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特許拒絶査定不服審判

2022-014760

太陽電池モジュール及び太陽光発電システム

審判番号
2022-014760
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-034024外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月16日
審決日
2023年09月05日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021- 34024「太陽電池モジュール及び太陽光発電システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月27日出願公開、特開2021- 82847〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

1 手続の経緯

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本願は、2017年(平成29年)6月27日(優先権主張2016年(平成28年)9月23日、2017年(平成29年)3月22日)を出願日とする特願2017-125121号の一部を令和3年3月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の概要は、以下のとおりである。

令和3年 3月 4日 :上申書
同年12月24日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月 4日 :意見書の提出

同年 6月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

同年 9月16日 :審判請求書の提出

2 本願発明

本願の請求項1~9に係る発明は、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「複数の第1太陽電池セルを含んだ複数の第1サブモジュールを有する第1太陽電池パネルと、
前記第1太陽電池パネルと積層し、複数の第2太陽電池セルを含んだ複数の第2サブモジュールを有する第2太陽電池パネルを有し、 前記第1太陽電池パネルは、光入射側に存在し、
前記第1太陽電池パネルと前記第2太陽電池パネルは電気的に接続し、 前記複数の第1サブモジュールは、バスバーで電気的に接続され、
前記複数の第2サブモジュールは、バスバーで電気的に接続され、
前記第1太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有し、
前記第2太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有する太陽電池モジュール。」

3 原査定の拒絶の理由

原査定の理由は、次の内容を含むものである。

この出願の請求項1に係る発明は、本願の最先の優先権主張の日(以下「本願の優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2003-333757号公報
引用文献2:特開2006-216608号公報

4 引用文献の記載事項

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(1)引用文献1について

ア 引用文献1の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1(特開2003-333757号公報)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審が付した。以下同じ。)

(ア)「【請求項1】 出力特性の異なる複数の電池が互いに並置され、前記複数の電池の各出力が互いに同一の電圧に調節され、これらの出力が共通の端子から取り出されるように構成された電源装置。
・・・略・・・
【請求項5】 前記複数の電池が光電変換素子である、請求項1に記載した電源装置。
【請求項6】 前記複数の電池が、光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子である、請求項5に記載した電源装置。」
(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池(光電変換装置)や化学電池等の電池からなる電源装置に関するものである。」
(ウ)「【0026】
【発明が解決しようとする課題】タンデム型太陽電池では、積層された各タンデム光電変換素子の電気出力を直列に接続し、各素子の出力電流が互いに等しくなるように、各素子が吸収する波長範囲を分割することが多い。
【0027】この方式では、標準となる太陽光の波長分布に対しては各素子からの出力電流が等しくなるように設定されているとしても、夏期と冬期、日中と朝夕など、太陽光の波長分布が標準の分布から大きく偏る場合には、積層された各素子からの出力電流に大きな差が生じる。このような状態で各素子を直列につなぐと、光量不足で出力電流が小さい素子が電池全体の内部抵抗を増大させ、出力電流を制限してしまう不都合が生じる。
【0028】かといって、各タンデム光電変換素子を並列につなぐと、各素子の出力電圧が異なるため、最大電圧を出力する素子の電気エネルギーがそれ以外の素子の中を逆流して一部が消滅してしまうと言う問題点が生じる。
続きを表示(全11行)
【0029】他の問題点は、各タンデム光電変換素子からの出力電流を等しくする波長分割パターンが、太陽光を最大効率で利用するための波長分割パターンと、一般に一致しないことである。上記の方式では、直列接続という出力の取り出し方が、各タンデム光電変換素子に割り当てる光吸収波長特性を制限し、太陽光を最大効率で利用する上での障害になっている。
【0030】本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、出力特性の異なる複数の電池の出力が共通の端子から取り出され、しかも、電池間の接続によるエネルギー効率の低下が極力抑えられるように構成された電源装置を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、出力特性の異なる複数の電池が互いに並置され、前記複数の電池の各出力が互いに同一の電圧に調節され、これらの出力が共通の端子から取り出されるように構成された電源装置に係わる。
【0032】本発明によれば、出力電圧及び出力電流が異なる前記複数の電池の出力が、互いに同一の出力電圧に調節された後、並列の関係を満たすように共通の端子に出力される。
【0033】前記複数の電池の出力が並列の関係を満たすように出力されるので、直列接続の場合と異なり、出力電流が小さい電池が電源全体の内部抵抗を増大させ、出力電流を制限してしまうという不都合がない。
【0034】また、同一の出力電圧に調節された上で共通の端子に出力されるので、異なる出力電圧の出力を並列に接続した場合に生じる逆流等の問題点が生じることもない。」
(エ)「【0069】実施の形態3
図4は、各光電変換層のタンデム光電変換素子10a~10cがあらかじめ同じ大きさの多数の小型セルに分割され、小型セルの接続関係の設定のみで各層ごとに互いに同一の出力電圧が形成され、それらが並列の関係で共通の端子1と2の間に出力されるように構成された、実施の形態3の電源装置を示す概略構成図である。ここでは、実施の形態1や2と異なり、昇降圧回路等の電圧調節回路は用いなくてよい。
【0070】図4中の二重線の接続線は、直列と並列の併用により小型セルがマトリックス的に接続されていることを表し、実際には、小型セルが一定個数直列に接続されたものが複数あり、それらが互いに並列の関係で接続されている(以下、このマトリックス的に接続された小型セル全体を電池マトリックスと呼ぶことにする)。
【0071】電池マトリックスの出力電圧は、各層の起電力と小型セルの直列接続段数の積となる。各層の電池マトリックスの出力電圧を互いに同一になるようにするには、各層の起電力を考慮して、適切な直列段数及びそれを可能とする小型セルへの分割数を決めなければならない。
【0072】以下、その決定の順序を説明する。例えば、1層目の起電力が0.6V、2層目の起電力が0.4V、3層目の起電力が0.3Vであるとする。6と4と3の最小公倍数は12であるから、共通の出力電圧を1.2V又はその整数倍1.2nV(nは整数)と定める。
【0073】説明を簡単にするため、出力電圧を1.2Vと定めたとする。その出力電圧を形成するために、1層目の小型セルは2個、2層目の小型セルは3個、3層目の小型セルは4個を直列に接続する必要があるから、各光電変換層のタンデム光電変換素子10a~10cをあらかじめ(2と3と4の最小公倍数である)12個の小型セルに分割しておけばよいことになる。
【0074】図5は、各光電変換層のタンデム光電変換素子10a~10cが12個の小型セル6a~6cに分割され、各電池マトリックスが同一の出力電圧1.2Vを出力するように配線された状態を示す概略平面図である。各層の電池マトリックスの出力は、それぞれ、出力端子7a~7c及び8a~8cから取り出される。
【0075】直列段数の設定方法には2種類の方法がある。簡単なのは、上記のようにしてあらかじめ決定しておいた直列/並列配線パターンを使い、これに固定して以後は変更しない方法である。もう一つの方法は、入射光の波長分布の変化や電池の経年変化等により各層の起電力が変化した場合でも、電池マトリックスが同一の出力電圧を維持できるように、小型セルの直列/並列配線パターンを変化させ、直列接続段数を変化させる方法である。」
(オ)「【図4】
[図:0001403355000001.jpg]
【図5】
[図:0001403355000002.jpg]
」

イ 引用文献1の記載から読み取れる技術的事項

上記アの記載から、引用文献1には、実施の形態3(図4及び5)に係る電源装置であって、あらかじめ決定しておいた直列/並列配線パターンを使い、これに固定して以後は変更しない方法(【0075】)に係るものについて、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア)上記電源装置は、請求項1及び5を引用する請求項6に記載された電源装置に係るものであること。(【0069】、請求項1、請求項5、請求項6)

(イ)当該請求項6に記載された電源装置における「光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子」から構成された各「電池」は、それぞれ、「(+の)出力端子1」及び「(-の)出力端子2」のみからなる出力端子を有すること。(請求項6、図4)

(ウ)当該請求項6に記載された電源装置における「光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子」から構成された各「電池」は、複数個の小型セルに分割されて構成されており、各「電池」では、各小型セルが一定個数直列に接続されたものが複数あり、それらが互いに並列の関係で接続されていること。(【0069】、【0070】)

ウ 引用発明

上記ア及びイによれば、引用文献1には、上記イで説示したとおりの、実施の形態3に係る電源装置であって、あらかじめ決定しておいた直列/並列配線パターンを使い、これに固定して以後は変更しない方法(【0075】)に係るものについて、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明等の認定に用いた段落の段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。

「出力特性の異なる複数の電池が互いに並置され、前記複数の電池の各出力が互いに同一の電圧に調節され、これらの出力が共通の端子から取り出されるように構成された電源装置であって、(【請求項1】)
前記複数の電池が、光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子であり、(【請求項5】、【請求項6】)
前記複数の電池における各電池は、それぞれ、+の出力端子1及び-の出力端子2のみからなる出力端子を有し、(上記イ(イ))
前記複数の電池における各電池は、数個の小型セルに分割されて構成されており、(上記イ(ウ))
前記各電池では、各小型セルが一定個数直列に接続されたものが複数あり、それらが互いに並列の関係で接続されており、(上記イ(ウ))
あらかじめ決定しておいた直列/並列配線パターンを使い、これに固定して以後は変更しない、(【0075】)
電源装置。」

(2)引用文献2について

ア 引用文献2の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2(特開2006-216608号公報)には、図面とともに、次の記載がある。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の単位セル同士を互いに電気的に直列接続して設けられる太陽電池モジュールに関する。」
(イ)「【0011】
また、単位セルの個数を低減した太陽電池モジュールは、通常の太陽電池モジュールと同一設備・工程で製造することができない。すなわち、低電圧用太陽電池モジュールを製造するための設備を別途設ける必要があり、このため、設備投資が高騰してしまう。」
(ウ)「【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電流が互いに逆方向に流れるセル列を設け、且つこれらのセル列を並列接続するようにしているので、セル列の個数を低減することなく低電圧用の太陽電池モジュールを構成することができる。しかも、この太陽電池モジュールは、優れた発電特性を示す。
【0019】
そして、セル列の個数を低減する必要がないので、既存の設備を用いて太陽電池モジュールを作製することができる。換言すれば、新たな設備投資を特に必要としないので、太陽電池モジュールを低コストで作製することもできる。」
(エ)「【0021】
本実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略全体平面説明図を図1に示す。この場合、太陽電池モジュール10においては、ケーシング12内で32個の単位セル14が互いに隣接して配列されている。なお、ケーシング12内には図示しない樹脂がモールドされており、これによりすべての単位セル14が保護されている。
【0022】
ここで、単位セル14は、8個同士が電気的に直列接続されて第1セル列16及び第2セル列18を構成している。すなわち、この太陽電池モジュール10においては、第1セル列16及び第2セル列18がともに2個ずつ存在し、第1セル列16と第2セル列18とが隣接するように配置されている。
続きを表示(全14行)
【0023】
第1セル列16の左端、右端には、それぞれ、カソード用配線20、アノード用配線22が縦方向X全体にわたって設けられており、一方、第2セル列18の左端、右端には、それぞれ、アノード用配線22、カソード用配線20が縦方向X全体にわたって設けられている。すなわち、太陽電池モジュール10全体としては、3本のカソード用配線20と2本のアノード用配線22が設けられた形態となっている。
・・・(略)・・・
【0026】
その一方で、図2から諒解されるように、第1セル列16を構成する単位セル14における透明電極層30と、第2セル列18を構成する単位セル14における透明電極層30とは同一のガラス基板24上に互いに左右対称形状に設けられており、このため、電流は、図1においてiで表すように、第1セル列16では左方から右方に流れ、第2セル列18では右方から左方に流れる。すなわち、第2セル列18のカソードは、該第2セル列18の右方の第1セル列16のカソードを兼ねる。同様に、第1セル列16のアノードは、該第1セル列16の右方の第2セル列18のアノードを兼ねる(図1参照)。
【0027】
そして、2個の第1セル列16、及び2個の第2セル列18は、すべて電気的に並列接続されている。具体的には、3本のカソード用配線20は、図3に示すように、ガラス基板24の上端面を経由して背面に延在し、1本の束線に纏められた後、該背面に設置された端子ボックス32に電気的に接続されている。一方、2本のアノード用配線22は、ガラス基板24の下端面を経由して背面に存在し、カソード用配線20と同様に、1本の束線に纏められて端子ボックス32に電気的に接続されている。
・・・(略)・・・
【0030】
この際、第1セル列16、第2セル列18内では、単位セル14同士がそれぞれ直列接続されているので、電流は、カソードからアノード、ひいてはカソード用配線20からアノード用配線22へ向かって流れる。すなわち、図1において、第1セル列16では左方から右方へ、第2セル列18では右方から左方へ電流が流れる。」

(オ)「【0036】 また、単位セル14の個数は32個に特に限定されるものではなく、第1セル列16及び第2セル列18の個数も2個ずつに特に限定されるものではない。さらに、第1セル列16と第2セル列18は、同数である必要は特にない。」

(カ)「【図1】
[図:0001403355000003.jpg]
」

イ 引用文献2に記載された技術的事項

上記アによれば、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

「電流が互いに逆方向に流れるセル列を設け、且つこれらのセル列を並列接続するようにしているので、セル列の個数を低減することなく低電圧用の太陽電池モジュールを構成することができるという技術的事項であって、(【0018】)
セル列には、複数の第1セル列と複数の第2セル列とがあり、第1セル列と第2セル列とが隣接するように配置されており、(【0022】、【0027】、【0036】)
各セル列内では、単位セル同士がそれぞれ直列接続されており、(【0022】、【0030】)
第1セル列及び第2セル列のすべてが並列接続されており、(【0027】)
第1セル列の左端、右端には、それぞれ、カソード用配線、アノード用配線が縦方向全体にわたって設けられており、一方、第2セル列の左端、右端には、それぞれ、アノード用配線、カソード用配線が縦方向全体にわたって設けられており、(【0023】)
第2セル列のカソード用配線は、その右方の第1セル列のカソード用配線を兼ねており、当該第1セル列のアノード用配線は、その右方の第2セル列のアノード用配線を兼ねている、(【0026】)
という技術的事項。」

5 対比並びに一致点及び相違点の認定

(1)対比

本願発明と引用発明を対比する。

ア 本願発明の「複数の第1太陽電池セルを含んだ複数の第1サブモジュールを有する第1太陽電池パネルと、前記第1太陽電池パネルと積層し、複数の第2太陽電池セルを含んだ複数の第2サブモジュールを有する第2太陽電池パネルを有し、前記第1太陽電池パネルは、光入射側に存在し、」との特定事項について

(ア)引用発明は、「前記複数の電池が、光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子」であるところ、当該「光電変換素子」は、「光の透過方向に積層され」ている以上、パネル状のものであることが明らかであり、よって、本願発明の「太陽電池パネル」に相当するといえる。そして、当該「光電変換素子」は、複数存在するから、引用発明は、本願発明でいう「第1太陽電池パネル」及び「第2太陽電池パネル」を有していることになり、さらに、上記のとおり、「光の透過方向に積層され」ているから、引用発明は、「光入射側に存在」する「第1の太陽電池パネル」を有していることになる。

(イ)引用発明の「小型セル」及び「各小型セルが一定個数直列に接続されたもの」は、それぞれ本願発明の「太陽電池セル」及び「サブモジュール」に相当する。そして、引用発明の複数の「光電変換素子」のうち光入射側に存在するもの(本願発明の「第1太陽電池パネル」に相当。)は、本願発明でいう「複数の第1太陽電池セルを含んだ複数の第1サブモジュール」を有していることになり、引用発明の複数の「光電変換素子」のうち上記に該当しないものの1つ(本願発明の「第2太陽電池パネル」に相当。)は、本願発明でいう「複数の第2太陽電池セルを含んだ複数の第2サブモジュール」を有していることになる。

(ウ)よって、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たす。

イ 本願発明の「前記第1太陽電池パネルと前記第2太陽電池パネルは電気的に接続し、」との特定事項について

引用発明の複数の「光電変換素子」のうち光入射側に存在するもの(本願発明の「第1太陽電池パネル」に相当。)と引用発明の複数の「光電変換素子」のうち上記に該当しないものの1つ(本願発明の「第2太陽電池パネル」に相当。)は、「これらの出力が共通の端子から取り出される」ものであることから、本願発明でいう「電気的に接続し」たものであるといえる。

よって、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たす。

ウ 本願発明の「前記複数の第1サブモジュールは、バスバーで電気的に接続され、前記複数の第2サブモジュールは、バスバーで電気的に接続され、」との特定事項について

引用発明の「電源装置」は、「前記各電池では、各小型セルが一定個数直列に接続されたものが複数あり、それらが互いに並列の関係で接続されて」いるから、上記ア(イ)も踏まえると、本願発明と引用発明とは、「前記複数の第1サブモジュールは、」配線「で電気的に接続され、前記複数の第2サブモジュールは、」配線「で電気的に接続され」る点で共通する。

一方で、「前記複数の第1サブモジュール」同士を電気的に接続する配線、及び、「前記複数の第2サブモジュール」同士を電気的に接続する配線が、本願発明は「バスバー」であるのに対して、引用発明は、どのような配線であるか明らかではない。

エ 本願発明の「前記第1太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有し、前記第2太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有する」との特定事項について

引用発明の「電源装置」は、「前記複数の電池における各電池は、+の出力端子1及び-の出力端子2のみからなる出力端子を有」するものであるから、上記アも踏まえると、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たす。

オ 本願発明の「太陽電池モジュール」との特定事項について

引用発明の「電源装置」は、「前記複数の電池が、光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子であ」ることから、本願発明の「太陽電池モジュール」に相当する。

よって、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たす。

(2)一致点及び相違点の認定

上記(1)によれば、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。

<一致点>

複数の第1太陽電池セルを含んだ複数の第1サブモジュールを有する第1太陽電池パネルと、

前記第1太陽電池パネルと積層し、複数の第2太陽電池セルを含んだ複数の第2サブモジュールを有する第2太陽電池パネルを有し、

前記第1太陽電池パネルは、光入射側に存在し、

前記第1太陽電池パネルと前記第2太陽電池パネルは電気的に接続し、

前記複数の第1サブモジュールは、配線で電気的に接続され、

前記複数の第2サブモジュールは、配線で電気的に接続され、

前記第1太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有し、

前記第2太陽電池パネルは、1系統の電力出力端子を有する太陽電池モジュール。

<相違点>

「前記複数の第1サブモジュール」同士を電気的に接続する配線、及び、「前記複数の第2サブモジュール」同士を電気的に接続する配線が、本願発明は「バスバー」であるのに対して、引用発明はそうであるのか不明である点。

6 判断

(1)相違点に対する判断

引用発明の「電源装置」は、複数の電池における各電池、つまり、各光電変換素子が「各小型セルが一定個数直列に接続されたものが複数あり、それらが互いに並列の関係で接続されて」いるものであるところ、当業者であれば、「各小型セルが一定個数直列に接続されたもの」(以下「小型セル直列接続構造」という。)同士を「互いに並列の関係で接続」するようにした光電変換素子、つまり、太陽電池を、具体的にどのように構成するかについて、実施に当たり当然に設計するといえる。

他方、太陽電池の技術分野に属する引用文献2には、上記4(2)イで認定したとおりの引用文献2に記載された技術的事項が記載されているところ、これは、要するに、単位セル同士を直列接続して構成されたセル列同士を並列接続させる場合において、これらセル列同士を互いに隣接配置させつつ、並列接続させる一方のセル列の端に設けられた配線と、同じく他方のセル列の端に設けられた配線とを兼用させるという技術的事項であるといえる。そして、当該技術的事項は、引用発明との間で、小型セル直列接続構造同士を「互いに並列の関係で接続」する構造である点で共通するといってよい。

そうすると、引用発明から出発した当業者は、小型セル直列接続構造同士を「互いに並列の関係で接続」するようにした太陽電池を具体的に構成するために、引用文献2に記載された技術的事項に接するとともに、採用することができるといえる。しかるに、このような当業者は、引用発明の各光電変換素子において、小型セル直列接続構造同士を互いに並列の関係で接続するようにするために、小型セル直列接続構造同士を互いに隣接配置させつつ、そのうち一の小型セル直列接続構造の端に設けられた配線(「バスバー」といえる。)とそれと隣接する他の小型セル直列接続構造の端に設けられた配線(同じく「バスバー」といえる。)とを兼用させるように構成することを適宜なし得たといえる。そして、このように構成したことにより、当業者は、相違点に係る本願発明の構成に至ったことになる。

(2)効果について

本願発明の効果は、本願発明の構成が奏するものとして、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が予測し得たものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(3)請求人の主張について

請求人は、引用発明に引用文献2に記載された太陽電池モジュールを採用すると、1層目電池マトリックスの背面及び2層目電池マトリックスの背面に、カソード用配線20、アノード用配線22及び端子ボックス32が設けられることになり、このような配線及び端子ボックスの存在はボトム側のモジュールの発電効率を落とすことにつながるから、上記の採用には阻害要因が存在する旨を主張している。

しかしながら、引用文献2には、上記4(2)イのとおり、電池マトリックスの背面に設けられるカソード用配線、アノード用配線及び端子ボックスについての構成(以下「背面構成」という。)とは関連しない技術的事項が記載されていることを認定できる。すなわち、引用文献2の記載をみると、同文献には、単位セルの個数を低減した太陽電池モジュールは、通常の太陽電池モジュールと同一設備・工程で製造することができない(【0011】)ため、この課題を解決するために、電流が互いに逆方向に流れるセル列を設け、且つこれらのセル列を並列接続する(【0018】)ようにして、セル列の個数を低減することなく低電圧用の太陽電池モジュールを構成することができるという(【0019】)技術的事項が記載されているといえる。このように、引用文献2には、上記で認定した技術的事項が記載されているのであり、そうすると、当業者は、請求人が主張する点を考慮することなく、上記(1)のとおり、相違点に係る本願発明の構成に至ることになる。

仮に、引用文献2に記載された技術的事項を背面構成を含めて認定するとしても、請求人が主張する阻害要因が存在するとはいえない。すなわち、まず、引用発明は、「複数の電池が、光の透過方向に積層され、かつ互いに異なる光吸収特性をもつ光電変換素子」に係るものであるところ、このような構成においては、複数の電池が積層された透過方向の光の透過を確保するべきことが明らかであることから、当業者であれば、引用発明に上記技術的事項を適用する際に、背面構成を採用せず、端子ボックスや配線の位置を背面から光の透過を阻害しない位置に当然変更するといえる。さらにいえば、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用した結果、背面構成が存在するという構造が得られるとしても、太陽電池として動作しないわけではない。そうすると、引用文献2に記載された技術的事項を、背面構成を含めて認定するとしても、請求人が主張する阻害要因が存在するとはいえない。

(4)小括

したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-014760

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