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特許拒絶査定不服審判

2024-001953

空気調和機

審判番号
2024-001953
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-217542
請求日
2024年02月02日
審決日
2025年04月07日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社富士通ゼネラル
  • 【請求人代理人】弁理士法人アズテックIP
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 水野 治彦
  • 審判官 正木 裕也
分類
P18 .121-Z (F24F) / P18 .575-Z (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-217542「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月 3日出願公開、特開2021- 85648〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年11月29日の出願であって、令和5年5月18日付けの拒絶理由通知に対し、令和5年7月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和5年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和6年2月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和6年2月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年2月2日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 一方の端部に空気吸込口が設けられ他方の端部に空気吹出口が設けられ、前記空気吸込口と前記空気吹出口との間に空気流通路が形成された筐体と、該筐体内の前記空気吹出口の側に配置された熱交換器と、吹出口が前記熱交換器の側を向くように前記筐体内の前記空気吸込口の側に配置された送風ファンと、該熱交換器の下方に配置されたドレンパンと、を有する空気調和機において、 前記送風ファンの前記吹出口の下側から前記熱交換器の下側に潜り込み且つ前記ドレンパンを覆うように配置されたドレンパンカバーを備え、 該ドレンパンカバーは、前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、底部となる排水路を備え、前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう前側スロープが形成され、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう後側スロープが形成され、 前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され、前記熱交換器から滴下する結露水を集め、該排水路に前記ドレンパンに連通する排水口が設けられていることを特徴とする空気調和機。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和5年7月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 一方の端部に空気吸込口が設けられ他方の端部に空気吹出口が設けられ、前記空気吸込口と前記空気吹出口との間に空気流通路が形成された筐体と、該筐体内の前記空気吹出口の側に配置された熱交換器と、吹出口が前記熱交換器の側を向くように前記筐体内の前記空気吸込口の側に配置された送風ファンと、該熱交換器の下方に配置されたドレンパンと、を有する空気調和機において、 前記送風ファンの前記吹出口の下側から前記熱交換器の下側に潜り込み且つ前記ドレンパンを覆うように配置されたドレンパンカバーを備え、 該ドレンパンカバーは、前記熱交換器から滴下する結露水を集める排水路を有し、該排水路に前記ドレンパンに連通する排水口が設けられていることを特徴とする空気調和機。」 2.補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1における「ドレンパンカバー」及び「排水路」について「前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、底部となる排水路を備え、前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう前側スロープが形成され、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう後側スロープが形成され、前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され」るものであることを限定する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、全体として、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面における請求項2及び段落【0018】に記載された事項の範囲内のものであるから、同法同条第3項に規定する新規事項の追加に該当しない。 そこで、本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。 (1)補正後の本願発明(本件補正発明の認定) 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、実願昭50-054836号(実開昭51-134056号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審が付した。)。 (ア)「本考案は係る欠点を改善せんとするもので、以下本考案の一実施例につき説明すると、(1)は後方にフイルター(2)を備えた吸込口(3)を、前方に吹出グリル(4)を備えた調和空気吹出口(5)を有し、周囲に外板(6)を装着した天吊型空気調和機の室内ユニツトで、内部は垂設する区画壁(7)で熱交換室(8)と送風室(9)とに分けられ送風室(9)には送風機(10)等を備える。熱交換室(8)と送風室(9)とは送風機(10)の送風口(11)で連結され、熱交換室(8)は熱交換器(12)及び該熱交換器の下方に配設するドレンパン(13)等を備えると共に、これら熱交換器(12)及びドレンパン(13)との空間に一端を、熱交換室(8)を形成する外板(6)が調和空気吹出口(5)を形成して内方へ折曲した先端部を更に垂下せしめてなる垂下部(14)に当接し、他端を区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する遮閉板(15)を設置しドレンパン(13)を半密閉状態に収納すると共に、区画壁(7)の下方部を穿孔(16)しかつ前記外板(6)を互いに内方へ折曲し少許の間隙を形成してなる未熱交換空気流入部(17)を設けることにより遮閉板(15)と外板(6)との間に未熱交換空気の流通路(18)を形成する。上記遮閉板(15)は内方部が低位となるよう傾斜形成し露が外側へこぼれ落ちない様にすると共に熱交換器(12)から滴下する露がドレンパン(13)へ流入する為の透過部(図示しない)を適宜に形成する。」(明細書第2ページ第3行-第3ページ第7行) (イ)「第1図 [図:0001424214000001.jpg] 」 (ウ)(イ)より、室内ユニツト(1)には、吸込口(3)から調和空気吹出口(5)に向かう空気の流路が形成されることが看取できる。 (エ)(ア)の「(1)は後方にフイルター(2)を備えた吸込口(3)を、前方に吹出グリル(4)を備えた調和空気吹出口(5)を有し、周囲に外板(6)を装着した天吊型空気調和機の室内ユニツト」との記載、及び(ウ)の認定事項より、天吊型空気調和機の室内ユニツト(1)は、吸込口(3)から調和空気吹出口(5)に向かう空気の流路が形成された筐体を有すると理解できる。 (オ)(エ)の認定事項、及び(イ)より、熱交換器(12)は、筐体内の調和空気吹出口(5)の側に配置されることが看取できる。 (カ)(エ)の認定事項、及び(イ)より、送風機(10)は、送風口(11)が熱交換器(12)の側を向くように筐体内の吸込口(3)の側に配置されることが看取できる。 (キ)(ア)の「熱交換器(12)及びドレンパン(13)との空間に」「遮閉板(15)を設置」するとの記載、及び(イ)より、遮閉板(15)は熱交換器(12)の下方に配置されると理解できる。 (ク)(ア)の「遮閉板(15)を設置しドレンパン(13)を半密閉状態に収納する」との記載及び、(イ)より、遮閉板(15)はドレンパン(13)を覆うように配置されると理解できる。 (ケ)(ア)の「一端を、熱交換室(18)を形成する外板(6)が調和空気吹出口(5)を形成して内方へ折曲した先端部を更に垂下せしめてなる垂下部(14)に当接し、他端を区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する遮閉板(15)」との記載、及び「上記遮閉板(15)は内方部が低位となるよう傾斜形成し露が外側へこぼれ落ちない様にする」との記載、並びに(イ)より、遮閉板(15)について、室内ユニツト(1)の前方に設けられた調和空気吹出口(5)側であって、調和空気吹出口(5)を形成する垂下部(14)に当接する一端を、遮閉板(15)の前方側の一端とし、室内ユニツト(1)の後方に設けられた送風口(11)側であって、区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する他端を、遮閉板(15)の後方側の他端とすると、遮閉板(15)に、内方部から前方側の一端までの間及び内方部から後方側の他端までの間に、内方部が低位となるように傾斜する前側スロープ及び後側スロープが形成されると理解できる。 (コ)(ア)の「上記遮閉板(15)は内方部が低位となるよう傾斜形成し露が外側へこぼれ落ちない様にすると共に熱交換器(12)から滴下する露がドレンパン(13)へ流入する為の透過部(図示しない)を適宜に形成する。」との記載より、遮蔽板(15)は、前記熱交換器(12)から滴下する露を集めることが理解できる。 上記(ア)-(コ)の記載事項、図示事項及び認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) 「後方に吸込口(3)が設けられ前方に調和空気吹出口(5)が設けられ、前記吸込口(3)から前記調和空気吹出口(5)に向かう空気の流路が形成された筐体と、該筐体内の前記調和空気吹出口(5)の側に配置された熱交換器(12)と、送風口(11)が前記熱交換器(12)の側を向くように前記筐体内の前記吸込口(3)の側に配置された送風機(10)と、該熱交換器(12)の下方に配置されたドレンパン(13)と、を有する天吊型空気調和機において、 前記送風機(10)の送風口(11)より下方から前記熱交換器(12)の下方に配置され且つ前記ドレンパン(13)を覆うように配置された遮閉板(15)を備え、 該遮閉板(15)は、調和空気吹出口(5)を形成する垂下部(14)に当接する一端と、区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する他端と、を備え、内方部から前方側の一端の間に前側スロープが形成され、内方部から後方側の他端の間に後側スロープが形成され、 前記遮閉板(15)は、前記熱交換器(12)から滴下する露を集め、前記遮閉板(15)に前記ドレンパン(13)に露を流入させる透過部が設けられていることを特徴とする天吊型空気調和機。」 イ 引用文献2 同じく原査定に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願昭52-007775号(実開昭53-102550号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審が付した。)。 (ア)「第1図は、この種の空気調和機の外観を示す斜視図であり、同図において、(A)はケーシングであり、本体前面に空気吹出口(1)を有する前ケーシング(2)、下ケーシング(3)、及び側ケーシング(4)から構成されている。 第2図は、第1図の2-2線における側断面図であり、(5)は風胴で、この内部には熱交換器(6)、エアーガイド(7)、ドレン皿(8)、露受板(9)、整流板(10)、フアン(11)を取付けたフアン台(12)、及びフイルター(13)を有している。 このように構成された空気調和機において、室内の空気は第2図に実線矢印で示す如く流通する。すなわちフィルター(13)よりフアン(11)を経て整流板(10)により整流された空気は熱交換器(6)で、冷媒または冷水と熱交換し、冷風となつて吹出口(1)より室内に供給されて冷房を行う。 一方、熱交換器表面に付いた露はまず、熱交換機(6)の下方に設けられた露受板(9)に集積された後、露受板(9)の複数個のドレン穴(9a)よりドレン皿(8)を経て室外に排出される。」(当審注:「2-2線」の「2」はローマ数字)(明細書第1ページ第15行-第2ページ第14行) (イ)「第2図 [図:0001424214000002.jpg] 」 (ウ)(イ)より、露受板(9)は、空気吹出口(1)側を向く前端部と、ファン(11)の吹出口側を向く後端部とを備えることが看取できる。 (エ)(ア)の「熱交換器表面に付いた露はまず、熱交換機(6)の下方に設けられた露受板(9)に集積された後、露受板(9)の複数個のドレン穴(9a)よりドレン皿(8)を経て室外に排出される。」との記載、及び(イ)より、傾斜によって低い位置となっている露受板(9)の中央部分に露が集積され、集積された露は、該中央部分に設けられたドレン穴(9a)からドレン皿(8)に排出されることが把握できる。そうすると、露受板(9)の中央部分は、露受板(9)の底部であって、露が集積される排水路であることが理解できる。 (オ)(ウ)及び(エ)の認定事項、並びに(イ)より、露受板(9)は、前端部から排水路にかけて排水路側が低くなるよう形成された前側スロープと、後端部から排水路にかけて排水路側が低くなるよう形成された後側スロープとを備えることが理解できる。 (カ)(ア)の「熱交換器表面に付いた露はまず、熱交換機(6)の下方に設けられた露受板(9)に集積された後、露受板(9)の複数個のドレン穴(9a)よりドレン皿(8)を経て室外に排出される。」との記載、並びに(エ)及び(オ)の認定事項から、露受板(9)の中央部分である底部の排水路は、前側スロープと後側スロープの間に形成され、該排水路にドレン皿(8)に連通するドレン穴(9a)が設けられることが理解できる。 上記(ア)-(カ)の記載事項、図示事項及び認定事項から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用文献2の記載事項」という。)が記載されている。 (引用文献2の記載事項) 「空気調和機の露受板(9)が、空気吹出口(1)側を向く前端部と、ファン(11)の吹出口側を向く後端部と、露受板(9)の底部であって、露が集積される排水路を備え、前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう形成された前側スロープと、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう形成され後側スロープとを備え、前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され、熱交換器(6)表面に付いた露を集積し、該排水路にドレン皿(8)に連通するドレン穴(9a)が設けられていること。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 引用発明の「後方」は、本件補正発明の「一方の端部」に相当する。同様に「吸込口(3)」は「空気吸込口」に、「前方」は「他方の端部」に、「調和空気吹出口(5)」は「空気吹出口」に、「前記吸込口(3)から前記調和空気吹出口(5)に向かう空気の流路」が形成されることは「前記空気吸込口と前記空気吹出口との間に空気流通路」が形成されることに「筐体」は「筐体」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明の「後方に吸込口(3)が設けられ前方に調和空気吹出口(5)が設けられ、前記吸込口(3)から前記調和空気吹出口(5)に向かう空気の流路が形成された筐体」は、本件補正発明の「一方の端部に空気吸込口が設けられ他方の端部に空気吹出口が設けられ、前記空気吸込口と前記空気吹出口との間に空気流通路が形成された筐体」に相当する。 引用発明の「熱交換器(12)」は、本件補正発明の「熱交換器」に相当する。 そうすると、引用発明の「該筐体内の前記調和空気吹出口(5)の側に配置された熱交換器(12)」は、本件補正発明の「該筐体内の前記空気吹出口の側に配置された熱交換器」に相当する。 引用発明の「送風口(11)」は、本願補正発明の「吹出口」に相当する。同様に「送風機(10)」は、「送風ファン」に相当する。 そうすると、引用発明の「送風口(11)が前記熱交換器(12)の側を向くように前記筐体内の前記吸込口(3)の側に配置された送風機(10)」は、本願補正発明の「吹出口が前記熱交換器の側を向くように前記筐体内の前記空気吸込口の側に配置された送風ファン」に相当する。 引用発明の「ドレンパン(13)」は、本件補正発明の「ドレンパン」に相当する。同様に「天吊型空気調和機」は、「空気調和機」に相当する。 そうすると、引用発明の「該熱交換器(12)の下方に配置されたドレンパン(13)と、を有する天吊型空気調和機」は、本件補正発明の「該熱交換器の下方に配置されたドレンパンと、を有する空気調和機」に相当する。 引用発明の「前記送風機(10)の送風口(11)より下方」は、本件補正発明の「前記送風ファンの前記吹出口の下側」に相当する。同様に「前記熱交換器(12)の下方に配置され」は「前記熱交換器の下側に潜り込み」に、「遮閉板(15)」は「ドレンパンカバー」に相当する。 そうすると、引用発明の「前記送風機(10)の送風口(11)より下方から前記熱交換器(12)の下方に配置され且つ前記ドレンパン(13)を覆うように配置された遮閉板(15)を備え」ることは、本件補正発明の「前記送風ファンの前記吹出口の下側から前記熱交換器の下側に潜り込み且つ前記ドレンパンを覆うように配置されたドレンパンカバーを備え」ることに相当する。 引用発明の「調和空気吹出口(5)を形成する垂下部(14)に当接する一端」と、「区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する他端」は、それぞれ、遮閉板(15)の調和空気吹出口(5)側を向く前方側の端部、及び送風機(10)の送風口(11)側を向く後方側の端部に位置するから、引用発明の「調和空気吹出口(5)を形成する垂下部(14)に当接する一端」は、本件補正発明の「前記空気吹出口側を向く前端部」に、引用発明の「区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する他端」は、本件補正発明の「前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明の「該遮閉板(15)は、調和空気吹出口(5)を形成する垂下部(14)に当接する一端と、区画壁(7)と送風機(10)の送風口(11)より下方にて当接する他端と、を備え、内方部から前方側の一端の間に前側スロープが形成され、内方部から後方側の他端の間に後側スロープが形成され」ることと、本件補正発明の「該ドレンパンカバーは、前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、底部となる排水路を備え、前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう前側スロープが形成され、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう後側スロープが形成され」ることとは、「該ドレンパンカバーは、前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、を備え、」「前側スロープが形成され、」「後側スロープが形成され」ることの限りで一致する。 引用発明の「露」は、本件補正発明の「結露水」に相当する。同様に「前記ドレンパン(13)に露を流入させる透過部」は、「前記ドレンパンに連通する排水口」に相当する。 そうすると、引用発明の「前記遮閉板(15)は、前記熱交換器(12)から滴下する露を集め、前記遮閉板(15)に前記ドレンパン(13)に連通する透過部が設けられていること」と、本件補正発明の「前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され、前記熱交換器から滴下する結露水を集め、該排水路に前記ドレンパンに連通する排水口が設けられていること」とは、「前記熱交換器から滴下する結露水を集め、前記ドレンパンに連通する排水口が設けられていること」の限りで一致する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 (一致点) 「一方の端部に空気吸込口が設けられ他方の端部に空気吹出口が設けられ、前記空気吸込口と前記空気吹出口との間に空気流通路が形成された筐体と、該筐体内の前記空気吹出口の側に配置された熱交換器と、吹出口が前記熱交換器の側を向くように前記筐体内の前記空気吸込口の側に配置された送風ファンと、該熱交換器の下方に配置されたドレンパンと、を有する空気調和機において、 前記送風ファンの前記吹出口の下側から前記熱交換器の下側に潜り込み且つ前記ドレンパンを覆うように配置されたドレンパンカバーを備え、 該ドレンパンカバーは、前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、を備え、前側スロープが形成され、後側スロープが形成され、 前記熱交換器から滴下する結露水を集め、前記ドレンパンに連通する排水口が設けられていることを特徴とする空気調和機。」 (相違点) 「ドレンパンカバー」について、本件補正発明では、「底部となる排水路を備え」、「前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう前側スロープが形成され、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう後側スロープが形成され、前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され、」「該排水路に前記ドレンパンに連通する排水口が設けられている」のに対し、引用発明では、遮蔽板(15)が排水路を備えているか不明であり、内方部から前方側の一端の間に前側スロープが形成され、内方部から後方側の他端の間に後側スロープが形成され、前記遮閉板(15)に前記ドレンパン(13)に連通する透過部が設けられている点。 (4)判断 引用発明と、引用文献2の記載事項は、ともに空気調和機の技術分野に属するものであり、引用発明の「遮閉板(15)」と、引用文献2の記載事項の「露受板(9)」は、ともに熱交換器に生じる結露水を集めるという作用・機能が共通しているから、引用発明に、引用文献2の記載事項を適用する動機付けがある。 そうすると、引用発明の「遮蔽板(15)」に引用文献2の記載事項を適用し、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明が奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年2月2日に提出した審判請求書の「(3-5)審査官の見解に対する出願人の主張について」において、「引用文献2には本願請求項1の排水路に相当する構成が存在せず、審査官の「引用文献2に記載の排水路を備えるように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである」との結論を導くのは妥当性を欠くものであることを主張しました。」と主張する。 しかしながら、上記第2の2.(2)イにおいて説明したとおり、引用文献2には、本件補正発明の「排水路」に相当する構成が記載されているから、審判請求人の主張は採用できない。 また、審判請求人は、前記審判請求書の「(3-8)「排水路」の特定について」で「補正によって、排水路は前側スロープと後側スロープの間に形成される底部であることが明確になりました。排水路はほぼ水平な板状となっており、左側面板を向く側から右側面板を向く側にかけて複数の排水口が所定のピッチで形成されていることは、本願各図に示されており、本願明細書段落18においても説明されています。」と主張する。 しかしながら、審判請求人が明確にしたと主張する「排水路は前側スロープと後側スロープの間に形成される底部であること」は、引用文献2に記載されており、「排水路はほぼ水平な板状となって」いること、及び「左側面板を向く側から右側面板を向く側にかけて複数の排水口が所定のピッチで形成されている」ことについては、本件補正後の請求項1においてなんら特定されていないのであるから、審判請求人の主張は採用できない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.むすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和6年2月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-3に係る発明は、令和5年7月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。 2.原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:実願昭50-054836号(実開昭51-134056号)のマイクロフィルム 引用文献2:実願昭52-007775号(実開昭53-102550号)のマイクロフィルム 3.引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「ドレンパンカバー」及び「排水路」が「前記空気吹出口側を向く前端部と、前記送風ファンの前記吹出口側を向く後端部と、底部となる排水路を備え、前記前端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう前側スロープが形成され、前記後端部から前記排水路にかけて前記排水路側が低くなるよう後側スロープが形成され、前記排水路は、前記前側スロープと前記後側スロープの間に形成され」るという限定事項を削除し、「ドレンパンカバー」が「前記熱交換器から滴下する結露水を集め」る「排水路」を有することを特定したものである。 そうすると、「ドレンパンカバー」が「前記熱交換器から滴下する結露水を集め」る「排水路」を有することを含めた本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび(結論) 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-001953

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