2022-014629
リソグラフィ装置、基板をアンロードする方法、及び基板をロードする方法
- 審判番号
- 2022-014629
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-182045外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月15日
- 審決日
- 2023年11月13日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 分類
- P18 .121-Z (G03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年(平成28年)12月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年2月8日、欧州特許庁、2016年6月2日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願(特願2018-536098号)の一部を令和2年10月30日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本件発明
本願の請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明12」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、令和4年9月15日の補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1及び5の記載は以下のとおりである。
【請求項1】
基板を支持するように構成され、半径r0を有する支持テーブルであって、
ベース面と、
前記支持テーブルのエッジの周りにある第1シールと、
前記第1シールと二重シールを形成するように、前記エッジの周りにある前記第1シールの半径方向内側にある第2シールと、
前記第2シールの半径方向内側にあり、ピンが垂直に延びることを可能にするように構成された複数のホールと、
前記第2シールの半径方向内側にあり、前記ベース面と前記基板の間のギャップからガスを抽出するように構成された複数の第1ガス流開口と、を備え、
前記複数の第1ガス流開口は前記支持テーブルの中心から半径距離r2に配置され、前記複数の第1ガス流開口は、r2:r0が0.5と0.8の間になるように配置される、支持テーブル。
【請求項5】
基板を支持するように構成され、半径r0を有する支持テーブルであって、
ベース面と、
前記支持テーブルのエッジの周りにある第1シールと、
前記第1シールと二重シールを形成するように、前記エッジの周りにある前記第1シールの半径方向内側にある第2シールと、
前記第2シールの半径方向内側にあり、ピンが垂直に延びることを可能にするように構成された複数のホールと、
前記第2シールの半径方向内側にあり、前記ベース面と前記基板の間のギャップからガスを抽出するように構成された複数の第2ガス流開口と、を備え、
前記複数の第2ガス流開口は、前記支持テーブルの中心から半径距離r1に配置され、前記複数の第2ガス流開口は、r1:r0が0.2と0.5の間になるように配置される、支持テーブル。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
この出願の令和4年1月12日補正書により補正された請求項1~14に係る発明は、本願の最先の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2015-018927号公報(平成27年1月29日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
1 引用文献1の記載事項
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引用文献1には、特に第2の実施形態について以下の記載がある(下線は当審が付した。)。
【0064】
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図10(A)~図12を参照して説明する。
【0065】
図10(A)は本実施形態に係るウエハ保持装置8Aを示す平面図、図10(B)は図10(A)のX方向の中央部における縦断面図及びウエハホルダ制御系51Aを示す。ウエハ保持装置8Aは、側壁部54c及び多数の突部54bが形成されたウエハホルダ54を備えている。ウエハWが例えば450mmウエハであれば、側壁部54cは外径が450mmよりわずかに小さいリング状である。
【0066】
また、ウエハホルダ54の上面の側壁部54cで囲まれた領域のほぼ中心に吸着穴(以下、センター吸着穴ともいう)55Aが形成され、センター吸着穴55Aを囲む第1円周47Aに沿ってほぼ等角度間隔で複数の第1の周辺吸着穴55Bが形成され、センター吸着穴55Aを囲む第1円周47Aよりも大きい第2円周47Bに沿ってほぼ等角度間隔で複数の第2の周辺吸着穴55Cが形成され、センター吸着穴55Aを囲む第2円周47Bよりも大きい第3円周47Cに沿ってほぼ等角度間隔で複数の第3の周辺吸着穴55Dが形成されている。吸着穴55A~55Dは、多数の突部54bの間の領域に形成されている。
(当審注:「・・・第3円周47Cに沿ってほぼ等間隔で複数の第4の周辺吸着穴55Dが・・・」の「第4の周辺吸着穴55D」は、前後の文脈に照らして、「第3の周辺吸着穴55D」の明らかな誤記と認められるので、誤記を正して摘記した。)
【0067】
本実施形態において、ウエハWの裏面をより均一に安定に載置面54aに吸着するためには、第1~第3の周辺吸着穴55B~55Dの個数はそれぞれ少なくとも6個であることが好ましい。ただし、第1~第3の周辺吸着穴55B~55Dの個数は任意であり、周辺吸着穴55B~55Dの個数が互いに異なっていても良い。これらの吸着穴55A,55B,55C,55Dは、図10(B)に示すように、それぞれウエハホルダ54の底部内の互いに独立な排気路54d1,54d2等、及びZステージ53内の互いに独立な排気路53b1,53b2,53b3,53b4を介してステージ本体30内に設置された排気管61B1,61B2,61B3,61B4に連通している。排気管61B1~61B4は、可撓性を持つ排気管61Aを介して真空ポンプ62に接続されている。
【0068】
排気管61B1,61B2,61B3,61B4にはそれぞれ真空吸着を開始させるための吸着バルブV11,V12,V13,V14、及び排気管61B1~61B4の内部に大気に連通させて真空吸着を解除するための吸着解除バルブV21,V22,V23,V24が装着されている。バルブV11~V14,V21~V24の開閉はウエハホルダ制御系51Aによって制御される。ウエハホルダ54の複数の吸着穴55A~55Dが設けられた底部、排気管61A,61B1~61B4、及び真空ポンプ62を含んで、ウエハWをウエハホルダ54の載置面54aに真空吸着によって保持する吸着機構52Aが構成されている。本実施形態では、ウエハホルダ制御系51Aは、吸着穴55A~55Dを介するウエハWに対する真空吸着及び真空吸着の解除のタイミングを互いに独立に制御できる。
【0069】
また、ウエハホルダ54の側壁部54cで囲まれた領域において、例えば第1円周47Aと第2円周47Bとの間の円周47Tに沿ってほぼ等角度間隔で、複数(図10(A)では3本)のそれぞれウエハWを真空吸着によって保持した状態でZ方向に昇降可能なZ方向に細長い円筒状のセンターピン44Aが配置されている。複数のセンターピン44Aは、それぞれウエハホルダ54及びZステージ53に設けられた開口に挿通されている。センターピン44Aの先端部は平坦であり、センターピン44Aの中央の吸着穴44Aaは、それぞれステージ本体30内の可撓性を持つ排気管60A及び固定された排気管61Cを介して排気管61Aに連通しており、排気管61Cにも、センターピン44Aによる真空吸着を開始させるための吸着バルブV3及びその真空吸着を解除するための吸着解除バルブV4が装着されている。ウエハホルダ制御系51AがバルブV3,V4の開閉を制御する。
【0073】
その後、図11(A)に示すように、センターピン44Aを同期して降下させて(ステップ134)、ウエハWがウエハホルダ54の載置面54aに近づいたときに、ウエハホルダ制御系51Aは、ウエハホルダ54のセンター吸着穴55Aを介した真空吸着を開始させる(ステップ136)。そして、センターピン44Aの先端部が載置面54aを横切る直前に、センターピン44AによるウエハWの真空吸着を解除し、センターピン44Aをさらに降下させる(ステップ138)。この動作とほぼ並行して、ウエハホルダ制御系51Aは、図11(B)に示すように、ウエハホルダ54の第1の周辺吸着穴55Bを介した真空吸着を開始させる(ステップ140)。次に、第2の周辺吸着穴55Cを介した真空吸着を開始させた後(ステップ142)、第3の周辺吸着穴55Dを介した真空吸着を開始させる(ステップ144)。このとき、図10(B)に示すように、ウエハWの裏面がウエハホルダ54の載置面54aに載置されて、ウエハWがセンターピン44Aからウエハホルダ54に受け渡されたことになる。
【0074】
この場合、図11(A)に示すように、ウエハWの裏面が載置面54aに近づいたときに、ウエハホルダ54のセンター吸着穴55Aを介する真空吸着が開始されるため、ウエハWはまず中心部がウエハホルダ54に吸着され、下凸形状となって載置面54aに載置される。その後、次第にセンター吸着穴55Aに近い周辺吸着穴55B~55Dの順に真空吸着が開始され、ウエハWはその中心部から周縁部の順にウエハホルダ54に吸着される。従って、ウエハWが例えば直径450mmの円板状の基板のような大型の基板であっても、ウエハWをウエハホルダ54の載置面54aに載置したときに、ウエハWの皺状の変形、反り、又は歪み等が生じにくくなり、ウエハWの裏面と載置面54a(側壁部54c及び多数の突部54bの上面)との間に部分的に隙間(空間)が生じにくくなり、ウエハWは高い平面度でウエハホルダ54に保持される。
【図10】
[図:0001408448000001.jpg]
2 引用文献1から読み取れる事項
ウエハホルダの外径について、上記1に示した図10(b)では、ウエハホルダ54の左右の端部は、ウエハWの左右の端部よりも少し外側にまで存在する形状であることがみてとれるから、ウエハホルダ54はウエハWの外径よりも少し大きい外径r(ウエハホルダ)を有しているといえる。
3 引用発明の認定
上記1及び2からみて、引用文献1には、第2の実施形態に係るウエハ保持装置8Aに備えられるウエハホルダ54について、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考までに引用発明の認定に用いた段落番号等を括弧内に記載してある。)。
「ウエハ保持装置8Aに備えられるウエハホルダ54であって、(【0065】)前記ウエハホルダ54は、ウエハWの外径よりも少し大きい外径r(ウエハホルダ)を有し、上面に環状の側壁部54c及び多数の突部54bが形成され、(【0065】・【0066】・上記2)前記側壁部54cはその外径がウエハWの外径よりわずかに小さいリング状であり、(【0065】)前記ウエハホルダ54の前記側壁部54cで囲まれた領域において、ウエハWを真空吸着によって保持した状態でZ方向に昇降可能なZ方向に細長い円筒状のセンターピン44Aが配置されており、当該複数のセンターピン44Aは、それぞれウエハホルダ54に設けられた開口に挿通されており、(【0069】)前記ウエハホルダ54の上面の側壁部54cで囲まれた領域には、ほぼ中心にセンター吸着穴55Aが形成され、センター吸着穴55Aを囲む第1円周47Aに沿って複数の第1の周辺吸着穴55Bが形成され、センター吸着穴55Aを囲む当該第1円周47Aよりも大きい第2円周47Bに沿って複数の第2の周辺吸着穴55Cが形成され、センター吸着穴55Aを囲む当該第2円周47Bよりも大きい第3円周47Cに沿って複数の第3の周辺吸着穴55Dが形成されており、(【0066】)ウエハWの裏面が載置面54aに近づいたときに、ウエハホルダ54のセンター吸着穴55Aを介する真空吸着が開始され、その後、次第にセンター吸着穴55Aに近い前記周辺吸着穴55B~55Dの順に真空吸着が開始され、ウエハWはその中心部から周縁部の順に前記ウエハホルダ54に吸着される、(【0074】)ウエハホルダ54。」
第5 対比
1 本件発明1について
本件発明1と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
引用発明の「ウエハW」、外径r(ウエハホルダ)を有する「ウエハホルダ54」、ウエハホルダの「上面」、「センターピン44A」、複数のセンターピン44Aが挿通されている「開口」及び「複数の第2の周辺吸着穴55C」は、それぞれ本願発明1の「基板」、「半径r0を有する支持テーブル」、「ベース面」、「ピン」、「複数のホール」及び「第1ガス流開口」に相当する。
また、引用発明における「側壁部54c」は、その構造及び形状からみて、当該側壁部の内部にある周辺吸着穴から真空吸着を行う際に、ウエハWの周辺から前記内部方向に向かう空気の流れに対する抵抗となる凸状部材であることは明らかであるから、当該「側壁部54c」と本件発明1における「第1シール」及び「第2シール」とは、支持テーブルのエッジの周りにある環状の凸状部材であり、当該凸状部材の内部のガス流開口から真空吸着を行う際に、基板の周辺から前記内部方向に向かう空気の流れに対する抵抗となる凸状部材である点で共通する。
また、引用発明の「複数の第2の周辺吸着穴55C」は、半径方向においてより内側の第1の周辺吸着穴55Bとより外側の第3の周辺吸着穴55Dの間となる半径方向中間領域に存在するから、当該「複数の第2の周辺吸着穴55C」と本件発明1の「第1ガス流開口」は、半径方向中間領域に存在するように配置される点で共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明は、以下の点において一致する。
「基板を支持するように構成され、半径r0を有する支持テーブルであって、ベース面と、前記支持テーブルのエッジの周りにある環状の凸状部材であり、当該凸状部材の内部のガス流開口から真空吸着を行う際に、基板の周辺から前記内部方向に向かう空気の流れに対する抵抗となる凸状部材と、前記環状の凸状部材の半径方向内側にあり、ピンが垂直に延びることを可能にするように構成された複数のホールと、前記環状の凸状部材の半径方向内側にあり、前記ベース面と前記基板の間のギャップからガスを抽出するように構成された複数の第1ガス流開口と、を備え、前記複数の第1ガス流開口は前記支持テーブルの中心から半径距離r2に配置され、前記複数の第1ガス流開口は、半径方向中間領域に存在するように配置される、支持テーブル。」
そして、本件発明1と引用発明は、以下の点で相違する。
相違点1
「空気の流れに対する抵抗となる凸状部材」について、本件発明1は、第1シール及び第2シールからなる二重シールであるのに対して、引用発明は、側壁部54cであって、二重シールではない点。
相違点2
「複数の第1ガス流開口」の配置について、本件発明1は、複数の第1ガス流開口の半径距離r2が、r2:r0が0.5と0.8の間になるように配置されるのに対して、引用発明は、複数の第2の周辺吸着穴55Cの配置が、ウエハホルダの外径r(ウエハホルダ)に対して、0.5と0.8の距離に配置されることは具体的に記載されているものではない点。
2 本件発明5について
本件発明5と引用発明との一致点及び相違点1は、上記本件発明1と引用発明との一致点及び相違点1と同じであり、また、下記相違点3において相違する。
相違点3
「複数の第2ガス流開口」の配置について、本件発明5は、複数の第2ガス流開口の半径距離r1が、r1:r0が0.2と0.5の間になるように配置されるのに対して、引用発明は、複数の第2の周辺吸着穴55Cの配置が、ウエハホルダの外径r(ウエハホルダ)に対して、0.2と0.5の距離に配置されることは具体的に記載されているものではない点。
第6 判断(相違点についての検討)
1 本件発明1について
(1)相違点1について
支持テーブルのエッジの周りにある環状の凸状部材であって、当該凸状部材の内部のガス流開口から真空吸着を行う際に、基板の周辺から前記内部方向に向かう空気の流れに対する抵抗となる凸状部材を2つ設けた二重シールを有する基板テーブルは周知であり(文献2(特開2013-38420号公報)の【0098】~【0100】及び図8に見られる2つの周辺流れ制限構造50A及び50Bが形成する二重シール、文献3(特開平1-319965号公報)の3頁右下欄18行~4頁左上欄6行、4頁右上欄6~11行、4頁右下欄19行~5頁左上欄7行、図1、図5及び図8に見られる環状凸部10a及び10bが形成する二重シール、文献4(特開平10-233433号公報)の【0028】~【0029】及び図12に見られる環状凸部27a及び27bが形成する二重シール、文献5(特開2011-23716号公報)の【0054】~【0056】及び図7に見られる2つの突起91、92が形成する二重シール、文献6(特開2013-42128号公報)の【0106】~【0107】、【0112】、図19及び図20に見られる環帯を形成する細長隆起凸部45及び2つのシール47が形成する二重及び多重シール)、引用発明における側壁部54cを、基板の周辺から前記内部方向に向かう空気の流れに対する抵抗となる適切な凸状部材を構成するうえで、凸状部材を2つ設けた上記周知の二重シールとすることは当業者が適宜採用し得ることである。
よって、相違点1に係る本件発明1の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。
(2)相違点2について
引用文献1には、第2の円周上に沿って形成された複数の第2の周辺吸着穴55Cの配置が、ウエハホルダの外径r(ウエハホルダ)に対して、具体的に0.5と0.8の距離に配置されることは記載されていないが、引用発明では、ウエハWの裏面が載置面54aに近づいたときに、ウエハホルダ54のセンター吸着穴55Aを介する真空吸着が開始され、その後、次第にセンター吸着穴55Aに近い第1の周辺吸着穴55B、第2の周辺吸着穴55C、第3の周辺吸着穴55Dによる吸着が開始され、ウエハはその中心部から周縁部の順にウエハホルダに吸着されるところ、そうすることによって、ウエハWが大型の基板であっても、ウエハWをウエハホルダ54の載置面54aに載置したときに、ウエハWの皺状の変形、反り又は歪み等が生じにくくなり、ウエハWの裏面と載置面54a(側壁部54c及び多数の突部54bの上面)との間に部分的に隙間(空間)が生じにくくなり、ウエハWは高い平面度でウエハホルダ54に保持されるものである(引用文献1の【0074】)。
このように、引用発明は、ウエハWをその中心部から周縁部の順にウエハホルダ54に吸着させることによって、ウエハWを高い平面度でウエハホルダ54に保持されるようにするものであることから、そのような吸着をさせるための、ウエハホルダ54の径方向中心から順に形成されたセンター吸着穴55A、複数の第1の周辺吸着穴55B、複数の第2の周辺吸着穴55C及び複数の第3の周辺吸着穴55Dは、センター吸着穴55Aを中心にして、径方向におおむね等間隔に配置されるのが自然であるといえる。そうだとすれば、(最外の周辺吸着穴である)第3の周辺吸着穴55Dの配置がウエハの外径の3/4程度~1程度の半径距離となると解されることになるから、第2の周辺吸着穴55CはウエハWの外径の1/2程度~2/3程度の半径距離に配置されるのが自然であるといえる。
そして、引用発明では、ウエハホルダ54はウエハWの外径よりも少し大きい外径r(ウエハホルダ)を有している。
そうすると、引用発明において、第2の周辺吸着穴55Cの配置を、相違点2に係る本件発明1で特定された程度の半径距離である0.5~0.8の間とすることは、当業者が適宜なし得たことであるというべきである。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、相違点1及び2に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、当該相違点1及び2を備える本件発明1の効果は、本件発明1の構成が奏するものとして当業者が容易に予測できる範囲のものである。
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
2 本件発明5について
(1)相違点1について
相違点1については、上記1(1)と同様である。
(2)相違点3について
上記1(2)で説示したとおり、引用発明において、第2の周辺吸着穴55CはウエハWの外径の1/2程度~2/3程度の半径距離に配置されるのが自然であり、ウエハホルダ54はウエハWの外径よりも少し大きい外径r(ウエハホルダ)を有している。
そうすると、引用発明において、第2の周辺吸着穴55Cの配置を、相違点3に係る本件発明5で特定された程度の半径距離である0.2~0.5の間とすることは、当業者が適宜なし得たことであるというべきである。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、相違点1及び3に係る本件発明5の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、当該相違点1及び3を備える本件発明5の効果は、本件発明5の構成が奏するものとして当業者が容易に予測できる範囲のものである。
以上のとおりであるから、本件発明5は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、引用文献1には、「第2円周をウエハテーブルの半分程度の大きさとすること」について、何ら記載されていないことを主張するが、上記1(2)のとおり、当該構成とすることは、引用文献1の記載に基づいて当業者が適宜なし得たことである。
(2)請求人は、引用文献1には、基板の平坦度を向上させるために、支持テーブルの所定の範囲内にガス流開口を配置することについて記載されていないことを主張するが、上記1(2)で説示したとおり、引用文献1には、引用発明のようにウエハホルダ54のセンター吸着穴55Aを介する真空吸着が開始され、その後、次第にセンター吸着穴55Aに近い第1の周辺吸着穴55B、第2の周辺吸着穴55C、第3の周辺吸着穴55Dによる吸着が開始されることによって、ウエハWはその中心部から周縁部の順にウエハホルダ54に吸着されることにより、ウエハWは高い平面度でウエハホルダ54に保持されることが記載されているから、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1及び5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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