2022-014306
遊技機
- 審判番号
- 2022-014306
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-047962外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月12日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、令和2年3月18日の出願であって、令和3年12月23日付けで拒絶の理由(以下「拒絶理由」という。)が通知され、令和4年2月22日に意見書が提出され、同年6月23日付け(謄本送達日:同年同月28日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年9月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明(以下「本願発明1」等という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次のとおりのものである。なお、符号A等は、分説するため当審で付与した。以下、分説された本願発明1~4の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項A」等という。
「【請求項1】A 遊技によって遊技者が得た利益値を表示する表示手段と、B 対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する表示制御手段と、を備える続きを表示(全20行)C ことを特徴とする遊技機。D ただし、前記Nの値は、前記対象領域に一の遊技球が進入することで払い出される賞球数であるとする。【請求項2】E 前記対象領域に進入しなかった遊技球が検出されることを契機として、前記利益値が「1」減少する表示がなされるF ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。【請求項3】G 前記対象領域に進入したか否かに拘わらず、遊技球が遊技領域外まで移動したことを検出する発射球数検出手段を備え、H 前記発射球数検出手段により検出される各遊技球が、前記対象領域に進入したものかどうかを区別するための調整用カウンタを備えるI ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。【請求項4】J 前記利益値として表示される値をカウントする表示用カウンタを備え、K 前記対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記表示用カウンタの値が「N-1」増加するとともに、前記調整用カウンタの値が「1」増加するように制御し、L 前記発射球数検出手段に遊技球が検出されることを契機として、前記調整用カウンタの値が「1」以上であれば当該調整用カウンタの値が「1」減少するよう制御する一方、前記調整用カウンタの値が「0」であれば前記表示用カウンタの値が「1」減少するよう制御するM ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。」
第3 拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由は、次の理由を含むものである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1、2
・引用文献1 特開2013-226211号公報
第4 引用文献1
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶理由において引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2013-226211号公報(平成25年11月7日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
(1)「【0016】以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」
(2)「【0020】遊技盤2における遊技領域の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。……【0028】続きを表示(全16行)演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。……【0030】普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。……【0031】普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。……【0033】大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。……【0036】遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。このアウト口内には、アウト口に進入する遊技玉数を検出するためのアウト玉スイッチ24が設けられている。」
(3)「【0077】パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。…………【0080】演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、演出表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。」
(4)「【0082】図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23、アウト玉スイッチ24からの検出信号を伝送する配線が接続されている。なお、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23、アウト玉スイッチ24は、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。【0083】主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば演出表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L、8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、遊技効果ランプ9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。続きを表示(全11行)【0084】図3(A)は、この実施の形態で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。演出制御コマンドは、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。なお、図3(A)に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。……【0091】コマンドB3XXHは、通入賞球装置6A(当審注:「通入賞球装置6A」は「普通入賞球装置6A」の誤記と認める。)が形成する第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aにより検出されて始動入賞(第1始動入賞)が発生したこと、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bにより検出されて始動入賞(第2始動入賞)が発生したこと、または、特別可変入賞球装置7が形成する大入賞口を通過(進入)した遊技球がカウントスイッチ23により検出されて大入賞が発生したことに基づき、各入賞口への入賞に応じた払い出し球数(当審注:「払い出し球数」は、「払い出し玉数」の誤記と認める。)を通知する払い出し球数指定コマンド(当審注:「払い出し球数指定コマンド」は、「払い出し玉数指定コマンド」の誤記と認める。以下同様。)である。【0092】B400Hは、アウト口を通過(進入)した遊技球がアウト玉スイッチ24により検出されたことに基づき、アウト玉が発生したことを通知するアウト玉検出指定コマンドである。……。」
(5)「【0178】図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。」
(6)「【0306】演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、図32のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。図32に示す演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップS71)、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う(ステップS72)。タイマ割込みフラグは、例えばCTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(例えば2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば(ステップS72;No)、ステップS72の処理を繰り返し実行して待機する。……【0308】ステップS72にてタイマ割込みフラグがオンである場合には(ステップS72;Yes)、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にするとともに(ステップS73)、コマンド解析処理を実行する(ステップS74)。ステップS74にて実行されるコマンド解析処理では、例えば主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御などが行われる。【0309】ステップS74にてコマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する(ステップS75)。ステップS75の演出制御プロセス処理では、例えば画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作、遊技効果ランプ9及び装飾用LEDといった装飾発光体における点灯動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われる。」
(7)「【0311】図33は、コマンド解析処理として、図32のステップS74にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図33に示すコマンド解析処理において、演出制御用CPU120は、まず、演出制御コマンド受信用バッファの記憶内容を確認することなどにより、中継基板15を介して伝送された主基板11からの受信コマンドがあるか否かを判定する(ステップS501)。…………【0318】ステップS510にて受信コマンドが第2保留記憶数通知コマンドではない場合には(ステップS510;No)、ステップS515に進んで、払い出し球数指定コマンド(当審注:払い出し玉数指定コマンド)を受信したか否かを判定する。このとき、演出制御用CPU120は、払い出し球数指定コマンド(当審注:払い出し玉数指定コマンド)を受信したと判定すれば(ステップS515;Yes)、純増数更新処理を実行した後に(ステップS516)、ステップS501に移行する。【0319】ステップS515にて払い出し球数指定コマンド(当審注:払い出し玉数指定コマンド)を受信していないと判定されたときには(ステップS515;No)、演出制御用CPU120は、アウト玉検出指定コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS519)。このとき、演出制御用CPU120は、アウト玉検出指定コマンドを受信したと判定すると(ステップS519;Yes)、純増数更新処理を実行した後に(ステップS520)、ステップS501に移行する。」
(8)「【0326】図34は、純増数更新処理として、図33のステップS515、ステップS520にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図34に示す純増数更新処理において、演出制御用CPU120は、まず、演出制御フラグ設定部191における時短フラグを確認することなどにより、遊技状態が時短状態(高ベース中)であるか否かを判定する(ステップS800)。……【0327】一方で、遊技状態が時短状態(高ベース中)でなければ(ステップS800;No)、ステップS810に進み、演出制御用CPU120は、演出制御フラグ設定部191における大当り中フラグを確認することなどにより、遊技状態が大当り遊技中か否かを判定する。遊技状態が大当り遊技中であれば(ステップS810;Yes)、ステップS811に進み、遊技状態が大当り遊技中でなければ(ステップS810;No)、純増数更新処理を終了する。【0328】ステップS811の処理では、演出制御用CPU120は、払い出し玉数指定コマンドを受信したか否かを判定する。演出制御用CPU120は、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定すると(ステップS811;Yes)、払い出し玉数指定コマンドからEXTデータを抽出した後に、抽出したEXTデータが示す指定された玉数を、例えば、演出制御カウンタ設定部193に設定されている大当り中純増数カウント領域に記憶されている大当り中純増数に加算して(ステップS812)ステップS803(当審注:「ステップS803」は、「ステップS813」の誤記と認める。)に進む。また、払い出し玉数指定コマンドを受信していないと判定したときには(ステップS811;No)、ステップS813に進む。そして、ステップS813の処理では、大当り中純増数から1を減算して純増数更新処理を終了する。」
(9)「【0329】図35は、演出制御プロセス処理として、図32のステップS75にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図35に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU120は、まず、第1保留記憶数表示エリア5D及び第2保留記憶数表示エリア5Uにおける保留記憶表示を更新する保留表示更新処理を実行する(ステップS630)。【0330】更に、演出制御用CPU120は、時短状態(高ベース状態)の残り変動表示回数を報知する高ベース残り期間報知処理を実行し(ステップS631)、時短状態中(高ベース中)に増加した玉数を演出表示装置5に表示する純増数表示処理を実行する(ステップS632)。」
(10)「【0346】図37は、図35のステップS632にて実行される純増数表示処理の一例を示すフローチャートである。図37に示す純増数表示処理において、演出制御用CPU120は、まず、演出制御フラグ設定部191における大当り中フラグを確認することなどにより、大当り遊技状態中であるか否かを判定する(ステップS720)。大当り遊技状態中であれば(ステップS720;Yes)、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の右上部に演出制御カウンタ設定部193に記憶されている大当たり中純増数を表示して純増数表示処理を終了し、大当り遊技状態中でなければ(ステップS720;No)、更に、演出制御コマンド受信用バッファの当り終了指定コマンド受信フラグを確認することなどにより、大当り遊技状態の終了時であるか否かを判定する(ステップS722)。……【0347】遊技状態が時短状態(高ベース状態)であれば(ステップS724;Yes)、後述する高ベース中純増数表示待ちフラグがセットされているか否かを判定する(ステップS725)。高ベース中純増数表示待ちフラグがセットされていれば(ステップS725;Yes)、純増数表示処理を終了し、高ベース中純増数表示待ちフラグがセットされていなければ(ステップS725;No)、演出表示装置の左上部に高ベース中純増数を表示して(ステップS726)純増数表示処理を終了する。」
(11)「【図1】[図:0001398101000001.jpg]」
(12)「【図2】[図:0001398101000002.jpg]」
(13)「【図3】[図:0001398101000003.jpg]」
(14)「【図32】[図:0001398101000004.jpg]」
(15)「【図33】[図:0001398101000005.jpg]」
(16)「【図34】[図:0001398101000006.jpg]」
(17)「【図35】[図:0001398101000007.jpg]」
(18)「【図37】[図:0001398101000008.jpg]」
2 引用発明
上記1からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、発明特定事項A等に概ね対応させて符号a,b,d,e-1等を付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a,b,d,e-1遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されており、遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されており、この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれ(【0016】)、a,b,d,e-2遊技盤2における遊技領域の中央付近には、演出表示装置5が設けられており(【0020】)、続きを表示(全37行)演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられており、普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成し、普通可変入賞球装置6Bは、普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成し(【0028】)、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、第1始動口スイッチ22Aによって検出され、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、第2始動口スイッチ22Bによって検出され、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され(【0030】)、普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられており、特別可変入賞球装置7は、大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成し(【0031】)、大入賞口を通過(進入)した遊技球は、カウントスイッチ23によって検出され、カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出され(【0033】)、遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられており、このアウト口内には、アウト口に進入する遊技玉数を検出するためのアウト玉スイッチ24が設けられており(【0036】)、a,b,d,e-3主基板11、演出制御基板12が搭載されており、また、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されており(【0077】)、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5による演出動作を制御するための各種回路が搭載されており(【0080】)、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120が搭載されており(【0178】)、a,b,d,e-4主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23、アウト玉スイッチ24からの検出信号を伝送する配線が接続されており(【0082】)、主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継され、中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドであり(【0083】)、演出制御コマンドは、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表し(【0084】)、コマンドB3XXHは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aにより検出されて始動入賞(第1始動入賞)が発生したこと、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bにより検出されて始動入賞(第2始動入賞)が発生したこと、または、特別可変入賞球装置7が形成する大入賞口を通過(進入)した遊技球がカウントスイッチ23により検出されて大入賞が発生したことに基づき、各入賞口への入賞に応じた払い出し玉数を通知する払い出し玉数指定コマンドであり(【0091】)、B400Hは、アウト口を通過(進入)した遊技球がアウト玉スイッチ24により検出されたことに基づき、アウト玉が発生したことを通知するアウト玉検出指定コマンドであり(【0092】)、a,b,d,e-5演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、演出制御メイン処理を実行し、演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して、その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行い(【0306】)、タイマ割込みフラグがオンである場合には、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にするとともに、コマンド解析処理を実行し、コマンド解析処理では、例えば主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御などが行われ(【0308】)、コマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行し、演出制御プロセス処理では、例えば画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われ(【0309】)、a,b,d,e-6コマンド解析処理において(【0311】)、払い出し玉数指定コマンドを受信したか否かを判定し、演出制御用CPU120は、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定すれば、純増数更新処理を実行し(【0318】)、払い出し玉数指定コマンドを受信していないと判定されたときには、演出制御用CPU120は、アウト玉検出指定コマンドを受信したか否かを判定し、演出制御用CPU120は、アウト玉検出指定コマンドを受信したと判定すると、純増数更新処理を実行し(【0319】)、a,b,d,e-7純増数更新処理において(【0326】)、演出制御用CPU120は、遊技状態が大当り遊技中か否かを判定し、遊技状態が大当り遊技中であれば(【0327】)、演出制御用CPU120は、払い出し玉数指定コマンドを受信したか否かを判定し、演出制御用CPU120は、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定すると、払い出し玉数指定コマンドからEXTデータを抽出した後に、抽出したEXTデータが示す指定された玉数を、演出制御カウンタ設定部193に設定されている大当り中純増数カウント領域に記憶されている大当り中純増数に加算してステップS813に進み、また、払い出し玉数指定コマンドを受信していないと判定したときには、ステップS813に進み、そして、ステップS813の処理では、大当り中純増数から1を減算して純増数更新処理を終了し(【0328】)、a,b,d,e-8演出制御プロセス処理において(【0329】)、演出制御用CPU120は、増加した玉数を演出表示装置5に表示する純増数表示処理を実行し(【0330】)、a,b,d,e-9純増数表示処理において、演出制御用CPU120は、まず、大当り遊技状態中であるか否かを判定し、大当り遊技状態中であれば、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の右上部に演出制御カウンタ設定部193に記憶されている大当たり中純増数を表示して純増数表示処理を終了する(【0346】)c,f パチンコ遊技機1(【0016】)。」
第5 対比
本願発明1~2と引用発明を対比する。
1 発明特定事項Aについて
引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9における「大当たり中純増数」は、本願発明1の発明特定事項Aにおける「遊技によって遊技者が得た利益値」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9における「大当たり中純増数を表示」する「演出表示装置5」は、本願発明1の発明特定事項Aにおける「遊技によって遊技者が得た利益値を表示する表示手段」に相当する。
よって、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9は、本願発明1の発明特定事項Aに相当する構成を含む。
2 発明特定事項B、Dについて
上記1で述べたように、引用発明の「大当たり中純増数」は、本願発明1の「遊技によって遊技者が得た利益値」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4における「各入賞口」は、本願発明1の発明特定事項Bにおける「対象領域」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4において「払い出し玉数」が「各入賞口への入賞に応じた」ものであることは、本願発明1の発明特定事項Dにおいて「前記Nの値は、前記対象領域に一の遊技球が進入することで払い出される賞球数である」ことに相当し、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4における「払い出し玉数」は、本願発明1の発明特定事項Bにおける「N」を示す数値に相当する。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4によれば、引用発明の「払い出し玉数指定コマンド」は、「各入賞口への入賞に応じた払い出し玉数を通知する」ところ、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-7によれば、「純増数更新処理」では、「演出制御用CPU120」は、「払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定すると、」「抽出したEXTデータが示す指定された玉数を、演出制御カウンタ設定部193に設定されている大当り中純増数カウント領域に記憶されている大当り中純増数に加算してステップS813に進み」、「ステップS813の処理では、大当り中純増数から1を減算」するから、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「各入賞口への入賞」を契機として、「大当り中純増数」に「払い出し玉数」を「加算」してさらに「1」を「減算」するものであるといえる。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9における「演出制御用CPU120」は、本願発明1の発明特定事項Bにおける「表示制御手段」に相当し、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9において「演出制御用CPU120」が「大当たり中純増数を表示」することは、本願発明1の発明特定事項Bにおいて「表示制御手段」が「前記利益値」を「表示する」ことに相当する。
ここで、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-5によれば、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「コマンド解析処理を実行した後に」「演出制御プロセス処理を実行」するものであり、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-6によれば、「演出制御用CPU120」は「コマンド解析処理」で「純増数更新処理を実行」するものであり、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-8によれば、「演出制御用CPU120」は「演出制御プロセス処理」で「純増数表示処理を実行」するものであるから、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「純増数更新処理」を実行した後に「純増数表示処理」を実行するものである。そうすると、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「純増数更新処理」において、「各入賞口への入賞」を契機として、「大当り中純増数」に「払い出し玉数」を「加算」してさらに「1」を「減算」した後に、「純増数表示処理」において、計算された「大当たり中純増数」を「表示」するものである(換言すれば、引用発明では、「払い出し玉数」を「加算」しただけの「大当たり中純増数」は表示されない。)。
したがって、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、「前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」といえる。
よって、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-3から9は、本願発明1の発明特定事項B、Dに相当する構成を含む。
3 発明特定事項Cについて
引用発明の発明特定事項c,fにおける「パチンコ遊技機1」は、本願発明1の発明特定事項Cにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の発明特定事項c,fは、本願発明1の発明特定事項Cに相当する構成を含む。
4 発明特定事項Eについて
上記1で述べたように、引用発明の「大当たり中純増数」は、本願発明2の「利益値」に相当する。
また、上記2で述べたように、引用発明の「各入賞口」は、本願発明2の「対象領域」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4によれば、引用発明の「払い出し玉数指定コマンド」は、「各入賞口への入賞に応じた払い出し玉数を通知する」ものであり、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-9によれば、「演出制御用CPU120」が「大当たり中純増数を表示」するところ、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-7によれば、引用発明では、「払い出し玉数指定コマンドを受信していないと判定したときには、ステップS813に進み、そして、ステップS813の処理では、大当り中純増数から1を減算」するから、引用発明では、「前記対象領域に進入しなかった遊技球が検出されることを契機として、前記利益値が「1」減少する表示がなされる」といえる。
よって、引用発明の発明特定事項a,b,d,e-4、7及び9は、本願発明2の発明特定事項Eに相当する構成を含む。
5 発明特定事項Fについて
引用発明の発明特定事項c,fにおける「パチンコ遊技機1」は、本願発明2の発明特定事項Fにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の発明特定事項c,fは、本願発明2の発明特定事項Fに相当する構成を含む。
第6 当審の判断
1 本願発明1の新規性、進歩性について
上記第5によれば、本願発明1と引用発明は、
「【請求項1】A 遊技によって遊技者が得た利益値を表示する表示手段と、B 対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する表示制御手段と、を備えるC 遊技機。D ただし、前記Nの値は、前記対象領域に一の遊技球が進入することで払い出される賞球数であるとする。」
の点で一致し、相違するところはない。
よって、本願発明1は引用発明であるから、本願発明1は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書の「(3)原査定が取り消されるべき理由」において、以下のとおり主張する。
「3-1)取消事由1(イ)原査定は、『純増数更新処理として、払い出し玉数指定コマンドを受信すると、大当たり中純増数に指定された球数を加算し、その後に1を減算する点について記載されていて、払い出し玉数指定コマンドは大入賞口への入賞を契機として発せられることは自明であり、』『また、「引用発明における『-1』の制御は、アウト球(非入賞球)が検出されることを契機とする制御であり、本願請求項1にかかる発明のように「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ものではないことも明らか」である旨についても主張している。しかしながら、段落[0319]、[0328]及び図34の記載を参酌すると、払い出し玉数指定コマンドを受信していない、つまり、「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機」としていない場合であって、アウト玉検出指定コマンドを受信したと判定した場合に1を減算することが記載されているものであるから、本願発明との相違点とはならず、よって、出願人のこの主張も採用できない。』続きを表示(全26行)と判断しているが、以下の通り、当該判断は明らかに誤りである。引用発明(引用文献1記載の発明)は、図33に示すように、アウト玉が検出された(S519)場合、純増数更新処理(S520)に移行するものであり、図34の純増数更新処理において、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判断された場合(S801「Yes」、S811「Yes」)、および、払い出し玉数指定コマンドを受信していないと判断された場合(S801「No」、S811「No」)のいずれであっても、高ベース中純増数または大当たり中純増数から1を減算する(S803、S813)よう制御するものであると認められる。このことからすれば、引用発明は、本願発明のように「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ものではないことは明らかである(「一度に表示する」ことは引用文献1に開示がない)。つまり、引用発明は、図33、図34の記載からすれば、払い出し玉数指定コマンドを受信しようが、受信していまいが、アウト玉検出コマンドを受信したときには、アウト玉分の「-1」を実行するように構成されたものであるから、当該「-1」の表示にあたり、入賞の有無(払い出しの有無)を区別してはいない(アウト玉が検出された(S519)場合にもれなく「-1」とするようにしている)ことは明らかなのであって、本願発明のように「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ようにしているとは認められない(例えば、S802やS803が、「高ベース中純増数に指定された球数を加算、かつ、1を減算」や「大当たり中純増数に指定された球数を加算、かつ、1を減算」となっており、その場合にはS803やS813に移行しないようなフローとなっているのであれば、入賞の有無(払い出しの有無)を区別した制御であるといえるから、本願発明のように「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」可能性があるといえるが、入賞の有無(払い出しの有無)を区別することなく、S803やS813において「-1」することが記載されているのであるから、入賞時に一度に「N-1」の表示を行っているはずがない)。(ロ)また、そもそも原査定が示した『払い出し玉数指定コマンドを受信していない、つまり、「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機」としていない場合であって、アウト玉検出指定コマンドを受信したと判定した場合に1を減算することが記載されている』点は、引用発明が「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ものであると断定する根拠になっていない。原査定が示しているのは引用発明における入賞が無い(払い出しが無い)場合の制御であるところ、当該入賞が無い場合の制御が、『入賞時に「N-1」増加することを一度に表示する』よう制御していることの根拠になるはずがない。(ハ)さらに、原査定は、『図42を参酌すると、純増加球数は一括表示されるよう記載されており、加算と減算とを個別に行って個別に表示するように記載されているとは認められない。』としているが、図42のどこを見れば「一括表示」されていることが断定できるのか不明である。図42は、入賞の検出タイミングやアウト玉の検出タイミングに照らして記載されたようなものではないのであるから、当該図から「一括表示」されていると断定することはできないはずである。上記(イ)~(ハ)の通り、「対象領域に遊技球が進入したこと(すなわち入賞)が検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ことが、本願発明と引用発明の相違点に当たらないとした原査定の判断は明らかに誤りであるから、本願は当該判断が正しいことを前提とした新規性、進歩性の拒絶理由を包含するものではない。3-2)取消事由2令和3年12月23日付拒絶理由通知では、本願請求項1にかかる発明の新規性、進歩性が否定される説明として、『引用文献1(特に、段落[0020]、[0030]、[0033]、[0036][0091]-[0092]、[0318]-[0319]、[0327]-[0328]、[0345]、第1、3、33-35、37図参照)には、演出表示装置(「表示手段」に相当)に、大当たり中純増数(「利益値」に相当表示を行う遊技機に関する発明が記載されていて、純増数更新処理として、大当たり中純増数から1を減算する点についても記載されている。)』としか記載されていない。つまり、本願発明が特定する「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」こと(特に「一度に表示する」こと)の根拠が全く記載されていない。なお、拒絶査定では、引用文献1の図42が「一度に表示する」ことの根拠であるかのように示されているが、当該図42は拒絶理由通知にて参照すべき図面としてすら記載されていないものである。つまり、当該図42が本願発明が特定する「一度に表示する」ことの根拠であるとすれば、当該根拠は拒絶査定時にいきなり示されたものであることは明らかである。このように、原査定は、本願発明が特定する「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ことが引用文献1記載のいずれの事項に相当するのかを拒絶理由通知にて出願人および第三者に明確に示すことなくなされたものである。よって、本件審査手続きは特許法第50条の違法(拒絶理由通知の懈怠)がある。3-3)取消事由3令和3年12月23日付拒絶理由通知では、『・・・大当たり中純増数から1を減算する点についても記載されている。)』とする判断を示している。これに対し、出願人は、令和4年2月22日付意見書にて、『今般の拒絶理由通知に記載される通り、引用文献1に記載される発明(引用発明)は、純増数から-1するものであり(段落0326)、本願請求項1にかかる発明のように賞球数から-1するように構成されたものでないことは明らかです(相違点1)』とする反論を行った。つまり、同拒絶理由通知においては、引用発明の「純増数-1」(純増数から1を減算する)とする点が、本願発明の「賞球数-1」である点と一致するとされていたから、それは本願発明と引用発明の相違点である(純増数と賞球数を同一と認定するのは誤りである)とする趣旨の主張を行った。そうであるにもかかわらず、原査定では、『引用文献1の段落[0328]及び図34には、純増数の更新処理は、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定した場合に指定した球数を純増加数に加算した後に1を減算することにより行われることが記載されているから、後に表示される純増数は賞球数から-1するものであり、よって、出願人のこの主張は採用できない。』とした上で本願発明と引用発明が一致すると判断した。このように、拒絶理由通知においては、「純増数から1を減算する点」が引用文献1に開示されていることを根拠に本願発明と引用発明が同一であるとする判断を示していたにもかかわらず、拒絶査定では「賞球数から-1する」点が引用文献1に開示されていることを根拠に本願発明と引用発明が同一であるとする判断を示しており、両者の内容が齟齬していること(本願発明と一致するとされた引用発明の認定が変化していること)は明らかである。拒絶理由通知に記載されている内容に対し出願人が忠実に反論していることは明らかであるところ、その反論に対し、新たな拒絶理由を通知することなく、拒絶査定時にいきなり引用発明の認定を変更することは、出願人にとって不意打ちに当たる。よって、本件審査手続きは特許法第50条の違法(拒絶理由通知の懈怠)がある。」
(2)請求人の主張について検討する。
ア 上記3-1)について
請求人は、引用発明が払い出し玉数指定コマンドを受信した場合及び受信していない場合のいずれであっても純増数から1を減算することから、引用発明は「前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ものではないこと等を主張する。しかしながら、本願発明1~2は、「利益値」をどのように演算するかを特定しておらず、「利益値」がどのように表示するかを特定するものである。
そして、上記第5の2で述べたように、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「純増数更新処理」において、「各入賞口への入賞」を契機として、「大当り中純増数」に「払い出し玉数」を「加算」してさらに「1」を「減算」した後に、「純増数表示処理」において、計算された「大当たり中純増数」を「表示」するものであること(換言すれば、引用発明では、「払い出し玉数」を「加算」しただけの「大当たり中純増数」は表示されないこと。)等から、引用発明は、本願発明1のように「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ものである。
イ 上記3-2)について
拒絶理由では、引用文献1に対して、特に、【0020】、【0030】、【0033】、【0036】、【0091】~【0092】、【0318】~【0319】、【0327】~【0328】、【0345】、【図1】、【図3】、【図33】~【図35】、【図37】を参照すべきことが指摘されている(当審注:「【0345】」は、拒絶理由で【図37】を参照すべきことが指摘されていることから、【図37】に対応する「【0346】」の誤記と認める。なお、原査定では、「【0345】」の部分が「【0346】」に修正された。)。
これらの指摘箇所(特に【0318】~【0319】、【0327】~【0328】、【0346】、【図33】~【図35】、【図37】)は、本願発明1が特定する「対象領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として、前記利益値が「N-1」増加することを一度に表示する」ことの根拠といえるから、原査定は特許法第50条の規定に適合するものである。
ウ 上記3-3)について
拒絶理由の「純増数更新処理として、大当たり中純増数から1を減算する点についても記載されている」との判断は、上記第4や第5で述べたことを踏まえれば、誤りがあるとは認められない(なお、拒絶理由では、上記記載が本願のどの発明特定事項に関するものであるかは明記されていない。しかしながら、上記記載が本願発明1及び本願発明2に対する「備考」欄の記載であることと、上記記載の技術内容が「大当たり中純増数」の「減算」(すなわち、「利益値」の「減少」)に関するものであることから、上記記載は本願発明2の発明特定事項Eに関するものであると認められる。)。
また、原査定の「引用文献1の段落[0328]及び図34には、純増数の更新処理は、払い出し玉数指定コマンドを受信したと判定した場合に指定した球数を純増加数に加算した後に1を減算することにより行われることが記載されているから、後に表示される純増数は賞球数から-1するものであ」るとの判断も、上記第4や第5で述べたことを踏まえれば、誤りがあるとは認められない(なお、上記判断は、意見書における「引用文献1に記載される発明(引用発明)は、純増数から-1するものであり、本願請求項1にかかる発明のように賞球数から-1するように構成されたものでない」旨の主張に対するものであるから、本願発明1の発明特定事項Bに関するものである。)。
エ 以上のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-014306