商標取消審判
2022-300863
ピットイン
- 審判番号
- 2022-300863
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2008-081937
- 登録番号
- 5240591
- 請求日
- 2022年09月26日
- 審決日
- 2023年10月05日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ホールマン
- 【請求人代理人】弁理士法人樹之下知的財産事務所
- 【被請求人】スペイス・ムーブ 株式会社
- 【被請求人代理人】川浪 圭介
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T132 .1 -Z (X41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第7号、商標法第2条第3項第8号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5240591号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5240591号商標の指定役務中、第41類「インターネットを利用した画像の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5240591号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成20年10月8日に登録出願、第39類「車両の保管(一時保管を含む。),車両の保管情報の提供,寄託を受けた自動車の倉庫における保管,倉庫における保管の媒介又は取次ぎ,自動車・二輪自動車の貸与,自動車・二輪自動車の貸与に関する情報の提供,車両による利用運送,車両による利用運送に関する情報の提供」及び第41類「インターネットを利用した画像の提供,インターネットを利用した文字情報・画像情報を内容とする電子出版物の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供,電子出版物の提供,映画の上映・制作又は配給,写真の撮影」を指定役務として、同21年6月19日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和4年10月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年10月11日から令和4年10月10日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、審判請求書と共に甲第1号証及び甲第2号証を提出し、弁駁書と共に新たな甲第1号証(審決注:本審決においては弁駁書と共に出された新たな第1号証を「甲第3号証」と読み替える。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第41類「インターネットを利用した画像の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をした事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が提出した証拠について
ア 乙第5号証について
被請求人が(サイトの一部分だけを挙げて)主張する「2.「pit-in」の基本サービスは、「リース契約中車両の保管」、「車両&損傷の画像提供」(以下略)」の記載に先んじて、「「pit-in」にかかるサービス」の説明があり、そこには、「1.「pit-in」とはリース契約中車両のお預かりサービスです。」と明記されている。
すなわち、本件商標の使用対象となっている役務は、「車両のお預かりサービス」つまり「車両の保管サービス」(以下「使用役務」という。)であり、請求に係る指定役務は、使用役務の前提なしには独立して成立し得ない。
また、上記の乙第5号証には、本件商標の役務の提供を受けるための「3.依頼方法」として、「1保管依頼、2pit-inヤード所在地、3搬出依頼、4土日祝日、5保管搬出の依頼(以下略)(審判注1~5の数字は、丸付き数字である。以下、同じ。)」等の項目と、それぞれについての説明が記載されているが、そこには、請求に係る指定役務についての記載や示唆は一切ない。続いて記載された「4.日数」についても「17時に搬入、9時に搬出 どちらも1日カウントします」とあり、こちらについても使用役務に関する日数についての記載であると考えられる。
そうすると、被請求人のサイトにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていたとしても、これらの表示は、専ら使用役務に付随して提供されているにすぎないから、独立して商取引の目的たりうる商標法上の役務に対して、本件商標を使用したとはいえない。
イ 乙第6号証について
被請求人は、A社の担当者が、2022年(令和4年)3月28日に車両Aの保管を、同年9月9日に車両Bの保管を、それぞれ依頼するためにログインして確認した車両搬入の依頼日と車両搬出の予定日が記載された画面写し(乙6)において、本件商標と社会通念上同一の商標が使用役務について使用されていると主張する。
しかし、上記車両の搬入により、被請求人の使用役務の提供が開始され、上記車両の搬出によって、同サービスの提供が完了すると考えられるので、上記依頼日、搬出日は、形式的には要証期間内にあるものの、ここでの被請求人の行為も、使用役務についての商標の使用であって、請求に係る指定役務の使用には当たらない。
ウ 乙第7号証及び乙第8号証について
乙第7号証及び第8号証は、車両A及び車両Bの保管中に、被請求人が、保管された車両の画像をコメントと共に、A社の担当者に提供しているサイト画面の写しであり、A社の担当者名の下に「車両No」、「ヤード」、「車種」、「登録No」、「車台No」等の項目があり、A社が被請求人に保管依頼した車両が特定されたうえで、車両のコンディションが文字(「memo」欄)及び画像で示されているものであり、請求に係る指定役務が独立した商取引の目的として提供されているものではない。
エ 乙第9号証及び乙第10号証について
A社に宛てた上記車両Aと車両Bの請求書写し(乙9、乙10)であるが、上記の各請求書中、「請求内容」には「車両預かり料(2022年08月分)1台」「車両預かり料(2021年11月分)1台」と記載されているだけで、A社に宛てた請求書には、独立した役務としての請求に係る指定役務の記載がない。すなわち、被請求人は、使用役務の対価として、A社から対価を受領したものであって、請求に係る指定役務の対価を受領したのではない。
オ 結語
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務のいずれかについて、本件登録商標の使用をしていることを証明できていない。むしろ、上記請求に係る指定役務については、使用役務に付随するサービスとしてしか提供されておらず、商標法上の役務として提供されていないことが明らかである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 理由
商標権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務のうち、「インターネットを利用した画像の提供」、「インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供」に使用している(商標法第2条第3項第7号、同第8号)。
2 本件商標の使用事実について
(1)商標権者は、自社ホームページ内(乙1)において、本件登録商標と社会通念上同一の商標を使用しており、当該ホームページは、企業情報サイト写しに記載の商号及び所在地の表記から、商標権者が管理運営している事実が明らかである(乙2)。
(2)ユーザーメニューのログイン画面(乙3)よりログインした画面写しが乙第4号証である。ログインした者は、当該画面上のユーザーメニュー「車取便」「車取便+」「pit-in」の何れかのメニューを選択することができ、そのメニューの1つに本件商標と社会通念上同一の商標を使用した「pit-in」であることが明らかである。
(3)ユーザーメニューにおいて「pit-in」をクリックした「pit-in」サイト画面写し(乙5)には、「pit-in」の基本サービスは、「1リース契約中車両の保管、2車両&損傷の画像提供、3簡易なゴミ捨て(食べ物、ペットボトル、缶飲料等)を行います。クリーニング(車内清掃)は、有料サービスをお申込下さい。」と表記されている。なお、当該画面の右上の「2021.06」の表記は、商標権者が当該画面を微修正した日を証明するものである。
当該事実から、本件登録商標と社会通念上同一の商標「pit-in」のサービスには、「車両&損傷の画像提供」が含まれていることが明らかである。
(4)A社の担当者が、2022(令和4)年3月28日に車両Aの保管を依頼するために、同様に2022(令和4)9月9日に車両Bの保管を依頼するために、ログインし以下の内容を入力した画面写し(乙6)には、左上には本件商標と社会通念上同一の商標「Pit-in」並びに「pit-in」が表記されている。
(5)商標権者は、保管された車両など複数の画像をコメント(荷室搭乗物、外装に薄いキズがある旨)とともにA社の担当者に提供しており、その画面写し(乙7)には、保管された車両など複数の画像をコメント(荷室搭乗物なし)とともに、A社の担当者に提供しており(乙8)、左上には本件商標と社会通念上同一の商標が表記されている(乙7、乙8)。
(6)商標権者が、A社の担当者に宛てた車両の保管や画像提供に関する2022年9月2日付けの請求書写し(乙9)及び2021年12月2日付けの請求書写し(乙10)には、右中段に本件登録商標と社会通念上同一の商標が表記されている。商標権者は、A社に本件商標と社会通念上同一の商標を付した取引書類(請求書)を発行している事実が明らかであり、当該行為は、商品若しくは役務に関する「広告、価格表若しくは取引書類」に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するものである(商標法第2条第3項第8号)。
3 結語
以上のとおり、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国においてその請求に係る指定役務中「インターネットを利用した画像の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したため、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきではない。
第4 当審における審尋
当審において、令和5年6月21日付け審尋により、被請求人に対し、被請求人が商標法第50条第2項の規定する本件商標の使用している事実を証明したものとは認められない旨の暫定的見解を示し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する被請求人の回答
被請求人は、上記第4の審尋に対し、何ら回答をしていない。
第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人(商標権者)は、本件商標を、請求に係る指定役務のうち「インターネットを利用した画像の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供」について、要証期間に日本国内において使用している旨を主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第10号証を提出したところ、同人の主張、立証によれば、以下のとおりである。
(1)「pit-in」のサイト画面(乙5)の「1.pit-inとは」の項には、「リース契約中車両のお預かりサービスです。」との記載がある。
(2)同サイト画面の「2.基本サービス」の項には、「1リース契約中車両の保管、2車両&損傷の画像提供、3簡易なゴミ捨て(食べ物、ペットボトル、缶飲料等)を行います。クリーニング(車内清掃)は、有料サービスをお申込下さい。」との記載がある。
(3)同サイト画面の「3.依頼方法」の項には、「1保管依頼、2pit-in ヤード所在地、3搬出依頼、4土日祝日、5保管搬出の依頼」等の記載があり、また、「4.日数」の項には、「17時に搬入、9時に搬出 どちらも1日カウントします」と記載されている。
(4)車両及び車両の内装を写した画像(乙7、乙8)の「memo」欄には、「荷室搭載物:ドライブレコーダーの箱と書類、曲がったプラパーツ、プラスプーン」及び「・外装ウスギズ」と記載(乙7)され、また、続葉の同「memo」欄には、「荷室搭載物:なし」との記載(乙8)がある。
(5)被請求人が、A社担当者宛てに発行した「請求書」(乙9)の「請求内容」の項目には、「車両預かり料(2022年08月分)1台」の記載及び「請求金額」の項目には、「¥660-」(乙9)の記載があり、同「請求書」(乙10)の「記載内容」の項目には、「車両預かり料(2021年11月分)1台」及び「請求金額」の項目には、「¥660-」(乙10)と記載されている。
2 判断
上記1からすると、本件商標権者は、「pit-in」と称される主にリース契約中の車両を預かるサービスを提供(以下「商標権者サービス」という。)しており、その依頼方法において顧客は、「pit-inヤード」と呼ばれる車両の搬入先の保管場所や、車両搬出、搬入の時期を特定することにより、商標権者サービスの発注が可能になるものである。
また、商標権者サービスの「基本サービス」の中には、「車両&損傷の画像提供」(以下、単に「車両画像の提供」という。)が含まれており、顧客には、保管された車両画像と合わせて、車両に関するコメント(メモ)が提供されていると推認できる。
しかしながら、車両画像の提供について、顧客が使用役務とは別に、顧客の要望に合わせて、当該サービスが提供されている実情は見受けられず、また、独立してそのサービスの提供が受けられるなどの設定等も見受けられない。
さらに、上記1(5)の請求明細等から、車両画像の提供に係る、費用等の対価が発生し、独立して取引されていたとする事実もうかがえない。
そうすると、商標権者サービスのうち、車両画像の提供は、リース契約等の車両を保管するうえで、車両状態等を予め画像として残しておくための、一時的な便宜のために提供されるサービスといわなければならず、車両を保管するための付随的な役務であって、市場において、独立して商取引の対象となる役務とはいえないものである。
以上よりすれば、車両画像の提供は、他人の求めに応じて行う独立した役務ということはできず、商標権者が要証期間内に、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したと認めることはできない。
その他、乙各号証から、商標権者が、本件商標を請求に係る指定役務について使用しているとみるべき特段の事情は見当たらない。
3 まとめ
以上のとおり、商標権者である被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、第41類「インターネットを利用した画像の提供,インターネット又は移動体電話による通信を利用した画像の提供に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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