪影響を及ばさない還元性物質なら何でもよい。これら主剤を適度の通気性をもつ包材に包装したものが好適に使用される。」 (B9) 甲B9の記載 (B9a) 「【0010】使用する鉄粉の比表面積であるが、鉄系の脱酸素剤は鉄と水と酸素とが反応する腐食反応時に酸素を吸収することを利用するものであり、反応は鉄の界面で酸素と接触していることが必要となる。」 (B10) 甲B10の記載 (B10a) 「[0003] これまでに雰囲気中の酸素を除去する脱酸素剤として、各種無機系材料からなるもの及び有機系材料からなるものが提案されている。例えば、無機系主剤として鉄などの金属粉、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ニチオン酸塩などを用いたもの、有機系主剤としてL-アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの塩、グルコースなどの糖類、カテコール、ピロガロールなどの還元性多価アルコール類を用いたものなどが挙げられる。 [0004] しかしながら、これら従来の脱酸素剤は、使用時に水もしくは水分を供給するものがないと実用的な脱酸素能を得ることができないという問題点があった。すなわち、従来の脱酸素剤は、使用する際に水もしくは水分を保持させた物質、例えば、結晶水を持った化合物を混合するか、あるいは保存しようとする食品などから出てくる水蒸気を利用することによってはじめて実用的な脱酸素能を得ることができるものであった。」 (3) 取消理由における文献及び刊行物について (α1) 文献1及び刊行物2~6の記載 上記(1)及び(2)参照 (α2) 刊行物7の記載 (α7a) 「【0063】 原料として用いる9,10-ジヒドロキシアントラセン化合物は酸素により容易に酸化されるので、反応に用いる溶媒及び反応容器の空間は窒素などで置換することにより、脱酸素状態にしておくことが望ましい。」 2 当審において通知された取消理由の判断 (1) 引用文献又は引用刊行物に記載された発明 (1-1) 文献1(甲A6)に記載された発明 ア 文献1は、1,4-ジヒドロキシナフタレンに関する製品情報であって(摘記(A6a))、安全な保管の条件として、乾燥した換気の良い場所で容器をしっかりと閉めた状態を保つこと、また、光や空気に敏感であり、不活性ガス下で保管することが記載されている(摘記(A6b))。 イ ここで、容器に入れた状態で不活性ガス置換すること、かつ、不活性ガス雰囲気で容器に入れることは、不活性ガス雰囲気下で容器に梱包することといえ、摘記(A6b)の記載を踏まえれば、空気に敏感な1,4-ジヒドロキシナフタレンの保管のために、1,4-ジヒドロキシナフタレンを不活性ガス下で容器に梱包することは、文献1に記載されているに等しい事項であると認められる。 ウ そうすると、文献1には以下の発明が記載されているといえる。 「1,4-ジヒドロキシナフタレンを不活性ガス下で容器に梱包する工程を含む、1,4-ジヒドロキシナフタレンの梱包方法。」(以下「引用1発明」という。) (1-2) 刊行物2(甲B1)に記載された発明 ア 刊行物2は、経時着色性のある水酸基を有する芳香族化合物を酸素吸収能力を有する物質と直接接触しない状態で外気遮断下に共存させて保存することを特徴とする水酸基を有する芳香族化合物の着色防止方法に関する特許文献であって(摘記(B1a))、その実施例において、ガラス瓶に製造直後のフレーク状β-ナフトールやレゾルシンを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、脱酸素剤である活性酸化鉄成形品を同封し又は同封せずに保管したことが記載されている(摘記(B1g))。 イ そうすると、刊行物2には以下の発明が記載されているといえる。 「フレーク状β-ナフトール又はレゾルシンを窒素ガスで置換して脱酸素剤である活性酸化鉄成形品を通気性セロハン袋や収納したものを同封し又は同封せずにガラス瓶に梱包する工程を含む、β-ナフトール又はレゾルシンの梱包方法。」(以下「引用2発明」という。) (1-3) 刊行物3(甲B2)に記載された発明 ア 刊行物3は、2,6-ジメチルフェノールを40~90℃の温度で、接触するガス中の酸素濃度を1,000ppm以下の濃度に保ち、液体状態で保管することを特徴とする2,6-ジメチルフェノールの保存方法に関する特許文献であって(摘記(B2a))、その実施例において、2,6-ジメチルフェノールをステンレス製容器に入れ、空間部を酸素濃度100ppmの窒素により置換した後密封し、長時間保存したことが記載されている(摘記(B2d))。 イ そうすると、刊行物3には以下の発明が記載されているといえる。 「2,6-ジメチルフェノールを酸素濃度100ppmの窒素に置換してステンレス製容器に梱包する工程を含む、2,6-ジメチルフェノールの梱包方法。」(以下「引用3発明」という。) (1-4) 刊行物4(甲B3)に記載された発明 ア 刊行物4は、アルキルフェノールを、タンクからの排気ガスの臭気を防止しながら、長期間、変質、着色させることなく安定に溶融状態で貯蔵する方法に関する特許文献であって(摘記(B3b))、アルキルフェノールの具体例としてp-オクチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-アミルフェノール又はp-tert-アミルフェノールが挙げられること(摘記(B3a))、貯蔵用タンク内を窒素置換して酸素濃度が0.7%以下の窒素雰囲気下で貯蔵することが記載されている(摘記(B3d)、摘記(B3e))。 イ そうすると、刊行物4には以下の発明が記載されているといえる。 「p-オクチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-アミルフェノール又はp-tert-アミルフェノールであるアルキルフェノールを窒素置換して酸素濃度が0.7%以下の窒素雰囲気下で容器に梱包する工程を含む、アルキルフェノールの梱包方法。」(以下「引用4発明」という。) (1-5) 刊行物5(甲B5)に記載された発明 ア 刊行物5は、アルミラミネートフィルムからなる袋により包装されてなる2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノン包装体に関する特許文献であって(摘記(B5a))、その背景技術として、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンを包装して長期保存する方法として、容器内部の空気を不活性ガスにて置換し内容物の保護をはかる包装方法が記載されている(摘記(B5b)及び(B5c))。 イ そうすると、刊行物5には以下の発明が記載されているといえる。 「2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンを不活性ガスにて置換して容器に梱包する工程を含む、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンの梱包方法。」(以下「引用5発明」という。) (2) 対比・判断 (2-1) 理由1Aについて ア 本件発明1について (ア) 引用1発明の「1,4-ジヒドロキシナフタレン」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は1であり、m0は1であり、p0は0であるか、又は、p0は6であってRaは水素原子である化合物に相当する。 したがって、本件発明1と引用1発明とは、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含み、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。(式略)」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1A:本件発明1は、「酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包」しているのに対して、引用1発明は、不活性ガス下で容器に梱包している点。 相違点1B:本件発明1は、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有しているのに対して、引用1発明は、これらの工程を有していない点。 (イ) まず、相違点1Bについて検討すると、引用1発明は、梱包方法において還元性物質を共存させていないし、優先日時点の技術常識であるともいえないから、相違点1Bは実質的な相違点である。 したがって、相違点1Aについて検討するまでもなく、本件発明1は文献1に記載された発明ではない。 イ 本件発明2~4について 本件発明2~4は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であるところ、本件発明2~4におけるヒドロキシ置換芳香族化合物についても、引用1発明における1,4-ジヒドロキシナフタレンを包含するから、本件発明2~4と引用1発明は、上記ア(ア)で示した一致点(ただし、ヒドロキシ置換芳香族化合物については、本件発明2~4の化合物に読み替える。)で一致し、相違点1A及び1Bで相違する。 そうすると、上記ア(イ)で述べた理由と同様の理由により、本件発明2~4は文献1に記載された発明ではない。 (2-2) 理由1Bについて ア 本件発明1について (ア) 引用2発明の「β-ナフトール」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は0であり、m0は1であり、p0は0であるか、又は、p0は7であってRaは水素原子である化合物に相当し、引用2発明の「レゾルシン」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は1であり、m0は0であり、p0は0であるか、又は、p0は4であってRaは水素原子である化合物に相当する。 したがって、本件発明1と引用2発明とは、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含み、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。(式略)」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2A:本件発明1は、「酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包」しているのに対して、引用2発明は、窒素ガスで置換して梱包している点。 相違点2B:本件発明1は、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有しているのに対して、引用2発明は、脱酸素剤を同封し又は同封せずに容器に梱包している点。 (イ) まず、相違点2Bについて検討すると、引用2発明は、梱包方法において乾燥する工程を有していないから、相違点2Bは実質的な相違点である。 したがって、相違点2Aについて検討するまでもなく、本件発明1は刊行物2に記載された発明ではない。 イ 本件発明2及び3について 本件発明2及び3は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であるところ、本件発明2及び3におけるヒドロキシ置換芳香族化合物についても、引用2発明におけるβ-ナフトール又はレゾルシンを包含するから、本件発明2及び3と引用2発明は、上記ア(ア)で述べた一致点(ただし、ヒドロキシ置換芳香族化合物については、本件発明2及び3の化合物に読み替える。)で一致し、相違点2A及び2Bで相違する。 そうすると、上記ア(イ)で述べた理由と同様の理由により、本件発明2及び3は刊行物2に記載された発明ではない。 ウ 本件発明8について 本件発明8は、請求項1~7の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~7を更に限定するものである。 そうすると、上記ア及びイで述べたとおり、本件発明1~3が刊行物2に記載された発明ではなく、本件訂正前の請求項4~7に係る発明については、理由1Bの取消理由を通知しておらず、請求項4~7について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正が更にされており、本件発明8は刊行物2に記載された発明ではない。 (2-3) 理由1Cについて ア 本件発明1について (ア) 引用3発明の「2,6-ジメチルフェノール」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は0であり、m0は0であり、p0は2であって、Raはメチル基であるか、p0は5であって、Raの2つがメチル基でありその他は水素原子である化合物に相当する。また、引用3発明の「酸素濃度100ppmの窒素」の状態は、本件発明1の「酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気」であるといえる。 したがって、本件発明1と引用3発明とは、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気で梱包する工程を含み、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。(式略)」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点3A:本件発明1は、梱包時の雰囲気について「(ただし、減圧状態のものを除く。)」と特定されているのに対して、引用3発明は、そのような特定がない点。 相違点3B:本件発明1は、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有しているのに対して、引用3発明は、これらの工程を有していない点。 (イ) まず、相違点3Bについて検討すると、引用3発明は、梱包方法において還元性物質を共存させていないから、相違点3Bは実質的な相違点である。 したがって、相違点3Aについて検討するまでもなく、本件発明1は刊行物3に記載された発明ではない。 イ 本件発明2について 本件発明2は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であるところ、本件発明2におけるヒドロキシ置換芳香族化合物についても、引用3発明における2,6-ジメチルフェノールを包含するから、本件発明2と引用3発明は、上記ア(ア)で述べた一致点(ただし、ヒドロキシ置換芳香族化合物については、本件発明2の化合物に読み替える。)で一致し、相違点3A及び3Bで相違する。 そうすると、上記ア(イ)で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は刊行物3に記載された発明ではない。 (2-4) 理由1Dについて ア 本件発明1について (ア) 引用4発明の「p-オクチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-アミルフェノール又はp-tert-アミルフェノールであるアルキルフェノール」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は0であり、m0は0であり、p0は1であり、Raはオクチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基であるか、p0は2であり、Raはtert-アミル基である化合物、又は、p0は5であり、Raの1つがオクチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基であって、その他は水素原子であるか、Raの2つがtert-アミル基であって、その他は水素原子である化合物に相当する。また、引用4発明の「酸素濃度が0.7%以下の窒素雰囲気」は、本件発明1の「酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気」であるといえる。 したがって、本件発明1と引用4発明とは、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気で梱包する工程を含み、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。(式略)」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点4A:本件発明1は、梱包時の雰囲気について「(ただし、減圧状態のものを除く。)」と特定されているのに対して、引用4発明においては、そのような特定がない点。 相違点4B:本件発明1は、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有しているのに対して、引用4発明は、これらの工程を有していない点。 (イ) まず、相違点4Bについて検討すると、引用4発明は、梱包方法において還元性物質を共存させていないから、相違点4Bは実質的な相違点である。 したがって、相違点4Aについて検討するまでもなく、本件発明1は刊行物4に記載された発明ではない。 イ 本件発明2について 本件発明2は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であるところ、本件発明2におけるヒドロキシ置換芳香族化合物についても、引用4発明におけるアルキルフェノールを包含するから、本件発明2と引用4発明は、上記ア(ア)で述べた一致点(ただし、ヒドロキシ置換芳香族化合物については、本件発明2の化合物に読み替える。)で一致し、相違点4A及び4Bで相違する。 そうすると、上記ア(イ)で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は刊行物4に記載された発明ではない。 (2-5) 理由1Eについて ア 本件発明1について (ア) 引用5発明の「2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノン」は、本件発明1の式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物において、n0は1であり、m0は0であり、p0は4であり、Raは1,1,3,3-テトラメチルブチル基又は水素原子であって、そのうち2つのRaが1,1,3,3-テトラメチルブチル基であり、その他が水素原子である化合物、又は、p0は2であり、Raは1,1,3,3-テトラメチルブチル基である化合物に相当する。 したがって、本件発明1と引用5発明とは、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含み、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。(式略)」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点5A:本件発明1は、梱包時の雰囲気について「酸素濃度が、梱包前の梱包容器中における大気圧下での気体成分の総量から前記ヒドロキシ置換芳香族化合物の体積を除いた気体容積100体積%に対して、20体積%未満の雰囲気(ただし、減圧状態のものを除く。)にて梱包」すると特定されているのに対して、引用5発明は、不活性ガスで置換して梱包している点。 相違点5B:本件発明1は、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有しているのに対して、引用5発明は、脱酸素剤を同封し又は同封せずに容器に梱包している点。 (イ) まず、相違点5Bについて検討すると、引用5発明は、梱包方法において乾燥する工程を有していないから、相違点5Bは実質的な相違点である。 したがって、相違点5Aについて検討するまでもなく、本件発明1は刊行物5に記載された発明ではない。 イ 本件発明2について 本件発明2は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であるところ、本件発明2におけるヒドロキシ置換芳香族化合物についても、引用5発明における2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンを包含するから、本件発明2と引用5発明は、上記ア(ア)で述べた一致点(ただし、ヒドロキシ置換芳香族化合物については、本件発明2の化合物に読み替える。)で一致し、相違点5A及び5Bで相違する。 そうすると、上記ア(イ)で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は刊行物5に記載された発明ではない。 (2-6) 理由2について ア 本件発明1について 上記(2-2)アのとおり、本件発明1と引用2発明とは、相違点2Bの点で、実質的に相違するところ、刊行物2には、着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物を保存するための従来技術として、着色防止のために還元剤を散布する、又は、袋状物に収納して空間部に詰込むことができること、還元剤としては亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などを使用できることとともに(摘記(B1b))、還元剤等の着色防止剤を直接水酸基を有する芳香族物質に混入したものに酸素吸収剤を共存させる方法を適用すると、さらに完全な着色防止の効果が得られることも記載されている(摘記(B1f))。 そうすると、引用2発明においても、刊行物2の記載(摘記(B1b)及び(B1f))を参酌し、より良い梱包方法とするべく、亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などの還元剤をさらに共存させることには、一応の動機付けがあるものといえる。 しかしながら、刊行物2には、梱包方法において、還元性物質を共存させた状態で、更に乾燥する工程についての記載も示唆もなく、刊行物3~7(摘記(B2a)~(B2d)、(B3a)~(B3e)、(B5a)~(B5c)、(B6a)及び(B6b)並びに(α7a))にも、そのような記載も示唆もない。 したがって、引用2発明において、相違点2Bに係る本件発明1の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点2Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用2発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 よって、本件発明1は、刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2及び3について 上記(2-2)イのとおり、本件発明2と引用2発明とは、相違点2Bの点で、実質的に相違するところ、上記アで述べた理由と同様の理由により、本件発明2及び3は、刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明4について 本件発明4と引用2発明は、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。」である点で一致し、上記(2-2)ア(ア)の相違点2A及び2B並びに以下の相違点2Cの点で相違する。 相違点2C:本件発明4は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(1)で表される化合物からなる群より選ばれるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であるのに対して、引用2発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、フレーク状β-ナフトール又はレゾルシンである点。 そうすると、上記アで述べた理由と同様の理由により、引用2発明において、相違点2Bに係る本件発明4の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点2A及び2Cについて検討するまでもなく、本件発明4は、引用2発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 よって、本件発明4は、刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、請求項1~4の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~4を更に限定するものである。 そうすると、上記ア~ウで述べたとおり、本件発明1~4が刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明5~8も、刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 申立人の意見について ア 申立人Aの意見書Aにおける主張について 申立人Aは、取消理由のとおり、刊行物5に記載の作用やメカニズムを勘案すれば、引用2発明において、保管時に還元性物質を共存させることと、乾燥させることは、当業者が容易に想到する旨の主張をしている。 しかしながら、刊行物5は、脱酸素・脱湿剤の利用の問題点からアルミラミネートフィルムの利用を前提としたものに関する文献であり、上記(2)(2-6)アで述べたとおり、刊行物2~7には、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法において、還元性物質を共存させ、かつ、乾燥させることに関する記載も示唆もないから、申立人Aの主張は採用できない。 イ 申立人Bの意見書Bにおける主張について 申立人Bは、刊行物2に記載の脱酸素剤である「活性酸化鉄成形品[エージレス、三菱ガス化学社製]」は、摘記(B7a)及び(B8a)によると、本件発明の「還元性物質」に相当するから、引用2発明は、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を有するものである。そして、摘記(B9a)及び(B10a)によると、鉄系の脱酸素剤は、酸素を吸収する際に容器内の水分を利用し、結果として乾燥剤と同じ機能を発揮するものであって、水酸基を有する芳香族化合物は、脱酸素剤である還元性物質の存在下で乾燥されるから、相違点2Bは、実質的な相違点ではなく、また、脱酸素剤や脱湿剤を併用することは公知技術であるから、引用2発明において、相違点2Bに係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易に行うことである旨の主張をしている。 しかしながら、脱酸素剤が還元性物質の特性を有していたとしても、引用2発明は梱包時に窒素ガスで置換するとともに脱酸素剤を共存させるものであって、刊行物2には梱包時に脱酸素機能の発揮を目的とした記載はなく、また、窒素ガス雰囲気下での単なる脱酸素剤の存在が、梱包方法における乾燥する工程にあたるとはいえない。さらに、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法において、脱酸素剤や脱湿剤を併用し、かつ、乾燥する工程を設けることが公知技術であるとする根拠はないし、かつ、刊行物2には、そのような公知技術を採用する動機付けの記載も存在しない。 したがって、相違点2Bは実質的な相違点であり、また、引用2発明において、相違点2Bに係る本件発明1の特定事項を採用する動機付けはないから、申立人Bの主張は採用できない。 (4) 小括 以上より、本件発明1~4及び8は、文献1及び刊行物2~5のいずれにも記載された発明ではなく、本件発明1~8は、刊行物2に記載された発明及び刊行物2~7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、請求項1~8についての取消理由は、本件訂正により解消し、理由がない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1) 申立てAの理由(A1)~(A4)について (1-1) 理由(A1) 新規性、及び(A2) 進歩性 申立てAは、本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対するものであって、本件訂正前の請求項5~8に係る特許に対するものではなく、後者に関する実体的な理由を申立人Aは主張していない。 一方、本件発明1~8は、本件訂正前の請求項6に記載の「梱包容器内に前記ヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含む」という特定事項を有し、「乾燥する工程」を少なくとも更に有するものである。 ここで、上記2(2)(2-6)で述べたとおり、刊行物2~7には、相違点2Bの本件発明に係る特定事項である「梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程と、前記還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」を有していること」について記載も示唆もないところ、申立人Aが証拠として提出した甲A1~9についても、当該事項について記載も示唆もない(摘記(A1a)~(A1c)、(A2a)~(A2c)、(A3a)、(A4a)、(A5a)、(A6a)及び(A6b)、(A7a)、(A8a)並びに(A9a)及び(A9b))。なお、甲A3~5は、本件の出願日(本件出願は、特許法第44条のもとの出願の出願日に出願されたものと見なす。)後に公開された文献であって、特許法第29条における頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものに該当しない。 そうすると、本件発明1~4は、甲A1及び2に記載された発明ではなく、かつ、甲A1又は2に記載された発明及び甲A1~9に記載された事項(ただし、甲A3~5は本件出願後の参考情報)に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 (1-2) 理由(A3) 実施可能要件 ア 実施可能要件の判断の前提 方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明の記載に関して、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 イ 特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲には、上記第3に示したとおりの請求項1~8が記載されている。 ウ 本件明細書の記載 (A) 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 従来、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレン(ナフタレンジオール)は一般的に乾燥して用いられる。しかし、その際に同時に劣化を起こし、純度にばらつきが発生するといった問題が顕在化しており、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの乾燥方法の改善が求められている。 また、従来、一般的にヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンは保管・運搬の際に梱包されているが、その際に同時に劣化を起こし、純度にばらつきが発生するといった問題が顕在化しており、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの梱包方法について改善が求められている。 本発明の目的は、乾燥工程におけるヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの劣化を抑制し、かつ工業的に有利なヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)の製造方法を提供することにある。 また、本発明の第二の目的は、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの保管・運搬の際の劣化を抑制し、かつ工業的に有利な梱包方法を提供することにある。」 (B) 「【0031】 <ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法> 本実施形態のヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法は、ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が20%未満の雰囲気にて梱包する工程を含む。」 (C) 「【0040】 ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンは二量体を生成し易いという問題があったが、該化合物を酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて梱包することにより、該化合物の酸化による二量体等の副生成物の生成を抑制し、高純度を維持したまま保管・輸送することが可能になる。 【0041】 本実施形態の梱包方法において、梱包工程の酸素濃度は10体積%未満が好ましく、5体積%未満がより好ましく、1体積%未満がさらに好ましい。梱包工程の酸素濃度が低いほど、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの変質を抑制することができる。梱包工程の酸素濃度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01体積%である。 【0042】 酸素濃度を低下させる方法は、公知の方法が適用でき、特に限定されないが、例えば、梱包容器に窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素ガスを導入することで、ガス置換を行う方法を挙げることができる。もしくは減圧して真空下で行う方法も挙げることができる。梱包容器を減圧してその後窒素ガスを導入する方法ことが簡便かつ確実で好ましい。」 (D) 「【0050】 本実施形態の梱包方法において、梱包形態は、公知の形態が適用でき、特に限定されない。例えば、梱包用の容器としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン若しくはポリエチレンテレフタレート等を素材とする樹脂フィルム袋、アルミ袋、それらの多層フィルム袋又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。さらに劣化を抑制する観点から、アルミラミネートしたフィルムを使用することが好ましい。 また、封は、輪ゴム、ガムテープやビニールテープあるいはヒートシール等の方法により行うことができるが、さらに劣化を抑制する観点から、ヒートシールが好ましい。 【0051】 製品の保護及び内容物の表示等のために外装材を用いることもできる。外装材としては、公知の形態が適用でき、特に限定されないが、例えば、段ボール、ファイバードラム、ペール缶、金属缶、ガラス容器等が挙げられる。また、それらの蓋の固定には、ビニールテープ、かしめあるいは金属バンド等が用いられる。 【0052】 本実施形態の梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と乾燥剤とを共存させる工程を含むことが、ヒドロキシ置換芳香族化合物の変質抑制の観点からより好ましい。乾燥剤としては、公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば、シリカゲル、酸化アルミニウム等が挙げられる。 これらの乾燥剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。 【0053】 本実施形態の梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含むことが、該化合物の変質抑制の観点からより好ましい。ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程に供すると更に劣化を抑制することができる場合がある。また、還元性物質をヒドロキシ置換芳香族化合物に添加せずに梱包容器内に配置することでも効果がある場合がある。 【0054】 上記還元性物質としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸(塩)、重亜硫酸(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜二チオン酸(塩)、三チオン酸(塩)、四チオン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ロンガリット、チオ酢酸(塩)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、ジメチルスルホキサイド、二酸化チオ尿素等の含イオウ原子還元性物質;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類;亜リン酸(塩)、次亜リン酸(塩)等の含リン原子還元性物質などを挙げることができる。これらの中でも、安価且つ工業的に入手し易く、しかも効果の高い重亜硫酸(塩)の使用が好ましい。 これらの還元性物質は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。 【0055】 本実施形態の梱包方法において、これら還元性物質の使用量は、ヒドロキシ置換芳香族化合物100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲が好ましく、0.05~3質量部の範囲がより好ましく、0.1~1質量部の範囲がさらに好ましい。 また、これら還元性物質を使用した場合、酸素濃度が比較的高い場合でも、熱劣化の全くないヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)を得ることが可能な場合があるため、安価な製品を製造する場合には特に有効な手段となり得るものである。 【0056】 本実施形態の梱包方法において、梱包した容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と脱酸素剤とを共存させる工程を含むことが、該化合物の変質抑制の観点からより好ましい。脱酸素剤としては、特に限定されないが、鉄を主成分とする無機系脱酸素剤、フェノール類、アスコルビン酸、グリセリン、糖アルコールまたは不飽和脂肪酸を主成分とするものが挙げられる。これらの中でも、安価且つ工業的に入手し易く、しかも効果の高い鉄を主成分とする無機系脱酸素剤が好ましい。このような無機系脱酸素剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)社製エージレス等の製品名で知られるもの挙げられる。 これらの脱酸素剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。 【0057】 本実施形態の梱包方法において、これら脱酸素剤の使用量は、ヒドロキシ置換芳香族化合物100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲が好ましく、0.05~3質量部の範囲がより好ましく、0.1~1質量部の範囲がさらに好ましい。 また、これら脱酸素剤を使用した場合、梱包時の酸素濃度が比較的高い場合でも、梱包後に速やかに酸素濃度を低減することが可能となり、設備投資を行わず品質の優れた製品を製造する場合に特に有効な手段となり得るものである。」 (E) 「【0069】 (実施例1-1) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製;寸法600mm×700mm)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、RPシステムアルミ袋を脱気、ヒートシールを行い、封をした。その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は1体積%未満であった。 1週間25℃環境下にて保管し、その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度99%と変化無く良好であった。 なお、前記RPシステムアルミ袋とは、透過度がほぼゼロで、無酸素無水分の環境とする包装に用いられる袋であり、例えば、以下のサイトにより確認することができる。 http:www.mgc.co.jp/seihin/a/rpsystem/bag.html 【0070】 (実施例1-2) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製;寸法600mm×700mm)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、酸素吸収剤として市販されているRP剤(三菱ガス化学社製)を10個同封、ヒートシールを行い、封をした。1週間25℃環境下にて保管し、その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は1体積%未満であった。 その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度99%と変化無く良好であった。 【0071】 (実施例1-3) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製;寸法600mm×700mm)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、酸素吸収剤として市販されているRP剤(三菱ガス化学社製)を8個同封、ヒートシールを行い、封をした。1週間25℃環境下にて保管し、その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は3体積%であった。 その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度99%と変化無く良好であった。 【0072】 (実施例1-4) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製;寸法600mm×700mm)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、酸素吸収剤として市販されているRP剤(三菱ガス化学社製)を6個同封、ヒートシールを行い、封をした。1週間25℃環境下にて保管し、その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は6体積%であった。 その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度98.4%と良好であった。 【0073】 (実施例1-5) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製;寸法600mm×700mm)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、酸素吸収剤として市販されているRP剤(三菱ガス化学社製)を3個同封、ヒートシールを行い、封をした。1週間25℃環境下にて保管し、その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は11体積%であった。 その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度98%と良好であった。 【0074】 (比較例1-1) RPシステムアルミ袋(三菱ガス化学社製)に、純度99%の2,6-ジヒドロキシナフタレンを10kg入れ、RPシステムアルミ袋を脱気せずに、ヒートシールを行い、封をした。その際のRPシステムアルミ袋内の酸素濃度は20.8体積%であった。 1週間25℃環境下にて保管し、その後、袋から2,6-ジヒドロキシナフタレンを取り出し純度を測定したところ、純度95%と劣化が認められ不良であった。 【産業上の利用可能性】 【0075】 本発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、上記式(1)で表される化合物)を工業的に有利に製造する方法を提供することができる。 また、本発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、式(1)で表される化合物)を工業的に有利に梱包する方法を提供することができる。」 エ 実施可能要件の判断 本件特許明細書には、酸素濃度を低下させる方法は、公知の方法が適用でき、特に限定されないとされ、梱包容器に窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素ガスを導入することが例示されており(摘記(B)及び(C))、本件発明は「ただし、減圧状態のものを除く」ものであるから、前者が本件発明の例示といえ、当業者にとって、梱包方法における酸素濃度を低下させる方法は、過度の試行錯誤なく、その方法を使用できるものといえる。 さらに、摘記(D)の【0053】によると、「本実施形態の梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含むことが、該化合物の変質抑制の観点からより好ましい。ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程に供すると更に劣化を抑制することができる場合がある。」と記載されているところ、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程」は、単に梱包容器内に両物質を共存させることであるから、特段困難な工程とはいえないし、梱包時に「還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」も、単に乾燥する工程であるから、当業者にとって過度な試行錯誤を要する工程とはいない。 したがって、本件特許明細書には、本件発明1~8について、当業者が明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法の使用をすることができる程度の記載があるものといえる。 オ 申立人Aの主張について 申立人Aは、減圧せず、酸素吸収剤も同封せずに酸素濃度を特定範囲にする具体的方法が十分にわからない旨の主張をしているが、上記エのとおり、窒素ガスのフローや乾燥する工程は当業者にとって過度な試行錯誤を要しないから、本件特許明細書は、当業者が本願発明1~8について実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、申立人Aの主張は採用できない。 (1-3) 理由(A4) サポート要件 ア サポート要件の判断の前提 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載 特許請求の範囲及び発明の詳細な説明には、上記(1-2)イ及びウに示したとおりの事項が記載されている。 ウ サポート要件の検討 (ア) 本件発明の解決すべき課題について 摘記(A)によると、本件発明の課題は、「ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの保管・運搬の際の劣化を抑制し、かつ工業的に有利な梱包方法を提供すること」であると認められる。 (イ) 判断 本件特許明細書には、酸素濃度を低下させる方法は、公知の方法が適用でき、特に限定されないとされ、梱包容器に窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素ガスを導入することが例示されており(摘記(B)及び(C))、本件発明は「ただし、減圧状態のものを除く」ものであるから、前者が本件発明の例示といえる。 さらに、摘記(D)の【0053】によると、「本実施形態の梱包方法において、梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程を含むことが、該化合物の変質抑制の観点からより好ましい。ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程に供すると更に劣化を抑制することができる場合がある。」と記載されているから、梱包方法において、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程」と「還元性物質の存在下で前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を乾燥する工程」が記載されているといえ、それぞれ、化合物の変質抑制及び劣化の抑制に効果的であることが当該一般的記載から理解できるものといえる。 一方、摘記(E)によると、具体的記載である梱包方法についての実施例においては、窒素ガスをフローすることなどで酸素濃度を低下させたり、「梱包容器内にヒドロキシ置換芳香族化合物と還元性物質とを共存させる工程」と「ヒドロキシ置換芳香族化合物に還元性物質を添加した後、乾燥工程」を有する梱包方法についての例示はない。 しかしながら、本件発明の各工程の技術的な目的及び効果は、上記一般的記載から当業者が一定程度理解できるものであって、本件発明1~8は、発明の詳細な説明に記載されているだけでなく、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。 エ 申立人Aの主張について 申立人Aは、減圧せず、酸素吸収剤も同封せずに酸素濃度を特定範囲にする具体的方法について、サポート要件違反である旨の主張をしているが、上記ウのとおり、窒素ガスのフローや乾燥する工程の技術的な目的及び効果は当業者がある程度理解できるものであるから、請求項1~8に係る特許を受けようとする発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、申立人Aの主張は採用できない。 (2) 申立てBの理由(B1-3)、(B2-1)、(B2-2)、(B2-3)及び(B2-4)について (2-1) 理由(B1-3) 新規性 ア 本件発明5及び8について 本件発明5及び8は、請求項1~4の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~4を更に限定するものである。 また、上記2(2)(2-5)ア及びイで述べたとおり、本件発明1及び2と引用5発明は、相違点5Bで実質的に相違する。また、本件発明3及び4は、梱包の対象とするヒドロキシ置換芳香族化合物のみが本件発明1と異なる発明であって、引用5発明に対して、相違点5Bで実質的に相違するといえる。 そうすると、本件発明5及び8と引用5発明とは、相違点5Bで実質的に相違するものである。 よって、本件発明5及び8は甲B5(刊行物5)に記載された発明ではない。 (2-2) 理由(B2-1) 進歩性 上記2(2)(2-6)で述べたとおり、引用2発明において、相違点2Bに係る本件発明1~8の特定事項を採用することが、当業者にとって容易に想到することではないことから、本件発明1~8は、甲B1(刊行物2)に記載された発明並びに甲B1、甲B2(刊行物3)、甲B3(刊行物4)、甲B5(刊行物5)、甲B6(刊行物6)及び刊行物7の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、甲B4には、相違点2Bに係る本件発明1~8の特定事項に関し、梱包方法において、還元性物質を共存させた状態で、更に乾燥する工程を行うことについての記載も示唆もない。 そうすると、本件発明1~8は、甲B1に記載された発明並びに甲B1~6の記載事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2-3) 理由(B2-2) 進歩性 ア 本件発明1について 上記2(2)(2-3)アのとおり、本件発明1と引用3発明とは、相違点3Bの点で、実質的に相違し、甲B2(刊行物3)には還元性物質に関する特段の記載はない。 ここで、甲B1には、着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物を保存するための従来技術として、着色防止のために還元剤を散布する、又は、袋状物に収納して空間部に詰込むことができること、還元剤としては亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などを使用できることとともに(摘記(B1b))、還元剤等の着色防止剤を直接水酸基を有する芳香族物質に混入したものに酸素吸収剤を共存させる方法を適用すると、さらに完全な着色防止の効果が得られることも記載されているものの(摘記(B1f))、梱包方法において、還元性物質を共存させた状態で、更に乾燥する工程を行うことについての記載も示唆もない。そして、甲B3~6(摘記(B3a)~(B3e)、(B4a)、(B5a)~(B5c)並びに(B6a)及び(B6b))にも、そのような記載も示唆もない。 したがって、引用3発明において、相違点3Bに係る本件発明1の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点3Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用3発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 よって、本件発明1は、甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 上記2(2)(2-3)イのとおり、本件発明2と引用3発明とは、相違点3Bの点で、実質的に相違するところ、上記アで述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明3及び4について 本件発明3及び4と引用3発明は、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。」である点で一致し、上記2(2)(2-3)アの相違点3A及び3B並びに以下の相違点3Cの点で相違する。 相違点3C:本件発明3は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(A-1)~(A-4)及び(B-1)で表される化合物からなる群より選ばれるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であり、本件発明4は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(1)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であるのに対して、引用3発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジメチルフェノールである点。 そうすると、上記アで述べた理由と同様の理由により、引用3発明において、相違点3Bに係る本件発明3又は4の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点3A及び3Cについて検討するまでもなく、本件発明3及び4は、引用3発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、本件発明3及び4は、甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、請求項1~4の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~4を更に限定するものである。 そうすると、上記ア~ウで述べたとおり、本件発明1~4が甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明5~8も、甲B2に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2-4) 理由(B2-3) 進歩性 ア 本件発明1について 上記2(2)(2-4)アのとおり、本件発明1と引用4発明とは、相違点4Bの点で、実質的に相違し、甲B3(刊行物4)には還元性物質に関する特段の記載はない。 ここで、甲B1には、着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物を保存するための従来技術として、着色防止のために還元剤を散布する、又は、袋状物に収納して空間部に詰込むことができること、還元剤としては亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などを使用できることとともに(摘記(B1b))、還元剤等の着色防止剤を直接水酸基を有する芳香族物質に混入したものに酸素吸収剤を共存させる方法を適用すると、さらに完全な着色防止の効果が得られることも記載されているものの(摘記(B1f))、梱包方法において、還元性物質を共存させた状態で、更に乾燥する工程を行うことについての記載も示唆もない。そして、甲B2及び4~6(摘記(B2a)~(B2d)、(B4a)、(B5a)~(B5c)並びに(B6a)及び(B6b))にも、そのような記載も示唆もない。 したがって、引用4発明において、相違点4Bに係る本件発明1の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点4Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用4発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 よって、本件発明1は、甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 上記2(2)(2-4)イのとおり、本件発明2と引用4発明とは、相違点4Bの点で、実質的に相違するところ、上記アで述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明3及び4について 本件発明3及び4と引用4発明は、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。」である点で一致し、上記2(2)(2-4)アの相違点4A及び4B並びに以下の相違点4Cの点で相違する。 相違点4C:本件発明3は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(A-1)~(A-4)及び(B-1)で表される化合物からなる群より選ばれるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であり、本件発明4は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(1)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であるのに対して、引用4発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジメチルフェノールである点。 そうすると、上記アで述べた理由と同様の理由により、引用4発明において、相違点4Bに係る本件発明3又は4の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点4A及び4Cについて検討するまでもなく、本件発明3及び4は、引用4発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、本件発明3及び4は、甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、請求項1~4の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~4を更に限定するものである。 そうすると、上記ア~ウで述べたとおり、本件発明1~4が甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明5~8も、甲B3に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2-5) 理由(B2-4) 進歩性 ア 本件発明1について 上記2(2)(2-5)アのとおり、本件発明1と引用5発明とは、相違点5Bの点で、実質的に相違し、甲B5(刊行物5)には背景技術において、脱酸素・脱湿剤の使用は異物として混入のおそれがあると記載されるにとどまり(摘記(B5c))、還元性物質に関する特段の記載はない。 ここで、甲B1には、着色を呈する水酸基を有する芳香族化合物を保存するための従来技術として、着色防止のために還元剤を散布する、又は、袋状物に収納して空間部に詰込むことができること、還元剤としては亜硫酸ソーダ、亜ニチオン酸塩などを使用できることとともに(摘記(B1b))、還元剤等の着色防止剤を直接水酸基を有する芳香族物質に混入したものに酸素吸収剤を共存させる方法を適用すると、さらに完全な着色防止の効果が得られることも記載されているものの(摘記(B1f))、梱包方法において、還元性物質を共存させた状態で、更に乾燥する工程を行うことについての記載も示唆もない。そして、甲B2~4及び6(摘記(B2a)~(B2d)、(B3a)~(B3e)、(B4a)並びに(B6a)及び(B6b))にも、そのような記載も示唆もない。 したがって、引用5発明において、相違点5Bに係る本件発明1の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点5Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用5発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。 よって、本件発明1は、甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 上記2(2)(2-5)イのとおり、本件発明2と引用5発明とは、相違点5Bの点で、実質的に相違するところ、上記アで述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明3及び4について 本件発明3及び4と引用5発明は、「ヒドロキシ置換芳香族化合物を梱包する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の梱包方法。」である点で一致し、上記2(2)(2-5)アの相違点5A及び5B並びに以下の相違点5Cの点で相違する。 相違点4C:本件発明3は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(A-1)~(A-4)及び(B-1)で表される化合物からなる群より選ばれるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であり、本件発明4は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、式(1)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物(式略)であるのに対して、引用5発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノンである点。 そうすると、上記アで述べた理由と同様の理由により、引用5発明において、相違点5Bに係る本件発明3又は4の特定事項を採用する動機付けはなく、相違点5A及び5Cについて検討するまでもなく、本件発明3及び4は、引用5発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、本件発明3及び4は、甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明5~8について 本件発明5~8は、請求項1~4の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1~4を更に限定するものである。 そうすると、上記ア~ウで述べたとおり、本件発明1~4が甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明5~8も、甲B5に記載された発明及び甲B1~6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 申立てBの理由(B3) 明確性要件について 申立人Bは、本件訂正前の請求項1~8に係る特許の梱包方法における「減圧状態」が不明であるから、「ただし、減圧状態のものを除く」との規定の技術的意味が明確ではなく、請求項1~8は不明瞭である旨の主張をしている。 しかしながら、本件発明で除かれている「減圧状態」とは、梱包する工程における容器内の雰囲気が、大気の圧力に対して低い状態を意味していることは明らかであるから、本件発明1~8は明確である。 よって、申立人Bが主張する(B3)によっては、本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。 (4) 小括 以上より、申立人Aが申し立てた理由(A1)~(A4)及び申立人Bが申し立てた理由(B1)~(B3)によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人A及びBの申し立てた特許異議申立理由によっては、本件請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700226

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  • 2022-700352異議申立 / 2023-10-06 / 訂正認容1,3-ブチレングリコール製品
    共通の審決分類: 113・C07C、121・C07C、536・C07C、537・C07C
  • 2021-701213異議申立 / 2022-03-28 / 維持1,3-ブチレングリコール製品
    共通の審決分類: 113・C07C、121・C07C、536・C07C、537・C07C
  • 2020-701005異議申立 / 2021-07-16 / 訂正認容ブタジエンの製造方法
    共通の審決分類: 113・C07C、121・C07C、536・C07C、537・C07C

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