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特許拒絶査定不服審判

2023-019631

測位のための方法、端末およびネットワーク側装置

審判番号
2023-019631
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-527211
請求日
2023年11月20日
審決日
2026年03月11日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】大唐移▲動▼通信▲設▼▲備▼有限公司
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 濱野 隆
  • 審判官 柳 重幸
分類
P18 .121-WZ (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-527211号「測位のための方法、端末およびネットワーク側装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年5月20日国際公開、WO2021/093710、令和5年1月18日国内公表、特表2023-501554号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)11月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年11月11日、中国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 5月11日 :翻訳文、手続補正書の提出 令和5年 2月14日付け:拒絶理由通知書 同年 5月22日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 3日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月18日 :原査定の謄本の送達) 同年11月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年12月14日付け:前置報告書 令和6年 1月11日 :上申書の提出 同年 4月 9日 :上申書の提出 同年12月26日付け:審尋 令和7年 3月21日 :回答書 同年 6月13日付け:拒絶理由通知書 同年 9月 1日 :意見書、手続補正書の提出 なお、令和7年6月13日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年9月1日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。 また、2019年11月11日を「優先日」という。 2 本願発明について (1) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年9月1日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。 「測位のための方法であって、 第1の端末が、手段3で測位補助情報を取得するステップと、 前記第1の端末が、前記測位補助情報に基づき、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定するステップとを備え、 手段3: 前記第1の端末が、ネットワーク側装置から測位補助情報を取得するステップを備え、 前記測位補助情報は、ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報およびネットワーク側装置自体の位置情報を含み、ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報は、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報は、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、 前記ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報が、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、前記ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報が、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得されることは、 前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第3の測位信号に基づいて前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を決定し、前記第2のネットワーク側装置が前記第4の測位信号に基づいて前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を前記第2のネットワーク側装置に送信し、前記第2のネットワーク側装置が前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を前記第1のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が取得された前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報に基づき、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報および前記第1のネットワーク側装置自体の位置情報を前記第1の端末に通知することを含むことを特徴とする測位のための方法。」 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成D-4までに分説する。また、参考図として、本願の【図12】を掲載する。 <本願発明の分説> X 測位のための方法であって、 A 第1の端末が、手段3で測位補助情報を取得するステップと、 B 前記第1の端末が、前記測位補助情報に基づき、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定するステップとを備え、 手段3: C-1 前記第1の端末が、ネットワーク側装置から測位補助情報を取得するステップを備え、 C-2 前記測位補助情報は、ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報およびネットワーク側装置自体の位置情報を含み、 C-3a ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報は、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報は、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、 C-3b 前記ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報が、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、前記ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報が、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得されることは、 D-1 前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信し、 D-2 前記第1のネットワーク側装置が前記第3の測位信号に基づいて前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を決定し、前記第2のネットワーク側装置が前記第4の測位信号に基づいて前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、 D-3 前記第1のネットワーク側装置が前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を前記第2のネットワーク側装置に送信し、前記第2のネットワーク側装置が前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を前記第1のネットワーク側装置に送信し、 D-4 前記第1のネットワーク側装置が取得された前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報に基づき、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報および前記第1のネットワーク側装置自体の位置情報を前記第1の端末に通知することを含む ことを特徴とする X 測位のための方法。 <参考図> 【図12】 [図:0001437644000001.jpg] (3) 本願発明に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載、並びに令和7年3月21日提出の回答書において、本願発明に対応するものであると請求人が回答した実施形態4に関する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【0002】 本発明は、通信技術分野に関し、特に測位ための方法、端末およびネットワーク側装置に関する。 【背景技術】 【0003】 現在、無線通信の分野にはネットワークを介した通信モードおよび直接通信モードとの2つの主要な通信モードがある。」 「【0009】 直接通信は、端末間のデバイス間(Device to Device,D2D)技術によって実施される。 【0010】 ビークルツーエブリシング(Vehicle-to-Everything,V2X)通信は、通信分野におけるホットトピックである。V2X通信には、主に次の3つの側面が含まれる。Vehicle-to-Vehicle(V2V):車両上のOBU(On Broad Unit)間の通信。V2I(Vehicle-to-Infrastructure):車両とRSU(Road Side Unit,ロードサイドユニット)間の通信。V2P(Vehicle-to-Pedestrian):車両と歩行者の間の通信。 【0011】 現在、上記1に示すネットワークを介した通信モードでは、端末を測位するための様々な方法が定義されており、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project,3GPP(登録商標))は、3GPP無線通信システム自体の測位基準信号(Positioning Reference Signal,PRS)を測定することによってUE測位ための方法を定義している。例えば、観測された到着時間差(Observed Time Difference of Arrival,OTDOA)、アップリンク到着時間差(Uplink Time Difference of Arrival,UTDOA)などがあるが、上記のすべての方法は、複数の基地局に依存して端末を測位する。 【0012】 上記の方法を使用して端末を測位するための既存のプロセスは比較的複雑であり、端末の絶対位置は、複数の基地局に基づいて決定される必要がある。V2X通信シナリオでは、車両間の相対位置を取得する必要がありる。現在、V2Xシナリオの測位ための方法はまだ案出されていない。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0013】 本発明は、V2Xシナリオにおける測位ための方法を提供し、V2Xシナリオにおける測位プロセスを単純化するために、測位ための方法、端末、およびネットワーク側装置を提供する。」 「【0191】 実施形態4:UE1、UE2、およびネットワーク側装置(基地局など)から構成される測位ためのシステム。 【0192】 実施形態4は、完全にネットワークデバイスに基づく測位の方法である。考えられるシナリオでは、図12に示すように、UE1とUE2との間に直接通信リンクがない場合、UE1およびUE2は、例えば、以下のステップを含む、上記の実施形態3におけるeNB1を介した測位の方法を採用することができる。 【0193】 1.各端末は、それ自体のサービング基地局を介して、Uuポートでそれ自体のPRSのリソース構成情報を取得する。 【0194】 2.UE1は、Uuポートの測位基準信号PRS3をeNB1に送信し、UE2は、Uuポートの測位基準信号PRS4をeNB1に送信する。 【0195】 3.eNB1は、UE1とそれとの間の相対位置、およびUE2とそれとの間の相対位置を決定する。 【0196】 4.eNB1は、UE1およびUE2に、測位結果およびそれ自体の位置情報を通知する。 【0197】 5.UE1は、eNB1の測位結果に基づいて、UE2の相対位置(UE1に対する相対位置)を決定する。 【0198】 任意選択で、UE2はまた、eNB1の測位結果に基づいて、UE2自体に対するUE1の相対位置を決定することができる。」 3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由のうち、本願の請求項1に係る発明についての理由1(進歩性欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性欠如) 本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献5:特開2001-59740号公報(主たる引用文献) 引用文献6:特開平11-215543号公報 引用文献7:国際公開2019/141090号 4 各引用文献の記載事項及び引用発明などの認定 (1) 引用文献5の記載事項及び引用発明の認定 当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に発行された文献である特開2001-59740号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記エの引用発明の認定に用いる記載に下線を付した。)。 ア 段落【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基地局を介して送受信を行う移動体通信装置およびその移動体通信装置を利用した移動体通信システムに関する。」 イ 段落【0040】~【0048】、【図1】~【図4】 「【0040】次に、本実施形態の作用について、図1および図4も参照しながら説明する。図2および図3において、携帯電話機1a、1bの位置検出部4は、所定時間毎にアンテナ5を介してGPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信し、現在の位置(緯度、経度、高度)を演算する。この場合に受信するGPS衛星は、上記以外のGPS衛星であっても良いが、少なくとも4つのGPS衛星からの測位電波を同時に受信する必要がある。 【0041】携帯電話機1a、1bの制御回路2は、それぞれ位置検出部4で得た位置データ(緯度、経度、高度)を位置登録情報の送信とともに基地局16a、16bに送信する。これら位置データは、上述したように制御局19によってデータベース20に格納される。」 「【図2】 [図:0001437644000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001437644000003.jpg] 」 「【0042】さて、図1は、携帯電話機1が他の携帯電話機1の位置を得るために実行する位置検出処理を示すフローチャートである。この位置検出処理は、制御回路2の制御によって実行される。以下、このフローチャートに従って、図3に示した携帯電話機1aが携帯電話機1bの現在位置を要求しそれを獲得する場合における携帯電話機1aが行う処理内容について説明する。」 「【図1】 [図:0001437644000004.jpg] 」 「【0043】まず、携帯電話機1aの携帯者が、そのキー操作部3を操作することにより、例えば友人である相手が携帯する携帯電話機1bの電話番号を入力しそれに続いて「位置表示キー」を押すと、制御回路2はキー操作部3からその相手側の電話番号を入力し(ステップS1)、その電話番号と位置要求信号とをデータ変換部9に対し出力する。これらは、送受信部10からアンテナ11を介して基地局16aに送信され(ステップS2)、PDC通信網17を介して制御局19に送られる。 【0044】制御局19では、データベース20からその電話番号により特定された携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)を取り出し、それをPDC通信網17、基地局16aを介して携帯電話機1aに送信する。携帯電話機1aでは、この位置データを送受信部10で受信し(ステップS3)、その受信信号をデータ変換部9で復調する。その復調された位置データは制御回路2に入力される。 【0045】続いて、携帯電話機1aの制御回路2は、位置検出部4から現在の自分自身の位置データ(緯度、経度、高度)を入力する(ステップS4)。なお、この位置データの入力は、ステップS3において制御局19から送られる携帯電話機1bの位置データの受信を待つ間に実行しても良い。 【0046】制御回路2は、ステップS3で獲得した相手側(携帯電話機1b)の位置データに基づいて、その相手の位置の周辺を表す地図データを記憶部12のROMから読み出す(ステップS5)。そして、制御回路2は、図4に示すように、ディスプレイ13に地図と相手の位置とを重ねて表示した(ステップS6)後、処理を終了する。この場合、制御回路2は、相手の位置とステップS4で得た自分の位置とが近い場合には、自動的にまたは使用者の選択によって、両者の位置がともに表示可能となるように地図の縮尺などを変更する。 【0047】地図表示には、例えば主要な道路や建物、北を示す方位マークなどが含まれており、相手の位置(および自分の位置)は例えば点滅するドットにより表示される。また、記憶部12に予め相手の名称(および自分の名称)が登録されている場合には、位置を示すドットの脇にその名称(図4では相手が「B」、自分が「A」)が表示される。」 「【図4】 [図:0001437644000005.jpg] 」 「【0048】以上のように本実施形態によれば、携帯電話機1(1a、1b)は、GPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信しその測位電波に基づいて位置を演算する位置検出部4を備え、制御回路2は位置データ送信制御手段としてその検出した位置データを位置登録情報とともに基地局16aや16bに送信する。この位置データは制御局19に送られ、データベース20に格納されて一元的に管理されるので、携帯電話機1の制御回路2が、位置データ要求手段として電話番号によって特定した相手側の携帯電話機1の位置データを要求すると、制御局19は短時間のうちにデータベース20からその相手の位置データを取り出して送り返すことが可能となる。」 ウ 段落【0052】~【0054】、【図5】 「【0052】(第2の実施形態)次に、本発明を携帯電話機に適用した第2の実施形態について図5および図6を参照しながら説明する。本実施形態における携帯電話機1は、第1の実施形態と同じく図2に示した構成を備えている。このうち制御回路2は、位置データ送信制御手段、位置データ要求手段、位置データ受信制御手段、出力制御手段として機能する他、距離演算手段として機能するようになっている。 【0053】図5は、携帯電話機1が他の携帯電話機1との距離およびその方角を得るために実行する距離・方角検出処理を示すフローチャートである。この距離・方角検出処理は、制御回路2の制御によって実行される。以下、このフローチャートに従って、図3に示した携帯電話機1a(自分)が携帯電話機1b(相手)との距離と方角を獲得する場合における携帯電話機1aの制御回路2が行う処理内容について説明する。なお、図5に示す処理ステップのうち図1に示した処理ステップと同一処理を行うものについては、同一のステップ番号を付して説明を省略する。 【0054】携帯電話機1aの制御回路2は、ステップS1~S4を実行することによって、その携帯者が電話番号により指定した携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)と、携帯電話機1a自体の位置データ(緯度、経度、高度)とを取得する。続いて、制御回路2は、これら位置データを用いて相手と自分との距離を演算し(ステップS7)、さらに相手が自分から見てどの方角にいるのかを演算により求める(ステップS8)。」 「【図5】 [図:0001437644000006.jpg] 」 エ 引用発明の認定 引用文献5の【0052】の記載を踏まえると、第2の実施形態における携帯電話機1については、制御回路2が、位置データ送信制御手段、位置データ要求手段、位置データ受信制御手段、出力制御手段として機能する他、距離演算手段として機能するようになっていることを前提として、第1の実施形態と同じく図2に示した構成を備えるものであると認められる。 そうすると、上記ア~ウの記載から、引用文献5には、第2の実施形態に係る以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 なお、認定の根拠となる記載箇所の段落番号を括弧内に示した。 [引用発明] 「携帯電話機1aが他の携帯電話機1bとの距離およびその方角を得るために実行する距離・方角検出処理(【0053】)方法であって、 携帯電話機1a、1bの位置検出部4は、所定時間毎にアンテナ5を介してGPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信し、現在の位置(緯度、経度、高度)を演算し、(【0040】) 携帯電話機1a、1bの制御回路2は、それぞれ位置検出部4で得た位置データ(緯度、経度、高度)を位置登録情報の送信とともに基地局16a、16bに送信し、これら位置データは、制御局19によってデータベース20に格納され、(【0041】) 携帯電話機1aの制御回路2は、携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)と、携帯電話機1a自体の位置データ(緯度、経度、高度)とを取得し、(【0054】) これら位置データを用いて相手と自分との距離を演算し、さらに相手が自分から見てどの方角にいるのかを演算により求め、(【0054】) 制御局19で、データベース20から携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)を取り出し、それをPDC通信網17、基地局16aを介して携帯電話機1aに送信し、携帯電話機1aでは、この位置データを送受信部10で受信する、(【0044】) 距離・方角検出処理方法。」 (2) 引用文献6の記載事項、引用文献6技術事項の認定 ア 引用文献6の記載事項 当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に発行された文献である前記引用文献6(特開平11-215543号公報)には、以下のような記載がある。(下線は当合議体による。以下同様である。) (ア) 段落【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は位置標定装置に関し、特に、セルラ基地局においてそれがカバーするサービスエリア(セル)内にある携帯端末の位置を標定する位置標定装置に関する。」 (イ) 段落【0011】 「【0011】本発明のもっと他の課題は、GPS方式をを利用した位置標定システムに比較して、高精度が位置標定を可能とする位置標定システムを提供することにある。」 (ウ) 段落【0076】~【0082】、【図8】 「【0076】図8に本発明の一実施例による位置標定装置を示す。図1に示すものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付してある。図示の位置標定装置は、アレイアンテナ101と、PDA推定回路104と、位置標定回路105と、送信装置106と、送信アンテナ107と、第1乃至第Mの受信装置112-1~112-Mと、制御回路113と、校正信号発生器114と、校正信号切替器115とから構成される。 【0077】アレイアンテナ101は第1乃至第Mのアンテナ素子101-1~101-Mから構成される。アレイアンテナ101は複数の携帯端末の送信信号を受信し、校正信号切替器115を介して第1乃至第Mの受信装置112-1~112-Mに出力する。第1乃至第Mの受信装置112-1~112-Mは同じ構成を有するので、ここでは第Mの受信装置112-Mのみを図示してある。第Mの受信装置112-Mは、受信機(RCVR)102-Mと、複数のウエイト設定回路116と、複数の整合フィルタ117と、多重化回路(MPX)118とから構成される。 【0078】受信機102-Mは第Mのアンテナ素子101-Mの受信信号をベースバンド信号に変換してIQ分離し、IQ分離した信号を整合フィルタ117に出力する。整合フィルタ117とウエイト設定回路116は想定される携帯端末の最大数だけ用意される。携帯端末毎に逆拡散コードに対応するウエイトが制御回路113からウエイト設定回路116に設定され、IQ分離した信号は整合フィルタ117により逆拡散され復調される。携帯端末の数に応じた復調出力は多重化回路118で時間領域で多重化され、PDA推定回路104に送出される。すなわち、複数のウエイト設定回路116と複数の整合フィルタ117と多重化回路118との組み合わせは、図1に図示した1つのCDMA復調器に相当する。 【0079】制御回路113は、携帯端末のアクセス数に応じ、ウエイト情報をウエイト設定回路116に送るとともに、多重化回路118を制御して設定されたタイミングで各系統の復調信号を同時出力させる。 【0080】PDA推定回路104は上述した「2D-Unitary ESPRIT 」法を用い、各携帯端末毎の遅延時間、到来方位を推定し、その推定結果を位置標定回路105に送出する。位置標定回路105は、各携帯端末の遅延時間、到来方位情報から、携帯端末の基地局に対する相対位置を求め、その相対位置を示す相対位置情報を基地局の絶対位置情報と合わせてアプリケーションシステム及び送信装置106に送出する。送信装置106は、各携帯端末の位置情報をCDMA方式により多重化して、空中線107を介して、各携帯端末に送信する。 【0081】校正信号発生器114は、各受信装置系統のチャネル間利得、伝送位相誤差を使用周波数帯域にわたり校正するための校正信号を発生する。校正時は、校正信号切替器115の設定を変更して、第1乃至第Mの受信装置112-1~112-Mに校正信号を供給する。 【0082】このような構成の実施例によると、セル内の複数の携帯端末(移動端末)の位置情報がセルをカバーする1基地局の装置のみで標定することが可能となる。移動端末に標定結果を表示させれば、現在のGPSに代わるサービスが可能となる。また、標定結果を関係機関のサービスシステムに通知することにより、例えば緊急車両の誘導等、様々なサービスが可能となる。」 「【図8】 [図:0001437644000007.jpg] 」 イ 引用文献6技術事項の認定 上記アに摘記した記載から、引用文献6には、以下の技術事項(以下「引用文献6技術事項」という。)が記載されているといえる。 [引用文献6技術事項] 「各携帯端末の送信信号の遅延時間、到来方位情報から、携帯端末の基地局に対する相対位置を求め、その相対位置を示す相対位置情報を基地局の絶対位置情報と合わせてアプリケーションシステム及び送信装置106に送出し、各携帯端末に送信することにより、GPS方式を利用した位置標定システムに代わる位置標定を可能とする、携帯端末の位置を標定する位置標定方法。」 (3) 引用文献7の記載事項、周知技術1の認定 ア 引用文献7の記載事項 当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に発行された文献である前記引用文献7(国際公開2019/141090)には、以下のような記載がある。 なお、日本語訳は、引用文献7の日本語ファミリー文献である特表2021-511508号公報の対応する記載をそのまま採用した。 (ア) 10ページ2行~11ページ1行、【図1】~【図2】 「 [図:0001437644000008.jpg] [図:0001437644000009.jpg] 」 (【0051】 図1を参照する。図1は、本開示の実施例の応用可能なネットワーク構造図である。図1に示すように、ユーザ端末UE(User Equipment)11と、複数の測位基準機器12と、測位サーバ13が含まれる。ここで、ユーザ端末11は、携帯電話、車両ユーザ端末、タブレットパソコン(Tablet Personal Computer)、ラップトップ型パソコン(Laptop Computer)、PDA(personal digital assistant)、MID(Mobile Internet Device)又はウェアラブルデバイス(Wearable Device)などの端末側機器である。なお、本開示の実施例では、ユーザ端末11の具体的な種類を限定しない。測位基準機器12は、ネットワーク側機器であり、例えば基地局である。この基地局は、マクロ基地局、LTE eNB、5G NR NBなどである。又は、ネットワーク側機器は、スモール基地局であってもよく、例えば、LPN(low power node)pico、femtoなどである。又は、ネットワーク側機器は、AP(access point)であってもよい。基地局は、CU(central unit)及びその管理/制御下の複数のTRP(Transmission Reception Point)からなるネットワークノードであってもよい。又は、上記測位基準機器12は、ユーザ端末11以外の他のユーザ端末であり、例えば、ユーザ端末11及び他のユーザ端末が車両ユーザ端末であってもよく、これにより、本開示の実施例においてV2X(Vehicle to X)に応用する車両協調測位システムを実現することができる。また、V2X車両協調測位システムに応用される場合、複数の測位基準機器12のうちのいくつかは、ユーザ端末11以外の他のユーザ端末であってもよく、他のいくつかは、ネットワーク側機器であってもよく、もちろん、全ての測位基準機器12が、ユーザ端末11以外の他のユーザ端末又はネットワーク側機器であってもよく、これについて本開示の実施形態において限定しない。なお、本開示の実施形態において、測位基準機器12の具体的な種類は、限定されない。また、車両ユーザ端末は、車載通信機器であってもよいし、携帯電話機などの車内に設置されるユーザ端末などであってもよいし、これについて本開示の実施例において限定しない。また、上記測位サーバ13は、サーバ機器であってもよいし、無線通信システムを設置するネットワーク側機器(例えば基地局)であってもよい。もちろん、場合によっては、測位サーバ13は、ある測位基準機器12と同一の機器であってもよい。なお、本開示の実施例において、測位サーバ13の具体的な種類は、限定されない。 【0052】 本開示の実施例は、無線通信システムにおけるユーザ端末の測位に応用可能であり、例えば、図2に示すように、ユーザ端末が複数のセルのネットワーク側機器から送信されたPRS及びSPRSを測定して測位を実現する。また、例えば、図3に示すように、車両ユーザ端末は、セルのネットワーク側機器と他のユーザ端末から送信されたPRSとSPRSを測定して測位を実現する。) 「 [図:0001437644000010.jpg] 」 (イ) 12ページ11行~18行 「 [図:0001437644000011.jpg] 」 (【0059】 なお、本開示の実施例において、前記複数のPRS測定結果及び複数のSPRS測定結果に基づいて前記ユーザ端末の位置を特定する実施形態は、限定されない。上述した複数の測位基準機器から送信されたPRS及びSPRSの測定結果をユーザ端末が得た後、当業者であれば、ユーザ端末の位置を様々な数理的解法により求めることができるからである。例えば、LTE測位プロトコル(LPP又はLPPa)などの各種従来技術の測位アルゴリズムを用いて上記ユーザ端末の位置を特定することができる。選択可能に、ユーザ端末又は測位サーバは、PRS及びSPRSの測定結果に基づいて、複数の測位基準機器の送信アンテナの位置情報と併せてユーザ端末を測位し、より精度の高い位置情報を得ることもできる。) イ 周知技術1の認定 上記アに例示されるように、以下の事項は周知技術(以下「周知技術1」という。)である。 [周知技術1] 「携帯電話などの端末の位置特定において、測位処理を端末側とネットワーク機器側のどちらで行うかは選択可能であること。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点 (ア) 引用発明は「携帯電話機1aが他の携帯電話機1bとの距離およびその方角を得るために実行する距離・方角検出処理方法」の発明であるところ、「携帯電話機1a」と「他の携帯電話機1b」との「距離」と「方角」を検出することにより、「携帯電話機1a」に対する「他の携帯電話機1b」の位置を測定することができるから、これが「測位のための方法」に含まれることは明らかである。 (イ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点に関し、次の点において一致する。 「測位のための方法」の発明である点。 イ 構成C-3a、C-3bの観点 (ア) 引用発明における「携帯電話機1a」は、本願発明の「第1の端末」に相当する。また、引用発明における「携帯電話機1b」は、本願発明の「第2の端末」に相当する。 (イ) 引用発明においては、「携帯電話機1a、1bの位置検出部4は、所定時間毎にアンテナ5を介してGPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信し、現在の位置(緯度、経度、高度)を演算し」ていることを踏まえると、引用発明の「携帯電話機1a自体の位置データ(緯度、経度、高度)」は、本願発明の「第1の端末からの第3の測位信号」に相当する。同様に、引用発明の「携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)」は、本願発明の「第2の端末からの第4の測位信号」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成C-3a及びC-3bの観点に関し、次の点において共通する。 「第1の端末の位置情報は、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して取得され、第2の端末の位置情報は、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して取得され[る]」点。 ウ 構成D-1の観点 (ア) 引用発明の「基地局16a」は本願発明の「第1のネットワーク側装置」に相当し、引用発明の「基地局16b」は本願発明の「第2のネットワーク側装置」に相当する。 (イ) 前記イを踏まえると、引用発明において「携帯電話機1a、1bの制御回路2は、それぞれ位置検出部4で得た位置データ(緯度、経度、高度)を位置登録情報の送信とともに基地局16a、16bに送信[する]」ことは、本願発明において「前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信[する]」ことに相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成D-1の観点に関し、次の点において一致する。 「前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信[する]」点。 エ 構成D-3の観点 (ア) 引用発明において、「携帯電話機1b」から「基地局16b」に送信された「これら位置データは、制御局19によってデータベース20に格納され」て、「制御局19で、データベース20から携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)を取り出し、それをPDC通信網17、基地局16aを介して携帯電話機1aに送信」しており、「携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)」が、「携帯電話機1b」から「基地局16b」に送信され、「基地局16a」を介して「携帯電話機1a」に送信されている。 (イ) 同様に、引用発明において、「携帯電話機1aの位置データ(緯度、経度、高度)」は、「携帯電話機1a」から「基地局16a」に送信され、「基地局16b」を介して「携帯電話機1b」に送信されていることは自明である。 (ウ) そうすると、引用発明においては、一方の基地局が、対応する携帯電話機の位置データを他方の基地局に送信することになるから、本願発明と引用発明は、構成D-3の観点に関し、次の点において共通する。 「前記第1のネットワーク側装置が前記第1の端末の位置情報を前記第2のネットワーク側装置に送信し、前記第2のネットワーク側装置が前記第2の端末の位置情報を前記第1のネットワーク側装置に送信[する]」点。 オ 構成Bの観点 (ア) 引用発明において「携帯電話機1aの制御回路2は、携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)と、携帯電話機1a自体の位置データ(緯度、経度、高度)とを取得し、これら位置データを用いて相手と自分との距離を演算し、さらに相手が自分から見てどの方角にいるのかを演算により求める」ことは、「携帯電話機1a」が「携帯電話機1a」に対する「携帯電話機1b」の位置情報を決定することを意味するから、本願発明において「前記第1の端末が、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定する」ことに相当する。 (イ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点に関し、次の点において共通する。 「前記第1の端末が、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定するステップ」を備える点。 カ 構成D-4の観点 (ア) 前記オ(ア)を踏まえると、引用発明において「制御局19で、データベース20から携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)を取り出し、それをPDC通信網17、基地局16aを介して携帯電話機1aに送信[する]」ことは、本願発明において「前記第1のネットワーク側装置が取得された前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報に基づき、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報および前記第1のネットワーク側装置自体の位置情報を前記第1の端末に通知する」ことと、「前記第1のネットワーク側装置」が「前記第2の端末の位置情報を前記第1の端末に通知する」点で共通する。 (イ) そうすると、本願発明と引用発明は、構成D-4の観点に関し、次の点において共通する 「前記第1のネットワーク側装置」が「前記第2の端末の位置情報を前記第1の端末に通知する」点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。 ア 一致点 「測位のための方法であって、 前記第1の端末が、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定するステップを備え、 第1の端末の位置情報は、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して取得され、第2の端末の位置情報は、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して取得され、 前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第1の端末の位置情報を前記第2のネットワーク側装置に送信し、前記第2のネットワーク側装置が前記第2の端末の位置情報を前記第1のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第2の端末の位置情報を前記第1の端末に通知する 測位のための方法」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1(測位補助情報に係る相違点) a 本願発明においては、 <構成A、B、C-1> 「第1の端末」が、「ネットワーク側装置から」「測位補助情報を取得」し、「前記測位補助情報に基づき、第1の端末に対する第2の端末の位置情報を決定」しており、 <構成C-2> 「前記測位補助情報は、ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報およびネットワーク側装置自体の位置情報を含[む]」のに対し、 b 引用発明においては、「携帯電話機1a」は、「携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)」を取得するものの、「測位補助情報」に相当する情報を取得・利用していない点。 (イ) 相違点2(端末の位置情報に係る相違点) a 本願発明においては、 <構成C-3a、C-3b> 「端末の位置情報」が「端末からの測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され」る「ネットワーク側装置に対する端末の位置情報」であり、 <構成D-2> 「前記第1のネットワーク側装置が前記第3の測位信号に基づいて前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を決定し、前記第2のネットワーク側装置が前記第4の測位信号に基づいて前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し」、 <構成D-3> 「ネットワーク側装置」の間で送信される情報は「前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報」及び「前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報」であり、 <構成D-4> 「前記第1のネットワーク側装置」が 「取得された前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報に基づき、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し」、 「前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報および前記第1のネットワーク側装置自体の位置情報を前記第1の端末に通知する」のに対し、 b 引用発明においては、 「携帯電話機1a」、「携帯電話機1b」の「位置データ(緯度、経度、高度)」が、それぞれ「基地局16a」及び「基地局16b」に対するものではなく、 「基地局16a」及び「基地局16b」においては測位信号に基づいた位置情報の決定は行われておらず、 「基地局16a」と「基地局16b」の間では「携帯電話機の位置データ(緯度、経度、高度)」のデータが送信され、 「基地局16a」は「携帯電話機1a」に「携帯電話機1bの位置データ(緯度、経度、高度)」を送信する点。 6 判断 (1) 相違点1(測位補助情報に係る相違点)の検討 ア 「測位補助情報」の「取得」について (ア) 前記4(2)イで認定したように、次の技術事項が引用文献6に記載されている。 <引用文献6技術事項> 「各携帯端末の送信信号の遅延時間、到来方位情報から、携帯端末の基地局に対する相対位置を求め、その相対位置を示す相対位置情報を基地局の絶対位置情報と合わせてアプリケーションシステム及び送信装置106に送出し、各携帯端末に送信することにより、GPS方式を利用した位置標定システムに代わる位置標定を可能とする、携帯端末の位置を標定する位置標定方法。」 (イ) 前記引用文献6技術事項と本願発明を対比する。 a 引用文献6技術事項の「各携帯端末」は、本願発明の「第1の端末」及び「第2の端末」に相当する。 b 引用文献6技術事項の「基地局」は、本願発明の「ネットワーク側装置」に相当する。 c 引用文献6技術事項の「携帯端末の基地局に対する相対位置を示す相対位置情報」は、本願発明の「ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報」又は「ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報」に相当する。 d 引用文献6技術事項の「基地局の絶対位置情報」は、本願発明の「ネットワーク側装置自体の位置情報」に相当する。 (ウ) 引用文献6技術事項においては、「携帯端末の基地局に対する相対位置」を示す「相対位置情報」と「基地局の絶対位置情報」を「各携帯端末に送信」しているところ、前記(イ)の対比を踏まえると、引用文献6技術事項においても、構成C-2の「ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報およびネットワーク側装置自体の位置情報を含[む]」「測位補助情報」に相当する情報を、「携帯端末」が「基地局」から「取得」しているといえる。 (エ) そうすると、引用発明において、引用文献6技術事項を採用して、「各携帯電話機の基地局に対する相対位置情報、基地局の絶対位置情報を含む情報(「測位補助情報」)を携帯電話機1aが基地局16aから取得するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 「測位補助情報」に基づく「位置情報」の「決定」について 引用文献6技術事項は「GPS方式を利用した位置標定システムに代わる位置標定を可能とする、携帯端末の位置を標定する位置標定方法」であるところ、前記4(3)イにおいて周知技術1として認定したように、「携帯電話などの端末の位置特定において、測位処理を端末側とネットワーク機器側のどちらで行うかは選択可能であること」が周知であることを踏まえれば、引用発明において「携帯電話機1a、1bの位置検出部4」が「所定時間毎にアンテナ5を介してGPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信し、現在の位置(緯度、経度、高度)を演算[する]」ことに代えて、前記アにおいて説示したとおり引用文献6技術事項を採用し、各携帯電話機の基地局に対する相対位置情報、基地局の絶対位置情報を含む情報(「測位補助情報」)を携帯電話機1aが基地局16aから取得するように構成した際に、取得した情報(測位補助情報)に基づいて、携帯電話機1aに対する携帯電話機1bの位置情報を決定することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。 (2) 相違点2(端末の位置情報に係る相違点)の検討 ア 構成C-3a、C-3bについて (ア) 引用文献6技術事項においては、「各携帯端末の送信信号の遅延時間、到来方位情報から、携帯端末の基地局に対する相対位置を求め」ており、この「相対位置」に係る情報は、本願発明の「端末からの測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され」る「ネットワーク側装置に対する端末の位置情報」に相当するものである。 (イ) そうすると、引用発明において、引用文献6技術事項を採用した際に、携帯電話機からの送信信号の遅延時間、到来方位情報(測位信号)を介して基地局によって取得される携帯電話機の基地局に対する相対位置情報を各携帯電話機の位置情報とすることにより、構成C-3a、C-3bのごとく構成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。 イ 構成D-2について (ア) 引用発明においては、携帯電話機1a及び1bがそれぞれ基地局16a及び16bに対応していることを考慮すると、各携帯電話機の基地局に対する相対位置情報は、対応する基地局がそれぞれ決定するように構成するのが自然である。 (イ) そうすると、引用発明において、引用文献6技術事項を採用した際に、携帯電話機1aの基地局16aに対する相対位置情報は、基地局16aが携帯電話機1aからの送信信号の遅延時間、到来方位情報(測位信号)に基づいて決定し、携帯電話機1bの基地局16bに対する相対位置情報は、基地局16bが携帯電話機1bからの送信信号の遅延時間、到来方位情報(測位信号)に基づいて決定することにより、構成D-2のごとく構成することは、当業者にとって格別の困難性はない。 ウ 構成D-3について 引用発明において、引用文献6技術事項を採用した際に、各基地局が決定した相対位置情報を互いに送信する必要があるのは当然であり、基地局16a及び16bの間において、携帯電話機1aの基地局16aに対する相対位置情報と、携帯電話機1bの基地局16bに対する相対位置情報を互いに送信することにより、構成D-3のごとく構成することは、当業者にとって格別の困難性はない。 エ 構成D-4について 前記ウのように構成した場合、携帯電話機1bの基地局16bに対する相対位置情報は基地局16bから基地局16aに送信されることになるところ、上記「携帯電話機1b」の相対位置情報は最終的には「携帯電話機1a」に送信されることを踏まえると、後の処理を容易にするために、基準とする絶対位置情報を「携帯電話機1aの位置データ」の基準である「基地局16a」に揃える程度のことは、具体的な処理工程の選択に際して適宜決定されるべき設計事項の範囲内のものといえる。 したがって、引用発明において、引用文献6技術事項を採用した際に、構成D-4のごとく構成することは、当業者にとって格別の困難性はない。 (3) 総合評価 前記(1)~(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明並びに引用文献6技術事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明並びに引用文献6技術事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1) 請求人の主張内容 請求人は意見書において、おおよそ次のように主張している。 ア 主張1 本願発明における、 「前記ネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報が、前記第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得され、前記ネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報が、前記第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得されることは、 前記第1の端末が第3の測位信号を第1のネットワーク側装置に送信し、前記第2の端末が第4の測位信号を第2のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第3の測位信号に基づいて前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を決定し、前記第2のネットワーク側装置が前記第4の測位信号に基づいて前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、 前記第1のネットワーク側装置が前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報を前記第2のネットワーク側装置に送信し、前記第2のネットワーク側装置が前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を前記第1のネットワーク側装置に送信し、 前記第1のネットワーク側装置が取得された前記第2のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報に基づき、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報を決定し、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第1の端末の位置情報、前記第1のネットワーク側装置に対する前記第2の端末の位置情報および前記第1のネットワーク側装置自体の位置情報を前記第1の端末に通知することを含む」 という発明特定事項は、引用文献5ないし引用文献7に開示されておらず、示唆もされていない。 本願発明では、上記のような発明特定事項を有することにより、「複数の基地局に依存せず、第1の端末自体の位置情報および第2の端末の位置情報を取得し、V2Xシナリオに適した端末間の測位のための方法を提供する」ことができるという効果を奏する。(本願の明細書の段落[0065]を参照) イ 主張2 引用文献5の各位置データ(緯度、経度、高度)は、絶対位置情報であり、GPS衛星からの測位電波に基づいて得られたものである。 これに対して、本願発明の測位補助情報は、 -第1の端末からの第3の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得される、ネットワーク側装置に対する第1の端末の位置情報、 -第2の端末からの第4の測位信号を介して前記ネットワーク側装置によって取得される、ネットワーク側装置に対する第2の端末の位置情報、および、 -ネットワーク側装置自体の位置情報、 を含むものである。 ウ 主張3 引用文献6は、 「1つのセルラ基地局が、カバー可能なセル内の各携帯端末に対して、まず各携帯端末の送信信号を受信して、その信号に基づいて各携帯端末の基地局に対する相対位置を算出し、その相対位置を示す相対位置情報を基地局の絶対位置情報と合わせて、携帯端末に送信する」ことに関するものである。 これに対して、本願発明のUE1(第1の端末)とUE2(第2の端末)とは、同じサービング基地局に接続されていない。図12に示すように、UE1とUE2は、それぞれサーバと情報をやりとりし、eNB1はeNB1に対するUE1の相対位置を決定し、eNB2はeNB2に対するUE2の相対位置を決定する。 よって、引用文献6は、本願発明を開示も示唆もしていない。 (2) 請求人の主張についての検討 ア 主張1について 請求人の主張する前記発明特定事項に関しては、前記5及び6において対比検討したとおりである。 なお、請求人の主張する「複数の基地局に依存せず、・・・端末間の測位のための方法を提供する」という効果が、第1及び第2のネットワーク側装置を用いる本願発明の奏する効果でないことは明らかである。請求人の指摘する本願明細書の段落【0065】も、請求人が令和7年3月21日提出の回答書において本願発明に対応するものであると回答した実施形態4に関する記載(【0191】~【0198】)の範囲外のものである。 したがって、前記主張1を採用することはできない。 イ 主張2について 測位補助情報に関する相違点に関しては、前記6(1)において説示したとおりである。 したがって、前記主張2を採用することはできない。 ウ 主張3について (ア) 引用発明は、 「携帯電話機1a、1bの位置検出部4は、所定時間毎にアンテナ5を介してGPS衛星21a、21b、…からの測位電波を受信し、現在の位置(緯度、経度、高度)を演算し、 携帯電話機1a、1bの制御回路2は、それぞれ位置検出部4で得た位置データ(緯度、経度、高度)を位置登録情報の送信とともに基地局16a、16bに送信[する]」 ものである。 (イ) すなわち、引用発明は「携帯電話機1a」と「基地局16a」、及び「携帯電話機1b」と「基地局16b」という、個別の基地局を含む組合せのそれぞれにおいてGPS衛星を用いた位置検出が行われているものである。 (ウ) そうすると、引用発明のGPS衛星を用いた位置検出に替えて、引用文献6技術事項を採用する場合、前記個別の基地局を含む組合せごとに当該技術事項が適用されるのであって、基地局を共有するような構成とはならないことは当然である。 (エ) したがって、前記主張3を採用することはできない。 8 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-019631

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