2022-012115
遊技機
- 審判番号
- 2022-012115
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-107610外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月04日
- 審決日
- 2023年06月08日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .113-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
1 手続の経緯の概要
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本願は、令和1年6月10日の特許出願であって、令和3年12月21日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年3月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月15日付け(送達日:同年5月10日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、
これに対し、当審判合議体において、令和5年1月18日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年3月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、令和5年3月13日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(記号A~Fは、分説するために当審判合議体にて付した。また、下線は、補正箇所を示すために当審判合議体にて付した。)。
「A 特定結果となるか否かの判定を行う判定手段と、B 前記特定結果となった場合に、通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態にすることが可能な遊技状態制御手段と、C 前記判定手段が前記判定を行うための設定値を設定することが可能な設定手段と、D 画像を表示可能な演出表示手段にて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段と、を備え、E 前記演出制御手段は、E1 前記演出表示手段にて、前記判定の結果に基づく遊技演出と、前記設定値を示唆、または前記設定値が前日よりも高いことを示唆する示唆演出とを実行可能であり、E2 前記示唆演出を実行する場合は、前記示唆演出を一旦、基本状態で開始させてから、前記基本状態のときより前記遊技演出が視認容易であり、且つ、前記基本状態よりも目立たない特別状態に変化させ、終了条件が成立するまでの所定期間、前記遊技演出が進行している中で、当該特別状態を保持させながら継続的に実行させ続けるF ことを特徴とする遊技機。」
3 当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は、次の理由を含むものである。
(進歩性)
本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特開2017-104296号公報
2.特開2019-81082号公報
3.特許第6236729号公報
4 引用文献等
(1)引用文献1(特開2017-104296号公報)の記載事項、引用発明について
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ア 引用文献1の記載事項
当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
(ア)
「【発明が解決しようとする課題】【0007】しかし、特許文献2に開示されたパチンコ機は、いずれも当否抽選における一変動での予告演出やリーチ演出に限られているため、設定された確率設定を示唆する予告演出やリーチ演出を見逃してしまう虞があった。【0008】そこで、本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、示唆する機会が複数回ある構成とすることで、設定された確率設定を確実に示唆することができる弾球遊技機を提供することを目的とする。」
(イ)
「【0046】図3に示すように、本実施例の主制御装置80には、確率設定SW(スイッチ)95、設定値変更ボタン96が操作可能な位置に設けられている。また、電源基板85には、RAMクリアSW(図3では図示せず)が操作可能な位置に設けられている。なお、主制御装置80に確率設定SW95などを設ける構成以外にも、払出制御装置81や電源基板85に設ける構成も考えられるし、確率設定SW95と設定値変更ボタン96を別々の装置に設ける構成も考えられる。本実施例では、大当り遊技が発生する確率が異なる設定値1?設定値3の何れかの設定値を選択し(図5を参照)、変更可能な構成となっている。確率設定SW95は、鍵を挿入して所定方向に回転させることで確率設定の変更ができるスイッチである。また、設定変更ボタン96は、当該設定変更ボタン96を操作することで設定値1?設定値3のうち、好きな設定値に変更することができるボタンである(図5を参照)。RAMクリアSWは、電源投入時に、該RAMクリアスイッチを押しながら、電源スイッチを押して電動投入することで、電源遮断時のパチンコ機50の遊技状態などに係る情報を消去するためのスイッチである。」
(ウ)
「【0057】主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。」
(エ)
「【0065】サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。なお、本実施例では、サブ統合制御装置83及び演出図柄制御装置82は別々の装置に分かれているが、1つの装置にまとめる構成にしてもよい。・・・【0068】そして、記憶された保留記憶の乱数値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の当否判定を行い、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10にて特別図柄の変動を開始するとともに演出図柄表示装置6の画面にて特別図柄に対応する疑似演出図柄の変動を開始する。なお、本実施例では当否判定により大当りと判定される確率(所謂、大当り確率)については、後述する。前記当否判定の結果が大当りであれば、前記各表示装置9,10,6に大当り図柄(演出図柄表示装置6は疑似演出大当り図柄)を確定表示して大入賞口14の開放を伴う大当り遊技を実施する。また、当否判定により第1特別図柄で小当りと判定される確率は、1/288に設定され、第2特別図柄で小当りと判定される確率は、1/14に設定されている。当否判定の結果が小当りであれば、前記各表示装置9,10に小当り図柄を確定表示して、大入賞口の開放を伴う小当り遊技を実施する。なお、演出図柄表示装置6は、疑似演出図柄が小当りであること報知する態様で停止する。」
(オ)
「【0070】大当り遊技終了後に、特別図柄の当否判定の当選確率が高確率に変更される高確率遊技状態(以下、確変状態ともいう)に移行する場合がある。本実施例では、複数種類の大当り遊技が設けられており、大当り遊技の終了後に確変状態へ突入する確率(所謂、確変突入率)は、65%に設定されている(図5を参照)。【0071】また、大当り遊技の終了後に、特別図柄の変動時間や普通図柄の変動時間が短縮される時短機能と第2始動口12を開放する普通電動役物の開放時間を延長する開放延長機能が作動する時短遊技状態(以下、時短状態ともいう)となり次回の大当りの獲得に有利な遊技状態に移行する場合がある。なお、通常の遊技状態では、普通図柄の当選確率は1/5、時短遊技状態での普通図柄の当選確率は4/5に設定されている(図5を参照)。また、通常の遊技状態での普通電動役物は0.1秒の開放を1回行い、時短遊技状態での普通電動役物は2.2秒の開放を1回行う構成となっている(図5を参照)」
(カ)
「【0074】ここで、本実施例の後述する特別図柄の当否判定処理にて大当りとなるか否かの当否判定する際の抽選確率である大当り確率について説明する。本実施形態のパチンコ機50は、異なる大当り確率に対応して、複数種類の設定値が設けられている(図5を参照)。設定値として、設定値1?設定値3までの3種類が設けられ、上述した確率設定SW95、設定変更ボタン96を操作することで、ホールが何れかの設定値を選択して変更可能となっている。」
(キ)
「【0099】S185では第2保留記憶(但し第2保留が存在する場合は、第1保留の方が古い場合でも第2保留を優先)を読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S185:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合し(S190)、図9のS200へと移行する。本実施例では、S190において、主制御装置80は、現在の設定における大当り判定値を参照して、当否抽選を行う(図5を参照)。否定判断であれば(S185:no)、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合し(S195)、図9のS200へと移行する。本実施例では、S195において、主制御装置80は、現在の設定における大当り判定値を参照して、当否抽選を行う(図5を参照)。そして、大当り後に高確率遊技状態へと突入する割合は65%に設定されている。【0100】図9のS200において、主制御装置80は、S190またはS195の判定に基づき、大当りか否かを判定し、肯定判定であれば(S200:yes)、大当り図柄決定用乱数によって大当り図柄を決定する(S205)。その後、変動パターン決定処理(S210)に移行する。変動パターン決定処理では、変動パターン決定用乱数によって大当り変動パターンを決定する。」
(ク)
「【0175】図25(b)は、高確率遊技状態及び時短遊技状態において、確率設定された設定値を示唆される場合に、演出図柄表示装置6で表示される演出表示の一例を示す。図25(b)に示すように、演出図柄表示装置6の画面中央には、疑似演出図柄1000が変動表示されている。疑似演出図柄1000の下方には、演出キャラクタ1001の「熊の達吉」が表示されている。演出図柄表示装置6の画面左下方には、第2特別図柄に対応する第1保留図柄1002、第2保留図柄1003、第3保留図柄1004が表示されている。演出キャラクタ1001の左方に表示されている表示例1005には「達吉RUSH残り80回」と表示されており、高確率遊技状態及び時短遊技状態は、特別図柄の当否判定が残り80回行われると終了することを報知している。演出キャラクタ1001の上方に表示された表示例1009には、「設定値1」と表示されている。これにより、遊技者に確率設定された設定値が設定値1(1/20)であることを示唆している。無論、他の実施例のように、設定値1又は設定値2であるか、設定値2又は設定値3であるかなど設定値を告知するのではなく、示唆する程度の演出を行うことにより、引き続き遊技を続行させる意欲や判断材料を与えることが考えられる。【0176】実施例5に記載の弾球遊技機によれば、大当り遊技の終了後に高確率遊技状態、時短遊技状態という遊技者にとって有利な遊技状態へ移行すると、演出図柄表示装置6の画面に有利な遊技状態中であることを示す演出が表示され、当該演出は、有利な遊技状態が終了するまで継続するため、演出図柄表示装置6の画面に有利な遊技状態中であることを示す演出と同時に、確率設定された設定値の示唆することで、遊技者に対して確率設定された設定値の認知度を高めることができる。」
(ケ)
「【図25】(b)[図:0001400181000001.jpg]」
イ 認定事項
引用文献1の「演出図柄制御装置82は、・・・演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。」(【0065】)との記載、「演出キャラクタ1001の上方に・・・設定値を告知するのではなく、示唆する程度の演出を行う・・・」(【0175】)との記載、及び、「演出図柄表示装置6に、演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を、疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態で表示させること」(【図25】(b))についての図示内容からみて、引用文献1には、「演出図柄制御装置82は、演出図柄表示装置6に、演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を、疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態で表示させること」について示されていると認められる(以下「認定事項ア」という。)。
ウ 引用発明について
上記アの記載事項及び上記イの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~fは、本願発明のA~Fに概ね対応させて当審判合議体にて付与した。)。
「a 主制御装置80、演出図柄制御装置82(【0057】、【0065】)を備え、主制御装置80は、現在の設定における大当り判定値を参照して当否抽選を行い、大当りか否かを判定し(【0099】~【0100】)、b 主制御装置80は、当否判定の結果が大当りであれば、大入賞口14の開放を伴う大当り遊技を実施し、大当り遊技終了後に、高確率遊技状態や時短遊技状態に移行させることが可能であり(【0057】、【0068】、【0070】~【0071】)、c 主制御装置80には、確率設定SW95、設定値変更ボタン96が操作可能な位置に設けられ(【0046】)、続きを表示(全11行)確率設定SW95、設定変更ボタン96を操作することで、ホールが何れかの設定値を選択して変更可能となっており(【0074】)、d 演出図柄制御装置82は、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させ(【0065】)、e 演出図柄制御装置82は、e1 当否判定の結果に基づいて演出図柄表示装置6の画面中央に疑似演出図柄1000を変動表示し、疑似演出図柄1000の下方に演出キャラクタ1001の「熊の達吉」を表示し、演出キャラクタ1001の上方に設定値を示唆する画像を表示し(【0065】、【0068】、【0175】)、e2 演出図柄表示装置6に、演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を、疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態で表示させ(認定事項ア)、大当り遊技の終了後に移行する高確率遊技状態、時短遊技状態という遊技者にとって有利な遊技状態中であることを示す演出が表示され、当該演出は、有利な遊技状態が終了するまで継続するため、前記演出と同時に、確率設定された設定値を示唆することで、遊技者に対して確率設定された設定値の認知度を高めることができる(【0176】)f パチンコ機50。」
5 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明の「当否抽選を行い、大当りか否かを判定」することは、本願発明の「特定結果となるか否かの判定」に相当することから、引用発明の「当否抽選を行い、大当りか否かを判定」する「主制御装置80」は、本願発明の「特定結果となるか否かの判定を行う判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。
(b)
引用発明の「当否判定の結果が大当りであ(る)」場合は、本願発明の「特定結果となった場合」に相当する。
そして、引用発明の「大入賞口14の開放を伴う大当り遊技」状態、及び、「大当り遊技終了後に」「移行」する「高確率遊技状態や時短遊技状態」は、本願発明の「通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態」に相当することから、引用発明の「大入賞口14の開放を伴う大当り遊技を実施し、大当り遊技終了後に、高確率遊技状態や時短遊技状態に移行させる」「主制御装置80」は、本願発明の「通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態にすることが可能な遊技状態制御手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。
(c)
引用発明の「何れかの設定値」は、本願発明の「判定手段が判定を行うための設定値」に相当することから、引用発明の「操作することで」「設定値を選択して変更可能となって」いる「確率設定SW95、設定変更ボタン96」は、本願発明の「設定値を設定することが可能な設定手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。
(d)
引用発明の「演出画像」を「画面に表示させ」ること、「演出図柄表示装置6」、「演出図柄等の演出画像」による演出、「演出図柄制御装置82」は、それぞれ、本願発明の「画像を表示可能な」こと、「演出表示手段」、「所定の演出」、「演出制御手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する。
(e、e1)
上記(d)より、引用発明の「演出図柄制御装置82」、「演出図柄表示装置6」は、それぞれ、本願発明の「演出制御手段」、「演出表示手段」に相当する。
そして、引用発明の「当否判定の結果に基づいて」「疑似演出図柄1000を変動表示」することは、本願発明の「判定の結果に基づく遊技演出」に相当する。
また、引用発明の「演出キャラクタ1001の「熊の達吉」を表示し、演出キャラクタ1001の上方に設定値を示唆する画像を表示」する演出は、本願発明の「設定値を示唆」「する示唆演出」に相当する。
そうすると、引用発明の構成e、e1と、本願発明の構成E、E1とは、「演出制御手段は、演出表示手段にて、判定の結果に基づく遊技演出と、設定値を示唆する示唆演出とを実行可能であ」る点で共通する。
(e、e2)
上記(e、e1)より、引用発明の「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を」「表示する演出」は、本願発明の「示唆演出」に相当する。
そして、引用発明の「疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態」は、本願発明の「遊技演出が視認容易であ」る「特別状態」に相当する。
また、引用発明の「大当り遊技の終了後に高確率遊技状態、時短遊技状態という遊技者にとって有利な遊技状態中であることを示す演出が表示され、当該演出は、有利な遊技状態が終了するまで継続するため、前記演出と同時に」実行されることは、本願発明の「終了条件が成立するまでの所定期間、遊技演出が進行している中で、」「継続的に実行させ続ける」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「大当り遊技の終了後に高確率遊技状態、時短遊技状態という遊技者にとって有利な遊技状態中であることを示す演出が表示され、当該演出は、有利な遊技状態が終了するまで継続するため、前記演出」(「演出キャラクタ1001の「熊の達吉」を表示」する演出)「と同時に」実行される「設定値を示唆する画像」を「表示させ」る演出は、「疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態」のまま実行される演出であるから、本願発明の「終了条件が成立するまでの所定期間、遊技演出が進行している中で、当該特別状態を保持させながら継続的に実行させ続ける」「示唆演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成e、e2と本願発明の構成E、E2とは、「示唆演出を実行する場合は、終了条件が成立するまでの所定期間、遊技演出が進行している中で、遊技演出が視認容易である特別状態を保持させながら継続的に実行させ続ける」ことで共通する。
(f)
引用発明の「パチンコ機50」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する。
上記検討内容からみて、本願発明と引用発明は、
「A 特定結果となるか否かの判定を行う判定手段と、B 前記特定結果となった場合に、通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態にすることが可能な遊技状態制御手段と、C 前記判定手段が前記判定を行うための設定値を設定することが可能な設定手段と、D 画像を表示可能な演出表示手段にて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段と、を備え、E 前記演出制御手段は、E1′前記演出表示手段にて、前記判定の結果に基づく遊技演出と、前記設定値を示唆する示唆演出とを実行可能であり、E2′前記示唆演出を実行する場合は、終了条件が成立するまでの所定期間、前記遊技演出が進行している中で、前記遊技演出が視認容易である特別状態を保持させながら継続的に実行させ続けるF 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1](構成E、E1)
示唆演出は、本願発明では、「設定値を示唆、または設定値が前日よりも高いことを示唆する」のに対し、引用発明では、設定値を示唆する画像を表示するものの、本願発明のように設定値が前日よりも高いことを示唆するものではない点。
[相違点2](構成E、E2)
示唆演出の実行に関して、
本願発明では、「示唆演出を一旦、基本状態で開始させてから、基本状態のときより遊技演出が視認容易であり、且つ、前記基本状態よりも目立たない特別状態に変化させ(る)」のに対して、引用発明では、「高確率遊技状態、時短遊技状態という遊技者にとって有利な遊技状態」の始めから「有利な遊技状態が終了するまで継続」して「疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態で実行され(る)」点。
6 当審判合議体の判断
(1)相違点1(構成E、E1)について
本願発明の構成E、E1は、「示唆演出」に関して、「設定値」または「設定値が前日よりも高いこと」のいずれかを示唆する演出を実行するものと解することができ、このように解した場合、引用発明の「演出キャラクタ1001の上方に設定値を示唆する画像を表示」する演出が、本願発明における「示唆演出」のうちの一方である「設定値」を「示唆する演出」に相当するといえる。そうすると、引用発明の構成e、e1が本願発明の構成E、E1に相当するから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
仮に、本願発明の構成E、E1が、「設定値」の「示唆」と、「設定値が前日よりも高いこと」の「示唆」のいずれの「示唆演出」も実行可能であることを特定するものと解した場合について、以下検討する。
遊技機の技術分野において、設定値が前日よりも高いことを示唆する設定値示唆演出を実行することは、本願出願前に周知の技術事項(例えば、特開2017-93711号公報の【0080】、【図13】の「「昨日の設定よりも上がっているかも?」との文字画像を表示する設定値示唆演出を実行してもよい。」との記載や、特開2009-95477号公報の【0384】の「当日設定値が前日設定値を上回る旨の表示として「設定向上台かも」の表示を使用している」との記載や、特開2006-262938号の【0094】の「現在の設定値が前回の設定値よりも大きい場合には、例えば、「UP↑」と表示装置40に表示する」との記載を参照。以下「周知技術1」という。)である。
そして、引用発明は、「示唆する機会が複数回ある構成とすることで、設定された確率設定を確実に示唆することができる弾球遊技機を提供することを目的とする」(上記記載事項)ものであって、複数回ある機会に異なる種類の設定値示唆を行うことを妨げるものではない。
したがって、引用発明における「設定値を示唆する画像を表示」する演出に、上記周知技術1の設定値示唆演出を付加し、「設定値を示唆する画像を表示」する演出と、設定値が前日よりも高いことを示唆する設定値示唆演出のうちのいずれの設定値示唆演出も実行可能にすることは、当業者が適宜なし得たものである。
(2)相違点2(構成E、E2)について
上記相違点2について検討する。
遊技機の技術分野において、予告演出等の示唆演出を、キャラクタが変動演出の視認性を妨げる拡大態様で開始させ、その後、キャラクタを目立たない縮小態様に変化させることで、変動演出の視認性を向上させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、引用文献2(特開2019-81082号公報)の【4665】~【4668】、【図411】(o)~(r)、引用文献3(特許第6236729号公報)の【1585】~【1587】、【図103】(j)~(l)を参照。以下「周知技術2」という。)。
そして、引用発明の「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を」表示する演出と、上記周知技術2の「キャラクタを目立たない縮小態様に変化させ」る演出とは、共に変動表示の視認性を確保した状態で実行される示唆演出である点で共通する。
したがって、引用発明の「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を」表示する演出に上記周知技術2の示唆演出を適用して、「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像」を、演出の開始時に「疑似演出図柄1000」の「変動表示」の視認性を妨げる拡大態様で表示させ、その後、縮小させて表示し、「疑似演出図柄1000」の「変動表示」を視認可能な状態とさせて、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(3)請求人の主張について
令和5年3月13日提出の意見書において、請求人は、構成E3に関して、[3](2)の「(d)本願発明と引用発明1、および周知技術との対比」において、次の主張をする。
ア 「引用発明1では、設定値を示唆する演出が実行されますが、単に設定値を示唆するのみで、その期間は不明であります。すなわち、引用文献1には、本願発明の「示唆演出の開始後は、遊技者の見逃しに対応すべく、終了条件が成立するまでの所定期間、特別状態で継続的に実行し続ける」という技術的思想は想定されていません。」
イ 「また、引用文献2、3で開示されているような周知技術が引用発明1に適用されていますが、引用発明1では、設定値を示唆する演出は、最初から疑似演出図柄1000の変動表示が視認可能な状態で開始されるので、引用発明1に、引用文献2、3で開示されているような周知技術を適用する理由は存在しないと考えられます。」
ウ 「仮に、引用発明1に周知技術を適用できたとしても、現象面では、本願発明に近い内容になり得ますが、やはり引用文献1乃至3には、「示唆演出の開始後は、遊技者の見逃しに対応すべく、終了条件が成立するまでの所定期間、特別状態で継続的に実行し続ける」という本願発明の技術的思想は想定されていません。」
そこで、請求人の上記主張について検討する。
エ 上記主張ア、ウについて
引用発明において、「設定値を示唆する画像」を「表示させ」る演出は、「有利な遊技状態が終了するまで継続する演出」である「演出キャラクタ1001の「熊の達吉」」を「表示させ」る演出と「同時に」実行されるものであって、「演出キャラクタ1001」と「設定値を示唆する画像からなる演出画像を」「表示させ」る演出は、共に、「遊技者にとって有利な遊技状態中」である「大当り遊技の終了後」から、「有利な遊技状態が終了するまで」の期間に亘って「継続」して実行され続ける演出である。
また、引用発明は、「確率設定された設定値を示唆することで、遊技者に対して確率設定された設定値の認知度を高めることができる」という効果を奏するものである。
そうすると、引用発明において、遊技者は、「設定値を示唆する画像」を「表示させ」る演出の内容を、「遊技者にとって有利な遊技状態中」にいつでも確認することができ、もって、遊技者に対する設定値の認知度を高めることが可能となる。
したがって、引用発明は、本願発明と同様の「遊技者の「設定値を示唆する画像」の見逃し」を防ぐという効果を奏するものである。
よって、請求人の上記主張ア、ウは理由がない。
オ 上記主張イについて
上記「(2)相違点2(構成E、E2)について」において検討したように、引用発明の「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を」「表示させ」る演出と、上記周知技術2の「キャラクタを目立たない縮小態様に変化させ」る演出とは、共に変動表示の視認性を確保した表示態様で実行される示唆演出である点で共通するから、引用発明の「演出キャラクタ1001と、その上方の設定値を示唆する画像からなる演出画像を」「表示させ」る演出に上記周知技術2の示唆演出を適用する動機付けは十分にある。
したがって、請求人の上記主張イは理由がない。
カ 小括
上記エ~オにおいて検討したことからみて、請求人の上記ア~ウの主張を採用することができない。
(4)本願発明の奏する効果について
上記(1)~(3)の検討内容からみて、本願発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び上記周知技術1~2から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
7 むすび
以上のとおり、 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-012115