2022-014187
半導体装置用基板とその製造方法、および半導体装置
- 審判番号
- 2022-014187
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-104222外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月09日
- 審決日
- 2023年05月29日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マクセル株式会社
- 分類
- P18 .113-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月31日に出願された特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和4年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年9月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の請求項6の記載は、次のとおりである。(下線部は、手続補正書の記載のとおりである。)
「【請求項6】半導体素子(14)と、前記半導体素子(14)と電気的に接続する電極部(11b)となる金属部(11)とを有し、前記金属部(11)上への前記半導体素子(14)の搭載、前記半導体素子(14)と前記金属部(11)との電気的接続、封止材(19)による封止がなされる半導体装置であって、前記封止材(19)の底部から露出する前記金属部(11)の裏面には、金属で構成され、部分的に突出する突出部(11d)が設けられており、前記突出部(11d)を除く金属部(11)の裏面と前記封止材(19)の裏面とが略同一平面上に位置し、前記突出部(11d)の表面のみに金属膜(21)が形成されていることを特徴とする半導体装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の(令和4年3月15日に提出された手続補正書により補正された)請求項6の記載は、次のとおりである。
「【請求項6】半導体素子(14)と、前記半導体素子(14)と電気的に接続する電極部(11b)となる金属部(11)とを有し、前記金属部(11)上への前記半導体素子(14)の搭載、前記半導体素子(14)と前記金属部(11)との電気的接続、封止材(19)による封止がなされる半導体装置であって、前記封止材(19)の底部から露出する前記金属部(11)の裏面には、部分的に突出する突出部(11d)が設けられており、前記突出部(11d)を除く金属部(11)の裏面と前記封止材(19)の裏面とが略同一平面上に位置し、前記突出部(11d)の表面のみに金属膜(21)が形成されていることを特徴とする半導体装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である金属部(11)の裏面に設けられる「部分的に突出する突出部(11d)」について「金属で構成され、」と限定を付加するものであって、補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項6に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献1の記載、及び引用発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された特開2000-21919号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために当審において付した。)
「【0025】以上の製造方法により完成された半導体装置1の実装状態を図3に示す。半導体装置1は、実装用突起5とグランド用突起7(図1参照)に対応する金属膜6,8が実装基板15の実装領域17に接触するように導電材16を介して実装される。グランド用突起7に対応する金属膜8が接触する実装領域17は、接地されている。図3では接地されていることを模式的に示しているが、実際には実装基板15表面に形成される配線パターンを介して接地部に接続されている。・・・(中略)・・・【0028】図4~図6は本発明の第2の実施形態を説明するための図であり、図4は第2の実施形態に係る半導体装置断面図及び透視図、図5は第2の実施形態に係る製造工程を説明するための断面図、図6は第2の実施形態に係る半導体装置の部分拡大断面図である。本実施形態は、基本的な構造は第1の実施形態と同様であるが、各端子にワイヤーボンディングを施すための平面領域を設けたことを特徴としている。【0029】図4(a)に示すように、実装用突起25とグランド用突起27とが形成されてなる樹脂パッケージ23内のグランド用突起27の部分に半導体素子22が収容されてなるものであり、実装用突起25とグランド用突起27の表面とその周辺部に、それぞれ金属膜26,28が被着されている。金属膜26,28の周辺部は、特に平面領域26’,28’としている。続きを表示(全12行)【0030】そして、半導体素子22表面の信号端子と金属膜26の平面領域26’とがワイヤー24により電気的に接続されている。また、樹脂パッケージ23のグランド用突起27の部分に封止されている半導体素子22の底面は、導電性接着剤29によって金属膜28に電気的に接触している。半導体装置21における平面的な構成は、図4(b)の底面図に示すように、中央部にグランド用突起27に対応する金属膜28が形成されており、その周辺部に複数の実装用突起25に対応する金属膜26が形成されている。【0031】尚、金属膜26,28の周辺部にはそれぞれ平面領域26’,28’が設けられている。この平面領域26a’28’はワイヤーボンディングのための領域であり、特にこのような領域を形成する理由は後に述べる。本実施形態においても第1の実施形態と同様、半導体素子22は例えばシリコンからなる半導体基板をベースに作られたものであり、この半導体素子22の底面の導電性接着剤は銀ペーストを使用している。この構成により半導体基板から銀ペーストを介したグランド経路ができている。【0032】次に本実施形態に係る製造方法を図5を参照しながら説明する。まず、図5(a)の如く銅材等からなる金属板31表面に所定パターンの第1のレジスト32を被着させる。金属板31の裏面側にはその全面にレジストを被着している。次に、第1のレジスト32をマスクにして金属板31の露出部をハーフエッチングすることにより、図5(b)に示す凹部33a,33bを形成する。【0033】その後、ハーフエッチングにより形成した凹部33a,33b内にメッキを施すことにより、図5(c)に示す第1の金属膜26a,28aを形成する。そして、第1のレジスト32の一部を除去する、或いは第1のレジスト32を全て剥離して新たなパターンのレジストを被着することにより、図5(d)に示すような第2のレジスト34を形成する。【0034】この状態において、第2のレジストをマスクにして露出する表面に再度メッキを施すことにより、図5(e)に示す第2の金属膜26b,28bを形成する。この第2の金属膜26b,28bの周辺部には、図4で説明した平面領域が設けられている。更に、図5(f)に示すように、裏面のレジスト及び第2のレジストを除去してリードフレーム34を完成させた後、このリードフレーム34の凹部33bに対応する金属膜28上に、銀ペーストからなる導電性接着剤29を介して半導体素子22を搭載し、半導体素子22の表面の接続端子と凹部13aに対応する第2の金属膜26bの平面領域との間をワイヤー24をボンディングすることにより、電気的に接続する。【0035】次に、通常のモールド金型を用いた封止技術によって、図5(g)に示す如く樹脂パッケージ23を形成する。最後に、金属板31をエッチングにより除去して、図5(h)の如く半導体装置21を完成させる。尚、本実施形態の製造方法においても、複数の半導体装置21を同時に形成した後、ダイシングすることで個片化するものである。・・・(中略)・・・【0040】図6に示すとおり、実装用突起25(図4参照)に対応する第1の金属膜26aはAu膜26a-1とPd膜26a-2からなり、第2の金属膜26bはNi膜26b-1とPd膜26b-2から構成されている。尚、グランド用突起27(図4参照)に対応する第1の金属膜28aと第2の金属膜28bも同様な材料からなる多層構造になっている。」
「【図3】[図:0001400227000001.jpg]」
「【図4】[図:0001400227000002.jpg]」
「【図5】[図:0001400227000003.jpg]」
イ 引用発明
(ア) 引用文献1には、段落0032~0035、図5に示される製造方法により製造される、第2の実施形態の半導体装置21の、グランド用突起27の実装基板に対する実装状態についての具体的な記載は無いが、図3についての段落0025の第1の実施形態についての記載と同様に、実装基板の実装領域に接触するように導電材を介して実装され接地されるといえる。
(イ) 上記(ア)を踏まえると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「銅材等からなる金属板31表面に所定パターンの第1のレジスト32を被着させ(図5(a)、段落0032)、第1のレジスト32をマスクにして金属板31の露出部をハーフエッチングすることにより、凹部33bを形成し(図5(b)、段落0032)、 ハーフエッチングにより形成した凹部33b内にメッキを施すことにより、第1の金属膜28aを形成し(図5(c)、段落0033)、第1のレジスト32の一部を除去することにより、第2のレジスト34を形成し(図5(d)、段落0033)、第2のレジストをマスクにして露出する表面に再度メッキを施すことにより、第2の金属膜28bを形成し、この第2の金属膜28bの周辺部には平面領域が設けられ(図5(e)、段落0034)、第2のレジストを除去してリードフレーム34を完成させた後、このリードフレーム34の凹部33bに対応する金属膜28上に、銀ペーストからなる導電性接着剤29を介して半導体素子22を搭載し(図5(f)、段落0034)、次に、通常のモールド金型を用いた封止技術によって樹脂パッケージ23を形成し(図5(g)、段落0035)金属板31をエッチングにより除去するこにより製造される半導体装置21(段落0035、図5(h))であって、第1の金属膜28aと第2の金属膜28bはグランド用突起27に対応し(段落0040)、グランド用突起27は、実装基板の実装領域に接触するように導電材を介して実装され接地される(上記(ア))、半導体装置21。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 半導体装置について
(ア) 半導体装置21の発明である引用発明は、「半導体装置」に係る発明である点で本件補正発明と共通する。
(イ) 引用発明の「半導体素子22」は、本件補正発明の「半導体素子(14)」に相当する。
(ウ) 「グランド用突起27に対応し」、「実装基板の実装領域に接触するように導電材を介して実装され接地され」、また、「銀ペーストからなる導電性接着剤29を介して半導体素子22を搭載」する引用発明の「第2の金属膜28b」は、本件補正発明の「前記半導体素子(14)と電気的に接続する電極部(11b)となる金属部(11)」に相当する。
そして、引用発明は、「金属膜28上に、銀ペーストからなる導電性接着剤29を介して半導体素子22を搭載」するものであるから、第2の金属膜28b上への半導体素子22の搭載、及び、半導体素子22と第2の金属膜28bとの電気的接続がなされているといえる。
(エ) 引用発明は、通常のモールド金型を用いた封止技術によって、樹脂パッケージ23を形成するものであるから、封止材による封止がなされているといえる。
(オ) 小括
以上によると、引用発明は、「半導体素子(14)と、前記半導体素子(14)と電気的に接続する電極部(11b)となる金属部(11)とを有し、前記金属部(11)上への前記半導体素子(14)の搭載、前記半導体素子(14)と前記金属部(11)との電気的接続、封止材(19)による封止がなされる半導体装置」である点で本件補正発明と一致する。
イ 突出部(11d)について
(ア) 引用発明の「第2の金属膜28b」は、金属で構成されている。
(イ) 引用発明の「第2の金属膜28b」は、金属板31表面の第1のレジスト32をマスクにして形成した凹部33b内に第1の金属膜28aを形成し、その後、第1のレジスト32の一部を除去することにより形成した第2のレジスト34をマスクにして、露出する表面に再度メッキを施すことにより形成するものである。
そうすると、引用発明の「第2の金属膜28b」は、第1のレジスト32の一部が除去された部分において、第1の金属膜28aが形成される、凹部33bに対応する部分に加え、平面領域として金属板31表面にも形成されるから、樹脂パッケージ23を形成し、エッチングにより金属板31を除去した場合に、凹部33bに対応する部分、及び平面領域が樹脂パッケージ23の底部から露出する。
そして、引用発明の、「第2の金属膜28b」の凹部33bに対応して形成された部分は、平面領域に対する、部分的に突出する突出部といえる。
(ウ) 小括
以上によると、引用発明は、「前記封止材(19)の底部から露出する前記金属部(11)の裏面には、金属で構成され、部分的に突出する突出部(11d)が設けられており」といえる点で本件補正発明と一致する。
ウ 金属部(11)と封止材(19)の裏面について
引用発明において、「第2の金属膜28b」の平面領域、及び、樹脂パッケージ23は、いずれも、金属板31の、凹部33bに対応する部分以外の表面上に形成される。
したがって、引用発明は「前記突出部(11d)を除く金属部(11)の裏面と前記封止材(19)の裏面とが略同一平面上に位置し」といえる点で本件補正発明と一致する。
エ 金属膜(21)について
金属板31に形成された凹部33b内に、メッキを施すことにより形成する引用発明の「第1の金属膜28a」は、第2の金属膜28bの平面領域以外の部分である、突出する突出部の表面のみに形成されているといえる。
したがって、引用発明は「前記突出部(11d)の表面のみに金属膜(21)が形成されている」といえる点で本件補正発明と一致する。
オ 結論
以上のとおり、本件補正発明と引用発明とに相違する点はなく、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4) 請求人の主張
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請求人は次の主張をした。
「(2)本願発明と引用文献との対比引用文献1には、金属板に形成された凹部内に金属膜を形成したリードフレーム、及び該リードフレームの金属膜上に半導体素子が搭載され、半導体素子と金属膜とがワイヤーボンディングにより電気的に接続して、樹脂封止によって凹部を含めた金属板上に樹脂パッケージを形成した半導体装置が開示されています。しかしながら、引用文献1には、今回の補正により追加した本願発明の構成、すなわち、突出部が金属で構成されていること、より詳しくは、母型基板上に形成された凹部内に金属膜および金属で構成された突出部が埋設して形成された構成については、記載されていません。これに対して、本願発明の半導体装置用基板は、母型基板上の金属部形成領域に凹部が形成されており、この凹部内の表面に金属膜が形成され、該金属膜の表面であって凹部内に金属で構成された突出部が埋設して形成され、母型基板上および突出部の表面に金属部が形成された構成です。このような構成により、金属部の母型基板面側に金属で構成された突出部が部分的に突出するとともに、該突出部の表面のみに金属膜が形成された金属部を得ることができ、係る金属部を備えた半導体装置用基板を用いることにより、電極や配線が密集した実装基板に対しても、容易かつ的確で信頼性の高い実装が可能な半導体装置を得ることができます。しかも、突出部の表面のみに金属膜が形成されていることで、当該半導体装置を実装基板に搭載する際に用いられるはんだを金属部の裏面全体に広がるのを抑えられ、突出部以外の位置での実装基板上の電極や配線との不要な接触・接続を防止することができます。」(審判請求書2ページ20行~3ページ13行)
しかしながら、本件補正発明(請求項6)は、本件請求項1、4に記載された「前記突出部(11d)」についての「前記金属膜(21)の表面であって前記凹部(20)内に埋設して形成され」との発明特定事項を含まない。
そして、上記(3)イ(ア)のとおり、引用発明の「第2の金属膜28b」は、平面領域及びその突出部を含め全体として、金属で構成されているから、請求人の主張は採用できない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年9月9日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年3月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載に記載された事項により特定されるものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~8に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号、及び同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、金属部(11)の裏面に設けられる「部分的に突出する突出部(11d)」についての「金属で構成され、」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明であるから、本願発明も、引用発明であるといえる。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-014187