商標拒絶査定不服審判
2022-013839
キュウアアルコード、コード
- 審判番号
- 2022-013839
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-044306
- 請求日
- 2022年09月05日
- 審決日
- 2024年01月09日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーウェーブ
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】田島 壽
- 【請求人代理人】外川 奈美
- 【請求人代理人】大橋 啓輔
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .261-Z (W3542) / T18 .262-Z (W3542) / T18 .263-Z (W3542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-44306拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月27日に登録出願された商願2014-71943に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成31年3月28日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 7月18日付け:拒絶理由通知書
令和元年 9月 9日付け:意見書
令和4年 1月31日付け:意見書
令和4年 5月30日付け:拒絶査定
令和4年 9月 5日付け:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、「QRコード」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第42類に属する別掲1に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4882830号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成16年9月17日に登録出願、第16類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年7月29日に設定登録、その後、指定商品及び指定役務については、8件の商標登録の取消しの審判により、それぞれ一部の指定商品又は指定役務についての登録を取り消すべき旨の審決がされ、同29年8月25日及び同30年2月5日にその審決の確定の登録がされた結果、第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」のみとなり、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、「QRコード」の文字を標準文字で表してなるところ、請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(ア)請求人は、1994年(平成6年)に請求人が開発した2次元コード(以下「本件2次元コード」という。)に、「QRコード」の文字からなる商標を使用している(甲1~甲4)。
(イ)請求人は、本件2次元コードに関して、取得した特許権の権利行使を行わず、ユーザに使いやすい環境を確立するとともに、本件2次元コードの模倣品や粗悪品に対しては、権利行使を行っている(甲8)。
(ウ)請求人は、本件2次元コードに関して、業界標準化、国内標準化(JIS規格)及び国際標準化(ISO規格)を推進した(甲8)。
(エ)2006年(平成18年)8月22日付け中日新聞において、請求人商標が使用をされた本件2次元コードは、2000年(平成12年)に国際標準化機構(ISO)から国際規格として認められ、対応する携帯電話が出ると爆発的に普及した旨の記事が掲載されている(甲6)。
(オ)2014年(平成26年)には、請求人の本件2次元コードの開発チームが、欧州特許庁が主催する欧州発明家賞「ポピュラープライズ」を日本人として初めて受賞した(甲10、甲14)。
(カ)請求人を始め、官公庁、地方公共団体及び企業といった多数の者が、それぞれが作成する印刷物等において「QRコード」の文字(語)を使用する際には、その印刷物等に「「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標」である旨を記載している(甲11、甲13)。
イ 前記アによれば、請求人は、平成6年に本件2次元コードを開発し、本件2次元コードに関して、取得した特許権の権利行使を行わず、その実施を解放するとともに、業界標準化、国内標準化及び国際標準化を推進し、また、2006年(平成18年)8月22日付け中日新聞において、平成12年に国際標準化機構(ISO)から国際規格として認められ対応する携帯電話が出ると爆発的に普及した旨の記事が掲載され、さらに、本件2次元コードの開発チームが、欧州特許庁が主催する欧州発明家賞「ポピュラープライズ」を日本人として初めて受賞したことが認められる。
そして、このような本件2次元コードについて、請求人は、本願商標の使用をし、また、請求人を始め、官公庁、地方公共団体及び企業といった多数の者が、それぞれが作成する印刷物等において「QRコード」の文字(語)を使用する際には、その印刷物等に「「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標」である旨を記載していることが認められる。
そうすると、「QRコード」の文字からなる請求人商標は、請求人の業務に係る「2次元コード」を表示するものとして、遅くとも、本件2次元コードが国際規格として認められ対応する携帯電話が出ると爆発的に普及した旨の記事が掲載された平成18年頃には、需要者の間に広く認識されていたものであり、その周知著名性の程度は相当に高く、現在においても継続しているものと判断するのが相当である。
ウ したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「キューアールコード」の称呼を生じ、「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」としての観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、上段に「Q」と「R」の文字の高さをそろえるように「QR」の文字(Qの文字は、2つの点を内包し、図案化してなる。)及びそれよりもやや小さく「コード」の文字とを横一連に表し、その下段に「QRコード」の文字を、上下二段に表した構成からなるものである。
そして、引用商標の構成中、下段部分の「QRコード」の文字は、前記(1)イのとおり、請求人の業務に係る「2次元コード」を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、その周知著名性の程度は相当に高い本願商標と同一の構成文字からなるものである。
また、引用商標の指定役務は、コンピュータープログラムの作成や提供のほか、コンピュータープログラムに関連する役務を多く含むものであって、請求人の業務に係る2次元コードに関連する商品とは、密接な関連性を有する役務といえる。
そうすると、上記(1)のとおりの請求人の業務に係る「QRコード」の文字の周知著名性や商品及び役務の密接関連性をも考慮すると、引用商標に接する取引者、需要者は、下段の「QRコード」の文字部分に着目して取引に資する場合も決して少なくなく、当該文字部分が独立して自他役務の識別標識として機能し、取引者、需要者に認識、記憶されるというべきである。
してみると、引用商標は、その構成中、下段の「QRコード」の文字部分から、「キューアールコード」の称呼を生じ、「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」としての観念を生じるとみるべきである。
また、引用商標の構成中、上段部分は、下段部分の文字ともあいまって、「Q」の文字を図案化した「QRコード」の文字を認識させ得るものといえる。
したがって、引用商標は、「QRコード」の文字及びそれを図案化したものを上下二段に表したものと認識されるから、その構成全体からも、「キューアールコード」の称呼を生じ、「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」としての観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とは、それぞれ上記(1)及び上記(2)のとおりの構成からなるところ、両者は、「QRコード」の文字部分において、その構成文字を共通にし、また、称呼及び観念においては、「キューアールコード」の称呼及び「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」としての観念を共通にする。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛らわしい類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務中、第35類「コンピューターデータベースへの情報編集及び情報構築」及び第42類「コンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する調査・分析又は助言,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,電子計算機用プログラムの環境設定及びその機能の拡張・追加,通信ネットワークシステムの設計・企画又は保守,通信ネットワークシステムに関する調査・分析又は助言,ウェブサイトの作成又は保守,電子商取引における利用者の認証,電子計算機を用いて行う情報処理,インターネットにおけるホームページの作成,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,電子データのバックアップ,電子計算機を用いたデータ処理」は、引用商標の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」と同一又は類似の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「携帯電話機・スマートフォン及びその他の通信端末用コンピュータアプリケーションソフトウェアの提供,コンピュータソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの提供,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),インターネットにおけるサーバの記憶領域の貸与,インターネット用サーバの貸与,ウェブサイトにおけるサーバの記憶領域の貸与,ソーシャルネットワーキング用サーバの記憶領域の貸与,電子掲示板・電子会議室・チャットルーム用のサーバエリアの貸与,サーバのホスティング,サーバの記録領域の貸与,クラウドコンピューティング,電子計算機の貸与」は、引用商標の指定役務中、第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」と同一又は類似の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「通信ネットワークシステムに関する調査・分析又は助言」は、引用商標の指定役務中、第42類「建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」と類似の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「通信ネットワークシステムに関する調査・分析又は助言,機械器具に関する試験又は研究」は、引用商標の指定役務中、第42類「機械器具に関する試験又は研究」と同一又は類似の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」は、引用商標の指定役務中、第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」と同一の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「デザインの考案」は、引用商標の指定役務中、第42類「デザインの考案」と同一の役務である。
本願商標の指定役務中、第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」は、引用商標の指定役務中、第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」と同一の役務である。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似の役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標及び引用商標から受ける全体的印象は、それぞれの構成要素における相違により顕著に異なるから、両商標が外観上非類似であることは明らかであり、一種のパロディのような標章を含む引用商標から、「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」としての観念が生ずると考えるのは客観的に到底妥当とはいえず、両商標は観念においても相違すると考えるのが相当である。そうすると、本願商標と引用商標から共通の称呼が生ずる場合があるとしても、両商標の外観・観念・称呼・全体的な印象やイメージ等を総合的に観察した場合には、両商標が一般的な取引者及び需要者に与える印象・記憶・連想等は大きく異なるため、両商標は役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのない相互に非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記1(2)で述べたとおり、請求人の業務に係る「2次元コード」と引用商標の指定役務との密接関連性や、引用商標の構成中、下段部分の「QRコード」の文字が、請求人の業務に係る「2次元コード」を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、その周知著名性の程度は相当に高い本願商標と同一の構成文字からなるものであることを考慮すれば、引用商標に接する取引者、需要者は、当該文字部分に着目して取引に資する場合も少なくはなく、当該文字部分が独立して自他役務の識別標識として機能し、これより生じる「請求人の業務に係る「2次元コード」を表示する商標」の観念を共通にするというべきである。
そうすると、上記1(3)のとおり、本願商標と引用商標とは、外観において相違するものの、その相違は格別異なった印象を与えず、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(2)請求人は、共通の称呼が生ずる場合であっても、外観、観念、称呼等により取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察した場合には全体として非類似であると判断された審決例を挙げ、これらは、本件について十分に考慮されてしかるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、それらの審決例は、商標の具体的構成や構成文字の周知著名性等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については、上記1(3)においてした判断のとおりであるから、それらの審決例をもってその判断が左右されることはない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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