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特許拒絶査定不服審判

2022-019729

生体情報センサーの誤差補正装置及び方法、ならびに生体情報推定装置及び方法

審判番号
2022-019729
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-155762外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年12月06日
審決日
2023年10月02日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .113-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-155762「生体情報センサーの誤差補正装置及び方法、ならびに生体情報推定装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月16日出願公開、特開2019- 72467〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年(平成30年)8月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年10月17日 韓国)を国際出願日とする出願であって、令和4年1月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月3日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)され、これに対し、同年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和4年12月6日提出の手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年12月6日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「 【請求項13】
ユーザからセンサー情報を収集するセンサー部と、
前記センサー情報に基づいて生体情報を推定し、ユーザの飲食情報に基づいて代謝情報を抽出し、抽出された前記代謝情報を用いて、推定された前記生体情報を補正し、補正結果を提供する処理部と、を含み、
前記代謝情報は、経時的な生体情報の変化量、生体情報の信頼区間、及び前記変化量が特定の変化段階に該当する確率のうちの少なくとも1つを含み、
前記処理部は、人体内の臓器間における生体情報と関連した物質の移動による生理学的代謝モデル、及びユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベースのうちの少なくとも1つを用いて、前記代謝情報を抽出する、生体情報推定装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和4年4月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおりである。

「 【請求項13】
ユーザからセンサー情報を収集するセンサー部と、
前記センサー情報に基づいて生体情報を推定し、ユーザの飲食情報に基づいて代謝情報を抽出し、抽出された前記代謝情報を用いて、推定された前記生体情報を補正し、補正結果を提供する処理部と、を含み、
前記代謝情報は、経時的な生体情報の変化量、生体情報の信頼区間、及び前記変化量が特定の変化段階に該当する確率のうちの少なくとも1つを含み、
前記処理部は、生理学的代謝モデル及び生体情報データベースのうちの少なくとも1つを用いて、前記代謝情報を抽出する、生体情報推定装置。」

2 本件補正のうち、本件補正前の請求項13に記載された発明を特定するために必要な事項である「生理学的代謝モデル」、「生体情報データベース」は、それぞれ「人体内の臓器間における生体情報と関連した物質の移動による」という限定事項、「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む」という限定事項を付加するものであって、補正前の請求項13に記載された発明と補正後の請求項13に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含む。

そこで、本件補正後の請求項13に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献等

ア 引用文献1

(ア)引用文献1に記載された事項

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開平11-56822号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様)。

(引1ア)

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、非侵襲あるいは低侵襲で生体内の血糖値を測定する血糖測定装置に関する。
・・・
【0003】
【発明が解決しようとする課題】非侵襲または低侵襲の血糖測定装置の実用化が遅れている原因として、糖尿病患者の血糖濃度制御という、生体における血糖値の測定意義を考えると、装置に必要とされる測定精度が、これまでに発明されている装置では十分にあがらないためと考えられる。この測定精度の問題のために、これまでに発明されている装置では実用化が進んでいないと言える。
【0004】例えば、光を用いた非侵襲的測定では、生化学的な血中グルコース量を測定せずに、光透過量からグルコース値を推定しているのみである。このため、外乱光や生体状態の変動などの影響から、計算の結果いかんでは負の血糖値をとることもあり、生体内のグルコース量としてあり得ないような数値が出現することになる。また、低侵襲的に血糖を測定する場合でも、体液の量が少ないことや、糖濃度が低いなどのために、測定誤差が大きくなることが考えられる。
【0005】この発明は、測定誤差が大きいという上記問題点に着目し、より測定精度の向上した非侵襲あるいは低侵襲の血糖測定装置を提供することを目的としている。」

(引1イ)

「【0008】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態非侵襲血糖測定装置の構成を示すブロック図である。この実施形態血糖測定装置は、スペクトル測定部1と、血糖推定部2と、情報入力装置3と、血糖情報保存メモリ4と、血糖値情報計算部5と、血糖検討部6と、血糖値表示・出力部7と、出力血糖値保存メモリ8とから構成されている。図2は、この血糖測定装置の外観図である。
【0009】この血糖測定装置は、スペクトル測定部1で、生体のスペクトルを測定し、このスペクトルを用いて血糖推定部2で血糖値の推定を行う。一方、情報入力装置3のキー入力部31、音声入力部32、別装置からの情報転送送部33などから血糖推定のための情報が入力され、血糖情報保存メモリ4に記憶される。この血糖情報保存メモリ4に保存された情報を用いて血糖値情報計算部5では、各種の情報をもとに生理学的な血糖変化を推定して、現在の血糖値の取り得る範囲と分布を計算する。このようにして計算された血糖値の取り得る範囲と分布をもとに、血糖検討部6では、血糖推定部2で求まった推定血糖値の妥当性を評価する。この結果、血糖推定値が妥当であれば、そのままの値を血糖値表示・出力部7によって出力する。推定された血糖値が妥当でない場合には、再測定を促したり、出力値を補正したりすることになる。このようにして最終的に推定された血糖値は、血糖値表示・出力部7を用いて出力される。最後に出力された血糖値は、出力血糖値保存メモリ8に保存される。
【0010】スペクトル測定部1での生体スペクトル測定、血糖推定2におけるスペクトルを用いた血糖値の推定については、特開平3-173535号公報、特開平5-176917号公報等に、詳細に記載されており、すでに一般によく知られているので、詳細な説明はここでは省略する。情報入力装置3のキー入力部31、音声入力部32は、一般によく知られたものが使用される。情報転送部33は、他の装置から自動的に情報の転送を受けて入力する。これには、次の2種がある。1つは、図3に示すように、別の観血式血糖計から本体11への入力である。観血式の血糖計12で測定した血糖値と測定時間を有線式、無線式、または赤外線通信13などの方式によって、本装置11に取込むことができる。観血式の血糖計12には送信機を、本装置11には受信機を内蔵しており、観血式の血糖計12を本装置11に載せると、情報が伝送される。もう1つは、図4に示すように、食事時間や運動情報の入力である。簡易運動モニタ14では、運動の状態や量、さらには体動の状態からモニタ装着者の生活状態がある程度推測できる。このため、患者にモニタ14を装着した上で、食事の時間や量、運動時間や運動量などの情報を予めモニタ14に記憶しておき、この情報を本装置11上に転送することで、情報を自動的に入力させることができる。情報の転送手段としては、上記の有線式、無線式、赤外線通信式13などの既知の方法が考えられる。簡易運動モニタ14としては、例えば、歩数計式のカロリメータが使用される。カロリメータ14を本装置11に近づけてボタンを押すと、本装置11に情報が伝送される。
続きを表示(全20行)
【0011】情報入力装置3から入力された各種の情報は、図5、図6、図7のような形で、メモリ4上に保存される。時系列として入力される情報は、図5のように、時間とともに保存される。この情報は、24時間が経過した時点で古い情報から順に削除されていく。運動時刻や食事時刻は、終了の時刻である。また、患者の糖尿病状態は変化しないので、図6のように保存される。さらに、図5のメモリ内容と現在の時間を合わせて、図7のような情報を構築する。この情報は、例えば血糖測定、運動、インシュリン投与、食事等につき、直近の時間より、時刻と量を配列する。これは、次の血糖値情報計算処理を行いやすくするためである。また、図5のデータは、量を入れずに有無情報のみの簡易版であってもよい。
【0012】次に、血糖値情報計算部5における情報計算処理について説明する。生体の血糖値の変動は、食事量、インシュリン投与量、運動量、糖尿病の病態などに依存し、その変化は生理学的に規定される。このため、血糖値計測のための情報として、前回の観血式血糖値とその測定時間、食事量とその食事時間、インシュリン投与量とその投与時間、運動量とその運動時間、糖尿病の病態が考えられる。これらの情報と現在の時間から、前回の血糖情報をもとに、血糖の上昇可能性と下降可能性を統計的に類推することが可能である。
【0013】以下、血糖値情報計算処理の具体例を、図8のフローチャートをもとに説明する。先ず、各種の情報を入力させる(ST1)。入力された情報は図5、図6、図7に示すような形で情報保存メモリ4に保存されている。前回の血糖測定時間から24時間以上血糖値の測定がなかった場合は、血糖情報から現在の血糖値分布を推定することが困難なため、分布の推定を行わない(ST3)。t分経過した時に、食事、運動、インシュリンの投与などがなかった場合には、一般的に生体の恒常性のために、ほぼ同程度の血糖値となることが推測される。実際には中心値が前回の血糖値として分散がf(t)となるような分布を取ることが予想される(図9参照)。
【0014】前回の血糖測定時間から24時間を経過していない場合は、測定前で一番近い血糖値を仮のμとし、血糖測定後の時間をもとに分散(σ)を決定する(ST4)。一方、運動による血糖値減少効果とインシュリンによる血糖値減少効果は、それぞれ前回測定血糖値からの中心値の減少と分散の増加に寄与する(図10参照)。したがって、上記分散(σ)の決定後、前回血糖測定から現時点までに運動をしているか判定し(ST5)、運動していればμ=μ-運動量×係数の計算を行う(ST6)が、運動していなければ何もせず、次に移る。
【0015】さらに、食事時間と経過時間は血糖上昇につながる変化を推測することに利用されるが、この時に患者の糖尿病の病態が血糖変化に大きく作用する(図11、図14参照)。これらの変化を合算して、現時点での血糖推定値の分布が求められる。運動の有無の判定、及び処理に続いて、前回血糖測定から現時点までにインシュリンを注射しているか否かを判定する(ST7)。インシュリン注射をしていれば、
μ=μ-インシュリン注射量(単位)×係数
の計算を行い(ST8)、次のST9に移る。インシュリンの注射をしていなければ何もせず、次のST9に移る。ST9では、前回血糖測定から現時点までに食事をしているか否かを判定する。食事をしていれば、
μ=μ+食事量×時間係数
の計算を行い(ST10)、次のST11に移る。この時の時間係数は、糖尿病の程度により異なる。図14に示すように、食事後に血糖値が上昇する場合、及び食事前の状態に戻る時間が、糖尿病の程度が重いほど大となるためである。食事をしていなければ、ST9の判定NOで、ST11に移り、血糖情報から計算された分布情報(μ、σ)を出力する。
【0016】最後に、血糖値の補正処理、再測定指示を行う処理について、具体例をフローチャート(図12)を用いて説明する。先ず、血糖測定のための情報から計算された現時点の推定血糖値分布と、実際に光を用いた計測により推定された血糖値を入力し(ST21)、比較する(ST22)。図13に示すように、計測した血糖値(x)が、情報から推測した分布の分散に対して、1.5σ以内に入った場合は、この値が信用できる値として出力する。つまり、図12において、ST22で、μ-2.5σ<x<μ+2.5σか?の判定がYES、ST23で、μ-1.5σ<x<μ+1.5σか?の判定もYESの場合であり、計測した血糖値(x)を出力する(ST26)。
【0017】計測した血糖値(x)が2.5σ以内に入った場合は、中心値(μ)と分散値(σ)を用いて、中心値に近くなるように補正を行う。つまり、ST22の判定がYESで、ST23の判定がNOの場合である。この場合は、さらにST24で、μ-2.5σ<x<μ-1.5σか?の判定を行い、YESの場合は(x+μ-1.5σ)/2を出力する(ST27)。これは図13に示す補正(1)に相当する。ST24での判定がNOの場合は、μ+1.5σ<x<μ+2.5σであることを意味し、(x+μ+1.5σ)/2を出力する(ST28)。これは図13に示す補正(2)に相当する。
【0018】さらに2.5σ以上離れた場合は、この値が信用できないとして、再測定を指示する(ST25)。他にも推測された血糖値を補正する式として|x-μ|<2.5σの時に、
【0019】
【数1】
[図:0001407374000001.jpg]
【0020】のようなものも考えられる。このようにして、生体の変化から理解できる程度の変化に血糖値を補正することにより、大きな血糖のはずれ値が出現することがなくなり、血糖の測定精度が向上する。図15は、運動後、インシュリンを投与し、その後、食事をした場合の血糖値の変化例であり、インシュリンの効果による血糖値減少と、食事の効果による血糖値増加が複合して、血糖値変化に現れている。」

(引1ウ)

「【0021】
【発明の効果】この発明によれば、血糖計測に関連する情報と、この入力情報に基づいて算出血糖値を補正し、及びもしくは再測定を促すものであるから、装置が測定(推定)した血糖値を生理学的な血糖値変化と比較することができる。このため、生理学的な変化から類推してあり得ない数値が出現した場合に、それらの情報を用いて出力する血糖値を補正したり、再測定を促すことができる。この結果、これらの情報を用いない場合と比較して、装置の血糖値測定精度を向上させることができる。」

(引1エ)

「【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態血糖測定装置の構成を示すブロック図である。
・・・
【図5】同実施形態血糖測定装置の血糖情報保存メモリに保存される時間情報例を示す図である。
続きを表示(全14行)
【図6】同実施形態血糖測定装置の血糖情報保存メモリに保存される患者情報例を示す図である。
【図7】同実施形態血糖測定装置の血糖情報保存メモリに保存される推定情報例を示す図である。
【図8】同実施形態血糖測定装置の血糖情報計算処理を説明するフローチャートである。
【図9】血糖値の時間推移を示す図である。
【図10】インシュリン投与又は運動後の血糖値の時間推移を示す図である。
【図11】食事後の血糖値の時間推移を示す図である。
【図12】上記実施形態血糖測定装置の血糖値検討の処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】血糖値補正処理を説明するための血糖値-分布確率を示す図である。
【図14】糖尿病状態による血糖値変化の差を示す図である。
【図15】運動・食事・インシュリン投与が複合したときの血糖変化を示す図である。」

(引1オ)図1

「
[図:0001407374000002.jpg]
」

(引1カ)図5

「
[図:0001407374000003.jpg]
」

(引1キ)図6

「
[図:0001407374000004.jpg]
」

(引1ク)図7

「
[図:0001407374000005.jpg]
」

(引1ケ)図8

「
[図:0001407374000006.jpg]
」

(引1コ)図9

「
[図:0001407374000007.jpg]
」

(引1サ)図10

「
[図:0001407374000008.jpg]
」

(引1シ)図11

「
[図:0001407374000009.jpg]
」

(引1ス)図12

「
[図:0001407374000010.jpg]
」

(引1セ)図13

「
[図:0001407374000011.jpg]
」

(引1ソ)図14

「
[図:0001407374000012.jpg]
」

(引1タ)図15

「
[図:0001407374000013.jpg]
」

(イ)引用文献1に記載された発明

a (引1イ)の【0016】には「最後に、血糖値の補正処理、再測定指示を行う処理について、具体例をフローチャート(図12)を用いて説明する。先ず、血糖測定のための情報から計算された現時点の推定血糖値分布と、実際に光を用いた計測により推定された血糖値を入力し(ST21)、比較する(ST22)。図13に示すように、計測した血糖値(x)が、情報から推測した分布の分散に対して、1.5σ以内に入った場合は、この値が信用できる値として出力する。」と記載され、また、(引1ス)の図12のフローチャート中のST21には「推定した血糖値(x)・現時点の推定血糖値分布(μ、σ)入力」と記載されていることから、【0016】に記載の「計測した血糖値(x)」が、その前文に位置する「実際に光を用いた計測により推定された血糖値」であることは明らかである。

b また、(引1イ)の【0009】に記載された「生理学的な血糖変化」について、(引1イ)の【0015】には「食事時間と経過時間は血糖上昇につながる変化を推測することに利用され、この時に患者の糖尿病の病態が血糖変化に大きく作用する(図11、図14参照)。」と記載され、「食事後の血糖値の時間推移を示す図」(引1エ)である(引1シ)の図11には、血糖値の時系列変化を表した波形が図示されていることから、【0009】に記載された「生理学的な血糖変化」は、血糖値の時系列変化を表した波形で示されるものと認められる。

c そして、(引1イ)の【0015】には「さらに、食事時間と経過時間は血糖上昇につながる変化を推測することに利用されるが、この時に患者の糖尿病の病態が血糖変化に大きく作用する(図11、図14参照)。・・・食事をしていれば、

μ=μ+食事量×時間係数

の計算を行い(ST10)、次のST11に移る。この時の時間係数は、糖尿病の程度により異なる。図14に示すように、食事後に血糖値が上昇する場合、及び食事前の状態に戻る時間が、糖尿病の程度が重いほど大となるためである。」と記載され、ここでの糖尿病の病態(糖尿病の程度)による血糖変化は、(引1ソ)の図14によれば、正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通りあることが見て取れる。

d よって、前記a~cを含む前記(ア)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠となる引用文献1の記載箇所を示す。

「スペクトル測定部1と、血糖推定部2と、情報入力装置3と、血糖情報保存メモリ4と、血糖値情報計算部5と、血糖検討部6と、血糖値表示・出力部7とから構成され、(【0008】)
スペクトル測定部1で、患者の生体スペクトルを測定し、このスペクトルを用いて血糖推定部2で血糖値(x)の推定を行い、情報入力装置3から血糖推定のための情報が入力され、血糖情報保存メモリ4に記憶され、この血糖情報保存メモリ4に保存された情報を用いて血糖値情報計算部5では、各種の情報をもとに血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化を推定して、現在の血糖値の取り得る範囲と分布を計算し、このようにして計算された血糖値の取り得る範囲と分布をもとに、血糖検討部6では、推定された血糖値(x)を補正したり、再測定を促したりし、このようにして最終的に推定された血糖値は、血糖値表示・出力部7を用いて出力される、(【0009】、b)
非侵襲血糖測定装置であって、(【0008】)
血糖値情報計算部5における情報計算処理について、生体の血糖値の変動は、食事量、糖尿病の病態などに依存し、その変化は生理学的に規定され、このため、血糖値計測のための情報として、前回の観血式血糖値とその測定時間、食事量とその食事時間、糖尿病の病態が考えられ、これらの情報と現在の時間から、前回の血糖情報をもとに、血糖の上昇可能性と下降可能性を統計的に類推することが可能であり、(【0012】)
続きを表示(全11行)
先ず、観血式の血糖計で測定した血糖値、食事の時間や量、患者の糖尿病状態などの各種の情報を入力し、入力された情報は情報保存メモリ4に保存され、測定前で一番近い血糖値を仮のμとし、血糖測定後の時間をもとに分散(σ)を決定し、(【0010】、【0011】、【0013】、【0014】)
さらに、食事時間と経過時間は血糖上昇につながる変化を推測することに利用され、この時に患者の糖尿病の病態が血糖変化に大きく作用し(図11、図14参照)、これらの変化を合算して、現時点での血糖推定値の分布が求められ、前回血糖測定から現時点までに食事をしていれば、
μ=μ+食事量×時間係数
の計算を行い、この時の時間係数は、糖尿病の程度により異なり、血糖情報から計算された分布情報(μ、σ)を出力し、(【0015】)
糖尿病の病態(糖尿病の程度)による血糖変化は、正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通りあり、(c)
血糖値の補正処理、再測定指示を行う処理について、実際に光を用いた計測により推定された血糖値(x)が、血糖測定のための情報から計算された現時点の推定血糖値分布の分散に対して、2.5σ以内に入った場合は、中心値(μ)と分散値(σ)を用いて、中心値に近くなるように補正を行い、2.5σ以上離れた場合は、この値が信用できないとして、再測定を指示する、(【0016】、【0017】、【0018】、a)
非侵襲血糖測定装置。(【0008】)」

イ 引用文献2

(ア)引用文献2に記載された事項

また、本願の優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開2012-24476号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、引用文献2は、本件補正により引用する必要性が生じた文献である。

(引2ア)

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、血糖値の変化はユーザーの体質や病状等に応じて異なるため、ユーザーに応じた血糖値の予測を行う必要がある。
本発明は、ユーザーに応じた血糖値の予測を行い、血糖値の予測精度を向上させる技術を提供する。」

(引2イ)

「【0011】
本実施形態に係る血糖値予測装置は、ユーザーの手首等に装着可能に構成されており、ユーザーの血糖値を予測し、予測した血糖値(以下、予測血糖値と言う)の変化を時系列に表す予測曲線を出力するものである。以下、本実施形態に係る血糖値予測装置の詳細について説明する。
【0012】
(全体構成)
続きを表示(全16行)
図1は、実施形態に係る血糖値予測装置10において血糖値の予測を行うための構成を示す図である。
・・・
【0015】
記憶部140は、不揮発性の記憶媒体で構成され、ユーザーの過去の血糖値に関する情報を含むユーザー情報200や、食事メニュー情報211及び運動種別情報212等のテーブルを記憶している。ここで、食事メニュー情報211、運動種別情報212、ユーザー情報200について順に説明する。
・・・
【0016】
次に、ユーザー情報200について説明する。ユーザー情報200には、図3(a)に示す血糖値情報200aと、図3(b)に示す行動情報200bとが含まれている。
血糖値情報200aには、例えば、ユーザーが過去に糖尿病に関する教育入院を行ったとき等の、教育入院期間において測定された毎日の血糖値と行動履歴(食事と運動)とが記憶されている。
図3(a)には、その一例として、2010年2月1日と2月2日のユーザーの血糖値情報200aを示している。この図の波形41は、ユーザーの血糖値の時系列変化を表している。また、時間軸における「朝食」、「散歩」「昼食」・・・等は、ユーザーが摂った食事や運動のタイミング等の行動履歴を示している。
図3(b)は、図3(a)の各行動履歴に対応する行動情報200bを示しており、各行動履歴に対応する行動内容(食事内容、運動内容)と、行動内容に対応するカロリー(摂取カロリー、消費カロリー)とが対応づけられている。
例えば、図3(a)の2010年2月1日の朝食の食事内容は「和食A」であり、和食Aの摂取カロリーは「500kcal」であったことを示している。また、図3(a)の2010年2月1日の午前に行った「散歩」の消費カロリーは「50kcal」であったことを示している。
このように、本実施形態では、ユーザー情報200において、ユーザーの過去の血糖値の変化と合わせてユーザーの行動に対する摂取カロリーと消費カロリーが記憶されている。」

(引2ウ)

「【0018】
(制御部110の機能構成)
図4は、上述した制御部110の機能を中心とする機能構成図である。制御部110は、摂取エネルギー取得部111、消費エネルギー取得部112、算出部113、解析部114、及び生成部115を含む。
摂取エネルギー取得部111は、ユーザーが入力した血糖値データと、摂取エネルギー情報としてユーザーが入力した食事情報を操作部130から取得し、取得した食事情報と食事メニュー情報211に基づいて、食事情報に対する摂取カロリーを求める。
続きを表示(全28行)
消費エネルギー取得部112は、ユーザーの消費エネルギー情報として消費カロリーを活動量測定部120から一定時間毎に取得する。算出部113は、摂取エネルギー取得部111で求めた摂取カロリーと予め定められた第1の予測アルゴリズムに基づいて、摂取カロリーに対する血糖値の変化を予測した予測曲線(以下、第1予測曲線と称する)を求める。また、算出部113は、消費エネルギー取得部112で取得された消費カロリーと予め定められた第2の予測アルゴリズムに基づいて、消費カロリーに対する血糖値の変化を予測した予測曲線(以下、第2予測曲線と称する)を求める。
【0019】
ここで、第1予測曲線と第2予測曲線の算出について説明する。図5(a)は、本実施形態における第1予測曲線の一例を示す図である。第1予測曲線は、摂取カロリーと第1の予測アルゴリズムとに基づいて求められる。第1予測曲線は、遅延期間d1、上昇期間d2、平衡期間d3、および下降期間d4を有する。以下、各期間における血糖値曲線を求める第1の予測アルゴリズムの一例を説明する。
【0020】
遅延期間d1は、食事を開始してから、食事開始時における血糖値(基準値)C0を超えるまでの期間を示している。遅延期間d1には、食事の開始時点から予め定められた時間(例えば、15分)が設定されおり、食事開始時の血糖値C0を維持する。なお、食事開始時の血糖値C0は、当該時刻においてユーザーが測定した血糖値を用いるが、測定できなかった場合には、例えば、予め設定されたユーザーの血糖値の標準値等を用いるようにしてもよい。
【0021】
上昇期間d2は、遅延期間d1の終期から始まり、血糖値が上昇を開始して血糖値がピークとなる値(ピーク値)に到達するまでの期間を示している。ピーク値は、傾きS1で血糖値が上昇し、食事開始時の血糖値C0に血糖値の上昇量h11を合算した値である。
血糖値の上昇量h11は、例えば、h11=(摂取カロリー)×(インスリン分泌量)×(係数α)で求められる。本実施形態では、インスリン分泌量と係数α(>0)は、ユーザーに応じて予め設定された固定値である。なお、インスリン分泌量及び係数は、予め設定された固定値だけなく、ユーザーの属性(年齢、性別、身長、体重)に応じて定められた値や可変値であってもよい。
【0022】
平衡期間d3は、上昇期間d2の終期から血糖値のピーク値を維持する期間であり、本実施形態では、予め定義された固定値が設定されている。なお、例えば、摂取カロリーとユーザーに固有の係数とを乗算した値を、前回の摂取カロリーとの差に応じた係数で除算する等、摂取カロリーと予め定められた演算式とを用いて平衡期間d3を求めるようにしてもよい。
【0023】
下降期間d4は、平衡期間d3の終期から血糖値が傾きS2で下降を開始して基準値に到達するまでの期間を示している。つまり、下降期間d4は、血糖値がピーク値から基準値(食事開始時の血糖値C0)に戻るまでの期間である。
傾きS2は、例えば、S2=(摂取カロリー)×(係数β)で求められる。本実施形態では、係数βは、ユーザーに応じて予め定められた固定値(<0)であるが、ユーザーの属性(年齢、性別、身長、体重)に応じて予め定められた値や可変値であってもよい。
・・・
【0027】
図4に戻り、説明を続ける。解析部114は、摂取エネルギー情報として操作部130から入力された食事情報と対応するユーザー情報200を抽出する抽出条件を用いてユーザー情報200を抽出し、抽出したユーザー情報200を用いて当該食事情報に対するユーザーの血糖値の変化傾向を解析する。
【0028】
具体的には、例えば、入力された食事情報が和食Aの場合、和食Aを摂取したときの血糖値の変化を表す波形として、和食Aを摂取した時点から次の行動(食事又は運動)が行われるまでの期間の波形データが抽出される。図3(a)に示す血糖値情報200aの例では、2010年2月1日の朝食を摂取した時点から次の行動、つまりウォーキングが行われるまでの期間の波形データが抽出される。なお、ウォーキングが行われなければ、朝食を摂取した時点から昼食を摂取するまでの期間の波形データが抽出される。このようにして、同じ食事内容を摂取したときの血糖値の変化を表す波形を第1モデル波形として抽出する。なお、複数の波形が抽出された場合には、解析部114は、抽出した複数の波形を平均化する等の処理を行い、当該食事情報に対する血糖値の変化傾向を示す第1モデル波形を生成する。
・・・
【0031】
生成部115は、算出部113において算出された第1予測曲線及び第2予測曲線を、解析部114の解析結果に基づいて変形し、変形した第1予測曲線と第2予測曲線を統合して予測血糖値曲線を生成する。
具体的には、生成部115は、第1予測曲線の上昇期間d2における血糖値のピーク値までの上昇量h11と、第1モデル波形のピーク値までの上昇量とを比較し、上昇量の差分が予め定めた閾値以上である場合には、第1予測曲線の上昇量h11が第1モデル波形の上昇量となるように係数αを調整する。また、生成部115は、第1予測曲線の平衡期間d3と、第1モデル波形において血糖値のピーク値が継続する継続期間とを比較し、平衡期間d3と継続期間との差分が予め定めた閾値以上である場合には、第1予測曲線の平衡期間d3を継続期間と一致させるように平衡期間d3を設定する。なお、第1モデル波形において、血糖値のピーク値が予め定められた閾値ΔCthの範囲内で下降している期間はピーク値が継続しているものとし、閾値ΔCthの範囲を下回った時点を継続期間の終期と判断する。
【0032】
また、生成部115は、第1予測曲線の下降期間d4においてピーク値から血糖値が低下した低下量(h11)と、第1モデル波形のピーク値から血糖値が低下した低下量とを比較し、低下量の差分が予め定めた閾値以上である場合には、第1予測曲線の下降期間d4におけ低下量(h11)が第1モデル波形における低下量となるように、傾きS2の係数βを調整する。」

(引2エ)

「【0034】
(動作)
図6は、本実施形態における血糖値予測装置10の動作フローを示している。本実施形態では、ユーザーによって毎日朝食前に血糖値が実測される。血糖値予測装置10は、その実測値を用いて、食事情報が入力される毎、ユーザーの消費カロリーが測定される毎に血糖値の予測を行い、予測血糖値曲線を出力する。
ユーザーは、実測した血糖値のデータを血糖値予測装置10の操作部130を介して入力する。制御部110は、操作部130を介して入力された血糖値データを入力時間と受付けると、入力された血糖値データを基準値C0として設定し、血糖値予測処理を開始する(ステップS11)。
続きを表示(全15行)
【0035】
ユーザーが操作部130を介して食事情報入力画面を表示させる操作を行うと、制御部110は、食事メニュー情報211の食事メニューを表示部150に表示し、ユーザーからの入力を受付ける(ステップS12)。
【0036】
制御部110は、操作部130を介して食事メニューがユーザーによって入力されると(ステップS12:YES)、摂取エネルギー情報として、入力された食事メニューに対応する摂取カロリーを食事メニュー情報211から選択し、選択した摂取カロリーに対する第1予測曲線を第1の予測アルゴリズムを用いて算出する(ステップS13)。制御部110は、ステップS12において入力された食事メニューに対応するユーザー情報200を抽出し、食事情報に対する過去の血糖値の変化傾向を解析して第1モデル波形を生成する(ステップS14)。
【0037】
制御部110は、ステップS13において算出された第1予測曲線における各期間(d1,d2,d3,d4)の血糖値変化と、ステップS14において生成された第1モデル波形の血糖値変化とを比較し、比較結果に応じて第1予測曲線を変形する(ステップS15)。
また、制御部110は、消費エネルギー情報として、活動量測定部120において一定時間毎に計測されるユーザーの消費カロリーを活動量測定部120から受付け(ステップS16)、受付けた消費カロリーに対する第2予測曲線を第2の予測アルゴリズムを用いて算出する(ステップS17)。
【0038】
ユーザーは、操作部130を介して運動情報入力画面を表示させる操作を行うと、制御部110は、運動種別情報212を表示部150に表示し、ユーザーからの入力を受付ける(ステップS18)。制御部110は、運動情報として、操作部130を介して運動種別がユーザーによって入力されると(ステップS18:YES)、入力された運動情報に対応するユーザー情報200を抽出し、運動情報に対する過去の血糖値の変化傾向を解析して第2モデル波形を生成する(ステップS19)。制御部110は、ステップS17において算出された第2予測曲線における期間e2の血糖値変化と、ステップS19において生成された第2モデル波形の血糖値変化とを比較し、比較結果に応じて第2予測曲線を変形する(ステップS20)。
【0039】
制御部110は、第1予測曲線と第2予測曲線とを同一時間軸上で統合させた予測血糖値曲線を生成し、生成した予測血糖値曲線を示す画像を表示部150に表示する(ステップS21)。なお、ステップS12において、ユーザーにより食事情報が入力されなかった場合には(ステップS12:NO)、制御部110は、ステップS16の処理を行う。また、ステップS18において、ユーザーにより運動情報が入力されなかった場合には(ステップS18:NO)、制御部110は、ステップS21の処理を行う。」

(引2オ)

「【0041】
(動作具体例)
次に、上述した動作フローに従って血糖値予測装置10の動作例を説明する。ユーザーは、操作部130を介して、朝食摂取前に血糖値を測定した血糖値データ「130」を入力し(ステップS11)、食事情報入力画面を表示させる操作を行い、食事情報として「洋食C」を入力すると(ステップS12)、制御部110は、「洋食C」に対応する摂取カロリーとして、食事メニュー情報211から「500kcal」を選択する。制御部110は、入力された血糖値データ「130」を基準値C0として設定し、摂取カロリー「500(kcal)」と第1の予測アルゴリズムを用い、図7(a)に示す第1予測曲線を算出する(ステップS13)。
【0042】
続きを表示(全17行)
続いて、制御部110は、図3(a)に示す血糖値情報200aから食事情報「洋食C」を含む波形を抽出する。図3(a)の血糖値情報200aの例では、洋食Cが摂取された2010年2月2日の朝食時点から次の行動「水中ウォーキング」が開始されるまでの期間の波形データが抽出される。このようにして、制御部110により、食事情報「洋食C」が摂取されたときの波形データが血糖値情報200aから抽出され、抽出された波形データを平均化した図7(b)に示す第1モデル波形が生成される(ステップS14)。
【0043】
制御部110は、図7(a)に示す第1予測曲線の各期間の血糖値変化と図7(b)に示す第1モデル波形の血糖値変化とを比較し、第1予測曲線を変形して図7(c)に示す第1予測曲線を生成する(ステップS15)。
図7(a)(b)の例では、第1予測曲線の上昇期間d2における血糖値の上昇量h11と、第1モデル波形の血糖値の上昇量h21(C4-C1)とが比較される。上昇量の差分が閾値以上である場合には、制御部110により、第1予測曲線における上昇量h11がh21(C4-C1)となるように、第1の予測アルゴリズムにおける係数αが調整される。
【0044】
また、制御部110は、図7(b)の第1モデル波形の血糖値がピークとなるt2以降において、血糖値がピーク値から閾値ΔCth範囲内のt3までの継続期間d31(t3-t2)と、第1予測曲線における平衡期間d3とを比較する。継続期間d31と平衡期間d3との差分が閾値以上である場合には、制御部110により、平衡期間d3として継続期間d31が設定される。
【0045】
また、制御部110は、図7(a)の第1予測曲線の下降期間d4における血糖値の低下量(h12)と、図7(b)の第1モデル波形の血糖値の低下量h22(C4-C2)とを比較する。低下量の差分が閾値以上である場合には、制御部110により、低下量h12を第1モデル波形における低下量h22となるように、第1の予測アルゴリズムにおける係数βが調整される。
・・・
【0049】
制御部110は、ユーザーによって食事情報が入力される毎に当該食事情報に応じて変形した第1予測曲線と、活動量測定部120において測定された消費エネルギー情報に基づいて生成された第2予測曲線、又は、ユーザーによって入力された運動情報に応じて変形した第2予測曲線を統合した予測血糖値曲線を逐次生成し、生成した予測血糖値曲線を示す画像を表示部150に表示する(ステップS21)。
【0050】
このように、本実施形態では、過去のユーザーの血糖値と行動内容の時系列データを含むユーザー情報200を用いて、ユーザーが摂取した食事内容やユーザーが行った運動に対する血糖値の変化傾向を解析し、その解析結果を予め定義された血糖値の予測アルゴリズム(第1の予測アルゴリズム、第2の予測アルゴリズム)に反映させることができる。そのため、血糖値の実測回数を増やすことなく、ユーザーの体質等の特性に応じた血糖値の予測を行うことができ、血糖値の予測精度を向上させることができる。」

(引2カ)図1

「
[図:0001407374000014.jpg]
」

(引2キ)図3

「
[図:0001407374000015.jpg]
」

(引2ク)図4

「
[図:0001407374000016.jpg]
」

(引2ケ)図5(a)

「
[図:0001407374000017.jpg]
」

(引2コ)図6

「
[図:0001407374000018.jpg]
」

(引2サ)図7

「
[図:0001407374000019.jpg]
」

(イ)引用文献2に記載された技術的事項

a (引2エ)の【0039】には「制御部110は、第1予測曲線と第2予測曲線とを同一時間軸上で統合させた予測血糖値曲線を生成し、生成した予測血糖値曲線を示す画像を表示部150に表示する(ステップS21)。なお、・・・ステップS18において、ユーザーにより運動情報が入力されなかった場合には(ステップS18:NO)、制御部110は、ステップS21の処理を行う。」と記載され、(引2コ)の図6のステップS18:NOの場合、ステップS21の処理が、S15において変形された第1予測曲線から予測血糖値曲線を生成し、表示することは、明らかである。

b 前記aを含む前記(ア)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠となる引用文献2の記載箇所を示す。

「ユーザーの血糖値を予測し、予測血糖値の変化を時系列に表す予測曲線を出力する血糖値予測装置であって、(【0011】)
入力された食事メニューに対応する摂取カロリーに対する血糖値の変化を予測した第1予測曲線を第1の予測アルゴリズムを用いて算出し、(【0018】、【0036】)
入力された食事メニューに対応するユーザー情報200を抽出し、同じ食事内容を摂取したときの血糖値の時系列変化を表す波形を第1モデル波形として生成し、(【0028】、【0036】)
算出された第1予測曲線の血糖値変化と、生成された第1モデル波形の血糖値変化とを比較し、比較結果に応じて第1予測曲線を変形し、(【0037】)
変形された第1予測曲線から予測血糖値曲線を生成し、表示する、(【0039】、a)
血糖値予測装置において、
第1の予測アルゴリズムにおける血糖値の上昇量h11は、h11=(摂取カロリー)×(インスリン分泌量)×(係数α)で求められ、インスリン分泌量と係数α(>0)は、予め設定された固定値だけなく、ユーザーの属性(年齢、性別、身長、体重)に応じて定められた値や可変値であってもよく、(【0019】、【0021】)
ユーザー情報200には、血糖値情報200aと、行動情報200bとが含まれ、血糖値情報200aには、ユーザーが過去に測定された毎日の血糖値と行動履歴(食事)とが記憶され、血糖値情報200aは、ユーザーの血糖値の時系列変化を表した波形41で示され、時間軸には、ユーザーが摂った食事のタイミング等の行動履歴が示されており、行動情報200bは、血糖値情報200aの各行動履歴に対応する行動情報200bを示しており、各行動履歴に対応する行動内容(食事内容)と、行動内容に対応するカロリー(摂取カロリー)とが対応づけられ、このように、ユーザー情報200において、ユーザーの過去の血糖値の変化と合わせてユーザーの行動に対する摂取カロリーが記憶されている、(【0016】)
血糖値予測装置。(【0011】)」

(3)対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「患者の生体スペクトル」及び「スペクトル測定部1」は、それぞれ、本件補正発明の「ユーザからセンサー情報」及び「センサー部」に相当する。

してみると、引用発明の「患者の生体スペクトルを測定」する「スペクトル測定部1」は、本件補正発明の「ユーザからセンサー情報を収集するセンサー部」に相当する。

イ 引用発明の「血糖値(x)」は、本件補正発明の「生体情報」に相当する。

してみると、引用発明の「このスペクトルを用いて血糖推定部2で血糖値(x)の推定を行」うことは、本件補正発明の「前記センサー情報に基づいて生体情報を推定」することに相当する。

ウ 引用発明の「食事の時間や量」は、本件補正発明の「飲食情報」に相当する。また、引用発明の「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化」と「現在の血糖値の取り得る範囲と分布」は、本件補正発明の「代謝情報」に相当する。

してみると、引用発明の「情報入力装置3から」「入力され、血糖情報保存メモリ4に記憶され」た「観血式の血糖計で測定した血糖値、食事の時間や量、患者の糖尿病状態などの各種の情報」「を用いて血糖値情報計算部5」が、「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化を推定して、現在の血糖値の取り得る範囲と分布を計算」することは、本件補正発明の「ユーザの飲食情報に基づいて代謝情報を抽出」することに相当する。

エ 引用発明の「推定」された「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化」から「計算」された「現在の血糖値の取り得る範囲と分布」「をもとに、血糖検討部6」が、「推定された血糖値(x)を補正」することは、本件補正発明の「抽出された前記代謝情報を用いて、推定された前記生体情報を補正」することに相当する。

オ 引用発明の「最終的に推定された血糖値」は、本件補正発明の「補正結果」に相当する。

してみると、引用発明の「このようにして最終的に推定された血糖値は、血糖値表示・出力部7を用いて出力される」ことは、本件補正発明の「補正結果を提供する」ことに相当する。

カ 前記イ~オにおける対比判断を踏まえると、引用発明の「血糖推定部2と、情報入力装置3と、血糖情報保存メモリ4と、血糖値情報計算部5と、血糖検討部6と、血糖値表示・出力部7と」が、本件補正発明の「処理部」に相当する。

キ 引用発明の「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化」は、本件補正発明の「経時的な生体情報の変化量」に相当する。

また、引用発明では、「血糖値の補正処理、再測定指示を行う処理について、実際に光を用いた計測により推定された血糖値(x)が、血糖測定のための情報から計算された現時点の推定血糖値分布の分散に対して、2.5σ以内に入った場合は、中心値(μ)と分散値(σ)を用いて、中心値に近くなるように補正を行い、2.5σ以上離れた場合は、この値が信用できないとして、再測定を指示する」ことから、引用発明の「現時点の推定血糖値分布の分散に対して、2.5σ以内」が、本件補正発明の「生体情報の信頼区間」に相当する。

そして、引用発明の「現時点の推定血糖値分布」が、「現在の血糖値の取り得る範囲と分布」と同義であることは明らかである。

してみると、引用発明の「生理学的な血糖変化」が「血糖値の時系列変化を表した波形で示される」こと、及び「現在の血糖値の取り得る範囲と分布」がそ「の分散に対して、2.5σ以内」であることは、本件補正発明の「前記代謝情報は、経時的な生体情報の変化量」、及び「生体情報の信頼区間」「を含」むことに相当する。

ク

(ア)引用発明は、前記ウに記載したとおり「観血式の血糖計で測定した血糖値、食事の時間や量、患者の糖尿病状態などの各種の情報」「を用いて」「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化を推定」するものであって、「前回血糖測定から現時点までに食事をしていれば、

μ=μ+食事量×時間係数

の計算を行い、この時の時間係数は、糖尿病の程度により異なり、」この計算から「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化を推定」するものであるから、「糖尿病の程度により異な」る「時間係数」は、当該計算に先立って、予め設定し保存しておく必要があるものと解される。

(イ)そして、引用発明では、「糖尿病の病態(糖尿病の程度)による血糖変化は、正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通りあ」るから、前記(ア)の解釈を踏まえると、引用発明は、「糖尿病の程度により異な」る「時間係数」として、「正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通り」に対応するものが、予め設定し保存されているといえる。

(ウ)したがって、引用発明の「糖尿病の程度」に対応して予め設定して保存された「正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通り」の「時間係数」が、本件補正発明の「あらかじめ構築され」た「生体情報データベース」に相当するといえる。

(エ)してみると、引用発明の「血糖値情報計算部5」が、「糖尿病の程度」に対応して予め設定して保存された「正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通り」の「時間係数」を用いて、「血糖値の時系列変化を表した波形で示される生理学的な血糖変化を推定」することと、本件補正発明の「前記処理部は、」「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベース」「を用いて、前記代謝情報を抽出する」こととは、「前記処理部は、」「あらかじめ構築された生体情報データベース」「を用いて、前記代謝情報を抽出する」ことの点で一致するといえる。

ケ 引用発明の「非侵襲血糖測定装置」は、「血糖推定部2で血糖値(x)の推定を行」うものであるから、本件補正発明の「生体情報推定装置」に相当する。

(4)一致点・相違点

そうすると、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)

「ユーザからセンサー情報を収集するセンサー部と、
前記センサー情報に基づいて生体情報を推定し、ユーザの飲食情報に基づいて代謝情報を抽出し、抽出された前記代謝情報を用いて、推定された前記生体情報を補正し、補正結果を提供する処理部と、を含み、
前記代謝情報は、経時的な生体情報の変化量、及び生体情報の信頼区間を含み、
前記処理部は、あらかじめ構築された生体情報データベースを用いて、前記代謝情報を抽出する、生体情報推定装置。」

(相違点)

代謝情報の抽出に用いられる、あらかじめ構築された生体情報データベースが、本件補正発明では、「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む」のに対し、引用発明では、そのような情報を含むのか不明である点。

(5)判断

前記相違点について検討する。

ア 引用文献2の技術的事項は、前記(2)イ(イ)に記載したとおりの血糖値予測装置であって、

「入力された食事メニューに対応する摂取カロリーに対する血糖値の変化を予測した第1予測曲線を算出し、」

「ユーザーの過去の血糖値の変化と合わせてユーザーの行動に対する摂取カロリーが記憶されている」「ユーザー情報において、」「入力された食事メニューに対応するユーザー情報を抽出し、同じ食事内容を摂取したときの血糖値の時系列変化を表す波形を第1モデル波形として生成し、」

「算出された第1予測曲線の血糖値変化と、生成された第1モデル波形の血糖値変化とを比較し、比較結果に応じて第1予測曲線を変形し、変形された第1予測曲線から予測血糖値曲線を生成」することが記載されている。

イ また、引用発明は、「より測定精度の向上した非侵襲あるいは低侵襲の血糖測定装置を提供することを目的」(【0005】)に、「血糖値の時系列変化を表した波形で示された生理学的な血糖変化」をもとに、「血糖値(x)を補正」するものであるところ、ここでのベースである「生理学的な血糖変化」の「推定」精度の向上が、測定精度の向上につながることは明らかであるから、引用発明において、「生理学的な血糖変化」の「推定」精度を向上させることは、内在する課題であるといえる。

ウ そして、引用文献2の技術的事項は、「ユーザーに応じた血糖値の予測を行い、血糖値の予測精度を向上させる技術を提供する」ことを発明が解決しようとする課題(【0004】)とするものであるから、引用発明には、課題が共通する引用文献2の技術的事項を適用する動機付けが存在する。

エ してみると、引用発明において、「生理学的な血糖変化」の「推定」精度を向上させるために、引用文献2の技術的事項を適用し、「入力された食事メニューに対応する」「同じ食事内容を摂取したときの血糖値の時系列変化を表す波形を第1モデル波形」(本件補正発明の「前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報」に相当する。)が「抽出」される「ユーザーの過去の血糖値の変化と合わせてユーザーの行動に対する摂取カロリーが記憶されているユーザー情報」(本件補正発明の「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され」た「生体情報データベース」に相当する。)を用いること、すなわち代謝情報の抽出に用いられる生体情報データベースとして、前記相違点2に係る本件補正発明の構成である「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベース」を用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。

オ そして、本件補正発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2の技術的事項から予測できるものであって、格別のものということができない。

(6)小括

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)審判請求人の主張について

審判請求人は、審判請求書の3.(4)の「(a)本願発明と引用文献1の発明との対比」において、「補正後の本願発明は、「人体内の臓器間における生体情報と関連した物質の移動による生理学的代謝モデル、及びユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベースのうちの少なくとも1つを用いて前記代謝情報を抽出する」という構成を有します。

引用文献1には、血糖値情報計算部5の機能として、食事、運動、インシュリン注射などの情報と現在の時間から、前回の血糖情報をもとに、血糖の上昇可能性と下降可能性を統計的に類推することが記載されているものの(段落[0012])、人体内の臓器間における生体情報と関連した物質の移動による生理学的代謝モデルについては開示されておりません。また、ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベースついても開示されておりません。

したがいまして、本願発明と引用文献1の発明とは同一ではなく、引用文献1の発明に基づいて、本願発明の構成を容易に想到することもできないものと思料します。」と主張する。

しかしながら、引用発明において引用文献2の技術的事項を適用し、本件補正発明の「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む生体情報データベース」を用いることが容易想到であることは、前記(5)に説示したとおりであるから、請求人の前記主張は採用できない。

(8)まとめ

以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和4年4月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項13に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。

理由2.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2(特許法第29条第1項第3号)について

・請求項 1-2,4-10,12-14,16-20,22

・引用文献等 1

●理由3(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-2,4-10,12-14,16-20,22

・引用文献等 1

・請求項 2,10,15,21

・引用文献等 1-2

・請求項 3,11

・引用文献等 1,3

・請求項 7,12,18,22

・引用文献等 1,4

<引用文献等一覧>

1.特開平11-56822号公報

2.特開2001-327472号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2014-147404号公報(周知技術を示す文献)

4.特表2007-523709号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献1等

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載され事項及び引用文献1に記載された発明(引用発明)は、前記第2の[理由]2(2)ア(ア)及び(イ)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「生理学的代謝モデル」に係る「人体内の臓器間における生体情報と関連した物質の移動による」という限定事項、「生体情報データベース」に係る「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む」という限定事項を、それぞれ削除したものである。

そして、本件補正発明と引用発明は、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載のとおり、本件補正により追加された「生体情報データベース」に係る「ユーザ別に個人化されてあらかじめ構築され、前記飲食情報と経時的な生体情報の変化との相関関係を示す情報を含む」という限定事項のみが相違点であって、その余の点は一致点であったことから、そうすると、当該限定事項を削除した本願発明と引用発明との間に、相違点は存在しないことになる。

してみると、本願発明は引用発明である。

また、本願発明の「生体情報データベース」に関し、[理由]2(3)クにおいて、引用発明の「糖尿病の程度」に対応して予め設定して保存された「正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通り」の「時間係数」が、本件補正発明の「あらかじめ構築され」た「生体情報データベース」に相当すると判断したが、引用文献1には「データベース」と明記されていないことから、仮にこの点が相違点であるとしても、複数の情報の中から1ないし複数を抽出するために複数の情報をデータベースとすることは技術常識にすぎないことを踏まえると、引用発明の「糖尿病の程度」に対応して予め設定して保存された「正常、軽度の糖尿病患者、重度の糖尿病患者の3通り」の「時間係数」をデータベースとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

してみると、本願発明は、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-019729

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