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特許異議申立

2022-700213

ゲート駆動装置、スイッチング装置およびゲート駆動方法

審判番号
2022-700213
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-093708
登録番号
6943316
請求日
2022年03月11日
審決日
2023年06月22日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】富士電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
  • 【異議申立人】角田 朗
審判長/審判官
  • 審判長 林 毅
  • 審判官 山崎 慎一
  • 審判官 山澤 宏
分類
P1652.121-ZDA(H02M) / P1652.113-ZDA(H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6943316号発明「ゲート駆動装置、スイッチング装置およびゲート駆動方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6943316号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、5~10、12~17〕、18、21、22について訂正することを認める。 特許第6943316号の請求項1~7、10~16、18~21に係る特許を維持する。 特許第6943316号の請求項22に係る特許を取り消す。 特許第6943316号の請求項8についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6943316号の請求項1~20に係る特許についての出願は、令和2年5月28日に出願され、令和3年9月13日にその特許権の設定登録がされ、同年9月29日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和4年3月11日に特許異議申立人角田朗(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年6月30日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年9月1日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、この訂正の請求を、「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、申立人は、同年12月8日に意見書を提出した。当審は、令和5年2月21日付けで取消理由通知(決定の予告)をしたが、特許権者から意見書の提出は無かった。 第2 異議申立理由の概要 申立人は、以下の証拠(甲第1号証~甲第3号証)を提出し、本件特許の請求項1~8、10~16及び18~20に係る発明は、以下の1及び2に示す理由により取り消すべきものである旨主張する。 1 特許法第29条第1項第3号(理由1) (1)理由1-1(甲第1号証に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1~8、10~14、16及び18~20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、請求項1~8、10~14、16及び18~20に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 以下、この特許異議申立理由を、「理由1-1」という。 (2)理由1-2(甲第2号証に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1~4、6~8、10~12、14~16及び18~20に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、請求項1~4、6~8、10~12、14~16及び18~20に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 以下、この特許異議申立理由を、「理由1-2」という。 2 特許法第29条第2項(理由2) (1)理由2-1(甲第1号証及び甲第3号証に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~8、10~14、16及び18~20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第3号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~8、10~14、16及び18~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 以下、この特許異議申立理由を、「理由2-1」という。 (2)理由2-2(甲第2号証に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項15に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 以下、この特許異議申立理由を、「理由2-2」という。 (証拠) 甲第1号証 : 特開平9-46201号公報 甲第2号証 : 特開2014-147237号公報 甲第3号証 : TOSHIBA MOSFETゲート駆動回路 Application Note 以降において、上記甲第1号証~甲第3号証の各々を、「甲1」~「甲3」という場合がある。 第3 各証拠に記載された事項 1 甲第1号証 (1)甲第1号証に記載された事項 申立人が提出した甲第1号証には、次のア~オに示す事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。) ア 「【請求項3】ゲートにオン信号が加わった直後の初期状態が、コレクタに電流が流れ始めるまでの第1の期間と、当該第1の期間の後でかつゲート電圧が時間と共に上昇する第2の期間と、ゲート電圧がゲート-コレクタ間容量の増加のためほぼ一定となる第3の期間とを少なくとも含んでいる、絶縁ゲート型半導体素子を備えた絶縁ゲート型半導体装置の駆動方法において、 前記ゲートに印加する駆動電圧を、前記初期状態が続く期間中に変化させるものであり、 前記第1の期間に前記ゲートに印加する駆動電圧V1と、前記第2の期間全体を少なくとも含む第2’の期間に前記ゲートに印加する駆動電圧V2と、当該第2’の期間に連続して設定される、前記第3の期間の少なくとも一部を含む第3’の期間に前記ゲートに印加する駆動電圧V3とを、 V2<V1 かつ V2<V3となるように設定することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動方法。 【請求項4】絶縁ゲート型半導体素子のゲートに駆動電圧を印加して駆動する、絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置において、 前記駆動電圧を発生する第1及び第2の駆動回路と、 前記第1の駆動回路と前記ゲートとを接続する第1のゲート抵抗、及び、前記第2の駆動回路と前記ゲートを接続する、前記第1のゲート抵抗の抵抗値よりも小さい抵抗値の第2のゲート抵抗と、 入力されるオン信号に応じて、最初に、前記第1の駆動回路を動作させると共に、動作させる駆動回路を切り換えるタイミングを決定し、該タイミングに応じて前記第1の駆動回路の動作を停止し、第2の駆動回路の動作を開始する制御回路とを有し、 前記制御回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート電圧が安定する定常状態を達成する以前の初期状態における、ゲート電圧が時間と共に増加する第1の期間以降で、かつ、ゲート電圧がゲート-コレクタ間容量の増加のためほぼ一定となる第2の期間の終了前に、動作させる駆動回路を切り換えるための前記タイミングを決定するタイミング決定回路を有することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。 【請求項5】請求項4において、 前記タイミング決定回路は、入力されるオン信号を前記第1の期間全体を少なくとも含んで設定される期間t1だけ遅延させる遅延回路を有し、該遅延信号が出力された時点を前記切り換えのタイミングとすることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。 【請求項6】請求項4において、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子のコレクタ電圧を検出し、前記検出されたコレクタ電圧が予め定めた電圧値以下かどうかを判定するコレクタ電圧判定回路を有し、該判定の結果、前記検出したコレクタ電圧が前記予め定めた電圧値以下となった時点を、前記切り換えのタイミングとすることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。 【請求項7】請求項4において、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート電圧を検出し、前記検出されたゲート電圧が予め定めた電圧値以上かどうかを判定するゲート電圧判定回路を有し、該判定の結果、前記検出したゲート電圧が前記予め定めた電圧値以上となった時点を、前記切り換えのタイミングとすることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。 【請求項8】請求項4において、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子のエミッタ電流、コレクタ電流、及び、前記2種類の電流の一方の電流量に対応して変化する電流のうち、いずれか1つの電流の電流値を検出し、前記検出された電流値が予め定めた電流値以上かどうかを判定する電流判定回路を有し、該判定の結果、前記検出した電流値が前記予め定めた電流値以上となった時点を、前記切り換えのタイミングとすることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。 【請求項9】絶縁ゲート型半導体素子のゲートに駆動電圧を印加して駆動する、絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置において、 前記駆動電圧を発生する第1、第2、及び、第3の駆動回路と、 前記第1の駆動回路と前記ゲートとを接続する第1のゲート抵抗、前記第2の駆動回路と前記ゲートを接続する第2のゲート抵抗、及び、前記第3の駆動回路と前記ゲートを接続する第3のゲート抵抗と、 入力されるオン信号に応じて、最初に前記第1の駆動回路を動作させると共に、動作させる駆動回路を前記第1の駆動回路から前記第2の駆動回路へ切り換える第1のタイミング、及び、前記第2の駆動回路から前記第3の駆動回路へ切り換える第2のタイミングをそれぞれ決定し、該第1及び第2のタイミングに応じて前記3つの駆動回路を順次動作させる制御回路とを有し、 前記制御回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート電圧が安定する定常状態を達成する以前の初期状態における、ゲートに電圧が印加されてからコレクタに電流が流れ始めるまでの第1の期間の終了とほぼ同期する時点を前記第1のタイミングとし、該第1のタイミングの後の、ゲート電圧が時間と共に増加する第2の期間以降で、かつ、ゲート電圧がゲート-コレクタ間容量の増加のためほぼ一定となる第3の期間の終了前での時点を前記第2のタイミングとして決定するタイミング決定回路を有し、 前記第2のゲート抵抗の抵抗値は、前記第1、第3のゲート抵抗の抵抗値のいずれよりも大きいことを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。」 イ 「【0027】 【実施例】以下、本発明による絶縁ゲート型半導体装置の駆動方法、及び、それを実現する駆動装置の実施例を図面を使って、詳細に説明する。 …中略… 【0080】本実施例の駆動装置は、図6に示すように、3個の駆動回路2、3、23と、駆動回路2、3、23とIGBT1のゲートとをそれぞれ接続するゲート抵抗4、5、24と、駆動回路2、3、23を駆動するゲート用電源6と、各駆動回路の動作タイミングを制御する制御回路である、遅延回路8、25及び論理回路27とを有する。」 ウ 「【0091】本実施例によれば、初期状態における最初の期間(時間<td)には、IGBT1のゲートに電流を供給するときのゲート抵抗をより小さくすることで、遅延時間tdを短くすることができる。さらに、ゲート電流が流れ始めてからゲート電圧がほぼ一定になった後の予め定めた時点までの期間(td<時間<t1)、より大きな抵抗値を備えたゲート抵抗を通して、IGBT1のゲートへ給電することにより、ゲート電流の時間変化率di/dtを小さく抑えることができる。さらに、IGBT1のゲート電圧がほぼ一定となった後の前記予め定めた時点以降の期間(時間t1以降)に、再び抵抗値がより小さいゲート抵抗を通じて給電することにより、ターンオン損失を小さくすることができる。」 エ 「図6 [図:0001403615000001.jpg] 」 オ 「図7 [図:0001403615000002.jpg] 」 カ 「図8 [図:0001403615000003.jpg] 」 (2)甲1発明 上記(1)ア~カに示した記載事項(特に下線部)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置において(【0027】)、 入力されるオン信号に応じて、最初に、第1の駆動回路を動作させると共に、動作させる駆動回路を切り換えるタイミングを決定し、該タイミングに応じて前記第1の駆動回路の動作を停止し、第2の駆動回路の動作を開始する制御回路とを有し、前記制御回路は、絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のゲート電圧が安定する定常状態を達成する以前の初期状態における、ゲート電圧が時間と共に増加する第1の期間以降で、かつ、ゲート電圧がゲート-コレクタ間容量の増加のためほぼ一定となる第2の期間の終了前に、動作させる駆動回路を切り換えるための前記タイミングを決定するタイミング決定回路を有し(【請求項4】)、 前記絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)には、逆並列にダイオードが接続され(図8)、 前記タイミング決定回路は、入力されるオン信号を前記第1の期間全体を少なくとも含んで設定される期間t1だけ遅延させる遅延回路を有し、該遅延信号が出力された時点を前記切り換えのタイミングとし(【請求項5】)、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のコレクタ電圧を検出し、前記検出されたコレクタ電圧が予め定めた電圧値以下かどうかを判定するコレクタ電圧判定回路を有し(【請求項6】)、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のゲート電圧を検出し、前記検出されたゲート電圧が予め定めた電圧値以上かどうかを判定するゲート電圧判定回路を有し、該判定の結果、前記検出したゲート電圧が前記予め定めた電圧値以上となった時点を、前記切り換えのタイミングとし(【請求項7】)、 前記タイミング決定回路は、前記絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のエミッタ電流、コレクタ電流、及び、前記2種類の電流の一方の電流量に対応して変化する電流のうち、いずれか1つの電流の電流値を検出し(【請求項8】)、 前記第1の駆動回路と前記ゲートとを接続する第1のゲート抵抗、前記第2の駆動回路と前記ゲートを接続する第2のゲート抵抗、及び、前記第3の駆動回路と前記ゲートを接続する第3のゲート抵抗を有し、前記第2のゲート抵抗の抵抗値は、前記第1、第3のゲート抵抗の抵抗値のいずれよりも大きく(【請求項9】)、 駆動回路2、3、23を有し(【0080】、図6)、 初期状態における最初の期間(時間<td)には、IGBT1のゲートに電流を供給するときのゲート抵抗をより小さくすることで、遅延時間tdを短くすることができ、ゲート電流が流れ始めてからゲート電圧がほぼ一定になった後の予め定めた時点までの期間(td<時間<t1)、より大きな抵抗値を備えたゲート抵抗を通して、IGBT1のゲートへ給電することにより、ゲート電流の時間変化率di/dtを小さく抑えることができ(【0091】、図7)、 ゲートにオン信号が加わった直後の初期状態が、コレクタに電流が流れ始めるまでの第1の期間と、当該第1の期間の後でかつゲート電圧が時間と共に上昇する第2の期間とを含んでいる絶縁ゲート型半導体装置(IGBT1)の駆動方法において、前記ゲートに印加する駆動電圧を前記第1の期間に前記ゲートに印加する駆動電圧V1と、前記第2の期間全体を少なくとも含む第2’の期間に前記ゲートに印加する駆動電圧V2とをV2<V1となるように設定する(【請求項3】) 絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置。」 2 甲第2号証 (1)甲第2号証に記載された事項 申立人が提出した甲第2号証には、次のア~エに示す事項が記載されている。 ア 「【0013】 以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同じ符号は、同等の構成要素を示す。 (実施形態1) 図4は、本発明の実施形態1である電力変換装置例(インバータ装置)の1相分およびゲート駆動回路の概略構成を示す。図4において、31が絶縁ゲート(例えば、MOSゲート)によってスイッチング動作するIGBTであり、32がIGBTと対となる逆並列接続された還流ダイオードとなるSiC-SBDである。33は対アームのIGBTである。なお、IGBTとダイオードの逆並列回路をアームと称し、図4中、上側および下側の各アームをそれぞれ上アームおよび下アームと称する。 【0014】 本実施形態において、IGBT33はオフ状態のまま保持されているため、図示していないゲート駆動回路によって、IGBT33のゲートにはオフ信号が入力され続けている。34はIGBT31,33のスイッチング動作に伴い、電流の還流とリカバリ動作が発生するSiC-SBDである。本実施形態では、IGBT、ダイオードともに耐圧は3300Vであり、定格電流は1200Aである。74はIGBT31を制御するためのゲート駆動回路を示している。ゲート駆動回路74内には、オン用のゲート電源62とオフ用のゲート電源61を備えている。本実施形態では、ゲート電源62の電圧を15V、ゲート電源61の電圧を-10Vとしている。 【0015】 図1に駆動ロジック71の出力信号を示す。以下で説明するように、図1に示す駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力される。時刻がt0以前では、信号はオフ(V_off)であることから、オン用のnpnトランジスタ52がオフ状態、オフ用のpnpトランジスタ51がオン状態となり、ゲート駆動回路の出力端子75の出力電圧は電源61と等しい-10Vいなり、IGBT31はオフ状態が保持されている。 【0016】 時刻t0で駆動ロジック71からオン(V_on)が出力されると、pnpトランジスタ51はオフとなり、電源61との経路が遮断される。同時にnpnトランジスタ52がオンとなるため、出力端子75と電源62が接続され、ゲート駆動回路の出力電圧は-10Vから15Vまで上昇する。上昇の速度はターンオン用の外部ゲート抵抗42と内蔵抵抗41で制限される。 【0017】 本実施形態では内蔵抵抗1.3Ω、外部抵抗0.5Ωとしている。なお、本実施形態においては、外部抵抗42はゲート駆動回路74に含まれ、内蔵抵抗41はインバータ装置、あるいは図4に示された上下アームを格納するパワー半導体モジュールに内蔵される。 【0018】 図2にターンオンにおけるIGBT31のコレクタ-エミッタ間電圧Vce、主電流であるコレクタ電流Ic、ゲート-エミッタ間電圧Vge、ゲート電流Igの時間変化を示す。時刻t0からターンオンが開始されるため、Igには、ゲート-エミッタ間容量Cgeを充電するための電流が流れる。Vgeはほぼ一定の変化率で上昇し、Vge>Vthとなると上昇は緩やかとなる。Igはピークを経た後、減少に転ずる。Cgeの充電は終了していないが、チャネルが開くのでIcが流れ始め、Vceが減少し始める。これ以降、駆動ロジック71の出力信号が変わらなければ、Cgeの充電が終了し、ゲート-コレクタ間容量Cgcの充電が始まり、この間、IgおよびVgeともにほぼ一定となる期間となる。 【0019】 これに対し本実施形態では、Cgeの充電からCgcの充電に移行する時刻であるt1に、駆動ロジックからオフ信号が出力されるようにした。これによりnpnトランジスタ52がオフし、pnpトランジスタ51がオンとなるため、出力端子75とゲート電源61が接続され、ゲート駆動回路の出力電圧はVthよりやや高い電圧から-10Vに向けて下降が始まる。 通常のターンオフ動作においては、ターンオフ用の外部抵抗43により、急激な電流・電圧の変化が防止される。本実施例では、外部抵抗43の値は5Ωとしている。この場合、外部抵抗43の存在により、出力端子75の電圧低下速度が抑えられてしまう。そのため本実施形態では、外部抵抗43と並列にnMOSFET53を接続している。 通常のターンオフ動作の場合はnMOSFET53をオンさせず、ターンオンの途中においてのみオンするように、駆動ロジックからは、pnpトランジスタ用とは独立のオン・オフ信号が入力される。これにより、外部抵抗43を介さずにゲート電源61と接続されるので、出力端子75の出力電圧を急速に-10Vまで低下させることができる。この結果Cgeの放電が始まり、Igを負にすることができる。現在の時刻がt1に対応するか否かは、本実施形態では、Vge、Ig検出回路72によりIgを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定する。 なお、時刻t1については、Vge、Ig検出回路72によりVgeを検出し、ほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定しても良い。また、Vce、Ic検出回路73によりVceまたはIcを検出して、Vceの下降開始時点あるいはIcの上昇開始時点をt1と判定しても良い。 耐圧3300V、電流1200Aのパワー半導体モジュールの場合、図7に示した従来のゲート駆動回路ではターンオン外部抵抗441に3Ω程度を用いているが、図9及び図10に示したような激しいリンギングが発生する。これに対し本実施形態では、ターンオン途中にCgeを放電させることにより、ターンオン外部抵抗42が0.5Ωと従来例より小さいにもかかわらず、Icの上昇率が抑えられ、かつピークも小さくすることができる。これにより、ダイオード34のカソード-アノード間電圧Vka波形においても、図10に示した従来例で見られたような激しい振動を抑制することができる。図3に本実施形態で得られたVka波形を示すように、振動は存在するものの、電源電圧Vccを上回るような振動ピークはなくなる。 Cgeの放電はターンオフ動作させることと同じであるため、放電期間においてVceは減少から増加に転じる。そのためIcがピークを過ぎた後、駆動ロジック71の出力信号がオンになるようにする。すなわちCgeを再充電させる。このようなゲート制御により、Vceは再度減少する波形になる。ターンオン外部抵抗42が小さいために、Vceの減少は速く、これによりターンオン損失の増大を効果的に抑制することができる。放電期間はターンオン損失の増分をどこまで許容するかで設定されることから、再充電時刻を設定するための、専用の検出回路は必須ではなく、事前に所定の値に設定することで対応できる。 放電期間である時刻t1とt2の間で、Vgeの波形が減少しないのは、放電期間が短いためにチャネルが閉じないためである。放電の影響は、放電期間で上昇率が低減する程度である。」 イ 「 [図:0001403615000004.jpg] 」 ウ 「 [図:0001403615000005.jpg] 」 エ 「 [図:0001403615000006.jpg] 」 (2)甲2発明 上記(1)ア~エに示した記載事項(特に下線部)から、次のことがいえる。 ア 上記記載事項(1)アの「図4は、…(中略)…インバータ装置…(中略)…ゲート駆動回路の概略構成を示す。…(中略)…31が…(中略)…スイッチング動作するIGBTであり、32がIGBTと対となる逆並列接続された還流ダイオード…(中略)…33は対アームのIGBTである…(中略)…34はIGBT31、33のスイッチング動作に伴い、電流の還流とリカバリ動作が発生するSiC-SBDである…(中略)…74はIGBT31を制御するためのゲート駆動回路を示している。ゲート駆動回路74内には、オン用のゲート電源62とオフ用のゲート電源61を備えている。」との記載(【0013】~【0014】)、及び上記(1)記載事項エ(図4)から、甲2には、“IGBT31と、IGBT31と対となる逆並列接続された還流ダイオード32と、IGBT31と対アームのIGBT33と、IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34と、IGBT31を制御するためのゲート駆動回路74とを備えたインバータ装置であって、ゲート駆動回路74内には、オン用のゲート電源62とオフ用のゲート電源61を備え”ることが記載されているといえる。 イ 上記記載事項(1)アの「図1に駆動ロジック71の出力信号を示す。…(中略)…駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力される。時刻がt0以前では、信号はオフ(V_off)であることから、オン用のnpnトランジスタ52がオフ状態、オフ用のpnpトランジスタ51がオン状態となり、ゲート駆動回路の出力端子75の出力電圧は電源61と等しい-10Vいなり、IGBT31はオフ状態が保持されている。」との記載(【0015】)、及び上記記載事項(1)イ(図1)から、甲2には、“駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力され、時刻がt0以前では、信号はオフ(V_off)であることから、オン用のnpnトランジスタ52がオフ状態、オフ用のpnpトランジスタ51がオン状態となり、ゲート駆動回路74の出力端子75の出力電圧は電源61と等しい-10Vになり、IGBT31はオフ状態が保持され、時刻がt0では、駆動ロジック71の出力信号はオン(V_on)とな”ることが記載されているといえる。 ウ 上記記載事項(1)アの「時刻t0で駆動ロジック71からオン(V_on)が出力されると、pnpトランジスタ51はオフとなり、電源61との経路が遮断される。同時にnpnトランジスタ52がオンとなるため、出力端子75と電源62が接続され、ゲート駆動回路の出力電圧は-10Vから15Vまで上昇する。」との記載(【0016】)、及び上記記載事項(1)エ(図4)の回路図、並びに上記イの認定から、甲2には、“時刻t0で駆動ロジック71からオン(V_on)が出力されると、pnpトランジスタ51はオフとなり、電源61との経路が遮断されると同時にnpnトランジスタ52がオンとなるため、出力端子75と電源62が接続され、ゲート駆動回路74の出力端子75の電圧は-10Vから15Vまで上昇”することが記載されているといえる。 エ 上記記載事項(1)アの「図2にターンオンにおけるIGBT31のコレクタ-エミッタ間電圧Vce、主電流であるコレクタ電流Ic、ゲート-エミッタ間電圧Vge、ゲート電流Igの時間変化を示す。」との記載、及び「時刻t0からターンオンが開始されるため、Igには、ゲート-エミッタ間容量Cgeを充電するための電流が流れる。Vgeはほぼ一定の変化率で上昇し、Vge>Vthとなると上昇は緩やかとなる。Igはピークを経た後、減少に転ずる。Cgeの充電は終了していないが、チャネルが開くのでIcが流れ始め、Vceが減少し始める。これ以降、駆動ロジック71の出力信号が変わらなければ、Cgeの充電が終了し、ゲート-コレクタ間容量Cgcの充電が始まり、この間、IgおよびVgeともにほぼ一定となる期間となる。」との記載(【0018】)から、甲2には、“時刻t0からターンオンが開始されるため、ゲート電流Igには、ゲート-エミッタ間容量Cgeを充電するための電流が流れ、ゲート-エミッタ間電圧Vgeはほぼ一定の変化率で上昇し、ゲート-エミッタ間電圧Vge>Vthとなると上昇は緩やかとなり、ゲート電流Igはピークを経た後、減少に転じ、Cgeの充電は終了していないが、チャネルが開くのでコレクタ電流Icが流れ始め、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが減少し始め、これ以降、駆動ロジック71の出力信号が変わらなければ、Cgeの充電が終了し、ゲート-コレクタ間容量Cgcの充電が始まり、この間、ゲート電流Igおよびゲート-エミッタ間電圧Vgeともにほぼ一定となる期間とな”ることが記載されているといえる。 オ 上記記載事項(1)アの「Cgeの充電からCgcの充電に移行する時刻であるt1に、駆動ロジックからオフ信号が出力されるようにした。これによりnpnトランジスタ52がオフし、pnpトランジスタ51がオンとなるため、出力端子75とゲート電源61が接続され、ゲート駆動回路の出力電圧はVthよりやや高い電圧から-10Vに向けて下降が始まる。」との記載(【0019】)から、甲2には、“Cgeの充電からCgcの充電に移行する時刻であるt1に、駆動ロジック71からオフ信号が出力されるようにし、これによりnpnトランジスタ52がオフし、pnpトランジスタ51がオンとなるため、出力端子75とゲート電源61が接続され、ゲート駆動回路74の出力端子75の出力電圧はVthよりやや高い電圧から-10Vに向けて下降が始ま”ることが記載されているといえる。 カ 上記記載事項(1)アの「外部抵抗43と並列にnMOSFET53を接続している。通常のターンオフ動作の場合はnMOSFET53をオンさせず、ターンオンの途中においてのみオンするように、駆動ロジックからは、pnpトランジスタ用とは独立のオン・オフ信号が入力される。これにより、外部抵抗43を介さずにゲート電源61と接続されるので、出力端子75の出力電圧を急速に-10Vまで低下させることができる。この結果Cgeの放電が始まり、Igを負にすることができる。」(【0019】)との記載、「現在の時刻がt1に対応するか否かは、…Vge、Ig検出回路72によりIgを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定する。」(【0019】)との記載、及び上記記載事項(1)エ(図4)から、甲2には、“外部抵抗43と並列にnMOSFET53を接続し、通常のターンオフ動作の場合はnMOSFET53をオンさせず、ターンオンの途中においてのみオンするように、駆動ロジック71からは、pnpトランジスタ51用とは独立のオン・オフ信号が入力され、これにより、外部抵抗43を介さずに出力端子75がゲート電源61と接続されるので、出力端子75の出力電圧を急速に-10Vまで低下させることができる結果Cgeの放電が始まり、ゲート電流Igを負にすることができ、現在の時刻がt1に対応するか否かは、Vge、Ig検出回路72によりゲート電流Igを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定”することが記載されているといえる。 キ 上記記載事項(1)アの「Cgeの放電はターンオフ動作させることと同じであるため、放電期間においてコレクタ-エミッタ間電圧Vceは減少から増加に転じる。そのためコレクタ電流Icがピークを過ぎた後、駆動ロジック71の出力信号がオンになるようにする。すなわちCgeを再充電させる。」との記載から、甲2には、“Cgeの放電はターンオフ動作させることと同じであるため、放電期間においてコレクタ-エミッタ間電圧Vceは減少から増加に転じ、そのためコレクタ電流Icがピークを過ぎた後、駆動ロジック71の出力信号がオンになるように、すなわちCgeを再充電させ”ることが記載されているといえる。 ク 上記記載事項(1)アの「放電期間である時刻t1とt2の間」との記載から、甲2には、“時刻t1とt2との間は放電期間である”ことが記載されているといえる。 ケ 以上、上記ア~クより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「IGBT31と、IGBT31と対となる逆並列接続された還流ダイオード32と、IGBT31と対アームのIGBT33と、IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34と、IGBT31を制御するためのゲート駆動回路74とを備えたインバータ装置であって、ゲート駆動回路74内には、オン用のゲート電源62とオフ用のゲート電源61を備え、 駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力され、時刻がt0以前では、信号はオフ(V_off)であることから、オン用のnpnトランジスタ52がオフ状態、オフ用のpnpトランジスタ51がオン状態となり、ゲート駆動回路74の出力端子75の出力電圧は電源61と等しい-10Vになり、IGBT31はオフ状態が保持され、時刻がt0では、駆動ロジック71の出力信号はオン(V_on)となり、 時刻t0で駆動ロジック71からオン(V_on)が出力されると、pnpトランジスタ51はオフとなり、電源61との経路が遮断されると同時にnpnトランジスタ52がオンとなるため、出力端子75と電源62が接続され、ゲート駆動回路74の出力端子75の電圧は-10Vから15Vまで上昇し、 時刻t0からターンオンが開始されるため、ゲート電流Igには、ゲート-エミッタ間容量Cgeを充電するための電流が流れ、ゲート-エミッタ間電圧Vgeはほぼ一定の変化率で上昇し、ゲート-エミッタ間電圧Vge>Vthとなると上昇は緩やかとなり、ゲート電流Igはピークを経た後、減少に転じ、Cgeの充電は終了していないが、チャネルが開くのでコレクタ電流Icが流れ始め、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが減少し始め、これ以降、駆動ロジック71の出力信号が変わらなければ、Cgeの充電が終了し、ゲート-コレクタ間容量Cgcの充電が始まり、この間、ゲート電流Igおよびゲート-エミッタ間電圧Vgeともにほぼ一定となる期間となり、 Cgeの充電からCgcの充電に移行する時刻であるt1に、駆動ロジック71からオフ信号が出力されるようにし、これによりnpnトランジスタ52がオフし、pnpトランジスタ51がオンとなるため、出力端子75とゲート電源61が接続され、ゲート駆動回路74の出力端子75の出力電圧はVthよりやや高い電圧から-10Vに向けて下降が始まり、 外部抵抗43と並列にnMOSFET53を接続し、通常のターンオフ動作の場合はnMOSFET53をオンさせず、ターンオンの途中においてのみオンするように、駆動ロジック71からは、pnpトランジスタ51用とは独立のオン・オフ信号が入力され、これにより、外部抵抗43を介さずに出力端子75がゲート電源61と接続されるので、出力端子75の出力電圧を急速に-10Vまで低下させることができる結果Cgeの放電が始まり、ゲート電流Igを負にすることができ、現在の時刻がt1に対応するか否かは、Vge、Ig検出回路72によりゲート電流Igを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定し、 Cgeの放電はターンオフ動作させることと同じであるため、放電期間においてコレクタ-エミッタ間電圧Vceは減少から増加に転じ、そのためコレクタ電流Icがピークを過ぎた後、駆動ロジック71の出力信号がオンになるように、すなわちCgeを再充電させ、 時刻t1とt2の間は放電期間である インバータ装置。」 3 甲第3号証 申立人が提出した、甲第3号証には次の事項が記載されている。 [図:0001403615000007.jpg] (甲第3号証6ページ「1.3ゲート駆動電力」の項上から1~5行) 上記記載事項から、甲第3号証には、次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されているといえる。 「ゲートパルス電圧(VG)を、ゲート抵抗(R1)を介してMOSFETのゲート・ソース間に印加するに際し、初期状態ではMOSFETはオフで、ゲート・ソース間電圧(VGS)は0VからVGまで変化しオン状態となり、この間のスイッチング過渡期間のゲート電流iGは、 iG=(VG-VGS)/R1 で求められること。」 第4 訂正後の本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~22に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明22」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~22に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、各構成要件の前に付した、「1A」等の記号は、説明のために当審で付加したものであり、それぞれ、「構成要件1A」などということがある。 1 本件特許発明1 1A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 1B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 1C を備え、 1D 前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており、 1E 前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む、ゲート駆動装置。 2 本件特許発明2 2A 前記切替部は、前記少なくとも一部の期間に前記スイッチング素子のゲート電流の変化速度を変化させて、当該ゲート電流を前記少なくとも一部の期間前よりも小さくする、請求項1に記載のゲート駆動装置。 3 本件特許発明3 3A 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第1検出部をさらに備える、請求項1または2に記載のゲート駆動装置。 4 本件特許発明4 4A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 4B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 4C 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第1検出部と、 4D を備えるゲート駆動装置。 5 本件特許発明5 5A 前記第1検出部は、予め設定された前記第1基準時間の経過を検出する、請求項3または4に記載のゲート駆動装置。 6 本件特許発明6 6A 前記第1基準タイミングは、前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力タイミングよりも後であり、 6B 前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており、 6C 当該ゲート駆動装置は、 6D 前記スイッチング素子のゲート電圧を示すパラメータと、前記スイッチング素子の素子電圧を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータと、前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータとのうち、少なくとも1つを取得する第1取得部と、 6E 前記第1取得部が取得したパラメータに基づいて、前記第1基準タイミングを検出して前記第1検出部に信号を供給する第2検出部と、 6F をさらに備える、請求項3から5の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 7 本件特許発明7 7A 前記第1基準タイミングは、前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力タイミングである、請求項3から5の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 8 本件特許発明8 (削除) 9 本件特許発明9 9A 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 9B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 9C 前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部と、 9D 前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して前記切替部に信号を供給する第3検出部と、 9E を備え、 9F 前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含むゲート駆動装置。 10 本件特許発明10 10A 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 10B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 10C 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部と、 10D を備え、 10E 前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含むゲート駆動装置。 11 本件特許発明11 11A 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 11B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング以降で、かつ前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 11C 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部と、 11D を備えるゲート駆動装置。 12 本件特許発明12 12A 前記切替部は、前記ターンオン期間のうち前記少なくとも一部の期間の後に、前記スイッチング素子のゲート電流を、前記少なくとも一部の期間と比較して大きい電流に切り替える、請求項1から7、9から11の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 13 本件特許発明13 13A 前記切替部は、前記スイッチング素子のゲートに接続されるゲート抵抗を有し、当該ゲート抵抗の抵抗値を切り替える、請求項1から7、9から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 14 本件特許発明14 14A 前記切替部は、前記スイッチング素子のゲートに接続される電源を有し、当該電源の電圧を切り替える、請求項1から7、9から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 15 本件特許発明15 15A 前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替える、請求項1から7、9から14の何れか一項に記載のゲート駆動装置。 16 本件特許発明16 16A 請求項1から7、9から15のいずれか一項に記載のゲート駆動装置と、 16B 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 16C を備えるスイッチング装置。 17 本件特許発明17 17A 前記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体素子である請求項16に記載のスイッチング装置。 18 本件特許発明18 18A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動方法であって、 18B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替段階を備え、 18C 前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており、 18D 前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む、ゲート駆動方法。 19 本件特許発明19 19A 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動方法であって、 19B 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出する検出段階と、 19C 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング以降で、かつ前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替段階と、 19D を備えるゲート駆動方法。 20 本件特許発明20 20A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動方法であって、 20B 前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出する検出段階と、 20C 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替段階と、 20D を備えるゲート駆動方法。 21 本件特許発明21 21A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 21B 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 21C を備え、 21D 前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替えるゲート駆動装置。 22 本件特許発明22 22A スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、を備えるゲート駆動装置と、 22B 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 22C を備え、 22D 前記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体素子であるスイッチング装置。 第5 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 (1)本件訂正請求による訂正のうち、一群の請求項〔1~3、5~10、12~17、21、22〕に係る訂正の訂正内容は、以下のア~コのとおりである。(なお、下線は訂正請求書において、特許権者によって付加されたものである。) ア 訂正事項1 訂正事項1は、請求項1に係る訂正事項であり、以下の訂正事項1-1~訂正事項1-3からなる。 (訂正事項1-1) 特許請求の範囲の請求項1に「…少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部」と記載されているのを、「…少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~7、12~17も同様に訂正する。 (訂正事項1-2) 特許請求の範囲の請求項1に「…少なくとも一部の期間に…切り替える切替部と、を備え」と記載されているのを、「…少なくとも一部の期間に…切り替える切替部と、を備え、前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む、」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~7、12~17も同様に訂正する。 (訂正事項1-3) 特許請求の範囲の請求項1に「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部…を備え」と記載されているのを、「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部…を備え、前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2、3、5~7、12~17も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5に「請求項4または4に記載のゲート駆動装置」と記載されているのを、「請求項3または4に記載のゲート駆動装置」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項6、7、12~17も同様に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9に「前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して前記切替部に信号を供給する第3検出部と、をさらに備える、請求項8に記載のゲート駆動装置。」とあるうち、請求項1を直接的に引用した請求項8を引用するものについて独立形式に改め、「還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して前記切替部に信号を供給する第3検出部と、を備え、前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含むゲート駆動装置。」と記載する。請求項9の記載を引用する請求項12~17も同様に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10に「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部をさらに備える、請求項8に記載のゲート駆動装置。」とあるうち、請求項1を直接的に引用した請求項8を引用するものについて独立形式に改め、「還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部と、を備え、前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含むゲート駆動装置。」と記載する。請求項10の記載を引用する請求項12~17も同様に訂正する。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項12に「請求項1から11の何れか一項に記載のゲート駆動装置」と記載されているのを、「請求項1から7、9から11の何れか一項に記載のゲート駆動装置」に訂正する。請求項12の記載を引用する請求項13~17も同様に訂正する。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置」と記載されているのを、「請求項1から7、9から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置」に訂正する。請求項13の記載を引用する請求項15~17も同様に訂正する。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置」と記載されているのを、「請求項1から7、9から12の何れか一項に記載のゲート駆動装置」に訂正する。請求項14の記載を引用する請求項15~17も同様に訂正する。 ケ 訂正事項9 訂正事項9は、請求項15に係る訂正事項であり、以下の訂正事項9-1及び訂正事項9-2からなる。 (訂正事項9-1) 特許請求の範囲の請求項15に「前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替える、請求項1から14の何れか一項に記載のゲート駆動装置。」とあるものを、「前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替える、請求項1から7、9から14の何れか一項に記載のゲート駆動装置。」に訂正する。請求項15の記載を引用する請求項16、17も同様に訂正する。 (訂正事項9-2) 特許請求の範囲の請求項15に「前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替える、請求項1から14の何れか一項に記載のゲート駆動装置。」とあるうち、請求項1を直接的に引用するものについて独立形式に改め、「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、前記少なくとも一部の期間において前記スイッチング素子のゲート電流を段階的に複数回切り替えるゲート駆動装置。」とし、新たに請求項21とする。 コ 訂正事項10 訂正事項10は、請求項16に係る訂正事項であり、以下の訂正事項10-1及び訂正事項10-2からなる。 (訂正事項10-1) 特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載のゲート駆動装置と、前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、を備えるスイッチング装置。」とあるものを、「請求項1から7、9から15のいずれか一項に記載のゲート駆動装置と、前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、を備えるスイッチング装置。」に訂正する。請求項16の記載を引用する請求項17も同様に訂正する。 (訂正事項10-2) 特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載のゲート駆動装置と、前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、を備えるスイッチング装置。」とあるうち、請求項1を直接的に引用するものを独立形式に改め、「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、を備えるゲート駆動装置と、前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、を備え、 前記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体素子であるスイッチング装置。」と記載し、新たに請求項22とする。 (2)本件訂正請求による訂正のうち、請求項18に係る訂正の訂正内容は、以下のアのとおりである。(なお、下線は訂正請求書において、特許権者によって付加されたものである。) ア 訂正事項11 訂正事項11は、請求項18に係る訂正事項であり、以下の訂正事項11-1~訂正事項11-3からなる。 (訂正事項11-1) 特許請求の範囲の請求項18に「…少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替段階」と記載されているのを、「…少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替段階」に訂正する。 (訂正事項11-2) 特許請求の範囲の請求項18に「…少なくとも一部の期間…切り替える切替段階を備え」と記載されているのを、「…少なくとも一部の期間…切り替える切替段階を備え、前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む、」に訂正する。 (訂正事項11-3) 特許請求の範囲の請求項18に「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動方法であって、…切替段階を備える」と記載されているのを「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動方法であって、…切替段階を備え、前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており」に訂正する。 (3)一群の請求項について 訂正前の請求項2~3、5~10、12~17は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用し、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3、5~10、12~17に対応する訂正後の請求項1~3、5~10、12~17、21、22は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、上記訂正事項1~10は、一群の請求項〔1~3、5~10、12~17、21、22〕についてされたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 (4)別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、訂正後の請求項21及び22については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)一群の請求項〔1~3、5~10、12~17、21、22〕に係る訂正について ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的について (訂正事項1-1) 訂正前の請求項1に係る特許発明は「…少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替部」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は「少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替部」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「切替部」をより具体的に限定するものである。同様に、訂正後の請求項2、3、5~8、12~17は、訂正後の請求項1における上記記載を引用することにより更に限定される。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (訂正事項1-2) 訂正前の請求項1に係る特許発明は「少なくとも一部の期間」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「少なくとも一部の期間」をより具体的に限定するものである。同様に、訂正後の請求項2、3、5~8、12~17は、訂正後の請求項1における上記記載を引用することにより更に限定される。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (訂正事項1-3) 訂正前の請求項1に係る特許発明は「スイッチング素子」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は「前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「スイッチング素子」をより具体的に限定するものである。同様に、訂正後の請求項2、3、5~8、12~17は、訂正後の請求項1における上記記載を引用することにより更に限定される。 したがって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に示したとおり、訂正事項1-1は、「切替部」という発明特定事項を概念的により下位の「少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替部」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 また、上記(ア)の理由から明らかなように、訂正事項1-2は、「少なくとも一部の期間」という発明特定事項を概念的により下位の「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」期間にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 また、上記(ア)に示したとおり、訂正事項1-3は、「スイッチング素子」という発明特定事項を概念的により下位の「還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続され」たスイッチング素子にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること (訂正事項1-1) 訂正事項1-1は、切替部に関する説明として、願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0050】に、「切替制御部672は、検出部64、65から供給される信号に応じて接続切替部671を制御することで、ターンオン期間におけるゲート電流を制御する。切替制御部672は、接続切替部671に対する切替信号によって、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち低減期間には抵抗6706をゲート端子に接続し、低減期間の前後には抵抗6705をゲートに接続してよい。これにより、低減期間には主スイッチング素子2のゲート電流が低減期間前と比較して小さい電流に切り替わり、低減期間の後には、主スイッチング素子2のゲート電流が低減期間と比較して大きい電流に切り替わる。」と記載されていることから、切替部67によりゲート電流は低減期間に亘って、低減期間前よりも小さい電流に切り替わることが記載されているといえ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項1-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (訂正事項1-2) 訂正事項1-2は、本件明細書段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0041】に、「また、低減期間は、還流ダイオード3に流れる電流がゼロになるタイミングを含んでよい。」と記載されていることから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項1-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (訂正事項1-3) 訂正事項1-3は、本件明細書段落【0025】に、「スイッチング装置100は、正側の主スイッチング素子1および負側の主スイッチング素子2と、主スイッチング素子1、2に逆並列に接続された還流ダイオード3、4と、正側のゲート駆動装置5および負側のゲート駆動装置6とを備える。」と記載されていることから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項1-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 イ 訂正事項2 (ア)訂正の目的について 訂正前の請求項5には引用先として請求項4が重複して記載されており、請求項5で規定する「前記第1検出部」は、先行する請求項1~4のうち、請求項3、4のみに記載されている。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)において指摘したとおり、「第1検出部」は、訂正前の請求項5に先行する、請求項3及び4のみに記載されていることから、訂正前の請求項5に「請求項4または4」とあるのは、「請求項3または4」の誤記であることは明らかである。 したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 (ウ)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は誤記を訂正するものであり、請求項5の内容は願書に最初に添付した本件明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0037】に記載されていて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 ウ 訂正事項3 (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、請求項8を削除するというものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、請求項8を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、請求項8を削除するというものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 エ 訂正事項4 (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項9が請求項1から7の何れか一項を引用した請求項8を引用するものであったところ、そのうち、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項8のみ引用して、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正である。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、「少なくとも一部の期間」という発明特定事項を概念的により下位の「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」期間にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、上記(ア)に示したとおり、引用する請求項のうち一部を請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるというものであり、また、本件明細書の段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0041】に、「また、低減期間は、還流ダイオード3に流れる電流がゼロになるタイミングを含んでよい。」と記載されており、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 オ 訂正事項5 (ア)訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項10が請求項1から7の何れか一項を引用した請求項8を引用するものであったところ、そのうち、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項8のみ引用して、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正である。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、「少なくとも一部の期間」という発明特定事項を概念的により下位の「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」期間にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、上記(ア)に示したとおり、引用する請求項のうち一部を請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるというものであり、また、本件明細書の段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0041】に、「また、低減期間は、還流ダイオード3に流れる電流がゼロになるタイミングを含んでよい。」と記載されており、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 カ 訂正事項6 (ア)訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項12の記載が訂正前の請求項1~11のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、上記(ア)に示したとおり、引用する請求項のうち一部を削除するというものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 キ 訂正事項7 (ア)訂正の目的について 訂正事項7は、訂正前の請求項13の記載が訂正前の請求項1~12のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、上記(ア)に示したとおり、引用する請求項のうち一部を削除するというものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ク 訂正事項8 (ア)訂正の目的について 訂正事項8は、訂正前の請求項14の記載が訂正前の請求項1~13のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、上記(ア)に示したとおり、引用する請求項のうち一部を削除するというものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項8は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ケ 訂正事項9 (ア)訂正の目的について (訂正事項9-1) 訂正事項9-1は、訂正前の請求項15の記載が訂正前の請求項1~14のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (訂正事項9-2) 訂正事項9-2は、訂正前の請求項15が請求項1から14の何れか一項を引用するもののうち、請求項1を引用するものを、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正である。そのため、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項9-1及び9-2はいずれも、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること (訂正事項9-1) 訂正事項9-1は、訂正前の請求項15の記載が訂正前の請求項1~14のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項9-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (訂正事項9-2) 訂正事項9-2は、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるというものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項9-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 コ 訂正事項10 (ア)訂正の目的について (訂正事項10-1) 訂正事項10-1は、訂正前の請求項16の記載が訂正前の請求項1~15のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (訂正事項10-2) 訂正事項10-2は、訂正前の請求項16が請求項1~15の何れか一項を引用するもののうち、請求項1を引用するものを、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正である。そのため、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項10-1及び10-2はいずれも、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること (訂正事項10-1) 訂正事項10-1は、訂正前の請求項16の記載が訂正前の請求項1~15のいずれか一項を引用するうち、訂正前の請求項8を引用するものを削除する訂正であり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項10-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (訂正事項10-2) 訂正事項10-2は、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるというものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項10-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (2)請求項18に係る訂正について ア 訂正事項11 (ア)訂正の目的について (訂正事項11-1) 訂正前の請求項18に係る特許発明は「…少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替段階」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項18は「少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替段階」との記載により、訂正後の請求項18に係る発明における「切替段階」をより具体的に限定するものである。 したがって、訂正事項11-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (訂正事項11-2) 訂正前の請求項18に係る特許発明は「少なくとも一部の期間」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項18は、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」との記載により、訂正後の請求項18に係る発明における「少なくとも一部の期間」をより具体的に限定するものである。 したがって、訂正事項11-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (訂正事項11-3) 訂正前の請求項18に係る特許発明は「スイッチング素子」を特定している。 これに対して、訂正後の請求項18は「前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されており」との記載により、訂正後の請求項18に係る発明における「スイッチング素子」をより具体的に限定するものである。 したがって、訂正事項11-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に示したとおり、訂正事項11-1は、「切替段階」という発明特定事項を概念的により下位の「少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を…小さい電流に切り替える切替段階」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 また、上記(ア)の理由から明らかなように、訂正事項11-2は、「少なくとも一部の期間」という発明特定事項を概念的により下位の「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」期間にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 また、上記(ア)に示したとおり、訂正事項11-3は、「スイッチング素子」という発明特定事項を概念的により下位の「還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続され」たスイッチング素子にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること (訂正事項11-1) 訂正事項11-1は、切替部に関する説明として、本件明細書段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0050】に、「切替制御部672は、検出部64、65から供給される信号に応じて接続切替部671を制御することで、ターンオン期間におけるゲート電流を制御する。切替制御部672は、接続切替部671に対する切替信号によって、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち低減期間には抵抗6706をゲート端子に接続し、低減期間の前後には抵抗6705をゲートに接続してよい。これにより、低減期間には主スイッチング素子2のゲート電流が低減期間前と比較して小さい電流に切り替わり、低減期間の後には、主スイッチング素子2のゲート電流が低減期間と比較して大きい電流に切り替わる。」と記載されていることから、切替部67によりゲート電流は低減期間に亘って、低減期間前よりも小さい電流に切り替わることが記載されており、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項11-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (訂正事項11-2) 訂正事項11-2は、本件明細書段落【0039】に、「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。」と記載され、同段落【0041】に、「また、低減期間は、還流ダイオード3に流れる電流がゼロになるタイミングを含んでよい。」と記載されており、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項11-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (訂正事項11-3) 訂正事項11-3は、本件明細書段落【0025】に、「スイッチング装置100は、正側の主スイッチング素子1および負側の主スイッチング素子2と、主スイッチング素子1、2に逆並列に接続された還流ダイオード3、4と、正側のゲート駆動装置5および負側のゲート駆動装置6とを備える。」と記載されており、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項11-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 3 独立特許要件について 訂正事項3及び11は、特許異議申立のされている請求項のみについての訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(独立特許要件)が課されない。 一方、訂正事項1~2、4~10は、特許異議申立のされていない、請求項9及び17の訂正を含むものである。 請求項9に係る訂正事項4による訂正は、訂正後の請求項9が訂正前の請求項8が訂正前の請求項1を引用するものについてするものであるから、上記2(1)エ(ア)に示したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、独立特許要件が課される。 請求項17に係る訂正事項1及び4~10による訂正は、訂正後の請求項17が訂正後の請求項16を引用し、訂正後の請求項16が訂正前の請求項8が訂正前の請求項1~7を引用するうち訂正前の請求項1を引用するものについてするものであるから、上記2(1)ア(ア)、エ(ア)、オ(ア)、カ(ア)、キ(ア)、ク(ア)、ケ(ア)及びコ(ア)に示したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、請求項17に係る訂正事項2による訂正は、上記2(1)イ(ア)に示したとおり、誤記の訂正を目的とするものであり、独立特許要件が課される。 以下、請求項9及び17についての訂正に係る独立特許要件について検討する。 (1)請求項9について ア 本件特許発明9 訂正事項4により訂正された本件特許発明9は、上記第4の9で示したとおりのものである。 イ 甲1発明に基づく新規性、進歩性について (ア)甲第1号証に記載された事項及び甲1発明 甲第1号証に記載された事項及び甲1発明は、上記第3の1に示したとおりである。 (イ)対比、相違点 甲1発明は、少なくとも、構成要件9C及び9Dに係る構成、すなわち、「前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部」及び「前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して前記切替部に信号を供給する第3検出部」に係る構成を有しているとはいえず、この点を相違点9-1という。 また、甲1発明は、構成要件9Fのうち、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」点についても相違し、この点を相違点9-2という。 (ウ)相違点についての判断 相違点9-1及び相違点9-2は、「還流ダイオード」に流れる電流に係る構成であるのでまとめて検討する。 甲1発明の「ダイオード」は、「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)」に「逆並列に」接続されていることから、本件特許発明9の「還流ダイオード」に相当するものといえるところ、甲1発明には、当該「還流ダイオード」に流れる電流を検出する仕組みを有していないから、甲1発明からは、甲3記載事項を補ったとしても、上記相違点9-1及び9-2に係る構成は当業者といえども容易に想到し得たとはいえず、また甲2の記載を含め、相違点9-1及び9-2に係る事項は、本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明9は、甲第1号証に記載された発明とは同一でなく、また甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 ウ 甲2発明に基づく新規性、進歩性について (ア)甲第2号証に記載された事項及び甲2発明 甲第2号証に記載された事項及び甲2発明は、上記第3の2に示したとおりである。 (イ)対比 本件特許発明9と甲2発明とを対比する。 a 構成要件9Aについて 甲2発明の「ゲート駆動回路74」は、本件特許発明9の「ゲート駆動装置」に相当する。 また、甲2発明の「IGBT31と対アームのIGBT33」は、本件特許発明9の「スイッチング素子」及び「対向スイッチング素子」に相当する。 甲2発明の「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」は、本件特許発明9の「対向スイッチング素子」に「逆並列に接続」された「還流ダイオード」に相当する。 甲2発明の「駆動ロジック71」は、当該「駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力され」るものであるから、以上を総合すると、甲2発明は、構成要件9Aに相当する構成を有する。 b 構成要件9Bについて (a)構成要件9Bの技術的意義について 構成要件9Bと甲2発明との対比に先立ち、本件特許発明9における、構成要件9Bの技術的意義につき、検討する。 構成要件9Bにおける「切替部」の処理に関し、本件特許明細書段落【0073】~【0078】には、次の記載がある。 「【0073】 [3-2.実施形態のスイッチング装置100による動作波形] 図4は、本実施形態のスイッチング装置100により主スイッチング素子2をターンオンする場合の動作波形を示す。 【0074】 本実施形態に係るスイッチング装置100では、上述の比較例と同様にして、入力信号が時点t1でロー(オフ指令)からハイ(オン指令)に切り替わると、抵抗6705の抵抗値(本動作例においては抵抗6706よりも小さい抵抗値)に応じたゲート電流Igが流れてゲート電圧Vgが上昇し始める。 【0075】 時点t3でゲート電圧Vgが閾値電圧Vthに達すると、主スイッチング素子2に素子電流Idが流れ始め、還流ダイオード3に流れる電流IFが低下し始める。 【0076】 ここで、本実施形態に係るスイッチング装置100では、ゲート電圧Vgが閾値電圧Vthに達する時点t3では、抵抗6705が主スイッチング素子2のゲート端子に接続されている。そのため、比較例と比較してゲート電流Igが大きく維持されて素子電流Idの変化率が大きく維持される結果、素子電圧Vdsは電圧ΔV1よりも大きい電圧ΔV2だけ低下する。また、比較例と比較して還流ダイオード3に流れる電流IFの変化率が大きく維持される。 【0077】 時点t10で検出部63は素子電流Idが閾値電流Ithに達する第1基準タイミングを検出し、時点t2’で検出部64が第1基準タイミングとしての時点t10から第1基準時間Δtが経過するタイミング、つまり低減期間の開始タイミングを検出する。 【0078】 開始タイミングが検出されると、切替制御部672が切替信号によりゲート端子に抵抗6706を接続させる。これにより、ゲート電流Igの変化速度が変化し、ゲート電流Igが小さくなる。また、ゲート電圧Vgの変化率が小さくなる。ここで、時点t2’は、ゲート電圧Vgが閾値電圧Vthに達する時点t3よりも後であってよく、還流ダイオード3に流れる電流IFがゼロになる時点t4’以前であってよい。時点t2’が時点t4’以前であれば、素子電流Idおよび還流ダイオード3の電流IFの変化が緩やかになる結果、逆回復によって還流ダイオード3のカソード端子側からアノード端子側に流れる電流の大きさが小さくなり、逆回復に起因するサージ電圧は低減される。」 また、構成要件9Bの「少なくとも一部の期間」に関して、本件特許明細書の【0039】には、次の記載がある。 「切替部67は、主スイッチング素子2のターンオン期間のうち主スイッチング素子2に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間(低減期間とも称する)に、当該主スイッチング素子2のゲート電流を、低減期間前と比較して小さい電流に切り替える。切替部67は、接続の切替によってゲート電流を小さくしてよい。切替部67は、低減期間に主スイッチング素子2のゲート電流の変化速度を変化させて、当該ゲート電流を低減期間前よりも小さくしてよい。」 以上の記載によれば、構成要件9Bは、スイッチング素子と還流ダイオードに流れる電流の変化を緩やかにして、逆回復に起因するサージ電圧を低減することを目的として、「スイッチング素子のゲート電流」を、「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」の前の「スイッチング素子のゲート電流」と比較して「小さい電流に切り替え」ることを技術的意義とするものと解される。 (b)構成要件9Bについての検討 上記(a)に基づき、以下、構成要件9Bと甲2発明とを対比する。 甲2発明は、「時刻がt0以前では、信号はオフ(V_off)であることから、…(中略)…IGBT31はオフ状態が保持され、時刻がt0では、駆動ロジック71の出力信号はオン(V_on)となり、」「時刻t0で駆動ロジック71からオン(V_on)が出力されると…(中略)…」「時刻t0からターンオンが開始される」ものであるから、当該「時刻t0」以降は、「IGBT31」がオンとなる期間であり、さらに、上記aの認定を踏まえれば、“スイッチング素子のターンオン期間”であるといえる。 本件特許発明9において、「スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング」とされる「電流」、すなわち「スイッチング素子」に流れる「電流」は、本件明細書の【0033】における、「本実施形態では一例として、取得部62は、電流センサ621からドレイン電流Idを取得してよい。」との記載を参酌すると、「ドレイン電流Id」を意味するものと解される。 他方、甲2発明の「コレクタ電流Ic」は、「IGBT31」の「チャネルが開く」ことにより流れる電流であるといえるから、上記aの認定を踏まえれば、構成要件9Bの「当該スイッチング素子」に「流れ」る「電流」に相当する。 甲2発明は、「時刻t0からターンオンが開始され…(中略)…ゲート-エミッタ間電圧Vge>Vthとなると…(中略)…コレクタ電流Icが流れ始め」ることから、Vge>Vthとなり当該「コレクタ電流Icが流れ始め」る時点は、上記認定を踏まえれば、構成要件9Bのうち、「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング」に相当する。 上記(a)の認定を踏まえると、甲2発明において、「ゲート-エミッタ間電圧Vge>Vthとな」り「コレクタ電流Icが流れ始め」る時点以降の期間のすべて又はその一部は、構成要件9Bのうち、「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」に含まれるといえる。 甲2発明の「ゲート電流Ig」は、「IGBT31」のゲートに流れる電流であるから、上記aの認定を踏まえれば、構成要件9Bの「スイッチング素子のゲート電流」に相当する。 そして、甲2発明の「ゲート電流Ig」は、「時刻t0からターンオンが開始され」た後、「ゲート-エミッタ間容量Cgeを充電するための電流が流れ」、「ゲート-エミッタ間電圧Vge」が「上昇し、ゲート-エミッタ間電圧Vge>Vthとなると」、「ピークを経た後、減少に転じ、」「ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより判定」されるところの時刻「t1」に、「駆動ロジック71」から出力される「オフ信号」によって、「ゲート駆動回路74の出力端子75の出力電圧」が「Vthよりやや高い電圧から-10Vに向けて下降」することに伴って、「負」となるものである。 すなわち、甲2発明の「ゲート電流Ig」は、「ターンオン」の後に流れ始めて一旦「ピーク」となり、その後「減少」し、「平坦部」に移行する時刻である「t1」を起点として急速に減少して負に変化するといえる。 そうすると、少なくとも、時刻「t1」から「ゲート電流Ig」が減少してゼロになるまでの期間(以下、「期間x」という。)の「ゲート電流Ig」は、当該期間xより前の、少なくとも「ピーク」時から「t1」までの間の「ゲート電流Ig」よりも小さくなっているといえると共に、期間xは、上記aの認定を踏まえれば、構成要件9Bの「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」に相当し、期間xより前は、構成要件9Bの「当該少なくとも一部の期間前」に相当する。 以上を総合すると、甲2発明は、構成要件9Bのうち、「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える」構成を有するといえる。 そして、甲2発明は、「外部抵抗43と並列にnMOSFET53を接続し」ていて、「駆動ロジック71」から当該「nMOSFET53」に「pnpトランジスタ51用とは独立のオン・オフ信号が入力」され、「これにより、外部抵抗43を介さずに出力端子75がゲート電源61と接続される」ことによって「出力端子75の出力電圧」が「急速に-10Vまで低下」して、「ゲート電流Igを負にすることができ」るものであるから、甲2発明の、「駆動ロジック71」、「オン用のnpnトランジスタ52」、「オフ用のpnpトランジスタ51」及び「nMOSFET53」からなる回路は、上記cの動作を行う“切替部”であるといえ、以上を総合して、甲2発明は、構成要件9Bに相当する構成を有する。 c 構成要件9Cについて 甲2発明の「Vge、Ig検出回路72」は、「ゲート電流Igを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより」「現在の時刻がt1に対応するか否か」を「判定」するものであり、当該「ゲート電流Ig」を検出することはすなわち、構成要件9Cの「前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータ」を「取得」していることにほかならないから、甲2発明の「Vge、Ig検出回路72」と構成要件9Cの「第2取得部」とは、“前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータを取得する”限りにおいて一致する。 したがって、甲2発明は、構成要件9Cに相当する構成を有する。 d 構成要件9Dについて 甲2発明の「Vge、Ig検出回路72」は、上記(ウ)に示したとおり、ゲート電流Igを検出し、ピークを終了してほぼ平坦部に移行する時刻であるか否かにより」「現在の時刻がt1に対応するか否か」を「判定」するものであり、当該「ゲート電流Ig」を検出するものであるところ、上記b及びcの認定を踏まえれば、甲2発明の「駆動ロジック71」と、構成要件9Dとは、下記の点(相違点9-2-1)で相違するものの、“前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記切替部に信号を供給する第3検出部”である点で一致する。 e 構成要件9Eについて 構成要件9Eは、本件特許発明9の「ゲート駆動装置」が、構成要件9A~9Dを備えることを特定するものであるところ、上記a~dで検討したとおり、下記の点(相違点9-2-1)を除き、甲2発明は構成要件9Eに相当する構成を有する。 f 構成要件9Fについて 甲2発明は、構成要件9Fのうち、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」点(相違点9-2-2)を有さない。 (ウ)一致点及び相違点 上記a~fの認定を踏まえると、本件特許発明9と甲2発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部と、 前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記切替部に信号を供給する第3検出部と、 を備えるゲート駆動装置。 〈相違点9-2-1〉 本件特許発明9の「第3検出部」が「前記切替部に信号を供給する」のが、「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して」行われるのに対し、甲2発明は、「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを検出することが特定されていない点。 〈相違点9-2-2〉 本件特許発明9が、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」のに対し、甲2発明の期間xが「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを含むことが特定されていない点。 (エ)相違点についての判断 上記相違点9-2-1及び9-2-2について、まとめて検討する。 甲2発明は、「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流を検出する手段を特定しておらず、また、甲2の記載全体を見ても、そのような手段は記載も示唆もされていない。 当該「ダイオード34」に流れる電流は、「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い」発生する、上記第3の2(1)記載事項エ(図4)に示される接続点37に流入する電流、すなわち、負荷から流入する電流のうち、「IGBT31」に流れる電流、すなわち「コレクタ電流Ic」を差し引いたものである。この、「ダイオード34」に流れる電流は、同図の検出点77における電流として、「Vce,Ic検出回路73」で検出され、「Vceの下降開始時点あるいはIcの上昇開始時点をt1と判定」することの記載はあるものの(甲2段落【0019】)、甲2発明の上記期間xにおいて、還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングが含まれず、当該ゼロになるタイミングは、甲2発明の「放電期間」の終期である「t2」のタイミングの少し前であり、「ダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを、「放電期間」の始期である、「t1」の付近にして、期間xに含まれるようにする手段を甲2発明は有しておらず、またそのようにタイミングをずらすことの動機付けは存在せず、相違点9-2-1及び9-2-2に係る構成を甲2発明において採用することは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえず、また、甲1及び甲3の記載を含め、当該事項が本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明9は、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明9は甲1発明及び甲2発明に対して新規性及び進歩性を有している。また、本件特許発明9について、他に拒絶の理由を発見しない。 したがって、請求項9に係る訂正事項4による訂正は、独立特許要件を満たすものである。 (2)請求項17について ア 本件特許発明17 訂正事項1~2、4~10により訂正された、本件特許発明17及び本件特許発明17が引用する本件特許発明16は、それぞれ上記第4の16及び17に示したとおりのものである。 以下、本件特許発明16が請求項1~7、9~15を引用するものについて、それぞれ、「本件特許発明16-1」~「本件特許発明16-7」、「本件特許発明16-9」~「本件特許発明16-15」などといい、これらを引用する本件特許発明17も同様に、「本件特許発明17-1」~「本件特許発明17-7」、「本件特許発明17-9」~「本件特許発明17-15」などという。 このうち、他の請求項を引用しない、請求項1、4、9~11を引用する本件特許発明17-1、17-4、17-9~17-11は、次のとおりのものである。 本件特許発明17-1は、上記第4の1、16及び17に示した、構成要件1A~1E、16B、16C、及び17Aからなる発明である。 本件特許発明17-4は、上記第第4の4、16及び17に示した、構成要件4A~4D、16B、16C、及び17Aからなる発明である。 本件特許発明17-9は、上記第4の9、16及び17に示した、構成要件9A~9F、16B、16C、及び17Aからなる発明である。 本件特許発明17-10は、上記第4の10、16及び17に示した、構成要件10A~10E、16B、16C、及び17Aからなる発明である。 本件特許発明17-11は、上記第4の11、16及び17に示した、構成要件11A~11D、16B、16C、及び17Aからなる発明である。 イ 甲1発明に基づく新規性、進歩性について 本件特許発明17と甲1発明とを対比する。 (ア)本件特許発明17-1について 本件特許発明17-1は、構成要件1Eを含むものである。 そして、甲1発明は、上記構成要件1Eにおいて特定される、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」構成を有さず、少なくともこの点において本件特許発明17-1とは相違する。 当該点は、上記(1)イ(ウ)で判断したとおりであり、本件特許発明17-1は、甲第1号証に記載された発明とは同一でなく、また甲2及び甲3の記載を含め、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (イ)本件特許発明17-4について a 本件特許発明17-4と甲1発明とを対比する。 (a)構成要件4Aについて 甲1発明の「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)」及び「駆動回路」は、それぞれ本件特許発明17-4の「スイッチング素子」及び「ゲート駆動部」に相当するから、甲1発明は、本件特許発明17-4の構成要件4Aを有する。 (b)構成要件4Bについて 甲1発明の「入力されるオン信号に応じて、最初に、第1の駆動回路を動作させると共に、動作させる駆動回路を切り換えるタイミングを決定し、該タイミングに応じて前記第1の駆動回路の動作を停止し、第2の駆動回路の動作を開始する制御回路」は、「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のゲート電圧が安定する定常状態を達成する以前の初期状態における、ゲート電圧が時間と共に増加する第1の期間以降で、かつ、ゲート電圧がゲート-コレクタ間容量の増加のためほぼ一定となる第2の期間の終了前に、動作させる駆動回路を切り換えるための前記タイミングを決定するタイミング決定回路を有」するものであるところ、当該「駆動回路」を切り換える、切替部といい得る。 甲1発明において、「入力されるオン信号に応じて、…駆動回路を動作させ」、「ゲートにオン信号が加わった直後」以降は、上記(a)を参照して、構成要素4Bの「前記スイッチング素子のターンオン期間」に含まれるものといえる。 また、甲1発明の「タイミング決定回路」は、「動作させる駆動回路を切り換えるための前記タイミングを決定する」ものであるところ、当該「タイミング」は、「入力されるオン信号を前記第1の期間全体を少なくとも含んで設定される期間t1だけ遅延させる遅延回路を有し、該遅延信号が出力された時点」、あるいは「前記絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のゲート電圧を検出し、前記検出されたゲート電圧が予め定めた電圧値以上かどうかを判定するゲート電圧判定回路を有し、該判定の結果、前記検出したゲート電圧が前記予め定めた電圧値以上となった時点」であり、また、当該「タイミング決定回路」は、「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のエミッタ電流、コレクタ電流、及び、前記2種類の電流の一方の電流量に対応して変化する電流のうち、いずれか1つの電流の電流値を検出」するものではあるが、「ゲート電流が流れ始めてからゲート電圧がほぼ一定になった後の予め定めた時点までの期間(td<時間<t1)、より大きな抵抗値を備えたゲート抵抗を通して、IGBT1のゲートへ給電する」ことによって、「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)のエミッタ電流、コレクタ電流、及び、前記2種類の電流の一方の電流量に対応して変化する電流のうち、いずれか1つの電流」が流れ始めるタイミング、すなわちスイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング、よりも後に開始する時点(下線は強調のため、当審で付加した。)を検出する仕組みは特定されておらず、したがって、甲1発明は、構成要件4Bの、「当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」を検出する仕組みを備えるものとはいえない。 一方で、甲1発明の「タイミング決定回路」が「決定する」ところの「タイミング」は、スイッチング素子のゲート電流を当該タイミング前と比較して小さい電流に切り替えるタイミングであるといえるから、以上を総合すると、甲1発明の「制御回路」と、構成要件4Bとは、下記の点(相違点17-4-1-1)で相違するものの、“前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングに、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該タイミング前と比較して小さい電流に切り替える切替部”である点では共通するといえる。 (c)構成要件4Cについて 甲1発明は、構成要件4Cの、「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出」することが特定されていないので、甲1発明は、構成要件4Cを有するとはいえない。(相違点17-4-1-2) (d)構成要件4Dについて 甲1発明の「絶縁ゲート型半導体装置の駆動装置」は、上記構成要件4Bの一部、及び4Cを備えない点を除き、構成要件4Dに相当する構成を有する。 (e)構成要件17Aについて 甲1発明は、「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)」の材料について特定が無いことから、構成要件17Aを有するとはいえない。(相違点17-4-1-3) (f)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(e)の検討を踏まえると、本件特許発明17-4と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングに、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該タイミング前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 を備えるゲート駆動装置。 〈相違点17-4-1-1〉 本件特許発明17-4の「切替部」が「スイッチング素子のゲート電流」を、「小さい電流に切り替える」のが、「スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」であるのに対し、甲1発明は、そのような期間が存在しない点。 〈相違点17-4-1-2〉 本件特許発明17-4は、「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第1検出部」を備えるのに対し、甲1発明は、この構成を有しない点。 〈相違点17-4-1-3〉 本件特許発明17-4の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子である」のに対し、甲1発明の「絶縁ゲート型半導体素子(IGBT1)」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 本件特許発明17-4と甲1発明とは、上記相違点17-4-1-1~17-4-1-3の点で異なるから、同一のものとはいえない。 さらに、相違点17-4-1-1及び17-4-1-2についてまとめて検討するに、甲1発明は、本件特許発明17-4の「第1基準タイミング」及び「第1基準時間」を検出する手段を有しておらず、したがって本件特許発明17-4の「スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間」を検出する仕組みも有するとはいえず、また甲2及び甲3の記載を含め、上記相違点17-4-1-1及び17-4-1-2に係る構成が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-4は、相違点17-4-1-3について検討するまでもなく、甲1に記載された発明とは同一でなく、また甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (ウ)本件特許発明17-9、17-10及び17-11について 本件特許発明17-9は構成要件9Dを、本件特許発明17-10は構成要件10Cを、本件特許発明17-11は構成要件11Cをそれぞれ有し、これらは共通して「還流ダイオードに流れる電流がゼロ」になることを検出する仕組みを特定するものである。 そして、甲1発明は、上記(1)イ(ウ)に示したとおり、当該「還流ダイオードに流れる電流がゼロ」になることを検出する仕組みを有していないから、少なくともこの点において、甲1発明とは異なる。 そして、「還流ダイオードに流れる電流がゼロ」になることを検出することが、本願出願前に周知であったとはいえず、また甲2及び甲3の記載を含め、上記「還流ダイオードに流れる電流がゼロ」になることを検出する仕組みに係る構成が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-9、17-10及び17-11は、甲第1号証に記載された発明とは同一でなく、また甲2及び甲3の記載を参酌しても、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (エ)本件特許発明17-2~17-3、17-5~17-7、17-12~17-15について 本件特許発明17-2~17-3は本件特許発明17-1を、本件特許発明17-5~17-7は本件特許発明17-1または17-4を、本件特許発明17-12~17-15は本件特許発明17-1、17-4または17-9~17-11をそれぞれ引用するものであり、上記(ア)~(ウ)で検討したとおり、甲1発明と同一でなく、また甲2及び甲3の記載を参酌しても、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 ウ 甲第2号証に記載された事項及び甲2発明 甲第2号証に記載された事項及び甲2発明は、上記第3の2に示したとおりである。 エ 甲2発明に基づく新規性、進歩性について (ア)本件特許発明17-1について a 本件特許発明17-1と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件1Aについて 甲2発明の「IGBT31」及び「ゲート駆動回路74」は、それぞれ本件特許発明17-1の「スイッチング素子」及び「ゲート駆動装置」に相当するから、甲2発明は本件特許発明17-1の「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部」、すなわち構成要件1Aを有する。 (b)構成要件1Bについて 構成要件1Bに関し、上記(1)ウ(イ)bの検討を踏まえると、甲2発明は、本件特許発明17-1とは少なくとも“前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部”を備える点で一致するといえる。 ここで、構成要件1Bの「少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える」点についてさらに検討を進めると、上記(1)ウ(イ)bで示したとおり、甲2発明の「ゲート電流Ig」は、期間xにおいて、すなわち期間xに亘って、当該期間xより前の、少なくとも「ピーク」時から「t1」までの間の「ゲート電流Ig」よりも小さくなっているといえるから、以上を総合すると、甲2発明は、構成要件1Bに相当する構成を有するといえる。 (c)構成要件1Cについて 構成要件1Cは、構成要件1A及び1Bを本件特許発明1が備えることを特定する事項であるところ、上記(a)及び(b)を踏まえると、甲2発明は、構成要件1Cに相当する構成を有するといえる。 (d)構成要件1Dについて 甲2発明の「IGBT31と対アームのIGBT33」は、本件特許発明17-1の「スイッチング素子」及び「対向スイッチング素子」に相当する。 甲2発明の「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」は、本件特許発明17-1の「対向スイッチング素子」に「逆並列に接続」された「還流ダイオード」に相当するといえるから、甲2発明は、構成要件1Dを有する。 (e)構成要件1Eについて 上記(b)を踏まえると、甲2発明は、構成要件1Eについては特定されておらず、この点(相違点17-1-2-1)において本件特許発明17-1と相違する。 (f)構成要件16Bについて 上記(a)を踏まえれば、甲2発明は、構成要件16Bを有する。 (g)構成要件16Cについて 構成要件16Cは、本件特許発明17-1の「スイッチング装置」が、構成要件1A~構成要件1Eに特定される「ゲート駆動装置」と構成要件16Bに特定される「スイッチング素子」を備えることを特定するものであるところ、上記(a)~(f)の検討を踏まえれば、甲2発明は構成要件16Cを有する。 (h)構成要件17Aについて 甲2発明の「IGBT31、33」が、どのようなものであるかについては特定されていないので、甲2発明は構成要件17Aの点(相違点17-1-2-2)で本件特許発明17-1とは相違する。 (i)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(h)の検討を踏まえると、本件特許発明17-1と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に亘り、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 を備え、 前記スイッチング素子は、還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されている、 ゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点17-1-2-1〉 本件特許発明17-1が、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む、ゲート駆動装置」を有するのに対し、甲2発明の「ゲート駆動回路74」において、「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを含むことが特定されていない点。 〈相違点17-1-2-2〉 本件特許発明17-1の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」るのに対し、甲2発明の「IGBT31、33」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 上記相違点17-1-2-1について検討する。 甲2発明の「ダイオード34」に流れる電流は、「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い」発生する、上記第3の2(1)記載事項エ(図4)に示される接続点37に流入する電流、すなわち、負荷から流入する電流のうち、「IGBT31」に流れる電流、すなわち「コレクタ電流Ic」を差し引いたものである。この、「ダイオード34」に流れる電流は、同図の検出点77における電流として、「Vce,Ic検出回路73」で検出され、「Vceの下降開始時点あるいはIcの上昇開始時点をt1と判定」することの記載はあるものの(甲2段落【0019】)、甲2発明の上記期間xにおいて、還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングが含まれず、当該ゼロになるタイミングは、甲2発明の「放電期間」の終期である「t2」のタイミングの少し前であり、「ダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを、「放電期間」の始期である、「t1」の付近にして、期間xに含まれるようにする手段を甲2発明は有しておらず、またそのようにタイミングをずらすことの動機付けは存在せず、相違点17-1-2-1に係る構成を甲2発明において採用することは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえず、また甲1及び甲3の記載を含め、当該事項は本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-1は、相違点17-1-2-2について検討するまでもなく、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (イ)本件特許発明17-4について a 本件特許発明17-4と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件4A、16B、16Cについて 構成要件4Aは、第4の1に示した構成要件1Aと同一であり、上記(ア)a(a)、(f)、(g)に示したとおり、甲2発明は構成要件4A、16B、16Cを有する。 (b)構成要件4Bについて 上記(ア)a(b)に示したとおり、甲2発明は、構成要件4Bを有する。 (c)構成要件4Cについて 甲2発明は、構成要件4Cに対応する構成を有しない。(相違点17-4-2-1) (d)構成要件4Dについて 構成要件4Dは、構成要件4A~4Cを備えるゲート駆動装置を特定するものであるところ、甲2発明は構成要件4Dの構成を有する。 (e)構成要件17Aについて 上記(ア)a(h)に示したとおり、甲2発明は構成要件17Aに対応する構成を有しない。(相違点17-4-2-2) (f)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(e)の検討を踏まえると、本件特許発明17-4と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 を備えるゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点17-4-2-1〉 本件特許発明17-4は、「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第1基準タイミングから前記スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後までの第1基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第1検出部」を備えるのに対し、甲2発明は、この構成を有しない点。 〈相違点17-4-2-2〉 本件特許発明17-4の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子である」のに対し、甲2発明の「IGBT31、33」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 事案に鑑み、相違点17-4-2-1について先に検討するに、甲2発明は、本件特許発明17-4の「第1基準タイミング」及び「第1基準時間」を検出する手段を有しておらず、この構成を甲2発明において採用する動機付けがあったとはいえず、また甲1及び甲3の記載を含め、上記相違点17-4-2-1が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-4は、相違点17-4-2-2について検討するまでもなく、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (ウ)本件特許発明17-9について a 本件特許発明17-9と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件9A~9Dについて 上記(1)ウ(イ)a~dに示したとおり、甲2発明は、下記の点(相違点17-9-2-1)を除いて、構成要件9A~9Dを有する。 (b)構成要件9Eについて 構成要件9Eは、本件特許発明17-9の「ゲート駆動装置」が、構成要件9A~9Dを備えることを特定するものであるところ、上記(1)ウ(イ)eで示したとおり、甲2発明は構成要件9Eを有する。 (c)構成要件9Fについて 上記(1)ウ(イ)fで示したとおり、甲2発明は、構成要件9Fのうち、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」点(相違点17-9-2-2)を有さない。 (d)構成要件16B、16Cについて 上記エ(ア)a(f)、(g)に示したとおり、甲2発明は、構成要件16B及び16Cを有する。 (e)構成要件17Aについて 上記エ(ア)a(h)に示したとおり、甲2発明は構成要件17Aに対応する構成を有しない。(相違点17-9-2-3) (f)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(e)の検討を踏まえると、本件特許発明17-9と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 前記還流ダイオードに流れる電流を示すパラメータと、前記スイッチング素子に流れる電流を示すパラメータとの少なくとも一方を取得する第2取得部と、 前記第2取得部が取得したパラメータに基づいて、前記切替部に信号を供給する第3検出部と、 を備えるゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点17-9-2-1〉 一致点の「前記切替部に信号を供給する」に関し、本件特許発明17-9の「第3検出部」は、「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになったことを検出して」「前記切替部に信号を供給する」のに対し、甲2発明は、本件特許発明17-9の「還流ダイオード」に対応する「ダイオード34」に流れる電流がゼロになったことを検出することが特定されていない点。 〈相違点17-9-2-2〉 本件特許発明17-9の「ゲート駆動装置」は、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」のに対し、甲2発明の期間xが、「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを含むことが特定されていない点。 〈相違点17-9-2-3〉 本件特許発明17-9の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」るのに対し、甲2発明の「IGBT31、33」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 事案に鑑み、相違点17-9-2-1及び17-9-2-2についてまとめて検討する。 甲2発明は、「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流を検出する手段を特定しておらず、また、甲2の記載全体を見ても、そのような手段は記載も示唆もされていない。 当該「ダイオード34」に流れる電流は、「IGBT31、33のスイッチング動作に伴い」発生する、上記第3の2(1)記載事項エ(図4)に示される接続点37に流入する電流、すなわち、負荷から流入する電流のうち、「IGBT31」に流れる電流、すなわち「コレクタ電流Ic」を差し引いたものである。この、「ダイオード34」に流れる電流は、同図の検出点77における電流として、「Vce,Ic検出回路73」で検出され、「Vceの下降開始時点あるいはIcの上昇開始時点をt1と判定」することの記載はあるものの(甲2段落【0019】)、甲2発明の上記期間xにおいて、還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングが含まれず、当該ゼロになるタイミングは、甲2発明の「放電期間」の終期である「t2」のタイミングの少し前であり、「ダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを、「放電期間」の始期である、「t1」の付近にして、期間xに含まれるようにする手段を甲2発明は有しておらず、またそのようにタイミングをずらすことの動機付けは存在せず、相違点17-9-2-1及び17-9-2-2に係る構成を甲2発明において採用することは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえず、また甲1及び甲3の記載を含め、当該事項は本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明9は、上記相違点17-9-2-3について検討するまでもなく、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (エ)本件特許発明17-10について a 本件特許発明17-10と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件10A、10B、16B及び16Cについて 構成要件10A、10Bは、それぞれ構成要件9A、9Bと同一であり、上記(ウ)a(a)、(b)に示したのと同様に、甲2発明は、構成要件10A、10Bを有する。 また、上記(ウ)a(f)、(g)に示したとおり、甲2発明は、構成要件16B及び16Cを有する。 (b)構成要件10Cについて 甲2発明は、構成要件10Cに対応する構成を有しない。(相違点17-10-2-1) (c)構成要件10Dについて 構成要件10Dは、本件特許発明17-10の「ゲート駆動装置」が、構成要件10A~10Cを備えることを特定するものであるところ、上記(a)及び(b)で検討したとおり、構成要件10Cの点を除き、甲2発明は構成要件10Dを有する。 (d)構成要件10E及び17Aについて 構成要件10Eは、構成要件9Fと同一であり、上記(ウ)a(h)で示したとおり、甲2発明は構成要件10E及び17Aを有しない。(相違点17-10-2-2、17-10-2-3) (e)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(d)の検討を踏まえると、本件特許発明17-10と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 を備えるゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点17-10-2-1〉 本件特許発明17-10は、「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部」を備えるのに対し、甲2発明はその構成が特定されていない点。 〈相違点17-10-2-2〉 本件特許発明17-10が、「前記少なくとも一部の期間は、前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」のに対し、甲2発明の期間xが「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを含むことが特定されていない点。 〈相違点17-10-2-3〉 本件特許発明17-10の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」るのに対し、甲2発明の「IGBT31、33」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 事案に鑑み、相違点17-10-2-1について先に検討するに、甲2発明は、本件特許発明17-10の「第2基準タイミング」及び「第2基準時間」を検出する手段を有しておらず、この構成を甲2発明において採用する動機付けがあったとはいえず、また甲1及び甲3の記載を含め、上記相違点17-10-2-1が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-10は、その余の相違点について検討するまでもなく、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (オ)本件特許発明17-11について a 本件特許発明17-11と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件11A、16B、16Cについて 構成要件11Aは、本件特許発明17-10の構成要件10Aと同一であり、上記(エ)a(a)に示したのと同様に、甲2発明は構成要件11Aを有する。 また、上記エ(ア)a(f)、に示したとおり、甲2発明は、構成要件16B及び16Cを有する。 (b)構成要件11Bについて 構成要件11Bは、本件特許発明17-10の構成要件10Bと構成要件10Eとをあわせたものと同等であり、上記(エ)a(a)、(d)に示したとおり、甲2発明は下記の点(相違点17-11-2-1)を除き構成要件11Bを有する。 (c)構成要件11Cについて 構成要件11Cは構成要件10Cと同一であり、上記(エ)a(b)で示したとおり、構成要件11Cを有しない。(相違点17-11-2-2) (d)構成要件11Dについて 構成要件11Dは、本件特許発明17-11の「ゲート駆動装置」が、構成要件11A~11Cを備えることを特定するものであるところ、上記(a)~(c)で検討したとおり、相違点17-11-2-1及び17-11-2-2の点を除き、甲2発明は構成要件11Dを有する。 (e)構成要件17Aについて 甲2発明は、構成要件17Aを有しない。(相違点17-11-2-3) (f)一致点及び相違点について 以上、上記(a)~(e)の検討を踏まえると、本件特許発明17-11と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 還流ダイオードが逆並列に接続された対向スイッチング素子と直列に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、 前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミング以降の少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、 を備えるゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点17-11-2-1〉 本件特許発明17-11の「少なくとも一部の期間」は、「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」のに対し、甲2発明の期間xが「電流の還流とリカバリ動作が発生するダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを含むことが特定されていない点。 〈相違点17-11-2-2〉 本件特許発明17-11は、「前記スイッチング素子に対するターンオン信号の入力以降の第2基準タイミングから前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミング以降までの第2基準時間の経過を検出して前記切替部に信号を供給する第4検出部」を備えるのに対し、甲2発明はその構成が特定されていない点。 〈相違点17-11-2-3〉 本件特許発明17-11の「スイッチング素子」は、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」るのに対し、甲2発明の「IGBT31、33」がワイドバンドギャップ半導体素子であることが特定されていない点。 b 判断 事案に鑑み、相違点17-11-2-2について先に検討するに、甲2発明は、本件特許発明17-11の「第2基準タイミング」及び「第2基準時間」を検出する手段を有しておらず、この構成を甲2発明において採用する動機付けがあったとはいえず、また甲1及び甲3の記載を含め、上記相違点17-11-2が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 よって、本件特許発明17-11は、その余の相違点について検討するまでもなく、甲2に記載された発明とは同一でなく、また甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 (カ)本件特許発明17-2~17-3、17-5~17-7、17-12~17-15について 本件特許発明17-2~17-3は本件特許発明17-1を、本件特許発明17-5~17-7は本件特許発明17-1または17-4を、本件特許発明17-12~17-15は本件特許発明17-1、17-4、17-9~17-11をそれぞれ引用するものであり、上記(ア)~(オ)で検討したとおり、甲2発明と同一でなく、また甲1及び甲3の記載を参酌しても、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明17は、甲1発明及び甲2発明に対して新規性及び進歩性を有している。 また、本件特許発明17について、他に拒絶の理由を発見しない。 したがって、請求項17に係る訂正事項1~2及び4~10による訂正は、独立特許要件を満たすものである。 (3)申立人の提出した意見書について 申立人は、令和4年12月8日付けで意見書を提出し、「スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始」する期間であって、「スイッチング素子のゲート電流」が、当該期間前と比較して小さい電流に切り替わる「少なくとも一部の期間」が、「還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」こと(構成要件1D、9F、10E、11B、18D、19C)に関して、概ね以下の主張をしている。 「引用文献(当審注:甲第2号証のこと)において、スイッチング素子31のゲート電流Igを小さい電流に切り替えた「少なくとも一部の期間」(t1からt2)が、還流ダイオード34に流れる電流IFがゼロになるタイミングを含んでいることは自明で」あり(6ページ下から6~4行)、「スイッチング素子31を流れる電流ICがオン状態の電流Ionに達したタイミングで、還流ダイオード34に流れる電流IFがゼロになります。このタイミングは、スイッチング素子31のゲート電流Igを小さい電流に切り替えた期間t1からt2に含まれ」ること(8ページ14~17行)から、「甲2において、スイッチング素子31のゲート電流Igを小さい電流に切り替えた「少なくとも一部の期間」(t1からt2)が、還流ダイオード34に流れる電流IFがゼロになるタイミングを含んでいることは自明で」ある(8ページ下から2行~9ページ1行)旨主張する。 しかしながら、上記(1)ウ(イ)(b)に示したとおり、甲2発明において、「ゲート電流Ig」がt1の時点前と比較して小さい電流に切り替わる期間は、上記期間xにおいてであって、申立人が主張するような、「t1からt2」の期間ではないから、上記主張は採用できない。 (4)独立特許要件についてのむすび 以上検討したとおり、特許異議申立がされていない、本件特許発明9及び本件特許発明17に係る、訂正事項1~2、4~10による訂正は、独立特許要件を満たすものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合する。 特許権者は、訂正後の請求項21、22については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、5~10、12~17〕、18、21、22について訂正することを認める。 第6 取消理由通知(決定の予告)の概要 本件特許発明22に対して、当審が通知した、令和5年2月21日付けの取消理由通知(決定の予告)(以下、「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。 本件特許発明22は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により、取り消されるべきものである。 第7 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)本件特許発明22について 上記訂正請求により訂正された本件特許発明22は、上記第4の22に示したとおりのものである。 (2)甲第2号証の記載事項及び甲2発明 取消理由通知において引用した甲第2号証の記載事項及び甲2発明は、上記第3の2に示したとおりである。 (3)対比 本件特許発明22と甲2発明とを対比する。 ア 構成要件22Aについて 甲2発明の「IGBT31」は、本件特許発明22の「スイッチング素子」に相当する。 甲2発明の「駆動ロジック71」は、当該「駆動ロジック71の出力信号に応じて、ゲート駆動回路74の出力端子75にIGBTをゲート制御するための電圧が出力され」るものであるから、本件特許発明22の「スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部」に相当する。 また、上記第5の3(1)ウ(イ)bにおける検討を踏まえれば、甲2発明は、構成要件22Aのうち、「前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部」に相当する構成を有するといえるから、以上を総合すると、甲2発明は、構成要件22Aを有する。 イ 構成要件22Bについて 上記アに示したとおり、甲2発明の「IGBT31」及び「駆動ロジック71」は、それぞれ本件特許発明22の「スイッチング素子」及び「ゲート駆動装置」に相当するから、甲2発明は、構成要件22Bを有する。 ウ 構成要件22Cについて 構成要件22Cは、構成要件22A及び22Bを、本件特許発明22の「スイッチング装置」が備えることを特定するところ、甲2発明は、構成要件22Cを有する。 エ 構成要件22Dについて 甲2発明は、「IGBT31」がどのような半導体素子で形成されたものであるかを特定していないことから、甲2発明は構成要件22Dを有するとはいえない。 オ 一致点・相違点 以上、ア~エを踏まえると、本件特許発明22と甲2発明とは次の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動部と、前記スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える切替部と、を備えるゲート駆動装置と、 前記ゲート駆動装置によってゲートが駆動される前記スイッチング素子と、 を備えるスイッチング装置。 〈相違点〉 本件特許発明22の「スイッチング素子」が、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」るのに対し、甲2発明の「IGBT31」が、「ワイドバンドギャップ半導体素子であ」ることが特定されていない点。 (4)判断 上記相違点につき検討するに、パワー半導体分野において、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体は周知な材料に過ぎず、甲2発明のIGBTにおいて、ワイドバンドギャップ半導体を用いたものとすることに格別困難性は無い。 したがって、本件特許発明22は、上記甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 上記取消理由通知(決定の予告)に関して、特許権者からは意見書等の提出は無く、上記判断は妥当なものと考えられるので、本件特許発明22は、甲第2号証に記載された甲2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反し、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人が主張する、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての、当審の判断を以下に示す。 (1)理由1-1について ア 本件特許発明1、4、10~11及び18~20について (ア)甲第1号証に記載された事項及び甲1発明 甲第1号証に記載された事項、及び甲1発明は、上記第3の1に記載したとおりのものである。 (イ)対比・判断 甲1発明と、本件特許発明1、4、10~11及び18~20とを対比する。 甲1発明は、本件特許発明1、4、10~11及び18~20に共通する、“スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える”構成を有するものとはいえず、少なくともこの点において本件特許発明1、4、10~11及び18~20とは相違する。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明1、4、10~11及び18~20は甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。 イ 本件特許発明2~3、5~7、12~14及び16について 本件特許発明2~3は本件特許発明1を、本件特許発明5~7は本件特許発明1又は4を、本件特許発明12~14及び16は本件特許発明1、4又は11をそれぞれ構成として含むものであるから、上記ア(イ)に示した理由と同じく、甲1発明とは相違する。 ウ 小括 したがって、本件特許発明1~8、10~14、16及び18~20は、甲1発明と同一とはいえず、申立人が主張する理由1のうち、理由1-1は理由が無い。 (2)理由1-2について ア 本件特許発明1、4、10~11、18~21について (ア)甲第2号証に記載された事項及び甲2発明 甲第2号証に記載された事項、及び甲2発明は、上記第3の2に記載したとおりのものである。 (イ)対比・判断 a 本件特許発明1、10~11及び18~19について 甲2発明と、本件特許発明1、10~11及び18~19とを対比する。 甲2発明は、本件特許発明1、10~11及び18~19に共通する、“少なくとも一部の期間が還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む”との構成を有するものとはいえず、少なくともこの点において本件特許発明1、10~11及び18~19とは、相違する。 b 本件特許発明4及び20について 甲2発明と、本件特許発明4とを対比する。 甲2発明は、本件特許発明4の構成要件4Cを有さず、少なくともこの点において本件特許発明4とは相違する。 また、本件特許発明4と概ねカテゴリー表現のみ異なる本件特許発明20も同様である。 c 本件特許発明21について 甲2発明と、本件特許発明21とを対比する。 甲2発明は、本件特許発明21の構成要件21Dを有さず、少なくともこの点において本件特許発明21とは相違する。 (ウ)小括 上記(イ)で検討したとおり、本件特許発明1、4、10~11、18~21は甲第2号証に記載された発明と同一とはいえない。 イ 本件特許発明2~3、6~7、12及び14~16について 本件特許発明2~3は本件特許発明1を、本件特許発明6~7は本件特許発明1又は4を、本件特許発明12及び14~16は本件特許発明1、4又は11をそれぞれ構成として含むものであるから、上記ア(イ)に示した理由と同じく、甲2発明とは相違する。 ウ 小括 したがって、本件特許発明1、4、10~11、18~21は、甲2発明と同一とはいえず、申立人が主張する理由1のうち、理由1-2は理由が無い。 (3)理由2-1について ア 本件特許発明1、4、10~11及び18~20について (ア)甲第1号証に記載された事項及び甲1発明 甲第1号証に記載された事項、及び甲1発明は、上記第3の1に記載したとおりのものである。 (イ)対比・判断 甲1発明と、本件特許発明1、4、10~11及び18~20とを対比する。 甲1発明は、上記(1)ア(イ)に示したとおり、本件特許発明1、4、10~11及び18~20に共通する、“スイッチング素子のターンオン期間のうち当該スイッチング素子に電流が流れ始めるタイミングよりも後に開始する少なくとも一部の期間に、当該スイッチング素子のゲート電流を、当該少なくとも一部の期間前と比較して小さい電流に切り替える”構成(以下、「相違点」という。)を有するものとはいえず、少なくともこの点において本件特許発明1、4、10~11及び18~20とは相違する。 そして、上記相違点については、上記第5の3(2)イ(イ)a(f)に示した、相違点17-4-1-1と共通するものであり、その判断は上記第5の3(2)イ(イ)bに示したとおりである。 よって、本件特許発明1、4、10~11及び18~20は、上記甲3記載事項を参酌しても、甲1発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明1、4、10~11及び18~20は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 イ 本件特許発明2~3、5~7、12~14及び16について 本件特許発明2~3は本件特許発明1を、本件特許発明5~7は本件特許発明1又は4を、本件特許発明12~14及び16は本件特許発明1、4、10又は11をそれぞれ構成として含むものであるから、上記(イ)に示した理由と同じく、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ウ 小括 したがって、本件特許発明1~8、10~14、16及び18~20は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえず、申立人が主張する理由2のうち、理由2-1は理由が無い。 (4)理由2-2について ア 本件特許発明15について (ア)甲第2号証に記載された事項及び甲2発明 甲第2号証に記載された事項、及び甲2発明は、上記第3の2に記載したとおりのものである。 (イ)対比・判断 本件特許発明15は、本件特許発明1、4又は9~11をその構成として含むものである。 このうち、本件特許発明1、9~11は、「少なくとも一部の期間」に、「前記還流ダイオードに流れる電流がゼロになるタイミングを含む」構成を有するものの、当該構成は、上記第5の3(1)ウ(エ)に示したとおり、甲2発明の「ダイオード34」に流れる電流がゼロになるタイミングを、「放電期間」の始期である、「t1」の付近にして、期間xに含まれるようにする手段を甲2発明は有しておらず、またそのようにタイミングをずらすことの動機付けは存在せず、上記構成を甲2発明において採用することは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえず、また当該事項は本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 また、甲2発明は、本件特許発明4の構成要件4Cを有さず、上記第5の3(2)エ(イ)bに示したとおり、甲2発明は、「第1基準タイミング」及び「第1基準時間」を検出する手段を有しておらず、この構成を甲2発明において採用する動機付けがあったとはいえず、また構成要件4Cが、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。 以上を踏まえると、本件特許発明15は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明15は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 イ 本件特許発明21について 甲2発明は、上記(2)ア(イ)cに示したとおり、構成要件21Dを有さず、当該構成は、本件特許出願前の周知技術であったとする証拠もない。 よって本件特許発明21は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ウ 小括 したがって、本件特許発明15及び21は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえず、申立人が主張する理由2のうち、理由2-2は理由が無い。 3 むすび 以上示したとおり、本件請求項1~7、10~16、18~21に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1~7、10~16、18~21に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許発明22は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、請求項22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、請求項22に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第8 むすび 以上のとおり、本件特許発明22は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、請求項22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、請求項22に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項1~7、10~16、18~21に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1~7、10~16、18~21に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項8に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項8に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700213

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