特許拒絶査定不服審判
2024-003693
空気調和機
- 審判番号
- 2024-003693
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-209610
- 請求日
- 2024年03月01日
- 審決日
- 2025年06月30日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】藤田 考晴
- 【請求人代理人】川上 美紀
- 【請求人代理人】長田 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 正木 裕也
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P18 .121-Z (F24F) / P18 .572-Z (F24F) / P18 .575-Z (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-209610「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔令和3年5月27日出願公開、特開2021-81136〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年11月20日の出願であって、その手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和5年7月7日付け :拒絶理由通知
令和5年9月1日 :意見書・手続補正書の提出
令和5年12月5日付け :拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和6年3月1日 :拒絶査定不服審判の請求書及び手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出
令和6年8月15日 :上申書の提出
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
空気吸込口及び空気吹出口が形成され、内部に前記空気吸込口から前記空気吹出口に通じる風路が形成された筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記空気吹出口に送る送風ファンと、
前記風路に配置された熱交換器と、
前記熱交換器に付着した結露水を受けるドレンパンと、
を備え、
前記風路を構成する部材及び前記ドレンパンに脱臭部材が設けられており、
前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている空気調和機。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年9月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
空気吸込口及び空気吹出口が形成され、内部に前記空気吸込口から前記空気吹出口に通じる風路が形成された筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記空気吹出口に送る送風ファンと、
前記風路に配置された熱交換器と、
前記熱交換器に付着した結露水を受けるドレンパンと、
を備え、
前記風路を構成する部材及び前記ドレンパンに脱臭部材が設けられている空気調和機。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「風路を構成する部材」「に脱臭部材が設けられている」ことについて、「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられて」いることに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている」ことは、願書に最初に添付した明細書の段落【0017】及び【0022】に記載されているから、本件補正は、同条第3項の規定に適合する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項等
ア 引用文献1
原査定で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2000-205587号公報(以下、「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに以下の事項が記載されている。下線は、当審が付与した。以下同様。
(ア)「【0010】(実施の形態1)図1は、本発明の一つの実施の形態に係る空気調和機の室内機の外観を示す正面図であり、図2は、その断面図である。
【0011】空気調和機の室内機1は、オープングリル2、正面パネル3およびキャビネット4を具備しており、正面パネル3とキャビネット4との間に配設された空気吹出ダクト5には、空調済みとなった空気A1を吹き出すための空気吹出口6が形成されている。室内機1の内部には、室内から吸い込んだ空気中の塵埃を除去するエアフィルタ7と、熱交換機8a,8b,8cと、室内送風ファン9とが設けられており、熱交換機8a,8b,8cの各々は、オープングリル2、正面パネル3、キャビネット4それぞれの空気吸込口10,11,12からエアフィルタ7を介して吸い込んだ空気を冷房時には除湿して冷却し、かつ、暖房時には加熱することによって空調された空気A1を生成するものである。」
(イ)「【0017】この金属フタロシアニンは、バイオ酵素的な作用をして吸着および分解を行うものであって、脱臭効果を有するものである。金属フタロシアニンとしては、例えば、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニンなどが挙げられる。この金属フタロシアニンを含有した塗料は、例えば金属フタロシアニン化合物を、例えばウレタン樹脂などの水系(水溶性)の主剤に添加して調製される。金属フタロシアニン化合物としては、例えば、Fe(III)フタロシアニンオクタカルボン酸などが挙げられる。なお、主剤は、水系に限らず、溶剤系でもよい。」
(ウ)「【0030】(実施の形態3)図3は、本発明のさらに他の実施の形態の図2に対応する断面図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0031】空気調和機の室内送風ファン9が動作することにより、室内空気は空気調和機の内部に取り入れられ、取り入れられた空気は熱交換器8a,8b,8cを通過し、室内送風ファン9により室内に送風されるのであるが、熱交換された空気は、図中斜線で示されている室内機1の内壁18を通過しながら室内に送風される。
【0032】そこで、この実施の形態では、室内機1の空気が通過する空気流通路の内壁18に、金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層を形成している。」
(エ)「【図3】
[図:0001426453000001.jpg]
」
(オ)上記(ア)及び(ウ)の記載事項から、オープングリル、正面パネル3及びキャビネット4の内部には、室内送風ファン9が配置され、空気吸込口10,11,12から吸い込まれた空気を空気吹出口6に送ることがいえる。
また、(エ)の図示事項から、オープングリル、正面パネル3及びキャビネット4の内部には、空気吸込口10,11,12から空気吹出口6に通じる空気流通路が形成され、熱交換機8a,8b,18cが空気流通路に配置されていることが看取できる。
(カ)空気調和機において、熱交換器の下に熱交換器に付着した結露水を受けるドレンパンを設けることが技術常識であることを踏まえると、(エ)の図示事項から、熱交換器8a及び熱交換器8cの下に、熱交換器に付着した結露水を受けるドレンパンが看取できる。
上記(ア)ないし(カ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものといえる。
〔引用発明〕
「空気吸込口10,11,12及び空気吹出口6が形成され、内部に前記空気吸込口10,11,12から前記空気吹出口6に通じる空気流通路が形成されたオープングリル、正面パネル3及びキャビネット4と、
前記オープングリル、正面パネル3及びキャビネット4の内部に配置され、前記空気吸込口10,11,12から吸い込まれた空気を前記空気吹出口6に送る室内送風ファン9と、
前記空気流通路に配置された熱交換器8a,8b,8cと、
前記熱交換器8a,8b,8cに付着した結露水を受けるドレンパンと、
を備え、
前記空気流通路の内壁18に、金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層を形成した、空気調和機の室内機1。」
イ 引用文献2
原査定で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開平10-78240号公報(以下、「引用文献2」という。)には、関連する図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【0018】結晶性ポリプロピレン、無機充填剤、抗菌剤を含む本発明で用いる抗菌剤含有樹脂組成物は他に、本発明の主旨を逸脱しない範囲で必要に応じて防黴剤、殺虫剤、消臭剤、着香剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、造核剤、坑ブロッキング剤、防曇剤、難燃剤、顔料、分散剤などの公知の添加剤を任意に添加配合することができる。」
(イ)「【0025】本体6内には、送風機5、熱交換器7、ドレンパン(空気調和機のドレンパン)9、ドレンポンプ11(図2参照)等が収納されており、吸込口3から吸入された空気は、送風機5により、熱交換器7に送られて、ここで熱交換された後、吹出口4から吹き出される。」
(ウ)「【0030】図3は、ドレンパン9の内表面10の断面説明図である。ドレンパン9の表面には、接着剤12を用いて、結晶性ポリプロピレン[分子量分布(Mw/Mn)=5、MFR=5g/10min.]に無機充填剤(マイカ微粉末30重量%)、無機系抗菌剤[商品名;ノバロンAGZ330、東亜合成(株)製0.5重量%]を配合した抗菌剤含有樹脂組成物からなる抗菌性フィルム13が積層され、その上にさらに前記抗菌剤を透過可能なポリエチレン樹脂製フィルム14が積層されている。」
(エ)「【図3】
[図:0001426453000002.jpg]
」
上記(ア)ないし(エ)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されているといえる。
〔引用文献2記載事項〕
「空気調和機のドレンパン9の表面に、結晶性ポリプロピレンに無機充填剤、無機系抗菌剤を配合した抗菌剤含有樹脂組成物からなる抗菌性フィルム13を積層し、抗菌剤含有樹脂組成物に、消臭剤を添加配合すること。」
ウ 引用文献3
原査定で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2006-170478号公報(以下、「引用文献3」という。)には、関連する図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
一般に空気調和機の熱交換器等の下部には、ドレン水を受け止めて外部に排出するドレンパンが設けられている。」
(イ)「【0041】
(ドレンパンおよび抗菌部材の設置構造)
ところで、上記ドレンパン8部分は、例えば図3のように構成されている。
【0042】
すなわち、該ドレンパン8は、全体として所定の断熱材により形成され、図3に示すように、外周側の側壁8aと内周側の側壁8bとの間に、熱交換器4のプレートフィン41,41、41,41・・・が載置される第1の溝部81と、該第1の溝部81よりも深さが深いドレン水排出用の第2の溝部82との2つの溝部が設けられている。
【0043】
そして、上記第2の溝部82部分には、上記第1の溝部81および第2の溝部82内に貯留(流出状態も含む)されたドレン水に対して抗菌剤50Bを作用させて、ドレン水の静菌を行う抗菌部材50が上下方向に長く延びた立設状態で設置されている。」
(ウ)「【0063】
(変形例2)
次に図12~図13は、上述した抗菌部材50を、多孔壁構造の容器本体50A内に粒状又はペレット状の抗菌剤50B,50B・・・を収納するのではなく、例えば水溶性のある合成樹脂材50D内に粒状又はペレット状の抗菌剤50B,50B・・・を均一に練り込んで、同様の長さ、同様の直径の円柱体構造としたことを特徴とするものである。」
(エ)「【0095】
セラミックス、活性炭、アパタイトなどに担持させた無機系抗菌剤は、抗菌性が高く、非揮発性であり、樹脂と混練し易いなどのメリットがある。したがって、上述の変形例2(図12~図14)のような抗菌部材50を実施するのに適している。
【0096】
また、そのような抗菌剤含有樹脂組成物は、本願発明の目的を逸脱しない範囲で、必要に応じ、例えば消臭剤、着香剤などの添加剤を任意に添加配合することによって、より製品効果の高いものとすることができる。」
(オ)「【図3】
[図:0001426453000003.jpg]
」
上記(ア)ないし(オ)から、引用文献3には次の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されているといえる。
〔引用文献3記載事項〕
「空気調和機の熱交換器等の下部に設けられドレン水を受け止めて外部に排出するドレンパンに、合成樹脂材50D内に粒状又はペレット状の抗菌剤50B,50B・・・を均一に練り込んだ抗菌部材50を設置し、抗菌部材50に、消臭剤を配合添加すること。」
(3)当審の判断
ア 対比
引用発明の「空気吸込口10,11,12」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件補正発明の「空気吸込口」に相当し、以下同様に、「空気吹出口6」は「空気吹出口」に、「空気流通路」は「風路」に、「オープングリル、正面パネル3及びキャビネット4」は「筐体」に、「室内送風ファン9」は「送風ファン」に、「熱交換器8a,8b,8c」は「熱交換器」に、「ドレンパン」は「ドレンパン」に、それぞれ相当する。
引用発明の「空気流通路の内壁18」は、本件補正発明の「風路を構成する部材」に相当する。
引用発明の「金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層」は、金属フタロシアニンが脱臭効果を有するから、本件補正発明の「脱臭部材」に相当する。
引用発明の「前記空気流通路の内壁18に、金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層を形成した」ことは、「空気流通路の内壁18」に「金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装」して「金属フタロシアニン層」が形成されており、塗装物と被塗装物とは分離することはないから、「空気流通路の内壁18」と「金属フタロシアニン層」とは、両者が一つのような状態になったものといえる。
一方、本件補正発明の「一体的に設けられている」の意味について、本願明細書に定義はないから、本件補正発明の「一体的」とは、「一体」が「一つになって分けられない関係にあること。同類。「家族が-となって働く」「渾然-」「-化」「三位-」」(広辞苑第六版)であり、「的」が「その性質を帯びる、その状態をなす意を表す。」(広辞苑第六版)であるから、「一つになって分けられない関係にある状態」と解される。
してみると、引用発明の「空気流通路の内壁18」と「金属フタロシアニン層」とは、複数のものが一つになって両者の関係が分けられない状態となっているのであるから、一体的であるといえる。
したがって、引用発明の「前記空気流通路の内壁18に、金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層を形成した」ことは、本件補正発明の「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている」ことに相当する
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
〔一致点〕
「空気吸込口及び空気吹出口が形成され、内部に前記空気吸込口から前記空気吹出口に通じる風路が形成された筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記空気吹出口に送る送風ファンと、
前記風路に配置された熱交換器と、
前記熱交換器に付着した結露水を受けるドレンパンと、
を備え、
前記風路を構成する部材に脱臭部材が設けられており、
前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている空気調和機。」
〔相違点〕
本件補正発明は、ドレンパンに脱臭部材が設けられているのに対して、引用発明は、かかる事項を備えていない点。
イ 相違点についての検討
引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項が示すように、空気調和機のドレンパンに臭いを抑制する部材を設けることは、本願出願前に周知の技術である(以下、「周知技術1」という。)。
引用発明と周知技術1とは、空気調和機という共通の技術分野に属するものであり、臭いを抑制するという課題も共通する。
そうすると、引用発明に周知技術1を適用して、ドレンパンに脱臭部材を設けることは、当業者が容易に想到できたことである。
そのことによる効果も、引用発明及び周知技術1から、当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。
「(4)本願発明と各引用文献との違いについて
引用文献1には、本願発明に記載の「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている」構成について開示や示唆はありません。引用文献1のように、風路に塗装や染色、シート貼り付けを行った場合、厚みにばらつきが生じたり、塗装やシートが剥げたりして風路の風の流れが設計通りとならなくなる可能性が生じ得ます。この場合、騒音発生の可能性もあります。一方、本願発明のように「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられている」構成とすれば、このような問題が発生する可能性を低減できるという効果を奏します。」
当該主張について検討する。
引用発明において、「前記空気流通路の内壁18に、金属フタロシアニンを含有した塗料を塗装して金属フタロシアニン層を形成した」ことは、「空気流通路の内壁18」と「金属フタロシアニン層」とが一体的であることは、上記(3)アで述べたとおりである。ここで、本件補正発明における「一体的」の意味について、風路を構成する部材と脱臭部材とが物理的に「不可分」な関係性を意味すると限定的に解すべき理由は見当たらない。
また、仮に、本件補正発明において、「脱臭部材」は風路を構成する部材に「一体的」に設けられていることが、風路を構成する部材を形成する樹脂に脱臭機能を有する物質を混ぜた態様を意味するものとしても、そのような態様は、例えば、特開平11-51450号公報の段落【0001】、【0017】、【0018】、【0021】、図1、特開2009-264687号公報の段落【0007】、【0016】、図3に開示されるように、本願出願前に周知の技術である(以下、「周知技術2」という。)。
そうすると、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
なお、請求人は令和6年8月15日の上申書において、本件補正発明に「脱臭部材は脱臭剤としての茶殻を含んでいる」との発明特定事項を付加した補正案を提示している。
しかしながら、脱臭部材が脱臭剤としての茶殻を含むものは、上記特開2009-264687号公報の段落【0007】、【0016】に記載されている。
よって、上申書の内容を考慮するに及ばない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(6)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
上記のとおり本件補正は却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和5年9月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載のとおりのものである。
第4 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1 特開2000-205587号公報
引用文献2 特開平10-78240号公報
引用文献3 特開2006-170478号公報
第5 引用文献、引用発明
引用文献1ないし3の記載事項、認定事項及び引用発明は、上記第2の2(2)アないしウに記載したとおりである。
第6 対比・判断
本願発明は、上記第2の2(1)の本件補正発明から、「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられて」いるとの発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、「前記脱臭部材は前記風路を構成する部材に一体的に設けられて」いるとの発明特定事項を備えた本件補正発明が、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたと判断されるのだから、本願発明においても、本件補正発明と同様の理由により、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-003693