特許拒絶査定不服審判
2024-015937
経食道心エコー検査のためのハンドルアセンブリ
- 審判番号
- 2024-015937
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-569330
- 請求日
- 2024年10月03日
- 審決日
- 2025年10月14日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】弁理士法人M&Sパートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 三崎 仁
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B) / P18 .113-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-569330「経食道心エコー検査のためのハンドルアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月 3日国際公開、WO2020/239644、令和 4年 8月10日国内公表、特表2022-535705〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)5月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年5月24日(以下「優先日」という。)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年 5月22日 :手続補正書の提出
同年11月24日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月 7日 :意見書の提出
同年 6月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年10月 3日 :審判請求書、手続補正書(以下「本件補正」という。)の提出
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、以下のとおり、請求項1についての補正を含むものである。
(1)本件補正後の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。
「【請求項1】
収納フレームと、
前記収納フレームの外部に配置された第1の制御入力部と、
前記収納フレームの内部に配置され、前記第1の制御入力部に結合された第1のシャフトと、
第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材であって、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作されて、前記第1のシャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材と、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第1の端部に結合された第1のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第2の端部に結合された第2のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第1のプルケーブルと、
前記第2のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第2のプルケーブルとを含む経食道心エコー検査プローブであって、
前記第1の制御入力部が操作されると、前記第1のシャフトが回転し、その結果、前記第1の細長い可撓性部材の前記第1及び第2の端部が、直線的に移動し、それにより、前記第1又は第2のプルケーブルの一方を第1の方向に移動させ、前記第1又は第2のプルケーブルの他方を反対の第2の方向に移動させ、
前記第1及び第2のプルケーブルに結合された胃カメラの遠位部分が、前記第1及び第2のプルケーブルの移動に従って屈曲される、経食道心エコー検査プローブ。」(下線は補正箇所である。)
(2)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
収納フレームと、
前記収納フレームの外部に配置された第1の制御入力部と、
前記収納フレームの内部に配置され、前記第1の制御入力部に結合された第1のシャフトと、
第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材であって、前記第1のシャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材と、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第1の端部に結合された第1のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第2の端部に結合された第2のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第1のプルケーブルと、
前記第2のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第2のプルケーブルとを含む経食道心エコー検査プローブであって、
前記第1の制御入力部が操作されると、前記第1のシャフトが回転し、その結果、前記第1の細長い可撓性部材の前記第1及び第2の端部が、直線的に移動し、それにより、前記第1又は第2のプルケーブルの一方を第1の方向に移動させ、前記第1又は第2のプルケーブルの他方を反対の第2の方向に移動させ、
前記第1及び第2のプルケーブルに結合された胃カメラの遠位部分が、前記第1及び第2のプルケーブルの移動に従って屈曲される、経食道心エコー検査プローブ。」
2 補正の適否
(1)補正の目的について
上記1で記載した請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である第1の細長い可撓性部材について、「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作され」たものに限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、上記1(1)で記載した本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(2)独立特許要件について
ア 引用文献等について
(ア)引用文献1
a 記載事項
本願の優先日前に頒布され、下記第3の2で記載する原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特開2005-40619号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与したものである(以下同様)。
(引1ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の食道または胃の中から身体を走査する超音波診断システム用探触子に関する。特に、本発明の探触子は、多数の平面配置のどの1つのイメージングにも理想的に適合しており、しばしば多平面TEE(経食道超音波心臓診断法)探触子と呼ばれる。」
(引1イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず図1について説明する。図1には、本発明の多平面TEE探触子の平面図が示されている。この探触子は、探触子の主たる制御部が位置するハンドル10を含む。ハンドル10の一端からの延長が、胃内視鏡管12である。胃内視鏡管は、食道のような体内の空洞内に挿入するのに適しており、TEEに使用するには、管は約100cmの長さである。胃内視鏡管12の末端には、探触子の末端部分14があり、そこには超音波変換器が設置されている。ハンドル10の他端からの延長は、コネクタ18で終わる電線16である。コネクタ18は、探触子を作動させ、探触子先端部で変換器により送波され、受波される音響信号から形成される画像を表示する超音波システムに、探触子を接続するためのものである。
【0007】
図1に、5つの探触子制御装置が図示されている。2つのボタン20および22は探触子先端部での変換器の、時計回りおよび反時計回りの回転を制御する。探触子の先端部は、左右接合制御ノブ24および前後接合制御ノブ26により、ハンドルから4方向のいずれにも接合屈曲させることができる。往復運動する制動ボタン28、28'は、どのような接合位置においても接合制御を固定し、そしてその固定を解除するのに使用される。」
(引1ウ)「【0021】
ハンドル10内に位置する接合制御機構が、図8a、図8bおよび図9に示されている。ハンドル10の部材は、ハンドルケース内に収納されている縦形シャシ120上に設置される。左右制御ノブ24は、シャフト122により、左右プーリー126に接続される。制御ケーブル130は、プーリー126の周囲に巻き付けられ、ケーブルブラケット133を通じ、胃内視鏡管12を通じ、接合機構70の対向して整列する穴67を通じて、胃内視鏡の末端の接続点69に延びる。
【0022】
同様に、前後制御ノブ26は、前後プーリー128に取り付けられる。ケーブル130'は、プーリー128に巻き付けられ、同様にケーブルブラケット133、胃内視鏡管12、接合機構の対向して整列する穴67の他の対を通じて、ケーブル接続点69に延びる。連結金具(turnbuckle)132、132'は、ケーブルの張りに合わせるため、各ケーブルと並行して設けられる。」
「【0024】
図8a、図8bおよび図10は、接合機構70の制動装置を示す。患者からの超音波情報の収集を希望する位置に探触子の先端部が配置されるまで、医師は制御ノブ24および26を操作する。変換器が適切に配置されたとき、医師はそのときの位置に接合機構を固定することを望む。制動装置は、この目的を充足するために各接合配置に対して適用される。」
(引1エ)図1、図8a、図8b及び図9として、以下の図面が記載されている。
「【図1】
[図:0001433724000001.jpg]
【図8a】
[図:0001433724000002.jpg]
【図8b】
[図:0001433724000003.jpg]
【図9】
[図:0001433724000004.jpg]
」
b 図面からの看取事項
(a)図1、図8a、図8b、図9及び(引1ウ)【0021】の「ハンドル10の部材は、ハンドルケース内に収納されている縦形シャシ120上に設置される。」の記載から、左右制御ノブ24及び前後制御ノブ26は、ハンドルケースの外部に配置されているといえ(なお、左右制御ノブ24及び前後制御ノブ26は、ハンドルケースの外部に配置されていないと、(引1ウ)【0024】に記載されているように医師が操作できないことになる)、シャフト122、左右プーリー126及び前後プーリー128は、ハンドルケースの内部に配置されているといえる。
(b)図8a、図8b及び図9によれば、制御ケーブル130が「連結金具(turnbuckle)132」の箇所で分断されているのか、連続しているのかにかかわらず、一応、制御ケーブル130は、一方の「連結金具(turnbuckle)132」から「胃内視鏡の末端の接続点69」に延びる部分、一方の「連結金具(turnbuckle)132」から「プーリー126の周囲に巻き付けら」れ他方の「連結金具(turnbuckle)132」までの部分、他方の「連結金具(turnbuckle)132」から「胃内視鏡の末端の接続点69」に延びる部分に分けることができる。
同様に、制御ケーブル130'は、一方の「連結金具(turnbuckle)132'」から「胃内視鏡の末端の接続点69」に延びる部分、一方の「連結金具(turnbuckle)132'」から「プーリー128の周囲に巻き付けら」れ他方の「連結金具(turnbuckle)132'」までの部分、他方の「連結金具(turnbuckle)132'」から「胃内視鏡の末端の接続点69」に延びる部分に分けることができる。
c 引用発明
上記a及びbを踏まえると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。
「探触子の主たる制御部が位置するハンドル10を含み、ハンドル10の一端からの延長に胃内視鏡管12があり、胃内視鏡管12の末端には、探触子の末端部分14があり、そこに超音波変換器が設置され、
探触子の先端部は、左右接合制御ノブ24および前後接合制御ノブ26により、ハンドルから4方向のいずれにも接合屈曲させることができる、TEE探触子であって、
左右制御ノブ24及び前後制御ノブ26は、ハンドルケースの外部に配置されており、シャフト122、左右プーリー126及び前後プーリー128は、ハンドルケースの内部に配置されており、
左右制御ノブ24は、シャフト122により、左右プーリー126に接続され、制御ケーブル130は、プーリー126の周囲に巻き付けられ、ケーブルブラケット133を通じ、胃内視鏡管12を通じ、接合機構70の対向して整列する穴67を通じて、胃内視鏡の末端の接続点69に延び、
同様に、前後制御ノブ26は、前後プーリー128に取り付けられる。ケーブル130'は、プーリー128に巻き付けられ、同様にケーブルブラケット133、胃内視鏡管12、接合機構の対向して整列する穴67の他の対を通じて、ケーブル接続点69に延び、
連結金具(turnbuckle)132、132'は、ケーブルの張りに合わせるため、各ケーブルと並行して設けられ、
制御ケーブル130は、一方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分、一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132までの部分、他方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分、に分けることができ、
同様に、制御ケーブル130'は、一方の連結金具(turnbuckle)132'から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分、一方の連結金具(turnbuckle)132'からプーリー128の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132'までの部分、他方の連結金具(turnbuckle)132'から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分、に分けることができる、
TEE探触子。」(以下「引用発明」という。)
(イ)引用文献5
本願の優先日前に頒布され、下記第3の2で記載する原査定の拒絶の理由において、周知技術(技術常識)を示す文献として提示された引用文献5(米国特許第6236876号明細書)には、次の事項が記載されている。
(引5ア)「SUMMARY OF THE INVENTION
The invention relates to motorized, controlled movement of a navigable probe actuated by one or more tension adjusting cables. For example, an ultrasound imaging transducer on a tip of a medical imaging probe is articulated by applying tension to the cable.」(1欄37~43行)
(当審訳:発明の概要本発明は、1つ又はそれ以上の張力調整ケーブルによって作動されるナビゲート可能プローブのモータ化され、制御された動きに関するものである。例えば、医療用撮像プローブの先端には超音波画像化変換器は、ケーブルに張力を加えることによって関節結合されている。)
(引5イ)「With reference to FIGS.1, 8, 9 and 10, the individual control cables(4,4) connect to respective turnbuckles(18). For example, the turnbuckles(18) are threaded links that adjust the lengths of individual control cables(4,4). With reference to FIG.8, respective turnbuckles(18) connect the cables(4,4) with the reciprocating shafts(14a) through an offsetting link.」(5欄42~48行)
(当審訳:図1,8,9及び10を参照すると、各々の制御ケーブル(4,4)は各々のターンバックル(18)に接続する。例えば、ターンバックル(18)は、各々の制御ケーブル(4,4)の長さを調整するためにネジ付きの連結具である。図8を参照すると、ターンバックル(18)は、オフセットされた連結具を介して、往復シャフト(14a)と共に、ケーブル(4,4)を接続する。)
(引5ウ)図1として、以下の図面が記載されている。
「
[図:0001433724000005.jpg]
」
(ウ)周知技術について
上記第2で記載したとおり、本件補正により、請求項1に係る発明に、第1の細長い可撓性部材を「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作され」たものにすることが追加されたが、当該事項は、本件補正前の特許請求の範囲に記載されていない事項であることから、原査定においては、当該事項に関する文献は提示し得なかった事情がある。
そこで、当審において、当該事項に関する周知技術を含めた技術調査を要することになり、その結果、提示するものが以下の周知文献6及び7である。
a 周知文献6
本願の優先日前に頒布された周知文献6である特表2018-531058号公報には、次の事項が記載されている。
「【発明の開示】
【0004】
内視鏡は、近位のハンドルと、カメラ・アセンブリが回転可能なハウジング内に装着される遠位の挿入端を有するシャフトとを備えてもよい。回転可能なハウジングは、挿入端の長軸に対して概ね垂直な軸の周りを回転するように構成されると共に、回転可能なハウジングは、挿入端の内視鏡の最遠位要素である。カメラ・アセンブリは、CMOSまたはCCDデバイスとすることができるイメージ・センサに隣接するレンズを含むことができる。プル・ワイヤは、ハンドルからシャフトの挿入端まで延在してもよく、プル・ワイヤは、回転可能なハウジングの一部の周りに巻き付けられ、内視鏡シャフト内のプル・ワイヤの前後運動の際にハウジングを回転させるように構成される。」
「【0174】
別の例では、図23.2は、旋回制御構造100によって操作されるプル・ワイヤ502が、内視鏡シャフト14の遠位端における丸いまたはドーム形のセンサまたはカメラハウジング500に巻き付けられ、及び/または取り付けられる方法を示す。内側鞘312は、明瞭化のために除去されている。この例では、カメラ・ハウジング500は、ハウジング500内に収容されたレンズ/カメラ・アセンブリ(好ましくは、ハウジングの2つの組み立てられた半体の概ね中央に位置決めされる)に干渉しないように、ハウジング500の一方の側へオフセットした概ね円周状のスロット501を含む。プル・ワイヤ502は、スロット501内に保持されており、窪み503でハウジング500に固定されてもよい。プル・ワイヤ502に配置された結び目は、プル・ワイヤ502が内視鏡シャフトに沿って前後に移動するときにハウジング500を回転させる取り付け点として機能するように、窪み503に埋め込まれてもよい。オプションとして、内視鏡の組み立て中に付加的な取り付け安全性を与えるために、少量の接着剤を使用することができる。好ましい実施形態では、プル・ワイヤ502は、ケブラー(Kevlar)糸を含み、これは実質的な縦方向の強度及び伸張に対する抵抗性を与える。他のワイヤ形式は、スチール(編組または一本鎖)、ナイロン、または伸張に適した強度及び耐性を有する他の材料を含むことができる。」
b 周知文献7
本願の優先日前に頒布された周知文献7である特開2008-206699号公報には、次の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の操作ワイヤは、ステンレス等の金属線で出来ており、細くかつ十分な強度を確保するための加工を要し、コストが高かった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、樹脂製の操作ワイヤ( 条体)を提供するものである。すなわち、本発明は、内視鏡のフレキシブルな挿入部に収容され、該挿入部の先端の湾曲部を遠隔的に湾曲操作するための条体であって、複数の樹脂繊維を製紐してなる紐と、前記紐に含浸され固化された接着剤とを含むことを特徴とする。接着剤の含浸・固化によって、紐に適度な硬さと張りを付与でき、湾曲操作時の引っ張り力が加わっても紐が伸び変形を来たすのを防止できる。 前記樹脂繊維は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂で構成されていてもよく、ナイロン等のポリアミド系樹脂で構成されていてもよい。」
「【0008】
以下、本発明の一実施形態を説明する。 図1において、10は、MRI装置を示し、20は、MRI装置10の観察領域11 に挿入して使用されるべき内視鏡を示す。内視鏡20は、内視鏡本体部21と、挿入部2 2とを備えている。内視鏡本体部21の側部には、操作ノブ23が設けられ、基端部には接眼部24が設けられ、上側部には鉗子導入部25が設けられている。内視鏡本体部21の下側部からライトガイド26が引き出され、図示しない光源に接続されるようになっている。内視鏡本体部21の先端部から挿入部22が延びている。この挿入部22が観察領域11に挿入されるようなっている。」
c 周知技術
上記周知文献6及び7に例示されるように、内視鏡に関する技術において、近位のハンドルにより内視鏡の遠位部分を操作するためのワイヤとして、十分な強度を有するナイロン等を用いることは、本願の優先日前に周知技術である。
イ 対比
補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「TEE探触子」は、(引1ア)より「TEE」は「経食道超音波心臓診断法」であるから、補正発明の「経食道心エコー検査プローブ」に相当する。
(イ)第1の制御入力部、第1の細長い可撓性部材等の部品について
本願発明のこれらの部品について引用発明との対比を検討するあたり、引用発明では、「左右制御ノブ24」、「制御ケーブル130」、「連結金具(turnbuckle)132」及び「プーリー126」等を使い探触子の先端部を左右に屈曲させる場合(前者)と、「前後制御ノブ26」、「制御ケーブル130'」、「連結金具(turnbuckle)132'」及び「プーリー128」等を使い探触子の先端部を前後に屈曲させる場合(後者)が記載されており、前者及び後者もどちらの場合で補正発明との対比を行ってもよいが、ここでは、前者について対比をする。
a 第1の制御入力部について
引用発明の「ハンドルケース」は、補正発明の「収納フレーム」に相当する。また、 引用発明の「ハンドルケースの外部に配置され」た「左右接合制御ノブ24」は、補正発明の「前記収納フレームの外部に配置された第1の制御入力部」に相当する。
b 引用発明の「左右制御ノブ24は、シャフト122により、左右プーリー126に接続され」ており、制御ノブがシャフトに結合されていないとプーリーが回転しないことから、「シャフト122」は「左右制御ノブ24」に結合されているといえる。
そうすると、引用発明の「ハンドルケースの内部に配置され」「左右制御ノブ24」に結合されている「シャフト122」は、補正発明の「前記収納フレームの内部に配置され、前記第1の制御入力部に結合された第1のシャフト」に相当する。
c 第1の細長い可撓性部材について
(a)「連結金具」とは、隣接した部品の端部を連結する(連結器:マグローヒル科学技術用語大辞典改訂第3版)金具であるといえるから、「制御ケーブル130」の「連結金具(turnbuckle)132」に連結する部分は端部といえる。
そうすると、「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」には、第1の端部及び第2の端部があるといえる。
さらに「(turnbuckle)」のみを参照しても、「turnbuckle」とは、ロープ、ケーブルなどの間に挟み、張力を調整するものとされており、例えば、以下のようなものとして記載されている(改訂新版「世界大百科事典」より)。
「
[図:0001433724000006.jpg]
」
すなわち、(turnbuckle)に着目しても、「一方の「(turnbuckle)132」からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の「(turnbuckle)132」までの部分」の「制御ケーブル130」には、第1の端部及び第2の端部があるといえる。この点、上記引用文献5の図1を参照しても、制御ケーブル(4,4)はターンバックル(18)のところで分断されていることが看て取れ、すなわち制御ケーブルはターンバックル(18)のところに「端部」があることが把握できる。
そして、「制御ケーブル130」は、ケーブルであることから細長いものであり、「プーリー126の周囲に巻き付けら」るものであるから、可撓性があるものである。
また、補正発明の「第1の細長い可撓性部材」は、本願明細書に「細長い可撓性部材が、摩擦ベルト、タイミングラダー、プーリケーブル、タイミングベルト、又はドライブテープのうちの少なくとも1つを含む、細長い可撓性部材」(【0014】)と記載されているように、「ケーブル」のような形態を含むものである。
そうすると、引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の「連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」は、補正発明の「第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材」に相当する。
(b)そして、補正発明では「シャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材」と記載されているが、本願明細書の【0044】及び図12に記載されている形態を含むものである。
「【0044】
[0065] 図12は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、プーリケーブルを組み込んだ例示のTEEプローブの中間ハンドル機構の一部分の等角図である。この図は、シャフト423を含み、シャフト423は、図11の方位から180度反転されている。プーリケーブル923は、シャフト423に巻き付き、かしめボール又はねじアタッチメントの920によりシャフト423に留められる。プーリケーブル923は、プルケーブルアタッチメントアセンブリ620を介してプルケーブル333に付随する。留められたプーリケーブルを使用すると、シャフト423を、歯車シャフト又はピニオンシャフトではなく単純なプーリシャフトにすることができ、それにより、部品の材料要件、製造公差、及び幾何学的複雑さが緩和される。」
「【図12】
[図:0001433724000007.jpg]
」
そうすると、引用発明の「制御ケーブル130」が「プーリー126の周囲に巻き付けられ」ていることと、補正発明の「第1の細長い可撓性部材」が「前記第1のシャフトに巻き付けられる」こととは、技術的な状態として実質的に同じことといえる。
(c)したがって、引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の「連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」は、補正発明の「第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材であって、前記第1のシャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材」に相当する。
d プルケーブルアタッチメントについて
補正発明のプルケーブルアタッチメントは、本願明細書の【0041】によれば、
「【0041】
[0062] 一例では、プーリケーブル925は、ケブラー又は類似の材料などの非金属非導電性ロープから製作される。別の例では、プーリケーブル925は、ポリマーオーバーコートされた金属ケーブルから製作される。ねじ付きコレットなどのプルケーブルアタッチメントデバイス620は、ケブラーロープの一方の端部に留められたままであり、最終ケーブルに取り付けて、最終ケーブル張力を調節するために使用される。」ものでもあることを踏まえると、引用発明の「連結金具(turnbuckle)132、132'」は、補正発明の「プルケーブルアタッチメント」に相当するものであるといえる。
そうすると、引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」において、一方の端部は「一方の連結金具(turnbuckle)132」に「連結」され、他方の端部は「他方の連結金具(turnbuckle)132」に「連結」されるから、引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132」及び「他方の連結金具(turnbuckle)132」は、補正発明の前記第1の細長い可撓性部材の前記第1の端部に結合された第1のプルケーブルアタッチメント」及び「前記第1の細長い可撓性部材の前記第2の端部に結合された第2のプルケーブルアタッチメント」に相当するといえる。
e プルケーブルについて
引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」、及び、「他方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」は、前者は「一方の連結金具(turnbuckle)132」に「連結」し、後者は「他方の連結金具(turnbuckle)132」に「連結」していることから、引用発明の「一方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」、及び、「他方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」は、それぞれ補正発明の「前記第1のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第1のプルケーブル」及び「前記第2のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第2のプルケーブル」に相当している。 d 胃カメラについて補正発明における「胃カメラ」とは、本願明細書の【0004】に、
「【0004】
[0004] 経食道心エコー検査(TEE)は、患者の食道内に位置づけられたTEEプローブを使用して心臓の超音波画像を取得することを含む。TEEプローブは、やはり、患者の心臓の画像を取得するために超音波を使用する。経食道心エコー検査は、心臓が食道の近くにあり、それにより、より高品質の画像がもたらされるので、有利である。TEEプローブを使用して画像を取得するために、医師は、超音波トランスデューサを内蔵する胃カメラを患者の食道に挿入し、超音波トランスデューサを心臓の近くの区域までガイドする。医師は、患者の食道内の胃カメラの遠位部分を操作して、超音波トランスデューサを所定の位置にガイドし、食道壁との接触を維持して、超音波の送受信を容易にする。」と記載されているように、いわゆる胃を観察する「カメラ」のことではなく、経食道心エコー検査のための超音波トランスデューサを内蔵したものを「胃カメラ」と呼称している。
そうすると、引用発明の「胃内視鏡の末端」である「胃内視鏡管12の末端には、探触子の末端部分14があり、そこに超音波変換器が設置され」ている「探触子の末端部分14」は、補正発明の「胃カメラの遠位部分」に相当する。
(ウ)プローブの作動について
引用発明においては、「左右制御ノブ24は、シャフト122により、左右プーリー126に接続され、制御ケーブル130は、プーリー126の周囲に巻き付けられ、ケーブルブラケット133を通じ、胃内視鏡管12を通じ、接合機構70の対向して整列する穴67を通じて、胃内視鏡の末端の接続点69に延び」ており、「探触子の先端部は」「左右接合制御ノブ24」「により」「屈曲させること」は、「左右制御ノブ24」が操作されると((引1ウ)【0024】に医師が操作することが記載)、「シャフト122により、左右プーリー126」が回転し、「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」の両端部は直線的に移動し、それにより、「一方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」が、遠位方向(あるいは近位方向)に、「他方の連結金具(turnbuckle)132から胃内視鏡の末端の接続点69に延びる部分」の「制御ケーブル130」が、それとは反対に近位方向(あるいは遠位方向)に移動することとなり、その移動に従って「胃内視鏡の末端」である「探触子の末端部分14は」「屈曲さ」れることになる。
そうすると、引用発明の「左右制御ノブ24は、シャフト122により、左右プーリー126に接続され、制御ケーブル130は、プーリー126の周囲に巻き付けられ、ケーブルブラケット133を通じ、胃内視鏡管12を通じ、接合機構70の対向して整列する穴67を通じて、胃内視鏡の末端の接続点69に延び」ており、「探触子の先端部は」「左右接合制御ノブ24」「により」「屈曲させること」は、補正発明の「前記第1の制御入力部が操作されると、前記第1のシャフトが回転し、その結果、前記第1の細長い可撓性部材の前記第1及び第2の端部が、直線的に移動し、それにより、前記第1又は第2のプルケーブルの一方を第1の方向に移動させ、前記第1又は第2のプルケーブルの他方を反対の第2の方向に移動させ、前記第1及び第2のプルケーブルに結合された胃カメラの遠位部分が、前記第1及び第2のプルケーブルの移動に従って屈曲される」ことに相当する。
(エ)一致点・相違点について
上記(ア)~(ウ)を踏まえると、補正発明と引用発明とは、
(一致点)
「収納フレームと、
前記収納フレームの外部に配置された第1の制御入力部と、
前記収納フレームの内部に配置され、前記第1の制御入力部に結合された第1のシャフトと、
第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材であって、前記第1のシャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材と、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第1の端部に結合された第1のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1の細長い可撓性部材の前記第2の端部に結合された第2のプルケーブルアタッチメントと、
前記第1のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第1のプルケーブルと、
前記第2のプルケーブルアタッチメントに取り付けられた第2のプルケーブルとを含む経食道心エコー検査プローブであって、
前記第1の制御入力部が操作されると、前記第1のシャフトが回転し、その結果、前記第1の細長い可撓性部材の前記第1及び第2の端部が、直線的に移動し、それにより、前記第1又は第2のプルケーブルの一方を第1の方向に移動させ、前記第1又は第2のプルケーブルの他方を反対の第2の方向に移動させ、
前記第1及び第2のプルケーブルに結合された胃カメラの遠位部分が、前記第1及び第2のプルケーブルの移動に従って屈曲される、経食道心エコー検査プローブ」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
第1の細長い可撓性部材が、補正発明では、「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作されて」いるのに対し、引用発明では、「制御ケーブル」が何により製作されているのか不明である点。
ウ 相違点の判断
(ア)上記ア(ウ)cで記載したように、内視鏡に関する技術において、近位のハンドルにより内視鏡の遠位部分を操作するためのワイヤとして、十分な強度を有するナイロン等を用いることは、本願の優先日前に周知技術である。特に、上記周知文献6には、近位のハンドルを操作し、プル・ワイヤが内視鏡シャフトに沿って前後に移動させることにより、遠位端のカメラ・アセンブリがあるハウジングを回転させる内視鏡において、プル・ワイヤを、実質的な縦方向の強度及び伸張に対する抵抗性を与える「ケブラー」、伸張に適した強度及び耐性を有する「ナイロン」等で構成することが記載されている。
一方、引用発明は、「胃内視鏡管12があり、胃内視鏡管12の末端には、探触子の末端部分14があり」、「胃内視鏡管12を通じ」「胃内視鏡の末端の接続点69に延び」る「制御ケーブル」によって「探触子の先端部は、左右接合制御ノブ24および前後接合制御ノブ26により、ハンドルから4方向のいずれにも接合屈曲させることができる」ものであるから、引用発明における「制御ケーブル」と上記周知技術における「ワイヤ」とは、同等の形態及び機能を有するものであるといえる。
そこで、引用発明における「制御ケーブル」も、上記周知技術における「ワイヤ」と同様に、内視鏡において近位部のハンドル又はノブの動作を遠位部の胃内視鏡の末端又はカメラ・アセンブリがあるハウジングに伝えるものであり、縦方向の強度、伸張に対する抵抗性、及び耐性等の性質を必要とされるものであるから、特に周知文献6に記載されている周知技術を鑑みて、引用発明における「制御ケーブル」を「ケブラー」、「ナイロン」等により製作することは当業者が容易になし得たことである。そして、引用発明において、制御ケーブルをケブラー、ナイロン等により製作することは、「一方の連結金具(turnbuckle)132からプーリー126の周囲に巻き付けられ他方の連結金具(turnbuckle)132までの部分」の「制御ケーブル130」(補正発明の「第1の細長い可撓性部材」の部分)も、ケブラー、ナイロン等により製作されることになる。
(イ)さらに、上記相違点に係る効果として、本願明細書には「伸びを減少させ、寿命を延ばすために、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物で製作される。」(【0036】、【0038】及び【0047】)と記載されていることから、「細長い可撓性部材」を「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作」することにより、伸びを減少させ、寿命を延ばすことができるという効果があるといえるところ、このような効果も上記周知技術から予期し得ることであり、格別顕著なものではない。
エ 小括
したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張について
(ア)請求人は、審判請求書の請求の理由で、概略以下の主張をしている。a「(c-1)拒絶理由1について
・・・原査定では、引用文献1における、連結器具132’が、複数の部材を連結するものであることは自明であり、連結器具132’に結合される2つの部材であると認められるとの判断が示されている。しかしながら、仮にそのようなことがいえたとしても、引用文献1は、ケーブル130’の連結具132’までの部分(本願発明の第1の細長い可撓性部材に対応)が、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される旨の開示も示唆もしていない。」
「(c-2)拒絶理由2について
・・・引用文献2は、チェーンが、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される旨の開示も示唆もしていない。・・・引用文献3は、牽引ワイヤ13、14、ローラチェーン52、及びベルト56が、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される旨の開示も示唆もしていない。・・・引用文献4は、伝達ベルト28が、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される旨の開示も示唆もしていない。・・・引用文献5は、制御ケーブル4のターンバックル18の前の部分が、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される旨の開示も示唆もしていない。・・・以上のことを鑑みれば、引用文献1に基づいては、本願発明でいう、「第1の端部及び第2の端部を含む第1の細長い可撓性部材であって、ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作されて、第1のシャフトに巻き付けられる、第1の細長い可撓性部材」を含むという点には到達することはできない。」
b そして、上記aにおける「仮にそのようなことがいえたとしても」と関連して、令和6年3月7日提出の意見書では、次のことを主張していた。
「引用文献1は、ケーブル130’と並行して連結器具132’が設けられるとするにとどまり、ケーブル130’の連結器具132’までの部分とケーブル130’の連結器具132’から遠位側の部分とを個別に形成する旨の記載も含んでいない。そうすると、引用文献1において、ケーブル130’の連結器具132’までの部分とケーブル130’の連結器具132’から遠位側の部分とが個別に形成されて、連結器具132’に、ケーブル130’の連結器具132’までの部分の端部が結合され、また、ケーブル130’の連結器具132’から遠位側の部分が取り付けられると考えることは、所謂後知恵に陥っている。」
(イ)請求人の主張に対する当審の判断
a まず、bの主張について検討する。
引用発明の「連結金具(turnbuckle)132、132'は、ケーブルの張りに合わせるため、各ケーブルと並行して設けられる」との事項について、請求人は「引用文献1は、ケーブル130’と並行して連結器具132’が設けられるとするにとどまり、ケーブル130’の連結器具132’までの部分とケーブル130’の連結器具132’から遠位側の部分とを個別に形成する旨の記載も含んでいない。」と主張するが、上記イ(イ)cで述べたように、「連結金具(turnbuckle)132、132'」について、まず「連結金具」という観点からは、「連結金具」に連結する「制御ケーブル130」部分は端部といえ、一本の「連続」したケーブルの途中に「連結」する「金具」を取り付けることはないから、「連結」する「金具」を取り付ける以上、ケーブルは「連結金具」を挟んで個別に形成されていると解するのが技術的に正解である。また、「(turnbuckle)」の観点からみても、(turnbuckle)の構造から一本の「連続」したケーブルの途中に設けることはなく、ケーブルは「(turnbuckle)」を挟んで個別に形成されていると解するのが技術的に正解である。よって、意見書の主張は技術的に当を得たものではない。
b 次にaの主張について検討する。
請求人の主張するとおり、引用文献1~5には、第1の細長い可撓性部材が「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される」ことについて開示されていないが、上記ア(ウ)で述べたように、第1の細長い可撓性部材が「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される」ことについては、本件補正前の特許請求の範囲には一切記載されていないことによるものである。
しかしながら、上記ウ(ア)で述べたように、内視鏡の関連技術において、上記相違点に係る細長い可撓性部材に相当するものを「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作される」ことは周知技術であり、当該技術に鑑みて引用発明の制御ケーブルを「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作」することは当業者が容易なし得たことであるから、上記aの主張をもってして、本願発明の進歩性を認めるには至らない。
c なお、上記ウで述べた相違点の判断においては、周知文献6及び7を追加してその判断を行っているが、主たる引用文献は、以下の第3の2で記載する原査定の主たる引用文献1と同じであり、当該相違点が本件補正によって生じたものであることを考慮すると、周知文献6及び7を追加して相違点の判断を行い、その結果、本件の拒絶査定不服審判手続において改めて拒絶理由を通知しなかったとしても、その審決の判断に法の定める手続違背の瑕疵はないものといえる。
(3)まとめ
したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~19に係る発明は、令和令和5年5月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものであり、補正発明から、第1の細長い可撓性部材が「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作されて」いる事項を削除したものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、以下の理由である。
(新規性)この出願の下記の請求項1に係る発明(本願発明)は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明(本願発明)は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願発明については、具体的に以下のように説示している。
「引用文献1に記載される連結器具(turnbuckle)132’が、複数の部材を連結するものであることは自明であり(この点に関して、例えば引用文献5の第5欄第42-48行、第1図を参照。)、連結器具(turnbuckle)132’に結合される2つの部材(ケーブル130’及び連結器具の反対側のケーブル)は別部材であると認められる。また、仮にそうでないとしても、連結器具(turnbuckle)は通常、2つの部材を連結する部材であることに鑑みて、引用文献1の記載に基づいて、連結器具の両側に接続されるケーブルを個別に形成することは当業者であれば容易に想到し得たことである。」
<引用文献等一覧>
1.特開2005-040619号公報
2~4.(略)
5.米国特許第6236876号明細書(周知技術(技術常識)を示す文献)
3 引用文献
上記引用文献1及び5の記載事項、並びに引用文献1の記載から認定される引用発明については、上記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、1で記載したように、補正発明から第1の細長い可撓性部材が「ケブラー、ナイロン、又は金属補強部材の上に成形されるエラストマー化合物により製作されて」いる事項を削除したものであり、当該事項は上記第2の2(2)イ(エ)で記載したように、補正発明と引用発明との相違点を構成する事項である。
そうすると、本願発明は、補正発明から相違点を構成する事項が削除されたものであることから、本願発明と引用発明との間に相違点は存在しない。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許法29条第1項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-015937