特許拒絶査定不服審判
2024-007606
術中整列評価システム及び方法
- 審判番号
- 2024-007606
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-082233
- 請求日
- 2024年05月08日
- 審決日
- 2025年09月30日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】グローバス メディカル インコーポレイティッド
- 【請求人代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 栗山 卓也
- 審判官 立花 啓
- 分類
- P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 82233「術中整列評価システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月 2日出願公開、特開2022-179434〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 4年 5月19日(パリ条約による優先権主張 令和 3年 5月19日 (US)アメリカ合衆国 令和 4年 5月18日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。
令和 4年 7月 7日 :翻訳文の提出
令和 5年 4月11日付け:拒絶理由通知書
令和 5年10月13日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 5年12月21日付け:拒絶査定
令和 6年 5月 8日 :審判請求書及び同時に手続補正書の提出
第2 令和 6年 5月 8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 6年 5月 8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所を示すため、当審で付与したものである。)。
「患者の脊椎曲率の少なくとも一部分を位置合わせするためのシステムであって、
前記患者の脊椎の表面に沿って3D追跡取得を使用してデータを取得するための取得システムであって、プローブ先端の特徴部に相補的な嵌合表面を有する骨装着基準マーカデバイスと嵌合するように構成された前記プローブ先端を有する3D追跡プローブを備え、前記3D追跡プローブは前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にすることができる押し下げ可能なトリガボタンを備える、取得システムと、
前記取得されたデータの少なくとも一部分を記憶するための非一時的なコンピュータ可読媒体と、
1つ以上のコンピュータプロセッサであって、前記取得されたデータの少なくとも一部分の分析を実施し、前記患者の脊椎整列の定量的評価を生成する、コンピュータプロセッサと、を備える、システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和 5年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「患者の脊椎曲率の少なくとも一部分を位置合わせするためのシステムであって、
前記患者の脊椎の表面に沿って3D追跡取得を使用してデータを取得するための取得システムであって、プローブ先端の特徴部に相補的な嵌合表面を有する骨装着基準マーカデバイスと嵌合するように構成された前記プローブ先端を有する3D追跡プローブを備える、取得システムと、
前記取得されたデータの少なくとも一部分を記憶するための非一時的なコンピュータ可読媒体と、
1つ以上のコンピュータプロセッサであって、前記取得されたデータの少なくとも一部分の分析を実施し、前記患者の脊椎整列の定量的評価を生成する、コンピュータプロセッサと、を備える、システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1の「3D追跡プローブ」について、「前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にすることができる押し下げ可能なトリガボタンを備え」る点を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である特表2020-526364号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある(下線は当審が付与した。)。
(ア)「【0042】
本明細書に説明する実施形態のうちの1又は2以上の一部の重要な特徴は、3D追跡取得システムに対して初期化される当該の解剖学的標認点(すなわち、C7、S1など)を含むことができる。一部の実施形態では、連続的又は個別の3D追跡される取得は、手術部位の範囲と範囲外(例えば、皮膚面)の両方で脊椎の面(例えば、後部、前部、又は側部)に沿って行われる。」
(イ)「【0044】
本提案の実施形態のいずれも独立した発明とすることができ、他の発明又は図1に示す明示的なシステムワークフロー(例えば、患者の初期化、アラインメント輪郭取得など)の前段又は後段とする必要はない。例えば、本明細書に説明する本発明の一部の実施形態は、脊椎の手術中アラインメントを評価し、計装ハードウエアの輪郭又はアラインメントに関する情報を抽出し、患者の脊椎の生体力学的品質のうちの一部を評価するためのデバイス、アセンブリ、システム、及び方法を含む。全体システムの一部の実施形態を図1に例示しており、この場合に、中央ソフトウエアシステムは、個別的及び/又は連続的な場所(例えば、手術部位の内側及び/又は外側)データからの入力を受け入れることができ、これらのデータは、患者の脊椎のセグメント間又は全長のアラインメント、湾曲、位置、運動範囲、及び生体力学的可撓性に関する視覚的及び定量的な出力を生成するために非X線画像又はX線画像の実施形態、アルゴリズム計算、又はユーザに基づく手動対話によって収集される。」
(ウ)「【0194】
一部の実施形態は、完全に係合した時を取得システムに示すTMSMを装備した追跡されるプローブと剛的に嵌合する剛性クロスバーを備えた骨埋め込み式基準を含む。追跡されるプローブは、それが基準と完全に係合した時に1つの立体構造においてしか基準に嵌合することができないので、基準の場所及び姿勢を解釈することができる。基準が椎骨に対して予め初期化されたものである場合に、基準の場所及び姿勢を再評価することにより、椎骨の場所及び姿勢の再登録が可能になる。更に、基準が手術ナビゲーション下に置かれた場合に、プローブを基準にインタフェースすることにより、手術ナビゲーション事例に対する骨生体構造の迅速な再登録が可能になり、生体構造が基準DRFに対して移動した時の値、又は手術ナビゲーションに向けて生体構造が最後に登録された時から生体構造が立体構造を変化させた時の値が与えられる。このようにして、骨基準は、図38及び図38A~図38Gに上述した生体構造の迅速な再登録の別の方法として機能する。例えば、図44Aは、本発明の一部の実施形態によるクロスバーが装備され、図3A~図3Cに関して上述したように椎骨の脊椎板に剛的に固定された骨埋め込み式基準を示している。骨埋め込み式基準4410には剛性クロスバー4412が装備され、この基準は、上述のように椎骨4400の脊椎板4401に剛的に固定される。更に、図44Bは、本発明の一部の実施形態による骨埋め込み式基準4410と、スクリュードライバの端部で押下可能摺動シャフトに結合された追跡されるDRF4420及びTMSM4415を備えた骨-基準嵌合スクリュードライバ4450との係合前のプロセス図4401を示している。この実施形態は、図3A~図3C、図29A~図29C、図33A~図33H、及び図38、図38A~図38Gに上述した空間内の椎骨の場所及び姿勢を解釈するのに使用される他の実施形態に対する変形である。この実施形態では、プローブ先端(4450a)には、骨埋め込み式基準と緊密に係合する4分の1回転機構が装備される。基準上のクロスバーと完全に係合することにより、押下可能摺動シャフトが作動されて取り付けられたTMSMを移動し、それによってスクリュードライバの座標を記録して埋め込み骨基準の場所及び姿勢、及びこの基準に関する椎骨が初期化されたものである場合はこの椎骨の場所及び姿勢を計算するように3D追跡取得システムに信号送信される。例えば、図44Cは、骨埋め込み式基準と、スクリュードライバの端部で押下可能摺動シャフトに結合された追跡されるDRF及びTMSMを装備した骨-基準嵌合スクリュードライバとの係合を示しており、更に骨埋め込み式基準4410に係合した骨-基準嵌合スクリュードライバ4450を表示している。図示のように完全に係合した時に、骨-基準嵌合スクリュードライバ4450は、骨埋め込み式基準4410と同軸に位置合わせされ、TMSM4415が作動されてスクリュードライバ先端4450aが骨埋め込み式基準と完全に係合したことを取得システムに示している。更に、図44Dは、本発明の一部の実施形態によるクロスバーを有する骨埋め込み式基準と、上に重なる骨-基準嵌合スクリュードライバとを示している。一部の実施形態では、4分の1回転嵌合先端4455及び押下可能摺動シャフト4450bが存在する。一部の実施形態では、スクリュードライバ4450と基準4410の間の完全な係合(クロスバー4412の周りに係合する)時に押下される押下可能摺動シャフト4450bが示されているのと同じく4分の1回転嵌合先端4455が示されている。他の実施形態では、取得システムは、基準の場所を計算するためにソフトウエアへのユーザ入力及びTSM又は電子通信システムを手動トリガすることに基づいてトリガすることができ、下記で図45A~図45B及び図72に説明するように、ロッドの埋め込みの前にカメラ座標内の椎骨の場所の迅速な登録に向けて使用することができることに注意しなければならない。」
(エ)「【0201】
一部の実施形態は、埋め込み前のロッドの輪郭を評価する手持ち式機構のための2部システムを構成する構成要素を含む。例えば、図47Aは、ロッドを剛的に保持するのに使用され、3D追跡カメラに対する解剖学的基準平面を定め、ロッドの場所の全ての座標が記録されることになる座標系を確立する追跡される末端キャップの実施形態の構成要素を表示している。更に、図47Bは、下記で図74を参照して詳細に説明するように、追跡される末端キャップとの組合せに使用され、ロッドの面に沿って摺動し、追跡される末端キャップによって確立された座標系内でロッドの座標を解釈する追跡されるスライダーの実施形態の構成要素を表示している。…
【0202】
図47Bは、図47Aに関して上述した追跡される末端キャップに固定されたロッドにインタフェースするように設計された追跡されるスライダーの一実施形態の構成要素を表示している。…
【0203】
図48A~図48Cは、図47Aに関して上述した追跡される末端キャップに関する。この実施形態には、ハンドル上にあり、3D追跡取得システムと通信するのに使用されるトリガによって作動されるバネ装荷式追跡される可動漂遊マーカが装備される。…
【0204】
図48Bは、本発明の一部の実施形態による図47Aの構成要素から組み立てられた末端キャップ4800の斜視図を示しており、ロッド4805と、トリガ4833と、バネ装荷式ヒンジ4831と、トリガアーム4841と、TMSM4819と、末端キャップ追跡されるDRF4815、4817とを示している。この視点は、ロッド4805が固定された図47Aに示した末端キャップを示している。この実施形態は、結合されたTMSM4819を有するトリガアーム4841を作動させるためにハンドル4830の内側でバネ装荷式ヒンジ4831の周りに回転する手動作動トリガ4833を更に含む。この実施形態は、末端キャップ及びそれに取り付けられたロッドの場所を3D追跡カメラ(図示せず)によって解釈するのに使用される追跡されるDRF4815を更に含む。下記で図64A~図64B及び図65A~図65Eを参照してより詳細に説明するように、この実施形態上のトリガによって作動されたTMSMの場所は、追跡されるDRFの場所と取得ソフトウエアによって比較され、ユーザがデバイスをトリガしたか否かが決定される。」
(オ)「【0396】
本発明の実施形態は、データを1つの状態から別の状態に変換する機械としても定義することができる。データは、電子信号及び電子操作データとして表すことができる物品を表すことができる。一部の場合に、変換されたデータは、ディスプレイ上に視覚的に描くことができ、データの変換からもたらされる物理的物体を表している。変換されたデータは、ストレージに一般的に保存するか又は特に物理的で有形の物体の構成又は描写を可能にするフォーマットで保存することができる。一部の実施形態では、操作は、プロセッサによって実行することができる。そのような例では、プロセッサは、データを1つの物から別のものに変換する。更に別の一部の実施形態は、ネットワーク上で結合することができる1又は2以上の機械又はプロセッサによって処理することができる方法を含む。各機械は、データを1つの状態又は物から別のものに変換することができ、更にデータを処理し、データをストレージに保存し、データをネットワーク上で送信し、かつ結果を表示する又は結果を別の機械に通信することができる。本明細書に使用するコンピュータ可読ストレージ媒体は、物理的な又は有形のストレージ(信号ではない)を意味し、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような情報の有形ストレージのためのいずれかの方法又は技術に実施された揮発性又は不揮発性の取外し可能及び取外し不能ストレージ媒体を制限なく含む。」
イ 引用発明
上記ア(ア)~(ウ)、(オ)の特に下線部の記載からみて、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「脊椎の手術中アラインメントを評価し、患者の脊椎の生体力学的品質のうちの一部を評価するためのシステムであって、
患者の脊椎のセグメント間又は全長のアラインメント及び湾曲に関する定量的な出力を生成するために、ユーザに基づく手動対話によって、脊椎の面に沿ってデータが収集されるものであり、
TMSMを装備したプローブと、
当該プローブと剛的に嵌合する、椎骨の脊椎板に剛的に固定された骨埋め込み式基準と、
を含み、
プローブ先端に、骨埋め込み式基準と緊密に係合する4分の1回転機構が装備され、
プローブ先端を骨埋め込み式基準と完全に係合することにより、プローブ先端の押下可能摺動シャフトが作動されて取り付けられたTMSMを移動し、それによって骨埋め込み式基準の場所及び姿勢を計算するように3D追跡取得システムに信号送信され、
送信されたデータの当該計算はプロセッサによって実行され、
データを不揮発性のコンピュータ可読ストレージ媒体に保存する、
システム。」
ウ 引用文献記載事項
前記ア(エ)の特に下線部の記載からみて、引用文献には次の事項が記載されている(以下「引用文献記載事項」という。)。
「埋め込み前のロッドの輪郭を評価する手持ち式機構としての、ロッドの場所の全ての座標が記録されることになる座標系を確立する追跡される末端キャップであって、
追跡される末端キャップに固定されたロッドにインタフェースするように設計され、ロッドの面に沿って摺動し、追跡される末端キャップによって確立された座標系内でロッドの座標を解釈する追跡されるスライダーとの組合せで用いられる末端キャップにおいて、
ハンドル4830上に、DRF4817と、3D追跡取得システムと通信するのに使用されるトリガによって作動されるバネ装荷式のTMSM4819とが装備され、
当該トリガは、結合されたTMSM4819を有するトリガアーム4841を作動させるためにハンドル4830の内側でバネ装荷式ヒンジ4831の周りに回転する手動作動トリガ4833であって、
当該トリガによって作動されたTMSMの場所は、取得ソフトウエアによって、追跡されるDRFの場所と比較され、ユーザがデバイスをトリガしたか否かが決定される、
末端キャップの手動作動トリガ4833によるTMSMの作動。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 本件補正発明の「位置合わせ」とは、物体の状態、3D場所、3D配向等に関する、コンピュータシステムへの3D追跡ツール又は物体信号情報であるところ(本願明細書の段落【0032】参照)、引用発明は「患者の脊椎のセグメント間又は全長のアラインメント及び湾曲に関する定量的な出力を生成するために」「データが収集される」ものであって、患者の脊椎の湾曲に関する位置の情報をデータとして収集して「脊椎の手術中アライメントを評価」するシステムであることを踏まえれば、引用発明の「患者の脊椎のセグメント間又は全長のアラインメント及び湾曲に関する定量的な出力を生成するために、ユーザに基づく手動対話によって、脊椎の面に沿ってデータが収集され」、「脊椎の手術中アライメントを評価」することは、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「患者の脊椎曲率の少なくとも一部分を位置合わせする」ことに相当する。
イ 引用発明の「脊椎の面に沿ってデータが収集される」システム、すなわち「3D追跡取得システム」は、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「患者の脊椎の表面に沿って3D追跡取得を使用してデータを取得するための取得システム」に相当する。
ウ 引用発明の、その「先端に、骨埋め込み式基準と緊密に係合する4分の1回転機構が装備され」る「プローブ先端」「と剛的に嵌合する」「骨埋め込み式基準」は、プローブ先端の表面に対して相補的な嵌合表面を有するから、本件補正発明の「相補的な嵌合表面を有する骨装着基準マーカデバイス」に相当する。
エ 引用発明の、その「先端に、骨埋め込み式基準と緊密に係合する4分の1回転機構が装備され」、「骨埋め込み式基準」が「剛的に嵌合する」「TMSMを装備したプローブ」は、本件補正発明の「プローブ先端の特徴部に」「骨装着基準マーカデバイスと嵌合するように構成された前記プローブ先端を有する3D追跡プローブ」に相当する。
オ 引用発明の「プローブ先端の押下可能摺動シャフトが作動されて取り付けられたTMSMを移動」することは、本件補正発明の「前記3D追跡プローブは前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にする」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「プローブ先端を骨埋め込み式基準と完全に係合することにより、プローブ先端の押下可能摺動シャフトが作動されて取り付けられたTMSMを移動」することと、本件補正発明の「前記3D追跡プローブは前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にすることができる押し下げ可能なトリガボタンを備える」こととは、3D追跡プローブは脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にすることの限りで一致する。
カ 引用発明の、「3D追跡取得システムに信号送信され」た、「定量的な出力を生成するため」の「データ」を用いた「骨埋め込み式基準の場所及び姿勢」の「計算」が、「プロセッサによって実行され」、当該計算により「脊椎の手術中アラインメントを評価し、患者の脊椎の生体力学的品質のうちの一部を評価する」点は、本件補正発明の、「1つ以上のコンピュータプロセッサ」が、「前記取得されたデータの少なくとも一部分の分析を実施し、前記患者の脊椎整列の定量的評価を生成する」点に相当する。
キ 引用発明の「データを」「保存する」「不揮発性のコンピュータ可読ストレージ媒体」は、本件補正発明の「前記取得されたデータの少なくとも一部分を記憶するための非一時的なコンピュータ可読媒体」に相当する。
そうすると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
患者の脊椎曲率の少なくとも一部分を位置合わせするためのシステムであって、
前記患者の脊椎の表面に沿って3D追跡取得を使用してデータを取得するための取得システムであって、プローブ先端の特徴部に相補的な嵌合表面を有する骨装着基準マーカデバイスと嵌合するように構成された前記プローブ先端を有する3D追跡プローブを備え、前記3D追跡プローブは前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にする、取得システムと、
前記取得されたデータの少なくとも一部分を記憶するための非一時的なコンピュータ可読媒体と、
1つ以上のコンピュータプロセッサであって、前記取得されたデータの少なくとも一部分の分析を実施し、前記患者の脊椎整列の定量的評価を生成する、コンピュータプロセッサと、を備える、システム。
[相違点]
本件補正発明は、3D追跡プローブを脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にするために、「押し下げ可能なトリガボタンを備える」のに対し、引用発明は、プローブ先端を骨埋め込み式基準と完全に係合する点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
引用文献には、引用文献記載事項(前記(2)ウ)として、TMSMとDRFとを備える末端キャップにおいて、結合されたTMSMを有するトリガアームを作動させるために、手動作動トリガを備える機構が記載されており、上記「TMSMを有するトリガアームを作動させる」ことは、本件補正発明の「活性状態にすること」に、上記「手動作動トリガ」は、同「押し下げ可能なトリガボタン」に、それぞれ相当する。
してみれば、引用文献記載事項は、本件補正発明の文言でいい換えると、「活性状態にすることができる押し下げ可能なトリガボタン」が記載されている。
そして、引用文献の、取得システムは、基準の場所を計算するためにTSM(当審注:「TMSM」の誤りと認める。)を手動トリガすることに基づいてトリガする実施形態とし得る、との記載(前記(2)ア(ウ)参照)を参酌し、引用発明において、上記引用文献記載事項を適用して、活性状態にするための手段として、押し下げ可能なトリガボタンを用いることで、上記相違点に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別顕著なものではない。
(5)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~10に係る発明は、令和 5年10月13日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
本願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記3D追跡プローブは前記脊椎の表面上の点の位置合わせするために活性状態にすることができる押し下げ可能なトリガボタンを備える」との発明特定事項を削除したものである。
本願発明と引用発明とを対比すると、両者の発明特定事項の対応関係は、前記第2の[理由]2(3)ア~エ、カ及びキに記載した本件補正発明と引用発明の対応関係と同じである。
すると、両者は、
「患者の脊椎曲率の少なくとも一部分を位置合わせするためのシステムであって、
前記患者の脊椎の表面に沿って3D追跡取得を使用してデータを取得するための取得システムであって、プローブ先端の特徴部に相補的な嵌合表面を有する骨装着基準マーカデバイスと嵌合するように構成された前記プローブ先端を有する3D追跡プローブを備える、取得システムと、
前記取得されたデータの少なくとも一部分を記憶するための非一時的なコンピュータ可読媒体と、
1つ以上のコンピュータプロセッサであって、前記取得されたデータの少なくとも一部分の分析を実施し、前記患者の脊椎整列の定量的評価を生成する、コンピュータプロセッサと、を備える、システム。」
である点で一致し、両者の間に相違点はない。
そうすると、本願発明は、引用発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-007606