商標取消審判
2021-300997
アイピーストラテジ
- 審判番号
- 2021-300997
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2007-069649
- 登録番号
- 5140378
- 請求日
- 2021年12月14日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】正林 真之
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【請求人代理人】木村 一弘
- 【被請求人】アイピーストラテジ 株式会社
- 【被請求人代理人】田中 秀▲てつ▼
- 【被請求人代理人】森 哲也
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Z (X41)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5140378号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5140378号商標の指定役務中、第41類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5140378号商標(以下「本件商標」という。)は、「アイピーストラテジ」の文字を標準文字で表してなり、平成19年6月28日に登録出願、同20年6月13日に設定登録されたものであって、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影,通訳,翻訳」並びに第35類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定役務とするものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和3年12月28日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年12月28日から令和3年12月27日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和4年2月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年4月4日付け審判事件弁駁書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影,通訳,翻訳」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上、日本国内において商標権者(以下「本件商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件審判請求に係る指定役務と使用に係る役務の同一性について
乙第1号証は、アイピーストラテジ株式会社(以下「アイピーストラテジ社」という。)による複数の請求書の写しと思われるところ、その請求書には、件名として、米国特許出願やインド特許出願の出願番号、国際出願番号、発明の名称又は出願人などが記載され、その下部には、「特許事務料金」や「現地代理人費用」の単価、数量、金額が記載されている。
そのほか、納品書の写しと思われるものもあるが、やはり、出願国、出願番号、名称などが記載され、「その他外国事務所への指示書作成」や「現地代理人費用」の単価、数量、金額が記載されている(ただし、いずれも、金額等は黒くマスキングされている。)。
乙第1号証の記載によれば、これらは「外国における工業所有権に関する手続の仲介又は事務」や、「工業所有権に関する事務」に相当する役務についての請求書や納品書といえるものであって、その「外国における工業所有権に関する手続の仲介又は事務」や「工業所有権に関する事務」に相当する役務は第45類の役務とされているものであるから、本件審判請求に係る指定役務とは異なる役務といえる。
したがって、使用に係る役務は、本件審判請求に係る指定役務とは異なるものであるから、乙第1号証をもって、本件審判請求に係る指定役務について使用していたということはできない。
(2)本件商標と使用標章の同一性について
乙第1号証に、請求書や納品書の発行者として、また、請求額の費用の振込先の口座の名義として、「アイピーストラテジ株式会社」(以下「使用標章」という。)の記載があるとしても、本件商標「アイピーストラテジ」の記載は存在しない。
ところで、商標法第50条第2項の規定によって証明が求められるのは、登録商標と同一の商標の使用であって、登録商標と類似の商標では要件を満たさない。
そして、使用標章は、外観においては、「アイピーストラテジ株式会社」の文字を同書、同大、等間隔で1行に横書きしたものであり、外観上は「アイピーストラテジ」の文字部分のみを分離して表示した態様ということはできない。
また、観念においては、使用標章は、語尾に「株式会社」の文字を有していることから、「アイピーストラテジ株式会社」の文字の全体として、いずれかの法人の商号を表示するものとして認識されるといえるところ、本件商標の「アイピーストラテジ」の文字は、特定の意味合いを理解することができない一種の造語として認識されるものであって、法人の商号を表示するものとして認識されることはないから、観念上も、本件商標と使用標章は共通の意味合いを認識するということはできない。
仮に、「アイピー」を略語の「IP」、「ストラテジ」を「strategy」の片仮名表記と看取するような者がいたとしても、本件商標を法人の商号を表示するものと理解することはないから、本件商標と使用標章から共通の意味合いを認識することはない。)。
さらに、称呼においては、本件商標は、その構成文字に相応して「アイピーストラテジ」の称呼のみを生じるものであるが、使用標章は、仮に、要部観察によって、「アイピーストラテジ」の称呼も生じ得るとしても、そのほかに、その構成文字の全体に相応して「アイピーストラテジカブシキガイシャ」の称呼が当然に生じるものであるから、本件商標と使用標章とは、称呼上も、同一ということはできない。
そうすると、本件商標と使用標章とは、それぞれの外観、観念及び称呼を対比してみると、いずれにおいても同一ということはできないものであるから、乙第1号証をもって、本件商標と同一の商標を使用していたということはできない。
なお、使用標章のうち、「株式会社」の文字が法人の種類を表す文字であるとして、「アイピーストラテジ」の文字部分を要部抽出する観察方法は、商標が類似するか否かの観察方法であって、商標が同一であるか否かの観察方法ではないから、本件商標と使用商標が同一であるか否かの判断(社会通念上同一であるか否かを含む。)においては、当該観察方法は用いることはできないものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁書及び令和4年12月16日付け審尋に対する令和5年2月1日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
1 答弁の理由
商標権者は、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者が本件商標の使用をしている。
2 回答書による主張
(1)「使用をしている」について
「使用している」とは、外国に特許出願する場合の日本語による明細書の英訳等に本件商標を使用している。
(2)使用を把握できる記載
本件商標を上記(1)のように使用していることは、請求書の項目における「外国移行時英文翻訳手数料」や「翻訳 和英(英語1word当たり)」等の記載により把握できる。
(3)該当する指定役務
「翻訳」が該当する。
(4)該当する商標法第2条第3項各号
役務に関する請求書等取引書類に標章を付して頒布、またはこれらを内容する情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為は商標法第2条第3項第8号に該当する。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び同人が提出した乙第1号証によれば、以下のとおりである。
乙第1号証は、「東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー32階」在の「アイピーストラテジ株式会社」が、2021年5月7日、同年6月8日、同年10月1日、同月4日、同年11月2日、同月4日、同年12月1日、同月3日に「富士電機株式会社」あてに発行した請求書、同年12月2日、同月8日、同月9日、同月10日に「昭和電工株式会社」あてに発行した請求書、同年9月14日、同年12月10日に「古河電池株式会社」あてに発行した請求書、同年11月5日に「古河電気工業株式会社」あてに発行した納品書、同年9月30日に「株式会社エイチワン」あてに発行した請求書であり、「東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー32階」の住所は本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の住所と一致するため、当該請求書及び納品書は、本件商標権者が作成したものと確認できる。
そして、これらの請求書においては、「件名」等の項目に「米国特許出願」、「インド特許出願」、「国際出願」等の文字の記載があることから、当該請求書は、米国やインド等への特許出願や意匠出願をするための手続に相当するので、本件審判請求に係る指定役務には該当しないものであり、納品書においては、「件名」の項目に「翻訳文提出」と記載されているものの、当該納品書には、「出願国」の項目に「TW」の記載があるほか「出願番号」の記載、「現地代理人費用(実費)」等の記載があることから、件名の項目に「翻訳文提出」と記載されているとしても、台湾への特許出願のための手続に相当するので、これらが、被請求人が主張する「翻訳」の役務に対する費用の請求や、「翻訳」の役務の結果として納品する翻訳文であるとは認めることはできず、台湾等への特許出願等をするための手続に相当するので、本件審判請求に係る指定役務には該当しないものである。
また、当該請求書及び納品書における「アイピーストラテジ株式会社」の記載は、その発行者を記載しているにすぎず、当該請求書及び納品書において、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることは確認することができない。
そうすると、本件商標権者は、要証期間に「富士電機株式会社」、「昭和電工株式会社」、「古河電池株式会社」及び「株式会社エイチワン」あてに請求書を発行したこと、「古河電気工業株式会社」あてに台湾への特許出願のための翻訳文を納品したことは確認できるとしても、当該請求書及び納品書において、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることは確認できず、また、当該請求書が、本件審判請求に係る指定役務のいずれかの役務に対する費用の請求であることも確認できないことに加え、「古河電気工業株式会社」あてに台湾への特許出願のための翻訳文を納品したことも、「翻訳」の役務に該当するとは認められない。
よって、被請求人の主張及び同人が提出した乙第1号証によっては、被請求人は、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)を証明したということはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、本件要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影,通訳,翻訳」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-300997