商標取消審判
2016-300169
ベガス
- 審判番号
- 2016-300169
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2009-063034
- 登録番号
- 5334030
- 請求日
- 2016年03月09日
- 審決日
- 2022年02月03日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ダイハチ
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 【被請求人】株式会社 ベガスベガス
- 【被請求人代理人】押本 泰彦
- 【被請求人代理人】佐々木 實
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T132 .1 -Y (X41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第73条、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5334030号商標の商標登録取消審判事件についてされた令和2年6月26日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10091号、令和3年2月3日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5334030号商標(以下「本件商標」という。)、「ベガス」の片仮名を横書きしてなり、平成21年8月18日に登録出願、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、同22年7月2日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年3月23日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成25年3月23日ないし同28年3月22日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、「娯楽施設の提供」(以下「取消請求役務」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書、上申書及び回答書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、取消請求役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)審判事件弁駁書(平成28年6月10日付け)
乙第1号証は、本件商標が、商標として使用されているものではない。商標として使用されているとすれば「ベガスベガス」、図案化された「VEGAS/VEGAS」等である。「第17代 宮崎県知事東国原英夫氏 明日、ベガスに来店。」は、全体として来店することを説明したのみであり、商標的使用に該当するものではなく、商標の使用を証明する証拠としては不適切である。
被請求人は、本件商標は、被請求人の登録商標「ベガスベガス」を保護するために権利化を果たしたと主張している。このことは、本件商標は使用を前提としてではなく、被請求人の登録商標「ベガスベガス」を防衛するために登録したものであり、使用をする目的ではないと認めているようなものである。
以上のことから、被請求人が本件商標を使用していないことは明らかである。
(2)審判事件弁駁書(平成28年8月3日付け:以下「弁駁書(2)」という。)
被請求人は、本件商標が要証期間に日本国内において取消請求役務に使用された事実を証明していない。
ア 本件商標使用事実の不存在
(ア)商標法第2条第3項第8号の要件の不充足
商標法第2条第3項第8号における「付して」に該当しない。商標法第2条第3項第8号は、「商品若しくは役務に関する広告・・・に標章を付して・・・」と定義している。同号における「付して」に該当するためには、出所表示機能、出所識別機能を果たす態様で用いられていることが必要である。被請求人提出証拠中、本件商標「ベガス」が用いられた証拠は、チラシのみである。
チラシ(乙1、乙4、乙5、乙8、乙9、乙14、乙16、乙24、乙33、乙36、乙39、乙40~乙43、乙46、乙48、乙49、乙51)において用いられた態様は、いずれも需要者を含むチラシを見る者への注意喚起文、ゲスト来店説明、キャッチフレーズ、若しくは案内文等である。さらに、上記チラシにおいて記載された本件商標は、ほとんどが「ベガス」以外の他の文字列と同じ大きさ・同一書体・同一色である。
一方、上記チラシには、それぞれ、下部に他の文字等よりも大きく、かつ、はっきりと「ベガスベガスR(「R」は○で囲まれている。以下、この部分を「○R」という。)」、「VEGAS/VEGAS」と書かれている(以下「ベガスベガス○R」における「○R」は登録商標であることを示している。)。
以上を踏まえると、需要者を含むチラシを見る者は、チラシにおいて用いられた態様を注意喚起文、ゲスト来店説明、キャッチフレーズ、若しくは案内文等と認識するにとどまり、サービスの出所については、チラシ下部に付された「ベガスベガス○R」、「VEGAS/VEGAS」から想起すると考えられる。
よって、上記チラシにおいて記載された本件商標は、被請求人のサービスの出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられたものとは考えられないことから、商標法第2条第3項第8号における「付して」に該当しない。
したがって、被請求人が主張する行為が、商標法第2条第3項第8号に該当しないことは明らかであって、被請求人の主張はそれ自体失当である。
なお、被請求人は、「ベガスベガス」の略称表示、略称称呼、分断表記として「ベガス」を使用しているとも主張している。この被請求人の主張は、本件商標が、被請求人の登録商標「ベガスベガス」を保護するために、防衛的に出願して取得されたものであって、使用を前提としたものではないことを被請求人自身が認めていることを示している。実際、前述のとおり、被請求人が主張している「ベガス」の使用を示す上記証拠(チラシ)は、いずれも被請求人のサービスの出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられていない。さらに、チラシ下部に付された「ベガスベガス」については、登録商標を示す「○R」が語末に付されているが、「ベガス」部分には「○R」が付されていない。
以上を踏まえると、本件商標が、被請求人の登録商標「ベガスベガス」(登録商標第5334030号)(審決注:「登録商標第5310661号」の誤り。)を保護するために、防衛的に出願して取得されたものであって、使用を前提としたものではなく、要証期間においても、実際に使用されていないことは明らかである。
(イ)商標法第2条第3項第8号における「頒布」に該当しない
被請求人は、上記(ア)記載の証拠を要証期間に顧客誘引目的で配布していた、つまり、商標法第2条第3項第8号における「頒布」をしていたと主張している。また、被請求人は、配布枚数等を示す証拠として、乙第2号証及び乙第3号証を提出している。しかしながら、乙第2号証及び乙第3号証は、いずれも作成者とされている「株式会社東急リージェンシー」(審決注:「株式会社東急エージェンシー」の誤り。以下「東急エージェンシー社」という。)、「株式会社永井印刷」(以下「永井印刷社」という。)の署名捺印等がなく、信憑性に欠ける。
よって、上記(ア)記載のチラシ、さらに、その他チラシについて、要証期間に配布された事実、つまり、被請求人が商標法第2条第3項第8号における「頒布」をしていた事実を被請求人は全く証明していない。
したがって、被請求人が主張する行為が、商標法第2条第3項第8号に該当しないことは明らかであって、被請求人の主張はそれ自体失当である。
イ 被請求人提出の乙各号証について
以上のとおり、被請求人の主張する使用事実が立証されていないことは明らかであるが、念のため、上記ア(ア)記載のチラシ、それ以外の乙各号証についても以下検討する。
(ア)乙第3号証等について
乙第3号証、乙第50号証及び乙第53号証は、「風俗営業許可証」である。これらの証拠には、それぞれ「平成22年4月20日、平成13年7月24日、平成17年8月25日」と記載されているが、要証期間外である。また、「ベガス」のみの記載はない。よって、これらの証拠は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、これらの証拠から、被請求人は、「ベガスベガス大谷地店」、「ベガスベガス名取店」又は「ベガスベガス仙台南店」という名称で営業を行っていたかもしれないが、「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(イ)乙第6号証等について
乙第6号証、乙第18号証、乙第34号証、乙第37号証及び乙第44号証は、「パチンコ店等 営業許可証」である。これらの証拠には、それぞれ「平成22年4月19日、平成18年12月15日、平成13年11月14日、平成17年12月14日、平成17年11月4日」と記載されているが、要証期間外である。また、「ベガス」のみの記載はない。よって、これらの証拠は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、これらの証拠から、被請求人は、「パチンコスタジアムベガスベガス札幌店」、「ベガスベガス函館吉川店」、「ベガスベガス北山形店」、「ベガスベガス米沢店」又は「ベガスベガス酒田泉店」という名称で営業を行っていたかもしれないが、「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(ウ)乙第7号証について
乙第7号証は、施設外観写真とのことであるが、内容が不鮮明であるだけでなく、「ベガス」のみの記載もない。よって、乙第7号証は、使用証拠として不適切である。
(エ)乙第10号証等について
乙第10号証、乙第21号証、乙第25号証及び乙第30号証については、「パチンコ店等営業許可証」である。これらの証拠には、「ベガス」のみの記載はない。よって、これらの証拠は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、これらの証拠から、被請求人は、「ベガスベガス狸小路店」、「ベガスベガス発寒店」、「ベガスベガス苫小牧店」又は「ベガスベガス成沢店」という名称で営業を行っていたかもしれないが、「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(オ)乙第11号証について
乙第11号証は、施設外観写真とのことであるが、「ベガス」のみの記載はない。よって、当該証拠は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、当該証拠には、「パチンコ&スロット ベガスベガス」という名称のみが施設壁面に記載されていることから、被請求人が「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(カ)乙第12号証等について
乙第12号証、乙第13号証、乙第15号証、乙第17号証、乙第19号証、乙第20号証、乙第22号証、乙第23号証、乙第26号証ないし乙第28号証、乙第31号証、乙第32号証、乙第48号証、乙第49号証、乙第51号証、乙第52号証及び乙第54号証は、チラシとのことである。配布日として、「2014年2月10日、2014年4月20日、2014年4月21日、2014年4月25日、2014年6月2日、2014年6月5日、2014年6月6日、2014年7月27日、2014年9月22日、2014年11月9日、2015年1月5日、2015年1月15日、2015年1月31日、2015年2月5日、2015年3月25日、2015年4月3日、2015年7月6日、2015年11月11日」の日付けが記載されているが、これらの証拠は客観性がない。そのため、これらの証拠は、使用証拠として不適切である。なお、これらの証拠には、「ベガス」のみの記載はない。また、これらの証拠から、被請求人は、「ベガスベガス函館吉川店」、「ベガスベガス狸小路店」、「ベガスベガス発寒店」、「ベガスベガス苫小牧店」、「ベガスベガス成沢店」、「ベガスベガス北仙台店」、「ベガスベガス名取店」又は「ベガスベガス仙台南店」という名称で営業を行っており、「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(キ)乙第35号証等について
乙第35号証、乙第38号証及び乙第45号証は、施設外観写真とのことであるが、「ベガス」のみの記載はない。よって、乙第35号証、乙第38号証及び乙第45号証は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、これらには、「VEGAS/VEGAS」、「PACHINKO SLOT VEGAS/VEGAS」、「ようこそベガスベガス北山形店」という表示のみが施設壁面及び看板に記載されていることから、被請求人が「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
(ク)乙第47号証について
乙第47号証は、「ぱちんこ屋 営業許可証」である。乙第47号証には、「平成15年6月12日」と記載されているが、要証期間外である。また、「ベガス」のみの記載はない。よって、当該証拠は、そもそも使用証拠として不適切である。なお、当該証拠から、被請求人は、「パチンコスタジアム ベガスベガス北仙台店」という名称で営業を行っていたかもしれないが、「ベガス」という名称で営業を行っていないことは明らかである。
ウ 結論
以上のとおり、被請求人は、本件商標が日本国内において要証期間内に取消請求役務に使用された事実を証明していない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年1月5日付け)
(1)被請求人提出の口頭審理陳述要領書の(1)に対して
被請求人は、「ベガス」の使用について、「ベガス」を登録商標として権利化し、使用してきた事実を乙各号証で提出済みとしている。しかし、被請求人が使用している商標は弁駁書(2)でも主張しているように、「ベガスベガス」又は「VEGAS/VEGAS」であって、「ベガス」の使用ではない。
(2)被請求人提出の口頭審理陳述要領書の(2)に対して
被請求人は、提出した証拠に記載されたパチンコ店が、被請求人の店舗であることが把握できないとの疑義に答えるため、乙第21号証の札幌市「発寒店」と乙第25号証の苫小牧市「苫小牧店」について、被請求人の店舗であることの補填資料を提出している。そうであれば、他の店舗については、被請求人の店舗であることの証明を放棄したものである。そこで、上記「発寒店」と「苫小牧店」で使用されたチラシを再度検討する。
この中には、弁駁書(2)でも述べたように、本件商標を役務の出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられたものはない。まず、「発寒店」で使用されたチラシにおいては、「ベガス」の文字が使用されているのは、「ベガス発寒店ファンのお客様へ」との記載のみである。この使用は、案内文として使用されているのみであり、本件商標の商標法上認められた使用には該当しないものである。しかも、チラシの内容にも「日本一のワクワク、ドキドキアミューズメント企業をつくる。」の文字があるものの、本件商標の取消請求役務に使用されていることは証明されていないものである。
次に、「苫小牧店」で使用されたチラシにおいては、本件商標「ベガス」が使用されていない。使用されているのは、「ベガスベガス」又は「VEGAS/VEGAS」のみにすぎない。このような記載は弁駁書(2)でも述べたように、本件商標の使用とは考えられないものである。これらの点については、請求人が弁駁書で何回も主張している。それにもかかわらず、同じような証拠を繰り返し提出している被請求人の態度は疑問である。このように、本件商標の使用に関する明確な証拠を依然として提出できていないのは、本件商標を使用していないことを裏付けているものである。
4 上申書(平成29年2月1日付け)
平成29年1月31日付け上申書における被請求人主張は、被請求人の持論であって、本件商標の使用に関する主張ではない。現在までに請求人が主張した事項及び被請求人が証拠として提出した証拠内容から、被請求人が、本件商標を日本国内において要証期間内に取消請求役務に使用していないことは明らかである。
5 回答書(令和元年6月5日付け)
(1)平成30年11月26日付け審判事件答弁書(以下「答弁書(3)」という。)における乙第94号証(乙48)、乙第97号証(乙49)及びこれらの証拠に関する被請求人の主張について
被請求人は、これらの証拠における「ベガス北仙台店」、「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」の標章が本件商標と社会通念上同一の商標と主張した上で、当該記載がされた広告チラシの被請求人による頒布行為は、商標の使用に該当する旨主張する。
当該チラシには、「ベガス北仙台店パチンコ・スロット11機種導入」、「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」と記載されている部分があり、これら部分には「べガス」が使用されている。
また、これら各チラシの下部には、登録商標であることを示す「○R」の文字を付した「ベガスベガス○R」という文字が大きく付され、「VEGAS VEGAS」、「ベガスベガス北仙台店」という文字もあわせて記載されている。
一方、答弁書(3)において、「ベガス」を「ベガスベガス」又は「VEGAS VEGAS」の略称表示であると被請求人自身認める主張をしている。
前述した乙第94号証(乙48)及び乙第97号証(乙49)のチラシの構成は、乙第55号証(発寒店チラシ:以下「本件折込チラシ1」という。)の構成と、ほぼ同一である。
そうすると、乙第94号証(乙48)及び乙第97号証(乙49)のチラシが、「本件折込チラシ1」とは異なる別のチラシだとしても、前述のとおり、「構成」として、これらチラシは、「本件折込チラシ1」のそれと、ほぼ同一であるから、これらチラシとこれらチラシに関連する被請求人の主張について、出所識別機能を果たし得るとは認められないと認定判断されるべきであることは明らかである。
(2)答弁書(3)中、乙第100号証(乙39)、乙第103号証(乙40)、乙第106号証(乙41)、乙第107号証(乙42)、乙第110号証(乙43)及び乙第113号証(乙46)とこれらの証拠に関する被請求人の主張について
これらの証拠については、答弁書(3)において「役務の提供との関係で直接的な出所表示表記ではない」と被請求人が認めているとおりであり、これらの証拠が商標の使用の事実を証明するものではないことは明らかである。
(3)その他提出された証拠について
これまでに請求人が言及した以外の証拠については、上記(2)の頒布事実を立証する意図で提出された証拠と考えられるが、これまで述べたとおり、いずれのチラシも本件商標が使用された事実を証明するに足りるものではないことから、このようなチラシについて、その頒布事実が認められるとしても、本件商標の使用事実を証明したことにはならない。
(4)結論
以上のとおり、被請求人は、本件商標が日本国内において要証期間内に取消請求役務に使用された事実を証明していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第163号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)審判事件答弁書(平成28年5月25日付け:以下「答弁書」という。)
本件商標の商標権利者(株式会社ベガスベガス(以下「本件商標権者」という。))は、自社ホームページに掲載、公開するとおり、創業1964年(昭和39年)「霞城ホール」として山形市で個人開業以来、1981年(昭和56年)には株式会社大成商事に、そして2010年(平成22年)には、被請求人名義の株式会社ベガスベガスと改称して、パチンコ、スロットルを主とする娯楽施設の提供、及びそれに付帯する各種飲食物、その他の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供などを生業とし、北海道から関西まで日本全国、広い範囲に渡って営業展開を続ける企業へと成長を遂げ、過去52年間の実績の上、現在もその内容、エリアとも充実・拡張に向けて積極的な活動を継続中である。
そうした中、本件商標に深く係わりを有しており、かつ被請求人名義の由来でもある標章「ベガスベガス」は、平成9年以降の時点で、上記したとおりの企業展開をする娯楽施設内で、そのパチンコ店名としては勿論、それに付帯するレストラン、そば店、菓子店など娯楽施設以外の各種店舗の総合施設名などとしての使用を開始するようになり、これらとしての施設名が同業他社との間で無用の混乱を来さないようにとの配慮で、当該使用施設名としていた「ベガスベガス」を含み、実際に使用、表示していた多段列記標章各種について商標登録対策として出願、実施し、平成11年には、登録第4336190号商標、登録第4336191号商標、登録第4336192号商標、登録第4336193号商標、登録第4336194号商標、登録第4337819号商標の6件を商標登録とすることができ、それらの更新時である平成21年には、それらの法的整備・統合を図るために新たに申請し直しを図り、単一標章からなる登録第5310661号商標「ベガスベガス」や登録第5473816号商標「ベガスベガス」をはじめ、ロゴマークとして登録第5473817号商標「VEGAS/VEGAS」の外、それら登録商標にかかわる使用に際し、標章「ベガスベガス」を、単に標章「ベガス」と略称表示使用又は分断表示使用する事実が、過去において頻繁に生じてきていた経験を踏まえ、それらの保護についても事前対策を要していたことから、本件商標及び登録第5469033号商標「ベガス」を商標登録して権利化を果たしていたものである。
本件商標についての使用例の一事実として、乙第1号証(チラシ)を提出した。
(2)審判事件答弁書(平成28年6月30日付け:以下「答弁書(2)」という。)
本件商標権者が運営する遊戯施設は、本件商標権者名から法人記載部分を除いた「ベガスベガス」であると共に、「ベガス」とも略称表示、略称称呼したり、「ベガスベガス」を「ベガス☆ベガス」、「○×ベガス」や「ベガス○×」に、又は、「ベガス/ベガス」など、「ベガス」を分断表記したりして営業を続けている施設であり、乙各号証において示すとおり、本件商標を使用している。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年12月15日付け)
(1)提出済み乙各号証の証拠能力を補充、確定するための資料について
ア 本件商標権者は、昭和56年12月24日以来正式な法人格を有し、当該支店地として記載された地である本店山形市、及び支店鶴岡市、同札幌市、同東京都を拠点とし、遊技場の経営、その他の目的を遂行できる企業として登記している(乙59、乙60)。
イ 乙各号証として名を連ねているパチンコ店が、本件商標権者が経営する法人組織の一郭を占めている(乙61)。
ウ 札幌市発寒店(乙21:「パチンコ店等営業許可証で認可を受けている店舗」)は、本件商標権者の所有物である(乙62~乙64)。
エ 本件商標権者所有の札幌市遊戯施設パチンコ店「ベガスベガス発寒店」について、「ベガス発寒店」と銘打ったチラシのデザイン・印刷の発注、請負の事実があった(乙24、乙65~乙69)。
オ 本件商標権者と東急エージェンシーとの間において商取引をしていた事実がある(乙70、乙71)。
カ 東急エージェンシー社においてデザイン・印刷された本件商標権者所有の札幌市遊戯施設パチンコ店「ベガスベガス発寒店」の誘客手段の一つとして、「ベガス発寒店」と銘打ったチラシを平成27年(2015年)7月22日(水)に配布していた(乙72~乙74)。
キ 苫小牧市苫小牧店は、本件商標権者の所有物である(乙75、乙76)。
ク 本件商標権者所有の苫小牧市遊戯施設パチンコ店「ベガスベガス苫小牧店」について、「ベガス苫小牧店」と銘打ったチラシのデザイン・印刷の発注、請負の事実があった(乙26、乙56~乙58、乙77~乙81)。
ケ 本件商標権者と東急エージェンシー社との間において商取引をしていた事実がある(乙82、乙83)。
コ 東急エージェンシー社においてデザイン・印刷された本件商標権者所有の苫小牧市遊戯施設パチンコ店「ベガスベガス苫小牧店」の誘客手段の一つとして、「ベガス苫小牧店」と銘打ったチラシを平成27年(2015年)7月22日(水)(審決注:1月5日(月)の誤記と思われる。)に配布していた(乙84~乙89)。
(2)審理事項通知書に記載のある被請求人側への指摘に対する応答
上記により、既に提出済みとなっている使用事実立証資料の中、少なくとも、乙第21号証で対象の札幌市発寒店と、乙第25号証で対象の苫小牧市苫小牧店とについて、把握されないとされていた事項を、新たに提出した証拠によって明白にしている。
(3)弁駁書及び弁駁書(2)において請求人が主張する事項に対する意見
ア 弁駁書(2)において、既に提出済みの多くにパチンコ店の誘客手段の一つである本件商標権者で発注の折込チラシ内に「ベガスベガス」以外に「ベガス」表記があることを認めている。
イ 弁駁書(2)に、「・・・、要証期間においても、実際に使用されていない・・・」に対しては、何をもってしてそのような主張になるのか理解できない。平成27年6月24日法律第45号で改正された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年7月10日法律第122号)(乙90)の第5条に「許可の手続及び許可証」、同第9条に「構造及び設備の変更等」、同第10条に「許可証の返納等」、などについての定めはあるものの、「許可証の更新等」については規定を見いだすことができない。
(4)むすび
以上、本件商標について、その使用事実を明らかにするために必要となる全ての物証を提出、補填し得たものと確信する。
3 上申書(平成29年1月31日付け)
(1)請求人は、「ベガス」表記の使用は、「ベガスベガス」の使用とは認められない旨の主張をする。しかし、例えば、乙第26号証ないし乙第28号証や乙第56号証ないし乙第58号証などに表記する「ベガス」について、「ベガスベガス」の愛称、略称使用であることなどは明らかである。
(2)請求人は、札幌市の「発寒店」と苫小牧市の「苫小牧店」とについて、被請求人の店舗であることの補填資料を提出しているが、他の店舗については、被請求人の店舗であることの証明を放棄したものであるとする趣旨の主張をしている。
しかしながら、商標法第50条第2項は、「・・・商標権者、・・・のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、・・・」と規定するだけである。
また、「発寒店」及び「苫小牧店」では「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の使用であって、「ベガス」は使用されていないと繰り返し主張するが、請求人は、単に被請求人側の証拠に難癖を付けているにすぎず、昭和50年の商標法の改正により、それまでの請求人側での不使用事実の立証を改める挙証責任が転換され、使用事実は、被請求人側で立証しなければならなくなったが、不使用取消審判の乱発、乱用を予防するため、請求人側には、登録権者側における不使用事実について相応の確証を得た上での行為でなければならないという義務を負わせているにもかかわらず、これらの行為は明らかにその義務に反する行為であり、請求人は、本件審判事件の請求人適格を欠いているとしなければならない。
4 答弁書(3)(平成30年11月26日付け)
(1)本件折込チラシ1の登録商標の使用に関する問題点
ア 「ベガス発寒店ファンのお客様へ」は、登録商標「ベガス」の登録商標の使用に該当しない。
イ チラシに複数の商標を付する行為は一般的であり、多用された標章「ベガスベガス」又は「VEGAS VEGAS」のみが識別標識機能を果たしているとするのは社会的常識に欠ける。現に、平成27年1月5日の苫小牧店チラシ(乙57、乙58:以下「本件折込チラシ2」という。)では「ベガス水族館」及び「ベガス/フクロウカフェ」が独立した商標として使用されており、「ベガス」が商標ではないというのは誤りである。
ウ 商品及び役務の取引社会においては、文字(標章)をその役務について使用するものを「商標」というのであり、「略称」、「愛称」表示であるから商標ではないとされるものではなく、本件商標は、片仮名3文字で構成された識別力を有する商標に該当する。
また、商標登録表示の「○R」は、商標法第73条にいう正式な「商標登録表示」ではなく、欧米で使用される商標登録表示を使用しているにすぎない。
商標法第73条は「・・・その商標が登録商標である旨の表示を付するように努めなければならない。」と規定しているものであり、「○R」を付していなければ登録商標と主張してはいけないというものではない。
本件折込チラシ1で「ベガスベガス」(登録第5310661号)に関して右下に「○R」の表記がみられるが、第41類の商標「VEGAS VEGAS」(登録第5473817号)に関しては商標登録表示の「○R」は付しておらず、かつ、当該商標は「ベガス発寒店ファンのお客様へ」と同様に一つのみの標章の使用である。
また、「略称」、「愛称」表示は、商標に該当しないとされているが、例えば「家庭用テレビゲームおもちゃ」の商標として「PlayStation 2」(登録第4336803号)等が商標登録されているが、「PLAYSTATION」の略称である「PS」との結合でそれぞれの機種の略称として「PS2」(登録第4707935号)等が識別力を有する商標として登録されている。
このように、一般取引者・需要者間において、略称であっても商品又は役務に関係するものに付されれば、商標として認識されている。かかる事実に鑑みれば、本件商標も登録商標として自他商品・役務の識別標識として機能しているとみるべきである。商標登録された商標「ベガス」が、他の登録商標の存在で識別機能がなくなるとすれば、商標を保護して競業秩序の維持を図ることを目的とした商標法の趣旨に反することになる。
(2)既に提出した証拠の使用事実の立証
商標「ベガス○×△店」が付されたチラシの印刷の時期及び頒布の時期並びに頒布数について証明する。
ア 乙第94号証(乙48)では、東急エージェンシー社が平成26年6月6日にチラシの内容を証明し、同月30日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙95)が東急エージェンシー社から被請求人宛に発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙96)が永井印刷社から発行されているように、乙第94号証(乙48)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,000枚頒布していたことから、被請求人が商標「ベガス北仙台店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。`
乙第94号証(乙48)のチラシ裏面では、標章は「ベガス北仙台店」及び「ベガスベガス北仙台店」がそれぞれ一つずつチラシに付されている。
標章「ベガス」に関しては「ベガス北仙台店/パチンコ・スロット・11機種導入」というようにパチンコ店の識別標識として使用している。
イ 乙第97号証(乙49)では、東急エージェンシー社が平成26年7月27日にチラシの内容を証明し、同月31日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙98)が東急エージェンシ-社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙99)から永井印刷社から発行されているように、乙第97号証(乙49)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約34,300枚頒布していたことから、被請求人が商標「ベガス北仙台店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
乙第97号証(乙49)のチラシ裏面で、標章は「ベガス北仙台店」、「ベガスベガス○R」及び「VEGAS VEGAS」がそれぞれ一つずつチラシに付されている。
標章「ベガス」に関しては、「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」というように、「ベガス発寒店ファンのお客様へ」という商標の態様とは異なり、娯楽施設の提供に関する識別標識として使用されている。
ウ 乙第100号証(乙39)では、東急エージェンシー社が平成26年6月5日にチラシの内容を証明し、同月30日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙101)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙102)が永井印刷社から発行されているように、乙第100号証(乙39)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,650枚頒布していたことから、被請求人が商標「ベガス米沢店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
エ 乙第103号証(乙40)では、東急エージェンシー社が平成26年7月12日にチラシの内容を証明し、同月31日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙104)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙105)が永井印刷社から発行されているように、乙第100号証(乙40)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,650枚頒布していたことから、商標「ベガス米沢店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
オ 乙第106号証(乙41)では、東急エージェンシー社が平成26年8月1日にチラシの内容を証明し、同月31日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙108)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙109)が永井印刷社から発行されているように、乙第106号証(乙41)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,650枚を同年8月1日に頒布していたことから、商標「ベガス米沢店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
カ 乙第107号証(乙42)では、東急エージェンシー社が平成26年8月22日にチラシの内容を証明し、同月31日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙108)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙109)が永井印刷社から発行されているように、乙第107号証(乙42)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,650枚を同年8月22日に頒布していたことから、商標「ベガス米沢店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
キ 乙第110号証(乙43)では、東急エージェンシー社が平成26年9月7日にチラシの内容を証明し、同月30日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙111)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙112)が永井印刷社から発行されているように、乙第110号証(乙43)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として山新折込センターを介して約29,650枚頒布していたことから、商標「ベガス米沢店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
ク 乙第113号証(乙46)では、東急エージェンシー社が平成26年9月23日にチラシの内容を証明し、同月30日に「チラシの広告宣伝費の請求書」(乙114)が東急エージェンシー社から発行され、同日に「チラシの印刷及び頒布の請求書」(乙115)が永井印刷社から発行されているように、乙第113号証(乙46)のチラシは、娯楽施設の提供に関する広告として、株式会社山形ISを介して約37,950枚頒布していたことから、商標「ベガス酒田泉店」を要証期間内に使用していたことが明らかである。
ケ 以上のように、乙第100号証(乙39)、乙第103号証(乙40)、乙第106号証(乙41)、乙第107号証(乙42)、乙第110号証(乙43)及び乙第113号証(乙46)では、役務の提供との関係で直接的な出所表示表記ではないが、「ベガス米沢店“来店取材”」及び「ベガス酒田泉店“来店取材”」という標章が、多数のチラシにおいて普通に使用されており、このチラシを見た一般需要者・取引者において、標章「ベガス米沢店」及び「ベガス酒田泉店」がパチンコ店の出所識別標識として認識されていたことが明らかである。
かかる事実から、乙第94号証及び乙第97号証におけるチラシにおける「ベガス北仙台店」及び「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」の標章は、娯楽施設の提供に係る役務についての本件商標と社会通念上同一の商標の使用(広告チラシの頒布)に該当するものである。
(3)まとめ
以上述べたように、本件商標権者である株式会社ベガスベガスが、本件不使用取消審判の要証期間内に、日本国内で指定役務である「娯楽施設の提供」に関して本件商標と社会通念上同一と認められる片仮名商標「ベガス」を使用(チラシの頒布)していたことが明らかである。
5 上申書(令和元年11月25日)
請求人の主張は、「乙第55号証及び乙第57号証に基づく折込チラシ1及びチラシ2の使用は、登録商標の使用に該当しない」という主張に首尾一貫しており、乙第48号証及び乙第49号証の使用証拠に関しては何ら言及していない。
(1)今回被請求人の主張する証拠(乙94(乙48))のチラシは、裏面に商標「ベガス北仙台店」が付されている。そして、当該チラシの裏面に「娯楽施設の提供」という役務の関係を示す記載及び図が描かれている。同様に乙第97号証のチラシの表面に商標「ベガス北仙台店」が付され、さらに当該チラシに「娯楽施設の提供」という役務の関係を示す記載及び図が描かれている。
これは、「ベガス発寒店ファンのお客様へ」というような休業を告知する内容ではなく、「娯楽施設の提供」という役務を表示する面における商標「ベガス北仙台店」(乙94、乙97)の使用例であり、明らかに当該文字部分が出所識別機能を果たしている。
次に、商標が付された同一面に「娯楽施設の提供」という役務の関係を示す記載及び図が描かれているか否について検討すると、乙第94号証(乙48)及び乙第97号証(乙49)のチラシでは、商標が付された同一面に「娯楽施設の提供」という役務の関係を示す記載及び図が描かれているが、乙第55号証の本件折込チラシ1の商標が付された表面に「娯楽施設の提供」という役務の関係を示す記載及び図が描かれていない。
乙第94号証(乙48)のチラシの「ベガス北仙台店/パチンコ・スロット/11機種導入」、乙第97号証(乙49)のチラシの「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」では、同じ頁内に「娯楽施設の提供」の範躊に含まれる「パチンコ・スロットマシンの提供」に係るチラシとして機能している点及び商標「ベガス北仙台店」が、注意喚起的なものではなく、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する」識別標識として使用されていることを立証するものである。
(2)乙第100号証(乙39)、乙第103号証(乙40)、乙第106号証(乙41)、乙第107号証(乙42)、乙第110号証(乙43)及び乙第113号証(乙46)では、役務の提供との関係で直接的な出所表示表記ではないが、「ベガス米沢店“来店取材”」及び「ベガス酒田泉店“来店取材”」という標章が、多数のチラシにおいて普通に使用されており、このチラシを見た一般需要者・取引者は、標章「ベガス米沢店」及び「ベガス酒田泉店」がパチンコ店の出所識別標識として認識されていたことを示すものといえる。
(3)乙第55号証の本件折込チラシ1と乙第94号証及び乙第97号証のチラシにおける「ベガス北仙台店」及び「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」の標章は、「娯楽施設の提供」に係る役務についての登録商標の使用であることが立証され、かつ、乙第55号証の「ベガス発寒店ファンのお客様へ」の使用例とは異なり、本件商標と社会通念上同一の商標法第2条第3項第8号の商標の使用(広告チラシの頒布)に該当するものである。
(4)まとめ
以上述べたように、答弁書(3)とともに提出された証拠は、乙第55号証とは使用する商標が異なると共に、役務との関係を明確に示しながら役務の出所標識として使用されているものである。
第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)乙第94号証及び乙第97号証の折込チラシの配布について
被請求人の主張及びその提出に係る証拠(乙94~乙99)によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者は、遊技場の経営等を目的とする株式会社である。
イ 本件商標権者は、平成26年6月頃、東急エージェンシー及び永井印刷社に発注して、別掲1の乙第94号証(以下「本件折込チラシ3」という。)を制作及び印刷し、同月6日、仙台市内において、山新折込センターを介して、本件折込チラシ3を「河北新報」に折り込んで2万9000枚配布した。
また、本件商標権者は、同年7月頃、東急エージェンシー及び永井印刷に発注して、別掲2の乙第97号証(以下「本件折込チラシ4」という。)を制作及び印刷させ、同月27日、本件折込チラシ4を「河北新報」に折り込んで3万4300枚配布した。
(2)本件折込チラシ3について
ア 本件折込チラシ3は、両面印刷の1枚のチラシである。本件折込チラシ3の表面には、別掲1のとおり、上部において、「ベガスベガス北仙台店」との見出しが付され、中央部において、大きな文字で「本日6日FRI金午前11時開店予定」と記載され、その下には、「開店時間が通常と異なりますので お間違えの無いよう、ご案内申し上げます。」、「新台情報は裏面をチェック!」と記載され、下部において、赤色を背景とする白抜き文字で「ベガスベガス○R」の文字が大きく記載され、さらに、その下には、「VEGAS VEGAS」、「北仙台店」、その住所等の記載があり、その右側には、「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」が記載されている。
次に、本件折込チラシ3の裏面には、別掲1のとおり、上部において、「ベガスベガス北仙台店」及び「新台入替しました」との2段書きの金色の大きな文字の見出しが付され、その左下側において、外側の線が太く、内側の線が細い二重の円の中に、3段書きで上から順に「ベガス北仙台店」の黒色の文字、「パチンコ・スロット」の赤色の文字及び「11機種導入」の赤色の文字が記載され、さらに、中央部から下部において、パチンコ台及びスロットマシンの図形が、3段にわたり、1段目は3台、2段目及び3段目は各4台掲載されている。
イ(ア)前記ア認定のとおり、本件折込チラシ3の裏面に記載された二重の円の中には、3段書きで上から順に「ベガス北仙台店」の黒色の文字、「パチンコ・スロット」の赤色の文字及び「11機種導入」の赤色の文字が記載されている。二重の円の記載部分における最上段の「ベガス北仙台店」の文字は、色彩が異なる2段目及び3段目の各文字と分離して観察することができ、「ベガス」の片仮名の文字部分と「北仙台店」の漢字の文字部分からなる独立した標章として認識できる。
そして、二重の円の記載部分全体から、「ベガス北仙台店」の標章は、「パチンコ・スロット」が「11機種導入」された店舗の名称を表示する標章であり、「ベガス北仙台店」において「パチンコ・スロット」の遊技機が設置され、その遊技機を提供する役務が受けられることを理解できることからすると、本件折込チラシ3は、「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に係るチラシであって、本件折込チラシ3に記載された「ベガス北仙台店」の標章は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様で使用されているものと認められる。
次に、「ベガス北仙台店」の標章の構成中、「ベガス」の文字部分は、それ自体が「ラスベガス」を想起させる造語であるものと認められ、また、本件折込チラシ3の表面及び裏面に「ベガスベガス北仙台店」の文字が表示されていることからすると、本件折込チラシ3に接した需要者は、「ベガス」の文字部分は、「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものと認識すると認められる。
一方で、「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「北仙台店」の文字部分は、「北仙台」の地域にある店舗の意味合いを有し、単に、上記役務の提供の場所を表示するものと認識され、役務の出所識別標識としての機能があるものとはいえないことからすると、「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「ベガス」の文字部分は、その文字部分のみから役務の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから、要部に相当するものである。
そこで、「ベガス北仙台店」の標章中の「ベガス」の文字部分と「ベガス」の片仮名を横書きに書してなる本件商標とを対比すると、両者は、字体の違いはあるが、構成する文字が同一であり、「ベガス」という同一の称呼が生じること、「ラスベガス」を想起させる点において観念が共通することからすると、「ベガス北仙台店」の標章は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(イ)以上によれば、本件商標権者が平成26年6月6日に山新折込センターを介して「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ3を「河北新報」に折り込んで2万9000枚配布した行為は、「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告としてのチラシに本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した行為(商標法第2条第3項第8号)であると認められるから、本件商標の「使用」に該当するものと認められる。
(3)本件折込チラシ4について
ア 本件折込チラシ4は、片面印刷の1枚のチラシである。本件折込チラシ4には、上部右側において、「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」との横書きの赤色の見出しが付され、その下に、パチンコ台・スロットマシンの図形が、4段にわたり、各段5台ずつ掲載され、上部左側において、「元B」、「Cさんが」及び「北仙台店に来店」との縦書きの3段の文字が記載され、下部において、大きな赤色の文字で「7月27日SUN[日]朝8時オープン」と記載され、その下側において、赤色を背景とする白抜き文字で「ベガスベガス○R」の文字が大きく記載され、その右側には、「VEGAS VEGAS」、「北仙台店」の文字が、さらに、その右側には、「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」が記載され、その下側には、住所等が記載されている。
イ(ア)本件折込チラシ4に記載された「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」との横書きの赤色の見出し部分においては、別掲2のとおり、「ベガス北仙台店」の文字と「今月の新台ラインナップ」の文字との間に間隔があり、「ベガス北仙台店」の文字を分離して観察することができ、これを「ベガス」の片仮名の文字部分と「北仙台店」の漢字の文字部分からなる独立した標章として認識できる。
そして、「ベガス北仙台店 今月の新台ラインナップ」との横書きの記載部分及びその記載部分の下にパチンコ台・スロットマシンの図形が、4段にわたり、各段5台ずつ掲載されていることから、「ベガス北仙台店」の標章は、パチンコ台・スロットマシンの「新台」が設置された店舗の名称を表示する標章であり、「ベガス北仙台店」において「パチンコ・スロット」の遊技機が設置され、その遊技機を提供する役務が受けられることを理解できることからすると、本件折込チラシ4は、「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に係るチラシであって、本件折込チラシ4に記載された「ベガス北仙台店」の標章は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様で使用されているものと認められる。
次に、「ベガス北仙台店」の標章の構成中、「ベガス」の文字部分は、それ自体が「ラスベガス」を想起させる造語であるものと認められ、また、本件折込チラシ4の下側において、「ベガスベガス○R」の文字が大きく記載され、その右側には、「VEGAS VEGAS」、「北仙台店」の文字が、さらに、その右側には、「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」が記載されていることからすると、本件折込チラシ4に接した需要者は、「ベガス」の文字部分は、「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものと認識すると認められる。
一方で、前記(2)イ(ア)と同様の理由により、「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「ベガス」の文字部分は、その文字部分のみから役務の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから、要部に相当するものであり、「ベガス北仙台店」の標章は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(イ)以上によれば、本件商標権者が平成26年7月27日に山新折込センターを介して「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ4を「河北新報」に折り込んで3万4300枚配布した行為は、「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告としてのチラシに本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した行為(商標法第2条第3項第8号)であると認められるから、本件商標の「使用」に該当するものと認められる。
(4)請求人の主張について
請求人は、本件折込チラシ3及び4は、登録商標であることを示す「○R」を付した「ベガスベガス」の大きな文字や、「VEGAS VEGAS」、「ベガスベガス北仙台店」の大きな文字を、これらの文字と比して小さな「ベガス北仙台店」の文字に近接させた構成であり、「ベガス」の文字が単独で使用されていないことを考慮すると、本件折込チラシ3及び4に接する需要者は、「ベガス北仙台店」に含まれる「ベガス」の文字は、「ベガスベガス」又は「VEGAS VEGAS」の店舗名称を一部省略した略称等を表示したものにすぎないと理解するのが自然であることからすれば、本件折込チラシ3及び4において、「ベガス北仙台店」の文字又はこれに含まれる「ベガス」の文字は、分離独立して観察することはできないので、役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないとして、本件商標権者による「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ3及び4を配布した行為は、本件商標の「使用」に該当しない旨主張する。
しかしながら、本件折込チラシ3の裏面の二重の円の中に記載された「ベガス北仙台店」の文字を本件折込チラシ3の他の記載部分から分離して観察することができるかどうかは、その文字の大きさ、間隔、配置、色彩等の態様に照らして外形的に把握すべき事柄であることからすると、「ベガス北仙台店」は「ベガスベガス北仙台店」の略称であることや、「ベガス北仙台店」の文字に含まれる「ベガス」の文字は、「ベガスベガス」の略称として理解されることは、前記(2)イ(ア)認定のとおり、「ベガス北仙台店」の文字を本件折込チラシ3の他の記載部分から分離して観察することができることを否定すべき理由になるものとは認められない。本件折込チラシ4の「ベガス北仙台店」の文字についても、前記(3)イ(ア)認定のとおり、これと同様である。
また、一つの広告に特定のブランド名の商標とそのブランド名の略称の商標が記載されることは、取引上普通に行われており(乙122~乙124)、そのいずれもが同一の事業者の出所識別標識として認識され得ることは、特段不自然ではないから、本件折込チラシ3に「ベガスベガス北仙台店」の標章の記載があり、これが出所識別標識としての機能を果たし得ることは、「ベガスベガス北仙台店」又は「ベガスベガス」の略称としての「ベガス北仙台店」の標章又はこれに含まれる「ベガス」の文字部分が出所識別標識としての機能を果たし得ることを打ち消し、又は否定すべき理由になるものとは認められない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(5)小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間である平成26年6月6日及び同年7月27日に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」の範ちゅうに含まれる「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしたと認めることができる。
この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して・・・頒布し、・・・する行為」に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判の請求に係る指定役務に含まれる「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の請求に係る指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-300169