2022-015180
遊技機
- 審判番号
- 2022-015180
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-040095外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月26日
- 審決日
- 2023年04月17日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
1 手続の経緯
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本願は、平成30年3月6日に出願され、令和3年2月5日に手続補正書が提出され、令和3年12月27日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年2月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月10日付けの最後の拒絶理由の通知に対し、同年5月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月20日付けで拒絶査定(発送日:同年7月5日)がされ、これに対して同年9月26日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Eは本願発明を分説するため当審で付した。)。
「A 遊技者が操作可能な操作手段と、B 前記操作手段を一度操作する単操作を遊技者に促す演出であって、操作有効期間中に前記操作手段の単操作がなされることを契機として当該操作有効期間が途中で終了するとともに結末に移行する操作演出を実行する操作演出実行手段と、C 前記操作演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度を示唆する特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、D 前記特定演出は、前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出であって、前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出であるE ことを特徴とする遊技機。」
3 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
(理由1)(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(理由2)(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由1、2について
・請求項1
・引用文献 特開2016-185285号公報
4 引用文献の記載、引用発明
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-185285号公報(以下「引用文献」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1)「【0041】上皿を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下操作等による指示操作を、機械的、電気的、あるいは電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。」
(2)「【0246】ステップS706の後、演出制御用CPU120は、ボタンカットイン予告演出を実行するかを判定する(ステップS707)。ボタンカットイン予告演出を実行する場合(ステップS707;YES)、操作促進演出の演出態様を決定する(ステップS708)。ここで、操作促進演出とは、遊技者に対して動作を行うよう促進する演出である。この実施の形態では、操作促進演出として、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されるまで、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する演出を例にとって説明する。」
(3)「【0305】次に、上記一連の処理によって実現されるスーパーリーチのリーチ演出中の各種演出動作を説明する。図30(A)のように、飾り図柄の可変表示中において、スーパーリーチのリーチ演出が実行されたときには、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示されるまでの間に、ボタンカットイン予告演出が実行されることがある。ボタンカットイン予告演出は、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されることに応じて実行される。また、この実施の形態では、検出有効期間内におけるいずれのタイミングで遊技者の操作行為が検出されたかにかかわらず、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される前の特定の終了タイミングにボタンカットイン予告演出が終了する。即ち、遊技者の操作行為が検出されてから終了タイミングまでの期間にてボタンカットイン予告演出が実行される。この実施の形態では、検出有効期間が3秒間となっており、検出有効期間が終了するタイミングからボタンカットイン予告演出が終了するタイミングまでの期間が4秒間となっている。即ち、検出有効期間の開始直後に遊技者の操作行為が検出された場合には、ボタンカットイン予告演出の演出期間は約7秒間となり、検出有効期間の終了直前に遊技者の操作行為が検出された場合には、ボタンカットイン予告演出の演出期間は約4秒間となる。また、検出有効期間が開始されることに応じて、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する操作促進演出が実行される。操作促進演出は、遊技者の操作行為が検出されたとき、又は検出有効期間が終了するときに終了する。」
(4)「【0316】そして、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間が開始されると、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する操作促進演出が実行され、画像表示装置5の画面上には、図34(B)のように、例えばプッシュボタン31Bを模したボタン画像BGや、検出有効期間の残り時間をゲージで報知するゲージ画像GG等が表示される。操作促進演出で表示されるボタン画像BGやゲージ画像GGの大きさは、大当り期待度に応じて変化する。図34(B)は、操作促進演出S1が実行されるときよりも大当り期待度が高い操作促進演出S2が実行されたときの表示態様を示している。また、操作促進演出にてボタン画像BGやゲージ画像GGと共にキャラクター画像を表示する場合には、図34(B)のように、スーパーリーチのリーチ演出に登場しているキャラクターと同じキャラクターであるキャラクターBの画像や動画像が表示されるようにすればよい。」
(5)「【0339】(変形例14)上記実施の形態では、スーパーリーチのリーチ演出中の検出有効期間にて操作促進演出が実行され、特定演出としてのボタンカットイン予告演出の演出態様に応じて大当り期待度が異なる例を示したが、これは一例である。例えば、ハズレ組み合わせとなる確定飾り図柄と同じ組み合わせの飾り図柄が停止表示された直後に検出有効期間を設け、その検出有効期間にて操作促進演出が実行され、特定演出としてのボタンカットイン予告演出の演出態様に応じて、複数種類の大当り組み合わせとなる確定飾り図柄のうちの、いずれかの確定飾り図柄が導出表示されるようにしてもよい。これによれば、操作促進演出や特定演出が実行されることに対する期待感を向上させることができる。」
(6)「【0356】(変形例31)上記実施の形態では、操作促進演出の演出態様が変化しない例を示したが、これは一例である。例えば、操作促進演出の演出態様は、遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであってもよい。このような実施の形態の場合、所定態様の操作促進演出が実行されるときよりも特定態様の操作促進演出が実行されるときの方が期待度が高く、特定態様の操作促進演出が実行されるときよりも演出態様が所定態様から特定態様へと変化するときの方が期待度が高いものとすればよい。これによれば、操作促進演出の演出態様が第1態様から第2態様へ変化することに期待させ、操作促進演出に注目させることができる。」
(7)上記(4)の「操作促進演出で表示されるボタン画像BGやゲージ画像GGの大きさは、大当り期待度に応じて変化する」との記載から、その変形例である上記(6)の「遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度」は少なくとも「大当り期待度」を含むものであると認められる。
(8)上記(1)~(7)からみて、引用文献には、次の発明が記載されている。なお、a~eについては本願発明のA~Eに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン31B(【0041】)と、b スーパーリーチのリーチ演出中の(【0339】)遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されるまで、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する演出(【0246】)であって、遊技者の操作行為が検出されたとき、又は検出有効期間が終了するときに終了する操作促進演出と、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されることに応じて実行される演出(【0305】)であって、演出態様に応じて大当り期待度が異なるボタンカットイン予告演出(【0339】)を実行する演出制御用CPU120(【0246】)と、を備え、c、d 操作促進演出の演出態様は、大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであって、所定態様の操作促進演出が実行されるときよりも特定態様の操作促進演出が実行されるときの方が期待度が高く、特定態様の操作促進演出が実行されるときよりも演出態様が所定態様から特定態様へと変化するときの方が期待度が高い(【0356】、(7)の認定)e パチンコ遊技機1。」(以下「引用発明」という。)
5 対比・判断
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「a 遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン31B」は、本願発明の「A 遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。
(2)引用発明の構成bの「プッシュボタン31Bの押下操作」は、パチンコ遊技機の技術常識に鑑み、長押し操作や連打操作などの特別なプッシュボタンの押下操作が言及されていないことから、普通のプッシュボタンの押下操作である、プッシュボタンを一度操作する単操作を意味することは明らかである。
また、引用発明は、構成bにおいて「プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されるまで、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する」「操作促進演出」は「遊技者の操作行為が検出されたとき、又は検出有効期間が終了するときに終了」し、「プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されることに応じて」「ボタンカットイン予告演出を実行する」ものであるところ、プッシュボタン31Bの押下操作に応じて実行されるボタンカットイン予告演出の実行中に、さらなるプッシュボタン31Bの押下操作に応じてさらなるボタンカットイン予告演出や他の演出を実行することが言及されておらず、ボタンカットイン予告演出の実行が開始されればプッシュボタン31Bの押下操作をしても、それまでのボタンカットイン予告演出が中断して、新たにボタンカットイン予告演出が始まるとは考えにくく、当該押下操作が有効とはならないことは明らかであるから、操作有効期間中にプッシュボタン31Bの押下操作がなされることを契機として当該操作有効期間が途中で終了するものであるといえる。
そして、引用発明の構成bの「プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されることに応じて実行される演出であって、演出態様に応じて大当り期待度が異なるボタンカットイン予告演出」は、操作促進演出から移行する演出の「結末」として、演出態様に応じて大当り期待度が異なるボタンカットイン予告演出であるといえる。
したがって、引用発明の「b スーパーリーチのリーチ演出中の遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されるまで、遊技者に対してプッシュボタン31Bの押下操作を促進する演出であって、遊技者の操作行為が検出されたとき、又は検出有効期間が終了するときに終了する操作促進演出と、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間内に、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出されることに応じて実行される演出であって、演出態様に応じて大当り期待度が異なるボタンカットイン予告演出を実行する演出制御用CPU120」は、本願発明の「B 前記操作手段を一度操作する単操作を遊技者に促す演出であって、操作有効期間中に前記操作手段の単操作がなされることを契機として当該操作有効期間が途中で終了するとともに結末に移行する操作演出を実行する操作演出実行手段」に相当する。
(3)引用発明において、構成c、dの「大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化する」「操作促進演出」と、構成bの「演出態様に応じて大当り期待度が異なるボタンカットイン予告演出」は、いずれも大当り期待度に応じたものであるから、「所定態様から特定態様へと変化する」「操作促進演出」は、「ボタンカットイン予告演出」の信頼度を示唆するものといえるから、引用発明の構成c、dの「大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化する」「操作促進演出」は、本願発明の構成Cの「前記操作演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度を示唆する特定演出」に相当する。
また、引用発明の構成bの「演出制御用CPU120」は、本願発明の構成Cの「演出実行手段」に相当する。
(4)引用発明は「c、d 操作促進演出の演出態様は、大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであって、所定態様の操作促進演出が実行されるときよりも特定態様の操作促進演出が実行されるときの方が期待度が高く、特定態様の操作促進演出が実行されるときよりも演出態様が所定態様から特定態様へと変化するときの方が期待度が高い」ものであるところ、「操作促進演出」による「大当り期待度」は、所定態様の演出態様、特定態様の演出態様、所定態様から特定態様に変化する演出態様の順に高くなっていくものであり、パチンコ遊技機においてスーパーリーチを含むリーチ演出の演出態様が演出開始前に予め決定されているという技術常識に鑑みれば、所定態様から特定態様へと変化する演出態様の操作促進演出は、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間中に所定態様から特定態様まで進行することで大当り期待度の全容が明らかになる演出であり、検出有効期間がタイムアップする前であって特定態様まで進行していない所定態様の状態でプッシュボタン31Bが押下操作されることで検出有効期間が終了するとともにボタンカットイン予告演出の演出態様が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度の示唆の全容(すなわち所定態様から特定態様に変化する演出態様であること)が明らかにならずに打ち切られる演出となるといえる。したがって、引用発明は、本願発明の「D 前記特定演出は、前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出であって、前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出である」に相当する構成を備えるといえる。
(5)引用発明の「e パチンコ遊技機1」は、本願発明の構成Eの「遊技機」に相当する。
(6)そうすると、本願発明と引用発明とは、全ての構成において一致し、相違する点はない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、引用文献に記載された発明である。
(7)また、仮に、本願発明と引用発明との間に僅少な相違があったとしても、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
6 請求人の主張について
(1)請求人は審判請求書において
「(3-1)取消事由1原査定は、令和4年5月16日付意見書にて行った多くの主張に対し、何らの判断も示していないものであるから、明らかな手続違背(判断遺脱)がある。例えば、同意見書にて出願人は、「また、前回の拒絶理由通知(令和3年12月27日付)では、『引用文献1(例えば、[0316]~[0317]、[図34]~[図35]などを参照)には、・・・遊技技機に係る発明が記載されており、ゲージ画像GGの大きさは、大当り期待度に応じて変化することが記載されており、これは、「前記操作演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度を示唆する特定演出」といえるし、「前記操作有効期間の経過とともに進行していく演出であって、前記操作有効期間がタイプアップする前に前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに打ち切られる演出である」といえる』とされている(下線は出願人による(当審注:原文に下線は見当たらない。))。このことからすれば、引用文献1の段落0356の「所定態様から特定態様に変化する」ものは、ゲージ画像GGでなければならない(そのように解釈しなければ本願発明の新規性は否定されない)ことになるが、引用文献1を通じて「所定態様から特定態様に変化する」ものがゲージ画像GGであることの根拠となる記載は無いし、今般の拒絶理由通知でもその根拠が示されていない。なお、段落0336に「ボタン画像が所定態様で表示され、」と記載されていることに照らせば、所定態様およびそれが変化してなる特定態様とはボタン画像のことを述べていると認定すべきものである。」とする主張を行っているが、原査定がそれについて何らの見解も示していないことは明らかである(判断遺脱1)。また、同意見書にて出願人は、「「所定態様から特定態様に変化する」具体的なタイミングについては全く記載されていない。このようなタイミングが記載されていないのに、段落0356の記載事項が、本願発明の特定事項である「前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出であって、前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出である」と一致するということはできない(変化タイミングすら記載されていないのであるから、「前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出」であると断定することはできないし、「前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出である」と断定することもできない)。」とする主張を行っているが、原査定がそれについて何らの見解も示していないことは明らかである(判断遺脱2)。このように、原査定は、同意見書にて出願人が行ったごく一部の主張のみを取り上げ、拒絶とする側にとって都合の悪い主張について全く言及することなくなされた不誠実なものであることは明らかであるから、当然に取り消されるべきものである。」
と主張する。
上記主張について検討するに、拒絶査定の備考欄には、
「引用文献1には、操作促進演出の演出態様は、遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであることが記載されており(例えば、[0356]などを参照)、操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからないのだから、これは、「前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出」といえる」
と記載されており、引用文献1に記載された「遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化する」「操作促進演出」が、本願発明の「前記操作有効期間がタイムアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出」に相当することを明示しているのであり、請求人が判断脱漏1として主張するような「所定態様から特定態様に変化するもの」が「ゲージ画像GG」や「ボタン画像」であるか否かの認定や、請求人が判断脱漏2として主張するような「所定態様から特定態様に変化する」具体的なタイミングの認定は、本願発明と引用文献1に記載された発明との相当関係において必要とされるものではなく、拒絶査定の理由の判断に遺脱はないというべきである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(2)請求人は審判請求書において
「(3-2)取消事由2上記(3-1)の「判断遺脱1」にて述べた点であるが、令和3年12月27日付拒絶理由通知(一回目の拒絶理由通知)においては、「ゲージGG」が信頼度示唆を行う要素であるとして引用発明を認定していたことは明らかである。令和4年3月10日付拒絶理由通知(二回目の拒絶理由通知)においては、引用文献1の段落0356の「遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものである」とする記載に基づき本願発明の特許性を否定する論理が構築されている。引用文献1の段落0336に「ボタン画像が所定態様で表示され」と記載されていることに基づけば、引用文献1の段落0356の所定態様から特定態様への変化はボタン画像の変化を述べていると捉えるのが妥当である。そうすると、本件の審査手続においては、一回目の拒絶理由通知では「ゲージGG」を信頼度示唆要素として引用発明を認定し、二回目の拒絶理由通知では「ボタン画像」を信頼度示唆要素として引用発明を認定しているということになる。つまり、一回目の拒絶理由通知と二回目の拒絶理由通知とで明らかな齟齬(矛盾)があり、それについて何らの見解も示されずに拒絶査定がなされている(上記(3-1)の「判断遺脱1」で述べた通り、それに対し出願人が意見しているのにもかかわらず、何らの見解も示していない)。このような状況に鑑みれば、本件審査手続は、出願人に対し明確な拒絶理由が通知された上で拒絶査定がなされたものであるとはいえず、特許法第50条の違法(拒絶理由通知の懈怠)がある。」
と主張する。
上記主張について検討するに、令和3年12月27日付けの拒絶理由通知書の備考欄には、
「引用文献1(例えば、[0316]~[0317]、[図34]~[図35]などを参照)には、プッシュボタン31Bを模したボタン画像BGや、検出有効期間の残り時間をゲージで報知するゲージ画像GG等が表示され、そして、プッシュボタン31Bに対して成された遊技者の操作行為がプッシュセンサ35Bによって検出され、ボタンカットイン予告演出B3が開始される、遊技機に係る発明が記載されており、ゲージ画像GGの大きさは、大当り期待度に応じて変化することが記載されており、これは、「前記操作演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度を示唆する特定演出」といえるし、「前記操作有効期間の経過とともに進行していく演出であって、前記操作有効期間がタイプアップする前に前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに打ち切られる演出である」といえるし、そうはいえないとしても、そのように構成することに格別の困難性はない。」
と記載されており、請求人が主張するように、引用文献1に記載された「ゲージ画像GGの大きさ」が本願発明の「前記操作演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性である信頼度を示唆する特定演出」に相当するとの判断を示したものと認められる。
そして、令和4年3月10日付けの拒絶理由通知書の備考欄には
「引用文献1には、操作促進演出の演出態様は、遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであることが記載されており(例えば、[0356]などを参照)、これは、「前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出であって、前記操作有効期間がタイプアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出である」といえるし、当該記載に基づき、そのように構成することに格別の困難性はない。」
と記載されており、引用文献1に記載された「遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化する」「操作促進演出」が、「前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出であって、前記操作有効期間がタイプアップする前の前記所定段階まで進行していない状態で前記操作手段が単操作されることで当該操作有効期間が途中で終了するとともに前記信頼度の示唆の全容が明らかにならずに打ち切られる演出」に相当するとの判断を示したものであると認められるところ、請求人は、引用文献1の段落0336に「ボタン画像が所定態様で表示され」と記載されていることに基づけば、引用文献1の段落0356の所定態様から特定態様への変化がボタン画像の変化を述べていると捉えるのが妥当であると主張するが、引用文献1の段落0356に記載された変形例31と、引用文献1の段落0336に記載された変形例11は、別の変形例であり、引用文献1の段落0356の所定態様から特定態様への変化をボタン画像の変化と限定して解釈する必要がないことは明らかである。
したがって、二回目の拒絶理由において「ボタン画像」を信頼度要素として引用発明を認定しているものではないことは明らかであるから、二回目の拒絶理由において「ボタン画像」を信頼度要素として引用発明を認定していることを前提とする請求人の主張は採用できない。
(3)請求人は審判請求書において
「(3-3)取消事由3原査定は、引用発明について「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからない」ものであると認定している。しかし、原査定は、このように認定する根拠(引用文献1の記載)を何も示していない。上記(3-1)の「判断遺脱2」で述べた点であって、令和4年5月16日付意見書にて行った主張でもあるが、引用文献1には「所定態様から特定態様に変化する」具体的なタイミングについては何らの記載もない。よって、引用発明を「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出」であると「断定」することはできないはずである。段落0356には、「所定態様から特定態様へと変化する」と変化の発生が断定的に記載されており、原査定がいうような「特定態様へ変化する予定であったものが変化しない」ケースが生じうるようなことについては何らの記載もない。このことからすれば、例えばプッシュボタンの押下が有効になるよりも前に所定態様から特定態様への変化が生じる(必ず特定態様への変化が生じる)といったような構成であるとも捉えることができるはずである。このように、原査定における引用発明の認定は、引用文献1の記載に基づくものではなく、引用発明を原査定が示したようなものであると断定することはできないはずである。よって、このような引用発明の認定に基づいてなされた原査定は取り消されるべきものであるし、本願は原査定の根拠となった拒絶理由を包含するものではない。また、そもそも原査定は、引用発明を「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからない」ものであると認定した根拠を拒絶理由通知にて明確に示した上でなされたものではないのであるから、特許法第50条の違法(拒絶理由通知の懈怠)がある。」
と主張する。
しかしながら、上記5(4)で述べたのと同様に、引用文献1の段落0356には「操作促進演出の演出態様は、大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであって」「所定態様の操作促進演出が実行されるときよりも特定態様の操作促進演出が実行されるときの方が期待度が高く、特定態様の操作促進演出が実行されるときよりも演出態様が所定態様から特定態様へと変化するときの方が期待度が高い」と記載されているところ、「操作促進演出」による「大当り期待度」は、所定態様の演出態様、特定態様の演出態様、所定態様から特定態様に変化する演出態様の順に高くなっていくものであり、パチンコ遊技機においてスーパーリーチを含むリーチ演出の演出態様が演出開始前に予め決定されているという技術常識に鑑みれば、所定態様から特定態様へと変化する演出態様の操作促進演出は、遊技者の動作の検出を有効とする期間である検出有効期間中に所定態様から特定態様まで進行することで大当り期待度の全容が明らかになる演出であり、検出有効期間がタイムアップする前であって特定態様まで進行していない所定態様の状態でプッシュボタン31Bが押下操作されることで検出有効期間が終了するとともにボタンカットイン予告演出の演出態様が遊技者にとって有利なものとなる蓋然性である信頼度の示唆の全容(すなわち所定態様から特定態様に変化する演出態様であること)が明らかにならずに打ち切られる演出となるといえる。したがって、拒絶査定に記載された「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからない」ものであることの根拠が段落0356の記載にあるとする拒絶査定の備考欄の記載と、令和4年3月10日付けの拒絶理由通知書の備考欄に記載された引用文献1の段落0356の記載を引用したこととの間で齟齬はなく、拒絶理由通知の懈怠があるいうことはできない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4)請求人は審判請求書において
「(3-4)取消事由4上記(3-3)で述べた通り、引用発明は原査定が示したようなものであると断定することはできないはずである。しかし、原査定の引用発明の認定が正しいものであるとしても、当該引用発明は本願発明と相違する。本願発明は、特定演出を「前記操作有効期間の経過とともに進行していき当該操作有効期間中に所定段階まで進行することで前記信頼度の示唆の全容が明らかになる演出」であると特定している。一方、原査定は、引用発明を「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからない」ものであるとしている。かかる演出(引用発明)は、特定態様に変化しない、すなわち所定態様のままで終了するのであるから、「進行する」ものであるとは認められない。これは、「操作有効期間の経過とともに進行してい」くものである本願発明の特定演出と相違することは明らかである。以上の通り、原査定の引用発明の認定が正しいものであるとしても、原査定が認定した引用発明と本願発明は上記の点において相違するから、本願は原査定の根拠となった拒絶理由を包含するものではない。」
と主張する。
しかしながら、上記5(4)で述べたように、引用発明の「操作促進演出の演出態様は、大当り期待度に応じて所定態様から特定態様へと変化するものであって」「所定態様の操作促進演出が実行されるときよりも特定態様の操作促進演出が実行されるときの方が期待度が高く、特定態様の操作促進演出が実行されるときよりも演出態様が所定態様から特定態様へと変化するときの方が期待度が高い」との記載から、当該操作促進演出は、所定態様の演出態様、特定態様の演出態様、所定態様から特定態様に変化する演出態様の順に大当り期待度が高くなっていくものであり、パチンコ遊技機においてスーパーリーチを含むリーチ演出の演出態様が演出開始前に予め決定されているという技術常識に鑑みれば、所定態様から特定態様へと変化する演出態様の操作促進演出を実行する場合において、検出有効期間がタイムアップする前の特定態様まで進行していない所定態様の状態でプッシュボタン31Bが押下操作されれば、所定態様から特定態様に変化する演出態様すなわち進行していくものであったにもかかわらず、拒絶査定に記載されたように「操作促進演出の演出態様が所定態様で始まり、特定態様へと変化する前に遊技者がプッシュボタンを押下して予告演出が開始されれば、遊技者はその後に信頼度の高い特定態様に変化する演出だったのか否かわからない」こととなるのであり、請求人が主張するように特定態様に変化しない、すなわち所定態様のままで終了するのであるから「進行してい」くものである本願発明の特定演出と相違するということにはならないというべきである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(5)まとめ
よって、審判請求書における請求人の主張はいずれも採用することができない。
7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015180